JP2007180088A - 照明光学装置、照明光学装置の調整方法、露光装置、およびデバイスの製造方法 - Google Patents

照明光学装置、照明光学装置の調整方法、露光装置、およびデバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 光の偏光状態を変化させる光学素子などの影響を補償して、所望の偏光状態の光で被照射面を照明することのできる照明光学装置。
【解決手段】 光源(1)からの光に基づいて被照射面(M,W)を照明する本発明の照明光学装置は、光源と被照射面との間の光路中の所定位置に配置されて、入射光の偏光状態を局所的に変更する偏光変更部材(7)を備えている。偏光変更部材は、印加される電圧に応じて入射光の複数の領域に可変な位相量を独立に付与するための複数の電気光学素子を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、照明光学装置、照明光学装置の調整方法、露光装置、およびデバイスの製造方法に関し、特に半導体素子や液晶表示素子のようなデバイスをリソグラフィー工程で製造するのに使用される露光装置に好適な照明光学装置に関するものである。
この種の典型的な露光装置においては、光源から射出された光束が、オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズ(またはマイクロレンズアレイなど)を介して、多数の光源からなる実質的な面光源としての二次光源を形成する。二次光源からの光束は、コンデンサーレンズにより集光された後、所定のパターンが形成されたマスクを重畳的に照明する。マスクのパターンを透過した光は、投影光学系を介してウェハ上に結像する。
こうして、ウェハ上には、マスクパターンが投影露光(転写)される。なお、マスクに形成されたパターンは高集積化されており、この微細パターンをウェハ上に正確に転写するにはウェハ上において均一な照度分布を得ることが不可欠である。従来、マスクパターンの特性に応じて、この種の光源から供給される光を所望の直線偏光状態の光に変換してマスクを照明する技術が知られている(たとえば特許文献1を参照)。
国際公開第WO2004/051717号パンフレット
マスクパターンの特性に応じて特定の直線偏光状態の光を用いて投影露光を行うこと、さらに一般的にはマスクパターンの特性に応じて特定の偏光状態の光を用いて投影露光を行うことは、投影光学系の解像度や焦点深度などの向上に有効である。しかしながら、所望の偏光状態の光でマスク(ひいてはウェハ)を照明しようとしても、照明光路中に光の偏光状態を変化させる光学素子が介在すると、所望の偏光状態で結像しなくなり、ひいては結像性能が悪化する可能性がある。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、光の偏光状態を変化させる光学素子などの影響を補償して、所望の偏光状態の光で被照射面を照明することのできる照明光学装置を提供することを目的とする。また、本発明は、所望の偏光状態の光で被照射面を照明する照明光学装置を用いて、適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことのできる露光装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、光源からの光に基づいて被照射面を照明する照明光学装置において、
前記光源と前記被照射面との間の光路中の所定位置に配置されて、入射光の偏光状態を局所的に変更する偏光変更部材を備え、
前記偏光変更部材は、印加される電圧に応じて入射光の複数の領域に可変な位相量を独立に付与するための複数の電気光学素子を有することを特徴とする照明光学装置を提供する。
本発明の第2形態では、光源からの光に基づいて被照射面を照明する照明光学装置において、
前記光源と前記被照射面との間の光路中の所定位置に配置されて、入射光の偏光状態を局所的に変更する偏光変更部材を備え、
前記偏光変更部材は、加えられる応力に応じて入射光の複数の領域に可変な位相量を独立に付与するための複数の光透過素子を有することを特徴とする照明光学装置を提供する。
本発明の第3形態では、第1形態または第2形態の照明光学装置の調整方法であって、
前記被照射面に達する光の偏光状態を測定する測定工程と、
前記測定工程で得られた測定結果に基づいて前記偏光変更部材を制御する制御工程とを含むことを特徴とする調整方法を提供する。
本発明の第4形態では、第1形態または第2形態の照明光学装置を備え、該照明光学装置により照明された所定のパターンを感光性基板に露光することを特徴とする露光装置を提供する。
本発明の第5形態では、第4形態の露光装置を用いて、前記所定のパターンを前記感光性基板に露光する露光工程と、
前記露光工程を経た前記感光性基板を現像する現像工程とを含むことを特徴とするデバイスの製造方法を提供する。
本発明の典型的な形態にしたがう照明光学装置は、たとえば照明瞳面において入射光の偏光状態を局所的に変更する機能を有する偏光変更部材を備えている。したがって、光の偏光状態を変化させるような光学素子が照明光路中に介在していても、偏光変更部材の作用により、これらの光学素子による偏光状態の変化の影響を補償して、所望の偏光状態の光で被照射面を照明することができる。
すなわち、本発明の照明光学装置では、光の偏光状態を変化させる光学素子などの影響を補償して、所望の偏光状態の光で被照射面を照明することができる。その結果、本発明の露光装置では、所望の偏光状態の光で被照射面を照明する照明光学装置を用いて、適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことができ、ひいては良好なデバイスを製造することができる。
