JP4929529B2 - 光学系の製造方法、および該製造方法で製造された光学系を備えた露光装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学系の製造方法、および該製造方法で製造された光学系を備えた露光装置に関する。特に、本発明は、半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等のマイクロデバイスをリソグラフィー工程で製造するための露光装置に用いられる投影光学系の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
LSIの製造において、回路パターンを形成するリソグラフィー工程では紫外線を光源とする半導体露光装置が用いられている。この種の半導体露光装置にはマスク上のパターンをウェハ上のレジストに転写する投影光学系が組み込まれ、投影光学系には収差を極限まで低減することが求められている。LSIの集積度は3年で2倍の速度で増大しているが、露光装置(ひいては投影光学系)やレジストの解像力の向上により、LSIの高集積化の要請に合ったスピードで加工の微細化を実現している。
【0003】
ところが、近年、露光装置やレジストの解像性能の向上速度がLSIの微細化の速度よりも低いため、解像力の余裕がなくなりつつある。その結果、解像性能の限界に近い条件で、LSIのパターン形成がなされるようになっている。例えば、k1ファクターと呼ばれるパラメータは10年前には約0.8であったが、現在では約0.6であり、今後は約0.4を前提とした開発が進んでいる。このような状況においては、投影光学系の収差により回路パターンの線幅や形状がばらつき易い。したがって、回路の特性のばらつきを良好に抑え、ひいてはLSIの品質を良好に保つには、投影光学系の収差を一定範囲に抑えることが必須となっている。
【0004】
一般に、露光装置に搭載される投影光学系は20枚以上のレンズ(レンズ要素)から構成され、投影光学系の収差は光学設計の段階では所定の値以下に抑えられている。しかしながら、実際に作られる個々のレンズは、製造誤差により設計値からずれた特性を有する。例えば、個々のレンズを形成する光学材料(レンズ材料)として屈折率が均一な合成石英を入手しようとしても、実際に入手可能な光学材料には屈折率の均一性について限界があり、光学材料の屈折率ムラ(屈折率分布)が最終的に投影光学系の収差を劣化させる要因の1つとなる。また、レンズ表面の研磨工程では干渉計で面形状を随時計測しながら研磨を繰り返すが、投影光学系の工業生産を経済的に行うには、その収差にある程度影響を与えるような加工誤差を残さざるを得ない。すなわち、レンズの面形状の誤差も、投影光学系における収差発生の要因の1つとなる。
【0005】
さらに、多数のレンズを用いて組み立てられた投影光学系の収差を小さく抑えるように光学調整する調整工程では、レンズを光軸に沿って移動させてレンズ間の間隔を変化させる間隔調整や、レンズを光軸に対して垂直にシフト(移動)させたりチルト(傾斜)させたりする偏芯調整により、投影光学系を最小の収差状態にする。また、投影光学系の収差をさらに低減するために、レンズを光軸廻りに回転させる回転調整によりレンズの回転非対称な誤差の影響を低減することも合わせて行われる。しかしながら、間隔調整や偏芯調整や回転調整においても、その設定(レンズの移動量、シフト量、チルト量、回転角度など)に誤差が残り、この設定誤差も投影光学系における収差発生の要因の1つとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、多数のレンズから構成される投影光学系では、光線の透過部分が各レンズによって異なり、且つ多数のレンズを通過する時に受ける波面の位相の進みと遅れとがランダムに重なり合うので、必ずしも各レンズの波面誤差の影響がそのまま累積されるわけではない。したがって、例えば25枚のレンズを用いて波面収差が10mλ(λ:露光光の波長)程度の投影光学系を製造する場合、1枚のレンズに許容される波面誤差(波面のずれ)は2mλ程度である。この場合、レンズには屈折率分布が存在するので、レンズの片面において許容される面形状の誤差(波面誤差)は0.5〜1mλ程度となる。
【0007】
露光光の波長λを248nmとし、且つレンズを形成する光学材料の屈折率を1.6とすると、0.5〜1mλ程度の波面誤差は、光線の進行方向に沿って0.25〜0.5nmの形状誤差に相当する。現状の最も進んだ研磨技術をもってしても、直径200mm以上のレンズをこのような誤差で加工するのは不可能であり、加工誤差の最もよいレンズ部品でもその形状誤差は数nm程度である。以上のように、従来の投影光学系の製造方法では、レンズの屈折率分布やレンズの面形状誤差などの影響により、波面収差で10mλ以下の極低収差の投影光学系を製造することはできなかった。
【0008】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、個々のレンズに屈折率分布や面形状誤差がある程度存在しても、たとえば波面収差で10mλ以下の極低収差の投影光学系を製造することのできる光学系の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、たとえば波面収差で10mλ以下の極低収差の投影光学系を備えて、高解像のもとで良好な露光を行うことのできる露光装置を提供することを目的とする。さらに、たとえば波面収差で10mλ以下の極低収差の投影光学系を備えた露光装置を用いて、高解像で良好な露光条件のもとで良好なマイクロデバイスを製造することのできるマイクロデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の第1発明では、少なくとも1つのレンズを有する光学系の製造方法において、
前記少なくとも1つのレンズを形成する光学材料における屈折率分布を計測する屈折率分布計測工程と、
前記少なくとも1つのレンズにおける表面形状を計測する面形状計測工程と、
前記屈折率分布計測工程の計測結果と前記面形状計測工程の計測結果とに基づいて前記少なくとも1つのレンズの光学的誤差を求める算出工程と、
前記算出工程の算出結果に基づいて前記少なくとも1つのレンズの表面に対して所定の厚さ分布を有する薄膜を形成する補正膜形成工程とを含むことを特徴とする光学系の製造方法を提供する。
【0010】
第1発明の好ましい態様によれば、前記算出工程は、少なくとも前記屈折率分布計測工程の計測結果と前記面形状計測工程の計測結果とに基づいて前記少なくとも1つのレンズを介して発生する波面誤差を算出する波面誤差算出工程と、前記波面誤差算出工程の算出結果に基づいて前記波面誤差を補正するために前記少なくとも1つのレンズの表面に形成すべき薄膜の厚さ分布を算出する厚さ分布算出工程とを含み、前記補正膜形成工程は、前記厚さ分布算出工程の算出結果に基づいて前記少なくとも1つのレンズの表面に対して所定の厚さ分布を有する薄膜を形成する。また、前記補正膜形成工程は、前記少なくとも1つのレンズの表面に薄膜を形成する薄膜形成工程と、前記薄膜形成工程で形成された薄膜の厚さ分布を補正する薄膜補正工程とを含むことが好ましい。
【0011】
また、第1発明の好ましい態様によれば、前記算出工程に先立って、前記少なくとも1つのレンズの表面に薄膜を形成する薄膜形成工程と、前記少なくとも1つのレンズを介して発生する波面誤差を計測する波面誤差計測工程とをさらに含み、前記算出工程は、前記屈折率分布計測工程の計測結果と前記面形状計測工程の計測結果と前記波面誤差計測工程の計測結果とに基づいて、前記波面誤差を補正するために前記少なくとも1つのレンズの表面に形成すべき薄膜の厚さ分布を算出する。
【0012】
さらに、第1発明の好ましい態様によれば、前記補正膜形成工程の後に前記少なくとも1つのレンズを用いて光学系を組み立てる組立工程と、前記組立工程で組み立てられた前記光学系の収差を測定する収差測定工程と、前記収差測定工程の測定結果に基づいて前記少なくとも1つのレンズの表面に形成された薄膜の厚さ分布を補正する第2膜厚補正工程とを含む。あるいは、前記補正膜形成工程の後に前記少なくとも1つのレンズを用いて光学系を組み立てる組立工程と、前記組立工程で組み立てられた前記光学系の収差を測定する第1収差測定工程と、前記第1収差測定工程の測定結果に基づいて前記少なくとも1つのレンズを調整するレンズ調整工程と、前記レンズ調整工程で調整された前記光学系の収差を測定する第2収差測定工程と、前記第2収差測定工程の測定結果に基づいて前記少なくとも1つのレンズの表面に形成された薄膜の厚さ分布を補正する第2膜厚補正工程とを含むことが好ましい。
【0013】
本発明の第2発明では、複数のレンズを有する光学系の製造方法において、
前記複数のレンズを用いて光学系を組み立てる組立工程と、
前記組立工程で組み立てられた前記光学系の収差を測定する収差測定工程と、
前記収差測定工程の測定結果に基づいて前記複数のレンズのうちの少なくとも1つのレンズの表面に形成された薄膜の厚さ分布を補正する膜厚補正工程とを含むことを特徴とする光学系の製造方法を提供する。
【0014】
第2発明の好ましい態様によれば、前記複数のレンズをそれぞれ形成する各光学材料の屈折率分布および前記複数のレンズそれぞれの表面形状のうち少なくとも一方を計測する部材計測工程をさらに含み、前記膜厚補正工程は、前記収差測定工程の測定結果と前記部材計測工程の計測結果とに基づいて前記複数のレンズのうちの少なくとも1つのレンズの表面に形成された薄膜の厚さ分布を補正する。
【0015】
本発明の第3発明では、複数のレンズを有する光学系の製造方法において、
前記複数のレンズを用いて光学系を組み立てる組立工程と、
