JP2703370B2 - 磁気層隠蔽カード及びその製造方法 - Google Patents

磁気層隠蔽カード及びその製造方法

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JP2703370B2
JP2703370B2 JP1286485A JP28648589A JP2703370B2 JP 2703370 B2 JP2703370 B2 JP 2703370B2 JP 1286485 A JP1286485 A JP 1286485A JP 28648589 A JP28648589 A JP 28648589A JP 2703370 B2 JP2703370 B2 JP 2703370B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、磁気カードに関し、特に、磁気ストライプ
等の磁気層を表面側から視認できないようにした磁気層
隠蔽カード及びその製造方法に関する。
〔従来の技術〕
第10図に従来の磁気ストライプ等の磁気層を隠蔽した
磁気カードの1例の要部断面を示す。カード1は、酸化
チタンの粉末を混入した白色塩化ビニルからなる0.56mm
の厚さの基板2、その両側に接着された透明塩化ビニル
からなる0.1mmの厚さのオーバーシート3、3、オーバ
ーシート3に表面を露出して埋め込まれている磁気スト
ライプ4、オーバーシート3表面と磁気ストライプ4表
面全体を覆っている銀インキ層5(隠蔽層)、銀インキ
層5の上に印刷された印刷層6からなっている。銀イン
キ層5は、偏平方向の径が数μm〜20μmの偏平アルミ
ニウム粉を分散した樹脂層であり、1〜6μmの厚さを
有する。また、印刷層6も2〜4μmの厚さを有してい
る。このようにして磁気ストライプ4を隠蔽すると、磁
気ストライプ4が表面側から視認できず、また、磁気カ
ード1の全面が印刷可能になり、意匠性が付与できるの
で、カードとしての価値が上がり、望ましいことであ
る。ところで、銀インキ層5と印刷層6の合計した厚さ
は、磁気ストライプ4の隠蔽性を向上させて綺麗な印刷
をするためには厚いほど望ましいが、磁気ストライプ4
に情報を記録し、それを読み出すために、あまり厚くす
ることができず、実用的には最大でも5〜10μmが許容
限界とみなされている。これよりも薄くすることが、情
報書込み読み出しのためには望ましいのであるが、これ
より薄くした場合、充分な隠蔽性を確保することが困難
となる。また、印刷層6も上記した厚さよりも薄くする
と、充分な濃度で意匠効果のある印刷が困難となる。
そのため、上記第10図の銀インキ層5の代わりに、金
属蒸着層を用いる提案もある(実開昭53−42702号公
報、実開昭58−39739号公報、実開昭64−11777号公
報)。こうすると、上記した銀インキ層を用いる磁気カ
ードの欠点は解決するが、新たに金属蒸着層を用いるこ
とによる問題が発生し、実用化できない。すなわち、金
属蒸着層は導電性であるため、このような磁気カード
は、コンデンサー効果を生じ、種々の取り扱い時に、電
荷がたまることになる。このような電荷を有する磁気カ
ードを書込読出機にかけると、静電荷のために読み取り
エラーが発生したり、ヘッドが破壊されたり、回路中の
ICが破壊される等のトラブルが発生する。また、同じく
導電性のために、磁気カードの中にIC等の電子部品を埋
め込むと、これら電子部品と外部の電子機械との間を読
み出し等のために結合するときに、導通によるトラブル
が発生しやすくなり、また誤動作による短絡等でICの書
込読取装置を破壊することがある。そして、金属蒸着層
は、蒸着基板が塑性に富むものであっても、磁気カード
に文字等をエンボスする際、金属蒸着膜に割れが発生し
て白い地肌が目立つようになり、商品価値を阻害し好ま
しくない。
〔発明が解決しようとする課題〕
