JP4692862B2 - 検査装置、該検査装置を備えた露光装置、およびマイクロデバイスの製造方法 - Google Patents
検査装置、該検査装置を備えた露光装置、およびマイクロデバイスの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、検査装置、該検査装置を備えた露光装置、およびマイクロデバイスの製造方法に関する。本発明は、特に半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、または薄膜磁気ヘッド等のマイクロデバイスをリソグラフィー工程で製造するための露光装置に搭載された投影光学系の波面収差の測定に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子等をフォトリソグラフィ工程で製造する際に、マスクのパターン像を感光性基板(ウェハ、ガラス基板、プレートなど)に投影露光する露光装置が使用されている。この種の露光装置では、マスクパターン像を感光性基板に高い解像力をもって忠実に投影するために、諸収差が充分に抑制された良好な光学性能を有する投影光学系が設計されている。
【0003】
ところが、実際に製造された露光装置の投影光学系では、設計上の光学性能とは異なり、様々な要因に起因する諸収差が残存している。そこで、従来、露光装置に搭載された投影光学系のような被検光学系に残存する収差を測定するための種々の装置が提案されている。たとえば、国際公開WO99/60361号公報には、極小ピンホールを用いて発生させた球面波に基づいて被検光学系の波面収差を測定する収差測定装置が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の公報に開示された従来の収差測定装置では、装置自体が発生する波面収差などの誤差が被検光学系の収差測定結果に影響する(上乗せされる)という不都合があった。また、従来の収差測定装置では、装置の初期的な位置設定および位置制御が困難であるという不都合があった。さらに、従来の収差測定装置では、球面波を発生させるために極小径のピンホールを用いるので、測定光量が著しく不足するという不都合があった。
【0007】
本発明は、球面波を発生させるための極小ピンホールを用いることなく、充分な測定光量に基づいて高精度な収差測定を行うことのできる、検査装置および該検査装置を備えた露光装置を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、高精度な収差測定に基づいて良好に調整された投影光学系を用いて、高い解像力で良好なマイクロデバイスを製造することのできる、マイクロデバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、被検光学系の波面収差を測定するための検査装置において、
前記被検光学系の物体面に位置決めされた開口部と、
前記開口部と、前記開口部に照明光を供給する照明系との間に配置され、前記被検光学系の物体側開口数以上の開口数で前記開口部を照明するための拡散光学部材と、
前記被検光学系の像面に形成された前記開口部の一次像からの光を波面分割して前記開口部の二次像を多数形成するための波面分割素子と、
前記波面分割素子により形成された前記多数の二次像を光電検出するための光電検出部とを備えていることを特徴とする検査装置を提供する。
【0010】
第1形態の好ましい態様によれば、前記拡散光学部材は、レモンスキン板又は回折光学素子である。この場合、前記拡散光学部材は、前記開口部と前記照明系との間の光路中に挿脱自在に配置されていることが好ましい。また、前記拡散光学部材により悪化する照明光束の輝度特性を均一化するための輝度特性均一化手段を有することが好ましい。
【0011】
また、第1形態の好ましい態様によれば、前記被検光学系は、マスクに形成されたパターンを感光性基板上に形成するための投影光学系であり、前記波面分割素子及び前記光電検出部を有し、前記投影光学系の収差を測定する収差測定系と、前記収差測定系に一体的に取り付けられた標示板と、前記標示板の位置を検出するための位置検出系とを備えている。この場合、前記位置検出系は、前記投影光学系の光軸に垂直な面に沿った前記収差測定系の位置を検出するための第1検出系と、前記投影光学系の光軸方向に沿った前記収差測定系の位置を検出するための第2検出系とを有することが好ましい。
【0012】
また、第1形態の好ましい態様によれば、前記標示板は、前記収差測定系の光軸に垂直な基準平面を有し、該基準平面上にはアライメントマークおよび反射面が形成されている。この場合、前記第1検出系は、前記アライメントマークに基づいて前記基準平面に沿った前記収差測定系の位置を検出し、前記第2検出系は、前記反射面へ斜め方向から光束を入射させ前記反射面で反射された光束に基づいて前記基準平面の法線方向に沿った前記収差測定系の位置を検出することが好ましい。
【0013】
また、第1形態の好ましい態様によれば、前記標示板は、前記収差測定系の光軸に垂直な基準平面を有し、前記基準平面は前記光電検出部の検出面と光学的にほぼ共役な位置に配置され、前記基準平面上には前記収差測定系の誤差を測定して前記収差測定系を校正するための校正用開口部が形成されている。この場合、前記校正用開口部は、前記基準平面上に形成される前記開口部の一次像よりも大きく設定されていることが好ましい。
【0014】
本発明の第2形態では、照明されたマスクのパターン像を感光性基板上に形成するための投影光学系を備えた露光装置において、第1形態の検査装置を備え、前記検査装置により前記投影光学系を前記被検光学系として波面収差を測定することを特徴とする露光装置を提供する。この場合、前記検査装置による測定結果に基づいて、前記投影光学系の光学特性を調整することが好ましい。
【0015】
本発明の第3形態では、被検光学系の波面収差を測定するための検査方法において、前記被検光学系の物体面に開口部を位置決めし、前記開口部と、前記開口部に照明光を供給する照明系との間に、前記被検光学系の物体側開口数以上の開口数で前記開口部を照明するための拡散光学部材を配置し、前記拡散光学部材、前記開口部及び前記被検光学系を介して、前記被検光学系の像面に形成された前記開口部の一次像からの光を波面分割して前記開口部の二次像を多数形成し、前記多数の二次像に基づいて、前記被検光学系の波面収差を測定する検査方法を提供する。この場合、前記拡散光学部材により悪化する照明光束の輝度特性を均一化することが好ましい。
【0016】
本発明の第4形態では、第2形態の露光装置を用いて前記マスクのパターンを前記感光性基板上に露光する露光工程と、該露光工程により露光された前記感光性基板を現像する現像工程とを含むことを特徴とするマイクロデバイスの製造方法を提供する。
【0040】
【発明の実施の形態】
本発明では、被検光学系の物体側開口数以上の開口数で被検光学系の物体面に位置決めされた開口部を照明(インコヒーレント照明)し、被検光学系の像面に形成された開口部の一次像からの光を波面分割して、たとえばCCDのような光電検出部の受光面上に開口部の二次像を多数形成する方式を採用している。すなわち、本発明では、CCDにおいて解像可能な大きさの開口部を結像させる方式であるため、この開口部を従来のように極小ピンホールとして形成して球面波を発生させる必要はない。
【0041】
すなわち、従来技術では正確な球面波を発生させるために真円度の高い極小のピンホールを形成する必要があるが、本発明では開口部の形状は円形状に限定されることがなく、その形成精度もあまり厳密ではない。その結果、撮像素子であるCCDに対して、極小ピンホールを用いる従来技術の場合に比して著しく大きな照度を提供することが可能となる。換言すると、本発明では、球面波を発生させるための極小ピンホールを用いることなく、充分な測定光量に基づいて高精度な収差測定を行うことができる。
【0042】
