JP2007048851A - 照明光学装置、露光装置、およびデバイスの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 たとえば瞳光強度分布の形状や偏光状態などに関して多様性に富んだ照明条件を実現することのできる照明光学装置。
【解決手段】 光源(1)からの光束に基づいて被照射面(M,W)を照明する照明光学装置。光源からの光束の断面形状および偏光状態を変化させて、照明瞳面上に所要の偏光分布を有する所定形状の瞳光強度分布を形成するための偏光光束変換素子(4,4a,4b)と、照明瞳面上に形成される第1の瞳光強度分布の形状を変化させるための第1アキシコン系(7)と、第1アキシコン系と交換可能に配置されて、照明瞳面上に形成される第2の瞳光強度分布の形状を変化させるための第2アキシコン系(70,71)とを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】 光源(1)からの光束に基づいて被照射面(M,W)を照明する照明光学装置。光源からの光束の断面形状および偏光状態を変化させて、照明瞳面上に所要の偏光分布を有する所定形状の瞳光強度分布を形成するための偏光光束変換素子(4,4a,4b)と、照明瞳面上に形成される第1の瞳光強度分布の形状を変化させるための第1アキシコン系(7)と、第1アキシコン系と交換可能に配置されて、照明瞳面上に形成される第2の瞳光強度分布の形状を変化させるための第2アキシコン系(70,71)とを備えている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、照明光学装置、露光装置、およびデバイスの製造方法に関し、特に半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等のデバイスをリソグラフィー工程で製造するための露光装置に好適な照明光学装置に関する。
この種の典型的な露光装置においては、光源から射出された光束が、オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズ(またはマイクロレンズアレイ)を介して、多数の光源からなる実質的な面光源としての二次光源(一般には照明瞳面における所定の光強度分布)を形成する。二次光源からの光束は、コンデンサーレンズにより集光された後、所定のパターンが形成されたマスクを重畳的に照明する。
マスクのパターンを透過した光は、投影光学系を介してウェハ上に結像する。こうして、ウェハ上には、マスクパターンが投影露光(転写)される。なお、マスクに形成されたパターンは高集積化されており、この微細パターンをウェハ上に正確に転写するにはウェハ上において均一な照度分布を得ることが不可欠である。
従来、フライアイレンズの後側焦点面に円形状の二次光源を形成し、その大きさを変化させて照明のコヒーレンシィσ(σ値=開口絞り径/投影光学系の瞳径、あるいはσ値=照明光学系の射出側開口数/投影光学系の入射側開口数)を変化させる技術が注目されている。また、フライアイレンズの後側焦点面に輪帯状や4極状の二次光源を形成し、投影光学系の焦点深度や解像力を向上させる技術が注目されている。
また、本出願人は、任意方向の微細パターンを忠実に転写するのに適した照明条件を実現するために、フライアイレンズの後側焦点面に輪帯状の二次光源を形成し、この輪帯状の二次光源を通過する光束がその周方向を偏光方向とする直線偏光状態(以下、略して「周方向偏光状態」という)になるように設定する技術を提案している(たとえば特許文献1を参照)。
