JP3935533B2 - 磁気カードの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は小ロツトに適した磁気カードの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、磁気カードを製造する方法としては、30面付け程度の大判の原反を使用して、製版、刷版、印刷、磁気層の転写、ラミネーシヨン、打抜き等の工程を経て製造されているのが普通である。印刷工程としては、原反にオフセツト印刷等により直接印刷するか、ないしはグラビア方式、シルクスクリーン方式等により印刷して製造された転写シートを使用して転写印刷することにより行われているのであるが、原反に直接印刷を行うにしても、転写シートを使用した転写印刷を行うにしても、製版、刷版等の工程を経て製造された印刷版を使用した印刷により印刷絵柄が設けられるものであるので、印刷版を作製するのに時間と費用がかかるという問題があつた。特に最近では、枚数が100枚前後のきわめて小ロツトのカードの製造を行う頻度が高くなつてきており、その場合には、従来のように、多面付けの大判の原反を使用して、製版および刷版工程を経て作製された印刷版を使用して印刷することにより印刷絵柄を形成する方法では、印刷版の製造費および印刷費が割高となりカード1枚当たりの価格がきわめて高くなつてしまう上に、カードの作製に時間を要する結果小ロツトにかかわらず納期が遅れるという欠点があつた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、きわめて小ロツトの場合であつても、短期間で且つ低価格で製造することのできる磁気カードの製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の磁気カードの製造方法は、予めウエブ状の基材層上に剥離層とコンピューターにて作成された画像データをプリンターにて出力することにより得られた絵柄層と接着剤層とが順次積層された構成の転写シートのロールと1枚づつに成形されたカード基体を使用して、このカード基体面に転写印刷することにより印刷絵柄を形成する磁気カードの製造方法であって、前記転写シートには絵柄層に対応して見当合わせマークが設けられており、前記カード基体を1枚づつ所定の間隔をおいて供給するとともに、前記転写シートのロールから巻き出されたウエブ状の転写シートを、1枚づつ供給されてくるカード基体に位置合わせした状態で重ねて熱プレスすることにより、転写シートの剥離層、絵柄層及び接着剤層がカード基体面に転写されることを特徴とする。
【0005】
前記転写シートが前記絵柄層と前記接着剤層間に隠蔽層が設けられた構成であり、前記カード基体面に磁気記録層が設けられている上記の磁気カードの製造方法であるので、隠蔽層により下地を完全に隠蔽することができるので、磁気記録層が形成さたカード基体面であつても全面鮮明な印刷絵柄を形成できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の製造方法で使用する1実施例の転写シートの断面図、図2は図1に示す転写シートの平面図、図3は本発明の製造方法で使用する他の実施例の転写シートの断面図、図4は本方法で製造された磁気カードの積層構成を示す部分断面図、図5はカード基体に印刷絵柄を転写する工程の概略を示す図であり、1は基材層、2は剥離層、3は絵柄層、4は接着剤層、5は隠蔽層、6, 6’は転写層、7は見当合わせマーク、8は転写領域、9はカード基体、10は磁気記録層、11, 11’は転写シート、12はカード基体、13は加熱ロール、14は加圧ロールをそれぞれ表す。
【0009】
本発明にて使用する1実施例の転写シート11の積層構成は図1に示すとおりであり、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルム等からなる基材層1の一方の面に、剥離層2とコンピューターにて作成された画像データをプリンターにて出力することにより得られた絵柄層3と熱接着性樹脂からなる接着剤層4からなる転写層6が形成された構成である。転写シート11の絵柄層3は、印刷版を使用することなしに、コンピューターグラフィックスにて作成された絵柄と文字データ等を組み合わせてレイアウトした画像データをプリンターにて出力することにより形成されたものであることが特徴である。絵柄層3はエンドレスの連続柄でもよいが、通常はカード1枚1枚に対応した多色印刷されたポイント柄である。剥離層2および接着剤層4はグラビア方式、シルクスクリーン方式、コーテイング方式等により塗布される。剥離層2および接着剤層4は絵柄層3に対応させて転写シート11の基材層1の流れ方向に間欠的に形成してもよいし、転写シート11の基材層1の流れ方向に連続して形成してもよい。
【0010】
