JP2006179660A - 偏光測定装置、偏光測定方法、露光装置、および露光方法 - Google Patents

偏光測定装置、偏光測定方法、露光装置、および露光方法 Download PDF

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尚憲 北
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Abstract

【課題】 移相子や偏光子の光学特性に関する誤差の影響を実質的に受けることなく、光の偏光状態を高精度で測定することのできる偏光測定装置。
【解決手段】 本発明の偏光測定装置は、入射光の偏光状態を変化させるための移相子(94)と、所定の偏光成分を選択的に透過させるための偏光子(95)と、移相子と偏光子との光軸廻りの相対的な回転角度を変化させるための駆動部(97)と、移相子および偏光子を介した光を検出するための光検出器(96)と、光検出器の検出結果に基づいて光の偏光状態を測定する測定部(98)とを備えている。測定部は、移相子の光学特性の測定情報および偏光子の光学特性の測定情報のうちの少なくとも一方の測定情報に基づいて光の偏光状態の測定結果を補正する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、偏光測定装置、偏光測定方法、露光装置、および露光方法に関し、特に半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等のマイクロデバイスをリソグラフィー工程で製造するために使用される露光装置における露光光の偏光状態の測定に関するものである。
この種の典型的な露光装置においては、光源から射出された光束が、オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズ(またはマイクロフライアイレンズなど)を介して、多数の光源からなる実質的な面光源としての二次光源を形成する。二次光源からの光束は、コンデンサーレンズにより集光された後、所定のパターンが形成されたマスクを重畳的に照明する。マスクを透過した光は、投影光学系を介してウェハ上に結像する。
こうして、ウェハ上には、マスクパターンが投影露光(転写)される。マスクに形成されたパターンは高集積化されており、この微細パターンをウェハ上に正確に転写するにはウェハ上において均一な照度分布を得ることが不可欠である。現在、露光光源として、波長が約248nmの光を供給するKrFエキシマレーザ光源や、波長が約193nmの光を供給するArFエキシマレーザ光源などが用いられている。
露光装置では、これらのエキシマレーザ光源から供給される直線偏光の光を非偏光の光に変換し、非偏光状態の光でマスク(ひいてはウェハ)を照明するのが通常である。ただし、マスクパターンの方向性によっては、直線偏光の光でマスク(ひいてはウェハ)を照明することも考えられる。そこで、本出願人は、マスクまたはウェハに対する照明光(露光光)が所望の偏光状態(非偏光状態を含む)であることを確認するために、回転移相法を利用して光の偏光状態を測定する偏光測定装置を提案している(たとえば特願2003−168037を参照)。
回転移相法を利用する偏光測定装置では、移相子や偏光子のような偏光素子が用いられるが、エキシマレーザ光のような短波長光に対して設計通りの所望の光学特性(偏光特性)を有する偏光素子を製造することは困難である。従来の偏光測定装置では、移相子や偏光子の製造に際して不可避的に発生する光学特性の誤差(実際の光学特性と設計上の所望の光学特性との差)の測定結果に対する影響を考慮していないので、光の偏光状態を高精度で測定することが困難である。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、移相子や偏光子の光学特性に関する誤差の影響を実質的に受けることなく、光の偏光状態を高精度で測定することのできる偏光測定装置および偏光測定方法を提供することを目的とする。また、本発明は、光の偏光状態を高精度で測定する偏光測定装置または偏光測定方法を用いて、所望の偏光状態の光でマスクおよび感光性基板を照明し、適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことのできる露光装置および露光方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、光の偏光状態を測定する偏光測定装置において、
入射光の偏光状態を変化させるための移相子と、
所定の偏光成分を選択的に透過させるための偏光子と、
前記移相子と前記偏光子との光軸廻りの相対的な回転角度を変化させるための駆動部と、
前記移相子および前記偏光子を介した光を検出するための光検出器と、
前記光検出器の検出結果に基づいて光の偏光状態を測定する測定部とを備え、
前記測定部は、前記移相子の光学特性の測定情報および前記偏光子の光学特性の測定情報のうちの少なくとも一方の測定情報に基づいて光の偏光状態の測定結果を補正することを特徴とする偏光測定装置を提供する。
本発明の第2形態では、光の偏光状態を測定する偏光測定方法において、
光軸廻りに相対的に回転可能な移相子と偏光子とを介した光を検出する光検出工程と、
前記光検出工程の検出結果に基づいて光の偏光状態を測定する測定工程と、
前記移相子の光学特性の測定情報および前記偏光子の光学特性の測定情報のうちの少なくとも一方の測定情報に基づいて前記測定工程の測定結果を補正する補正工程とを含むことを特徴とする偏光測定方法を提供する。
本発明の第3形態では、マスクに形成されたパターンを感光性基板に露光する露光装置において、前記マスクおよび前記感光性基板のうちの少なくとも一方に対する照明光の偏光状態を測定するための第1形態の偏光測定装置を備えていることを特徴とする露光装置を提供する。
