JP4930785B2 - 磁気隠蔽カードとその製造方法 - Google Patents

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本発明は磁気隠蔽カードとその製造方法に関する。詳しくは、カード基材の単層コア層に対して、表裏の層の厚みを非対称にした3層構成からなる磁気隠蔽カードであることを特徴とするとともに、表面側オーバーシート上に隠蔽印刷、絵柄、オーバープリントを順に直刷り印刷した後、コア層と表裏オーバーシートを一体にしてプレス加工して製造することを特徴とする磁気隠蔽カードとその製造方法に関する。
磁気隠蔽カードの層構成は、従来から各種の形態が提案されている。通常は、中心層となる2層または単層の白色コア層の両面に透明オーバーシートを積層した構成とし、カードの中心層に対して表裏対称になるように構成されている。一般的に表裏対称の構成がカードの反りを抑制して好ましいとされているからである。
また、磁気テープを隠蔽する隠蔽層や絵柄印刷は、表裏オーバーシートとコアシートを仮積みし熱圧プレス成形して一体にしてから、表側のオーバーシート面に直刷りするか、または転写印刷するのが従来の製造方法である。
図5は、従来の磁気カードの層構成を示す図である。磁気カード1jは、2層のコアシート21,22とその両面を被覆するオーバーシート23,24の4層が積層された構造になっている。2層のコアシート21,22とオーバーシート23,24は、それぞれ同じ厚みのものが採用される。この磁気カード1jの製造工程は、コアシート22に印刷6を施した後、コアシート21,22およびオーバーシート23,24を、金属板間に挟み高温で熱圧プレスして融着する工程を行う。コアシートにはカード裏面印刷6や図示しない位置合わせ用マーク(トンボ)等の印刷がされ、表裏オーバーシート23,24の双方または一方には、あらかじめ磁気テープ5tを転写して準備する。
このように2枚のコアシート21,22を使用する理由は、カード印刷では通常、両面印刷機を使用しないことと、同一基材に工程を分けて表面と裏面の印刷をするとロスが多くなること、等から表裏を別の基材にして印刷することが合理的であることによる。ただし、ロスの問題を解決すればよいので1枚のコアシートを使用することもできる。
熱圧プレス後に、表面オーバーシート23面に転写フィルム30を転写して絵付けがされる。転写フィルム30には、転写基材フィルム29に磁気隠蔽層25および/または印刷絵柄26、アンカー層27、剥離層28が施されている。アンカー層27はカード側に転写されて保護層の役割をする。このように転写フィルム30を載置して、低温条件で印刷層をプレスして転写する方法が採用されている。すなわち、カードの完成までには、一般に2回のプレス工程(仮貼り)が必要である。
本願は、このような従来構造の仕様にとらわれず、表裏層構成が非対称であるが磁気カードに求められる特性を満たし、かつ製造容易なカードの実現を図るものである。
本願に特に関連する先行技術は検出できないが、特許文献1には、単層コアシートの両面に接着性メジュウムインキを使用して、透明オーバーシートを積層した構成の磁気カードが記載されている。しかし、層構成は単層コアシートを中心層として表裏対称にされていて本願とは相違している。特許文献2は、絵柄層転写面に微細凹凸形状を設けることを記載しているが、カードの層構成は本願と相違し、微細凹凸の範囲も相違している。
特開2004−195819号公報 特開2004−167765号公報
従来の磁気隠蔽カードよりも層構成を単純化し、製造時の負荷を小さくすることを課題とする。すなわち、使用する材料を少なくし、製造の際のエネルギーを節減して、環境に配慮したカードの実現を図るものである。