前記組立工程で組み立てられた前記光学系の収差を測定する第1収差測定工程と、
前記第1収差測定工程の測定結果に基づいて前記光学系中の少なくとも1つのレンズを調整するレンズ調整工程と、
前記レンズ調整工程で調整された前記光学系の収差を測定する第2収差測定工程と、
前記第2収差測定工程の測定結果に基づいて前記複数のレンズのうちの少なくとも1つのレンズの表面に形成された薄膜の厚さ分布を補正する膜厚補正工程とを含むことを特徴とする光学系の製造方法を提供する。
【0016】
第3発明の好ましい態様によれば、前記複数のレンズをそれぞれ形成する各光学材料の屈折率分布および前記複数のレンズそれぞれの表面形状のうち少なくとも一方を計測する部材計測工程をさらに含み、前記膜厚補正工程は、前記第2収差測定工程の測定結果と前記部材計測工程の計測結果とに基づいて前記複数のレンズのうちの少なくとも1つのレンズの表面に形成された薄膜の厚さ分布を補正する。また、前記レンズ調整工程は、前記光学系中の少なくとも1つのレンズを前記光学系の光軸に沿って移動させる移動調整工程と、前記光学系中の少なくとも1つのレンズを前記光軸と交差する方向に沿ってシフトさせるシフト調整工程と、前記光学系中の少なくとも1つのレンズを前記光軸に対して傾けるチルト調整工程と、前記光学系中の少なくとも1つのレンズを前記光軸廻りに回転させる回転調整工程との少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0017】
第2発明および第3発明の好ましい態様によれば、前記組立工程に先立って、前記光学系を構成すべき複数のレンズを製造するレンズ製造工程と、前記レンズ製造工程で製造された複数のレンズの形状に関する情報を計測するレンズ形状計測工程と、前記レンズ形状計測工程で計測された複数のレンズから前記光学系を構成すべき複数のレンズを選択する選択工程と、前記選択工程で選択された複数のレンズの形状に関する計測情報に基づいて前記光学系の光学性能を予測評価する予測評価工程と、前記予測評価工程で予測される前記光学系の光学性能が許容できる複数のレンズの最適な組み合わせが決定されるまで前記選択工程と前記予測評価工程とを繰り返す繰り返し工程とをさらに含む。
【0018】
第1発明〜第3発明の好ましい態様によれば、前記薄膜は多層膜を含み、前記補正膜形成工程は、前記多層膜の最も外側の層の膜厚の15%以下の補正量を付加する。
【0019】
本発明の第4発明では、所定のパターンが形成されたマスクを照明する照明光学系と、
前記マスクのパターン像を感光性基板に投影するための第1発明〜第3発明の製造方法によって製造された光学系とを備えていることを特徴とする露光装置を提供する。
【0020】
本発明の第5発明では、第4発明の露光装置を用いて前記マスクのパターンを感光性基板に露光する露光工程と、
前記露光工程により露光された前記感光性基板を現像する現像工程とを含むことを特徴とするマイクロデバイスの製造方法を提供する。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の基本的な原理を説明する図である。まず、図1(a)に示すように、実際に製造されたレンズ1の表面2が設計上の理想面(ベストフィット面)3から光束11の進行方向に沿ってdだけずれている場合を考える。この場合、レンズ1の面形状の誤差に起因して、すなわち設計上の理想面3と実際の表面2との光束進行方向に沿ったずれdに起因して、レンズ1を介した透過光には波面の誤差(理想のレンズを介して得られる波面と実際のレンズを介して得られる波面との光束進行方向に沿ったずれ)が発生する。
【0022】
本発明では、レンズ1の面形状誤差に起因して発生する波面誤差(波面のずれ)を補正するために、所定の厚さ分布を有する薄膜(たとえば反射防止膜)を形成する。具体的には、図1(b)に示すように、レンズ1の表面2に下層4および上層5からなる薄膜を形成する場合、たとえば下層4には設計にしたがって光軸に関して回転対称な厚さ分布を付与するが、最も外側の上層5には本発明にしたがって面形状誤差を考慮した所定の厚さ分布を付与する。なお、図1(b)において、実線5aは本発明にしたがって形成される上層5の表面を示し、破線5bは上層5の設計上の表面(すなわち設計表面)を示している。
【0023】
本発明では、レンズ1の面形状誤差に起因して発生する波面誤差を補正するために、薄膜の上層5の表面5aを設計表面5bから光束11の進行方向に沿ってeだけずらして形成している。ここで、レンズ1を形成する光学材料の光束11に対する屈折率をn1とし、上層5を形成する物質の光束11に対する屈折率をn2とすると、補正量eはe=(n1/n2)dで表される。こうして、実際に製造されたレンズ1において面形状誤差が存在していても、レンズ1の表面2に所定の厚さ分布を有する薄膜(4,5)を形成することにより、レンズ1の面形状誤差に起因して発生する波面誤差(例えばランダムまたは回転非対称な波面収差)を補正することができる。
【0024】
図2は、薄膜の厚さ分布と波面誤差の補正との関係を模式的に説明する図である。図2では、レンズ7の表面に膜厚の一様な下層8を形成し、その上に膜厚の異なる上層9および10を形成している。一般に、薄膜としての反射防止膜を形成する層の数は、1層から5層程度の場合が多い。単層で反射防止膜を形成する場合には、図2に示す下層8は存在しないことになる。ここで、薄膜の上層9の領域へ入射する光束12および薄膜の上層10の領域へ入射する光束13は、レンズ7を介して光束14および15に変換される。
【0025】
図2では、薄膜の上層9と10とがfだけ異なる膜厚を有するため、すなわち薄膜に所定の厚さ分布が付与されているため、薄膜の上層9を介した光束と上層10を介した光束との間に波面のずれ(位相差)を付与することができる。一方、レンズ7の表面において薄膜の上層9に対応する領域と上層10に対応する領域との間で面形状の誤差の差がある場合、この2つの領域を介した光束の間に波面のずれすなわち位相差が発生する。したがって、2つの領域の面形状誤差の差がdである場合、上層9と10との膜厚の差fをf=eに設定することにより、2つの領域間の面形状誤差に起因する波面誤差を2つの領域間の薄膜の膜厚差によって補正することができる。
【0026】
換言すると、レンズの表面に形成される薄膜に所定の厚さ分布を付与することにより、レンズの面形状誤差に起因する波面誤差を補正することができる。なお、レンズの面形状誤差に起因する波面誤差を補正するには、レンズの入射側の表面に形成される薄膜に所定の厚さ分布を付与してもよいし、レンズの射出側の表面に形成される薄膜に所定の厚さ分布を付与してもよい。さらに、必要に応じて、レンズの入射側の表面に形成される薄膜およびレンズの射出側の表面に形成される薄膜の双方に所定の厚さ分布を付与することもできる。なお、薄膜が多層膜を含む場合、多層膜の最も外側の層の膜厚の15%以下の補正量を付加することが好ましい。
【0027】
また、レンズの面形状に誤差が全くない場合にも、レンズを形成する光学材料の屈折率分布(屈折率ムラ、例えば回転非対称またはランダムな屈折率分布)に起因して、レンズを介した透過光には波面誤差が発生する。この場合、面形状誤差に起因して発生する波面誤差の補正の場合と同様に、薄膜に所定の厚さ分布を付与することにより、屈折率分布に起因する波面誤差(例えばランダムまたは回転非対称な波面収差)も補正することができる。ただし、光学材料の屈折率分布がレンズの内部で生じているのに対し、薄膜の厚さ分布による位相補正はレンズ表面で行われるので、厳密には屈折率分布に起因する波面誤差を完全には補正し切れずにある程度の補正誤差が残る場合もある。
【0028】
本発明の典型的な光学系の製造方法では、レンズを形成する光学材料の屈折率分布を計測するとともに、レンズの面形状を計測する。そして、屈折率分布の計測結果と面形状の計測結果とに基づいて、レンズの光学的誤差として、たとえばレンズを介して発生する波面誤差を算出する。さらに、波面誤差の算出結果に基づいて、波面誤差を補正するためにレンズの表面に形成すべき薄膜の厚さ分布を算出する。こうして、厚さ分布の算出結果に基づいて、レンズの表面に対して所定の厚さ分布を有する薄膜を形成する。
【0029】
あるいは、本発明の別の典型的な光学系の製造方法では、複数のレンズを用いて光学系を組み立てた後、組み立てた光学系の収差を測定する。そして、その測定結果に基づいて、光学系中のレンズを調整する。さらに、レンズ調整した光学系の収差を測定する。なお、光学系の組立に先立って、複数のレンズをそれぞれ形成する各光学材料の屈折率分布および複数のレンズそれぞれの面形状を計測している。こうして、レンズ調整した光学系の収差に関する測定結果とレンズの屈折率分布および面形状に関する計測結果とに基づいて、レンズの表面に形成された薄膜の厚さ分布を補正する。
【0030】
以上のように、本発明による光学系の製造方法では、レンズの表面に対して所定の厚さ分布を有する薄膜を形成することにより、あるいはレンズの表面に形成された薄膜の厚さ分布を補正することにより、個々のレンズに屈折率分布や面形状誤差がある程度存在しても、後述するように、たとえば波面収差で10mλ以下の極低収差の光学系を製造することができる。したがって、たとえば波面収差で10mλ以下の極低収差の光学系を投影光学系として備えた本発明の露光装置では、高解像のもとで良好な露光を行うことができる。さらに、たとえば波面収差で10mλ以下の極低収差の投影光学系を備えた露光装置を用いる本発明のマイクロデバイス製造方法では、高解像で良好な露光条件のもとで良好なマイクロデバイスを製造することができる。
【0031】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