本実施例の転写シート11の平面形状は図2に示すとおりであり、転写シート11のウエブ状の基材層1上に所定間隔をおいて剥離層2とコンピューターにて作成された画像データをプリンターにて出力することにより得られた絵柄層3と接着剤層4とからなる転写層6が間欠的に形成されており、基材層1の一方の側端縁に沿って見当合わせマーク7がそれぞれの転写層6に対応して設けられている。本実施例の転写シート11では、基材層1上に剥離層2と絵柄層3と接着剤層4とからなる転写層6が所定間隔をおいて間欠的に形成されているが、剥離層2と接着剤層4とは基材層1の流れ方向に所定巾で連続して設けてもよい。グラビア方式ないしはコーテイング方式により剥離層2と接着剤層4を形成する場合には、連続して形成する方が適している。本実施例の転写シート11を使用して生カードに転写印刷する際には、絵柄層3中の点線で囲われた転写領域8の転写層6のみが生カードに転写される。
【0011】
本発明にて使用する他の実施例の転写シート11’の積層構成は図3に示すとおり、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルム等からなる基材層1上に、剥離層2とコンピューターにて作成された画像データをプリンターにて出力することにより得られた絵柄層3と隠蔽層5と熱接着性樹脂からなる接着剤層4からなる転写層6'が形成された構成である。隠蔽層5は下地を完全に隠蔽して鮮明な印刷絵柄を形成するためのものであるので、チタン白、アルミニウム粉等を含む隠蔽性の優れたインキを使用して形成される。剥離層2,接着剤層4および隠蔽層5はグラビア方式、シルクスクリーン方式、コーテイング方式等により塗布される。隠蔽層5は転写シート11’の基材層1の流れ方向に絵柄層に対応して間欠的に形成してもよいし連続的に形成してもよい。隠蔽層5は下地色を隠蔽するためのものであり、5〜10μの厚さに塗布される。本実施例の転写シート11’を使用することにより、磁気記録層が設けられた生カードに印刷絵柄を転写印刷する場合でも鮮明な印刷絵柄が得られるものである。
【0012】
本発明の方法にて製造された磁気カードの積層構成の1例は図4に示すとおりであり、カード基体9の一方の面には磁気記録層10が形成されており、磁気記録層10が形成された面には、転写シート11’を使用して転写印刷することにより、剥離層2と絵柄層3と隠蔽層5と接着剤層4からなる転写層6’が形成され、カード基体9の他方の面には、転写シート11を使用して転写印刷することにより、剥離層2と絵柄層3と接着剤層4からなる転写層6が形成されている。カード基体9の磁気記録層10が形成されている面には、剥離層2と絵柄層3と隠蔽層5と接着剤層4からなる隠蔽層5を含む転写層6’が形成されているので、磁気記録層10の色が隠蔽層5により完全に隠蔽されるので鮮明な印刷絵柄が形成できる。したがつて、磁気記録層10が形成されているかいないかにかかわらず、カード基体9面に鮮明な印刷絵柄層を形成することができるものである。
【0013】
絵柄層3を形成する方法は、コンピューターグラフィックスにて作成された絵柄と入力された文字等のデータを画面上でレイアウトして画像データを作製し、その画像データをプリンターにて出力することにより行うものである。転写シートの基材層1上に形成された剥離層2の上に画像データがプリンターにて出力されて絵柄層3が形成されるものである。使用するプリンターとしてはレーザープリンター、インクジェットプリンター、バブルジェットプリンター等であり、それらのプリンターを使用して多色の絵柄層3を転写シートのウエブ状基材層1に形成された剥離層2上に所定間隔をおいてプリントして行く。枚葉状の転写シートを作製する場合には、枚葉状基材層1に形成された剥離層2上に上記のプリンターを使用してプリントする。剥離層2の面にプリンターのインキが接着しにくい場合には、剥離層2面にアンカー層を設けてその上にプリントすることにより接着を良くすることができる。絵柄層3は剥離層2と隠蔽層5ないしは接着剤層4間に挟まれた状態で転写されるので、絵柄層3を形成するインキは通常プリンターにて使用されているものでよい。
【0014】
生カードの構成は、一般的に、塩化ビニル樹脂等からなる不透明な厚さ400〜600μのコアシート1枚又は厚さ200〜300μのコアシートを2枚重ねて、その両面に塩化ビニル樹脂等からなる透明な厚さ50〜130μのオーバーシートをそれぞれ重ねて、熱プレスすることにより接着して積層した構成のものである。磁気記録層は一方ないしは両方のオーバーシートに転写により形成しておくことにより形成することができる。本発明の磁気カードの製造方法においては、印刷絵柄は一方ないしは両方のオーバーシートの外面、即ち、カード基体9の外面に転写印刷により形成されるものである。
【0015】
転写シートの基材層1としては、耐熱性の優れたプラスチツクフイルム、例えば、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルム等が適している。基材層1の厚さは、ウエブ状の転写シートの場合では12〜25μ、枚葉状の転写シートの場合では50〜200μのものを使用するのがよい。剥離層2を構成する樹脂としてはアクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等が、接着剤層4を構成する樹脂としては塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等が好適に使用できる。隠蔽層5を構成する樹脂としてはアクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等であり、それらの樹脂中にチタン白、アルミニウム粉、雲母等の隠蔽性に優れた明るい色の顔料を添加したインキにて隠蔽層5を形成する。
