JP4930174B2 - 媒体カセット - Google Patents

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Description

本発明は、プリンタ等の印刷装置に着脱可能に装着され、複数の印刷用のカット紙等の媒体を収容する媒体カセットに関する。
従来の印刷装置は、画像形成部と、この画像形成部に供給する印刷用のカット紙を複数収容するトレイ状の給紙カセットが着脱可能に装着された給紙部とを備え、各給紙カセットを装着した日時を記録した日時管理データに基づいて、同一サイズのカット紙を収容した給紙カセットの中で、最も古い日時に装着された給紙カセットから優先的にカット紙を供給し、給紙カセットに収容されたカット紙の経時劣化を防止している(例えば、特許文献1参照。)。
また、一般に、媒体カセットとしての給紙カセット1は、図11、図12に示すように、トレイ状のカセット本体2の底部3の、カット紙の繰出方向の中央部に設けられた回転支点4を中心に回動する金属製の媒体ステージとしての用紙ステージ5が、上方に回動するようにトーションスプリングや圧縮コイルスプリング等の付勢部材により付勢されて設けられており、給紙カセット1の装着時に用紙ステージ5が上方に回動して、収容されたカット紙Pの繰出方向の先端部を持上げ、持上げられたカット紙Pの最上位のカット紙Pから順に繰出されるようになっている。
特開2006−117432号公報(第5頁段落0022−0024、第7頁段落0037−0042、第1図、第5図)
しかしながら、上述した特許文献1の技術においては、装着された日時が最も古い給紙カセットから優先的にカット紙を供給しているため、上記の一般的な給紙カセットを用いた場合においてカット紙の残量が少なくなったときに、新たなカット紙を補充すると、給紙カセットを装着した日時が更新されてしまい、給紙カセットの底部側に位置するカット紙が長期間滞留し、底部側のカット紙に経時劣化が生ずる場合があるという問題がある。
このことは、サーマルプリンタに用いる感熱紙のように化学的な表面処理を施したカット紙を収容する給紙カセットにおいて、特に顕著であり、比較的高温の環境下に長期間滞留させると、表面処理の酸化による変色やカール等の熱的な経時劣化が生じやすくなるという問題が生ずる。
例えば、証明書発行機においては、印鑑証明書や住民票等の照明書の改ざんの有無を識別することができるように、化学的な表面処理を施したカット紙が用いられており、変色の防止が特に重要な課題になる。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、媒体カセットの底部側に収容されたカット紙の経時劣化を防止する手段を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、複数の媒体を収容し、底部に前記媒体の繰出方向の先端部を持上げる媒体ステージを備えたトレイ状の媒体カセットにおいて、前記媒体ステージと、最下位の前記媒体との間に、該媒体の大きさと同等以上の大きさを有する保護シートを設けると共に、前記媒体の先端部側を除く前記保護シートの周縁に側板を立設し、前記媒体の繰出方向に沿った両側の側板の中央部に、全高に渡る切欠部を設けたことを特徴とする。
これにより、本発明は、最下位の媒体と外気との間を遮断して、酸化による変色を防止すると共に、保護シートを媒体の全面に接触させて変色ムラの発生を防止することができ、底部側に収容された媒体の経時劣化を防止することができるという効果が得られる。
このことは、化学的な表面処理を施した媒体を用いた場合に、特に有効である。
以下に、図面を参照して本発明による媒体カセットの実施例について説明する。
図1は実施例1の印刷装置の側方から見た断面を示す説明図、図2は実施例1の給紙カセットの上面を示す説明図、図3は実施例1の給紙カセットの側方から見た断面を示す説明図である。
図1において、10は印刷装置である。本実施例の印刷装置10は、サーマルプリンタであり、主に市役所や町村役場等の公共機関に設置された証明書発行機等に装着される。
このため、本実施例の媒体としてのカット紙Pは、証明書の改ざんの有無を識別するための化学的な表面処理が施されたカット紙Pである。
なお、本実施例の媒体カセットとしての給紙カセット1は、上記した一般的な給紙カセット1と同様であるので、同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例の印刷装置10には、図1に示すように、上下2段のカセット装着部11a、11bが設けられており、所定のサイズ(例えば、A4判)のカット紙Pを複数セットした給紙カセット1が、それぞれ着脱可能に装着される。
12は排出口であり、印刷装置10から証明書等を排出する排出口であって、印刷装置10正面上部に配置されている。
15は印刷部であり、複数の発熱素子を並べたラインサーマルヘッド等を備え、証明書の画像データ等を印刷する機能を有しており、カセット装着部11aと排出口12との間に配置されている。
17は搬送ローラであり、カット紙P等を挟持して搬送する一対のローラで構成されて所定の間隔で複数配置されており、搬送路14a〜14cを形成している。