したがって、本発明の目的は、上記した従来の磁気層
隠蔽カードの問題点を解決して、磁気層隠蔽層とその上
の印刷層の厚さを書込み読み出しに充分なだけ薄くし、
それにもかかわらず隠蔽性が充分であり、また、隠蔽層
の導電性による問題がなく、かつ、カードにエンボスを
施しても隠蔽層の割れによって地肌が見えることのない
磁気層隠蔽カードを提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の磁気層隠蔽カードは、カードの少なくとも一
方の表面側の絵柄層とカード内部に埋め込まれた磁気層
の間に、微細な蒸着部が非蒸着部によって遮断されてい
る海・島構造の金属蒸着層からなる隠蔽層が設けられ、
かつエンボス加工可能であることを特徴とするものであ
る。このカード内部にIC等の電子部品が埋め込まれてい
る場合もある。
上記の微細な蒸着部が非蒸着部によって遮断されてい
る海・島構造の金属蒸着層からなる隠蔽層は、金属蒸着
膜をエッチングして形成することもできるし、リフトオ
フ加工により形成することもできる。これらの場合、蒸
着部と非蒸着部が規則的に配置されていても、不規則に
配置されていてもよい。さらに、この微細な蒸着部が非
蒸着部によって遮断されている海・島構造の金属蒸着層
からなる隠蔽層は、蒸着条件を選択することにより直接
形成することもできる。その場合、蒸着金属はスズが望
ましい。
ところで、微細な蒸着部が非蒸着部によって遮断され
ている海・島構造の金属蒸着層からなる隠蔽層を複数設
けてもよいし、この隠蔽層に加えて、銀インキからなる
隠蔽層を設けてもよい。
より具体的な層構成としては、カード表面側から、保
護層、印刷層、接着層、微細な蒸着部が非蒸着部によっ
て遮断されている海・島構造の金属蒸着層からなる隠蔽
層、接着層、磁気層の順に積層する場合がある。さら
に、カード表面側から、保護層、印刷層、接着層、隠蔽
層、樹脂層、隠蔽層、接着層、磁気層の順に積層しても
よい。
なお、この微細な蒸着部が非蒸着部によって遮断され
ている海・島構造の金属蒸着層からなる隠蔽層は、薄い
樹脂箔上に形成した蒸着層の形態に構成してもよい。
さらに、微細な蒸着部が非蒸着部によって遮断されて
いる海・島構造の金属蒸着層は、エンボス適性のある塑
性変形のしやすい樹脂上に蒸着したものであることが望
ましい。
また、微細な蒸着部が非蒸着部によって遮断されてい
る海・島構造の金属蒸着層は、環化ゴム、塩化ゴム、塩
素化ポリプロピレンの1つ又は複数をブレンドしたもの
からなる蒸着下地層の上に蒸着されていることが、磁気
層の境界の段差を目立たなくし、金属蒸着層の磁気層へ
の接着性を上げる上で望ましい。
さらに、微細な蒸着部が非蒸着部によって遮断されて
いる海・島構造の金属蒸着層の表面に防蝕層を設ける
と、金属蒸着層が錆に強いカードを構成することができ
る。
以上のような磁気層隠蔽カードの実際的な製造方法と
して、 磁気層が表面に設けられたカード本体の磁気層を有す
る面上に蒸着下地層を設け、その上に上記微細な蒸着部
が非蒸着部によって遮断されている海・島構造の金属蒸
着層からなる隠蔽層を設け、さらにその上に絵柄印刷
層、保護層の順に設ける方法、 磁気層が表面に設けられたオーバーシートの磁気層を
有する面上にに蒸着下地層を設け、その上に上記微細な
蒸着部が非蒸着部によって遮断されている海・島構造の
金属蒸着層からなる隠蔽層を設け、さらにその上に絵柄
印刷層、保護層の順に設け、この積層体と、1枚又は2
枚のコアシートと、別のオーバーシートとをこの順に重
ねて熱プレスして一体化する方法、 耐熱フイルムに剥離層、保護層、絵柄印刷層、蒸着下
地層、上記微細な蒸着部が非蒸着部によって遮断されて
いる海・島構造の金属蒸着層からなる隠蔽層、感熱接着
層の順で形成し、この積層体と、磁気層が表面に設けら
れたオーバーシートと、1枚又は2枚のコアシートと、
別のオーバーシートとをこの順に重ねて熱プレスして一