上述のように、マスクのパターン特性に応じて、円形状の二次光源に基づく通常の円形照明、輪帯状や4極状の二次光源に基づく変形照明(輪帯照明や4極照明)を行うことは、投影光学系の解像度向上に有効である。また、上述の周方向偏光状態に限定されることなく、マスクのパターン特性に応じて所要の偏光状態の二次光源からの光を用いて投影露光を行うことは、微細パターンの忠実な転写に有効である。こうして、露光装置に搭載される照明光学装置では、様々な特性を有するマスクパターンを忠実に転写するために、たとえば瞳光強度分布(二次光源)の形状や偏光状態などに関して多様性に富んだ照明条件を実現することが求められている。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、たとえば瞳光強度分布の形状や偏光状態などに関して多様性に富んだ照明条件を実現することのできる照明光学装置を提供することを目的とする。また、本発明は、たとえば瞳光強度分布の形状や偏光状態などに関して多様性に富んだ照明条件を実現することのできる照明光学装置を用いて、マスクのパターン特性に応じて実現された適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことのできる露光装置および露光方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、光源からの光束に基づいて被照射面を照明する照明光学装置において、
前記光源からの光束の断面形状および偏光状態を変化させて、照明瞳面上に所要の偏光分布を有する所定形状の瞳光強度分布を形成するための偏光光束変換素子と、
前記照明瞳面上に形成される第1の瞳光強度分布の形状を変化させるための第1アキシコン系と、
前記第1アキシコン系と交換可能に配置されて、前記照明瞳面上に形成される第2の瞳光強度分布の形状を変化させるための第2アキシコン系とを備えていることを特徴とする照明光学装置を提供する。
前記光源からの光束の断面形状および偏光状態を変化させて、照明瞳面上に所要の偏光分布を有する所定形状の瞳光強度分布を形成するための偏光光束変換素子と、
前記照明瞳面上に形成される第1の瞳光強度分布の形状を変化させるための第1アキシコン系と、
前記第1アキシコン系と交換可能に配置されて、前記照明瞳面上に形成される第2の瞳光強度分布の形状を変化させるための第2アキシコン系とを備えていることを特徴とする照明光学装置を提供する。
本発明の第2形態では、光源からの光束に基づいて被照射面を照明する照明光学装置において、
前記光源からの光束の断面形状および偏光状態を変化させて、照明瞳面上に所要の偏光分布を有する所定形状の瞳光強度分布を形成するための偏光光束変換素子と、
前記瞳光強度分布の形状を変化させるためのアキシコン系とを備え、
前記アキシコン系は、凹状断面の屈折面を有する第1プリズムと、該第1プリズムの前記凹状断面の屈折面とほぼ相補的に形成された凸状断面の屈折面を有する第2プリズムとを有し、前記第1プリズムと前記第2プリズムとの間隔は可変に構成され、前記屈折面は前記照明光学装置の光軸とほぼ直交する平面状の中央部を有することを特徴とする照明光学装置を提供する。
前記光源からの光束の断面形状および偏光状態を変化させて、照明瞳面上に所要の偏光分布を有する所定形状の瞳光強度分布を形成するための偏光光束変換素子と、
前記瞳光強度分布の形状を変化させるためのアキシコン系とを備え、
前記アキシコン系は、凹状断面の屈折面を有する第1プリズムと、該第1プリズムの前記凹状断面の屈折面とほぼ相補的に形成された凸状断面の屈折面を有する第2プリズムとを有し、前記第1プリズムと前記第2プリズムとの間隔は可変に構成され、前記屈折面は前記照明光学装置の光軸とほぼ直交する平面状の中央部を有することを特徴とする照明光学装置を提供する。
本発明の第3形態では、所定のパターンを照明するための第1形態または第2形態の照明光学装置と、前記所定のパターンの像を感光性基板上に形成するための投影光学系とを備えていることを特徴とする露光装置を提供する。
本発明の第4形態では、第1形態または第2形態の照明光学装置を介して所定のパターンを照明し、照明された前記パターンを投影光学系により感光性基板に露光する露光工程と、前記露光工程により露光された前記感光性基板を現像する現像工程とを含むことを特徴とするデバイスの製造方法を提供する。
本発明では、たとえば照明光路に対して交換可能な偏光光束変換素子の作用により、光源からの光束の断面形状および偏光状態を適宜変化させて、照明瞳面上に所要の偏光分布を有する所定形状(5極状、輪帯状、2極状など)の瞳光強度分布を形成する。そして、照明光路に対して交換可能な複数のアキシコン系の作用により、照明瞳面上に形成される瞳光強度分布の形状を変化させる。
