JP4933011B2 - 無水マレイン酸およびその水素化誘導体の同時生成方法 - Google Patents
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Description
本発明は、C4化合物の同時生成のための方法に関し、さらに詳細には、C4炭化水素およびベンゼンから選択される原料から無水マレイン酸、ブタン−1,4−ジオール、γ−ブチロラクトン、およびテトラヒドロフランを同時生成する方法に関する。
【0002】
無水マレイン酸は、ベンゼン、混合C4オレフィン、またはn−ブタンなどの炭化水素の原料を部分酸化触媒の存在下、蒸気相で酸化することにより生成することができる。
【0003】
原料の性質に依存するが、担持された励起型五酸化バナジウム触媒が通常は使用され、反応温度は通常は約350℃から約500℃であり、反応圧力は約105Paから約3×105Paである。爆発範囲の外に保つため、実質的に過剰量の空気を使用することができる。接触時間は約0.1秒である。あるいは、さらに現代的な慣行に従って、空気と炭化水素原料の混合原料が燃焼限界内であるにもかかわらず充分に安全な操作が実施可能となるようなプラントを設計することが可能である。
【0004】
そのような部分酸化反応のための反応器の1つの設計には、反応温度を制御するために溶融塩を循環させるジャケットに囲まれた縦型のチューブを含むチューブ状の反応器が含まれる。しかしながら、固定床反応器、流動床反応器、または移動床反応器を含めた他の反応器設計も代わりに使用することができる。
【0005】
各々のケースで、高温蒸気の反応混合物は無水マレイン酸蒸気、水蒸気、二酸化炭素、酸素、窒素、およびその他の不活性ガス、それに加えて酢酸、アクリル酸、未変換の炭化水素原料などの有機不純物を含む反応器の出口端部から回収される。
【0006】
この反応器の希釈流出流から4ステップ以内で無水マレイン酸を回収および精製することが普通である。まず第1に、任意選択のステップで、一部の従来法では、反応器の流出流を、蒸気生成熱交換器を使用して通常は約150℃まで冷却することによって無水マレイン酸の一部を凝縮し、その後、水冷によって約60℃にさらに冷却して、通常は無水マレイン酸の約30%から約60%となるマレイン酸の部分を凝縮している。反応器の流出流の無水マレイン酸と反応して、フマル酸への異性化が可能なマレイン酸を形成する水が存在するため、凝縮は部分的にしか実施されない。マレイン酸は130℃の融点を有し、一方、フマル酸は287℃の融点を有し、共に無水マレイン酸のそれ(52.85℃)よりもはるかに高い。その結果、固体のマレイン酸およびフマル酸が熱交換器表面に堆積し易くなり、通常はフマル酸とマレイン酸またはそれらのナトリウム塩を含む水溶液を生成する水および/または水酸化ナトリウム溶液を使用して定期的に除去する必要、および出液流の処理の必要が生じる。
【0007】
従来法で使用される第2のステップは、出液流から根本的に残りのマレイン酸をすべて吸収することである。その後、おそらく一酸化炭素、未変換炭化水素、およびその他の含有有機化合物を燃焼させた後、残りのガス状の流出物を大気中に排出することができる。この吸収ステップで、有機溶剤を使用することができる。あるいは水溶液を吸収剤として使用することも可能であり、その場合には無水マレイン酸は主として加水分解されてマレイン酸を形成する。
【0008】
水または水溶液または水性スラリーでの洗浄は、例えば米国特許明細書第2,638,481号に記載されている。しかしながら、そのような手順の欠点は、マレイン酸の一部が不可避的にフマル酸へと異性化されることである。副産物のフマル酸は価値のある無水マレイン酸の損失を表し、しかも処理を詰まらせる問題を生じる結晶を形成し易いので処理システムから回収困難である。
【0009】
この異性化の問題のために、蒸気状態の流出物から無水マレイン酸を吸収するための他の様々な無水有機溶剤、たとえばフタル酸ジブチル(英国特許明細書第727,828号、763,339号、および768,551号)、最大10重量%の無水フタル酸を含むフタル酸ジブチル(米国特許明細書第4,118,403号)、側鎖C12-15−アルケニル置換の無水コハク酸など通常は液状の分子内無水カルボン酸(米国特許明細書第3,818,680号)、リン酸トリクレシル(フランス特許明細書第1,125,014号)、テレフタル酸ジメチル(日本特許公告32−8408号)、マレイン酸ジブチル(日本特許公告35−7460号)、高分子量ワックス(米国特許明細書第3,040,059号)、ジフェニルペンタクロリド(米国特許明細書第2,893,924号)、ジベンジルベンゼンなどの高沸点芳香族炭化水素溶剤(フランス特許明細書第2,285,386号)、ジメチルベンゾフェノン(米国特許明細書第3,850,758号)、少なくとも一部分が少なくとも3つのメチル基を含むポリメチルベンゾフェノン(米国特許明細書第4,071,540号)、非水溶性第三級アミン(米国特許明細書第4,571,426号)、C4〜C8のアルキル基を有し、両方のアルキル基中に合計で10〜14炭素原子を有するフタル酸ジアルキルエステル(米国特許明細書第3,891,680号)、および環式脂肪酸のエステル、例えばヘキサヒドロフタル酸ジブチル(南アフリカ特許明細書第80/1247号)が提案されている。