図3は、本発明の各実施形態にかかる製造方法で製造された投影光学系を備えた露光装置の構成を概略的に示す図である。なお、図3において、投影光学系の光軸AXに平行にZ軸を、光軸AXに垂直な面内において図3の紙面に平行にY軸を、光軸AXに垂直な面内において図3の紙面に垂直にX軸をそれぞれ設定している。
【0032】
図3に示す露光装置は、照明光(露光光)を供給するための光源21として、たとえばKrFエキシマレーザー光源(波長248nm)を備えている。光源21から射出された光は、照明光学系22を介して、所定のパターンが形成されたマスク(レチクル)23を照明する。マスク23は、マスクホルダ24を介して、マスクステージ25上においてXY平面に平行に保持されている。また、マスクステージ25は、図示を省略した駆動系の作用により、マスク面(すなわちXY平面)に沿って移動可能であり、その位置座標はマスク干渉計(不図示)によって計測され且つ位置制御されるように構成されている。
【0033】
マスク23に形成されたパターンからの光は、投影光学系26を介して、感光性基板であるウェハ27上にマスクパターン像を形成する。ウェハ27は、ウェハテーブル(ウェハホルダ)28を介して、ウェハステージ29上においてXY平面に平行に保持されている。また、ウェハステージ29は、図示を省略した駆動系の作用によりウェハ面(すなわちXY平面)に沿って移動可能であり、その位置座標はウェハ干渉計(不図示)によって計測され且つ位置制御されるように構成されている。こうして、投影光学系26の光軸AXと直交する平面(XY平面)内においてウェハ27を二次元的に駆動制御しながら一括露光またはスキャン露光を行うことにより、ウェハ27の各露光領域にはマスク23のパターンが逐次露光される。
【0034】
図4は、本発明の第1実施形態にかかる製造方法の製造フローを示すフローチャートである。第1実施形態の製造方法では、各レンズを形成すべきブロック硝材(ブランクス)を製造した後、製造されたブロック硝材の屈折率の絶対値および屈折率分布を、たとえば図5に示す干渉計装置を用いて計測する(S11)。図5では、オイル101が充填された試料ケース102の中の所定位置に被検物体であるブロック硝材103を設置する。そして、制御系104に制御された干渉計ユニット105からの射出光が、フィゾーステージ106a上に支持されたフィゾーフラット(フィゾー平面)106に入射する。
【0035】
ここで、フィゾーフラット106で反射された光は参照光となり、干渉計ユニット105へ戻る。一方、フィゾーフラット106を透過した光は測定光となり、試料ケース102内の被検物体103に入射する。被検物体103を透過した光は、反射平面107によって反射され、被検物体103およびフィゾーフラット106を介して干渉計ユニット105へ戻る。こうして、干渉計ユニット105へ戻った参照光と測定光との位相ずれに基づいて、光学材料としての各ブロック硝材103の屈折率分布による波面収差が計測される。なお、屈折率均質性の干渉計による計測に関する詳細については、たとえば特開平8−5505号公報などを参照することができる。
【0036】
次いで、第1実施形態の製造方法では、屈折率分布が計測されたブロック硝材から必要に応じて研削されたブロック硝材を用いて、投影光学系26を構成すべき各レンズを製造する。すなわち、周知の研磨工程にしたがって、設計値を目標として各レンズの表面を研磨加工する(S12)。研磨工程では、各レンズの面形状の誤差を干渉計で計測しながら研磨を繰り返し、各レンズの面形状を目標面形状(ベストフィット球面形状)に近づける。こうして、各レンズの面形状誤差が所定の範囲に入ると、各レンズの面形状の誤差を、たとえば図6に示すさらに精密な干渉計装置を用いて計測する(S13)。
【0037】
図6では、制御系111に制御された干渉計ユニット112からの射出光が、フィゾーステージ113a上に支持されたフィゾーレンズ113に入射する。ここで、フィゾーレンズ113の参照面(フィゾー面)で反射された光は参照光となり、干渉計ユニット112へ戻る。なお、図6では、フィゾーレンズ113を単レンズで示しているが、実際のフィゾーレンズは複数のレンズ(レンズ群)で構成されている。一方、フィゾーレンズ113を透過した光は測定光となり、被検レンズ114の被検光学面に入射する。
【0038】
被検レンズ114の被検光学面で反射された測定光は、フィゾーレンズ113を介して干渉計ユニット112へ戻る。こうして、干渉計ユニット112へ戻った参照光と測定光との位相ずれに基づいて、被検レンズ114の被検光学面の基準面に対する波面収差が、ひいては被検レンズ114の面形状の誤差(設計上のベストフィット球面からのずれ)が計測される。なお、レンズの面形状誤差の干渉計による計測に関する詳細については、たとえば特開平7−12535号、特開平7−113609号、特開平10−154657号公報などを参照することができる。
【0039】
次いで、第1実施形態の製造方法では、面形状誤差が計測された各レンズに所定の厚さ分布を有する反射防止膜を形成する(S14)。図7は、第1実施形態における反射防止膜形成工程のフローチャートである。反射防止膜形成工程では、図7に示すように、屈折率分布の計測工程S11で得られた光学材料の屈折率分布情報と、面形状誤差の計測工程S13で得られた各レンズの面形状誤差情報とに基づいて、各レンズで発生する波面誤差を算出する(S111)。そして、波面誤差工程S111で得られた波面誤差発生量に基づいて、この波面誤差の発生を補正するのに必要な反射防止膜の厚さ分布を算出する(S112)。
【0040】
こうして、厚さ分布算出工程S112で得られた反射防止膜の厚さ分布に基づいて、各レンズの表面に所定の厚さ分布を有する反射防止膜を形成する(S113)。このように、従来技術では屈折率分布情報や面形状誤差情報とは無関係に設計された光軸に関して回転対称な厚さ分布を有する反射防止膜を形成するが、第1実施形態では屈折率分布および面形状誤差情報に基づいて計算された所定の厚さ分布を有する反射防止膜を形成する。
【0041】
以下、各レンズの表面に対して所定の厚さ分布を有する反射防止膜を形成する方法について説明する。反射防止膜に所定の厚さ分布を付与する方法として、2つの方法が考えられる。第1の方法では、屈折率分布情報および面形状誤差情報を考慮して、反射防止膜の形成時に最初から所定の厚さ分布を付与する。一方、第2の方法では、屈折率分布情報および面形状誤差情報を考慮することなく設計上の厚さ分布を有する反射防止膜を形成する。そして、形成された反射防止膜の厚さ分布を、屈折率分布情報および面形状誤差情報を考慮して所定の厚さ分布に補正する。第2の方法は、たとえばイオンビーム加工により実現可能である。
【0042】
図8は、反射防止膜の形成時に所定の厚さ分布を付与する第1の方法を説明する図である。図8では、参照符号51で示す外形を有するレンズの表面に、等高線52および53で表されるような厚さ分布を有する反射防止膜を形成する場合を考える。ここで、等高線53で示す領域における反射防止膜の厚さが最も大きく、等高線52で示す領域(等高線53で示す領域を除く)における反射防止膜の厚さよりも厚さ補正最小単位量Δだけ大きい。また、等高線52で示す領域(等高線53で示す領域を除く)における反射防止膜の厚さは、他の領域(等高線53および52で示す領域を除く)における反射防止膜の厚さよりも厚さ補正最小単位量Δだけ大きい。
【0043】
この場合、反射防止膜の最も外側の層(例えば40nmの膜厚を有する上層)を形成する工程において、最後の2Δ分の膜厚の形成に際して、等高線52で示す形状と同じ形状の開口部を有するマスクをレンズ表面の直前に位置決めし、このマスクを介して蒸着法やスパッタリング法にしたがって膜厚Δ分を形成する。次いで、等高線53で示す形状と同じ形状の開口部を有するマスクをレンズ表面の直前に位置決めし、このマスクを介して膜厚Δ分を形成する。ここで、厚さ補正最小単位量Δを例えば1nmと仮定すると、波長248nmの光に対して補正可能な波面誤差の最小単位は約2mλとなる。
【0044】
図9は、一旦形成された反射防止膜の厚さ分布を所定の厚さ分布に補正する第2の方法に用いられるイオンビーム加工装置の構成を概略的に示す図である。図9に示すイオンビーム加工装置は、加工用レンズ41を保持して二次元的に移動可能なステージ42と、加工レンズ41の表面(厳密には反射防止膜の表面)に膜厚加工用のイオンビーム43を照射するイオンビーム加工装置本体44と、ステージ42を二次元的に移動させる駆動系45と、ステージ42の移動およびイオンビーム加工装置本体44から照射されるイオンビーム43のエネルギーを制御する制御系46と、加工レンズ41の膜厚加工に関する情報を入力する入力系47とを備えている。
【0045】
そして、制御系46は、入力系47からの加工レンズ41の膜厚加工に関する情報に基づいて、イオンビーム加工装置本体44から照射されるイオンビーム43のエネルギーおよびステージ42の移動を制御して、いわゆるイオンビーム加工により加工レンズ41の表面に形成された反射防止膜の厚さ分布を所定の厚さ分布に補正する。以上のように、イオンビーム加工の場合は、マスクを用いることなく膜厚の局所的な補正が可能である。なお、イオンビームとして希ガスのイオン化したものを反射防止膜に低エネルギーで照射すると、微小量の膜厚加工を精度良く行うことができる。
【0046】
