従来、用紙の浮き上がりを規制するための浮き上がり規制部を備えた給紙カートリッジが知られている(たとえば、特許文献1〜5参照)。
上記特許文献1に記載のシート搬送装置(給紙カートリッジ)は、シート積載部(用紙収納部)と、シートの搬送方向の後端部が当接される後端ガイドと、シートの搬送方向の後端部がカールする(浮き上がる)のを規制するためのプレート形状の押さえ部材(浮き上がり規制部)とを備えている。このシート搬送装置では、押さえ部材が上下方向に回動可能なように後端ガイドに取り付けられることによって、押さえ部材が、押さえ部材の自重または付勢バネの付勢力により下方向に回動されて、押さえ部材の下方に配置されたシートを下方向に押さえるように構成されている。これにより、シートの後端部が後端ガイドからはみ出すのを抑制することができるので、シートを搬送方向の所定の位置に配置することが可能である。
また、上記特許文献2に記載の給紙トレイ(給紙カートリッジ)は、転写紙(用紙)の搬送方向の後端部が当接される壁部と、転写紙の搬送方向に平行に配置され、転写紙の搬送方向と直交する幅方向の両端部が当接されるサイドフェンスと、転写紙が浮き上がるのを規制するための転写紙押さえ部材(浮き上がり規制部)とを含んでいる。また、この給紙トレイでは、転写紙押さえ部材により転写紙の搬送方向と直交する幅方向の両端部が浮き上がるのを規制することによって、転写紙の幅方向の両端部がサイドフェンスからはみ出すのを抑制することができるので、転写紙を搬送方向と直交する幅方向の所定の位置に配置することが可能である。
また、上記特許文献3に記載のスタンプ作成装置に取り付けられるマガジン体(給紙カートリッジ)は、原稿シートの搬送方向に平行に配置され、原稿シートの搬送方向と直交する幅方向の両端部が当接される枠体と、原稿シートが浮き上がるのを規制するための浮き上がり規制片とを含んでいる。また、このマガジン体では、浮き上がり規制片により原稿シートの搬送方向と直交する幅方向の両端部が浮き上がるのを規制することによって、原稿シートの幅方向の両端部が枠体からはみ出すのを抑制することができるので、原稿シートを搬送方向と直交する幅方向の所定の位置に配置することが可能である。
また、上記特許文献4に記載の給紙トレイ(給紙カートリッジ)は、用紙の搬送方向の後端部が当接されるエンドフェンスと、用紙の搬送方向に平行に配置され、用紙の搬送方向と直交する幅方向の両端部が当接される規制部材と、用紙が浮き上がるのを規制するためのカール押さえ手段とを含んでいる。また、この給紙トレイでは、カール押さえ手段により用紙の搬送方向と直交する幅方向の両端部が浮き上がるのを規制することによって、用紙の幅方向の両端部が規制部材からはみ出すのを抑制することができるので、用紙を搬送方向と直交する幅方向の所定の位置に配置することが可能である。
また、上記特許文献5に記載の給紙装置の手差し給紙部(給紙カートリッジ)は、用紙の搬送方向に平行に配置され、用紙の搬送方向と直交する幅方向の両端部が当接されるサイドフェンスと、用紙が浮き上がるのを規制するための押さえ部材とを含んでいる。また、この手差し給紙部では、押さえ部材により用紙の搬送方向と直交する幅方向の両端部が浮き上がるのを規制することによって、用紙の幅方向の両端部がサイドフェンスからはみ出すのを抑制することができるので、用紙を搬送方向と直交する幅方向の所定の位置に配置することが可能である。
特開平7−315607号公報
特開平7−215508号公報
特許第3837940号公報
特開2001−88970号公報
特開2003−312872号公報
この一の局面による給紙カートリッジでは、上記のように、用紙が収納される用紙収納部と、用紙の搬送方向の後端部が浮き上がるのを規制することが可能な浮き上がり規制部とを設けることによって、用紙の搬送方向の後端部が浮き上がる場合にも、浮き上がり規制部によって用紙の後端部の浮き上がりが規制される。これにより、浮き上がり規制部が、用紙の後端部が用紙収納部の用紙の後端部が当接される部分の上端部から上方にはみ出すのを抑制することができるので、用紙を搬送方向の所定の位置に配置することができる。また、用紙が用紙収納部に収納される際に、浮き上がり規制部を、用紙収納部の用紙の後端部が当接される部分の上端部よりも高い位置に配置することによって、ユーザが浮き上がり規制部を上方向に持ち上げることなく、用紙を浮き上がり規制部の下方に配置することができるので、容易に用紙を用紙収納部に収納することができる。したがって、この給紙カートリッジは、ユーザによる用紙の収納作業を煩雑化させることなく、用紙を搬送方向の所定の位置に配置することができる。