また、本発明では、被検光学系の波面収差を測定するための収差測定系に一体的に取り付けられた標示板と、この標示板の位置を検出するための位置検出系とを備えている。この標示板には、たとえばアライメントマークおよび反射面が形成されている。したがって、たとえば露光装置に本発明を適用する場合、露光装置に搭載されたFIA系(詳細は後述)を用いて、アライメントマークに基づいて、投影光学系の光軸に垂直な面に沿った標示板の位置を、ひいては収差測定系のXY平面に沿った位置を検出することができる。
【0043】
また、露光装置に搭載された斜入射式の二次元AF系(詳細は後述)を用いて、反射面へ斜め方向から光束を入射させ反射面で反射された光束に基づいて、投影光学系の光軸方向に沿った標示板の面位置を、ひいては収差測定系のZ方向位置、X軸周りの傾き、およびY軸周りの傾きを検出することができる。こうして、露光装置におけるウェハと同じ程度に高精度なアライメント(位置合わせ)および位置制御を迅速に行うことができる。すなわち、本発明では、収差測定系の初期的な位置設定および位置制御を迅速に且つ高精度に行うことができ、ひいては迅速で且つ正確な収差測定を行うことができる。
なお、後述する本実施形態では、収差測定系のXY平面に沿った位置を検出するために、露光装置に搭載されたFIA系を用いているが、この位置検出系としてはFIA系には限られない。例えば、米国特許第4,710,026号公報や米国特許第5,151,750号公報、米国特許第5,859,707号公報に開示されているLIA系、米国特許第4,677,301号公報や米国特許第5,151,750号公報に開示されているLSA系、または測長干渉計などを用いることができる。ここで、測長干渉計を用いて標示板のXY平面の位置を検出するときには、標示板の端面に測長干渉計からの測長ビームを反射させるための反射面を設ける構成、標示板に測長干渉計からの測長ビームを反射させるための反射鏡を取り付ける構成、あるいは標示板が取り付けられている筐体に測長干渉計からの測長ビームを反射させるための反射鏡を取り付ける構成とすることが好ましい。
また、後述する本実施形態では、収差測定系のZ方向の位置、X軸周りの傾き、およびY軸周りの傾きを検出するために、露光装置に搭載された二次元AF系を用いているが、この位置検出系としては二次元AF系には限られない。例えば、測長干渉計やエアマイクロ、静電容量センサを用いたり、米国特許第5,721,605号公報や米国特許第5,783,833号公報に開示されているようなFIA系内のオートフォーカス機能を用いたりすることができる。また、上述のように測長干渉計を用いて標示板のXY平面の位置を検出するときには、例えば特開2000−39305号公報または特開2000−49066号公報に開示されているように上記反射面、上記反射鏡にXY平面に対して傾斜した反射面を設ければ、標示板、ひいては収差測定系のZ方向の位置、X軸周りの傾き、およびY軸周りの傾きを検出することが可能となる。
【0044】
さらに、本発明では、上述の標示板に校正用の開口部が形成されている。したがって、この校正用開口部を照明することにより、校正用開口部からの光がCCDの受光面上に多数の像を形成する。設計値では、校正用開口部の各像が整然と並んで形成されるはずであるが、収差測定系の波面収差などの影響により、実際に測定される各開口部像の光量重心位置は設計上仮定した理想位置から位置ずれしてしまう。
【0045】
ここで、発生した各開口部像の位置ずれは、収差測定系にのみ起因するものである。そこで、本発明では、上述の自己キャリブレーションで得られた各開口部像の位置を測定用の各原点に設定する。その結果、設定した測定用の各原点に基づいて波面収差の測定を行うことにより、収差測定系自体が発生する波面収差などの誤差が被検光学系の測定結果に実質的に影響することなく、精度の高い波面収差測定を行うことができる。
【0046】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる検査装置を備えた露光装置の構成を概略的に示す図である。図1において、感光性基板であるウェハWの法線方向に沿ってZ軸を、ウェハ面内において図1の紙面に平行な方向にY軸を、ウェハ面内において図1の紙面に垂直な方向にX軸をそれぞれ設定している。なお、図1では、投影光学系PLの像面に検査装置の標示板を位置決めした収差測定時の状態を示しているが、FIA系や斜入射方式のオートフォーカス系を用いた位置検出時および投影露光時には、投影光学系PLの像面にウェハWが位置決めされる。
【0047】
図1の露光装置は、露光光(照明光)を供給するための光源1として、たとえば248nm(KrF)または193nm(ArF)の波長の光を供給するエキシマレーザー光源を備えている。光源1から射出されたほぼ平行光束は、ビーム整形光学系2を介して所定断面の光束に整形された後、干渉性低減部3に入射する。干渉性低減部3は、被照射面であるマスクM上(ひいてはウェハW上)での干渉パターンの発生を低減する機能を有する。干渉性低減部3の詳細については、たとえば特開昭59−226317号公報に開示されている。
【0048】
干渉性低減部3からの光束は、第1フライアイレンズ4を介して、その後側焦点面に多数の光源を形成する。これらの多数の光源からの光は、振動ミラー5で偏向された後、リレー光学系6を介して第2フライアイレンズ6を重畳的に照明する。ここで、振動ミラー5は、X軸周りに回動する折り曲げミラーであって、被照射面での干渉パターンの発生を低減する機能を有する。こうして、第2フライアイレンズ7の後側焦点面には、多数の光源からなる二次光源が形成される。この二次光源からの光束は、その近傍に配置された開口絞り8により制限された後、コンデンサー光学系9を介して、下側面に所定のパターンが形成されたマスクMを重畳的に均一照明する。
【0049】
マスクMのパターンを透過した光束は、投影光学系PLを介して、感光性基板であるウェハW上にマスクパターンの像を形成する。マスクMは、マスクホルダ(不図示)を介して、マスクステージMSに載置されている。なお、マスクステージMSは、主制御系(不図示)からの指令に基づき、マスクステージ制御部(不図示)によって駆動される。このとき、マスクステージMSの移動は、マスク干渉計(不図示)とマスクステージMSに設けられた移動鏡(不図示)とにより計測される。
【0050】
一方、ウェハWは、ウェハステージWS上のウェハホルダWHに真空チャックされている。ウェハステージWSは、主制御系(不図示)からの指令に基づき、ウェハステージ制御部(不図示)によって駆動される。このとき、ウェハステージWSの移動は、ウェハ干渉計WIFとウェハステージWSに設けられた移動鏡WMとにより計測される。こうして、ウェハステージWSは、X方向の移動機能、Y方向の移動機能、Z方向の移動機能、Z軸周りの回転機能、X軸周りのチルト機能、およびY軸周りのチルト機能を有し、ウェハ干渉計WIFとウェハステージ制御部とによりナノオーダで位置制御される。
【0051】
また、図1の露光装置は、投影光学系の光軸AXに垂直な平面すなわちXY平面に沿ったウェハWの位置を検出するための第1位置検出系として、オフアクシス方式のFIA(Field Image Alignment)系を備えている。このFIA系は、波長帯域幅の広い照明光を供給するための光源として、たとえばハロゲンランプ(不図示)を備えている。光源からの照明光は、リレー光学系(不図示)を介して、ライトガイド21に入射する。ライトガイド21の内部を伝播した光は、コンデンサーレンズ22およびリレーレンズ23を介して、ハーフプリズム24に入射する。
【0052】
ハーフプリズム24で反射された照明光は、第1対物レンズ25および反射プリズム26を介してウェハW上に形成された各アライメントマーク(たとえばX方向のラインアンドスペースパターンおよびY方向のラインアンドスペースパターン)を落射照明する。照明された各アライメントマークからの反射光は、反射プリズム26および第1対物レンズ25を介して、ハーフプリズム24に入射する。ハーフプリズム24を透過した光は、第2対物レンズ27を介して、ハーフプリズム28に入射する。ハーフプリズム28を透過した光はX方向CCD29に達し、ハーフプリズム28で反射された光はY方向CCD30に達する。
【0053】