体化し、前記耐熱フイルムを剥離して形成する方法、 があげられる。
〔作用〕
微細な蒸着部が非蒸着部によって遮断されている海・
島構造の金属蒸着層を磁気ストライプ等の磁気層を視認
できないようにする隠蔽層として用いているため、隠蔽
層は反射性で隠蔽効果に優れており、表面側からは磁気
ストライプ等の磁気層は視認できない。そして、その上
全面に綺麗な印刷を施すか白ベタ層を設けることができ
る。しかも、このように印刷するか白ベタ層を設けて
も、磁気層と保護層との間の厚さは磁気層への情報書込
み読み出しに充分な薄さとなり、確実に書込み読み出し
ができる。隠蔽層は絶縁性であるため、磁気カードを積
み重ねておいてもコンデンサーを形成して静電気を持つ
ことはなく、書込読出機を破壊することはない。また、
磁気カードの中にIC等の電子部品を埋め込んでも、導通
による問題は発生しない。さらに、磁気カードに文字等
をエンボスしても、蒸着層の島間隔が均一に伸ばされる
だけで蒸着層の割れは発生せず、白い地肌が目立つこと
もない。
また、本発明の製造方法によると、上記のような磁気
層隠蔽カードを安価に、作業適性よく製造することがで
き、小ロット品を安価に速く作ることができる。
〔実施例〕
次に、図面を参照にして、本発明の実施例について説
明する。
第1図に本発明に基づいた最も基本的な構造の磁気ス
トライプを隠蔽した磁気カードの実施例の要部断面を示
す。第10図と同様の部分は同じ参照番号を付してある。
このカード1は、酸化チタンの粉末を混入した白色塩化
ビニルからなる0.56mmの厚さの基板2、その両側に接着
された透明塩化ビニルからなる0.1mmの厚さのオーバー
シート3、3、オーバーシート3に表面を露出して埋め
込まれている磁気ストライプ4、オーバーシート3表面
と磁気ストライプ4表面全体を覆っている隠蔽層7、隠
蔽層7の上に印刷された絵柄層6からなっている。基板
2、オーバーシート3、3にIC等の電子部品を埋め込む
こともある。このカード1の第10図に示した従来の銀イ
ンキを用いるものとの本質的な違いは隠蔽層7にある。
この層7は、金属蒸着層であるが、ミクロに見ると、非
蒸着部と蒸着部が海・島構造をとっているものである。
すなわち、第2図にその例の拡大平面図を示すように、
各蒸着部8は非蒸着部9によって取り囲まれ孤立してい
る。そのため、蒸着部8自身は導電性であっても、絶縁
性の非蒸着部9によって遮断されているので、マクロに
見れば、隠蔽層7は絶縁性を呈する。そして、マクロに
見たとき、このような非蒸着部と金属の蒸着部が海・島
構造をとっているものは、蒸着部の寸法及びその間隔が
0.1mm以下の場合、反射性を呈し、その背後にあるもの
は見えず、隠蔽性を充分に備えている。したがって、こ
のような絶縁性であって、隠蔽性を有する隠蔽層7を従
来の第10図の銀インキ層5の代わりに用いれば、磁気ス
トライプ4を隠蔽してその上に綺麗な印刷ができるとと
もに、隠蔽層7の厚みは数100Å〜数1000Å程度であ
り、印刷層6及びオーバーシート、接着層等の厚みを加
えても、従来のものに比較して相当に薄くなるため、磁
気ストライプ4への情報の書込み、その読み出しが容易
に行え、しかも、従来のような導電性に基づく問題点を
有しないものとなる。そして、この隠蔽層7は、少なく
とも蒸着基板に可塑性に富む加圧成形可能な樹脂を用い
れば、カードにJIS X 6301−1979に規定されている
ようなエンボス加工を施しても、単に島間隔が伸びるだ
けで、蒸着部に割れが生じないから、白い地肌が目立つ
ようになることはない。蒸着部8と非蒸着9の配列は、
第2図の(a)のように規則的であっても、(b)のよ
うに不規則であってもよい。ただし、(a)のように規
則的に並んでいると、回折により虹が発生することがあ
るので、この点を考慮して用途によりいずれかのものを
選択すればよい。
このような非蒸着部と蒸着部が海・島構造をとってい
