JP3873464B2 - 無水マレイン酸の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無水マレイン酸の製造方法に関し、更に詳しくは、気相で炭化水素を接触酸化することにより生成した無水マレイン酸を含む反応ガスを、有機溶媒と接触させて、ガス中の無水マレイン酸を有機溶媒で捕集することよりなる無水マレイン酸の製造方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化水素を気相で接触酸化して無水マレイン酸を製造することは周知である。この方法において、従来はベンゼンと空気を原料として五酸化バナジウム系触媒の存在下に酸化反応が行われていたが、最近ではブタン、ブテン、ブタジエンなど炭素数4の直鎖状炭化水素を原料として用いる方法が開発されている。その中でも飽和炭化水素であるn−ブタンを原料としてバナジウム−リン系複合酸化物を活性成分とする触媒の存在下に酸化反応を行わせる方法が主流をなしている。
【0003】
生成する反応ガス中の無水マレイン酸は、反応ガスを冷却して無水マレイン酸を凝縮させる方法や、反応ガスを水と接触させて無水マレイン酸をマイレン酸として水中に捕集する方法などにより回収されるが、これらはいずれも固有の問題点を有している。
【0004】
現在、最も好ましいと考えられている無水マレイン酸の回収方法は、反応ガスを有機溶媒と接触させて無水マレインを有機溶媒中に捕集する方法である。例えば、米国特許第4,118,403号には、アルキル基の炭素数が2〜8のジアルキルフタレートと反応ガスとを吸収塔で接触させて無水マレイン酸を捕集することが開示されている。無水マレイン酸を吸収したジアルキルフタレートからは、ストリッピング又は蒸留により無水マレイン酸を回収し、ジアルキルフタレートは冷却後再び吸収塔に循環される。また、特開昭55−127383号には、ジアルキルフタレートの代りに、テトラヒドロフタル酸やヘキサヒドロフタル酸などのフタル酸水添物のジアルキルエステルを用いることが開示されている。
【0005】
有機溶媒を循環して無水マレイン酸を回収する方法の問題点の一つは、反応の副生物であるアクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびその他の高沸点成分が有機溶媒中に捕集され、これらの成分が装置内に蓄積して装置を閉塞したり、汚染したりすることである。有機溶媒としてフタル酸エステルなどを用いた場合には、溶媒の分解により生成したフタル酸などが同様の問題をおこす。これら蓄積した成分により、更に溶媒の分解が加速され、結果として無水マレイン酸生産量当たりの溶媒の消費量が増大し、無水マレイン酸の製造コストが増大するという問題も起こる。これらの問題を解決する方法として、濾過、蒸留する方法(米国特許第4,118,403号)や、循環する有機溶媒を水で洗浄する方法(欧州特許第0459543号)、などが提案されている。しかしこれらの方法によっても、有機溶媒中への不純物の蓄積に起因する問題を満足すべき程度にまで解決するのは困難である。
【0006】
また、バナジウム−リン系の複合酸化物を活性成分とする触媒を使用する場合、反応活性を維持するためにリン化合物を反応器内にフィードすることが効果的であることが知られている(特開昭59−205373号、特開昭60−143832号等)。これは、触媒の構成元素であるリンが反応中に揮散するため、それを補償するようにリン化合物を添加することにより触媒性能を一定に維持できるのであると考えられる。従って、反応ガス中には触媒から揮散したリン化合物が含まれており、反応ガスを有機溶媒と接触させると無水マレイン酸と一緒にリン化合物も有機溶媒中に捕集される。