本発明の第4形態では、マスクに形成されたパターンを感光性基板に露光する露光方法において、第1形態の偏光測定装置または第2形態の偏光測定方法を用いて、前記マスクおよび前記感光性基板のうちの少なくとも一方に対する照明光の偏光状態を測定する偏光測定工程を含むことを特徴とする露光方法を提供する。
本発明の偏光測定装置および偏光測定方法では、移相子や偏光子の設計上の光学特性ではなく実際の光学特性に基づいて、所定の偏光解析アルゴリズムにより光の偏光状態を求める。その結果、移相子や偏光子の光学特性に関する誤差の影響を実質的に受けることなく、光の偏光状態を高精度で測定することができる。また、本発明の露光装置では、光の偏光状態を高精度で測定する偏光測定装置または偏光測定方法を用いているので、所望の偏光状態の光でマスクおよび感光性基板を照明し、適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことができ、ひいては良好なデバイスを製造することができる。
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。図1を参照すると、本実施形態の露光装置は、露光光(照明光)を供給するための光源1を備えている。光源1として、たとえば約193nmの波長を有する光を供給するArFエキシマレーザ光源や約248nmの波長を有する光を供給するKrFエキシマレーザ光源を用いることができる。
すなわち、光源1は、たとえば偏光度が0.95以上の光を供給するための狭帯化エキシマレーザ光源であり、その射出光束の95%以上が一方向に沿って振動方向を有する直線偏光である。偏光度Vは、ストークスパラメーターS0〜S3を用いて次の式(a)により表わされる。式(a)において、S0は全強度を、S1は水平直線偏光強度マイナス垂直直線偏光強度を、S2は45度直線偏光強度マイナス135度直線偏光強度を、S3は右まわり円偏光強度マイナス左まわり円偏光強度をそれぞれ表わしている。
V=(S1 2+S2 2+S3 21/2/S0 (a)
光源1から射出されたほぼ平行な光束は、周知の構成を有するビーム送光系2を介して所定の矩形状の断面を有する光束に整形された後、偏光状態可変部3に入射する。ビーム送光系2は、入射光束を適切な大きさおよび形状の断面を有する光束に変換しつつ偏光状態可変部3へ導くとともに、後段の偏光状態可変部3へ入射する光束の位置変動および角度変動をアクティブに補正する機能を有する。
一方、偏光状態可変部3は、後述のマスクM(ひいてはウェハW)に対する照明光に対するの偏光状態を変化させる機能を有する。具体的には、偏光状態可変部3は、入射した直線偏光の光を振動方向の異なる直線偏光に変換したり、入射した直線偏光の光を非偏光の光に変換したり、入射した直線偏光の光を変換することなくそのまま射出したりする。なお、偏光状態可変部3の詳細な構成および作用については後述する。
偏光状態可変部3により必要に応じて偏光状態の変換された光束は、ビーム形状可変部4を介して、マイクロフライアイレンズ(またはフライアイレンズ)5に入射する。ビーム形状可変部4は、たとえば回折光学素子や変倍光学系などを含み、マイクロフライアイレンズ5の入射面に形成される照野の大きさおよび形状を、ひいてはマイクロフライアイレンズ5の後側焦点面(照明瞳面)に形成される面光源の大きさおよび形状を変化させる機能を有する。
一方、マイクロフライアイレンズ5は、たとえば縦横に且つ稠密に配列された多数の正屈折力を有する微小レンズからなる光学素子であり、平行平面板にエッチング処理を施して微小レンズ群を形成することによって構成される。ここで、マイクロフライアイレンズを構成する各微小レンズは、フライアイレンズを構成する各レンズエレメントよりも微小である。
また、マイクロフライアイレンズは、互いに隔絶されたレンズエレメントからなるフライアイレンズとは異なり、多数の微小レンズ(微小屈折面)が互いに隔絶されることなく一体的に形成されている。しかしながら、レンズ要素が縦横に配置されている点でマイクロフライアイレンズはフライアイレンズと同じ波面分割型のオプティカルインテグレータである。なお、マイクロフライアイレンズ5に代えて、回折光学素子や角柱状のロッド型インテグレータのようなオプティカルインテグレータを用いることもできる。
マイクロフライアイレンズ5に入射した光束は多数の微小レンズにより二次元的に分割され、光束が入射した各微小レンズの後側焦点面には光源がそれぞれ形成される。こうして、マイクロフライアイレンズ5の後側焦点面には、多数の光源からなる実質的な面光源(以下、「二次光源」という)が形成される。マイクロフライアイレンズ5の後側焦点面に形成された二次光源からの光束は、コンデンサー光学系6を介した後、マスクブラインド7を重畳的に照明する。なお、マイクロフライアイレンズ5の後側または前側に開口絞りを配置して光束を制限することも可能である。
こうして、照明視野絞りとしてのマスクブラインド7には、マイクロフライアイレンズ5を構成する各微小レンズの形状と焦点距離とに応じた矩形状の照野が形成される。マスクブラインド7の矩形状の開口部(光透過部)を介した光束は、結像光学系8の集光作用を受けた後、所定のパターンが形成されたマスク(レチクル)Mを重畳的に照明する。すなわち、結像光学系8は、マスクブラインド7の矩形状開口部の像をマスクM上に形成することになる。
マスクMのパターンを透過した光束は、投影光学系PLを介して、感光性基板であるウェハW上にマスクパターンの像を形成する。こうして、投影光学系PLの光軸AXと直交する平面内においてウェハWを二次元的に駆動制御しながら一括露光またはスキャン露光を行うことにより、ウェハWの各露光領域にはマスクMのパターンが逐次露光される。