図10は、波長248nmの光に対して用いられる反射防止膜の膜厚補正量と波面のずれ(波面の変化)と反射率との関係を示す図である。なお、図10において、横軸はレンズの片側の面に形成される反射防止膜の膜厚補正量(nm)を、左側の縦軸は波面のずれ(mλ)を、右側の縦軸は反射率(%)をそれぞれ示している。また、図10において、四角の点を結ぶ線は膜厚補正量と波面のずれとの関係を示し、三角の点を結ぶ線は膜厚補正量と反射率との関係を示している。図10を参照すると、膜厚補正による反射率の増加を0.1%まで許容すれば、10mλの波面誤差まで補正可能であることがわかる。また、レンズの両側の面に形成される反射防止膜においてそれぞれ膜厚補正すれば、更に大きな波面誤差の補正も可能である。
【0047】
再び図4を参照すると、第1実施形態の製造方法では、必要に応じて所定の厚さ分布を有する反射膜防止膜が形成された複数のレンズを用いて投影光学系26を組み立てる(S15)。具体的には、設計にしたがって複数のレンズを所定の保持枠で保持することにより、各光学ユニットを順次組み上げる。そして、組み上げた複数の光学ユニットを、鏡筒の上部開口を介して、鏡筒内に順次落とし込む。このとき、各光学ユニットの間には、所定のワッシャを介在させる。こうして、鏡筒内に最初に落とし込まれた光学ユニットが鏡筒の一端に形成された突出部においてワッシャを介して支持され、すべての光学ユニットが鏡筒内に収容されることにより、投影光学系の組立が終了する。なお、投影光学系の組立に関する詳細については、たとえば特開平10−154657号公報などを参照することができる。
【0048】
次いで、第1実施形態の製造方法では、実際に組み立てられた投影光学系の波面収差を測定する(S16)。具体的には、たとえば特開平10−38757号公報に開示されたフィゾー干渉計方式の波面収差測定機を用いて、KrFエキシマレーザ光源を使用する投影光学系の波面収差を測定することができる。この場合、図11に示すように、露光光とほぼ同じ波長を有するレーザ光(たとえばArレーザ光の第2高調波)を、ハーフプリズム60およびフィゾーレンズ61のフィゾー面61aを介して、被検光学系としての投影光学系26に入射させる。このとき、フィゾー面61aで反射された光は、いわゆる参照光となり、フィゾーレンズ61およびハーフプリズム60を介して、CCDのような撮像素子62に達する。
【0049】
一方、フィゾー面61aを透過した光は、いわゆる測定光となり、投影光学系26を介して、反射球面63に入射する。反射球面63で反射された測定光は、投影光学系26、フィゾーレンズ61およびハーフプリズム60を介して、CCD62に達する。こうして、参照光と測定光との干渉に基づいて、投影光学系26に残存する波面収差が測定される。同様に、たとえば特開平10−38758号公報に開示されたフィゾー干渉計方式の波面収差測定機を用いて、超高圧水銀ランプ(たとえばi線)を使用する投影光学系の波面収差を測定することもできる。
【0050】
また、たとえば特開2000−97616号公報に開示された、いわゆるPDI(Phase Diffraction Interferometer:位相回折干渉計)方式の波面収差測定機を用いて、ArFエキシマレーザ光源を使用する投影光学系の波面収差を測定することもできる。この場合、図12に示すように、光源21(図12では不図示)から射出されて照明光学系22を介した露光用照明光が、マスク設定位置に位置決めされた第1のピンホール71に入射する。第1のピンホール71を介して形成された球面波は、被検光学系としての投影光学系26を透過して、グレーティング(一次元回折格子)72に入射する。
【0051】
グレーティング72をそのまま透過した0次回折光は、マスク73に形成された第2のピンホール(不図示)に入射する。一方、グレーティング72で回折作用を受けて発生した1次回折光は、マスク73に形成された開口部(不図示)のほぼ中央に入射する。第2のピンホールを介した0次回折光および開口部を通過した1次回折光は、コリメータレンズ74を介して、CCDのような撮像素子75に達する。こうして、第2のピンホールを介して形成された球面波を参照波面とし、開口部を通過した1次回折光の波面を測定波面とし、参照波面と測定波面との干渉に基づいて投影光学系26に残存する波面収差が測定される。
【0052】
次いで、第1実施形態の製造方法では、収差測定工程S16で測定した投影光学系の波面収差が許容範囲内に収まっているか否かを判定する(S17)。判定工程S17において投影光学系の波面収差が許容範囲内に収まっていると判定した場合(図4中YESの場合)、第1実施形態にしたがう投影光学系の製造が終了する。一方、判定工程S17において投影光学系の波面収差が許容範囲内に収まっていないと判定した場合(図4中NOの場合)、レンズを光軸AXに沿って移動させてレンズ間の間隔を変化させる間隔調整や、レンズを光軸AXに対して垂直にシフトさせたりチルトさせたりする偏芯調整を行う(S18)。
【0053】
図13は、間隔調整や偏芯調整が可能に構成された投影光学系の内部構成を概略的に示す図である。また、図14は、図13の投影光学系における複数の部分鏡筒のうちの1つの部分鏡筒の構成を示す上面図である。なお、図13および図14においては、図3に対応する共通のXYZ座標系を採用している。図13に示すように、鏡筒30は複数の分割鏡筒30a〜30lを備えており、フランジ31を介して、図示なき露光装置のフレームに支持されている。これら複数の分割鏡筒30a〜30lは、光軸AX方向に積層されている。そして、複数の分割鏡筒30a〜30lのうち、分割鏡筒30b,30d,30e,30f,30gにより支持されているレンズ2b,2d,2e,2f,2gは、光軸方向(Z方向)に移動可能で且つXY方向を軸としてチルト可能な可動レンズとなっている。
【0054】
可動レンズ2b,2d,2e,2f,2gを保持している分割鏡筒30b,30d,30e,30f,30gの構成について、分割鏡筒30bの構成を代表させて説明する。なお、他の分割鏡筒30d,30e,30f,30gの構成については、分割鏡筒30bの構成とほぼ同様であるため、ここでは説明を省略する。分割鏡筒30bは、当該分割鏡筒30bの上下(Z方向)に位置する分割鏡筒30a,30cと接続される外側環37bと、可動レンズ2bを保持するレンズ室38bとを備えている。このレンズ室38bは、外側環37bに対して光軸方向(Z方向)に移動可能で且つXY方向を軸としてチルト可能となるように、外側環37bに連結されている。また、分割鏡筒30bは、外側環37bに取り付けられたアクチュエータ32bを備えている。このアクチュエータ32bとしては、例えば圧電素子を適用することができる。アクチュエータ32bは、例えば弾性ヒンジから構成される変位拡大機構としてのリンク機構を介してレンズ室38bを駆動する。このアクチュエータ32bは、分割鏡筒30bの3箇所に取り付けられており、これにより、レンズ室38bの3箇所が独立に光軸方向(Z方向)へ移動する。
【0055】
図14を参照してさらに詳述する。図14において、レンズ2の周縁には、3つの鍔部201〜203がXY平面内における方位角120°ごとに設けられている。そして、レンズ室38は、クランプ部381〜383を備えており、これらがレンズ2の3つの鍔部201〜203を保持している。そして、レンズ室38は、XY平面内における方位角120°ごとの駆動点DP1〜DP3の位置で、リンク機構を介して3つのアクチュエータ(不図示)によりZ方向に沿って独立に駆動される。ここで、3つのアクチュエータによるZ方向の駆動量が同じ量である場合は、レンズ室38は外側環37に対しZ方向(光軸方向)へ移動することとなり、3つのアクチュエータによるZ方向の駆動量が異なる量である場合は、レンズ室38は外側環37に対しXY方向を軸として傾くこととなる。なお、3つのアクチュエータによるZ方向の駆動量が異なる量である場合には、レンズ室38が外側環37に対しZ方向(光軸方向)へ移動することもあり得る。
【0056】
さて、図13に戻って、分割鏡筒30bは、外側環37bに取り付けられて、例えば光学式エンコーダからなる駆動量計測部39bを備えている。この駆動量計測部39bは、図14に示した方位角120°ごとの3つの計測点MP1〜MP3の位置における外側環37bに対するレンズ室38のZ方向(光軸方向)の移動量を計測する。従って、アクチュエータ32b及び駆動量計測部39bにより、レンズ室38の移動、ひいてはレンズ2bの移動をクローズドループで制御することができる。
【0057】
さて、分割鏡筒30a〜30lのうち、分割鏡筒30a,30c,30h,30i,30j,30k,30lにより支持されているレンズ2a,2c,2h,2i,2j,2k,2lは、固定レンズとなっている。これらの固定レンズ2a,2c,2h,2i,2j,2k,2lを保持している分割鏡筒30a,30c,30h,30i,30j,30k,30lの構成について、分割鏡筒30cの構成を代表させて説明する。なお、他の分割鏡筒30a,30h,30i,30j,30k,30lの構成については、分割鏡筒30cの構成とほぼ同様であるため、ここでは説明を省略する。分割鏡筒30cは、当該分割鏡筒30cの上下(Z方向)に位置する分割鏡筒30b,30dと接続される外側環37cと、当該外側環37cに取り付けられてレンズ2cを保持するレンズ室38cとを備えている。
【0058】
なお、アクチュエータ32として、高精度、低発熱、高剛性及び高クリーン度の圧電素子を使用して、この圧電素子の駆動力を弾性ヒンジからなるリンク機構により拡大させる構成としているため、圧電素子自体のコンパクト化を図れる利点がある。なお、アクチュエータ32を圧電素子で構成する代わりに、磁歪アクチュエータや流体圧アクチュエータで構成しても良い。上述の説明では、レンズを光軸AXに沿って移動させる移動調整(間隔調整)およびレンズを光軸AXに対して傾斜させるチルト調整に限定したが、同様に周知の構成にしたがって、光軸AXに対して垂直な方向に沿ってレンズをシフトさせるシフト調整を行うこともできる。