本発明者らの検討により、このリン化合物を含む有機溶媒は、これを含まないものに比して分解し易いこと、そしてこのリン化合物は水洗だけでは除去し難いことが判明した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、反応ガスから有機溶媒を用いて無水マレイン酸を回収する際の、有機溶媒中に蓄積する不純物に起因する問題が解決された、効率的な無水マレイン酸の製造方法の提供を目的としてなされたものである。特に、有機溶媒中に特定の不純物が蓄積することによる装置内の閉塞の問題や溶媒の分解が加速され溶媒の消費量が増大するという問題を解決する方法の提供を目的としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題を解決するために鋭意検討した結果、リン化合物等の不純物を含む有機溶媒を、アルカリ水溶液で洗浄すれば不純物が容易に除去でき、従って有機溶媒の分解を抑制することが可能となり、効率的に無水マレイン酸が製造できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち本発明は、(1)(i)炭化水素と酸素を気相で触媒の存在下に反応させて無水マレイン酸を含む反応ガスを生成させ、(ii)これを有機溶媒と接触させて無水マレイン酸を有機溶媒中に捕集し、(iii)この有機溶媒から無水マレイン酸の少くとも一部を分離し、(iv)無水マレイン酸を分離した後の有機溶媒の少くとも一部をアルカリ水溶液で洗浄したのち、(v)この有機溶媒を反応ガスとの接触に再使用することを特徴とする無水マレイン酸の製造方法である。
【0010】
この発明の好ましい態様によれば、(2)炭化水素と酸素との反応を、リン−バナジウム系複合酸化物触媒の存在下に行わせる上記方法、(3)炭化水素が炭素数4の鎖状炭化水素である上記方法、(4)アルカリ水溶液のアルカリ濃度が0.005規定以上である上記方法、(5)アルカリ水溶液が水酸化ナトリウム水溶液又はアンモニア水溶液である上記方法、(6)洗浄を30〜90℃で行うことを特徴とする上記方法、(7)有機溶媒がフタル酸又はその水添物のジアルキルエステルである上記方法、(8)無水マレイン酸を分離した後の有機溶媒の少なくとも一部をアルカリ水溶液で洗浄したのち、洗浄後の有機溶媒を更に1段階もしくは2段以上の多段階に水あるいは洗浄廃水で洗浄したのち反応ガスとの接触に再使用する上記方法が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の方法では、炭化水素と酸素を気相で触媒の存在下に反応させて無水マレイン酸を含む反応ガスを生成させ、これを有機溶媒と接触させて無水マレイン酸を有機溶媒中に捕集し、この有機溶媒から無水マレイン酸が回収される。
【0012】
ここで使用される触媒は、バナジウム及びリンを主要構成元素とする複合酸化物(バナジウム−リン系複合酸化物)を活性成分とするものであり、中でもピロリン酸ジバナジル((VO)227)を活性成分とするものが優れた性能を発揮することが知られており、特に好ましい。これらの触媒は、それ自体既知の通常用いられるものであり、その製造方法等は、例えば、Chem.Rev.88,ぺージ55〜80(1988)、特開昭59−95933号、米国特許第4472527号、米国特許第4520127号等に開示されている。
【0013】
原料の炭化水素としては、通常、ブタン(n−ブタン)、ブテン類(1−ブテン、2−ブテン)、ブタジエン(1,3−ブタジエン)等の炭素数4の鎖状炭化水素が挙げられ、それらの中で、ブタンを用いるのが好ましい。
酸素ガスとしては、通常空気が使用されるが、不活性ガスで希釈された空気、酸素を加えて富化された空気等を使用することもできる。
【0014】
反応は、流動床反応器又は固定床反応器で行われ、原料の炭化水素と酸素含有ガス、通常は空気、とを原料の炭化水素濃度が1.5〜10%程度となるように反応器に供給し、300〜600℃で反応させる。かかる流動床又は固定床反応器による反応方式は、それ自体既知の通常用いられるものであり、例えば、特公昭49−29168号、特表平1−503211号、特開平2−19370号、特開平8−245610号、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, Fourth Edition, Volume 15, P.905-914 John Wiley & Sons, Inc.等に詳細に記載されている。