本実施形態の露光装置は、ウェハWに対する照明光の偏光状態を測定するための偏光測定装置9と、たとえばコンデンサー光学系6の光路からビームスプリッター(不図示)を介して取り出された光に基づいて照明光(露光光)の光量(光強度)を検出するための周知の構成を有する光量検出部10とを備えている。なお、偏光測定装置9の詳細な構成および作用については後述する。また、光量検出部10では、コンデンサー光学系6の光路に限定されることなく、他の適当な光路から取り出された光に基づいて光量を検出することもできる。
偏光測定装置9の測定結果および光量検出部10の検出結果は、制御部11に供給される。制御部11は、偏光測定装置9の測定結果に基づいて偏光状態可変部3の動作を制御し、光量検出部10の検出結果に基づいて光源1の出力を制御する。また、制御部11は、マスクMのパターン特性(微細度、方向性など)に応じて、偏光状態可変部3の動作およびビーム形状可変部4の動作をそれぞれ制御する。
図2は、図1の偏光状態可変部の内部構成を概略的に示す図である。また、図3は、図1の偏光状態可変部の作用を説明する図である。図2を参照すると、偏光状態可変部3は、光源側から順に、水晶により形成された1/2波長板31と、水晶により形成された偏角プリズムすなわち水晶プリズム32aと、石英ガラスにより形成された偏角プリズムすなわち石英プリズム32bとにより構成されている。
1/2波長板31、水晶プリズム32aおよび石英プリズム32bは、光軸AXを中心としてそれぞれ回転可能に構成されている。こうして、1/2波長板31は移相子を構成し、水晶プリズム32aと石英プリズム32bとは偏光解消素子32を構成している。ここで、水晶プリズム32aは偏光解消作用を有し、石英プリズム32bは水晶プリズム32aの偏角作用による光線の曲がりを補正する機能を有する。
図3(a)を参照すると、縦方向(図3中の鉛直方向)の直線偏光の入射光に対して、1/2波長板31の結晶光学軸31aが縦方向に対して45度の角度をなすように設定されているので、1/2波長板31からの射出光は横方向の直線偏光に変換される。そして、横方向の直線偏光の入射光に対して、偏光解消素子32を構成する水晶プリズム32aの結晶光学軸32cが横方向に設定されているので、偏光解消素子32からの射出光は偏光解消作用を受けることなく横方向の直線偏光のままである。すなわち、図3(a)の状態では、偏光状態可変部3に入射した縦方向の直線偏光の光は、横方向の直線偏光の光に変換されてビーム形状可変部4へ導かれる。
図3(b)を参照すると、縦方向の直線偏光の入射光に対して、1/2波長板31の結晶光学軸31aが縦方向に設定されているので、1/2波長板31からの射出光は移相作用を受けることなく縦方向の直線偏光のままである。そして、縦方向の直線偏光の入射光に対して、水晶プリズム32aの結晶光学軸32cが縦方向に対して45度の角度をなすように設定されているので、偏光解消素子32からの射出光は偏光解消作用を受けて非偏光に変換される。すなわち、図3(b)の状態では、偏光状態可変部3に入射した縦方向の直線偏光の光は、非偏光状態の光に変換されてビーム形状可変部4へ導かれる。
図3(c)を参照すると、縦方向の直線偏光の入射光に対して、1/2波長板31の結晶光学軸31aが縦方向に設定されているので、1/2波長板31からの射出光は移相作用を受けることなく縦方向の直線偏光のままである。そして、縦方向の直線偏光の入射光に対して、水晶プリズム32aの結晶光学軸32cが縦方向に設定されているので、偏光解消素子32からの射出光は偏光解消作用を受けることなく縦方向の直線偏光のままである。すなわち、図3(c)の状態では、偏光状態可変部3に入射した縦方向の直線偏光の光は、偏光状態の変化を受けることなく縦方向の直線偏光のままビーム形状可変部4へ導かれる。
図4は、図1の偏光測定装置の内部構成を概略的に示す図である。図4を参照すると、偏光測定装置9は、ウェハWの位置またはその近傍に位置決め可能なピンホール部材90を備えている。ピンホール部材90のピンホール90aを通過した光は、コリメートレンズ91を介してほぼ平行な光束になり、反射鏡92で反射された後、リレーレンズ系93に入射する。リレーレンズ系93を介したほぼ平行な光束は、1/4波長板94および偏光ビームスプリッター95を介した後、二次元CCD96の検出面96aに達する。
ここで、1/4波長板94は、駆動部97の作用により光軸を中心として回転可能であり、入射光の偏光状態を変化させるための移相子を構成している。また、偏光ビームスプリッター95は、所定の偏光成分を選択的に透過させるための偏光子、さらに詳細には所定の直線偏光成分だけを選択的に透過させるための直線偏光子を構成している。また、駆動部97は、移相子としての1/4波長板94と偏光子としての偏光ビームスプリッター95との光軸廻りの相対的な回転角度を変化させる機能を有する。
駆動部97からの1/4波長板94の回転角に関する情報および二次元CCD96からの検出結果は、測定部98に供給される。こうして、ウェハWに対する照明光の偏光度が0でない場合には、駆動部97を介して1/4波長板94を光軸廻りに回転させることにより二次元CCD96の検出面96aにおける光強度分布が変化する。偏光測定装置9では、駆動部97を用いて1/4波長板94を光軸廻りに回転させながら検出面96aにおける光強度分布の変化を検出する。そして、測定部98は、駆動部97からの回転角情報および二次元CCD96からの光強度分布の変化情報に基づいて、回転移相子法により照明光の偏光状態を測定する。測定部98の測定結果は、上述したように制御部11に供給される。
なお、回転移相子法については、例えば鶴田著,「光の鉛筆−光技術者のための応用光学」,株式会社新技術コミュニケーションズなどに詳しく記載されている。実際には、ピンホール部材90(ひいてはピンホール90a)をウェハ面に沿って二次元的に移動させつつ、ウェハ面内の複数の位置における照明光の偏光状態を測定する。このとき、偏光測定装置9では、二次元的な検出面96aにおける光強度分布の変化を検出するので、この検出分布情報に基づいて照明光の瞳内における偏光状態の分布を測定することができる。