上記一の局面による給紙カートリッジにおいて、好ましくは、用紙は、少なくとも後端部に、印刷後に切り落とされる余白部を含み、浮き上がり規制部は、用紙の後端部に含まれる余白部に当接することによって、用紙の後端部が浮き上がるのを規制するように構成されている。このように構成すれば、浮き上がり規制部が用紙の印刷される部分には当接されないので、用紙の印刷される部分が浮き上がり規制部によって損傷されるのを抑制することができる。
上記一の局面による給紙カートリッジにおいて、好ましくは、浮き上がり規制部は、少なくとも用紙の搬送方向と直交する用紙の幅方向の両端部近傍に配置されている。このように構成すれば、浮き上がる可能性の大きい用紙の幅方向の両端部が浮き上がるのを規制することができるので、確実に用紙を用紙収納部に配置することができる。
この場合、好ましくは、浮き上がり規制部は、少なくとも上下方向に撓み変形可能に構成されており、浮き上がり規制部は、下方に蓋部が閉じられる際に、撓み変形されることによって、用紙収納部の用紙の後端部が当接される部分の上端部よりも高い位置から用紙収納部の用紙の後端部が当接される部分の上端部よりも低い位置に配置されるように移動されるように構成されている。このように構成すれば、浮き上がり規制部にヒンジなどの回動機構を別途設けることなく、浮き上がり規制部を下方に移動させることができるので、部品点数を増加させることなく、浮き上がり規制部を移動させることができる。
上記一の局面による給紙カートリッジにおいて、好ましくは、用紙収納部の用紙の後端部が当接される部分は、用紙の搬送方向の後ろ側に配置される壁部を含み、浮き上がり規制部は、壁部に取り付けられている。このように構成すれば、浮き上がり規制部を容易に、用紙の後端部近傍に配置することができるので、容易に用紙の後端部の浮き上がりを規制することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態による給紙カートリッジを昇華型プリンタに取り付けた状態の全体構造を示した斜視図である。図2は、図1に示した一実施形態による給紙カートリッジを昇華型プリンタから取り外した状態の全体構造を示した斜視図である。また、図3〜図15は、図1に示した本発明の一実施形態による給紙カートリッジの詳細構造を説明するための図である。図1〜図15を参照して、本発明の一実施形態による給紙カートリッジ1の構成について説明する。なお、本実施形態では、昇華型プリンタ10に装着される給紙カートリッジ1に本発明を適用した場合について説明する。
本発明の一実施形態による給紙カートリッジ1は、図1および図2に示すように、昇華型プリンタ10の装置本体11の用紙供給口11aに対して着脱可能に構成されている。この給紙カートリッジ1は、図3〜図5に示すように、用紙収納部材2と、開閉可能な蓋部材3と、用紙押上げ部材4とを含んでいる。また、昇華型プリンタ10は、図2に示すように、印字部(図示せず)を含む装置本体11と、昇華型プリンタ10に供給される用紙20(図1参照)を1枚ずつ分離する用紙分離部材12と、給紙カートリッジ1の用紙押上げ部材4を押上げる押上げレバー13と、用紙20を昇華型プリンタ10の内部に搬送するための給紙ローラ14と、印刷された用紙20を外部に排紙する2つの排紙ローラ15とを含んでいる。なお、用紙収納部材2は、本発明の「用紙収納部」の一例であり、蓋部材3は、本発明の「蓋部」の一例である。
昇華型プリンタ10の押上げレバー13は、図13に示すように、給紙カートリッジ1が装置本体11に装着されている場合に、用紙押上げ部材4の下部を支持するように構成されている。この押上げレバー13は、用紙押上げ部材4を上方に持ち上げることにより、用紙押上げ部材4の上部に配置されている用紙20の前方(矢印X1方向)部を給紙ローラ14に当接させる機能を有する。また、給紙ローラ14は、押上げレバー13が用紙押上げ部材4を上方に持ち上げている際に、給紙ローラ14に当接している用紙20が装置本体11の内部に搬送される方向に回転するように構成されている。