上記課題を解決する本発明の要旨の第1は、単層の白色コア層を中心層基材とし、その白色コア層のカードの表面側となる面に前記白色コア層の厚みの70%から88%の厚みの透明オーバーシートを積層し、白色コア層の他方の面に前記白色コア層の厚みの12%から20%の厚みの透明オーバーシートを積層し、少なくとも表面側オーバーシートの外面に磁気記録層を転写した磁気カードにおいて、表面側オーバーシートと前記転写した磁気記録層の表面には、JISB0601(1994)の3.1で規定する算術平均粗さ;Raが、0.80μm〜1.50μmの範囲の微細凹凸形状が形成され、当該微細凹凸形状からなる面に、磁気記録層を隠蔽する隠蔽印刷と絵柄印刷を順に設け、さらに最表面の全体にシルクスクリーン印刷によるオーバープリントが設けられていることを特徴とする磁気隠蔽カード、にある。
上記課題を解決する本発明の要旨の第2は、単層の白色コア層を中心層基材とし、その両面に透明オーバーシートを積層した磁気隠蔽カードの製造方法において、(1)白色コア層の厚みの70%から88%の厚みの透明オーバーシートのカードの表面側となる面に磁気記録層を転写する工程、(2)白色コア層の厚みの12%から20%の厚みの透明オーバーシートのカードの裏面側となる面に必要により磁気記録層を転写する工程、(3)表面側オーバーシートの磁気記録層を含む全面に、JISB0601(1994)の3.1で規定する算術平均粗さ;Raが、0.80μm〜1.50μmの範囲の微細凹凸形状を付与する金属ロールによるマットロール加工を行う工程、(4)表面側オーバーシートの当該微細凹凸形状を付与した加工面に隠蔽印刷と絵柄印刷、およびシルクスクリーン印刷によるオーバープリント印刷を順に行う工程、(5)白色コア層を中心層として、その裏側に前記
(2)の工程で準備した裏面側オーバーシートを磁気記録層が外面になるように重ね、表側に前記(3)、(4)の工程で準備した表面側オーバーシートをオーバープリント印刷が最外面になるように重ねる工程、(6)表面側オーバーシートと白色コア層、裏面側オーバーシートの3層を仮貼りしてから、熱圧プレスして一体にする工程、を有することを特徴とする磁気隠蔽カードの製造方法、にある。
本発明による磁気隠蔽カードは、従来の磁気隠蔽カードよりも層構成が単純化されるため、製造時の負荷を小さくすることができる。すなわち、材料や製造の際のエネルギーを節減できるので、環境を配慮したカードになる。
従来、2層のコア層を使用する場合は、前記のように、まず、2層のコア層と表裏のオーバーシート間の仮貼り工程(熱プレス工程)を経てから、最終的な絵付けプレスを行うため、2工程の熱プレスが必要であったが、白色コア層を1層にしたため、熱プレス工程を1回に減らすことができる。すなわち、エネルギーの節減が図れる。
プレス前のオーバーシートの状態で、隠蔽印刷、絵柄印刷が可能のため既存の汎用印刷機で印刷できる。従来の転写絵付け方式に比較して転写フィルム基材を節減できる。
以下、本発明を図面を参照して説明することとする。
図1は、本発明の磁気隠蔽カードの断面図、図2は、磁気隠蔽カードの製造工程を説明する図、図3は、マットロール加工後の磁気記録層の表面粗さを測定したチャート、図4は、表面加工を鏡面の金属ロールで行った場合の同チャート、である。
本発明の磁気隠蔽カードは、図1のように、単層の白色コア層11を中心層とし、その白色コア層11のカードの表面側となる面に、白色コア層11の厚みの70%から88%(白色コア層11の厚みを420μmとした場合、300μm〜370μm)程度の厚みからなる透明オーバーシート12が積層されている。このように、比較的に厚みのある透明オーバーシート12を使用することで、従来の2枚のコアシートの1枚分して機能代替を図ろうとするものである。白色コア層11の他方側の片面には、当該白色コア層11の厚みの12%から20%(白色コア層11の厚みを420μmとした場合、50μm〜84μm)程度の厚みの透明オーバーシート13を積層している。図1では、磁気記録層5は表面側オーバーシート12のカード外面となる面にのみ転写されているが、裏面側オーバーシート13のカード外面となる面との双方に設けてもよいものである。