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。図1において、感光性基板であるウェハWの法線方向に沿ってZ軸を、ウェハWの面内において図1の紙面に平行な方向にY軸を、ウェハWの面内において図1の紙面に垂直な方向にX軸をそれぞれ設定している。
図1を参照すると、本実施形態の露光装置は、露光光(照明光)を供給するための光源1を備えている。光源1として、たとえば193nmの波長の光を供給するArFエキシマレーザ光源や248nmの波長の光を供給するKrFエキシマレーザ光源などを用いることができる。光源1から射出された光は、整形光学系2により所要の断面形状の光束に拡大され、偏光状態切換部3および輪帯照明用の回折光学素子4を介して、アフォーカルレンズ5に入射する。
偏光状態切換部3は、光源側から順に、光軸AXを中心として結晶光学軸が回転自在に構成されて入射する楕円偏光の光を直線偏光の光に変換する1/4波長板3aと、光軸AXを中心として結晶光学軸が回転自在に構成されて入射する直線偏光の偏光方向を変化させる1/2波長板3bと、照明光路に対して挿脱自在なデポラライザ(非偏光化素子)3cとを備えている。偏光状態切換部3は、デポラライザ3cを照明光路から退避させた状態で、光源1からの光を所望の偏光方向を有する直線偏光の光に変換して回折光学素子4へ入射させる機能を有し、デポラライザ3cを照明光路中に設定した状態で、光源1からの光を実質的に非偏光の光に変換して回折光学素子4へ入射させる機能を有する。
アフォーカルレンズ5は、前側レンズ群5aの前側焦点位置と回折光学素子4の位置とがほぼ一致し且つ後側レンズ群5bの後側焦点位置と図中破線で示す所定面6の位置とがほぼ一致するように設定されたアフォーカル系(無焦点光学系)である。一般に、回折光学素子は、基板に露光光(照明光)の波長程度のピッチを有する段差を形成することによって構成され、入射ビームを所望の角度に回折する作用を有する。
具体的には、輪帯照明用の回折光学素子4は、矩形状の断面を有する平行光束が入射した場合に、そのファーフィールド(またはフラウンホーファー回折領域)に輪帯状の光強度分布を形成する機能を有する。したがって、光束変換素子としての回折光学素子4に入射したほぼ平行光束は、アフォーカルレンズ5の瞳面に輪帯状の光強度分布を形成した後、輪帯状の角度分布でアフォーカルレンズ5から射出される。前側レンズ群5aと後側レンズ群5bとの間の光路中において、アフォーカルレンズ5の瞳面またはその近傍には、偏光変更部材7および円錐アキシコン系8が配置されている。偏光変更部材7および円錐アキシコン系8の構成および作用については後述する。
アフォーカルレンズ5を介した光束は、σ値(σ値=照明光学装置のマスク側開口数/投影光学系のマスク側開口数)可変用のズームレンズ9を介して、マイクロフライアイレンズ(またはフライアイレンズ)10に入射する。マイクロフライアイレンズ10は、縦横に且つ稠密に配列された多数の正屈折力を有する微小レンズからなる光学素子である。一般に、マイクロフライアイレンズは、たとえば平行平面板にエッチング処理を施して微小レンズ群を形成することによって構成される。
ここで、マイクロフライアイレンズを構成する各微小レンズは、フライアイレンズを構成する各レンズエレメントよりも微小である。また、マイクロフライアイレンズは、互いに隔絶されたレンズエレメントからなるフライアイレンズとは異なり、多数の微小レンズ(微小屈折面)が互いに隔絶されることなく一体的に形成されている。しかしながら、正屈折力を有するレンズ要素が縦横に配置されている点でマイクロフライアイレンズはフライアイレンズと同じ波面分割型のオプティカルインテグレータである。
所定面6の位置はズームレンズ9の前側焦点位置の近傍に配置され、マイクロフライアイレンズ10の入射面はズームレンズ9の後側焦点位置の近傍に配置されている。換言すると、ズームレンズ9は、所定面6とマイクロフライアイレンズ10の入射面とを実質的にフーリエ変換の関係に配置し、ひいてはアフォーカルレンズ5の瞳面とマイクロフライアイレンズ10の入射面とを光学的にほぼ共役に配置している。
したがって、マイクロフライアイレンズ10の入射面上には、アフォーカルレンズ5の瞳面と同様に、たとえば光軸AXを中心とした輪帯状の照野が形成される。この輪帯状の照野の全体形状は、ズームレンズ9の焦点距離に依存して相似的に変化する。マイクロフライアイレンズ10を構成する各微小レンズは、マスクM上において形成すべき照野の形状(ひいてはウェハW上において形成すべき露光領域の形状)と相似な矩形状の断面を有する。
マイクロフライアイレンズ10に入射した光束は多数の微小レンズにより二次元的に分割され、その後側焦点面またはその近傍(ひいては照明瞳)には、入射光束によって形成される照野とほぼ同じ光強度分布を有する二次光源、すなわち光軸AXを中心とした輪帯状の実質的な面光源からなる二次光源が形成される。マイクロフライアイレンズ10の後側焦点面またはその近傍に形成された二次光源からの光束は、ビームスプリッター11aおよびコンデンサー光学系12を介した後、マスクブラインド13を重畳的に照明する。ビームスプリッター11aを内蔵する偏光モニター11の構成および作用については後述する。
こうして、照明視野絞りとしてのマスクブラインド13には、マイクロフライアイレンズ10を構成する各微小レンズの形状と焦点距離とに応じた矩形状の照野が形成される。マスクブラインド13の矩形状の開口部(光透過部)を介した光束は、結像光学系14の集光作用を受けた後、所定のパターンが形成されたマスクMを重畳的に照明する。すなわち、結像光学系14は、マスクブラインド13の矩形状開口部の像をマスクM上に形成することになる。