また、用紙収納部材2は、図1に示すように、昇華型プリンタ10に供給される用紙20を収納するために設けられている。この用紙収納部材2の底部には、図6に示すように、用紙20(図1参照)が載置される用紙載置部2aが設けられている。また、用紙載置部2aの矢印X1方向側の端部には、昇華型プリンタ10の用紙分離部材12(図2参照)に嵌め込まれる一対の凹部2bが形成されている。また、図5〜図7に示すように、用紙載置部2aの凹部2bの矢印X2方向側には、後述する用紙押上げ部材4の係合部4aと係合する一対の取付穴部2cが設けられている。
また、図6および図7に示すように、用紙収納部材2の矢印X1方向側には、用紙供給口11a(図1および図2参照)内に挿入されるプリンタ挿入部2dが設けられている。また、このプリンタ挿入部2dに対応する部分において矢印Y1方向側および矢印Y2方向側の外側面には、それぞれ、外側に突出する係合片2eが設けられている。これらの係合片2eが昇華型プリンタ10に設けられた係合部(図示せず)に係合するとともに、底面の一対の凹部2bが昇華型プリンタ10の用紙分離部材12(図2参照)に嵌合することによって、給紙カートリッジ1を、用紙供給口11aに対して着脱可能に固定することが可能となる。
また、図6および図7に示すように、用紙載置部2aの矢印Y1およびY2方向のそれぞれの端部には、用紙20が装置本体11の内部に搬送される方向(矢印X1方向)に実質的に平行に配置された一対の側壁部2fが設けられている。また、用紙収納部材2の矢印Y1方向側の側壁部2fの矢印Y1方向側と矢印Y2方向側の側壁部2fの矢印Y2方向側とには、それぞれ、蓋部材3を取り付けるための取付部2gが設けられている。これらの取付部2gは、それぞれ、用紙収納部材2の矢印Y1方向側の側壁部2fの外側面(矢印Y1方向側の面)と矢印Y2方向側の側壁部2fの外側面(矢印Y2方向側の面)とに、対向するように配置されているとともに、各外側面に対して所定の間隔を隔てて配置されている。また、取付部2gは、それぞれ、連結部2hによって、用紙収納部材2に連結されている。また、矢印Y1方向側の取付部2gの矢印Y1方向側の面および矢印Y2方向側の取付部2gの矢印Y2方向側の面の矢印X1方向側には、凹凸形状の把持部2iが形成されている。また、矢印Y1方向側の取付部2gの矢印Y2方向側の面と矢印Y2方向側の取付部2gの矢印Y1方向側の面との矢印X2方向側には、それぞれ、後述する蓋部材3の長穴部3a(図1〜図5参照)と係合する軸部2jが設けられている。
また、用紙収納部材2の矢印Y1方向側の側壁部2fには、用紙付勢部2kが設けられており、用紙付勢部2kの矢印Y1方向側の取付部2gに対向する面には突起片2l(図7参照)が設けられている。この突起片2lは、後述する蓋部材3の押圧部3c(図5参照)により、矢印Y2方向側に向かって押圧されるように構成されている。また、用紙付勢部2kは、突起片2lが矢印Y2方向に押圧された際に、矢印Y2方向に弾性変形されるように構成されている。これにより、図11に示すように、用紙載置部2aに載置された用紙20を、用紙収納部材2の矢印Y2方向側の側壁部2fの矢印Y1方向側の面に付勢することが可能となるので、用紙20が用紙載置部2aの矢印Y1方向および矢印Y2方向にずれるのを抑制することが可能となる。これにより、用紙20は、搬送方向(矢印X1方向)に直交する幅方向(矢印Y1方向および矢印Y2方向)の所定の位置に配置される。また、用紙載置部2aの用紙20が搬送される方向(矢印X1方向)の後ろ側(矢印X2方向側)の端部には、用紙20の搬送方向(矢印X1方向)と直交する幅方向(矢印Y1方向および矢印Y2方向)に配置された後壁部2mが設けられている。この後壁部2mは、用紙載置部2aに載置される用紙20の搬送方向(矢印X1方向)の後端部が当接されるように構成されている。なお、後壁部2mは、本発明の「壁部」の一例である。