微細構造なので形状を図示してないが、表面側オーバーシート12の全面(隠蔽印刷7側面)と前記転写した磁気記録層5の表面には、JISB0601(1994)の3.1で規定する算術平均粗さ;Raが、0.80μm〜1.50μmの範囲の微細凹凸形状が形成されている特徴がある。そして、当該微細凹凸形状からなる面の全体に、磁気記録層5を隠蔽する隠蔽印刷7と絵柄印刷8が順に設けられ、さらに最表面の全体にシルクスクリーン印刷によるオーバープリント9が設けられている。このように微細凹凸形状を形成するのは微細凹凸形状を形成しないで隠蔽シルクスクリーン印刷を行うと、磁気記録層5のエッジ部分から顕著に目立つ印刷スジが発生するからであって、これを防止する目的である。
磁気記録層5は通常、磁気転写シートを転写する方式で形成される。オーバーシート12に帯状(通常、7〜8mm程度の幅が多い)の磁気転写シートを加熱しながら強圧してオーバーシート12とほぼ同一面になる程度に埋め込みする。その後、接着層と磁気記録層5のみをオーバーシート12側に残して転写基材フィルム(図5の符号29)を剥離除去するので、磁気記録層5の面は、転写基材フィルムの厚み(通常、25μm程度)だけ、オーバーシート12よりも低い面になる。シルクスクリーン隠蔽印刷を行う際、この印刷面の高さの違いや陥没域が印刷スジ発生の原因になっていると考えられる。隠蔽シルクスクリーン印刷は磁気記録層5と直交する方向に、スクイーズを走行させて印刷するので、磁気記録層5の段差部分からブレード走行方向に、20μm〜30μm程度の長さの微細な印刷スジとして発生する。
図2は、磁気隠蔽カードの製造工程を説明する図である。
まず、コアシート11に裏面絵柄印刷を行う。この絵柄印刷はカードの裏面、すなわちカードが完成した際に透明オーバーシート13側から視認可能となる印刷のことである。通常は、磁気隠蔽カード1の使用上の注意事項等が印刷されることが多い。また、この印刷と同時に、多面付け状態から個々のカードに化粧断ちする際や位置合わせする際の目安となる断裁マーク(トンボ)も同時に印刷することが多い。このマークは透明オーバーシート12側から見えるように印刷するが、化粧裁ちした後は製品状態のカードには残らないようにする。裏面側オーバーシート13にも必要により磁気記録層5の転写を行ってよい。
表面側透明オーバーシート12には、前記のようにまず磁気記録層5の転写を行う。
磁気記録層5を転写済みの透明オーバーシート12の隠蔽印刷7を設けた面側の全面に、マットロール加工を行う。具体的には、表面に微細凹凸形状が形成された金属ロール(プレスロール)を使用し、当該金属ロールと圧ロールの間を透明オーバーシート12を熱圧をかけながら通過させて、透明オーバーシート12の全面と磁気記録層5の面に、当該金属ロールの微細凹凸形状を転写することを行う。金属ロールは、表面が銅や鋼鉄からなり、その金属面をサンドブラスト等の加工により微細な凹凸形状を付与したものを使用する。金属ロールの最表面は、通常クロムめっきがされていて、耐久性を高めた状態にされている。
このように、透明オーバーシート12の印刷面に微細凹凸形状を付与するのは、前記のように磁気記録層5とオーバーシートとの境界部分に生じ易い印刷不良を防止する目的である。すなわち、当該境界部分には前記のように段差や陥没が生じているので、このような処理をしないで通常の印刷を行うと、磁気記録層5との境界部分に印刷スジが生じ易い問題があるからである。微細凹凸形状は、JISB0601(1994)の3.1で規定する算術平均粗さ;Raが、0.80μm〜1.50μmの範囲に形成するのが好ましい。これより、Raの値が小さいと十分な効果が得られず、大き過ぎると粗面の状態が印刷に表れて好ましくないからである。