る隠蔽層の製造方法をいくつかの例について説明する。
最も簡単には、金属蒸着膜をエッチングして、第2図の
海部すなわち非蒸着部9に相当する部分を除去すればよ
い。蒸着部8のサイズ及びその間の距離については、エ
ッチングの容易性と隠蔽性を考慮して要求に合う値を選
択すればよい。また、別の方法として、蒸着基板に予め
例えば水溶性の樹脂を非蒸着部9に相当する部分に印刷
しておき、その上に金属を蒸着し、その後水洗いによっ
て非蒸着部9に相当する部分の蒸着膜のみを除去する、
所謂リフトオフ加工により製造することもできる。以上
のいずれの方法によっても、第2図の(a)のように規
則的にも、(b)のように不規則にもこの海・島構造を
作成できる。さらに、蒸着金属材料、蒸着速度、蒸着膜
厚等の蒸着条件を選択することでも、第2図(b)のよ
うな非蒸着部と蒸着部が不規則に並んでいる海・島構造
のものを直接作成できる(特開昭63−157858号公報)。
この場合、材料としては融点の低い金属や貴金属がよ
く、特にスズが好ましい。その場合、島サイズは200Å
〜1μm、島間隙は100〜5000Åである。島サイズが200
Åより小さいと金属光沢がなく充分な隠蔽ができない。
1μm以上では導電してしまう。島間隔は100Å以下で
は絶縁が悪く、5000Åより広いと金属光沢がなく、充分
な隠蔽ができない。
ところで、このような海・島構造の絶縁性の金属蒸着
層の層配置については、第1図のものは、単に1つの例
示でしかなく、多くの変形構造が考えられる。例えば、
第3図に示すように、保護層10を表面に有する絵柄層6
の裏面に隠蔽層7を蒸着し、これを接着層(図示せず)
を介してオーバーシート3表面及び磁気ストライプ4表
面に接着してもよい。これとは反対に、第4図に示した
ように、隠蔽層7をオーバーシート3表面及び磁気スト
ライプ4表面に蒸着しておいて、接着層(図示せず)を
介して保護層10を表面に有する絵柄層6の裏面に接着し
てもよい。また、第5図に示すように、薄い樹脂箔11の
上面又は下面(図の場合は下面)に蒸着層7を設けてお
き(蒸着層7の設け方としては、樹脂箔11上に直接この
層を蒸着するか、又は、一旦他の基板に蒸着層7を蒸着
して、この蒸着層7を樹脂箔11上に転写して形成す
る。)、それを絵柄層6の裏面に接着するか、オーバー
シート3表面及び磁気ストライプ4表面に接着するかし
て(薄い樹脂箔11と蒸着層7とは転写フィルムとして構
成しておくとよい。)、その後にオーバーシート3表面
及び磁気ストライプ4表面に接着するか、絵柄層6の裏
面に接着するようにしてもよい。さらには、第6図に示
すように、海・島構造の絶縁性の金属蒸着層からなる隠
蔽層7、7′を樹脂箔11の両面に設けて、これを絵柄層
6の裏面とオーバーシート3表面及び磁気ストライプ4
表面に接着するようにしてもよい。これは、隠蔽層7、
7′1枚では隠蔽性が劣る場合に適した構造である。な
お、このような場合、第5図において、隠蔽効果を向上
させるために、樹脂箔11を銀インキによる層としてもよ
く、第6図において、層7、7′の一方を銀インキ層と
してもよい。以上は、例示であり、その他の変形が容易
に考えられる。要は、絵柄層と磁気ストライプの間に海
・島構造の絶縁性の金属蒸着層からなる隠蔽層が位置
し、磁気ストライプとカード表面の間が5〜10μm以下
になる構造であればよい。
海・島構造の絶縁性の金属蒸着層7、7′を蒸着する
基板になる樹脂(第3図においては絵柄層6、第4図に
おいてはオーバーシート3、第5図、第6図においては
樹脂箔11)は、エンボスのとき、加圧成形性に富むもの
でないと、金属蒸着層7、7′に割れが発生して白い地
肌が見えるようになり、好ましくない。そのために、こ
れらの層の材料としては、エンボスに追従するエンボス
適性のある、塑性変形のしやすい樹脂がよい。例えば、
塩化ビニル、ポリエステル、アクリル等の熱可塑性プラ