ここで、X方向CCD29の撮像面にはX方向アライメントマークの拡大像が形成され、Y方向CCD30の撮像面にはY方向アライメントマークの拡大像が形成される。こうして、X方向CCD29およびY方向CCD30で得られた撮像信号を画像処理することによって、各アライメントマークのXY平面に沿った位置を、ひいてはウェハWのXY平面に沿った位置を検出する。そして、検出した各アライメントマークの位置情報に基づいて、ウェハWのXY平面に沿ったアライメントを行うことができる。なお、FIA系の詳細については、たとえば特開平4‐65603号公報や特開平4‐273246号公報などに開示されている。
【0054】
さらに、図1の露光装置は、投影光学系の光軸AXの方向すなわちZ方向に沿ったウェハWの位置を検出するための第2位置検出系として、いわゆる斜入射方式の二次元オートフォーカス系(AF系)を備えている。この斜入射方式の二次元AF系は、検出光として波長幅の広い白色光を供給するための光源として、たとえばハロゲンランプ(不図示)を備えている。光源からの照明光はリレー光学系(不図示)を介して、ライトガイド31に入射する。ライトガイド31の内部を伝搬した光は、コンデンサーレンズ32を介してほぼ平行光束に変換された後、偏向プリズム33に入射する。偏向プリズム33は、コンデンサーレンズ32からのほぼ平行光束を、屈折作用により偏向させる。また、偏向プリズム33の射出側には、X方向に延びる細長い透過部とX方向に延びる細長い遮光部とが一定のピッチで交互に設けられた透過型格子パターンが形成されている。
【0055】
偏向プリズム33の透過型格子パターンを透過した光は、投影光学系PLの光軸AXに平行な光軸に沿って配置された投射用集光レンズ34に入射する。投射用集光レンズ34を介した光束は、ミラー35および投射用対物レンズ36を介して、所要の入射角でウェハWに達する。こうして、ウェハW上には、二次元スリット投影パターンとしての格子パターンの一次像がその全体に亘って正確に形成される。ウェハWで反射された光は、受光用対物レンズ37および振動ミラー38を介して、受光用集光レンズ39に入射する。受光用集光レンズ39を介した光は、上述の偏向プリズム33と同様の構成を有するアオリ補正プリズム40に入射する。
【0056】
こうして、アオリ補正プリズム40の入射面には、格子パターンの二次像が形成される。なお、アオリ補正プリズム40の入射面には、遮光手段としての二次元受光スリットが設けられている。アオリ補正プリズム40の射出面から射出された光は、一対のレンズで構成されるリレー光学系41に入射する。リレー光学系41を介した光は、アオリ補正プリズム40の入射面上に形成された格子パターンの二次像と受光スリットの開口部との共役像を、受光部42の受光面上に形成する。受光面には、受光スリットの複数の開口部に光学的に対応するように、二次元受光センサとしての複数のシリコン・フォト・ダイオードが設けられている。
【0057】
なお、格子パターンが形成された偏向プリズム33の射出面とウェハWの露光面、および二次元受光スリットの形成されたアオリ補正プリズム40の入射面とウェハWの露光面とがシャインプルーフの条件を満たした共役関係になっている。ここで、ウェハWが投影光学系PLの光軸AXに沿ってZ方向に上下移動すると、アオリ補正プリズム40の入射面上に形成される格子パターンの二次像は、ウェハWの上下移動に対応してパターンのピッチ方向に横ずれを起こす。
【0058】
こうして、光電顕微鏡の原理により、格子パターンの二次像の横ずれ量を光電検出し、光電検出した横ずれ量に基づいて投影光学系PLの光軸AXに沿ったウェハWの面位置を検出する。また、二次元多点オートフォーカス方式にしたがって投影光学系PLの光軸AXに沿ったウェハWの面位置を二次元的に検出する。その結果、ウェハステージWSをZ方向に移動させたり、X軸周りおよびY軸周りにチルトさせることにより、投影光学系PLのフォーカス方向にウェハWの面位置を二次元的にアライメントすることができる。なお、光電顕微鏡の原理の詳細については、例えば特開昭56−42205号公報に開示されている。また、二次元多点オートフォーカス方式の詳細については、例えば特開平6−97045号公報に開示されている。
【0059】
上述したように、図1の露光装置では、マスクMおよびウェハWを投影光学系PLに対して高精度に位置決めして露光を行う。また、交換したマスクMとウェハWとを高精度に位置合わせして重ね露光を繰り返す。このとき、ウェハWの交換時には、上述のFIA系および二次元AF系により、ウェハWの位置検出が高精度に行われる。そして、ウェハ干渉計WIFおよびウェハステージ制御部により、ウェハWの位置制御が高精度に行われる。こうして、ウェハWへの重ね露光を繰り返すことにより、ウェハWの各露光領域に種々のパターンが形成される。
【0060】
本実施形態の露光装置は、投影光学系PLの波面収差を測定するための検査装置を備えている。図2は、図1の検査装置の要部構成を概略的に示す図であって、収差測定系をその光軸に沿って展開した状態を示す図である。以下、図1および図2を参照して、本実施形態の検査装置の構成について説明する。本実施形態の検査装置では、被検光学系としての投影光学系PLの波面収差の測定に際して、マスクステージMS上に収差測定用のテストマスクTMが設置される。テストマスクTMには、図3に示すように、収差測定用の円形状の開口部10aがX方向およびY方向に沿って複数個(図3では9個)マトリックス状に形成されている。また、開口部10aよりも実質的に大きな正方形状の開口部10bが形成されている。
【0061】
また、本実施形態の検査装置は、ウェハステージWS上においてウェハWの露光面とほぼ同じ高さ位置(Z方向位置)に取り付けられた標示板11を備えている。標示板11は、たとえばガラス基板からなり、投影光学系PLの光軸AXに垂直な、ひいては後述する収差測定系の光軸AX1に垂直な基準平面11aを有する。この基準平面11a上には、図4に示すように、その中央部に校正用開口部(光透過部)11bが形成され、その周辺には複数組(図4では4組)のアライメントマーク11cが形成されている。
【0062】
ここで、校正用開口部11bは、投影光学系PLを介して形成されるテストマスクTMの開口部10aの像よりも大きく設定されている。また、各組のアライメントマーク11cは、X方向に沿って形成されたラインアンドスペースパターンとY方向に沿って形成されたラインアンドスペースパターンとから構成されている。さらに、校正用開口部11bおよび複数のアライメントマーク11cを除く領域には、反射面11dが形成されている。反射面11dは、たとえばガラス基板にクロム(Cr)を蒸着することにより形成されている。
【0063】
さらに、本実施形態の検査装置は、投影光学系PLの波面収差を測定するための光学系としての収差測定系を備えている。収差測定系では、投影光学系PLを介してその像面に形成されたテストマスクTMの開口部10aの像からの光が、コリメートレンズ12およびリレーレンズ13を介して、マイクロフライアイ14に入射する。マイクロフライアイ14は、図5に示すように、縦横に且つ稠密に配列された正方形状の正屈折力を有する多数の微小レンズ14aからなる光学素子である。マイクロフライアイ14は、たとえば平行平面ガラス板にエッチング処理を施して微小レンズ群を形成することによって構成されている。
【0064】
したがって、マイクロフライアイ14に入射した光束は多数の微小レンズ14aにより二次元的に分割され、各微小レンズ14aの後側焦点面の近傍にはそれぞれ1つの開口部10aの像が形成される。換言すると、マイクロフライアイ14の後側焦点面の近傍には、開口部10aの像が多数形成される。こうして形成された多数の像は、二次元撮像素子としてのCCD15によって検出される。CCD15の出力は、信号処理ユニット19に供給される。このように、マイクロフライアイ14は、投影光学系PLその像面に形成されたテストマスクTMの開口部10aの一次像からの光を波面分割して開口部10aの二次像を多数形成するための波面分割素子を構成している。
【0065】