また、蓋部材3は、図3および図4に示すように、用紙収納部材2に対して開閉可能に取り付けられており、用紙収納部材2の内部に埃などが侵入するのを抑制するために設けられている。蓋部材3は、図5に示すように、矢印Y1方向側および矢印Y2方向側に、それぞれ、用紙収納部材2の用紙載置部2aに対して垂直な側面を有する。また、この蓋部材3の矢印Y1方向側および矢印Y2方向側の側面の矢印X2方向側には、それぞれ、長穴部3aが形成されている。これら長穴部3aは、それぞれ、矢印X1方向および矢印X2方向に延びるように形成されており、各長穴部3aには、用紙収納部材2の軸部2j(図7および図8参照)が長穴部3aに沿ってスライド可能に取り付けられている。また、図3、図4および図8に示すように、蓋部材3は、用紙収納部材2に取り付けられて閉じた状態において、蓋部材3が矢印X2方向にスライドされた際に、用紙収納部材2に対して開口可能に構成されている。また、図1〜図5に示すように、蓋部材3の矢印Y1方向側および矢印Y2方向側の側面の矢印X1方向側には、それぞれ、給紙カートリッジ1が閉じた状態のときに用紙収納部材2の係合片2eと係合する穴部3bが形成されている。また、図5および図11に示すように、蓋部材3の矢印Y1方向側の側面の用紙付勢部2kの突起片2lと対向する位置には、用紙付勢部2kの突起片2lを押圧するための押圧部3cが設けられている。
また、図4〜図7に示すように、用紙押上げ部材4の矢印X2方向側の端部には、用紙収納部材2の一対の取付穴部2cに回動可能に係合する係合部4aが一体的に形成されている。また、図4〜図7および図13に示すように、用紙押上げ部材4の裏面(矢印Z2方向側の面)には、用紙20をより上部に押し上げるための突起部4bが一体的に形成されている。これら突起部4bは、図7および図13に示すように、昇華型プリンタ10の押上げレバー13の上面に当接する位置に形成されている。また、図2〜図7に示すように、用紙押上げ部材4の矢印X1方向側の端部には、用紙収納部材2の凹部2bに対応するように一対の切欠部4cが形成されている。これら一対の切欠部4cは、給紙カートリッジ1を昇華型プリンタ10に装着させる際に、昇華型プリンタ10の用紙分離部材12と用紙押上げ部材4とが当接するのを抑制する機能を有する。
ここで、本実施形態では、図6および図7に示すように、用紙収納部材2の後壁部2mには、用紙20の搬送方向(矢印X1方向)の後端部がカールして浮き上がるのを規制するための一対の浮き上がり規制部材5が取り付けられている。具体的には、一対の浮き上がり規制部材5は、それぞれ、用紙収納部材2の後壁部2mの矢印Y1方向側および矢印Y2方向側の端部近傍に配置されている。したがって、用紙20を用紙収納部2に収納した場合には、浮き上がり規制部材5は、用紙20の搬送方向(矢印X1方向)と直交する幅方向(矢印Y1方向および矢印Y2方向)の両端部近傍に配置される。また、図8に示すように、浮き上がり規制部材5は、取付部5aが後壁部2mの矢印X1方向側の面に所定の粘着力を有する両面テープ(図示せず)により接着されることによって、後壁部2mに取り付けられている。これにより、浮き上がり規制部材5を容易に、用紙20の後端部近傍に配置することが可能であるので、容易に用紙20の後端部の浮き上がりを規制することが可能である。
また、本実施形態では、図9に示すように、浮き上がり規制部材5は、撓み変形可能な板状の樹脂材料により形成されている。この浮き上がり規制部材5は、用紙収納部材2の後壁部2mの矢印X1方向側の面に接着される取付部5aと、用紙20に当接される本体部5bと、取付部5aおよび本体部5bの境界部に形成された一対の切欠部5cとを含んでいる。なお、本体部5bは、本発明の「浮き上がり規制部」の一例である。また、取付部5aと本体部5bとは、90度よりも大きな角度α(約120度)を形成するように配置されている。このため、図8に示すように、取付部5aが用紙収納部2の後壁部2mの矢印X1方向側の面に接着された場合には、本体部5bは、水平方向に対して角度β(約30度)で上方向(矢印Z1方向)に傾斜するように配置される。したがって、浮き上がり規制部材5が用紙収納部2の後壁部2mに取り付けられた状態で、本体部5bは、用紙収納部2の後壁部2mの高さh1よりも高い位置に配置される。また、本体部5bの端部5dは、本体部5bが水平方向に対して角度β(約30度)で傾斜するように配置されている状態で、水平方向に対して本体部5bが傾斜する角度βよりも大きい角度γ(約50度〜約70度)で傾斜するように折り曲げ加工されている。