具体的に、本実施形態の偏光測定装置9では、移相子としての1/4波長板94を回転させると、二次元的な検出面96aの各画素において検出される光強度が所定の周期関数にしたがって変化することになる。回転移相子法では、この周期関数を解析することにより、入射光の偏光状態を定量的に推測することが可能である。一方、前述したように、光の偏光状態を定量的に扱うための手段として、ストークスパラメーターS(S0,S1,S2,S3)と呼ばれる物理量が一般に使用されている。
4つのストークスパラメーターS(S0,S1,S2,S3)を用いることにより、移相子による作用、偏光子による作用、移相子および偏光子を透過した後の光の偏光状態などを全て数学的に記述することが可能になる。したがって、二次元CCD96で得られた光強度変化に関する生データから理論式曲線へのフィッティング(近似)を行い、得られた理論式曲線から入射光の偏光状態(ひいては入射光のストークスパラメーターS)を逆算するのが、回転移相子法における偏光解析の本質的な部分である。
以下、回転移相子法における偏光解析アルゴリズムについて簡単に説明する。本実施形態の偏光測定装置9の理想的な光学状態を想定すると、ストークスパラメーターS(S0,S1,S2,S3)で表される偏光状態で偏光測定装置9に入射した光束は、1/4波長板94(移相子)および偏光ビームスプリッター95(偏光子)だけの偏光作用を受けて、ストークスパラメーターS’(S0',S1',S2',S3')で表される偏光状態の光束として偏光ビームスプリッター95から射出される。
すなわち、移相子としての1/4波長板94と偏光子としての偏光ビームスプリッター95とからなる系における一連の偏光状態の変化は、次の式(1)で表される。式(1)において、Pは、偏光子(偏光ビームスプリッター95)に関するミューラー行列であり、T(θ)は旋光子に関するミューラー行列であり、C(Γ)は移相子(1/4波長板94)に関するミューラー行列である。
S’=P・T(θ)・C(Γ)・T(−θ)・S (1)
偏光子に関するミューラー行列Pは、次の式(2)で表される。式(2)において、p1は入射直線偏光方向と偏光子透過軸方向とを互いに平行にしたときの振幅透過率(その二乗が強度透過率)であり、p2は入射直線偏光方向と偏光子透過軸方向とを互いに直交させたときの振幅透過率(その二乗が強度透過率)である。
Figure 2006179660
旋光子に関するミューラー行列T(θ)は、次の式(3)で表される。式(3)において、θは偏光子(偏光ビームスプリッター95)の回転角度(本実施形態では偏光ビームスプリッター95は光軸廻りに固定でありθ=0)である。ちなみに、旋光子とは、移相子と異なるメカニズムで偏光状態を変えるものである(偏光度は不変)。また、T(−θ)は、θだけ回転した直交座標系を基準とした入射偏光状態のストークスパラメーターを算出するための行列(θだけ回転した座標系から見た元の座標系物理量は相対的に−θだけ回転した状態であるから)である。
Figure 2006179660
移相子に関するミューラー行列C(Γ)は、次の式(4)で表される。式(4)において、Γは移相子(1/4波長板94)のリターデーション量である。
Figure 2006179660
上述したように4つのストークスパラメーターS’(S0',S1',S2',S3')は光検出器としての二次元CCD96に達する光束の偏光状態に対応しているが、二次元CCD96において検出されるのは光強度に関する情報すなわちストークスパラメーターS0'に関する情報だけである。つまり、式(1)に対応して4つのストークスパラメーターS’(S0',S1',S2',S3')に関連する4つの方程式がそれぞれ得られるが、偏光解析において実際に使用されるのはストークスパラメーターS0'に関連する次の式(5)だけである。式(5)において、θは1/4波長板94の回転角である。なお、txおよびtyについては後述する。
Figure 2006179660
式(5)の各振幅表現を参照すると、唯一の2θ成分はストークスパラメーターS3に関連し、その他の4θ成分はストークスパラメーターS1およびS2に、すなわち直線偏光成分に関連していることが分かる。本実施形態では、上述したように1/4波長板94の回転に伴って二次元CCD96の画素毎に光強度変化に関する生データが得られ、画素毎に射出光束(二次元CCD96に達する光束)の4つのストークスパラメーターS’(S0',S1',S2',S3')の算出処理を行うことになる。以下、理解を簡単にするために、二次元CCD96の検出面96aにおける多数の画素のうちの1つの画素(ピクセル)だけに着目して、4つのストークスパラメーターS’(S0',S1',S2',S3')の算出処理を説明する。
上述したように、偏光測定装置9への入射光束の偏光度が0でない限り、1つの画素において検出される光強度の値は1/4波長板94の回転に伴って変化する。そして、本実施形態の偏光測定装置9の理想的な光学状態を想定すると、1つの画素において検出される光強度の変化と隣接する画素において検出される光強度の変化との間に特別な相関はないはずである。すなわち、1つの画素における光強度の変化だけに着目して当該画素位置での4つのストークスパラメーターS’(S0',S1',S2',S3')を算出することができ、同様に他の画素についても互いに独立に各ストークスパラメーターを順次算出することができる。
こうして、式(5)では、1/4波長板94の回転角θに依存しないDC成分と、回転角θの2倍の値2θに依存する2θ成分と、回転角θの4倍の値4θに依存する4θ成分とに分けされている。なお、cos2θ成分は原理的に発生しないため式(5)には含まれない。cos2θ成分が原理的に発生しないことは、偏光測定装置9のキャリブレーション時に利用可能である。