また、CCD15は、波面分割素子としてのマイクロフライアイ14により形成された開口部10aの多数の二次像を光電検出するための光電検出部を構成している。さらに、コリメートレンズ12、リレーレンズ13、マイクロフライアイ14およびCCD15は、図1に示すように、マスクステージMSの内部に設けられ、投影光学系PLの波面収差を測定するための光学系としての収差測定系を構成している。その結果、標示板11は、収差測定系(12〜15)に一体的に取り付けられている。
【0066】
一般に、露光装置では、照明系(1〜9)から供給される照明光の開口数(NA)が投影光学系PLの物体側開口数よりも小さく設定されている。したがって、照明系(1〜9)を用いてテストマスクTMの開口部10aを照明しても、開口部10aを介した光が不充分な開口数で投影光学系PLに入射することになる。そこで、本実施形態の検査装置は、投影光学系PLの物体側開口数NAp以上の開口数NAiで開口部10aを照明(インコヒーレント照明)するために、図1に示すように、照明系(1〜9)とテストマスクTMとの間の光路中に挿脱自在に配置されて光束を拡散するためのレモンスキン板16を備えている。
【0067】
図6は、レモンスキン板に平行光束が入射したときの散乱特性を示す図である。また、図7は、レモンスキン板を設置しないときにテストマスクへ入射する光束の照明NA内の輝度分布とレモンスキン板を設置したときにテストマスクへ入射する光束の照明NA内の輝度分布とを比較する図である。図6および図7を参照すると、照明系(1〜9)からの光束の開口数を拡大するためにレモンスキン板16を設置すると、照明光束の輝度特性が悪化することがわかる。そこで、本実施形態では、照明系(1〜9)の照明光路中に、たとえば二次光源が形成される開口絞り8の近傍に挿脱自在に配置されて所定の光強度分布の光束を形成するための濃度フィルタ17を備えている。
【0068】
ここで、図6に示すような正規分布形状の散乱特性を有するレモンスキン板16に対して、図8に示すような逆正規分布形状の透過率分布を濃度フィルタ17に付与することにより、レモンスキン板16により悪化する照明光束の輝度特性をほぼ均一化することができる。あるいは、開口絞り8に代えて輪帯状の開口部を有する輪帯開口絞りを設置して二次光源を輪帯状に制限することにより、図9に示すように、レモンスキン板16により悪化する照明光束の輝度特性をほぼ均一化することもできる。もちろん、濃度フィルタ17の設置と輪帯状の開口部を有する輪帯開口絞り8aの設置とを併用することもできる。
【0069】
以上のように、レモンスキン板16および濃度フィルタ17(必要に応じて輪帯開口絞り8a)は、照明系(1〜9)からの光束の開口数を拡大するための開口数拡大手段を構成している。そして、レモンスキン板16は、照明系(1〜9)とテストマスクTMとの間の光路中に挿脱自在に配置されて光束を拡散するための拡散光学部材を構成している。また、濃度フィルタ17(必要に応じて輪帯開口絞り8a)は、レモンスキン板16により悪化する照明光束の輝度特性を均一化するための輝度特性均一化手段を構成している。レモンスキン板16の設置に代えて、テストマスクTMの上側面をレモンスキン加工することもできる。
【0070】
一般に、レモンスキン板の散乱特性は、レモンスキン板を作る際の砥石の面あらさと、表面を酸で化学処理する際の加工時間の差とにより、ある程度変化させることができる。なお、レモンスキン板16に代えて、現在技術進歩の著しいDOE(回折光学素子:ディフラクティブ・オプティクス・エレメント)を使用し、開口数の拡大された光束の照明NA内の輝度特性をほぼ均一に維持することも可能である。DOEは、通常ガラスプレート上にホトリソグラフィで回折パターンを形成することにより構成され、散乱光の輝度特性を一定角度までほぼ均一にするような特性を有するDOEも開発されている。したがって、拡散光学部材としてDOEを使用する場合には、濃度フィルタ17の設置や輪帯状の開口部を有する輪帯開口絞り8aの設置を省略することもできる。なお、近年において、露光装置の照明系から供給される照明光の開口数は大きくなる傾向にある。ここで、露光装置の照明系から供給される照明光の開口数が投影光学系PLの物体側開口数よりも十分に大きく設定されている場合(例えばσ≧1である場合)には、開口数拡大手段としてのレモンスキン板16を用いることなく測定を行うことも可能である。
【0071】
本実施形態では、上述したように、投影光学系PLの物体側開口数NAp以上の開口数NAiで開口部10aを照明する。この場合、図10に示すように、収差測定系のマイクロフライアイ14の各微小レンズ14a毎に互いに独立な多数の結像光学系が存在すると考えることが可能である。各結像光学系は、各微小レンズ14aの大きさに相当する波面収差の一部分の影響を受けて開口部10aの像をそれぞれインコヒーレント結像することになる。このとき、収差測定系は、図11に示すように、標示板11の校正用開口部11bの中央に開口部10aの像10iが形成されるように設定される。すなわち、校正用開口部11bは、投影光学系PLを介して形成される開口部10aの像10iよりも実質的に大きく設定されている。
【0072】
結像論から考察して、波面収差にチルト成分(傾き成分)がある場合には、各微小レンズ14aを介して形成される像が位置シフトすることは自明である。すなわち、平均的な波面傾き量に対して、像の位置ズレが発生することになる。換言すると、各結像光学系毎に、部分的な波面傾き量に応じた像の位置ズレがそれぞれ発生することになる。このときの各像の状態は、極小ピンホールを用いて発生させた球面波に基づいて形成される従来の点像の状態と同じである。したがって、従来技術と同様の信号処理によって波面収差の測定が可能となる。
【0073】
具体的には、投影光学系PLに波面収差が残存していない場合、開口部10aの各像の光量重心位置は測定用の各原点位置に形成される。後述するように、収差測定系に波面収差などに起因する誤差がない場合、測定用の各原点位置は、マイクロフライアイ14の各微小レンズ14aの光軸上に設定される。実際には、投影光学系PLに波面収差が残存しているため、開口部10aの各像の光量重心位置は測定用の各原点位置から位置ずれする。したがって、本実施形態では、CCD15の出力に含まれる上述の位置ずれ情報に基づいて、投影光学系PLの波面収差を測定することになる。
【0074】
ただし、本実施形態では、CCD15において解像可能な大きさの開口部10aを結像させる方式であるため、開口部10aを従来のように極小ピンホールとして形成して球面波を発生させる必要はない。すなわち、従来技術では正確な球面波を発生させるために真円度の高い極小のピンホールを形成する必要があるが、本実施形態では開口部10aの形状は円形状に限定されることがない。また、開口部10aからCCD15までの光路における透過率は収差測定系を構成する光学部材の透過率に依存して決定され、極小ピンホールを用いる従来技術の場合のような回折による輝度の劣化は起こらない。その結果、撮像素子であるCCD15に対して、極小ピンホールを用いる従来技術の場合に比して著しく大きな照度を提供することが可能となる。
【0075】
以下、本実施形態の検査装置を用いて投影光学系PLの波面収差を測定する動作について説明する。本実施形態では、上述したように、収差測定系(12〜15)に一体的に取り付けられた標示板11が設けられている。そして、標示板11の基準平面11a上には、クロム膜などをエッチングすることによりアライメントマーク11cが形成されているとともに、必要十分な面精度で加工された反射面11dが形成されている。したがって、露光装置に搭載された前述のFIA系を用いて、アライメントマーク11cに基づいて、XY平面に沿った標示板11の位置を、ひいてはXY平面に沿った収差測定系の位置を検出することができる。
【0076】
また、露光装置に搭載された前述の斜入射式の二次元AF系を用いて、反射面11dへ斜め方向から光束を入射させ反射面11dで反射された光束に基づいて、Z方向に沿った標示板11の面位置を、ひいては収差測定系のZ方向位置、X軸周りの傾き、およびY軸周りの傾きを検出することができる。さらに、露光装置に搭載された前述のウェハ干渉計WIFおよびウェハステージ駆動部の作用により、ウェハWと同じ程度に高精度なアライメント(位置合わせ)および位置制御を迅速に行うことができる。