スチックが適している。
なお、絵柄層6は、印刷、昇華転写、溶融転写、感熱
発色、感圧発色、写真、感光記録、静電記録、手書等の
手段により形成される。
ところで、実際にこのような磁気層隠蔽カードを製造
する時、いくつかの困難に直面する。特に、第7図に示
すように、オーバーシート3にスリットコート、3本リ
バースコート等の公知の方法により直接に磁気ストライ
プ4を塗布したり、転写法で熱転写して磁気ストライプ
4を設け、その後これを埋め込んでも、埋め込まれた磁
気ストライプ4とオーバーシート3との間には微小な段
差が存在する。このような段差が存在する面に、第4図
に示すように海・島構造をとっている金属蒸着層7を直
接設ける場合、段差が目立ってしまう。また、磁気スト
ライプ4は、実際は剥離層/OP層/磁気層/感熱接着層
の4層からなており、表面には剥離層が露出しているの
で、金属蒸着層7は接着しにくい。このような問題点を
解決するためには、オーバーシート3と磁気ストライプ
4からなる表面に蒸着下地層(蒸着プライマー層)12を
設けることが望ましい(第7図)。この層の必要な特性
としては、磁気ストライプ4の表面の剥離層と接着性が
よく、段差を吸収し、かつ熱プレス、エンボス等の後加
工においても伸縮して応力を吸収し、蒸着層7にクラッ
クを生じさせない材料が望ましい。このような要求を満
たす材料について検討の結果、環化ゴム、塩化ゴム、塩
素化ポリプロピレンの1つ又は複数をブレンドしたもの
を蒸着下地層12として用いることが望ましいことを見い
出した。これらの環化ゴム、塩化ゴム、塩素化ポリプロ
ピレンの1つ又は複数をブレンドしたものを蒸着下地層
12として用いると、磁気ストライプ4ないしオーバーシ
ート3上全面に設けた磁気層と海・島構造の金属蒸着層
7との接着性がよくなり、剥離することがなく、また、
柔軟でクッション性があるので、上記のような段差を吸
収し、かつ熱プレス、エンボス等の後加工においても伸
縮して応力を吸収し、蒸着層7にクラックや段差が生ぜ
ず、海・島構造の金属蒸着層7の隠蔽効果を十分に利用
できることが分かった。なお、第7図の場合も、蒸着層
7の上に絵柄印刷層、保護層を設けてカードとして仕上
げる。
さらに、第5図のように、蒸着下地箔11に蒸着して、
これをオーバーシート3と磁気ストライプ4からなる表
面に直接転写する場合も、蒸着下地箔11として上記のよ
うな環化ゴム、塩化ゴム、塩素化ポリプロピレンの1つ
又は複数をブレンドしたものを用いることが、転写後に
熱プレス、エンボス等を施しても、蒸着層7にクラック
を発生させないために有効であることが分かった。
また、実際に海・島構造の金属樹蒸着層7を隠蔽層と
して用いる場合、上記の段差の問題とは別に、この層7
の金属面がカードの使用中にキズ等によって露出してし
まい、汗等によって錆びてしまう問題がある。このため
に、蒸着層7の外側に防蝕層13を設けて錆にくくするこ
とが望ましい。防蝕層13としては、塩化ビニル系、塩化
ビニルと酢酸ビニルの共重合体、エチレンと酢酸ビニル
の共重合体、アクリル系などのコーティングやリン酸ア
ルキッドなどの酸化性物質のコーティングがよい。
次に、磁気層隠蔽カードの製造方法の具体例をいつか
示す。
第8図に示した製造方法は、磁気ストライプ4を押し
込んだオーバーシート3上に蒸着下地層12を塗布し、そ
の上に本発明の海・島構造の金属蒸着層からなる隠蔽層
7、絵柄層6、保護層(OP層)10の順で設けた後、この
積層体を1枚又は2枚の基板(コアシート)2の上に配
置し、またその下に別のオーバーシート3を配置し、全
体を熱プレスして一体にする方法であり、薄いオーバー
シート3単体状態で印刷等の加工をするので、作業性が
よく、安価にカードを製造できる。また、印刷表面もプ
レスされるので、印刷し放しより平滑で艶が出る特徴を
有する。具体的には、磁気ストライプ4を熱転写した0.