この工程までの加工は、大サイズのシート状か、連続ウェブの状態で行われる。マットロール加工後、オーバーシート12をシートカット、化粧断裁して印刷やプレス加工を行い易い適宜な大きさ(通常、8〜30面付)にする。その後、シルクスクリーン印刷による隠蔽印刷、絵柄印刷、シルクオーバープリント(OP)印刷を順次行う。白色コアシート11とオーバーシート13もオーバーシート12と同サイズに断裁する。
その後、コアシート11の両面にオーバーシート12とオーバーシート13を仮貼りして重ね、金属板間に挟み、熱圧をかけてプレスする加工を行う。磁気記録層5は外面になるようにする。この金属板は印刷済み後であり、鏡面板であってよい。
その後、文字エンボス加工やサインパネルの貼着、磁気エンコード等を行うが、それらの工程は通常の磁気カードの製造方法と異なることはない。
図3は、マットロール加工後の磁気記録層の表面粗さを測定したチャート、図4は、表面加工を鏡面の金属ロールで行った場合の同チャート、である。なお、チャートは、株式会社東京精密製「サーフコム480」を用いて測定したものである。
通常の加工では、表面加工を鏡面の金属ロールで行うので、磁気記録層表面を粗さ計で走査すると、図4のようなチャートを示す。横軸に沿う矢印は磁気記録層5の存在域を示すが、その両端部で顕著に落ち込み部(陥没した線)を示している。これは、磁気記録層5とオーバーシート12の境界部分には、目視不可能な程度の微細の落ち込み部があることを示唆していて、これに起因して印刷スジが発生するものと考えられる。
本発明は、このような磁気記録層5の両端部で生じる印刷不良を解消するため、マットロール加工を試行的に行ったところ、問題を解決できたことを発見したものである。マットロール加工は、表面をサンドブラスト等によりマット化(艶消し加工)した金属ロールにより磁気記録層5面を熱圧加工するものである。直刷りしない裏面側のロールは通常の鏡面金属ロールを用いるものであって構わない。マットロール加工により磁気記録層両端部分の落差が、図3のように、全体が粗面化された状態の凹凸の中に埋没するとともに、磁気記録層5面もオーバーシート12面も一様に粗面化することで、両端部分の印刷不良を特に生じなくなると考えられる。ただし、詳しい理由は未解明である。
本発明に使用することができるオーバーシート基材は、150°C〜160°C程度以下の低温条件でマットロール加工が可能な基材が好ましく用いられる。一般的には、塩化ビニルシートやPET−Gシートが可能であり、アクリル系やポリアミド系のシートであってもよい。柔軟温度が適切な範囲のものが好ましい。ポリエチレンテレフタレート(PET)シートは高い熱条件が必要であり、マットロール加工に不向きと考えられる。ただし、オーバーシートとしての使用ではなく、接着シートを併用してコアシートとして使用することは可能である。
オーバーシート12に柔軟温度76°C、厚み350μmの透明塩化ビニルシートを使用し、150°C、20kg/cm2 、転写時間1秒の条件で熱圧をかけながら磁気転写フィルム30を転写して磁気記録層5を形成した。なお、厚み25μmの転写基材フィルム29は転写後、磁気記録層5から剥離して除去した。なお、上記柔軟温度は「JISK6734」(1975)の6.5柔軟温度試験」に従って、測定したものである。以下の各測定条件も同一である。