また、一対の切欠部5cは、取付部5aおよび本体部5bの境界部で、浮き上がり規制部材5の矢印Y1方向側の端部および矢印Y2方向側の端部にそれぞれ1つずつ設けられている。すなわち、取付部5aおよび本体部5bの境界部における浮き上がり規制部材5の矢印Y1およびY2方向側の幅d1は、浮き上がり規制部材5の他の部分の幅d2よりも小さくなるように形成されている。これにより、取付部5aが用紙収納部2の後壁部2mに取り付けられた状態で、本体部5bが下方向(矢印Z2方向)に押圧された場合に、取付部5aおよび本体部5bの境界部が容易に撓み変形されて、本体部5bを容易に下方向(矢印Z2方向)に移動することが可能である。さらに、取付部5aおよび本体部5bの境界部が容易に撓み変形することによって、取付部5aおよび後壁部2mの接着部に負担がかからないので、取付部5aおよび後壁部2mが離間されるのを抑制することが可能である。
また、本実施形態では、用紙20は、蓋部材3が開けられた状態で用紙収納部材2に収納される。具体的には、図8に示すように、蓋部材3が開けられた状態において、用紙収納部材2の後壁部2mに取り付けられた浮き上がり規制部材5の本体部5bは、後壁部2mの高さh1よりも高い位置に配置されており、この状態で、ユーザにより用紙20は用紙収納部材2に収納される。これにより、用紙20の収納に際して浮き上がり規制部材5の本体部5bが支障とならないので、ユーザは容易に用紙20を用紙収納部材2に収納することが可能である。また、図10に示すように、用紙20の後端部が浮き上がる場合にも、用紙20の後端部が浮き上がり規制部材5の本体部5bの下側面(矢印Z2方向側の面)に当接し、浮き上がり規制部材5が用紙20の後端部が浮き上がるのを規制するので、用紙20は用紙収納部材2からはみ出すことなく、用紙収納部材2に収納される。
また、図11に示すように、蓋部材3が閉じられることによって、用紙収納部材2の後壁部2mに取り付けられた浮き上がり規制部材5の本体5bは、後壁部2mの高さh1よりも低い位置に配置されるように構成されている。具体的には、浮き上がり規制部材5の本体部5bは、蓋部材3が閉じられることによって、蓋部材3の用紙収納部材2側の面に当接されて下方向(矢印Z2方向)に押圧される。これにより、取付部5aおよび本体部5bの境界部が撓み変形されて、本体部5bが下方向(矢印Z2方向)に移動される。その結果、浮き上がり規制部材5の本体部5bは、用紙収納部材2の後壁部2mの高さh1よりも低い位置に配置される。この際、図12に示すように、浮き上がり規制部材5の本体部5bは、後述する用紙20の余白部20bに当接することによって、用紙20の後端部が浮き上がるのを規制するように構成されている。これにより、浮き上がり規制部材5の本体部5bは用紙20の印刷領域20cに当接しないので、浮き上がり規制部材5により印刷領域20cが損傷されるのを抑制することが可能である。また、用紙20が用紙収納部材2の後壁部2mの高さh1よりも低い位置に配置されるので、確実に用紙20を用紙収納部材2の所定の位置に配置することができ、その結果、図13に示すように、給紙ローラ14は、複数の用紙20のうちの最も上に積載されたものから順に、用紙20を昇華型プリンタ10の内部に搬送することが可能である。また、図11に示すように、浮き上がり規制部材5の本体部5bの端部5dが折り曲げ加工されているため、昇華型プリンタ10の所定の動作によって、用紙20の後端部が本体部5bの矢印X1方向側から矢印X2方向側へ搬送方向と反対の方向に送り戻される場合にも、用紙20の後端部がスムーズに本体部5bの下方に戻される。
また、本実施形態では、図14に示すように、用紙20の矢印X1方向側および矢印X2方向側の端部近傍には、それぞれ、矢印Y1方向側の端部と矢印Y2方向側の端部との間を直線状に結ぶミシン目20aが設けられている。ミシン目20aは、用紙20の矢印X1方向側および矢印X2方向側の端部からそれぞれ所定の距離を隔てて形成されている。また、用紙20の矢印X1方向側のミシン目20aよりも矢印X1方向側の領域の余白部20bは、図15に示すように、印刷後、ミシン目20aに沿って、用紙20のミシン目20aよりも矢印X2方向側の印刷領域20cから切り落とし可能に構成されている。また、用紙20の矢印X2方向側のミシン目20aよりも矢印X2方向側の領域の余白部20bも、印刷後、ミシン目20aに沿って、用紙20のミシン目20aよりも矢印X1方向側の印刷領域20cから切り落とし可能に構成されている。なお、用紙20の余白部20bは、それぞれ、印刷後にユーザにより切り離されるように構成されている。