【0059】
第1実施形態の製造方法では、間隔調整や偏芯調整によりレンズ調整された投影光学系の波面収差を再び測定する(S16)。そして、収差測定工程S16で再び測定した投影光学系の波面収差が許容範囲内に収まっているか否かを再度判定する(S17)。判定工程S17において投影光学系の波面収差が許容範囲内に収まっていると判定した場合には、投影光学系の製造が終了する。しかしながら、判定工程S17において投影光学系の波面収差が許容範囲内に収まっていないと判定した場合には、判定工程S17においてYESの判定が得られるまで、レンズ調整工程S18および収差測定工程S16をさらに繰り返す。
【0060】
なお、第1実施形態の製造方法では、投影光学系26を構成すべき各レンズをそれぞれ多数個製造し、製造された多数のレンズから選択したレンズを組み合わせて投影光学系を組み立てることもできる。この場合、組立工程S15に先立って、投影光学系26を構成すべき複数のレンズを製造する(レンズ製造工程)。次いで、製造された複数のレンズの形状に関する情報、たとえば各レンズの加工面の曲率半径や各レンズの中心厚などを計測する(レンズ形状計測工程)。そして、レンズ形状の計測された複数のレンズから投影光学系26を構成すべき複数のレンズを、たとえばランダムに選択する(選択工程)。
【0061】
こうして、選択された複数のレンズの形状に関する計測情報に基づいて、仮想的に組み立てた投影光学系の光学性能を予測評価する(予測評価工程)。そして、予測される投影光学系の光学性能が許容できる複数のレンズの最適な組み合わせが決定されるまで、選択工程と予測評価工程とを繰り返す(繰り返し工程)。以上のように、レンズの屈折率分布情報および面形状誤差情報に加えて、各レンズの加工面の曲率半径や各レンズの中心厚などの実測データに基づいて、レンズを仮想的に組み合わせて得られる投影光学系で発生する収差を予測評価し、仮想的な投影光学系で発生する収差が比較的小さくなるように、予測評価結果に基づいて選択されたレンズを組み合わせて投影光学系を構成することが好ましい。この仮想的な組み合わせにより多数のレンズから投影光学系を構成すべき複数のレンズを最終的に選択する方法の詳細については、たとえば特開2000−249917号公報などを参照することができる。
【0062】
以下、研削・研磨された後のレンズ加工面の曲率半径を計測する手法について簡単に説明する。レンズ加工面の曲率半径は、特開平5−272944号、特開平6−129836号、および特開平6−174451号公報などに開示されているように、ニュートンゲージを用いて計測することができる。この場合、被検レンズの被検面をニュートンゲージのゲージ面(曲率半径が既知)に重ね合わせ、一定波長の光源下で観測されるニュートン干渉縞の本数から所定の演算式に基づいて被検面の曲率半径を求める。
【0063】
また、レンズ加工面の曲率半径は、特開平5−340734号、特開平5−340735号、および特開平5−346315号公報などに開示されているように、レーザ干渉計方式で計測することができる。この場合、被検レンズの被検面とほぼ同一で且つ既知の曲率半径を有するマスターレンズの基準ゲージ面と干渉計の基準参照面との間の干渉に基づいて装置のアライメントを行う。そして、このアライメント状態においてマスターレンズに代えて被検レンズを設置し、干渉計測により基準ゲージ面に対する被検面の曲率半径差を、ひいては被検レンズの被検面の曲率半径の絶対値を求める。
【0064】
次に、研削・研磨された後のレンズの中心厚の計測手法について簡単に説明する。図15は、マイケルソン型干渉計を利用したレンズ中心厚測定機の構成を概略的に示す図である。図15において、レンズ中心厚測定機としての間隔測定装置は、所定波長の測定光を出射する光源121と、光学系122と、ハーフミラー123とを備えている。光学系122は、図示しないピンホール及びコリメートレンズ等からなり、光源121から出射された測定光を平行光束にしてハーフミラー123に入射させる。ハーフミラー123は、入射光束の一部を反射し、残りを透過させる機能を有する。これにより、光源121側から入射した光束の一部が、間隔測定の対象であるレンズ素子124側へ反射され、残りの光束が反射ミラー125側へ透過する。
【0065】
レンズ素子124側に反射された光束に対して、レンズ素子124のハーフミラー123側の表面及び該レンズ素子124の裏面は、それぞれ反射面124aおよび124bとなっている。反射ミラー125は、図示しない移動ステージに取り付けられ、該移動ステージとともに図15中の矢印の方向に移動可能になっている。反射ミラー125は、ハーフミラー123を透過した光束を反射してハーフミラー123に戻す。
【0066】
レンズ素子124で反射した光束は、計測光としてハーフミラー123を透過して受光素子126に入射する。一方、反射ミラー125で反射した光束は、参照光としてハーフミラー123で反射されて、該受光素子126に到る。これらの計測光と参照光とは、受光素子126上で干渉する。そして、受光素子126により、干渉光が光電変換され、干渉信号として外部に出力される。
【0067】
図16は、測定する間隔(レンズ中心厚)よりも可干渉距離が十分に小さい光を供給する光源121を使用したときの受光素子126に入射する干渉光の強度と反射ミラー125の位置との関係を示す図である。ここで、計測光がハーフミラー123で分離され、レンズ素子124の反射面124aで反射され、再びハーフミラー123に到る光路の光路長をA1とする。また、計測光がハーフミラー123で分離され、レンズ素子124の反射面124bで反射され、再びハーフミラー123に到る光路の光路長をA2とする。そして、参照光がハーフミラー123で分離され、反射ミラー125で反射され、再びハーフミラー123に到る光路の光路長をBとする。
【0068】
ハーフミラー123により、反射面124a,124bで反射した計測光は、反射ミラー125で反射した参照光と光路長差に応じて干渉する。つまり、各計測光と参照光とは、光路長A1,A2と光路長Bとがほぼ等しくなった時に干渉し、このときに強度変化する干渉光が得られる。よって、反射ミラー125の位置を変化させることにより、光路長Bが光路長A1とほぼ等しくなると、受光素子126に入射する干渉光(反射面124aに関する干渉光)の強度は、図16における左側の波形のように変化する。一方、光路長Bが光路長A2とほぼ等しくなると、受光素子126に入射する干渉光(反射面124bに関する干渉光)の強度は、図16における右側の波形のように変化する。
【0069】
なお、計測光と参照光とが分離されてハーフミラー123で再び合成されるまでの間で、計測光及び参照光が例えば屈折率が低い媒質から入射して屈折率の高い媒質との境界面で反射するような場合、例えば反射面124aで反射する場合では、位相の180度反転、いわゆる位相の飛びを生じる。この場合、干渉光の強度分布は、図16の反射面124bに関する干渉光の強度変化に対する反射面124aに関する干渉光の強度変化のように、その振幅のほぼ中心に対して反転した状態となる。そして、受光素子126が干渉光の強度分布に対応して出力する干渉信号と移動ステージで設定される反射ミラー125の位置とに基づいて、レンズ素子124の中心厚が求められる。なお、上述の説明では、非接触型の光学式測定機を用いてレンズ中心厚を計測しているが、たとえば測定針を用いる接触式測定機を用いてレンズ中心厚を計測することもできる。
【0070】
以上のように、第1実施形態の製造方法では、レンズを形成する光学材料の屈折率分布およびレンズの面形状を計測し、その計測結果に基づいてレンズを介して発生する波面誤差を算出している。そして、算出された波面誤差を補正するためにレンズの表面に形成すべき反射防止膜の厚さ分布を算出している。その結果、この厚さ分布の算出結果に基づいてレンズの表面に対して所定の厚さ分布を有する反射防止膜を形成することにより、個々のレンズに屈折率分布や面形状誤差がある程度存在しても、極低収差の投影光学系を製造することができる。具体的には、上述したように、波長248nmの光に対して補正可能な波面誤差の最小単位を2mλ以下に設定することにより、たとえば波面収差で10mλ以下の極低収差の投影光学系を製造することができる。
【0071】
なお、第1実施形態の製造方法では、屈折率分布および面形状誤差の計測結果に基づいて、波面誤差を算出している。しかしながら、レンズの表面に反射防止膜を予め形成し、反射防止膜の形成されたレンズを介して発生する波面誤差を実際に計測することもできる。この場合、屈折率分布および面形状誤差の計測結果と波面誤差の計測結果とに基づいて、波面誤差を補正するために形成すべき反射防止膜の厚さ分布を算出する。
【0072】
また、第1実施形態の製造方法では、収差測定工程S16の後に、判定工程S17およびレンズ調整工程S18を設けているが、これらの工程S16〜S18を省略することができる。すなわち、投影光学系の組立工程S15の後に、第1実施形態の製造方法を終了することもできる。
【0073】
図17は、本発明の第2実施形態にかかる投影光学系の製造方法の製造フローを示すフローチャートである。第1実施形態の製造方法では、各レンズを介して発生する波面誤差をレンズ毎に補正することにより、すなわち各レンズに所定の厚さ分布を有する反射防止膜を形成することにより、極低収差の投影光学系を製造している。これに対し、第2実施形態の製造方法では、レンズ毎に波面誤差を補正することなく、光学系中の一部のレンズに形成された反射防止膜の膜厚を補正することにより、極低収差の投影光学系を製造している。以下、第1実施形態の製造方法との相違点に着目して、第2実施形態の製造方法を説明する。
【0074】