【0015】
反応器から流出する反応ガス中には目的生成物の無水マレイン酸の他に、未反応の酸素及び原料炭化水素、並びに副生する一酸化炭素、二酸化炭素、水その他の反応生成物が含まれている。
かくして生成する反応ガスと有機溶媒とを接触させて無水マレイン酸を有機溶媒中に捕集し、この有機溶媒から無水マレイン酸が回収される。
【0016】
反応ガスからの無水マレイン酸の捕集に用いる有機溶媒としては、無水マレイン酸を溶解することができ、高沸点であり、且つアルカリ水溶液に溶解しないものであれば特に制限はない。かかる有機溶媒として、通常はフタル酸又はその水添物のジアルキルエステル、例えばフタル酸、ジヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸などの、ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジイソプロピルエステル、ジブチルエステル、ジイソブチルエステルなど、炭素数1〜4のジアルキルエステルが用いられる。これらのなかではジブチルフタレートが好ましい。また、ジメチルベンゾフェノン、ジクロロジフェニルオキサイドなども用いられる。
【0017】
有機溶媒で無水マレイン酸を捕集し、この有機溶媒から無水マレイン酸を回収する方法は、それ自体既知の通常用いられる方法で行われ、特に制限されないが、その1例として模式的に図1に基づいて説明する。
バナジウム−リン系複合酸化物を活性成分とする触媒を内部に保有する反応器(3)へ原料の炭化水素(1)と酸素含有ガス(2)が導入される。反応で生成したガス(4)は無水マレイン酸を吸収させる吸収塔(5)に導かれる。吸収塔には有機溶媒(6)を導入し、無水マレイン酸を吸収した有機溶媒(7)は有機溶媒と無水マレイン酸を分離する分離塔(8)に導かれる。分離塔では有機溶媒と無水マレイン酸をそれぞれの沸点の差を利用して分離する。分離塔からは製品である粗無水マレイン酸(9)と大部分の無水マレイン酸を分離除去した残りの有機溶媒(10)が抜き出される。大部分の無水マレイン酸を除去した残りの有機溶媒は、吸収塔(5)に戻り循環使用される。
【0018】
本発明の方法では、無水マレイン酸を分離した後の有機溶媒の少くとも一部をアルカリ水溶液で洗浄したのち、この有機溶媒を反応ガスとの接触に再使用する。
有機溶媒の洗浄に用いるアルカリ水溶液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、アンモニア等のそれ自体既知の種々のアルカリの水溶液を用いることができるが、それらの中でも水酸化ナトリウム水溶液又はアンモニア水溶液を用いるのが好ましい。アルカリ水溶液の濃度は通常0.005規定以上、好ましくは0.01規定以上である。濃度が低過ぎると洗浄効率が低下する恐れがある。また濃度が高過ぎると副反応を生起する恐れがあるので、5規定以下、特に3規定以下が好ましい。即ち、アルカリ水溶液の濃度は、好ましくは0.005〜5規定の範囲内、より好ましくは0.01〜3規定の範囲内が適当である。
【0019】
アルカリ水溶液による有機溶媒の洗浄は、撹拌槽やラインミキサーなどそれ自体既知の種々の装置を用いて行うことができる。両者の分離は静置槽で行うこともできるが、遠心分離機やコアレッサ等を用いるのが好ましい。有機溶媒とアルカリ水溶液との比率は、用いる装置によっても異なるが、通常はアルカリ水溶液1重量部に対して有機溶媒1〜10重量部、好ましくは2〜6重量部である。洗浄は30〜90℃、特に40〜70℃で行うのが好ましい。
【0020】