本実施形態では、上記のように、用紙20が収納される用紙収納部材2と、用紙20の搬送方向の後端部が浮き上がるのを規制することが可能な浮き上がり規制部材5の本体部5bとを設けることによって、用紙20の搬送方向の後端部が浮き上がる場合にも、浮き上がり規制部材5の本体部5bによって用紙20の後端部の浮き上がりが規制される。これにより、本体部5bが、用紙20の後端部が用紙収納部材2の後壁部2mからはみ出すのを抑制することができるので、用紙20を搬送方向の所定の位置に配置することができる。また、用紙20が用紙収納部材2に収納される際に、浮き上がり規制部材5の本体部5bを、用紙収納部材2の後壁部2mの高さh1よりも高い位置に配置することによって、ユーザが浮き上がり規制部材5の本体部5bを上方向に持ち上げることなく、用紙20を浮き上がり規制部材5の本体部5bの下方に配置することができるので、容易に用紙20を用紙収納部材2に収納することができる。したがって、この給紙カートリッジ1は、ユーザによる用紙20の収納作業を煩雑化させることなく、用紙20を搬送方向の所定の位置に配置することができる。
また、本実施形態では、用紙20に、少なくとも後端部に、印刷後に切り落とされる余白部20bを設け、浮き上がり規制部材5を、用紙20の後端部に含まれる余白部20bに当接することにより用紙20の後端部が浮き上がるのを規制するように構成することによって、浮き上がり規制部材5の本体部5bが用紙20の印刷される部分には当接されないので、用紙20の印刷領域20cが浮き上がり規制部材5によって損傷されるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、浮き上がり規制部材5を、少なくとも用紙20の搬送方向と直交する用紙20の幅方向の両端部近傍に配置することによって、浮き上がる可能性の大きい用紙20の幅方向の両端部が浮き上がるのを規制することができるので、確実に用紙20を用紙収納部材2に収納することができる。
また、本実施形態では、浮き上がり規制部材5を、少なくとも上下方向に撓み変形可能に構成し、浮き上がり規制部材5を、下方に蓋部材3が閉じられる際に、撓み変形されることによって、用紙収納部材2の後壁部2mの高さh1よりも高い位置から後壁部2mの高さh1よりも低い位置に配置されるように移動されるように構成することによって、浮き上がり規制部材5にヒンジなどの回動機構を別途設けることなく、浮き上がり規制部材5を下方に移動させることができるので、部品点数を増加させることなく、浮き上がり規制部材5を移動させることができる。
また、図16〜図18は、図1に示した一実施形態による給紙カートリッジに浮き上がり規制部材を設けない比較例を示した図である。次に、図16〜図18を参照して、本発明の一実施形態による給紙カートリッジ1に浮き上がり規制部材5を設けない場合(比較例)について説明する。
図16および図17に示すように、用紙20の後端部が用紙収納部材2の後壁部2mの高さh1(図17参照)よりも高い位置まで浮き上がる場合があり、用紙20の後端部が用紙収納部材2の後壁部2mからはみ出すので、用紙20の後端部を後壁部2mの内側に収納することができない。また、用紙20の後端部が用紙収納部材2の後壁部2mからはみ出した状態では、図18に示すように、後端部がはみ出した用紙20は給紙ローラ14に当接されないので、昇華型プリンタ10の内部に搬送されることなく、用紙収納部材2に残留されるという不都合が生じる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、昇華型プリンタに装着される給紙カートリッジに本発明を適用する例を示したが、本発明はこれに限らず、昇華型プリンタ以外の他の装置に装着される給紙カートリッジについても適用可能である。
また、上記実施形態では、用紙の矢印X1方向側の端部と矢印X2方向側の端部とに印刷後に切り落とされる余白部を設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、余白部を設けない構成にしてもよいし、矢印Y1方向側および矢印Y2方向側に設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、一対の浮き上がり規制部材を、それぞれ、用紙収納部材の後壁部の矢印Y1方向側および矢印Y2方向側の端部近傍に設ける例を示したが、本発明はこれに限らず、用紙の後端部が浮き上がるのを規制することが可能であれば、1つの浮き上がり規制部材、または、3つ以上の複数の浮き上がり規制部材を用いてもよい。