【0010】
従来法で使用される第3のステップは、吸収剤から得られた無水マレイン酸またはマレイン酸の溶液を回収することである。吸収剤が有機溶剤であるとき、バッチ式または連続式の蒸留が無水マレイン酸を回収するために使用できる。一方、吸収剤が水または水溶液であるときは、この回収ステップはマレイン酸を無水マレイン酸に再変換して戻すために脱水ステップを含む必要がある。使用される1つの手順はキシレンの存在下でマレイン酸溶液を蒸留することである。これは水分を除去するばかりでなく、無水マレイン酸の再形成という結果をもたらす。どちらの場合にも、使用される高い温度はフマル酸の形成を誘発する傾向があり、それが潜在的生成物無水マレイン酸のさらなる損失となる。
【0011】
米国特許明細書第5,069,687号は、ガス状混合物から吸収剤との接触によって無水マレイン酸を回収し、それに続いて富化した吸収剤から吸水剤または低水分のストリッピングガスとの接触によって水分を除去することを提案している。その後、無水マレイン酸が乾燥した富化吸収剤から回収される。
【0012】
増大しつつある無水マレイン酸の用途はブタン−1,4−ジオール、およびその副産物、すなわちγ−ブチロラクトン、およびテトラヒドロフランの生成である。無水マレイン酸またはマレイン酸のこれらC4化合物への直接的な水素化は米国特許明細書第3,948,805号、4,001,282号、4,048,196号、4,083,809号、4,096,156号、4,550,185号、4,609,636号、4,659,686号、4,777,303号、4,985,572号、5,149,680号、5,347,021号、5,473,086号、および5,698,749号、および欧州特許明細書第0373947A号で提案されている。
【0013】
ブタン−1,4−ジオールおよびその副産物であるγ−ブチロラクトン、およびテトラヒドロフランを生成するために、無水マレイン酸をアルキルアルコールでエステル化してマレイン酸ジアルキルを生成し、得られたマレイン酸ジアルキルを続いて水素化することも提案された。液相での水素化は、英国特許明細書第1,454,440号で提案されている。蒸気相での水素化は国際特許公告WO 82/03854に教示されている。2段階でのマレイン酸ジアルキルの水素化は米国特許明細書第4,584,419号および4,751,334号に記載されているように実行することができる。
【0014】
米国特許明細書第4,032,458号は、圧力と温度を上昇させてマレイン酸をC2〜C10のアルコールでエステル化させ、得られたマレイン酸ジアルキルを続いて亜クロム酸銅触媒のスラリーを使用して2段階で水素化し、その後、蒸留することを提案している。
【0015】
米国特許明細書第5,478,952号は、例えばマレイン酸を水素化するために水溶液中で使用可能であり、炭素上でのルテニウムとレニウムの混合物からなる水素化触媒を提案している。
【0016】
無水マレイン酸からマレイン酸ジアルキルを生成するための方法およびプラントは、例えば米国特許第4,795,824号および国際特許公告WO 90/08127号に記載されている。この最後に述べた文書は、各々が所定の液体ホールドアップを有する複数のエステル化トレイを含み、ペンダントスルホン酸基を含むイオン交換樹脂などの固体エステル化触媒装填物を含むカラム反応器を記載している。
【0017】
英国特許明細書第2207914A号は、無水マレイン酸プラントに混合ブテンが供給され、1つの流れとしてそのプラントからマレイン酸及びフマル酸がおよそ1:1のモル比の混合物を含む酸残渣として精製し、ならびに別の流れとして前記無水マレイン酸プラントから生じたまたは上記第一の流れにモノエステル化反応をさせた無水マレイン酸もまた供給されることが記載されている。
【0018】
米国特許明細書第2574644号は、フタル酸ジブチルを用いて高温酸化精製ガスから無水マレイン酸を洗浄するための方法を教授している。無水マレイン酸の部分濃縮が提案されている。
【0021】
無水マレイン酸と、C4化合物、ブタン−1,4−ジオール、γ−ブチロラクトン、およびテトラヒドロフランを同時生成するための改良された方法を提供することが本発明の一目的である。所定の量の炭化水素原料からのそのようなC4化合物の生成を改善し、それによりこれらの化合物をさらに容易に利用可能に、生成する廃棄産物の量を低減することも本発明の目的である。炭化水素原料からC4化合物、無水マレイン酸、ブタン−1,4−ジオール、γ−ブチロラクトン、およびテトラヒドロフランを生成する方法であって従来のプラントよりも建設と運転がより経済的なプラントで稼動できる方法を提供することもまた本発明の目的である。
【0022】
本発明によると、無水マレイン酸と、ブタン−1,4−ジオール、γ−ブチロラクトン、およびテトラヒドロフランから選択される少なくとも1つのC4化合物とを同時生成するための方法が提供される。この方法は、
(i)ガス状酸素源と、C4炭化水素とベンゼンのうちから選択される炭化水素原料とを、無水マレイン酸を生成するために炭化水素原料の部分酸化が実施可能な部分酸化触媒装填物を含み、かつ触媒の部分酸化条件下に維持される触媒部分酸化ゾーンに供給するステップと、