通常アルカリ水溶液で洗浄した後の有機溶媒中には微量のアルカリ成分が残存しやすい。この微量のアルカリ成分を含有した有機溶媒は、循環再使用の際に吸収塔や分離塔で熱を受けることにより、アルカリ成分と有機溶媒中の酸や有機溶媒とが化学反応を起こすことにより、有機溶媒の分解の加速や無水マレイン酸中への不純物の混入等の好ましくない事態を招くことになる。そこでアルカリ水溶液で洗浄した後の有機溶媒中から微量のアルカリ成分を除去するための洗浄工程を加えることが好ましい。
【0021】
アルカリ洗浄後に更に洗浄を行った後の有機溶媒中に残留するアルカリ成分の量(例えばアルカリ洗浄に水酸化ナトリウムを用いた場合にはNa、アンモニアを用いた場合にはNの量)としては重量基準で、通常10ppm以下、好ましくは5ppm以下、更に好ましくは1ppm以下にまで低減することが望ましい。アルカリ洗浄後の有機溶媒からアルカリ成分を除去するための洗浄工程は、アルカリ成分の除去効率に応じて1段階もしくは2段階以上の多段階で行うことができる。洗浄液としては水を用いるのが好ましいが、多段階に洗浄する場合には水の使用量を抑えるために、最終段の洗浄液にのみ水を用い、最終段の洗浄廃水を最終段より1段前の段階の洗浄水に用い、その洗浄廃水を更に1段前の段階の洗浄水に用いる、というような構成を取ることも可能である。
【0022】
アルカリ洗浄後の有機溶媒からアルカリ成分を除去するための洗浄工程も、アルカリ水溶液を用いた洗浄工程と同様に行うことが可能である。すなわち攪拌槽やラインミキサーなど常用の種々の装置を用いて混合し、静置槽、遠心分離器或いはコアレッサ等を用いて分離することができる。有機溶媒と洗浄水(水もしくは廃水)の比率は、洗浄水1重量部に対して有機溶媒1〜10重量部、好ましくは2〜6重量部である。洗浄温度は30〜90℃、特に40〜70℃で行うのが好ましい。
【0023】
本発明の方法においては、上記の通り、炭化水素の接触酸化による無水マレイン酸の生成、反応ガス中の無水マレイン酸の有機溶媒による捕集、及び有機溶媒からの無水マレイン酸の分離は常法に従って行うことができる。アルカリ水溶液による有機溶媒の洗浄は、循環される有機溶媒の全量について行うこともできるが、通常はその一部について行うのが好ましい。何故ならば、循環される有機溶媒中には通常は無水マレイン酸が残存しているので、これをアルカリ水溶液で洗浄すると残存している無水マレイン酸が損失するからである。従って、蒸留により含まれている無水マレイン酸を留去したのち、循環される有機溶媒の一部を分取し、アルカリ水溶液による洗浄に供するのが好ましい。
【0024】
本発明の実施形態の1例を模式的に図2に示す。全体の構成は図1とほぼ同等であるが、分離塔(8)で大部分の無水マレイン酸を除去した残りの溶媒(10)が抜き出され、その一部もしくは全量を溶媒洗浄装置(11)に導入し、ここでアルカリ水溶液(12)と接触させることで溶媒中の不純物(13)が排出され、不純物を洗浄により除去した溶媒(14)は吸収塔(5)に戻り、循環再使用される。
【0025】
また、アルカリ水溶液による洗浄後の溶媒を洗浄廃水を有効に利用しながら多段階に洗浄する場合、その1例の模式図を図3に示す。洗浄に供する有機溶媒(15)、アルカリ水溶液(16)および第2洗浄後の洗浄廃水(17)を第1混合槽(18)に導入し、ここで有機溶媒とアルカリ水溶液を十分に混合する。混合した液(19)は第1油水分離装置(20)に導入される。第1油水分離装置内で有機溶媒層と水層に分離し、有機溶媒(21)は第2混合槽(24)へ導入される一方、廃水(22)が排出される。第2混合槽には水(23)を導入し、有機溶媒(21)中に微量に残留するアルカリ成分の除去のための混合を行い、混合液(25)は第2油水分離槽(26)に導かれる。第2油水分離槽で再び有機溶媒層と水層に分離し、有機溶媒(27)は吸収塔に戻り循環再使用される一方、廃水(28)は第1混合槽(18)に戻り使用される。なお、これらは、本発明の実施形態を説明するための一例であり、決してこれらの例に限定されるものではない。
【0026】