それぞれの周期に関する振幅値は式(5)に示すような比率であると考えられるが、この振幅比を実際の生データから別途算出するにはフーリエ解析を用いればよい。ここでのフーリエ解析は得られるはずの周波数成分が既知であるため、フーリエ解析に特有な誤差を直接考慮する必要がなくなる。振幅比が算出されれば、4つの変数に対して4つの方程式(振幅に関する比較による)が存在するため、一意に4つのストークスパラメーターを算出することができる。
以下、ストークスパラメーターS0'を1/4波長板94の回転角θの関数S0'(θ)と考え、フーリエ展開式との対応関係を調べる。関数S0'(θ)は、次のフーリエ展開式(6)で表現される。
Figure 2006179660
波長板回転理論展開式(5)とフーリエ展開式(6)とを比較参照すると、振幅比較による方程式として記述できるのは、係数a0,b2,a4,b4だけであることが分かる。実際の生データ列S0'(θ)から係数anおよびbnを得るには、次の式(7)および(8)をそれぞれ用いればよい。
Figure 2006179660
こうして、次の式(9)〜式(12)により、係数a0,b2,a4,b4がそれぞれ得られる。そして、得られた係数a0,b2,a4,b4を利用して、入射光束の偏光状態に対応する4つのストークスパラメーターS0,S1,S2,S3を、振幅比較による方程式(13)〜(16)により算出することができる。
Figure 2006179660
Figure 2006179660
前述したように、本実施形態の偏光測定装置9では、移相子としての1/4波長板94や偏光子としての偏光ビームスプリッター95のような偏光素子が用いられているが、エキシマレーザ光のような短波長光に対して設計通りの所望の光学特性(偏光特性)を有する偏光素子(94,95)を製造することは困難である。具体的に、移相子としての1/4波長板94の製造に際して、結晶光学軸方向の誤差(実際の結晶光学軸方向と設計製作上の結晶光学軸方向との差)や、リターデーション量の誤差分布(実際のリターデーション量と設計上の所望のリターデーション量(本実施形態の場合には90度)との差の面内分布)などが発生する。
一方、偏光子としての偏光ビームスプリッター95の製造に際して、透過軸方向の誤差(実際の透過軸方向と設計製作上の透過軸方向との差)や、透過軸方向に平行な方向に振動する直線偏光成分の透過率の誤差分布(当該平行直線偏光成分の実際の透過率と設計上の所望の透過率(100%)との差の面内分布)や、透過軸方向に垂直な方向に振動する直線偏光成分の透過率の誤差分布(当該垂直直線偏光成分の実際の透過率と設計上の所望の透過率(0%)との差の面内分布)などが発生する。
従来の偏光測定装置では、移相子や偏光子の製造に際して不可避的に発生する光学特性の誤差(実際の光学特性と所望の光学特性との差)の測定結果に対する影響を考慮していないので、光の偏光状態を高精度で測定することが困難である。そこで、本実施形態では、偏光測定装置9の組立てに先立って、移相子としての1/4波長板94の光学特性を予め測定する。具体的には、準備された1/4波長板94について、リターデーション量の面内分布および結晶光学軸の方向を測定する。以下、本実施形態において適用可能なリターデーション量の測定法について説明する。
まず、位相変調法について説明する。位相変調法を実施するための光学系は、光源側から順に、偏光子、位相変調素子、被測定試料(本実施形態の場合には1/4波長板94)、および検光子を備えている。光源としてはHe−Neレーザーまたはレーザーダイオード、位相変調素子としては光弾性変換器が用いられる。光源からの光は、偏光子により直線偏光となって位相変調素子に入射する。被測定試料上に投射される位相変調素子からの光束は、位相変調素子により直線偏光から円偏光へ円偏光から直線偏光へと連続的に偏光状態が変化する変調光である。
リターデーション量の測定に際しては、被測定試料上の測定点に入射する光束を中心に被測定試料を回転させ、検知器の出力のピークを見つけ、そのときの振幅を測定することによって進相軸(または遅相軸)の方向と複屈折位相差の大きさを求める。光源にゼーマンレーザーを用いれば、被測定試料を回転させない測定も可能になる。また、セナルモンの複屈折測定法、位相シフト法、光ヘテロダイン干渉法も、本実施形態において使用することが可能である。
また、測定精度ではやや劣るが、回転検光子法や位相補償法などの方法を用いる測定も可能である。回転検光子法では、光源と光検出器との間の被測定試料を偏光子と回転検光子とで挟むような装置構成となっている。そして、被測定試料の後においた検光子を回転させながら検知器からの信号を測定し、検知器からの信号の最大値と最小値とから位相差を求める。
位相補償法では、光源、偏光子、被測定試料、位相補償版、検光子、および光検出器を配置する。偏光子の軸と検光子の軸とは互いに直交状態に置かれる。被測定試料に入射した直線偏光は被測定試料の複屈折により楕円偏光になるので、位相補償版を調節することにより直線偏光に戻してやる。位相補償版を調節することにより、検知器での信号はほとんどゼロになる。こうして、最も良く消光した位相補償値が複屈折の量となる。
また、偏光測定装置9の組立てに先立って、偏光子としての偏光ビームスプリッター95の光学特性を予め測定する。具体的には、準備された偏光ビームスプリッター95について、透過軸方向、当該透過軸方向(実際の透過軸方向)に平行な方向に偏光方向を有する直線偏光成分の透過率(以下、「平行透過率」という)の面内分布、および当該透過軸方向(実際の透過軸方向)に垂直な方向に偏光方向を有する直線偏光成分の透過率(以下、「垂直透過率」という)の面内分布を測定する。
偏光方向毎の透過率分布の測定手法としては、一般的な消光比の測定手法を適用することができる。このような光学系は、光源側から順に、偏光子、被測定試料(本実施形態の場合には偏光ビームスプリッター95)、および光強度検出器を備えている。そして、偏光子を介した直線偏光を用いて、被測定試料の透過率分布を、複数の偏光方向毎に測定する。