マスクステージMS上に保持されたマスクMのパターンを透過した光束は、投影光学系PLを介して、ウェハステージWS上に保持されたウェハ(感光性基板)W上にマスクパターンの像を形成する。こうして、投影光学系PLの光軸AXと直交する平面(XY平面)内においてウェハステージWSを二次元的に駆動制御しながら、ひいてはウェハWを二次元的に駆動制御しながら一括露光またはスキャン露光を行うことにより、ウェハWの各露光領域にはマスクMのパターンが順次露光される。
円錐アキシコン系8は、光源側から順に、光源側に平面を向け且つマスク側に凹円錐状の屈折面を向けた第1プリズム部材8aと、マスク側に平面を向け且つ光源側に凸円錐状の屈折面を向けた第2プリズム部材8bとから構成されている。そして、第1プリズム部材8aの凹円錐状の屈折面と第2プリズム部材8bの凸円錐状の屈折面とは、互いに当接可能なように相補的に形成されている。また、第1プリズム部材8aおよび第2プリズム部材8bのうち少なくとも一方の部材が光軸AXに沿って移動可能に構成され、第1プリズム部材8aの凹円錐状の屈折面と第2プリズム部材8bの凸円錐状の屈折面との間隔が可変に構成されている。以下、輪帯状または4極状の二次光源に着目して、円錐アキシコン系8の作用およびズームレンズ9の作用を説明する。
ここで、第1プリズム部材8aの凹円錐状屈折面と第2プリズム部材8bの凸円錐状屈折面とが互いに当接している状態では、円錐アキシコン系8は平行平面板として機能し、形成される輪帯状または4極状の二次光源に及ぼす影響はない。しかしながら、第1プリズム部材8aの凹円錐状屈折面と第2プリズム部材8bの凸円錐状屈折面とを離間させると、輪帯状または4極状の二次光源の幅(輪帯状の二次光源の外径と内径との差の1/2;4極状の二次光源に外接する円の直径(外径)と内接する円の直径(内径)との差の1/2)を一定に保ちつつ、輪帯状または4極状の二次光源の外径(内径)が変化する。すなわち、輪帯状または4極状の二次光源の輪帯比(内径/外径)および大きさ(外径)が変化する。
ズームレンズ9は、輪帯状または4極状の二次光源の全体形状を相似的に拡大または縮小する機能を有する。たとえば、ズームレンズ9の焦点距離を最小値から所定の値へ拡大させることにより、輪帯状または4極状の二次光源の全体形状が相似的に拡大される。換言すると、ズームレンズ9の作用により、輪帯状または4極状の二次光源の輪帯比が変化することなく、その幅および大きさ(外径)がともに変化する。このように、円錐アキシコン系8およびズームレンズ9の作用により、輪帯状または4極状の二次光源の輪帯比と大きさ(外径)とを制御することができる。
偏光モニター11は、マイクロフライアイレンズ10とコンデンサー光学系12との間の光路中に配置されたビームスプリッター11aを備えており、このビームスプリッター11aへの入射光の偏光状態を検知する機能を有する。換言すれば、偏光モニター11の検知結果に基づいて、マスクM(ひいてはウェハW)への照明光が所望の偏光状態になっているか否かが随時リアルタイムに検出される。
本実施形態では、ウェハWを保持するためのウェハステージWSに、ウェハWに対する照明光(露光光)の偏光状態を測定するための偏光状態測定部15が設けられている。偏光状態測定部15は、図2に示すように、投影光学系PLの像面位置(ウェハWの露光面の高さ位置)において二次元的に位置決め可能なピンホール部材40を備えている。なお、偏光状態測定部15の使用時には、ウェハWは光路から退避する。
ピンホール部材40のピンホール40aを通過した光は、コリメートレンズ41を介してほぼ平行な光束になり、反射鏡42で反射された後、リレーレンズ系43に入射する。リレーレンズ系43を介したほぼ平行な光束は、移相子としての1/4波長板44および偏光子としての偏光ビームスプリッター45を介した後、二次元CCD46の検出面46aに達する。二次元CCD46の出力は、制御部(不図示)に供給される。ここで、1/4波長板44は、光軸を中心として回転可能に構成されており、この1/4波長板44には、その光軸を中心とした回転角を設定するための設定部47が接続されている。
こうして、ウェハWに対する照明光の偏光度が0でない場合には、設定部47を介して1/4波長板44を光軸廻りに回転させることにより二次元CCD46の検出面46aにおける光強度分布が変化する。したがって、偏光状態測定部15では、設定部47を用いて1/4波長板44を光軸廻りに回転させながら検出面46aにおける光強度分布の変化を検出し、この検出結果から回転移相子法により照明光の偏光状態(偏光度;光に関するストークスパラメータS1,S2,S3)を測定することができる。
なお、回転移相子法については、例えば鶴田著,「光の鉛筆−光技術者のための応用光学」,株式会社新技術コミュニケーションズなどに詳しく記載されている。実際には、ピンホール部材40(ひいてはピンホール40a)をウェハ面に沿って二次元的に移動させつつ、ウェハ面内の複数の位置における照明光の偏光状態を測定する。このとき、偏光状態測定部15では、二次元的な検出面46aにおける光強度分布の変化を検出するので、この検出分布情報に基づいて照明光の瞳内における偏光状態の分布を測定することができる。
ところで、偏光状態測定部15では、移相子として1/4波長板44に代えて1/2波長板を用いることも可能である。どのような移相子を用いたとしても、光の偏光状態、すなわち光の4つのストークスパラメータを測定するためには、移相子と偏光子(偏光ビームスプリッター45)との光軸廻りの相対角度を変えたり、移相子または偏光子を光路から退避させたりして、少なくとも4つの異なる状態で検出面46aにおける光強度分布の変化を検出する必要がある。
なお、本実施形態では移相子としての1/4波長板44を光軸廻りに回転させたが、偏光子としての偏光ビームスプリッター45を光軸廻りに回転させても良く、移相子および偏光子の双方を光軸廻りに回転させても良い。また、この動作に代えて、あるいはこの動作に加えて、移相子としての1/4波長板44および偏光子としての偏光ビームスプリッター45のうちの一方または双方を光路から挿脱させても良い。