【実施例】
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0027】
実施例1〜12及び比較例1〜5
ジブチルフタレートにオルトリン酸をリンとして50ppmとなるように添加し、窒素雰囲気下、220℃で23時間加熱した。分析の結果、トリブチルフォスフェート、ジブチルフォスフェート及びモノブチルフォスフェートが、リン換算でそれぞれ13ppm、14ppm、20ppm生成していた。また溶媒の分解物である無水フタル酸が0.15%生成していた。この溶液に無水マレイン酸、フマル酸及び無水フタル酸をそれぞれ189ppm、302ppm、1.02%となるように添加した。
この溶媒200gと表1に示す組成の洗浄液50gとを混合して表1に示す条件で撹拌したのち、30分間静置して油水分離した。その結果を表2に示す。
【0028】
【表1】
Figure 0003873464
【0029】
【表2】
Figure 0003873464
【0030】
(1)水溶性リンの除去率;
(洗浄前のリン濃度−洗浄後のリン濃度)/(洗浄前のリン濃度−洗浄前のトリブチルフォスフェート濃度)×100
(2)無水フタル酸除去率;
{洗浄前無水フタル酸濃度−(洗浄後無水フタル酸濃度+洗浄後フタル酸濃度)}/洗浄前無水フタル酸濃度×100
(3)無水マレイン酸除去率;
{洗浄前無水マレイン酸濃度−(洗浄後無水マレイン酸濃度+洗浄後マレイン酸濃度)}/洗浄前無水マレイン酸濃度×100
(4)フマル酸除去率;
(洗浄前フマル酸濃度−洗浄後フマル酸濃度)/洗浄前フマル酸濃度×100
【0031】
実施例13
実施例1と同一条件で調製した溶媒200gと0.59規定のアンモニア水溶液50gとを混合後、40℃で30分間攪拌した後10分間静置してから溶媒を抜き出した。この溶媒は油水分離が不十分であったため、溶媒中にN(窒素)が30ppm含まれていた。この溶媒に更に水50gを加えて混合後、40℃で30分間攪拌した後30分間静置してから溶媒を抜き出した。この溶媒中のNの含有量は0.6ppmであった。
【0032】
実施例14
ジブチルフタレートを溶媒とし図2に示す構成のテスト装置で実際に無水マレイン酸を回収する実験を行い、アルカリ水溶液による有機溶媒の洗浄の効果を調べた。
特開昭59−95933号の実施例2に記載の方法に従い、バナジウム−リン系複合酸化物を活性成分とする流動床触媒を得た。この触媒1500kgを直径0.8mの流動床反応器に充填し、n−ブタンと空気を原料に温度430℃で反応させた。この時、n−ブタンの濃度は反応器へ供給したガス中の4.2体積%であった。
【0033】
反応ガスの一部を図2に示す構成の無水マレイン酸回収装置に導入し、ジブチルフタレートを溶媒として無水マレイン酸を捕集した。この際、吸収塔(5)に反応器から導入されるガス(4)は約100Nm3/hr、分離塔(8)および溶媒洗浄装置(11)から導入される有機溶媒(6)は90kg/hrであった。吸収塔の塔底から抜き出した溶媒(7)中の無水マレイン酸濃度は7.7重量%であった。これを分離塔(8)に送り、圧力3.5kPa、塔底温度215℃で蒸留分離し粗無水マレイン酸(9)約7.5kg/hrと溶媒(10)約90kg/hrを連続的に抜き出した。分離塔から抜き出した溶媒(10)のうち20kg/hrを溶媒洗浄系(11)の攪拌混合槽に送り、0.35規定のアンモニア水溶液5kg/hr(12)と連続的に混合し40℃、平均滞留時間30分間の条件で攪拌混合した。混合液は静置槽に送られ30分間静置することで有機溶媒層と水層に分離し、有機溶媒(14)だけを吸収塔に戻し循環使用し、水層は廃水(13)として処理した。装置内の全有機溶媒量が一定になるように、それぞれの塔、攪拌槽、および静置槽の液面を管理し、減少した場合には適宜補充した。
【0034】
3日間連続運転した後、分離塔(8)の塔底からの抜き出し溶媒中の不純物濃度は、以下の通りであった。
無水フタル酸 0.14重量%