【0077】
被検光学系である投影光学系PLに対して収差測定系がX方向、Y方向、Z方向などに位置ずれしていると、チルト成分やデフォーカス成分のような低次の波面収差成分が大きく発生する。そこで、波面収差を測定するために、収差測定系の位置ずれを波面収差測定ストローク内に追い込む必要がある。さらに、波面収差の測定精度を向上させるために、上述のような低次の波面収差成分をできるだけ追い込んだ状態で波面収差の測定をすることが望ましい。標示板11を設置することにより、収差測定系の正確で迅速な位置制御が可能になり、上述の追い込み動作が容易になる。その結果、投影光学系PLのフォーカス面の絶対位置計測やディストーションの絶対値計測精度を向上させることができる。
【0078】
具体的には、ウェハステージWSを駆動して、収差測定系を投影光学系PLの露光視野領域内へ、ひいては二次元AF系の検出視野領域内へ移動させる。その状態で、二次元AF系を用いて、投影光学系PLの像面に対して標示板11の基準平面11aを位置合わせする。すなわち、標示板11の基準平面11aのZ方向に沿った位置、X軸周りの傾き、およびY軸周りの傾きを検出し、基準平面11aが投影光学系PLの像面にほぼ一致するようにアライメント調整する。次に、ウェハステージWSをXY平面に沿って駆動して、収差測定系をFIA系の検出視野領域内へ移動させる。そして、FIA系を用いて、標示板11上のアライメントマーク11cを位置検出することにより、収差測定系の光軸AX1のXY平面に沿った位置を検出する。
【0079】
なお、標示板11上のアライメントマーク11cと収差測定系の光軸AX1との間の位置関係情報は、通常のウェハアライメントと同様に、予め制御ソフトにデータとして認識されている。また、アライメントマーク11cが複数組あるので、EGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)により、すなわち複数データの平均化効果により、さらに高精度な位置検出が可能となる。こうして、テストマスクTMに設けられた複数の開口部のうち、恣意的に選択された第1番目の開口部10aの像が投影光学系PLを介して形成される位置に対して、収差測定系を初期的に位置決めする。
【0080】
すなわち、収差測定系が初期的に正確に位置決めされた状態において、投影光学系PLを介して形成された第1番目の開口部10aの像の中心点と収差測定系の光軸AX1とがXY平面内において一致する。すなわち、図11に示すように、開口部10aの像10iの中心点と標示板11の校正用開口部11bの中心点とがXY平面内において一致する。この初期状態において、CCD15の出力に基づいて投影光学系PLの波面収差を測定する。この測定結果から、チルト成分、パワー成分(デフォーカス成分)、および非点隔差成分(アス成分)を求め、チルト成分からディストーションの絶対値を、パワー成分からフォーカス面(像面)の絶対位置を、非点隔差成分から像面隔差をそれぞれ求めることができる。
【0081】
次に、チルト成分およびパワー成分ができるだけ小さくなるように、収差測定系を微動させる。このときの収差測定系のX方向の微動量ΔxおよびY方向の微動量Δyに基づいてディストーションの絶対値を、収差測定系のZ方向の微動量Δzに基づいてフォーカス面の絶対位置をそれぞれ求めることもできる。こうして、チルト成分およびパワー成分をできるだけ小さく追い込んだ状態で、CCD15の出力に基づいて投影光学系PLの波面収差を最終的に高精度に測定する。
【0082】
上述の波面収差の測定動作は、テストマスクTMに設けられた残りの複数の開口部について同様に順次行われる。このように、標示板11を用いてテストマスクTMの第1番目の開口部に対する収差測定系の位置設定が終了した後は、露光装置の本来の焼き付け動作と同様に、二次元AF系で標示板11の高さ位置を常に位置合わせすると共に、ウェハ干渉計WIFの出力情報に基づいてウェハステージWSのXY平面に沿った位置を制御して、投影光学系PLの任意座標位置での波面収差の測定(すなわちテストマスクTMの残りの複数の開口部に対する波面収差の測定)を実施することができる。
【0083】
上述のように、本実施形態では、収差測定系の初期的な測定結果であるチルト成分やパワー成分に基づいて所望の値だけ収差測定系を微動させ、チルト成分やパワー成分が小さくなるように追い込むことが可能である。この機能により、高速な位置制御に基づく高精度な波面収差の測定が可能になる。なお、投影光学系PLの波面収差の測定は、投影光学系PLの初期的な調整・検査時のみならず、その後の点検時にも行われる。点検時における波面収差の測定は、露光装置の本来の目的であるデバイスの製造を一次的に止めて行われるので、作業の迅速性が要求される。この場合、本実施形態の位置制御の容易性および迅速性は非常に重要な要素となる。
【0084】
ところで、露光装置に搭載された投影光学系PLの波面収差を正確に測定するには、収差測定系自体で発生する波面収差などの影響をどのように処理するかが問題となる。本実施形態の収差測定系には、コリメートレンズ12、リレーレンズ13、マイクロフライアイ14、CCD15、ミラー(図1参照)などの光学部材が用いられている。これらの光学部材の製造誤差は、投影光学系PLの波面収差の測定時にその測定値に上乗せされる。収差測定系自体で発生する波面収差などの測定値への影響を小さく抑えるには、収差測定系を構成する各光学部材の公差を非常に厳しく設定し、被検光学系である投影光学系PLの波面収差発生量に比して収差測定系の波面収差発生量を十分に小さく抑える方法、あるいは収差測定系自体で発生する波面収差などの影響を予め把握して測定値を補正する方法が考えられる。
【0085】
本実施形態のように、被検光学系が露光装置に搭載される投影光学系PLの場合、投影光学系PLに比して収差測定系の波面収差発生量を十分に小さく抑えることは現実的に不可能に近い。なぜなら、露光装置の投影光学系PLに残存している波面収差量が元々非常に小さい値に抑えられているからである。一方、収差測定系を構成するレンズ部品やミラー部品の面精度を厳しく設定するためには、光学材料(光学ガラス)自体の均一性を向上させたり、面精度を測定する干渉計の絶対値精度を向上させなければならない。
【0086】
干渉計の精度を向上させるためには、干渉計を構成するフィゾーレンズや参照球面ミラー等の部品レベルでの精度の向上および誤差の把握が必要となる。面精度を向上させるための研磨機自体にも更に厳しい精度が要求され、場合によっては部分的に面精度を補正する部分修正研磨技術なども適用しなければならない。このように列挙していくと、収差測定系自体の波面収差発生量を投影光学系PLに比して十分に小さく抑えることがいかに困難であるかがわかる。したがって、収差測定系自体の波面収差発生量をある程度許容できる範囲に抑え、収差測定系の誤差に基づいて測定値を補正すること、すなわち収差測定系について自己キャリブレーションを行うことにより収差測定系自体で発生する波面収差などの影響を補正するのが望ましいことがわかる。
【0087】
以下、図12を参照して、本実施形態における収差測定系の自己キャリブレーションの手順を説明する。まず、収差測定系の自己キャリブレーションに際して、テストマスクTMの正方形状の開口部10b(図3参照)の像が投影光学系PLを介して形成される位置に収差測定系を位置決めする。この状態で、照明系(1〜9)からの照明光が、投影光学系PLを介して、標示板11の校正用開口部11bを照明することになる。ここで、投影光学系PLを介して標示板11上に形成される照明領域(開口部10bの像)は、校正用開口部11bよりも実質的に大きい。
【0088】
こうして、校正用開口部11bからの光が、コリメートレンズ12、リレーレンズ13およびマイクロフライアイ14を介して、CCD15の受光面上に校正用開口部11bの多数の像を形成する。設計値では、校正用開口部11bの各像が、マイクロフライアイ14の各微小レンズ14aの光軸上に整然と並んで形成されるはずである。しかしながら、収差測定系の波面収差、マイクロフライアイ14の製造誤差、CCD15の受光素子の配列誤差等により、実際に測定される各開口部像の光量重心位置は設計上仮定した理想位置から位置ずれしてしまう。