(ii)無水マレイン酸、水、未変換炭化水素原料、および炭素酸化物を含む蒸気状の反応流出流を部分酸化ゾーンから回収するステップと、
(iii)蒸気状の反応流出流中に存在する無水マレイン酸の一部を凝縮ゾーンで凝縮して、粗製無水マレイン酸流を形成するステップと、
(iv)無水マレイン酸の残量を含む残りの蒸気流を凝縮ステップ(iii)から回収するステップと、
(v)有機溶剤、水、および水溶液から選択される液体吸収媒体中での吸収によってステップ(iv)の残りの蒸気流からさらなる無水マレイン酸を吸収するステップと、
(vi)負荷された液体吸収媒体を吸収ステップ(v)から回収するステップと、
(vii)負荷された液体吸収媒体から無水マレイン酸を回収するステップと、を含むステップ系によって無水マレイン酸が生成され、
ブタン−1,4−ジオール、γ−ブチロラクトン、およびテトラヒドロフランから選択される前記少なくとも1つのC4化合物が、
(viii)無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、およびそれらの2種以上の混合物から選択されるC4+水素化原料を供給するステップと、
(ix)前記C4+水素化原料と水素を、前記少なくとも1つのC4生成物を生成するためにC4+水素化原料の触媒による水素化を実施する水素化触媒装填物を含み触媒水素化条件下に維持される水素化ゾーンに供給するステップと、
(x)前記少なくとも1つのC4生成物を含む水素化生成物流を水素化ゾーンから回収するステップと、
を含むステップ系によって生成され、
無水マレイン酸の濃縮物は、ステップ(iii)において、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、およびそれらの2以上の混合物を含む液体濃縮媒体の存在下で得られ、ステップ(iii)の粗製無水マレイン酸流の物質がステップ(viii)のC4+水素化原料として使用されるかまたはステップ(viii)のC4+水素化原料を調製するために使用されることを特徴とする。
【0023】
ガス状酸素源は酸素に加えて、窒素などの不活性ガスを多量に含んでもよい。空気は本発明の方法で使用するのに好都合なガス状酸素源である。したがってステップ(ii)の蒸気状反応流出流は、前述したその他の成分に加えて、窒素と酸素を含むことができる。ステップ(iii)の凝縮を実施しようと試みる前にステップ(ii)の蒸気状反応流出流を冷却するのがしばしば好都合となるであろう。
【0024】
本発明による好ましい方法では、ステップ(iii)の粗製無水マレイン酸反応生成物のすべてがステップ(viii)のC4+水素化原料として使用されまたはステップ(viii)のC4+水素化原料を調製するために使用される。
【0025】
必要ならばステップ(vii)で回収された無水マレイン酸のうちの少なくとも一部がステップ(viii)で使用するためのさらなるC4+水素化原料としてまたはC4+水素化原料を調製するために使用できる。
【0026】
あるいは、ステップ(v)で使用される液体吸収媒体が、水または水溶液であり、そのため負荷吸収される溶液がマレイン酸を含む場合、負荷された吸収媒体中に存在するマレイン酸の少なくとも一部はステップ(viii)で使用するためのさらなるC4+水素化原料としてまたはC4+水素化原料を調製するために使用できる。この場合、前記の得られたマレイン酸の少なくとも一部は、ステップ(viii)で使用する前に最初に余剰の水を除去することによって濃縮することもできる。さらに、負荷吸収される媒体中に存在するマレイン酸は、濃縮の目的で余剰の水が除去されてもそうでなくても、ステップ(viii)のC4+水素化原料としてまたはC4+水素化原料を調製するために使用すべく粗製無水マレイン酸と混合することができる。
【0027】
本発明の方法では、ステップ(iii)で、無水マレイン酸の凝縮が、凝縮器表面の汚染を低減するために無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、およびそれらのうちの2種以上の混合物から選択される液体を含む液体凝縮媒体の存在下で実施される。したがって液体凝縮媒体を蒸気状反応流出流中にスプレー噴霧して粗製無水マレイン酸と前記液体凝縮媒体との混合物を形成することによって直接冷却を実施することができ、この混合物がステップ(viii)のC4+水素化原料としてまたはC4+水素化原料を調製するために使用される。そのようなモノエステルまたはジエステルは、例えば、メタノールやエタノールなどのC1〜C4アルキルアルコールから誘導することができる。さらに、液体凝縮媒体は少量の、例えば5モル%までの相当するモノアルキルおよびジアルキルフマル酸を含むこともできる。
【0028】
特に好ましい一方法では、C4+水素化原料はマレイン酸ジアルキルであり、これは無水マレイン酸をアルキルアルコールと反応させてマレイン酸モノアルキルを形成し、次いでそれをさらにアルキルアルコールでエステル化してマレイン酸ジアルキルを形成することによって調製される。この場合、アルキルアルコールはメタノールまたはエタノールでもよく、マレイン酸ジアルキルはマレイン酸ジメチルまたはマレイン酸ジエチルでもよい。この場合、ステップ(ix)の水素化触媒は、亜クロム酸銅およびマンガン励起した銅触媒などの励起型銅触媒から選択することが好ましい。
【0029】