フマル酸 400ppm
トータルリン 4ppm
また、3日間に補充した溶媒量は、吸収塔の塔頂から飛散したものを除くと平均して37g/hrであった。
【0035】
比較例6
実施例14と同様の装置で、有機溶媒の洗浄にアンモニア水溶液の替わりに水を使用した以外は同じ条件で、同様に3日間運転を継続した。3日後の分離塔(8)の塔底からの抜き出し溶媒中の不純物濃度は以下の通りであった。
無水フタル酸 1.37重量%
フマル酸 500ppm
トータルリン 28ppm
また、3日間に補充した溶媒量は、吸収塔の塔頂から飛散したものを除くと平均して225g/hrであった。
【0036】
実施例14と比較例6を比較すると、本発明によるアルカリ水溶液による有機溶媒の洗浄により、溶媒中に蓄積する不純物の濃度、特に無水フタル酸とリンの濃度を著しく低下することが明らかである。更に溶媒の分解による損失も大幅に抑えられていることが明らかである。
【0037】
【発明の効果】
炭化水素を気相で触媒の存在下に接触酸化して無水マレイン酸を含む反応ガスを生成させ、これを有機溶媒と接触させて無水マレイン酸を回収する方法において、本発明のアルカリ水溶液による有機溶媒の洗浄を行うことにより、有機溶媒中への不純物の蓄積が少なく、従って蓄積した不純物による装置の閉塞や有機溶媒の分解加速といった問題点も解決され、長期間低コストで安定したプラントの運転(効率的な無水マレイン酸の製造)が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機溶媒による無水マレイン酸回収プロセスを示す説明図である。
【図2】有機溶媒を、アルカリ水溶液で洗浄する無水マレイン酸回収プロセスを示す説明図である。
【図3】有機溶媒を、アルカリ水溶液で洗浄後、水で洗浄するプロセスを示す説明図である。
【符号の説明】
1 原料の炭化水素
2 酸素含有ガス
3 反応器
4 生成ガス
5 無水マレイン酸を吸収させる吸収塔
6 有機溶媒
7 無水マレイン酸を吸収した有機溶媒
8 有機溶媒と無水マレイン酸を分離する分離塔
9 粗マレイン酸
10 粗マレイン酸と無水マレイン酸を分離除去した残りの有機溶媒
11 溶媒洗浄装置
12 アルカリ水溶液
13 溶媒中の不純物
14 不純物を洗浄により除去した溶媒
15 洗浄に供する有機溶媒
16 アルカリ水溶液
17 第2洗浄後の洗浄廃水
18 第1混合槽
19 混合液
20 第1油水分離装置
21 有機溶媒
22 廃水
23 水
24 第2混合槽
25 混合液
26 第2油水分離槽
27 有機溶媒
28 廃水

Claims (6)

  1. (i)炭化水素と酸素を気相でリン−バナジウム系複合酸化物触媒の存在下に反応させて無水マレイン酸を含む反応ガスを生成させ、(ii)これを有機溶媒と接触させて無水マレイン酸を有機溶媒中に捕集し、(iii)この有機溶媒から無水マレイン酸の少くとも一部を分離し、(iv)無水マレイン酸を分離した後の有機溶媒の少くとも一部を濃度が0.01〜3規定であるアルカリ水溶液で洗浄したのち、(v)この有機溶媒を反応ガスとの接触に再使用することを特徴とする無水マレイン酸の製造方法。
  2. 炭化水素が炭素数4の鎖状炭化水素である請求項1に記載の方法。
  3. アルカリ水溶液が、水酸化ナトリウム水溶液又はアンモニア水溶液である請求項1又はのいずれかに記載の方法。
  4. 洗浄を、30〜90℃で行う請求項1乃至のいずれかに記載の方法。
  5. 有機溶媒が、フタル酸又はその水添物のジアルキルエステルである請求項1乃至のいずれかに記載の方法。
  6. 無水マレイン酸を分離した後の有機溶媒の少なくとも一部をアルカリ水溶液で洗浄したのち、洗浄後の有機溶媒を更に1段階もしくは2段以上の多段階に水あるいは洗浄廃水で洗浄したのち反応ガスとの接触に再使用する請求項1乃至のいずれかに記載の方法。
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