1mmの厚さのポリ塩化ビニルのオーバーシート3の上
に、蒸着下地層12として塩素化ポリプロピレン樹脂をグ
ラビア印刷し、その上にスズの海・島構造の金属蒸着層
からなる隠蔽層7を蒸着し、その上に図示していないが
リン酸アルキッド樹脂からなる防蝕層をグラビア印刷
し、その上に絵柄層6として、まず塩化ビニル樹脂から
なる白ベタインキ層をシルクスクリーン印刷し、さらに
塩化ビニル樹脂からなる赤絵柄インキ層をスクリーン印
刷した。そして、その表面に保護層10として紫外線硬化
型のアクリル樹脂をシルクスクリーン印刷して硬化させ
た。これを、0.56mmの厚さの白色コアシート2の上に重
ね、その下に0.1mmの厚さのオーバーシート3を配置
し、全体を150℃、10分間熱プレスして一体のカードに
したところ、磁気ストライプ4に対する磁気特性もよ
く、磁気層4の黒はよく隠蔽されていた。
また、第9図に示した方法は、耐熱フイルム13面に剥
離層14、OP層10、絵柄層6、蒸着下地層12、海・島構造
の金属蒸着層からなる隠蔽層7、感熱接着層14の順で印
刷して転写フィルムとし、これを磁気ストライプ4を押
し込んだオーバーシート3上に重ね、これを第8図の場
合と同様にして1枚又は2枚のコアシート2の上に配置
し、またその下に別のオーバーシート3を配置して、熱
プレスをしてから耐熱フイルム13を剥がし、絵柄層6、
隠蔽層7等を転写する方法である。耐熱フイルム13とし
ては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリアミド(ナイロン)、ポリカーボネー
ト、ポリプロピレン等の12〜200μmの厚みのものを用
いればよく、また、剥離層14としては、シリコン樹脂、
ワックス等の公知品を用いる。この方法は、耐熱フィル
ムは最終的に棄てることになるが、通常のポリ塩化ビニ
ル製オーバーシートに印刷する場合より作業適性がよ
く、また、各パーツを別々に加工しておき最後にプレス
すればよく、合理的である。また、巻取状での加工も容
易である。具体的には、25μmの厚みのポリエチレンテ
レフタレートからなる耐熱フイルム13の上にシリコーン
樹脂からなる剥離層14をロールコートし、その上に絵柄
層6としてウレタン樹脂の赤インキ層とウレタン樹脂の
白インキ層をグラビア印刷した。その上に蒸着下地層12
として塩化ゴムをグラビア印刷し、その上にスズの海・
島構造の金属蒸着層からなる隠蔽層7を蒸着した。感熱
接着層14は塩化ビニル樹脂をロールコートした。これを
磁気ストライプ4を熱転写した0.1mmの厚さのポリ塩化
ビニルのオーバーシート3の上に、そのオーバーシート
3の下に、0.28mmの厚さの2枚のポリ塩化ビニルからな
るコアシート2、0.1mmの厚さのポリ塩化ビニルの別の
オーバーシート3をそれぞれ配置し、これら5枚を150
℃、10分間熱プレス後冷却して、表面のポリエチレンテ
レフタレートからなる耐熱フイルム13を剥して、磁気層
隠蔽カードを得た。磁気ストライプ4に対する磁気特性
もよく、磁気層4の黒はよく隠蔽されていた。
なお、第8図の場合も第9図の場合も、インキ層(絵
柄層)6が露出してスレキズ等がつくのを防ぐために保
護層10を設けているが、この層は、熱、紫外線、電子線
によって架橋して硬化する高分子が好適である。また、
何れの場合も、必要に応じて仕上げプレスをしてよく、
表面を平滑とすることができる。なお、8図、第9図の
方法においては、1枚又は2枚のコアシート2の上下に
オーバーシート3、3を配置して、0.76mmの厚さのカー
ド本体としていたが、0.76mmの厚さの1枚の支持体に磁
気層4を少なくとも一部に設けた後、磁気層4を持つ面
に隠蔽層7、絵柄層6等を設けるようにしてもよい。ま
た、オーバーシート、コアシート、0.76mmの厚さの支持
体等に磁気層と同色調に着色して、磁気層がより目立た
ないようにしてもよい。
〔発明の効果〕
本発明においては、上記したように、微細な蒸着部が
非蒸着部によって遮断されている海・島構造の金属蒸着
層を磁気ストライプ等の磁気層を視認できないようにす
る隠蔽層として用いているため、隠蔽層は反射性で隠蔽
効果に優れており、表面側からは磁気ストライプ等の磁
気層は視認できない。そして、その上全面に綺麗な印刷
を施すことができ、磁気カードの商品価値が向上する。
しかし、このように印刷しても、磁気ストライプ等の磁
気層と保護層との間の厚さは磁気層の情報書込み読み出
しに充分な薄さとなり、確実に書込み読み出しができ