【0089】
ここで、発生した各開口部像の位置ずれは、収差測定系にのみ起因するものであって、投影光学系PLの波面収差などの影響を受けていない。なぜなら、図12の自己キャリブレーション状態において、投影光学系PLは、照明系と収差測定系との間の光路中に配置された照明リレー光学系の機能を果たしているに過ぎないからである。そこで、本実施形態では、自己キャリブレーションで得られた各開口部像の位置を測定用の各原点に設定する。そして、設定した測定用の各原点に基づいて波面収差の測定を行うことにより、収差測定系自体が発生する波面収差などの誤差が投影光学系PLの測定結果に実質的に影響することなく、精度の高い波面収差測定を行うことができる。なお、本実施形態では、校正用開口部11bが収差測定系に一体的に取り付けられた標示板11上に形成されているので、自己キャリブレーション用の開口部をキャリブレーションの度に設置する方法と比ベて、開口部の位置ずれに起因する誤差は発生しない。
【0090】
また、被検光学系の波面収差の測定に際して発生する誤差として、実際に波面収差を測定する測定時における環境と自己キャリブレーション時における環境との違いによる誤差が考えられる。具体的には、波長の変動に起因する誤差、温度の変動に起因する誤差、気圧の変動に起因する誤差等が挙げられる。これらの環境変動は、すべて収差測定系の測定誤差の原因となるが、主に影響を受ける成分は3次収差以下の低次収差(幾何光学でいうザイデルの5収差までの収差)である。
【0091】
ここで、波長の変動に起因する誤差、および気圧の変動に起因する誤差は収差測定系に影響を与えるが、その誤差の発生量はほぼ設計値通りであって、ソフト的に予想可能であると考えられる。したがって、自己キャリブレーション時に所定の気圧および所定の波長における誤差を測定し、測定した誤差に基づいて気圧の変動および波長の変動に起因する誤差の変化を予測することができる。具体的には、測定時における実際の気圧および波長と自己キャリブレーション時における気圧および波長との間の変動量を求め、求めた変動量および自己キャリブレーション時における発生誤差量に基づいて、実際の測定時における発生誤差量を求めることが可能である。
【0092】
一方、温度の変動に起因する誤差に関しては、自己キャリブレーション時に複数の温度条件の元で発生する誤差を測定し、測定した複数の誤差に基づいて温度の変動に起因する誤差の変化を予測することができる。具体的には、測定時における実際の温度と自己キャリブレーション時における複数の測定温度のうち実際の温度に最も近い測定温度との間の変動量を求め、求めた変動量および自己キャリブレーション時における発生誤差量に基づいて、内挿法(あるいは外挿法)により実際の測定時における発生誤差量を求めることが可能である。
【0093】
なお、図12の自己キャリブレーション状態において、校正用開口部11bに対するインコヒーレント照明の条件を満たすために、投影光学系PLの瞳に配置された開口絞りASの可変開口部の径を必要以上に(たとえば最大限に)拡大するとともに、テストマスクTMの開口部10bを投影光学系PLの光軸AXの近傍に設定することが望ましい。また、投影光学系PLと標示板11との間の光路中にレモンスキン板18のような拡散光学部材を設置することが望ましい。
【0094】
しかしながら、事前に自己キャリブレーションが行われており、波長や気圧や温度の変動に起因する誤差のみを補正したいときには、誤差量が低次収差のみで且つ小さいことから、インコヒーレント照明の条件を必ずしも満たす必要はない。インコヒーレント照明の条件を満たさない場合、マイクロフライアイ14の周辺部の微小レンズには光が入射しないが、中央部の微小レンズを介して形成される像の位置ずれに基づいて誤差の補正が可能となる。つまり、事前に自己キャリブレーションを行って各原点位置を求めておき、ある程度の測定精度で随時測定可能に設定しておき、その後の実測定前のキャリブレーションでは各原点位置にオフセットを加えてもよい。このように、自己キャリブレーションによる補正方法は種々考えられるが、収差測定系自体で発生する波面収差などの影響を補正することに変わりはない。
【0095】
こうして、上述の実施形態にかかる露光装置では、自己キャリブレーションにより収差測定系(1〜9)の誤差を測定する(誤差測定工程)。測定された誤差は、たとえばCCD15に接続された信号処理ユニット19(図2および図10参照)のメモリ部に記憶される。そして、収差測定系を用いて被検光学系としての投影光学系PLの波面収差を測定し(収差測定工程)、自己キャリブレーションで測定した誤差情報に基づいて、投影光学系PLの波面収差測定値を補正する(補正工程)。こうして、補正された投影光学系PLの波面収差に基づいて、投影光学系PLを調整する(調整工程)。投影光学系PLの調整に際して、たとえばレンズを微動させたり、レンズ間の圧力を制御したり、収差補正用の光学部材を挿入したりする。
【0096】
次いで、照明系によってマスクを照明し(照明工程)、投影光学系を用いてマスクに形成された転写用のパターンを感光性基板に走査露光する(露光工程)ことにより、マイクロデバイス(半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)を製造することができる。以下、図1に示す本実施形態の露光装置を用いて感光性基板としてのウェハ等に所定の回路パターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例につき図13のフローチャートを参照して説明する。
【0097】
先ず、図13のステップ301において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップ302において、そのlロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップ303において、図1に示す露光装置を用いて、マスク上のパターンの像がその投影光学系(投影光学モジュール)を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。その後、ステップ304において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップ305において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。
【0098】
また、図1に示す露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。以下、図14のフローチャートを参照して、このときの手法の一例につき説明する。図14において、パターン形成工程401では、各実施形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィー工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レチクル剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルター形成工程402へ移行する。
【0099】
次に、カラーフィルター形成工程402では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルターの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルターを形成する。そして、カラーフィルター形成工程402の後に、セル組み立て工程403が実行される。セル組み立て工程403では、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板、およびカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルター等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。セル組み立て工程403では、例えば、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルターとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。