搬送路14aは、排出口12から印刷部15を経て印刷装置10の後部側で下方に下がって、下段のカセット装着部11bの近傍に至るように設けられ、カセット装着部11a、11bからそれぞれ搬送路14aに合流するように搬送路14b、14cが設けられている。
18は繰出ローラであり、カセット装着部11a、11bに装着された給紙カセット1の繰出方向の先端部の上方に配置され、給紙カセット1にセットされ、媒体ステージとしての用紙ステージ5により持上げられたカット紙Pの先端部を押圧して、カット紙Pを最上位から順に搬送路14b、14cへ繰出す機能を有している。
図2、図3において、20は保護シートであり、紙や樹脂材料等の通気性および熱伝導性が低く、比較的柔軟な可撓性を有する非金属材料で、カット紙Pの大きさと同等以上の大きさの矩形に形成されたシート部材であって、その繰出方向の後端部を接着剤や接着テープ等の接合部材21でカセット本体2の底面3aに接合されて、給紙カセット1の用紙ステージ5上に配置されている。
本実施例の保護シート20は、PET(Poly Ethylene Terephthalate)で形成されており、カット紙Pの有無を検知する透過型センサが設けられている場合には透明な素材で形成される。
本実施例の給紙カセット1を印刷装置10のカセット装着部11aまたは11bに装着する場合は、給紙カセット1のカセット本体2の底部3の保護シート20上に複数のカット紙Pを載置して、用紙ステージ5を底面3aと面一になるように図示しないロック機構によりロックして図3に示す状態にし、これをカセット装着部11aまたは11bに挿入して装着する。
このとき、ロックが解除され付勢部材により用紙ステージ5が上方に回動して載置されたカット紙Pの先端部を保護シート20と共に持上げ、図4に示すように、最上位のカット紙Pを繰出ローラ18に押圧する。
このように、本実施例の給紙カセット1は、金属製の用紙ステージ5と最下位のカット紙Pとの間に、保護シート20を介在させているので、その低通気性により最下位のカット紙Pと外気との間を遮断して、酸化による変色を防止することができると共に、保護シート20がカット紙Pの全面と接触しているので、変色ムラ等が生ずることもない。
また、本実施例の保護シート20は、金属材料に較べて低い熱伝導性を有しているので、外部からの熱影響を抑制して、底部3側に収容されたカット紙Pの表面処理剤の酸化による経時劣化を抑制することが可能になる。
更に、保護シート20の後端部がカセット本体2の底面3aに接合されているので、保護シート20がカット紙Pと共に繰出されてしまうことはない。
更に、本実施例の保護シート20は、非金属材料で形成されているので、長期間金属に触れたままにすると、金属と反応して変色する特性を有する表面処理剤を用いた場合においても、カット紙Pが金属と接触することはなく、金属との反応による変色を長期間に渡って防止することができる。
なお、本実施例では、カット紙Pは、化学的な表面処理が施されたカット紙Pであるとして説明したが、表面処理が施されていない通常のカット紙Pの場合には、更に長期間に渡って酸化による経時劣化を防止することができる。
以上説明したように、本実施例では、給紙カセットの用紙ステージと、最下位のカット紙Pとの間に、カット紙Pの大きさと同等以上の大きさを有する保護シートを設けたことによって、最下位のカット紙Pと外気との間を遮断して、酸化による変色を防止すると共に、保護シートをカット紙Pの全面に接触させて変色ムラの発生を防止することができ、底部側に収容されたカット紙Pが長期間滞留したとしても、その経時劣化を防止することができる。
このことは、化学的な表面処理を施したカット紙Pを用いた場合に、特に有効である。
また、保護シートを、可撓性を有する非金属材料で形成するようにしたことによって、用紙ステージによるカット紙Pの先端部の持上げを円滑に行うことができると共に、金属との接触により変色する可能性のある表面処理を施したカット紙Pを用いた場合においても、その変色を防止することができる。
図5は実施例2の保護トレイを示す斜視図、図6は実施例2の給紙カセットの装着状態を示す説明図である。
なお、上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図5において、30は保護トレイであり、上記実施例1の保護シート20と同様の材料で形成され、カット紙Pの先端部側を除く保護シート20の3方の周縁20aに、収容するカット紙Pの積層厚さより高く、カセット本体の側壁2a(図2、図3参照)の高さより低い高さを有する側板31a〜31cが立設されており、そのカット紙Pの繰出方向に沿った両側の側板31a、31cの中央部には、全高に渡る細い矩形状の切欠部32が設けられている。
このようにすれば、図6に示すように、用紙ステージ5でカット紙Pの先端部を持上げるときに、保護シート20の可撓性を妨げることなく、カット紙Pの周囲の端面を覆うことが可能になる。
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1と同様の効果に加えて、保護シートのカット紙Pの先端部側を除く周縁に側板を立設し、カット紙Pの繰出方向に沿った両側の側板の中央部に、全高に渡る切欠部を設けたことによって、保護シートの可撓性を保持しながらカット紙Pの端面を側板により覆うことが可能になり、カット紙Pの周囲の端面からの変色等も防止することができる。