る。そして、隠蔽層は絶縁性であるため、磁気カードを
積み重ねておいてもコンデンサーを形成して静電気を持
つことはなく、書込読出機を破壊することはない。ま
た、磁気カードの中にIC等の電子部品を埋め込んでも、
導通による問題は発生しない。さらに、磁気カードに文
字等をエンボスしても、割れが発生して白い地肌が見え
るようなことはなく、磁気カードの商品価値を阻害しな
い。
また、本発明の磁気層隠蔽カードの製造方法によれ
ば、上記のような磁気層隠蔽カードを安価に、作業適性
よく製造することができ、小ロット品を安価に速く作る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に基づいた磁気ストライプを隠蔽した磁
気カードの実施例の要部断面図、第2図は本発明の磁気
層隠蔽カードの隠蔽層に用いる海・島構造の金属蒸着層
の例の拡大平面図、第3図から第6図は変形例の要部断
面図、第7図は磁気ストライプの段差及び蒸着下地層の
作用を説明するための図、第8図及び第9図は本発明の
磁気層隠蔽カードの製造方法を説明するための図、第10
図は従来の磁気ストライプ隠蔽カードの要部断面図であ
る。 1:磁気カード、2:基板、3:オーバーシート、4:磁気スト
ライプ、5:銀インキ層、6:絵柄層、7、7′:隠蔽層、
8:蒸着部、9:非蒸着部、10:保護層、11:樹脂箔、12:蒸
着下地層(蒸着プライマー層)、13:防蝕層、14:剥離層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹松 秀記 東京都新宿区榎町7番地 大日本印刷株 式会社内 (72)発明者 鏡 利直 東京都新宿区榎町7番地 大日本印刷株 式会社内 (72)発明者 泉谷 和美 東京都新宿区榎町7番地 大日本印刷株 式会社内 (72)発明者 岡部 光雄 東京都新宿区榎町7番地 大日本印刷株 式会社内 (56)参考文献 実開 昭58−39739(JP,U)

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カードの少なくとも一方の表面側の絵柄層
    とカード内部に埋め込まれた磁気層との間に、微細な蒸
    着部が非蒸着部によって遮断されている海・島構造の金
    属蒸着層からなる隠蔽層が設けられ、かつエンボス加工
    可能であることを特徴とする磁気層隠蔽カード。
  2. 【請求項2】カード内部にIC等の電子部品が埋め込まれ
    ていることを特徴とする請求項1記載の磁気層隠蔽カー
    ド。
  3. 【請求項3】微細な蒸着部が非蒸着部によって遮断され
    ている海・島構造の金属蒸着層からなる隠蔽層が、金属
    蒸着膜をエッチングして形成したものであることを特徴
    とする請求項1又は2記載の磁気層隠蔽カード。
  4. 【請求項4】微細な蒸着部が非蒸着部によって遮断され
    ている海・島構造の金属蒸着層からなる隠蔽層が、リフ
    トオフ加工により形成したものであることを特徴とする
    請求項1又は2記載の磁気層隠蔽カード。
  5. 【請求項5】微細な蒸着部と非蒸着部が規則的に配置さ
    れていることを特徴とする請求項3又は4記載の磁気層
    隠蔽カード。
  6. 【請求項6】微細な蒸着部と非蒸着部が不規則に配置さ
    れていることを特徴とする請求項3又は4記載の磁気層
    隠蔽カード。
  7. 【請求項7】微細な蒸着部が非蒸着部によって遮断され
    ている海・島構造の金属蒸着層からなる隠蔽層が、蒸着
    条件を選択することにより直接形成したものであること
    を特徴とする請求項1又は2記載の磁気層隠蔽カード。
  8. 【請求項8】蒸着金属がスズであることを特徴とする請
    求項7記載の磁気層隠蔽カード。
  9. 【請求項9】微細な蒸着部が非蒸着部によって遮断され
    ている海・島構造の金属蒸着層からなる隠蔽層が複数設
    けられていることを特徴とする請求項1から8のいずれ
    か1項に記載の磁気層隠蔽カード。
  10. 【請求項10】微細な蒸着部が非蒸着部によって遮断さ
    れている海・島構造の金属蒸着層からなる隠蔽層に加え
    て、銀インキからなる隠蔽層が設けられていることを特
    徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の磁気層
    隠蔽カード。