第2実施形態の製造方法では、第1実施形態と同様に、各レンズを形成すべきブロック硝材の屈折率の絶対値および屈折率分布を計測する(S21)。次いで、第1実施形態と同様に、屈折率分布が計測されたブロック硝材から必要に応じて研削されたブロック硝材を用いて、投影光学系26を構成すべき各レンズを製造するために、各レンズの表面を研磨加工する(S22)。さらに、第1実施形態と同様に、各レンズの面形状の誤差を計測する(S23)。
【0075】
次いで、面形状誤差が計測された各レンズに、設計に基づく一様な(光軸AXに関して回転対称な)反射防止膜を形成する(S24)。しかしながら、反射防止膜の形成工程S24では、各レンズを介して発生する波面誤差を補正するために所定の厚さ分布を有する反射防止膜を形成する第1実施形態とは異なり、屈折率分布情報や面形状誤差情報とは無関係に設計された光軸に関して回転対称な厚さ分布を有する反射防止膜を各レンズの表面に形成する。そして、反射膜防止膜が形成された複数のレンズを用いて投影光学系26を組み立てる(S25)。このとき、第1実施形態と同様に、投影光学系を構成すべき各レンズをそれぞれ多数個製造し、製造された多数のレンズから選択した最適な組み合わせに基づいて投影光学系を組み立てることもできる。
【0076】
こうして、第1実施形態と同様に、実際に組み立てられた投影光学系の波面収差を測定する(S26)。そして、収差測定工程S26で測定した投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっているか否かを判定する(S27)。判定工程S27において投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっていると判定した場合(図17中YESの場合)、後述する工程S29へ移行する。一方、判定工程S27において投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっていないと判定した場合(図17中NOの場合)、レンズ調整を行う(S28)。ただし、第2実施形態のレンズ調整工程S28では、第1実施形態で行う間隔調整や偏芯調整に加えて、レンズを光軸AX廻りに回転させる回転調整を必要に応じて行う。
【0077】
第2実施形態の製造方法では、間隔調整や偏芯調整や回転調整によりレンズ調整された投影光学系の波面収差を再び測定する(S26)。そして、収差測定工程S26で再び測定した投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっているか否かを再度判定する(S27)。判定工程S27において投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっていると判定した場合には、後述する工程S29へ移行する。しかしながら、判定工程S27において投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっていないと判定した場合には、判定工程S27においてYESの判定が得られるまで、レンズ調整工程S28および収差測定工程S26をさらに繰り返す。
【0078】
次に、第2実施形態の製造方法では、投影光学系に残存している波面収差を補正するのに適した一部のレンズ(1つまたは複数のレンズ)を鏡筒から取り出す(S29)。そして、鏡筒から取り出したレンズに形成されている反射防止膜の厚さ分布を補正する(S30)。すなわち、膜厚補正工程S30では、投影光学系に残存している波面収差を補正するために、屈折率分布計測工程S21の計測結果と面形状計測工程S23の計測結果と収差測定工程S26の最終測定結果とに基づいて、たとえば上述したイオンビーム加工を用いて反射防止膜の厚さ分布を補正する。なお、屈折率分布が十分に均一な光学材料を用いる場合には、厚さ分布の補正に際して屈折率分布の影響を無視することもできる。
【0079】
こうして、反射防止膜の厚さ分布が補正されたレンズを鏡筒へ組み込む(S31)。すなわち、鏡筒から取り出したレンズを鏡筒内の元の所定位置に戻す。そして、反射防止膜の厚さ分布が補正されたレンズを組み込んだ投影光学系の波面収差を測定する(S32)。そして、収差測定工程S32で測定した投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっているか否かを判定する(S33)。ここで、判定工程S33における許容範囲Bは、投影光学系の波面収差に関する最終的な目標値としての許容範囲である。これに対して、上述の判定工程S27における許容範囲Aは、上述の工程S29へ移行するのに設定した中間的な許容範囲であって、たとえば最終的な許容範囲Bの2倍の値に設定されている。
【0080】
判定工程S33において投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっていると判定した場合(図17中YESの場合)、第2実施形態にしたがう投影光学系の製造が終了する。一方、判定工程S33において投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっていないと判定した場合(図17中NOの場合)、レンズ調整を行う(S34)。ここで、レンズ調整工程S34は、上述のレンズ調整工程S28と異なり、レンズの回転調整を含まない。これは、膜厚補正工程S30において反射防止膜の厚さ分布が光軸AXに関して回転非対称に補正されるのが一般的であるからである。すなわち、レンズ調整工程S34では、第1実施形態のレンズ調整工程S18と同様に、レンズの間隔調整やレンズの偏芯調整を行う。
【0081】
第2実施形態の製造方法では、レンズ調整工程S34を介して間隔調整や偏芯調整により調整された投影光学系の波面収差を再び測定する(S32)。そして、収差測定工程S32で再び測定した投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっているか否かを再度判定する(S33)。判定工程S33において投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっていると判定した場合には、第2実施形態にしたがう投影光学系の製造が終了する。しかしながら、判定工程S33において投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっていないと判定した場合には、判定工程S33においてYESの判定が得られるまで、レンズ調整工程S34および収差測定工程S32をさらに繰り返す。
【0082】
以上のように、第2実施形態の製造方法では、複数のレンズを用いて投影光学系を組み立てた後、組み立てた投影光学系の波面収差を測定している。そして、その測定結果に基づいて投影光学系中のレンズを調整し、レンズ調整した投影光学系の波面収差を測定している。なお、投影光学系の組立に先立って、屈折率分布および面形状誤差を計測している。こうして、第2実施形態の製造方法では、レンズ調整した投影光学系の波面収差に関する測定結果と屈折率分布および面形状誤差に関する計測結果とに基づいて、一部のレンズの表面に形成された反射防止膜の厚さ分布を補正するので、個々のレンズに屈折率分布や面形状誤差がある程度存在しても、たとえば波面収差で10mλ以下の極低収差の投影光学系を製造することができる。
【0083】
なお、第2実施形態の製造方法では、イオンビーム加工を用いて反射防止膜の厚さ分布を補正しているが、たとえば研磨などの他の適当な方法で膜厚補正を行うことができる。ただし、イオンビーム加工ではレンズを鏡筒内で保持するホルダーから取り外すことなく膜厚補正することができるので、レンズをホルダーから取り外さなければならない研磨による膜厚補正方法よりも生産性が高い。
【0084】
また、第2実施形態の製造方法では、組み立てた投影光学系の波面収差を測定し、この測定結果に基づいて一部のレンズに形成された反射防止膜の膜厚を補正する。すなわち、第2実施形態では、個々のレンズの屈折率分布や面形状誤差に関する測定データを用いる第1実施形態よりも基礎なるデータの測定精度が高いので、第1実施形態に比べて補正の精度が高く、投影光学系の最終的な残存収差をより小さく調整するには有効である。しかしながら、第2実施形態では、一部のレンズを鏡筒から取り出して膜厚補正を行った後に、そのレンズを鏡筒に再び組み込む必要があるので、第1実施形態よりも工数が多くかかる。
【0085】
さらに、第2実施形態の製造方法では、収差測定工程S26の後に、判定工程S27およびレンズ調整工程S28を設けているが、これらの工程S27およびS28を省略することができる。すなわち、収差測定工程S26の後に、レンズの取出工程S29へ直接移行することもできる。また、収差測定工程S32の後に、判定工程S33およびレンズ調整工程S34を設けているが、これらの工程S32〜S34を省略することができる。すなわち、レンズの組込工程S31の後に、第2実施形態の製造方法を終了することもできる。
【0086】
図18は、本発明の第3実施形態にかかる投影光学系の製造方法の製造フローを示すフローチャートである。第3実施形態の製造方法は、第1実施形態と第2実施形態とを部分的に組み合わせた形態を有する。以下、第1実施形態の製造方法および第2実施形態の製造方法との相違点に着目して、第3実施形態の製造方法を簡単に説明する。
【0087】