次いで、オーバーシート12を磁気記録層5面がマットロール面に面するようにして、表面をマット加工した金属ローラと圧ローラ間を、150°C、20kg/cm2 の条件で通してマットロール加工を行った。表面加工後の表面の断面形状の粗さを測定したところ、Ra(算術平均粗さ)=1.04μm、Rmax(最大高さ)=30.3μm、Rz(十点平均粗さ)=15.0μmとなった。この表面形状は、図3のようになった。
なお、図3のチャート、および粗さ測定値は、前記「サーフコム480」を用いた測定によるものである。以下の各測定条件も同一である。
オーバーシート12の磁気記録層5側に、隠蔽シルク印刷、オフセット絵柄印刷、オーバープリント印刷を順に印刷した。次に、柔軟温度80°C、厚み400μmの白色塩化ビニルシートをコアシート11とし、柔軟温度73°C、厚み50μmの透明塩化ビニールシートを裏面オーバーシート13とし、図1のように仮貼り積層した後、155°C、25kg/cm2、10分の条件でプレスし、JISX8301規格サイズに打ち抜き磁気隠蔽カード1を完成した。なお、カードの全体厚みは、800μmとなった。
柔軟温度78°C、厚み350μmの透明塩化ビニルシートをオーバーシート12に使用した以外は、実施例1と同一の条件で磁気隠蔽カード1を製造した。マットロール加工も同一の金属ローラを使用したので、表面加工後の断面形状の粗さは、Ra=0.80μm、Rmax=25.3μm、Rz=12.0μmとなった。
オーバーシート12の磁気記録層5側に、隠蔽シルク印刷、オフセット絵柄印刷、オーバープリント印刷を順に印刷した。次に、柔軟温度80°C、厚み400μmの白色塩化ビニルシートをコアシート11とし、柔軟温度73°C、厚み50μmの透明塩化ビニールシートを裏面オーバーシート13とし、図1のように仮貼り積層した後、155°C、25kg/cm2、10分の条件でプレスし、JISX8301規格サイズに打ち抜き磁気隠蔽カード1を完成した。なお、カードの全体厚みは、800μmとなった。
柔軟温度76°C、厚み300μmの透明塩化ビニルシートをオーバーシート12に使用し、柔軟温度80°C、厚み420μmの白色塩化ビニルシートをコアシート11とし、柔軟温度73°C、厚み80μmの透明塩化ビニールシートを裏面オーバーシート13とした以外は、実施例1と同一の条件で磁気隠蔽カード1を製造した。マットロール加工は実施例1よりも粗面の金属ローラを使用したので、表面加工後の断面形状の粗さは、Ra=1.52μm、Rmax=35.2μm、Rz=19.0μmとなった。
オーバーシート12の磁気記録層5側に、隠蔽シルク印刷、オフセット絵柄印刷、オーバープリント印刷を順に印刷した。次に、柔軟温度80°C、厚み400μmの白色塩化ビニルシートをコアシート11とし、柔軟温度73°C、厚み100μmの透明塩化ビニールシートを裏面オーバーシート13とし、図1のように仮貼り積層した後、155°C、25kg/cm2、10分の条件でプレスし、JISX8301規格サイズに打ち抜き磁気隠蔽カード1を完成した。なお、カードの全体厚みは、800μmとなった。
(比較例1)
柔軟温度73°C、厚み350μmの透明塩化ビニルシートをオーバーシート12に使用した以外は、実施例1と同一の条件で磁気隠蔽カード1を製造した。マットロール加工も実施例1と同一の金属ローラを使用した。表面加工後の断面形状の粗さは、Ra=1.14μm、Rmax=31.3μm、Rz=16.0μmとなった。
隠蔽シルク印刷、オフセット絵柄印刷、オーバープリント印刷、およびプレス加工も実施例1と同一にして行い、JISX8301規格サイズに打ち抜き磁気隠蔽カード1を完成した。なお、カードの全体厚みは、800μmとなった。