こうして、本実施形態では、偏光測定装置9の組立てに際して、1/4波長板94の実際の結晶光学軸(測定により決定された結晶光学軸)の方向が設計上の基準方向と一致するように初期的に位置決めするとともに、偏光ビームスプリッター95の実際の透過軸(測定により決定された透過軸)の方向が設計上の所望方向と一致するように固定する。そして、偏光測定装置9の測定部98では、式(5)におけるリターデーション量Γとして当該画素位置に対応する面内位置における1/4波長板94のリターデーション量の実測値を用い、式(5)におけるパラメータtxとして当該画素位置に対応する面内位置における偏光ビームスプリッター95の平行透過率の実測値を用い、式(5)におけるパラメータtyとして当該画素位置に対応する面内位置における偏光ビームスプリッター95の垂直透過率の実測値を用いる。
すなわち、測定部98では、移相子(1/4波長板94)および偏光子(偏光ビームスプリッター95)の設計上の光学特性ではなく実際の光学特性(実測されたリターデーション量,平行透過率,垂直透過率)に基づいて、上述の偏光解析アルゴリズムにより、偏光測定装置9への入射光束の偏光状態に対応する4つのストークスパラメーターS0,S1,S2,S3を算出する。換言すれば、測定部98では、設計上の光学特性に基づいて従来技術により求められる測定結果を、光学特性の誤差を考慮した所定の偏光解析アルゴリズムにより補正している。
その結果、本実施形態の偏光測定装置9では、移相子(1/4波長板94)や偏光子(偏光ビームスプリッター95)の光学特性に関する誤差の影響を実質的に受けることなく、光の偏光状態を高精度で測定することができる。また、本実施形態の露光装置では、光の偏光状態を高精度で測定する偏光測定装置9を用いて、所望の偏光状態の光でマスクMおよびウェハ(感光性基板)Wを照明し、適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことができる。
すなわち、本実施形態では、偏光測定装置9を用いてウェハWに対する照明光(ひいてはマスクMに対する照明光)の偏光状態を測定し、照明光が適切な偏光状態になっているかどうかを判定することができる。こうして、ウェハWへの照明光が適切な偏光状態になっていなければ、たとえば偏光状態可変部3における適切な光学調整により所望の偏光状態(非偏光状態を含む)を実現することができる。その結果、所望の偏光状態の光でウェハWを照明し、適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことができる。
また、本実施形態では、偏光状態可変部3を用いて、マスクMに対する照明光の偏光状態を、たとえば縦方向の直線偏光と横方向の直線偏光と非偏光との間で変化させることができる。具体的には、たとえばマスクMのパターンが縦長(横長)のライン状である場合、縦方向(横方向)の直線偏光の光でマスクMを照明する。また、たとえばマスクMのパターンが縦長のラインと横長のラインとの混在する2方向パターンである場合、非偏光の光でマスクMを照明する。その結果、マスクMのパターン特性、例えばその微細度および方向性に応じて照明光の偏光状態を適切に制御することによって、露光装置の結像性能を高めることができる。
なお、上述の説明では、偏光測定装置9の組立てに際して、1/4波長板94の実際の結晶光学軸方向と設計上の基準方向とを一致させ、偏光ビームスプリッター95の実際の透過軸方向と設計上の所望方向と一致させている。しかしながら、これに限定されることなく、1/4波長板94の設計製作上の結晶光学軸方向および偏光ビームスプリッター95の設計製作上の透過軸方向を基準として偏光測定装置9の組み立て、1/4波長板94の結晶光学軸方向の誤差および偏光ビームスプリッター95の透過軸方向の誤差の影響を考慮した偏光解析アルゴリズムにより光の偏光状態を測定することもできる。
ところで、偏光測定装置9では、1/4波長板94に代えて、1/2波長板などを移相子として用いることも可能である。また、偏光ビームスプリッター95のような直線偏光子に代えて、円偏光子などを偏光子として用いることも可能である。どのような移相子および偏光子を用いたとしても、光の偏光状態(すなわち4つのストークスパラメーター)を測定するためには、移相子と偏光子との光軸廻りの相対角度を変える必要がある。なお、本実施形態では移相子としての1/4波長板94を光軸廻りに回転させたが、偏光子としての偏光ビームスプリッター95を光軸廻りに回転させても良く、移相子および偏光子の双方を光軸廻りに回転させても良い。
また、偏光測定装置9では、反射鏡92の偏光特性により光の偏光状態が変化してしまう場合がある。この場合、反射鏡92の偏光特性は予めわかっているので、所要の計算によって反射鏡92の偏光特性の偏光状態への影響に基づいて偏光測定装置9の測定結果を補正し、照明光の偏光状態を正確に測定することができる。また、反射鏡に限らず、レンズなどの他の光学部品に起因して偏光状態が変化してしまう場合でも同様に測定結果を補正し、照明光の偏光状態を正確に測定することができる。
本実施形態の偏光測定装置9は、たとえば露光装置のウェハステージの側方に取り付け可能に設けられる。また、ウェハステージ内に偏光測定装置9を設けても良いし、ウェハステージとは別体に設けられてウェハ面内で移動可能な計測用ステージに偏光測定装置9を設けても良い。なお、このような計測用ステージには、投影光学系PLを介して形成されたスリットマークの空間像を検出して投影光学系PLの収差やフォーカス位置を検出する空間像検出器や、アライメント検出系の基準マーク、斜入射AF(オートフォーカス)系の基準反射面、投影光学系PLの射出瞳に形成される光源像の形状や強度分布を計測する照明σ分布計測器、投影光学系PLの波面収差を計測する波面収差計測器などが典型的に設けられる。