第3実施形態の製造方法では、第1実施形態および第2実施形態と同様に、ブロック硝材の屈折率の絶対値および屈折率分布を計測(S41)し、投影光学系26を構成すべき各レンズを製造するために各レンズの表面を研磨加工(S42)した後に、各レンズの面形状の誤差を計測する(S43)。次いで、第1実施形態と同様に、面形状誤差が計測された各レンズに反射防止膜を形成する(S44)。すなわち、反射防止膜の形成工程S44では、各レンズを介して発生する波面誤差を補正するために、図7に示す製造フローにしたがって各レンズに所定の厚さ分布を有する反射防止膜を形成する。なお、屈折率分布が十分に均一な光学材料を用いる場合には、所定の厚さ分布の付与に際して屈折率分布の影響を無視することもできる。
【0088】
そして、所定の厚さ分布を有する反射膜防止膜が形成された複数のレンズを用いて投影光学系26を組み立てる(S45)。このとき、第1実施形態および第2実施形態と同様に、投影光学系を構成すべき各レンズをそれぞれ多数個製造し、製造された多数のレンズから選択した最適な組み合わせに基づいて投影光学系を組み立てることもできる。こうして、第1実施形態および第2実施形態と同様に、実際に組み立てられた投影光学系の波面収差を測定する(S46)。そして、収差測定工程S46で測定した投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっているか否かを判定する(S47)。
【0089】
判定工程S47において投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっていると判定した場合(図18中YESの場合)、レンズの取出工程S49へ移行する。一方、判定工程S47において投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっていないと判定した場合(図18中NOの場合)、レンズ調整を行う(S48)。ただし、第3実施形態のレンズ調整工程S48では、第1実施形態と同様に、回転調整を行うことなく間隔調整や偏芯調整だけを行う。これは、反射防止膜の形成工程S44において付与される厚さ分布が光軸AXに関して回転非対称になるのが一般的であるからである。
【0090】
第3実施形態の製造方法では、間隔調整や偏芯調整によりレンズ調整された投影光学系の波面収差を再び測定する(S46)。そして、収差測定工程S46で再び測定した投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっているか否かを再度判定する(S47)。判定工程S47において投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっていると判定した場合には、レンズの取出工程工程S49へ移行する。しかしながら、判定工程S47において投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっていないと判定した場合には、判定工程S47においてYESの判定が得られるまで、レンズ調整工程S48および収差測定工程S46をさらに繰り返す。
【0091】
次に、第3実施形態の製造方法では、投影光学系に残存している波面収差を補正するのに適した一部のレンズを鏡筒から取り出す(S49)。そして、鏡筒から取り出したレンズに形成されている反射防止膜の厚さ分布を補正する(S50)。すなわち、膜厚補正工程S50では、投影光学系に残存している波面収差を補正するために、屈折率分布計測工程S41の計測結果と面形状計測工程S43の計測結果と収差測定工程S46の最終測定結果とに基づいて、たとえばイオンビーム加工を用いて反射防止膜の厚さ分布を補正する。なお、屈折率分布が十分に均一な光学材料を用いる場合には、厚さ分布の補正に際して屈折率分布の影響を無視することもできる。
【0092】
こうして、反射防止膜の厚さ分布が補正されたレンズを鏡筒へ組み込み(S51)、その後、投影光学系の波面収差を測定する(S52)。そして、収差測定工程S52で測定した投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっているか否かを判定する(S53)。判定工程S53において投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっていると判定した場合(図18中YESの場合)、第3実施形態にしたがう投影光学系の製造が終了する。一方、判定工程S53において投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっていないと判定した場合(図18中NOの場合)、レンズの間隔調整やレンズの偏芯調整を行う(S54)。
【0093】
第3実施形態の製造方法では、レンズ調整工程S54を介して間隔調整や偏芯調整により調整された投影光学系の波面収差を再び測定する(S52)。そして、収差測定工程S52で再び測定した投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっているか否かを再度判定する(S53)。判定工程S53において投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっていると判定した場合には、第3実施形態にしたがう投影光学系の製造が終了する。しかしながら、判定工程S53において投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっていないと判定した場合には、判定工程S53においてYESの判定が得られるまで、レンズ調整工程S54および収差測定工程S52をさらに繰り返す。
【0094】
以上のように、第3実施形態の製造方法では、第1実施形態と同様に各レンズの表面に対して所定の厚さ分布を有する反射防止膜を形成するとともに、第2実施形態と同様に一部のレンズの表面に形成された反射防止膜の厚さ分布を補正する。したがって、第3実施形態の製造方法においても、第1実施形態および第2実施形態と同様に、個々のレンズに屈折率分布や面形状誤差がある程度存在しても、たとえば波面収差で10mλ以下の極低収差の投影光学系を製造することができる。
【0095】
上述の各実施形態にかかる製造方法で製造された投影光学系を備えた露光装置では、照明系によってマスク(レチクル)を照明し(照明工程)、投影光学系を用いてマスクに形成された転写用のパターンを感光性基板に露光する(露光工程)ことにより、マイクロデバイス(半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)を製造することができる。以下、各実施形態の露光装置を用いて感光性基板としてのウェハ等に所定の回路パターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例につき図19のフローチャートを参照して説明する。
【0096】
先ず、図19のステップ301において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップ302において、そのlロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップ303において、各実施形態の露光装置を用いて、マスク上のパターンの像がその投影光学系を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。その後、ステップ304において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップ305において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。なお、ステップ301〜ステップ305では、ウェハ上に金属を蒸着し、その金属膜上にレジストを塗布、そして露光、現像、エッチングの各工程を行っているが、これらの工程に先立って、ウェハ上にシリコンの酸化膜を形成後、そのシリコンの酸化膜上にレジストを塗布、そして露光、現像、エッチング等の各工程を行っても良いことはいうまでもない。
【0097】
また、各実施形態の露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。以下、図20のフローチャートを参照して、このときの手法の一例につき説明する。図20において、パターン形成工程401では、各実施形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィー工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レチクル剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルター形成工程402へ移行する。
【0098】
次に、カラーフィルター形成工程402では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルターの組を複数水平走査線方向に配列されたりしたカラーフィルターを形成する。そして、カラーフィルター形成工程402の後に、セル組み立て工程403が実行される。セル組み立て工程403では、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板、およびカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルター等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。セル組み立て工程403では、例えば、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルターとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。
【0099】