また、偏光状態測定部15では、反射鏡42の偏光特性により光の偏光状態が変化してしまう場合がある。この場合、反射鏡42の偏光特性は予めわかっているので、所要の計算によって反射鏡42の偏光特性の偏光状態への影響に基づいて偏光状態測定部15の測定結果を補正し、照明光の偏光状態を正確に測定することができる。また、反射鏡に限らず、レンズなどの他の光学部品に起因して偏光状態が変化してしまう場合でも同様に測定結果を補正し、照明光の偏光状態を正確に測定することができる。こうして、偏光状態測定部15を用いてウェハWに対する照明光の瞳内における偏光状態(偏光度)を測定し、照明光が瞳内において適切な偏光状態になっているか否かが判定される。
偏光モニター11の出力および偏光状態測定部15の出力は、制御部20に供給される。制御部20は、偏光モニター11の測定結果や偏光状態測定部15の測定結果に基づいて、偏光状態切換部3および偏光変更部材7を制御する。なお、上述の実施形態では、偏光状態測定部15がウェハステージWSに取り付け可能な構成を示したが、この偏光状態測定部15をウェハステージWSに組み込んでもよく、またウェハステージWSとは別のステージに組み込んでもよい。
輪帯照明用の回折光学素子4に代えて、4極照明用の回折光学素子(不図示)を照明光路中に設定することによって、4極照明を行うことができる。4極照明用の回折光学素子は、矩形状の断面を有する平行光束が入射した場合に、そのファーフィールドに4極状の光強度分布を形成する機能を有する。したがって、4極照明用の回折光学素子を介した光束は、マイクロフライアイレンズ10の入射面に、たとえば光軸AXを中心とした4つの照野からなる4極状の照野を形成する。その結果、マイクロフライアイレンズ10の後側焦点面またはその近傍にも、その入射面に形成された照野と同じ4極状の二次光源が形成される。
また、輪帯照明用の回折光学素子4に代えて、円形照明用の回折光学素子(不図示)を照明光路中に設定することによって、通常の円形照明を行うことができる。円形照明用の回折光学素子は、矩形状の断面を有する平行光束が入射した場合に、ファーフィールドに円形状の光強度分布を形成する機能を有する。したがって、円形照明用の回折光学素子を介した光束は、マイクロフライアイレンズ10の入射面に、たとえば光軸AXを中心とした円形状の照野を形成する。その結果、マイクロフライアイレンズ10の後側焦点面またはその近傍にも、その入射面に形成された照野と同じ円形状の二次光源が形成される。
さらに、輪帯照明用の回折光学素子4に代えて、他の複数極照明用の回折光学素子(不図示)を照明光路中に設定することによって、様々な複数極照明(2極照明、8極照明など)を行うことができる。同様に、輪帯照明用の回折光学素子4に代えて、適当な特性を有する回折光学素子(不図示)を照明光路中に設定することによって、様々な形態の変形照明を行うことができる。
図3は、本実施形態にかかる偏光変更部材の構成を概略的に示す図である。本実施形態の偏光変更部材7は、上述したように、アフォーカルレンズ5の瞳面またはその近傍であって円錐アキシコン系8の直前の位置に配置され、図3に示すように、たとえば光軸AXに垂直な平面(XZ平面)に沿って縦横に且つ稠密に配置された複数(図3では6×6個だけを例示)ポッケルスセル7aにより構成されている。ポッケルスセル7aは、たとえば水晶のような結晶材料により形成され、いわゆるポッケルス効果により入射光に対して印加電圧に応じた位相量を可変的に付与する電気光学素子である。
偏光変更部材7では、制御部20からの指令に基づいて、複数のポッケルスセル7aへの印加電圧が独立に制御されるように構成されている。なお、図3では、電気光学素子としてのポッケルスセル7aが光軸AXに垂直な平面に沿って矩形状(正方形状を含む)の断面を有し且つ稠密配置されているが、各電気光学素子の断面形状、数、配置の形態などについては様々な変形例が可能である。
図4は、ポッケルスセルの構成および作用を概略的に示す図である。図4には、作用の説明を簡単にするために、円形断面を有するポッケルスセル71が示されている。ポッケルスセル71は、たとえば水晶により形成され、円柱形状の形態を有する。ポッケルスセル71の端面には円形状で光透過性の電極72aおよび72bが設けられ、一対の電極72aと72bとの間に変調電圧が印加されるように構成されている。すなわち、ポッケルスセル71では、長手軸線方向に沿って縦方向に一対の電極72aおよび72bが設けられ、いわゆる縦型セル配置の形態を有する。
ポッケルスセル71では、水晶の結晶軸がポッケルスセル71の長手軸線方向に沿って位置決めされ、一方の端面に垂直入射した光は伝搬方向を変えることなく他方の端面から垂直射出される。このとき、ポッケルスセル71に印加される電圧に応じた位相量が入射光に可変的に付与される。換言すれば、ポッケルスセル71への印加電圧に応じて、入射光と射出光との間に可変位相差が付与される。入射光に付与される位相量(入射光と射出光との間に付与される位相差)Δφは、次の式(1)で表わされる。式(1)において、nは正常屈折率であり、Pは電気−光学定数(m/Volts)であり、Vは印加電圧(Volts)であり、λは光の波長(m)である。
Δφ=2・π・n3・P・V/λ (1)
このように、偏光変更部材7は、被照射面としてのマスクM(ひいてはウェハW)と光学的にフーリエ変換の関係にある照明瞳面の位置またはその近傍の位置に配置され、印加される電圧に応じて入射光の複数の領域に可変な位相量を独立に付与するための複数のポッケルスセル(電気光学素子)7aにより構成されている。したがって、偏光変更部材7は、照明瞳面またはその近傍の位置において入射光の偏光状態を局所的に変更する機能を有する。