こうして、本発明の照明光学装置では、たとえば瞳光強度分布の形状や偏光状態などに関して多様性に富んだ照明条件を実現することができる。また、本発明の露光装置および露光方法では、たとえば瞳光強度分布の形状や偏光状態などに関して多様性に富んだ照明条件を実現することのできる照明光学装置を用いているので、マスクのパターン特性に応じて実現された適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことができ、ひいては良好なデバイスを製造することができる。
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。図1において、感光性基板であるウェハWの法線方向に沿ってZ軸を、ウェハWの面内において図1の紙面に平行な方向にY軸を、ウェハWの面内において図1の紙面に垂直な方向にX軸をそれぞれ設定している。
図1を参照すると、本実施形態の露光装置は、露光光(照明光)を供給するための光源1を備えている。光源1として、たとえば193nmの波長の光を供給するArFエキシマレーザ光源や248nmの波長の光を供給するKrFエキシマレーザ光源などを用いることができる。光源1から射出されたほぼ平行な光束は、リレーレンズ系(整形光学系)2、偏光状態切換部3、および5極照明用の偏光光束変換素子4を介して、アフォーカルレンズ5に入射する。
リレーレンズ系2は、光源1からのほぼ平行な光束を所定の矩形状の断面を有するほぼ平行な光束に変換して偏光状態切換部3へ導く機能を有する。偏光状態切換部3は、光源側から順に、光軸AXを中心として結晶光学軸が回転自在に構成されて入射する楕円偏光の光を直線偏光の光に変換する1/4波長板と、光軸AXを中心として結晶光学軸が回転自在に構成されて入射する直線偏光の偏光方向を変化させる1/2波長板とを備えている。すなわち、偏光状態切換部3は、光源1からの光を所望の偏光方向を有する直線偏光の光に変換して偏光光束変換素子4へ入射させる機能を有する。
5極照明用の偏光光束変換素子4は、矩形状の断面を有する平行光束が入射した場合に、そのファーフィールド(またはフラウンホーファー回折領域)に所要の偏光分布を有する5極状の光強度分布を形成する機能を有する。一般的には、偏光光束変換素子は、光源1からの光束の断面形状および偏光状態を変化させて、照明瞳面上に所要の偏光分布を有する所定形状の瞳光強度分布を形成するための光学素子である。
具体的に、5極照明用の偏光光束変換素子4は、旋光性を有する光学材料(例えば水晶など)により形成された3種類の基本素子を縦横に且つ稠密に多数配列することにより構成されている。第1の基本素子は、入射光束の断面形状を変化させて、5極状の光強度分布のうち、たとえば光軸AXを含む中央領域を形成する。第2の基本素子は、入射光束の断面形状を変化させて、5極状の光強度分布のうち、中央領域を挟んで対向する第1組の対の周辺領域を形成する。第3の基本素子は、入射光束の断面形状を変化させて、5極状の光強度分布のうち、中央領域を挟んで対向する第2組の対の周辺領域を形成する。
ここで、第2の基本素子と第3の基本素子とでは、光の透過方向に沿った厚さが互いに異なっている。その結果、後述するように、第1組の対の周辺領域を通過する光の偏光方向と第2組の対の周辺領域を通過する光の偏光方向とがほぼ直交し、中央領域を除く4極状の光強度分布において周方向偏光状態が実現される。偏光光束変換素子のさらに詳細な構成および作用については、国際公開第WO2005/050718号パンフレットを参照することができる。後述するように、5極照明用の偏光光束変換素子4は、特性の異なる他の偏光光束変換素子と交換可能に構成されている。
アフォーカルレンズ5は、その前側焦点位置と偏光光束変換素子4の位置とがほぼ一致し且つその後側焦点位置と図中破線で示す所定面6の位置とがほぼ一致するように設定されたアフォーカル系(無焦点光学系)である。したがって、偏光光束変換素子4に入射したほぼ平行光束は、アフォーカルレンズ5の瞳面に5極状の光強度分布を形成した後、5極状の角度分布でアフォーカルレンズ5から射出される。なお、アフォーカルレンズ5の前側レンズ群5aと後側レンズ群5bとの間の光路中においてその瞳位置またはその近傍には、円錐台アキシコン系7が配置されている。円錐台アキシコン系7の構成および作用については後述する。