また、上述の実施形態の偏光測定装置9を露光装置に着脱可能に設けるには、たとえば特開2002−71514号公報において波面収差測定装置を露光装置に着脱可能に設ける場合と同じ機械的構成を利用することができる。また、本実施形態の偏光測定装置9を特開2002−71514号公報に開示の波面収差測定装置と一体化することもできる。また、上述の実施形態では、偏光状態可変部3を照明系中に設けているが、この偏光状態可変部3を投影系中に設けることも可能である。
なお、上述の実施形態では、偏光測定装置9のピンホール部材90をウェハWの位置またはその近傍に位置決めしている。しかしながら、これに限定されることなく、偏光測定装置9のピンホール部材90をマスクWの位置またはその近傍に位置決めし、マスクMに対する照明光の偏光状態を測定することもできる。また、たとえば照明視野絞りとしてのマスクブラインド7の位置またはその近傍に偏光測定装置9のピンホール部材90を位置決めし、マスクMの共役位置またはその近傍における照明光の偏光状態を測定することもできる。
さらに、図5に示すように、偏光測定装置9のピンホール部材90をマスクWの位置またはその近傍に位置決めし、ピンホール部材90とコリメートレンズ91との間に投影光学系PLが介在するような変形例も可能である。図5の変形例では、ピンホール部材90のピンホール90aおよび投影光学系PLを介した光に基づいて、ウェハWに対する照明光(ひいてはマスクMに対する照明光)の偏光状態を測定することができる。
また、上述の実施形態では、偏光状態可変部3を構成する1/2波長板31および偏角プリズム32aを水晶により形成している。しかしながら、これに限定されることなく、たとえばフッ化マグネシウムや方解石のような複屈折性の結晶材料を用いてこれらの光学部材を形成することもできる。あるいは、非複屈折性の材料に外部応力を作用させることによって得られた複屈折性材料などを用いることもできる。
上述の実施形態にかかる露光装置では、照明光学装置によってマスク(レチクル)を照明し(照明工程)、投影光学系を用いてマスクに形成された転写用のパターンを感光性基板に露光する(露光工程)ことにより、マイクロデバイス(半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)を製造することができる。以下、上述の実施形態の露光装置を用いて感光性基板としてのウェハ等に所定の回路パターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例につき図6のフローチャートを参照して説明する。
先ず、図6のステップ301において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップ302において、その1ロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップ303において、上述の実施形態の露光装置を用いて、マスク上のパターンの像がその投影光学系を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。その後、ステップ304において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップ305において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。
また、上述の実施形態の露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。以下、図7のフローチャートを参照して、このときの手法の一例につき説明する。図7において、パターン形成工程401では、上述の実施形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィー工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルター形成工程402へ移行する。
次に、カラーフィルター形成工程402では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルターの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルターを形成する。そして、カラーフィルター形成工程402の後に、セル組み立て工程403が実行される。セル組み立て工程403では、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板、およびカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルター等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。
セル組み立て工程403では、例えば、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルターとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。その後、モジュール組み立て工程404にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
なお、上述の実施形態では、光源としてKrFエキシマレーザ光源またはArFエキシマレーザ光源を用いているが、これに限定されることなく、たとえばF2レーザ光源のように偏光度を有する光を供給する他の適当な光源に対して本発明を適用することもできる。
また、上述の実施形態にかかる偏光測定装置では、露光装置の投影光学系の像面に設置されるウェハに対する照明光の偏光状態を測定している。しかしながら、これに限定されることなく、一般に照明光学系の被照射面に入射する照明光の偏光状態を測定する偏光測定装置に対して本発明を適用することができることは明らかである。