以下、光源1から投影光学系PLまでを、被照射面としてのウェハWを照明する照明光学装置と考え、この照明光学装置(1〜PL)の調整方法について説明する。また、説明を簡単にするために、本実施形態の調整方法では、制御部20の指令に基づいて作動する偏光状態切換部3の作用により、たとえばウェハWに照射される光がS偏光を主成分とする偏光状態になるように、所要の直線偏光状態の光でマスクMのパターンを照明するものと想定する。
ここで、S偏光とは、入射面に対して垂直な方向に偏光方向を有する直線偏光(入射面に垂直な方向に電気ベクトルが振動している偏光)のことである。また、入射面は、光が媒質の境界面(ウェハWの表面)に達したときに、その点での境界面の法線と光の入射方向とを含む面として定義される。このように、ウェハWに照射される光がS偏光を主成分とする偏光状態になるように所要の直線偏光状態の光でマスクMのパターンを照明することにより、投影光学系PLの光学性能(焦点深度など)の向上を図ることができ、ウェハW上において高いコントラストのマスクパターン像を得ることができる。
しかしながら、偏光状態切換部3の作用により所望の直線偏光状態の光でマスクMを照明しようとしても、偏光状態切換部3とウェハWとの間の光路中に光の偏光状態を変化させる光学素子が介在すると、所望の偏光状態で結像しなくなり、ひいては結像性能が悪化する可能性がある。本実施形態の調整方法では、照明瞳面において入射光の偏光状態を局所的に変更する機能を有する偏光変更部材7の作用により、偏光状態切換部3とウェハWとの間の光路中に配置されて光の偏光状態を変化させる光学素子などの影響を補償して、所望の偏光状態の光で被照射面としてのウェハWを照明する。
図5は、本実施形態にかかる照明光学装置の調整方法の各工程を概略的に示すフローチャートである。図5に示すように、本実施形態の調整方法では、マスクMのパターンの特性に応じた所要の直線偏光状態の光でマスクMを照明するように、偏光状態切換部3を所定の状態に設定する(S1)。そして、偏光モニター11を用いて、マイクロフライアイレンズ10とコンデンサー光学系12との間の光路中における光の偏光状態をリアルタイムに検出する(S2)。次いで、検出工程S2での検出結果に基づいて、偏光モニター11の位置において所望の偏光状態が得られているか否かを判定する(S3)。
判定工程S3において、偏光モニター11の位置で所望の偏光状態が得られていないと判定した場合(図中NOで示す場合)、偏光モニター11の検出結果に基づいて偏光変更部材7を調整制御する(S4)。具体的に、制御工程S4では、偏光モニター11の位置における光の偏光状態が所望の直線偏光状態になるように、偏光変更部材7を構成する複数のポッケルスセル7aへの印加電圧を独立に制御する。検出工程S2、判定工程S3および第1制御工程S4は、偏光モニター11の位置において所望の偏光状態が得られるまで繰り返される。
判定工程S3において、偏光モニター11の位置で所望の偏光状態が得られていると判定した場合(図中YESで示す場合)、偏光状態測定部15を用いて投影光学系PLの像面(ウェハWの露光面が設置されるべき面)に達する光の偏光状態を測定する(S5)。すなわち、測定工程S5では、投影光学系PLの像面を通過した光に基づいて、1つまたは複数の像面位置について、投影光学系PLの瞳面における光の偏光状態を測定する。そして、測定工程S5の測定結果に基づいて、投影光学系PLの瞳面において所望の偏光状態が得られているか否かを判定する(S6)。
判定工程S6において、投影光学系PLの瞳面で所望の偏光状態が得られていないと判定した場合(図中NOで示す場合)、偏光状態測定部15の測定結果に基づいて偏光変更部材7を調整制御する(S7)。具体的に、制御工程S7では、投影光学系PLの瞳面における光の偏光状態が所望の直線偏光状態になるように、偏光変更部材7を構成する複数のポッケルスセル7aへの印加電圧を独立に制御する。測定工程S5、判定工程S6および第2制御工程S7は、投影光学系PLの瞳面において所望の偏光状態が得られるまで繰り返される。
判定工程S6において、投影光学系PLの瞳面で所望の偏光状態が得られていると判定した場合(図中YESで示す場合)、所定の空間像計測装置を用いて、投影光学系PLを介して形成されるテストマスクのパターン空間像を計測し(S8)、計測工程S8で計測されたパターン像を評価する(S9)。計測工程S8では、たとえば特開2005−5521号公報に開示された空間像計測装置を用いることができる。
評価工程S9において、所望の像評価が得られていないと判定した場合(図中NOで示す場合)、空間像計測装置の計測結果に基づいて偏光変更部材7を調整制御する(S10)。具体的に、制御工程S10では、投影光学系PLを介して所望のパターン像が得られるように、偏光変更部材7を構成する複数のポッケルスセル7aへの印加電圧を独立に制御する。計測工程S8、評価工程S9および第3制御工程S10は、空間像計測により所望の像評価が得られるまで繰り返される。評価工程S9において、所望の像評価が得られていると判定した場合(図中YESで示す場合)、調整方法は終了する。
以上のように、本実施形態にかかる照明光学装置(または露光装置)の調整方法では、たとえばウェハWに照射される光がS偏光を主成分とする偏光状態になるように所要の直線偏光状態の光でマスクMのパターンを照明する場合、光の偏光状態を変化させるような光学素子が照明光路中に介在していても、照明瞳面またはその近傍の位置において入射光の偏光状態を局所的に変更する機能を有する偏光変更部材7の作用により、これらの光学素子による偏光状態の変化の影響を補償して、所望の偏光状態の光でウェハWを照明することができる。
また、光源1から結像光学系14までを、被照射面としてのマスクMを照明する照明光学装置と考えれば、光の偏光状態を変化させる光学素子などの影響を補償して、所望の偏光状態の光でマスクMを照明することができる。こうして、本実施形態の露光装置では、所望の偏光状態の光で被照射面としてのマスクMを照明する照明光学装置(1〜14)を用いて、適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことができる。