本発明の好ましい代替方法では、C4+水素化原料は無水マレイン酸である。この場合、触媒は従来技術でこの目的のために提案されるもののうちのどれでも、例えば前述した米国特許明細書第3,948,805号、4,001,282号、4,048,196号、4,083,809号、4,096,156号、4,550,185号、4,609,636号、4,659,686号、4,777,303号、4,985,572号、5,149,680号、5,473,086号、5,478,952号、および5,698,749号のうちの1つに開示された触媒の1つでもよい。
【0030】
ガス状酸素源は好都合には空気である。しかしながら、窒素と酸素の混合物、オフガスと空気の混合物、オフガスと酸素の混合物、純酸素、および酸素リッチな空気もまた酸素源として挙げることができる。オフガスはステップ(v)における液体吸収媒体中でのさらなる無水マレイン酸吸収の後に残る残留蒸気状ガスの一部を含むこともできる。ガス状酸素源は炭化水素原料とガス状酸素源、例えば空気の混合物を燃焼範囲を外して維持するように過剰に使用してもよい。あるいは、この方法を混合物が燃焼範囲に入るように操作することもできる。
【0031】
特に好ましい一方法では炭化水素原料はブタン原料である。
【0032】
この場合、部分酸化触媒はバナジウム−リン−酸化物触媒を含んでもよい。このような触媒はしばしばバナジルピロリン酸塩として記述される。触媒活性を維持するために、揮発性の有機リン化合物を触媒部分酸化ゾーンに向けて原料混合物中に流すこともできる。本発明の方法のステップ(ii)の蒸気状反応流出流中にステップ(ix)の水素化触媒を不活性化し得る何らかのリン化合物が存在する可能性があるので、この場合に、冷却の後、リン含有物質を除去するために、バナジウム含有材料、好都合には部分的に費消された酸化触媒装填物などのリン吸収保護床をステップ(ii)の蒸気状反応物流の径路に設置することができる。
【0033】
代替方法では原料はベンゼンを含む。この場合には、触媒は、例えば酸化モリブデンで修飾されることもあり得る五酸化バナジウム担持触媒であってもよい。
【0034】
触媒による部分酸化ゾーンはいかなる適切な設計であってもよく、例えば、固定床反応器、管状反応器、流動床反応器、または移動床反応器であってもよい。
【0035】
本発明の方法のステップ(v)は、フタル酸ジアルキルまたはヘキサヒドロフタル酸ジアルキル、例えばフタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、ヘキサヒドロフタル酸ジメチル、ヘキサヒドロフタル酸ジブチルなどの有機溶剤中で流出流から蒸気状の無水マレイン酸を吸収するステップを含むこともできる。あるいは、水またはマレイン酸水溶液を使用してステップ(v)の流出流から蒸気状の無水マレイン酸を吸収することもできる。
【0036】
本発明の方法ではステップ(vii)で回収される無水マレイン酸の一部をステップ(viii)の追加のC4+水素化原料として使用しまたはC4+水素化原料の調製に使用することができる。
【0037】
停止中に、凝縮ゾーンの凝縮表面を洗浄して堆積したフマル酸を除去し、得られた溶液をC4+水素化原料と組み合わせるための洗浄液としてアルキルアルコールを使用することがしばしば好ましい。この手順は水酸化ナトリウムの使用、および汚れとして堆積するマレイン酸およびフマル酸を凝縮器表面から除去するための水および/または水酸化ナトリウムを使用する洗浄工程の特徴であるマレイン酸またはマレイン酸ナトリウムを含む水性副産物流の生成を回避または低減するという利点を有する。
【0038】
本発明が明確に理解でき、容易に実施できるように、無水マレイン酸、およびC4生成物のブタン−1,4−ジオール、γ−ブチロラクトン、およびテトラヒドロフランを同時生成するための従来のプラントおよび本発明の技術による同じ目的のプラントをここで、添付の図面を参照しながら単なる例として説明する。
【0039】
添付の図面は図式的であるので、図面に示されていない他の多くの装置品目が実際のプラントに必要であろうことは当業者には理解されるであろう。装置のそのような追加の品目は通常の性質のものであり、(それだけには限定されないが)蒸留カラム、反応器、凝縮器、ポンプ、保持タンク、バルブ、圧力センサ、温度センサ、圧力コントローラ、温度コントローラ、レベルセンサ、加熱器、冷却器、サージタンク、凝縮器、カラム再沸騰器などを含む。装置のそのような追加品目はすべて従来の技術慣行に従って装備されるであろうもので、本発明の一部を構成するものではない。
【0040】
図面のうちの図1を参照すると、部分酸化ユニット1は部分酸化触媒、例えばバナジウム−リン−酸化物(触媒活性相がバナジルピロリン酸、(VO)2P2O7であることが報告されている)などのバナジウム含有触媒の装填物を入れた部分酸化反応器を含む。ユニット1は固定床または流動床の設計でよく、ライン2の手段によって過度に加熱されたブタンなどのC4炭化水素原料、およびライン3の手段によって空気が供給される。ブタン:空気の体積比は通常は約20:1からである。部分酸化ユニット1の触媒装填物は約100kPaから約200kPaの圧力下に維持される。
【0041】
部分酸化ユニット1内で、ブタンは部分酸化によって無水マレイン酸に変換される。主な副産物は一酸化炭素、二酸化炭素、および水である。