【0100】
その後、モジュール組み立て工程404にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
【0101】
なお、上述の実施形態において、193nmの波長の光を供給するArFエキシマレーザー光源や157nmの波長の光を供給するF2レーザー光源などを用いる場合、酸素による光吸収を回避するために、光源から感光性基板までの光路および収差測定系中の光路が窒素やヘリウムなどの不活性ガスで満たされることになる。この場合、汚れた空気に触れることにより収差測定系中のレンズ面に曇りが発生することのないように、たとえば不活性ガスで満たされた袋または容器に収差測定系を収容して輸送することが好ましい。
【0102】
また、上述の実施形態では、エキシマレーザー光源を備えた露光装置に本発明を適用しているが、これに限定されることなく、図15に示すように、たとえば超高圧水銀ランプを光源とする露光装置に本発明を適用することもできる。この場合、図15に示す変形例にかかる露光装置において、たとえばi線の輝線を含む光を供給する超高圧水銀ランプ51が、光軸AXに関して回転対称な楕円反射面を有する楕円鏡52の第1焦点位置に位置決めされている。したがって、光源51から射出された照明光束は、楕円鏡52の第2焦点位置に光源像を形成する。
【0103】
楕円鏡52の第2焦点位置に形成された光源像からの発散光束は、反射ミラー53で偏向され、コリメートレンズ54によりほぼ平行光束に変換された後、波長選択フィルター(不図示)を介して、波面分割型のオプティカルインテグレータであるフライアイレンズ7に入射する。以下、フライアイレンズ7以降の構成は、図1の実施形態と同様である。なお、波長選択フィルターでは、たとえばi線の光(365nm)だけが露光光として選択される。あるいは、たとえばg線(436nm)の光とh線(405nm)とi線の光とを同時に選択することもできるし、g線の光とh線の光とを同時に選択することもできるし、h線の光とi線の光とを同時に選択することもできる。
【0104】
さらに、上述の実施形態では、露光装置に組み込まれた検査装置に本発明を適用しているが、図16に示すように、たとえばウェハステージと類似の専用ステージを有する検査装置に本発明を適用することもできる。この場合、図16に示す変形例にかかる検査装置は、図1の露光装置の照明系と同じ構成を有する照明系と、図1の露光装置のウェハステージと類似の構成を有する専用ステージSSとを備えているが、FIA系および斜入射方式のAF系を備えていない。これらのアライメント系に代えて、専用ステージSSは、そのY方向の移動量を計測するための第1干渉計IF1と、X方向の移動量を計測するための一対の第2干渉計IF2および第3干渉計IF3とを備えている。図16に示す変形例にかかる検査装置では、露光装置に搭載すべき投影光学系PLや他の適当な被検光学系SLの波面収差が測定される。
【0105】
ところで、図16に示す変形例にかかる検査装置では、図1の露光装置の照明系と同じ構成を有する照明系を用いているが、図17に示すように専用の照明ユニットを有する検査装置に本発明を適用することもできる。この場合、図17に示す変形例にかかる検査装置では、光源(不図示)からの光がライトガイド61によって伝播された後、コンデンサーレンズ62を介して、テストマスクTMの開口部を照明する。なお、ライトガイド61の射出端およびコンデンサーレンズ62は、支持体63によって一体的に支持されている。
【0106】
ここで、照明ユニット(61〜63)は、露光装置に搭載すべき投影光学系PLや他の適当な被検光学系SLの物体側開口数以上の開口数でテストマスクTMを照明するように構成されている。なお、照明ユニット(61〜63)がテストマスクTM上に形成する照明領域の大きさが充分でない場合には、支持体63をXY平面に沿って二次元的に移動させ、テストマスクTMの複数の開口部を順次照明しながら、投影光学系PLまたは被検光学系SLの波面収差を測定することになる。
【0107】
また、上述の実施形態では、露光装置の照明系を用いるとともに投影光学系PLを照明リレー光学系として機能させて収差測定系の自己キャリブレーションを行っているが、図18に示すように、図17に示す変形例の照明ユニットと類似の専用照明ユニットを用いて自己キャリブレーションを行うこともできる。すなわち、図18に示す変形例では、光源(不図示)からの光がライトガイド61によって伝播された後、コンデンサーレンズ62を介して、標示板11の校正用開口部11bを照明する。このとき、照明ユニット(61,62)は、収差測定系の物体側開口数以上の開口数で標示板11を照明するように構成されている。こうして、上述の実施形態と同様に、収差測定系の誤差を測定することができる。
【0108】
ところで、図18に示す変形例では、専用の照明ユニットを用いて収差測定系の自己キャリブレーションを行っているが、図19に示すように、図1の実施形態の照明系と照明リレー光学系とを用いて自己キャリブレーションを行うこともできる。すなわち、図19に示す変形例では、図1の実施形態の照明系と同じ構成を有する照明系からの光が、照明リレー光学系71を介して、標示板11の校正用開口部11bを照明する。このとき、照明リレー光学系71は、収差測定系の物体側開口数以上の開口数で標示板11を照明するように構成されている。こうして、上述の実施形態と同様に、収差測定系の誤差を測定することができる。
【0109】
さらに、上述の実施形態では、標示板11の中央に形成された校正用開口部11bの像をCCD15の受光面上に形成させることによって収差測定系の自己キャリブレーションを行っているが、図20に示すように、極小ピンホールを介して発生させた球面波に基づいて自己キャリブレーションを行うこともできる。すなわち、図20に示す変形例では、CCD15の受光面と光学的に共役な位置に、極小ピンホールが形成された工具81を位置決めする。
【0110】
したがって、図20に示す変形例の場合、CCD15の受光面と光学的に共役な面と標示板11の基準平面11aとの間には所定の間隙(ギャップ)が形成されることになる。この状態で工具81を照明すると、その極小ピンホールから発生した球面波が、コリメートレンズ12、リレーレンズ13、およびマイクロフライアイ14を介して、CCD15の受光面に極小ピンホールの像(集光点)を多数形成する。こうして、上述の実施形態と同様に、収差測定系の誤差を測定することができる。
【0111】
ところで、図21に示すように、図1の露光装置に対して、図20に示す変形例を適用することもできる。この場合、収差測定系の自己キャリブレーションに際して、極小ピンホールが形成されたテストマスクTMが設置される。この状態で照明系(1〜9)がテストマスクTMを照明すると、その極小ピンホールから発生した球面波が、投影光学系PL、コリメートレンズ12、リレーレンズ13、およびマイクロフライアイ14を介して、CCD15の受光面に極小ピンホールの像(集光点)を多数形成する。こうして、上述の実施形態と同様に、たとえば環境の変動に起因する収差測定系の誤差の変化などを測定することができる。
【0112】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、開口部と照明系との間に拡散光学部材を配置し、そして、被検光学系の像面に形成された開口部の一次像からの光を波面分割して、たとえばCCDのような光電検出部の受光面上に開口部の二次像を多数形成する方式を採用している。その結果、本発明では、球面波を発生させるための極小ピンホールを用いることなく、充分な測定光量に基づいて高精度な収差測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる検査装置を備えた露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】図1の検査装置の要部構成を概略的に示す図であって、収差測定系をその光軸に沿って展開した状態を示す図である。