その後、モジュール組み立て工程404にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
【0100】
なお、上述の各実施形態では、レンズの表面に対して所定の厚さ分布を有する反射防止膜を形成することにより、あるいはレンズの表面に形成された反射防止膜の厚さ分布を補正することにより、極低収差の光学系を製造している。しかしながら、本発明では、反射防止膜に限定されることなく、レンズの表面に形成される一般的な薄膜の厚さ分布を制御することにより、極低収差の光学系を製造することができる。
【0101】
また、上述の各実施形態では、露光装置に搭載される投影光学系の製造方法に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、他の一般的な光学系の製造方法に本発明を適用することもできる。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による光学系の製造方法では、レンズの表面に対して所定の厚さ分布を有する薄膜を形成することにより、あるいはレンズの表面に形成された薄膜の厚さ分布を補正することにより、個々のレンズに屈折率分布や面形状誤差がある程度存在しても、たとえば波面収差で10mλ以下の極低収差の光学系を製造することができる。
【0103】
したがって、たとえば波面収差で10mλ以下の極低収差の光学系を投影光学系として備えた本発明の露光装置では、高解像のもとで良好な露光を行うことができる。さらに、たとえば波面収差で10mλ以下の極低収差の投影光学系を備えた露光装置を用いる本発明のマイクロデバイス製造方法では、高解像で良好な露光条件のもとで良好なマイクロデバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な原理を説明する図である。
【図2】薄膜の厚さ分布と波面誤差の補正との関係を模式的に説明する図である。
【図3】本発明の各実施形態にかかる製造方法で製造された投影光学系を備えた露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態にかかる製造方法の製造フローを示すフローチャートである。
【図5】各レンズを形成すべきブロック硝材の屈折率の絶対値および屈折率分布を測定する干渉計装置の構成を概略的に示す図である。
【図6】各レンズの面形状誤差を測定する干渉計装置の構成を概略的に示す図である。
【図7】第1実施形態における反射防止膜形成工程のフローチャートである。
【図8】反射防止膜の形成時に所定の厚さ分布を付与する第1の方法を説明する図である。
【図9】一旦形成された反射防止膜の厚さ分布を所定の厚さ分布に補正する第2の方法に用いられるイオンビーム加工装置の構成を概略的に示す図である。
【図10】波長248nmの光に対して用いられる反射防止膜の膜厚補正量と波面のずれ(波面の変化)と反射率との関係を示す図である。
【図11】KrFエキシマレーザ光源を使用する投影光学系の波面収差を計測するフィゾー干渉計方式の波面収差測定機の構成を概略的に示す図である。
【図12】ArFエキシマレーザ光源を使用する投影光学系の波面収差を計測するPDI方式の波面収差測定機の構成を概略的に示す図である。
【図13】間隔調整や偏芯調整が可能に構成された投影光学系の内部構成を概略的に示す図である。
【図14】図13の投影光学系における複数の部分鏡筒のうちの1つの部分鏡筒の構成を示す上面図である。
【図15】マイケルソン型干渉計を利用したレンズ中心厚測定機の構成を概略的に示す図である。
【図16】測定する間隔(レンズ中心厚)よりも可干渉距離が十分に小さい光を供給する光源を使用したときの受光素子に入射する干渉光の強度と反射ミラーの位置との関係を示す図である。
【図17】本発明の第2実施形態にかかる製造方法の製造フローを示すフローチャートである。
【図18】本発明の第3実施形態にかかる投影光学系の製造方法の製造フローを示すフローチャートである。
【図19】マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法のフローチャートである。
【図20】マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得る際の手法のフローチャートである。
【符号の説明】
1,7 レンズ
4,8 薄膜の下層
5,9,10 薄膜の上層
11〜15 光束
21 光源
22 照明光学系
23 マスク(レチクル)
25 マスクステージ
26 投影光学系
27 ウェハ(感光性基板)
29 ウェハステージ
Claims (10)
- 少なくとも1つのレンズを有する光学系の製造方法において、
前記少なくとも1つのレンズを形成する光学材料における屈折率分布を計測する屈折率分布計測工程と、
前記少なくとも1つのレンズにおける表面形状を計測する面形状計測工程と、
前記屈折率分布計測工程の計測結果と前記面形状計測工程の計測結果とに基づいて前記少なくとも1つのレンズの光学的誤差を求める算出工程と、
前記算出工程の算出結果に基づいて前記少なくとも1つのレンズの表面に対して所定の厚さ分布を有する薄膜を形成する補正膜形成工程とを含むことを特徴とする光学系の製造方法。 - 前記算出工程は、少なくとも前記屈折率分布計測工程の計測結果と前記面形状計測工程の計測結果とに基づいて前記少なくとも1つのレンズを介して発生する波面誤差を算出する波面誤差算出工程と、
前記波面誤差算出工程の算出結果に基づいて前記波面誤差を補正するために前記少なくとも1つのレンズの表面に形成すべき薄膜の厚さ分布を算出する厚さ分布算出工程とを含み、
前記補正膜形成工程は、前記厚さ分布算出工程の算出結果に基づいて前記少なくとも1つのレンズの表面に対して所定の厚さ分布を有する薄膜を形成することを特徴とする請求項1に記載の光学系の製造方法。 - 前記補正膜形成工程は、前記少なくとも1つのレンズの表面に薄膜を形成する薄膜形成工程と、
前記薄膜形成工程で形成された薄膜の厚さ分布を補正する薄膜補正工程とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光学系の製造方法。 - 前記算出工程に先立って、前記少なくとも1つのレンズの表面に薄膜を形成する薄膜形成工程と、前記少なくとも1つのレンズを介して発生する波面誤差を計測する波面誤差計測工程とをさらに含み、
前記算出工程は、前記屈折率分布計測工程の計測結果と前記面形状計測工程の計測結果と前記波面誤差計測工程の計測結果とに基づいて、前記波面誤差を補正するために前記少なくとも1つのレンズの表面に形成すべき薄膜の厚さ分布を算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学系の製造方法。 - 前記補正膜形成工程の後に前記少なくとも1つのレンズを用いて光学系を組み立てる組立工程と、
前記組立工程で組み立てられた前記光学系の収差を測定する収差測定工程と、
前記収差測定工程の測定結果に基づいて前記少なくとも1つのレンズの表面に形成された薄膜の厚さ分布を補正する第2膜厚補正工程とを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学系の製造方法。 - 前記補正膜形成工程の後に前記少なくとも1つのレンズを用いて光学系を組み立てる組立工程と、
前記組立工程で組み立てられた前記光学系の収差を測定する第1収差測定工程と、
前記第1収差測定工程の測定結果に基づいて前記少なくとも1つのレンズを調整するレンズ調整工程と、
前記レンズ調整工程で調整された前記光学系の収差を測定する第2収差測定工程と、
前記第2収差測定工程の測定結果に基づいて前記少なくとも1つのレンズの表面に形成された薄膜の厚さ分布を補正する第2膜厚補正工程とを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学系の製造方法。 - 前記少なくとも1つのレンズを有する光学系は複数のレンズを備え、
前記組立工程に先立って、前記光学系を構成すべき複数のレンズを製造するレンズ製造工程と、
前記レンズ製造工程で製造された複数のレンズの形状に関する情報を計測するレンズ形状計測工程と、
前記レンズ形状計測工程で計測された複数のレンズから前記光学系を構成すべき複数のレンズを選択する選択工程と、
前記選択工程で選択された複数のレンズの形状に関する計測情報に基づいて前記光学系の光学性能を予測評価する予測評価工程と、
前記予測評価工程で予測される前記光学系の光学性能が許容できる複数のレンズの最適な組み合わせが決定されるまで前記選択工程と前記予測評価工程とを繰り返す繰り返し工程とをさらに含むことを特徴とする請求項5または6に記載の光学系の製造方法。 - 前記薄膜は多層膜を含み、
前記補正膜形成工程は、前記多層膜の最も外側の層の膜厚の15%以下の補正量を付加することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の光学系の製造方法。 - 所定のパターンが形成されたマスクを照明する照明光学系と、
前記マスクのパターン像を感光性基板に投影するための、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された光学系とを備えていることを特徴とする露光装置。 - 請求項9に記載の露光装置を用いて前記マスクのパターンを感光性基板に露光する露光工程と、
前記露光工程により露光された前記感光性基板を現像する現像工程とを含むことを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
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