【0016】
生カード12の表面に印刷絵柄を転写印刷するには例えば図5に示す方法により行うことができる。転写シート11をロール状で供給すると共に、生カード12を所定の間隔をおいて供給する。転写シート11の見当合わせマークを光電管によりキャッチして、転写シート11の位置を生カード12の位置に合わせた状態で転写シート11を生カード12上に重ねて、加熱ロール13と加圧ロール14間を通して熱プレスすることにより、転写シート11の転写層6が生カード12の表面に転写されて印刷絵柄が表面に形成される。転写シート11の基材層1は転写完了後に剥離されて巻き取られる。この方法を使用する場合には、生カード12と転写シート11を準備しておくことにより、短時間で容易に印刷絵柄が形成された磁気カードを製造することができるので納期を短縮できる上に、小ロツトの磁気カードの製造においては大幅にコストダウンを図ることができるものである。
【0017】
本発明の方法においては枚葉状の転写シートを使用して転写印刷を行うこともできる。枚葉状の転写シートを使用する場合には、1面付けおよび多面付けの転写シートを作製しておき、1面付けの転写シートを使用して転写印刷するには、完成した生カードに1枚づつ転写を行う。多面付きの転写シートを使用する場合には、不透明な2枚のコアシートと、その両面に透明なオーバーシートをそれぞれ重ねあわせて熱プレスにより接着させて積層する際に、多面付けの転写シートを、一方ないしは両方のオーバーシートの外面に重ね合わせて熱プレスすることにより印刷絵柄の転写を行う。この場合には、熱プレスにより印刷絵柄が転写された大判のシートを所定のカードに打ち抜くことにより印刷絵柄を有する磁気カードが完成する。
【0018】
【発明の効果】
基材層上に剥離層とコンピューターにて作成された画像データをプリンターにて出力することにより得られた絵柄層と接着剤層とが順次積層された構成の転写シートを使用して、カード基体面に転写印刷することにより印刷絵柄を形成する磁気カードの製造方法であるので、絵柄層を形成するために印刷版を使用しないので、印刷版を作製するための製版および刷版工程を省略できる上に、生カードを準備しておけば、その生カードに転写印刷を行うだけで印刷絵柄を有する磁気カードを製造することができるので、納期が短縮でき且つ小ロツトのカードの製造においては大幅にコストダウンを図ることができる。本発明の製造方法において、転写シートを、絵柄層と接着剤層間に隠蔽層を設けた構成とすることにより、下地を完全に隠蔽することができるので、磁気記録層が形成さたカード基体面に転写印刷を行った場合においても鮮明な印刷絵柄が得られる。また、基材層がウエブ状であり、絵柄層はポイント柄であつて各絵柄層毎に見当合わせマークを設けた転写シートを使用することにより、生カードの所定位置に連続的に効率良く絵柄層を見当を合わせて転写印刷することができる。更に、基材層が枚葉状で、絵柄層はポイント柄である多面付けの転写シートを使用することにより、生カードの製造時に多面付けの状態で印刷絵柄を転写印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法で使用する1実施例の転写シートの断面図である。
【図2】図1に示す転写シートの平面図である。
【図3】本発明の製造方法で使用する他の実施例の転写シートの断面図である。
【図4】本発明の方法で製造された磁気カードの積層構成を示す部分断面図である。
【図5】カード基体に印刷絵柄を転写する工程の概略を示す図である。
【符号の説明】
1 基材層 9 カード基体
2 剥離層 10 磁気記録層
3 絵柄層 11, 11’ 転写シート
4 接着剤層 12 カード基体
5 隠蔽層 13 加熱ロール
6, 6’ 転写層 14 加圧ロール
7 見当合わせマーク
8 転写領域

Claims (2)

  1. 予めウエブ状の基材層上に剥離層とコンピューターにて作成された画像データをプリンターにて出力することにより得られた絵柄層と接着剤層とが順次積層された構成の転写シートのロールと1枚づつに成形されたカード基体を使用して、このカード基体面に転写印刷することにより印刷絵柄を形成する磁気カードの製造方法であって、前記転写シートには絵柄層に対応して見当合わせマークが設けられており、前記カード基体を一枚づつ所定の間隔をおいて供給するとともに、前記転写シートのロールから巻き出されたウエブ状の転写シートを、1枚づつ供給されてくるカード基体に位置合わせした状態で重ねて熱プレスすることにより、転写シートの剥離層、絵柄層及び接着剤層がカード基体面に転写されることを特徴とする磁気カードの製造方法。
  2. 前記転写シートが前記絵柄層と前記接着剤層間に隠蔽層が設けられた構成であり、前記カード基体面に磁気記録層が設けられていることを特徴とする請求項1記載の磁気カードの製造方法。
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