【0042】
【化1】
【0043】
3つの反応すべてが強度に発熱反応である。
【0044】
無水マレイン酸生成のための部分酸化ユニットの適切な設計のさらに詳細については、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,Fourth Edition,Volume 15,pages 893〜928を参照されたい。
【0045】
高温蒸気の部分酸化反応生成物流はライン4で部分酸化ユニットから回収される。これは約390℃から約430℃の温度であり、窒素、酸素、未反応ブタン、水、炭素酸化物、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、および微量の酢酸およびアクリル酸を含む。その後、反応生成物流は、ライン4に存在する無水マレイン酸の約20%から約60%、好ましくは約40%から約60%を凝縮するために、冷却してから凝縮ステージ5に供給して、部分酸化生成物流の露点よりも低い温度に維持する。通常は、凝縮ステージ5は2つの冷却器を含み、第1のものは約150℃で動作し、第2のものは約60℃で動作する。得られた凝縮物はライン6で回収される。
【0046】
それでもまだ蒸気の形にある残りの無水マレイン酸はライン7を通って吸収ユニット8、例えばガススクラバーユニットへと移り、それを通って蒸気流は、ライン9から供給されるフタル酸ジブチルなどの有機溶剤が下流に流れるのに逆流して上流へと通過する。残りのガスはライン10から吸収ユニット8を出て通常はオフガス燃焼路を経由して排気できるが、得られた無水マレイン酸溶液はライン11から回収され、溶剤回収ユニット12へと送られる。回収ユニット12で、常圧または減圧下で好都合には蒸留によって溶剤が無水マレイン酸から分離される。回収された溶剤はライン9から再循環されるが、分離された無水マレイン酸はさらに精製するために、例えばバッチ式で蒸留するために、ライン13から精製ユニット14へと送られる。得られた生成無水マレイン酸の一部はライン15から回収されるが、残りはライン16によってブタン−1,4−ジオールプラント17へと送られる。
【0047】
参照番号18および19はそれぞれ低分子量不純物と高分子量不純物の回収のためのラインを表す。
【0048】
ブタン−1,4−ジオールプラント17で、無水マレイン酸はメタノールなどのアルキルアルコールと反応してマレイン酸モノメチルなどのマレイン酸モノアルキルを形成し、これをその後さらに欧州特許公報0454719Aに記載のタイプの逆流反応器カラム内で反応させて実質的に完全にマレイン酸ジメチルに変換する。
【0049】
関係する反応は、
【0050】
【化2】
【0051】
および、
【0052】
【化3】
【0053】
である。モノエステル化反応(1)は自己触媒反応であるが、反応(2)はスルホン酸基を含むイオン交換樹脂などの酸性エステル化触媒の存在下で行うことが好ましい。さらに詳細について読者の関心は欧州特許公報0454719Aである。マレイン酸ジアルキルの生成を述べたその他の明細書は欧州特許明細書0255399Aおよび0255401Aである。得られたマレイン酸ジメチルはその後、亜クロム酸銅または欧州特許公報0656336Aに開示されたタイプのマンガン励起型触媒などの励起型銅触媒を使用して蒸気相で水素化され、ブタン−1,4−ジオール、および同時生成物としてγ−ブチロラクトンおよびテトラヒドロフランを生じる。
【0054】
加えて、水素化生成混合物は、普通は、相当するジアルキルコハク酸、n−ブタノール、水、環状アセタールすなわち次の構造式の2−(4’−ヒドロキシブトキシ)−テトラヒドロフランを少量含むであろう。
【0055】
【化4】
【0056】
これらすべての生成物および副産物を形成するメカニズムは充分には解明されていない。しかしながら、それらの生成は以下の反応図式から構成され、
【0057】
【化5】
【0058】
ここでRはメチルである。水素化ステップの過程で放出されるメタノールは、ブタン−1,4−ジオール、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、水およびn−ブタノールを含めた副産物を含む他の凝縮可能成分から分離および凝縮される。水素化反応の凝縮可能成分を分離する方法に関するさらなる情報は、例えば国際特許公告WO 91/01981およびWO 97/36846に参考資料が作成されている。回収したメタノールはさらにマレイン酸ジメチルを生成するために再循環することができる。代表的な水素化条件は約100:1から約400:1、例えば約320:1のH2:マレイン酸ジメチルのモル比であり、約150℃から約240℃の温度、および約5bar(5×105Pa)から約100bar(107Pa)の圧力であり、所望のブタン−1,4−ジオール:γ−ブチロラクトン生成比に依存する。
【0059】
参照番号20はブタン−1,4−ジオールプラント17にメタノールを供給するための供給ラインを示すが、ライン21はマレイン酸ジメチルの水素化に必要な水素を供給するための水素供給ラインである。パージガス流はライン22に取り込まれるが水および、n−ブタノールと高分子量副産物を含めたその他の副産物はライン23の手段によって回収される。参照番号24、25、および26はそれぞれブタン−1,4−ジオール、γ−ブチロラクトン、およびテトラヒドロフランの回収のためのラインを表す。