本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。 図1の偏光状態可変部の内部構成を概略的に示す図である。 図1の偏光状態可変部の作用を説明する図である。 図1の偏光測定装置の内部構成を概略的に示す図である。 変形例にかかる偏光測定装置の構成を概略的に示す図である。 マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法のフローチャートである。 マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得る際の手法のフローチャートである。
符号の説明
1 光源
2 ビーム送光系
3 偏光状態可変部
4 ビーム形状可変部
5 マイクロフライアイレンズ(フライアイレンズ)
6 コンデンサー光学系
7 マスクブラインド(照明視野絞り)
8 結像光学系
9 偏光測定装置
10 光量検出部
11 制御部
31 1/2波長板
32 偏光解消素子
32a 水晶プリズム
32b 石英プリズム
90 ピンホール部材
90a ピンホール
94 1/4波長板(移相子)
95 偏光ビームスプリッター(偏光子)
96 二次元CCD
97 駆動部
98 測定部
M マスク
PL 投影光学系
W ウェハ

Claims (14)

  1. 光の偏光状態を測定する偏光測定装置において、
    入射光の偏光状態を変化させるための移相子と、
    所定の偏光成分を選択的に透過させるための偏光子と、
    前記移相子と前記偏光子との光軸廻りの相対的な回転角度を変化させるための駆動部と、
    前記移相子および前記偏光子を介した光を検出するための光検出器と、
    前記光検出器の検出結果に基づいて光の偏光状態を測定する測定部とを備え、
    前記測定部は、前記移相子の光学特性の測定情報および前記偏光子の光学特性の測定情報のうちの少なくとも一方の測定情報に基づいて光の偏光状態の測定結果を補正することを特徴とする偏光測定装置。
  2. 前記移相子は、互いに直交する方向に偏光方向を有する2つの直線偏光の間に所定の位相差を付与するための波長板を有し、
    前記移相子の光学特性の測定情報は、前記波長板のリターデーション量の面内分布および結晶光学軸の方向のうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の偏光測定装置。
  3. 前記波長板は、1/4波長板であることを特徴とする請求項2に記載の偏光測定装置。
  4. 前記偏光子は、所定の直線偏光成分だけを選択的に透過させるための直線偏光子を有し、
    前記偏光子の光学特性の測定情報は、前記直線偏光子の透過軸方向、該透過軸方向に平行な方向に偏光方向を有する直線偏光成分の透過率の面内分布、および前記透過軸方向に垂直な方向に偏光方向を有する直線偏光成分の透過率の面内分布のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の偏光測定装置。
  5. 前記偏光測定装置は、照明光学系の被照射面に入射する照明光の偏光状態を測定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の偏光測定装置。
  6. 前記偏光測定装置は、前記被照射面内の複数の位置における前記照明光の偏光状態を測定することを特徴とする請求項5に記載の偏光測定装置。
  7. 前記光検出器は、前記照明光学系の瞳内における前記照明光の偏光状態の分布を測定するために所定の位置に設定された二次元的な検出面を有することを特徴とする請求項5または6に記載の偏光測定装置。
  8. 光の偏光状態を測定する偏光測定方法において、
    光軸廻りに相対的に回転可能な移相子と偏光子とを介した光を検出する光検出工程と、
    前記光検出工程の検出結果に基づいて光の偏光状態を測定する測定工程と、
    前記移相子の光学特性の測定情報および前記偏光子の光学特性の測定情報のうちの少なくとも一方の測定情報に基づいて前記測定工程の測定結果を補正する補正工程とを含むことを特徴とする偏光測定方法。
  9. 前記光検出工程に先立って前記移相子の光学特性を予め測定する実測工程をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の偏光測定方法。
  10. 前記実測工程は、前記移相子としての波長板のリターデーション量の面内分布および結晶光学軸の方向のうちの少なくとも一方を測定する工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の偏光測定方法。
  11. 前記光検出工程に先立って前記偏光子の光学特性を予め測定する第2実測工程をさらに含むことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の偏光測定方法。
  12. 前記第2実測工程は、前記偏光子としての直線偏光子の透過軸方向、該透過軸方向に平行な方向に偏光方向を有する直線偏光成分の透過率の面内分布、および前記透過軸方向に垂直な方向に偏光方向を有する直線偏光成分の透過率の面内分布のうちの少なくとも1つを測定する工程を含むことを特徴とする請求項11に記載の偏光測定方法。
  13. マスクに形成されたパターンを感光性基板に露光する露光装置において、
    前記マスクおよび前記感光性基板のうちの少なくとも一方に対する照明光の偏光状態を測定するための請求項1乃至7のいずれか1項に記載の偏光測定装置を備えていることを特徴とする露光装置。
  14. マスクに形成されたパターンを感光性基板に露光する露光方法において、
    請求項1乃至7のいずれか1項に記載の偏光測定装置または請求項8乃至12のいずれか1項に記載の偏光測定方法を用いて、前記マスクおよび前記感光性基板のうちの少なくとも一方に対する照明光の偏光状態を測定する偏光測定工程を含むことを特徴とする露光方法。
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