なお、上述の実施形態では、投影光学系PLを介して形成されるテストマスクのパターン空間像を計測して像評価を行っている。しかしながら、これに限定されることなく、たとえばテストマスクを用いるテスト露光によりウェハWにパターンを実際に焼付け、その焼付け結果に基づいて、投影光学系PLを介して得られるパターン像を評価することもできる。
また、上述の実施形態では、ウェハWに照射される光がS偏光を主成分とする偏光状態になるように所要の直線偏光状態の光でマスクMのパターンを照明するケースを例にとって、本発明を説明している。しかしながら、これに限定されることなく、マスクパターンの特性に応じて直線偏光状態以外の特定の偏光状態の光を用いて被照射面(マスクM,ウェハW)を照明する場合にも同様に、本発明を適用することができる。
また、上述の実施形態では、偏光変更部材7が、アフォーカルレンズ5の瞳面またはその近傍であって円錐アキシコン系8の直前の位置に配置されている。しかしながら、これに限定されることなく、たとえばアフォーカルレンズ5の瞳面またはその近傍であって円錐アキシコン系8の直後の位置、マイクロフライアイレンズ10の後側焦点面またはその近傍の位置、結像光学系14の瞳面またはその近傍の位置などに偏光変更部材7を配置することにより、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。一般に、被照射面としてのマスクM(ひいてはウェハW)と光学的にフーリエ変換の関係にある照明瞳面の位置またはその近傍の位置に、偏光変更部材7を配置することができる。
また、上述の実施形態では、照明瞳面またはその近傍の位置に偏光変更部材7を配置し、投影光学系PLの瞳面における光の偏光状態が所望の偏光状態になるように偏光変更部材7を制御している。しかしながら、これに限定されることなく、被照射面(マスクM,ウェハW)の近傍の位置、被照射面と光学的に共役な位置またはその近傍の位置に偏光変更部材7を配置し、投影光学系PLの像面における光の偏光状態が所望の偏光状態になるように偏光変更部材7を制御することもできる。
具体的には、たとえばマスクブラインド13の直前の位置、マスクブラインド13の直後の位置、マスクMの直前の位置などに、偏光変更部材7を配置することができる。この場合、工程S5に対応する測定工程では、投影光学系PLの複数の像点について投影光学系PLの瞳面での偏光状態を測定し、これら複数の像点に対する測定結果に基づいて、投影光学系PLの像面における偏光分布を得ることになる。
また、上述の実施形態では、偏光変更部材7を構成する複数の電気光学素子として、ポッケルス効果により入射光に対して印加電圧に応じた位相量を可変的に付与するポッケルスセル7aを用いている。しかしながら、これに限定されることなく、いわゆるカー効果により入射光に対して印加電圧に応じた位相量を可変的に付与する電気光学素子、すなわちカーセル7b(参照符号は不図示)を用いて、偏光変更部材を構成することもできる。
図6は、カーセルの構成および作用を概略的に示す図である。図6には、作用の説明を簡単にするために、円形断面を有するカーセル73が示されている。カーセル73もポッケルスセル71と同様に、たとえば水晶により形成され、円柱形状の形態を有する。また、カーセル73の側面に接するように、たとえば矩形状の電極74aおよび74bが互いに平行に設けられ、一対の電極74aと74bとの間に変調電圧が印加されるように構成されている。すなわち、カーセル73では、長手軸線方向と直交する方向に沿って横方向に一対の電極74aおよび74bが設けられ、いわゆる横型セル配置の形態を有する。
また、カーセル73においても、水晶の結晶軸がカーセル73の長手軸線方向に沿って位置決めされ、一方の端面に垂直入射した光は伝搬方向を変えることなく他方の端面から垂直射出される。このとき、カーセル73に印加される電圧に応じた位相量が入射光に可変的に付与される。換言すれば、カーセル73への印加電圧に応じて、入射光と射出光との間に可変位相差が付与される。入射光に付与される位相量(入射光と射出光との間に付与される位相差)Δφは、次の式(2)で表わされる。式(2)において、Kはカー定数(m/Volts2)であり、Lはカーセル73の長手軸線方向に沿った電極74a,74bの実効的な長さ(m)であり、Vは印加電圧(Volts)であり、dはカーセル73の長手軸線方向と直交する方向に沿った電極74aと74bとの間隔(m)である。
Δφ=2・π・K・L・V2/d2 (2)
このように、カーセル73もポッケルスセル71と同様に、印加電圧に応じた位相量を入射光に可変的に付与する機能を有する。したがって、複数のカーセル7bにより構成された偏光変更部材も、複数のポッケルスセル7aにより構成された偏光変更部材7と同様に、入射光の偏光状態を局所的に変更する機能を有する。なお、図4には縦型セル配置の形態を有するポッケルスセル71を示したが、図6に示すような横型セル配置をポッケルスセルに適用することもできる。
また、上述の実施形態では、印加される電圧に応じて入射光の複数の領域に可変な位相量を独立に付与する複数の電気光学素子を用いて偏光変更部材を構成している。しかしながら、これに限定されることなく、たとえば加えられる応力に応じて入射光の複数の領域に可変な位相量を独立に付与するための複数の光透過素子により偏光変更部材を構成する変形例も可能である。