【0060】
図2は本発明の教示によって構築されるプラントを示す。図2では図1のプラントで同様の部品を表すために示したものと同様の参照番号を使用している。
【0061】
図2のプラントでは、無水マレイン酸を生成するための方法は本質的に図1のそれと同じである。ただし、ライン16でブタン−1,4−ジオールプラント17に実質的に純粋の無水マレイン酸を供給する代わりに、これは粗製の無水マレイン酸凝縮物をライン27によって凝縮ユニット5から供給される。加えて、必要なとき、部分的に精製されたまたは純粋の無水マレイン酸もまた溶剤回収ユニット12からライン28で供給可能である。したがって、ブタン−1,4−ジオール、γ−ブチロラクトン、および/またはテトラヒドロフランの必要量がライン27の無水マレイン酸の流速で決定される出量以上に高まると、溶剤回収ユニット12からの無水マレイン酸の一部がブタン−1,4−ジオールプラント17に転用されて不足量を補完することが可能となる。
【0062】
フタル酸ジブチルなどの有機溶剤を使用する代わりに、吸収ユニット8で水やマレイン酸水溶液などの水性吸収剤を使用することができる。このケースではライン11中の流れはマレイン酸水溶液となるであろうが、回収ユニット12は脱水ユニットとなり、そこではマレイン酸水溶液はマレイン酸を再生するためにキシレンの存在下で加熱または蒸留することによって脱水処理にかけられ、マレイン酸の脱水により放出される水分ならびに溶剤の水分はオーバヘッド産物として回収され、ライン9から吸収ユニット8に戻って再循環される。
【0063】
本発明によると、部分酸化ユニット4からの高温の部分酸化生成物流中に存在する無水マレイン酸の部分凝縮を、無水マレイン酸またはマレイン酸モノアルキル(例えばマレイン酸モノメチル)、マレイン酸ジアルキル(例えばマレイン酸ジメチル)などのその他のC 4+ 水素化可能物質、またはそれらの2種以上の混合物の冷却された流れの存在下で実施する。この流れの少なくとも一部は、その後、ブタン−1,4−ジオールプラント17へと送ることが可能である。残りは冷却して再び凝縮のために使用することができる。あるいは、流れ全体をブタン−1,4−ジオールプラント17に送ってそこに存在する無水マレイン酸をマレイン酸ジメチルに変換し、その後、その一部をさらなる無水マレイン酸の凝縮のために再循環することが可能である。そのような手順の利点は、凝縮ステージでの表面汚染が低減可能となることである。
【0064】
さらに、吸収ユニット8からの溶液の一部をライン29を経由してブタン−1,4−ジオールプラントに供給することが可能である。ライン27またはライン29の流れの粗製のマレイン酸または無水マレイン酸に存在する不純物はすべてブタン−1,4−ジオールプラント17で使用される処理ステップの過程で分離される。回収された溶剤はライン30でライン9に戻される。
【0065】
図2のプラントのライン27に存在する凝縮済みの粗製無水マレイン酸の流れは、図1のプラントのライン16にある純粋無水マレイン酸原料には普通存在しない不純物を含んでいる。そのような不純物には(酢酸およびアクリル酸などの)低沸点不純物、高分子量不純物、および(マレイン酸およびフマル酸を含めた)無水マレイン酸誘導体が含まれる。粗製の無水マレイン酸が水素化の前にエステル化されると、酸性の低沸点不純物もまた無水マレイン酸と同じくエステル化される。結果として得られる酢酸メチルないし酢酸エチル、およびアクリル酸メチルないしアクリル酸エチルなどの低沸点エステルは、例えば欧州特許公報0454719Aに述べられた処理を使用すると、得られたマレイン酸ジアルキル(例えばマレイン酸ジメチルまたはマレイン酸ジエチル)からエステル化の水と共にオーバーヘッドとしてストリッピングできる。無水マレイン酸誘導体のエステル化は対応するマレイン酸ジアルキルを対応する追加量で生成する。高沸点不純物はマレイン酸ジアルキルと共にエステル化反応器を通過し、蒸気相の水素化を使用するときには、水素化霧化器へと供給される。この水素化霧化器はマレイン酸ジアルキルを部分的にのみ霧化し、霧化されていない材料を霧化器に戻して再循環するように操作することが可能であり、それによって霧化されない材料中で高沸点の不純物を濃縮し、高沸点不純物をパージ流中で除外することが可能になる。
【0066】
C4+水素化原料が粗製の無水マレイン酸流である場合では、低分子量不純物もまた水素化ステップで水素化され、エタノールおよびプロパノールも含めた低分子量水素化生成物となり、これはオーバヘッド産物として蒸留によって水素化生成物から除去可能である。高分子量不純物および高分子量不純物の水素化生成物は従来の蒸留技術によってボトムプロダクトとして粗製水素化生成物から分離することができる。マレイン酸およびフマル酸などの無水マレイン酸誘導体は水素化されて相応の追加量のブタン−1,4−ジオール、γ−ブチロラクトン、およびテトラヒドロフランを形成する。
【0067】
本発明の新しい方法は、ライン4でおよそ半分(通常は約40%から約60%)の無水マレイン酸しか回収する必要がないのでプラントの資本コストを有意に低減できるという重要な利点を有する。したがってそれに続く溶剤回収ユニット12および精製区域14がサイズにおいて相応に小さくでき、低減された運転コストで運転することができる。