(比較例2) 柔軟温度76°C、厚み350μmの透明塩化ビニルシートをオーバーシート12に使用し、実施例1と同一の条件で磁気隠蔽カード1を製造した。ただし、ロールプレスは鏡面の金属ローラを使用した。表面加工後の断面形状の粗さは、Ra=0.20μm、Rmax=34.8μm、Rz=11.6μmとなった。この断面形状は、図4のようになり、磁気テープ部、基材部の表面形状は平滑であるが、磁気テープと基材の境界に急激な落ち込み部があるのが認められる。なお、カードの全体厚みは、800μmとなった。
上記の実施例と比較例により得られた磁気隠蔽カードについて、カードの反り量、磁気テープエッジ部の印刷品質を確認したところ、表1の判定結果となった。比較例2の印刷品質は、磁気テープエッジ部の急激な落ち込み部に起因する目視可能なスジが認められるため、判定は不良(×)された。反り量は、JISX6305(1995)の5.の試験方法に基づき測定したものであり、規格に基づき1.5mm以内を良品とした。
Figure 0004930785
比較例1の反り量が大きくなったのは、表面オーバーシート12の柔軟温度が低いことに起因すると考えられる。
本発明の磁気隠蔽カードの断面図である。 磁気隠蔽カードの製造工程を説明する図である。 マットロール加工後の磁気記録層の表面粗さを測定したチャートである。 表面加工を鏡面の金属ロールで行った場合の同チャートである。 従来の磁気カードの層構成を示す図である。
符号の説明
1 磁気隠蔽カード
5 磁気記録層
6 印刷
7 隠蔽印刷
8 絵柄印刷
9 オーバープリント
11 白色コア層
12 透明オーバーシート
13 透明オーバーシート


Claims (2)

  1. 単層の白色コア層を中心層基材とし、その白色コア層のカードの表面側となる面に前記白色コア層の厚みの70%から88%の厚みの透明オーバーシートを積層し、白色コア層の他方の面に前記白色コア層の厚みの12%から20%の厚みの透明オーバーシートを積層し、少なくとも表面側オーバーシートの外面に磁気記録層を転写した磁気カードにおいて、表面側オーバーシートと前記転写した磁気記録層の表面には、JISB0601(1994)の3.1で規定する算術平均粗さ;Raが、0.80μm〜1.50μmの範囲の微細凹凸形状が形成され、当該微細凹凸形状からなる面に、磁気記録層を隠蔽する隠蔽印刷と絵柄印刷を順に設け、さらに最表面の全体にシルクスクリーン印刷によるオーバープリントが設けられていることを特徴とする磁気隠蔽カード。
  2. 単層の白色コア層を中心層基材とし、その両面に透明オーバーシートを積層した磁気隠蔽カードの製造方法において、
    (1)白色コア層の厚みの70%から88%の厚みの透明オーバーシートのカードの表面側となる面に磁気記録層を転写する工程、
    (2)白色コア層の厚みの12%から20%の厚みの透明オーバーシートのカードの裏面側となる面に必要により磁気記録層を転写する工程、
    (3)表面側オーバーシートの磁気記録層を含む全面に、JISB0601(1994)の3.1で規定する算術平均粗さ;Raが、0.80μm〜1.50μmの範囲の微細凹凸形状を付与する金属ロールによるマットロール加工を行う工程、
    (4)表面側オーバーシートの当該微細凹凸形状を付与した加工面に隠蔽印刷と絵柄印刷、およびシルクスクリーン印刷によるオーバープリント印刷を順に行う工程、
    (5)白色コア層を中心層として、その裏側に前記(2)の工程で準備した裏面側オーバーシートを磁気記録層が外面になるように重ね、表側に前記(3)、(4)の工程で準備した表面側オーバーシートをオーバープリント印刷が最外面になるように重ねる工程、
    (6)表面側オーバーシートと白色コア層、裏面側オーバーシートの3層を仮貼りしてから、熱圧プレスして一体にする工程、
    を有することを特徴とする磁気隠蔽カードの製造方法。
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