図7は、変形例にかかる偏光変更部材を構成する圧力タイプの光透過素子の構成および作用を概略的に示す図である。変形例では、図3のポッケルスセル7aに代えて、図7(a)に示す圧力タイプの光透過素子7cを用いて偏光変更部材が構成されている。圧力タイプの光透過素子7cは、たとえば蛍石により形成された矩形状で平行平面板状の形態を有し、その結晶面{100}が光軸AX(Y方向)に対して垂直に設定されている。換言すれば、蛍石透過素子7cは、図中矢印で示すように、結晶方位[100]がY方向に平行で且つ結晶方位[110]がX方向およびZ方向に平行になるように位置決めされている。
蛍石透過素子7cでは、たとえばピエゾ素子のようなアクチュエータの作用により結晶方位[110]の方向に、すなわちZ方向あるいはX方向に沿って応力Fを加えると、この外部応力Fに起因して複屈折性が発生し、外部応力Fに応じた位相量が入射光に可変的に付与される。換言すれば、蛍石透過素子7cに加えられる外部応力Fに応じて、入射光と射出光との間に可変位相差が付与される。入射光に付与される位相量(入射光と射出光との間に付与される位相差)Δφは、次の式(3)で表わされる。式(3)において、Cは定数(m2/N)であり、Fは蛍石透過素子7cに加えられる外部応力(N/m2)である。
Δφ=C・F (3)
このように、圧力タイプの光透過素子7cでは、加えられる外部応力Fに応じた位相量を入射光に可変的に付与する機能を有する。したがって、複数の圧力タイプの光透過素子7cにより構成された偏光変更部材も、ポッケルスセル7aやカーセル7bのような複数の電気光学素子により構成された偏光変更部材と同様に、入射光の偏光状態を局所的に変更する機能を有する。
なお、図7(a)の変形例では、圧力タイプの光透過素子7cを蛍石により形成しているが、これに限定されることなく、たとえば石英のような他の適当な光学材料により圧力タイプの光透過素子7cを形成することもできる。また、上述の変形例では、圧力タイプの光透過素子7cが矩形状で平行平面板状の形態を有するが、これに限定されることなく、たとえば図7(b)に示すように円形状で平行平面板状の形態を有する複数の蛍石透過素子7dを用いて偏光変更部材を構成することもできる。
蛍石透過素子7dは、結晶面{111}が光軸AX(Y方向)に対して垂直に、ひいては図中矢印で示すように結晶方位[111]がY方向に平行になるように位置決めされている。図7(b)に示す変形例では、たとえば蛍石透過素子7dの円周方向に沿って延びる金枠の温度を制御することにより、径方向の外部応力を蛍石透過素子7dに加えると、この外部応力に起因して複屈折性が発生し、外部応力に応じた位相量が入射光に可変的に付与される。なお、蛍石透過素子7dについても、蛍石に限定されることなく、たとえば石英のような他の適当な光学材料により形成することができる。
上述の実施形態にかかる露光装置では、照明光学装置によってマスク(レチクル)を照明し(照明工程)、投影光学系を用いてマスクに形成された転写用のパターンを感光性基板に露光する(露光工程)ことにより、マイクロデバイス(半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)を製造することができる。以下、上述の実施形態の露光装置を用いて感光性基板としてのウェハ等に所定の回路パターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例につき図8のフローチャートを参照して説明する。
先ず、図8のステップ301において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップ302において、その1ロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップ303において、上述の実施形態の露光装置を用いて、マスク上のパターンの像がその投影光学系を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。その後、ステップ304において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップ305において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。
また、上述の実施形態の露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。以下、図9のフローチャートを参照して、このときの手法の一例につき説明する。図9において、パターン形成工程401では、上述の実施形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィー工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルター形成工程402へ移行する。
次に、カラーフィルター形成工程402では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルターの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルターを形成する。そして、カラーフィルター形成工程402の後に、セル組み立て工程403が実行される。セル組み立て工程403では、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板、およびカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルター等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。
セル組み立て工程403では、例えば、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルターとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。その後、モジュール組み立て工程404にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