なお、本実施例においては、側板31a、31cの中央部に設ける切欠部32は、側板31a、31bの全高に渡る細い矩形状であるとして説明したが、図7に示すように、切欠部32を、保護シート20から上方に向かって拡大する2つの斜辺を有する3角形(本実施例では、2等辺3角形)に形成し、その斜辺の間をジャバラ34で扇状に接続するようにしてもよい。
このようにすれば、カット紙Pの繰出方向に沿った両側の端面が、切欠部32の角で擦られることがなくなり、カット紙Pの端面の損傷を防止することができる。
図8は実施例3の保護トレイを示す斜視図、図9は実施例3の給紙カセットのカット紙Pの繰出状態を示す説明図である。
なお、上記実施例1および実施例2と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図8において、36はカット紙Pの先端部側の保護シート20の周縁20aに設けられた側板としてのゲート板であり、実施例1の保護シート20と同様の材料で形成された矩形の板状部材であって、その保護シート20側の端面は、先端部側の周縁20aの全長に渡って周縁20aと接合部37により接合されており、この接合部37をヒンジとして、カット紙Pの繰出方向に開閉可能に構成されている。
このようなゲート板36は、図9に示すように、用紙ステージ5でカット紙Pの先端部を持上げて、最上位のカット紙Pを繰出ローラ18で繰出すときに、繰出されるカット紙Pの先端により開方向に押し開けられ、用紙ステージ5が下がってカセット本体2の底面3aと面一になったときに、カセット本体2のカット紙Pの先端側の側壁2aにより閉じられる。
このようにすれば、保護シート20の可撓性を妨げることなく、カット紙Pの周囲の端面を全て覆うことが可能になる。
以上説明したように、本実施例では、上記実施例2と同様の効果に加えて、カット紙Pの先端部側の保護シートの周縁に、その周縁との接合部をヒンジとしてカット紙Pの繰出方向に開閉可能なゲート板を設けたことによって、保護シートの可撓性を保持しながら、カット紙Pの先端部側の端面をゲート板により覆うことが可能になり、カット紙Pの先端部側の端面からの変色等も防止することができる。
なお、本実施例においては、ゲート板36の保護シート20の周縁20aとの接合部37をヒンジとしてカット紙Pにより押し開けるとして説明したが、図10に示すように、ゲート板36の保護シート20の周縁20aとの接合部37の外側に、ゲート板36を開方向に付勢する板バネ等のバネ部材39を設けるようにしてもよい。
このようにすれば、用紙ステージ5でカット紙Pの先端部を持上げたときに、ゲート板36を自動的に開作動させることが可能になり、カット紙Pの先端が損傷する危惧を払拭することができる。
実施例1の印刷装置の側方から見た断面を示す説明図 実施例1の給紙カセットの上面を示す説明図 実施例1の給紙カセットの側方から見た断面を示す説明図 実施例1の給紙カセットの装着状態を示す説明図 実施例2の保護トレイを示す斜視図 実施例2の給紙カセットの装着状態を示す説明図 実施例2の保護トレイの他の形態を示す斜視図 実施例3の保護トレイを示す斜視図 実施例3の給紙カセットのカット紙の繰出状態を示す説明図 実施例3の保護トレイの他の形態を示す斜視図 一般的な給紙カセットの上面を示す説明図 一般的な給紙カセットの側方から見た断面を示す説明図
符号の説明
1 給紙カセット
2 カセット本体
2a 側壁
3 底部
3a 底面
4 回転支点
5 用紙ステージ
10 印刷装置
11a、11b カセット装着部
12 排出口
14、14a〜14c 搬送路
15 印刷部
17 搬送ローラ
18 繰出ローラ
20 保護シート
20a 周縁
21 接合部材
30 保護トレイ
31a〜31c 側板
32 切欠部
34 ジャバラ
36 ゲート板
37 接合部
39 バネ部材

Claims (5)

  1. 複数の媒体を収容し、底部に前記媒体の繰出方向の先端部を持上げる媒体ステージを備えたトレイ状の媒体カセットにおいて、
    前記媒体ステージと、最下位の前記媒体との間に、該媒体の大きさと同等以上の大きさを有する保護シートを設けると共に、前記媒体の先端部側を除く前記保護シートの周縁に側板を立設し、
    前記媒体の繰出方向に沿った両側の側板の中央部に、全高に渡る切欠部を設けたことを特徴とする媒体カセット。
  2. 請求項1において、
    前記保護シートが、可撓性を有する非金属材料で形成されていることを特徴とする媒体カセット。
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記切欠部を、ジャバラで接続したことを特徴とする媒体カセット。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
    前記媒体の先端部側の前記保護シートの周縁に、該周縁との接合部をヒンジとして、前記繰出方向に開閉可能な側板を設けたことを特徴とする媒体カセット。
  5. 請求項において、
    前記先端部側に設けた側板と、前記保護シートの周縁との接合部に、開方向に付勢するバネ部材を設けたことを特徴とする媒体カセット。
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