【0068】
本発明の方法はまた、フマル酸として損失になる無水マレイン酸がより少なくなるので、無水マレイン酸の利用効率がより高くなる結果をもたらす。その代わりにそのようなフマル酸はライン27の粗製凝縮物中に主に含まれ、ブタン−1,4−ジオールプラント17内でブタン−1,4−ジオール、γ−ブチロラクトン、および/またはテトラヒドロフランに変換される。
【0069】
バナジウム−リン−酸化物を主成分とする触媒は、反応温度において経時的にリンを失い易いという点で不安定であり、このリンの消失は固定床反応器でホットスポットが展開する場合、加速する傾向を有する。したがって、触媒活性の安定化を供給する点から、揮発性の有機リン化合物を部分酸化触媒に添加することがしばしば好都合となることがある。時間の経過と共に揮発性のリン化合物は触媒から脱離し、部分酸化ユニットから出る蒸気状の反応流出流中に現れる。リンは図2のプラントのブタン−1,4−ジオールプラント17で使用される水素化触媒にとって潜在的に触媒毒または阻害剤であるので、このケースではブタン−1,4−ジオールユニット17の水素化触媒に有害な影響を有する微量のリン含有物質をすべて吸収するためにライン4にリン吸収材の保護床を含ませることが好ましい。好都合には、そのような保護床は消耗したバナジウム含有部分酸化触媒の床でもよい。リン吸収を最大化するためにそのような保護床の温度はできる限り低くすべきであるが、ライン4の流れにある無水マレイン酸の凝結点よりも高くなければならない。
【0070】
凝縮ユニット5の凝縮表面はマレイン酸およびフマル酸の堆積で汚染される可能性がある。これらはメタノールで洗浄することが好ましい。フマル酸、マレイン酸、および無水マレイン酸を含み、さらにエステル化により形成されるマレイン酸モノメチルおよびマレイン酸ジメチルをも含む、得られたメタノール溶液は原料の一部としてブタン−1,4−ジオールユニット17に供給することができる。水および/または水酸化ナトリウム溶液を使用する潜在的に危険な従来の水系洗浄工程と比較すると、このことはマレイン酸とフマル酸、またはマレイン酸ナトリウムとフマル酸ナトリウムの水溶液の生成を回避するという利点を有する。
【0071】
本発明の方法の代替形態では、C4+水素化原料はマレイン酸ジメチルなどのマレイン酸ジアルキルに代わって無水マレイン酸またはマレイン酸である。このケースではブタン−1,4−ジオールプラント17は水素化触媒、例えば前述した米国特許明細書第3,948,805号、4,001,282号、4,048,196号、4,083,809号、4,096,156号、4,550,185号、4,609,636号、4,659,686号、4,777,303号、4,985,572号、5,149,680号、5,473,086号、5,478,952号、および5,698,749号で代表される従来技術に開示された触媒を入れた水素化ユニットを含む。そのような触媒はそれら従来技術の明細書に開示された通りの適切な反応条件下で使用されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 無水マレイン酸とC4生成物、ブタン−1,4−ジオール、γ−ブチロラクトン、およびテトラヒドロフランを同時生成するための従来法で設計されたプラントの流れ図である。
【図2】 本発明の教示に従って構築された、同じ目的のためのプラントの同様の流れ図である。
Claims (17)
- 無水マレイン酸と、ブタン−1,4−ジオール、γ−ブチロラクトン、およびテトラヒドロフランから選択される少なくとも1つとを同時生成する方法であって、
(i)ガス状酸素源と、C4炭化水素とベンゼンのうちから選択される炭化水素原料とを、無水マレイン酸を生成するために炭化水素原料の部分酸化が実施可能な部分酸化触媒装填物を含み、かつ触媒の部分酸化条件下に維持される触媒部分酸化ゾーンに供給するステップと、
(ii)無水マレイン酸、水、未変換炭化水素原料、および炭素酸化物を含む蒸気状の反応流出流を部分酸化ゾーンから回収するステップと、
(iii)蒸気状の反応流出流中に存在する無水マレイン酸の一部を凝縮ゾーンで凝縮して、粗製の無水マレイン酸流を形成するステップと、
(iv)無水マレイン酸の残量を含む残りの蒸気流を凝縮ステップ(iii)から回収するステップと、
(v)有機溶剤、水、および水溶液から選択される液体吸収媒体中での吸収によってステップ(iv)の残りの蒸気流からさらなる無水マレイン酸を吸収するステップと、
(vi)負荷された液体吸収媒体を吸収ステップ(v)から回収するステップと、
(vii)負荷された液体吸収媒体から無水マレイン酸を回収するステップとを含むステップ系によって無水マレイン酸が生成され、
ブタン−1,4−ジオール、γ−ブチロラクトン、およびテトラヒドロフランから選択される前記少なくとも1つのC4化合物が、
(viii)無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、およびそれらの2種以上の混合物から選択されるC4+水素化原料を供給するステップと、
(ix)前記C4+水素化原料と水素を、前記少なくとも1つのC4生成物を生成するためにC4+水素化原料の触媒による水素化を実施する水素化触媒装填物を含みかつ触媒水素化条件下に維持される水素化ゾーンに供給するステップと、