なお、上述の実施形態では、露光光としてArFエキシマレーザ光(波長:193nm)やKrFエキシマレーザ光(波長:248nm)を用いているが、これに限定されることなく、他の適当なレーザ光源、たとえば波長157nmのレーザ光を供給するF2レーザ光源などに対して本発明を適用することもできる。
また、上述の実施形態では、露光装置においてマスクを照明する照明光学装置に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、マスク以外の被照射面を照明する一般的な照明光学装置およびその調整方法に対して本発明を適用することもできる。
本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。 図1の偏光状態測定部の内部構成を概略的に示す図である。 本実施形態にかかる偏光変更部材の構成を概略的に示す図である。 ポッケルスセルの構成および作用を概略的に示す図である。 本実施形態にかかる照明光学装置の調整方法の各工程を概略的に示すフローチャートである。 カーセルの構成および作用を概略的に示す図である。 変形例にかかる偏光変更部材を構成する圧力タイプの光透過素子の構成および作用を概略的に示す図である。 マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法のフローチャートである。 マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得る際の手法のフローチャートである。
符号の説明
1 光源
3 偏光状態切換部
4 回折光学素子
5 アフォーカルレンズ
7 偏光変更部材
7a,71 ポッケルスセル
73 カーセル
7c,7d 圧力タイプの光透過素子
8 円錐アキシコン系
9 ズームレンズ
10 マイクロフライアイレンズ
11 偏光モニター
12 コンデンサー光学系
13 マスクブラインド
14 結像光学系
15 偏光状態測定部
M マスク
PL 投影光学系
W ウェハ

Claims (13)

  1. 光源からの光に基づいて被照射面を照明する照明光学装置において、
    前記光源と前記被照射面との間の光路中の所定位置に配置されて、入射光の偏光状態を局所的に変更する偏光変更部材を備え、
    前記偏光変更部材は、印加される電圧に応じて入射光の複数の領域に可変な位相量を独立に付与するための複数の電気光学素子を有することを特徴とする照明光学装置。
  2. 前記電気光学素子は、ポッケルス効果により前記位相量を可変的に付与するポッケルスセルを有することを特徴とする請求項1に記載の照明光学装置。
  3. 前記電気光学素子は、カー効果により前記位相量を可変的に付与するカーセルを有することを特徴とする請求項1に記載の照明光学装置。
  4. 光源からの光に基づいて被照射面を照明する照明光学装置において、
    前記光源と前記被照射面との間の光路中の所定位置に配置されて、入射光の偏光状態を局所的に変更する偏光変更部材を備え、
    前記偏光変更部材は、加えられる応力に応じて入射光の複数の領域に可変な位相量を独立に付与するための複数の光透過素子を有することを特徴とする照明光学装置。
  5. 前記光透過素子は、蛍石により形成されて、結晶面{100}が光軸に対してほぼ垂直に設定されていることを特徴とする請求項4に記載の照明光学装置。
  6. 前記光透過素子は、蛍石により形成されて、結晶面{111}が光軸に対してほぼ垂直に設定されていることを特徴とする請求項4に記載の照明光学装置。
  7. 前記偏光変更部材は、前記被照射面と光学的にフーリエ変換の関係にある照明瞳面の位置、または該照明瞳面の近傍の位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の照明光学装置。
  8. 前記偏光変更部材は、前記被照射面の近傍の位置、前記被照射面と光学的に共役な共役面の位置、または該共役面の近傍の位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の照明光学装置。
  9. 前記被照射面に達する光の偏光状態を測定するための偏光状態測定部をさらに備え、
    前記偏光変更部材は、前記偏光状態測定部の測定結果に応じて制御されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の照明光学装置。
  10. 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の照明光学装置の調整方法であって、
    前記被照射面に達する光の偏光状態を測定する測定工程と、
    前記測定工程で得られた測定結果に基づいて前記偏光変更部材を制御する制御工程とを含むことを特徴とする調整方法。
  11. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の照明光学装置を備え、該照明光学装置により照明された所定のパターンを感光性基板に露光することを特徴とする露光装置。
  12. 前記所定のパターンの像を前記感光性基板上に形成するための投影光学系を備え、
    前記偏光状態測定部は、前記投影光学系の像面を通過した光に基づいて偏光状態を測定することを特徴とする請求項11に記載の露光装置。
  13. 請求項11または12に記載の露光装置を用いて、前記所定のパターンを前記感光性基板に露光する露光工程と、
    前記露光工程を経た前記感光性基板を現像する現像工程とを含むことを特徴とするデバイスの製造方法。
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