  11. 【請求項11】カード表面側から、保護層、印刷層、接
    着層、微細な蒸着部が非蒸着部によって遮断されている
    海・島構造の金属蒸着層からなる隠蔽層、接着層、磁気
    層の順に積層されていることを特徴とする請求項1から
    8のいずれか1項に記載の磁気層隠蔽カード。
  12. 【請求項12】カード表面側から、保護層、印刷層、接
    着層、隠蔽層、樹脂層、隠蔽層、接着層、磁気層の順に
    積層されていることを特徴とする請求項9又は10に記載
    の磁気層隠蔽カード。
  13. 【請求項13】微細な蒸着部が非蒸着部によって遮断さ
    れている海・島構造の金属蒸着層からなる隠蔽層が、薄
    い樹脂箔上に形成した蒸着層の形態に構成されているこ
    とを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の
    磁層隠蔽カード。
  14. 【請求項14】微細な蒸着部が非蒸着部によって遮断さ
    れている海・島構造の金属蒸着層が、エンボス適性のあ
    る塑性変形のしやすい樹脂上に形成されていることを特
    徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の磁気層
    隠蔽カード。
  15. 【請求項15】微細な蒸着部が非蒸着部によって遮断さ
    れている海・島構造の金属蒸着層が、環化ゴム、塩化ゴ
    ム、塩素化ポリプロピレンの1つ又は複数をブレンドし
    たものからなる蒸着下地層の上に蒸着されていることを
    特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の磁気
    層隠蔽カード。
  16. 【請求項16】微細な蒸着部が非蒸着部によって遮断さ
    れている海・島構造の金属蒸着層の表面に防蝕層が設け
    られていることを特徴とする請求項1から15のいずれか
    1項に記載の磁気層隠蔽カード。
  17. 【請求項17】カードの少なくとも一方の表面側の絵柄
    層とカード内部に埋め込まれた磁気層との間に、微細な
    蒸着部が非蒸着部によって遮断されている海・島構造の
    金属蒸着層からなる隠蔽層が設けられた磁気層隠蔽カー
    ドの製造方法において、磁気層が表面に設けられたカー
    ド本体の磁気層を有する面上に蒸着下地層を設け、その
    上に上記微細な蒸着部が非蒸着部によって遮断されてい
    る海・島構造の金属蒸着層からなる隠蔽層を設け、さら
    にその上に絵柄印刷層、保護層の順に設けることを特徴
    とする磁気層隠蔽カードの製造方法。
  18. 【請求項18】カードの少なくとも一方の表面側の絵柄
    層とカード内部に埋め込まれた磁気層との間に、微細な
    蒸着部が非蒸着部によって遮断されている海・島構造の
    金属蒸着層からなる隠蔽層が設けられた磁気層隠蔽カー
    ドの製造方法において、磁気層が表面に設けられたオー
    バーシートの磁気層を有する面上にに蒸着下地層を設
    け、その上に上記微細な蒸着部が非蒸着部によって遮断
    されている海・島構造の金属蒸着層からなる隠蔽層を設
    け、さらにその上に絵柄印刷層、保護層の順に設け、こ
    の積層体と、1枚又は2枚のコアシートと、別のオーバ
    ーシートとをこの順に重ねて熱プレスして一体化するこ
    とを特徴とする磁気層隠蔽カードの製造方法。
  19. 【請求項19】カードの少なくとも一方の表面側の絵柄
    層とカード内部に埋め込まれた磁気層との間に、微細な
    蒸着部が非蒸着部によって遮断されている海・島構造の
    金属蒸着層からなる隠蔽層が設けられた磁気層隠蔽カー
    ドの製造方法において、耐熱フイルムに剥離層、保護
    層、絵柄印刷層、蒸着下地層、上記微細な蒸着部が非蒸
    着部によって遮断されている海・島構造の金属蒸着層か
    らなる隠蔽層、感熱接着層の順で形成し、この積層体
    と、磁気層が表面に設けられたオーバーシートと、1枚
    又は2枚のコアシートと、別のオーバーシートとをこの
    順に重ねて熱プレスして一体化し、前記耐熱フイルムを
    剥離して形成することを特徴とする磁気層隠蔽カードの
    製造方法。
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