【図3】投影光学系の波面収差の測定に際してマスクステージ上に設置されるテストマスクの構成を概略的に示す図である。
【図4】収差測定系に一体的に取り付けられた標示板の構成を概略的に示す図である。
【図5】収差測定系における波面分割素子としてのマイクロフライアイの構成を概略的に示す図である。
【図6】レモンスキン板に平行光束が入射したときの散乱特性を示す図である。
【図7】レモンスキン板を設置しないときにテストマスクへ入射する光束の照明NA内の輝度分布とレモンスキン板を設置したときにテストマスクへ入射する光束の照明NA内の輝度分布とを比較する図である。
【図8】濃度フィルタに付与された逆正規分布形状の透過率分布を示す図である。
【図9】輪帯開口絞りを介して二次光源を輪帯状に制限することによりレモンスキン板により悪化する照明光束の輝度特性をほぼ均一化される様子を示す図である。
【図10】収差測定系のマイクロフライアイの各微小レンズ毎に互いに独立な多数の結像光学系が存在する様子を示す図である。
【図11】標示板の校正用開口部の中央にテストマスクの開口部の像が形成されている様子を示す図である。
【図12】本実施形態における収差測定系の自己キャリブレーションの手順を説明する図である。
【図13】マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法のフローチャートである。
【図14】マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得る際の手法のフローチャートである。
【図15】超高圧水銀ランプを光源とする露光装置に本発明を適用した変形例を示す図である。
【図16】図1のウェハステージと類似の専用ステージを有する検査装置に本発明を適用した変形例を示す図である。
【図17】専用の照明ユニットを有する検査装置に本発明を適用した変形例を示す図である。
【図18】図17に示す変形例の照明ユニットと類似の専用照明ユニットを用いて自己キャリブレーションを行う変形例を示す図である。
【図19】図1の実施形態の照明系と照明リレー光学系とを用いて自己キャリブレーションを行う変形例を示す図である。
【図20】極小ピンホールを介して発生させた球面波に基づいて自己キャリブレーションを行う変形例を示す図である。
【図21】図1の露光装置に対して図20に示す変形例を適用して自己キャリブレーションを行う変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 光源
2 ビーム整形光学系
3 干渉性低減部
4,7 フライアイレンズ
5 振動ミラー
6 リレー光学系
8 開口絞り
9 コンデンサー光学系
11 標示板
12 コリメートレンズ
13 リレーレンズ
14 マイクロフライアイ
15 CCD
16,18 レモンスキン板
17 濃度フィルタ
19 信号処理ユニット
M マスク
MS マスクステージ
TM テストマスク
PL 投影光学系
W ウェハ
WS ウェハステージ
Claims (15)
- 被検光学系の波面収差を測定するための検査装置において、
前記被検光学系の物体面に位置決めされた開口部と、
前記開口部と、前記開口部に照明光を供給する照明系との間に配置され、前記被検光学系の物体側開口数以上の開口数で前記開口部を照明するための拡散光学部材と、
前記被検光学系の像面に形成された前記開口部の一次像からの光を波面分割して前記開口部の二次像を多数形成するための波面分割素子と、
前記波面分割素子により形成された前記多数の二次像を光電検出するための光電検出部とを備えていることを特徴とする検査装置。 - 前記拡散光学部材は、レモンスキン板又は回折光学素子であることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
- 前記拡散光学部材は、前記開口部と前記照明系との間の光路中に挿脱自在に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の検査装置。
- 前記拡散光学部材により悪化する照明光束の輝度特性を均一化するための輝度特性均一化手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検査装置。
- 前記被検光学系は、マスクに形成されたパターンを感光性基板上に形成するための投影光学系であり、
前記波面分割素子及び前記光電検出部を有し、前記投影光学系の収差を測定する収差測定系と、
前記収差測定系に一体的に取り付けられた標示板と、
前記標示板の位置を検出するための位置検出系とを備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の検査装置。 - 前記位置検出系は、前記投影光学系の光軸に垂直な面に沿った前記収差測定系の位置を検出するための第1検出系と、前記投影光学系の光軸方向に沿った前記収差測定系の位置を検出するための第2検出系とを有することを特徴とする請求項5に記載の検査装置。
- 前記標示板は、前記収差測定系の光軸に垂直な基準平面を有し、該基準平面上にはアライメントマークおよび反射面が形成されていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の検査装置。
- 前記第1検出系は、前記アライメントマークに基づいて前記基準平面に沿った前記収差測定系の位置を検出し、
前記第2検出系は、前記反射面へ斜め方向から光束を入射させ前記反射面で反射された光束に基づいて前記基準平面の法線方向に沿った前記収差測定系の位置を検出することを特徴とする請求項7に記載の検査装置。 - 前記標示板は、前記収差測定系の光軸に垂直な基準平面を有し、
前記基準平面は前記光電検出部の検出面と光学的にほぼ共役な位置に配置され、前記基準平面上には前記収差測定系の誤差を測定して前記収差測定系を校正するための校正用開口部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の検査装置。 - 前記校正用開口部は、前記基準平面上に形成される前記開口部の一次像よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項9に記載の検査装置。
- 照明されたマスクのパターン像を感光性基板上に形成するための投影光学系を備えた露光装置において、
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の検査装置を備え、
前記検査装置により前記投影光学系を前記被検光学系として波面収差を測定することを特徴とする露光装置。 - 前記検査装置による測定結果に基づいて、前記投影光学系の光学特性を調整することを特徴とする請求項11に記載の露光装置。
- 被検光学系の波面収差を測定するための検査方法において、
前記被検光学系の物体面に開口部を位置決めし、
前記開口部と、前記開口部に照明光を供給する照明系との間に、前記被検光学系の物体側開口数以上の開口数で前記開口部を照明するための拡散光学部材を配置し、
前記拡散光学部材、前記開口部及び前記被検光学系を介して、前記被検光学系の像面に形成された前記開口部の一次像からの光を波面分割して前記開口部の二次像を多数形成し、
前記多数の二次像に基づいて、前記被検光学系の波面収差を測定する検査方法。 - 前記拡散光学部材により悪化する照明光束の輝度特性を均一化することを特徴とする請求項13に記載の検査方法。
- 請求項11又は請求項12に記載の露光装置を用いて前記マスクのパターンを前記感光性基板上に露光する露光工程と、該露光工程により露光された前記感光性基板を現像する現像工程とを含むことを特徴とするマイクロデバイスの製造方法。
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