(x)前記少なくとも1つのC4生成物を含む水素化生成物流を水素化ゾーンから回収するステップとを含むステップ系によって生成される、同時生成の方法において、
ステップ(iii)における無水マレイン酸の濃縮が、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、およびそれらの2以上の混合物を含む液体濃縮媒体の存在下で得られ、および、ステップ(iii)の粗製無水マレイン酸流の粗製無水マレイン酸濃縮物が、ステップ(viii)のC4+水素化原料として使用されるかまたはステップ(viii)のC4+水素化原料を調製するために使用されることを特徴とする方法。 - ステップ(iii)の粗製無水マレイン酸流のすべてがステップ(viii)のC4+水素化原料として使用されるかまたはステップ(viii)のC4+水素化原料を調製するために使用されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- ステップ(vii)で回収される無水マレイン酸のうちの少なくとも一部がステップ(viii)で使用するためのさらなるC4+水素化原料を調製するのに使用されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
- ステップ(v)で使用される液体吸収媒体が、負荷吸収される液体がマレイン酸を含むように水および水溶液のうちから選択されること、および負荷された媒体中に存在するマレイン酸のうちの少なくとも一部がステップ(viii)で使用するためのさらなるC4+水素化原料を調製するために使用されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
- 前記得られたマレイン酸のうちの少なくとも一部がステップ(viii)で使用する前に最初に余剰の水分を除去することによって濃縮されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
- 負荷された媒体中に存在するマレイン酸が、ステップ(viii)のC4+水素化原料として使用するかまたはC4+水素化原料の調製に使用するためにステップ(iii)の粗製無水マレイン酸と混合されることを特徴とする、請求項4または5に記載の方法。
- ステップ(v)が有機溶剤中で流出流から蒸気状の無水マレイン酸を吸収することを含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
- 有機溶剤がフタル酸ジアルキルまたはヘキサヒドロフタル酸ジアルキルであることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
- 前記有機溶剤が、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、ヘキサヒドロフタル酸ジメチルまたはヘキサヒドロフタル酸ジブチルであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
- ステップ(iii)で、前記液体凝縮媒体は、粗製の無水マレイン酸と前記液体凝縮媒体との混合物を形成するように蒸気状の反応流出流中にスプレー噴霧され、この混合物がステップ(viii)のC4+水素化原料として使用されるかまたはC4+水素化原料を調製するために使用されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
- C4+水素化原料がマレイン酸ジアルキルであり、それが、無水マレイン酸をアルキルアルコールと反応させてマレイン酸モノアルキルを形成し、次いで、それをさらなるアルキルアルコールでエステル化して、マレイン酸ジエステルを形成することによって調製されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
- アルキルアルコールがメタノールであり、マレイン酸ジアルキルがマレイン酸ジメチルであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
- ステップ(ix)の水素化触媒が亜クロム酸銅および励起型銅触媒のうちから選択されることを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
- C4+水素化原料が無水マレイン酸であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
- ガス状酸素源が空気または酸素とステップ(v)おける残留蒸気状ガスである再循環オフガスとの混合物であることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
- 炭化水素原料がブタン原料であることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
- 部分酸化触媒がバナジウム−リン−酸化物を含むことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
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