アフォーカルレンズ5を介した光束は、σ値可変用のズームレンズ8を介して、オプティカルインテグレータとしてのマイクロフライアイレンズ(またはフライアイレンズ)9に入射する。マイクロフライアイレンズ9は、縦横に且つ稠密に配列された多数の正屈折力を有する微小レンズからなる光学素子である。一般に、マイクロフライアイレンズは、たとえば平行平面板にエッチング処理を施して微小レンズ群を形成することによって構成される。
ここで、マイクロフライアイレンズを構成する各微小レンズは、フライアイレンズを構成する各レンズエレメントよりも微小である。また、マイクロフライアイレンズは、互いに隔絶されたレンズエレメントからなるフライアイレンズとは異なり、多数の微小レンズ(微小屈折面)が互いに隔絶されることなく一体的に形成されている。しかしながら、正屈折力を有するレンズ要素が縦横に配置されている点でマイクロフライアイレンズはフライアイレンズと同じ波面分割型のオプティカルインテグレータである。
所定面6の位置はズームレンズ8の前側焦点位置の近傍に配置され、マイクロフライアイレンズ9の入射面はズームレンズ8の後側焦点位置の近傍に配置されている。換言すると、ズームレンズ8は、所定面6とマイクロフライアイレンズ9の入射面とを実質的にフーリエ変換の関係に配置し、ひいてはアフォーカルレンズ5の瞳面とマイクロフライアイレンズ9の入射面とを光学的にほぼ共役に配置している。
したがって、マイクロフライアイレンズ9の入射面上には、アフォーカルレンズ5の瞳面と同様に、5極状の照野が形成される。この5極状の照野の全体形状は、後述するようにズームレンズ8の焦点距離に依存して相似的に変化する。マイクロフライアイレンズ9を構成する各微小レンズは、マスクM上において形成すべき照野の形状(ひいてはウェハW上において形成すべき露光領域の形状)と相似な矩形状の断面を有する。
マイクロフライアイレンズ9に入射した光束は多数の微小レンズにより二次元的に分割され、その後側焦点面またはその近傍(ひいては照明瞳面)には、入射光束によって形成される照野とほぼ同じ光強度分布を有する二次光源が形成される。すなわち、図2に示すように、光軸AXを中心とした円形状の中央領域30cと、中央領域30cを挟んでX方向に沿って対向する第1組の対の周辺領域30paおよび30pbと、中央領域30cを挟んでY方向に沿って対向する第2組の対の周辺領域30pcおよび30pdとからなる5極状の実質的な面光源が形成される。なお、各周辺領域30pa〜30pdは、光軸AXから所定の角度を形成するように延びる2つの線分によって光軸AXを中心とする輪帯状の領域を切り取って得られるような円弧状の形態を有する。
ここで、第1組の対の周辺領域30paおよび30pbを通過する光束はY方向に偏光方向を有する直線偏光状態に設定され、第2組の対の周辺領域30pcおよび30pdを通過する光束はX方向に偏光方向を有する直線偏光状態に設定され、中央領域30cを通過する光束は実質的な非偏光状態に設定されている。すなわち、本実施形態では、偏光状態切換部3の作用によりY方向に偏光方向を有する直線偏光の光が5極照明用の偏光光束変換素子4へ入射する場合、第1組の対の周辺領域30paおよび30pbを形成する第2の基本素子は入射光の偏光方向をn×180度(n=1,2,3・・・)回転させ、第2組の対の周辺領域30pcおよび30pdを形成する第3の基本素子は入射光の偏光方向を90度+m×180度(m=0,1,2,3・・・)回転させる。
一方、中央領域30cを形成する第1の基本素子は、入射光の偏光方向を所定角度回転させて、後述する円錐台アキシコン系7中に設けられた偏光解消素子(デポラライザ)3cに対して所望の偏光方向を有する直線偏光状態に設定する。偏光解消素子3cは、後述するように、所定の偏光方向を有する直線偏光状態の入射光を実質的に非偏光化して射出する。こうして、中央領域30cでは実質的な非偏光状態が実現され、中央領域30cを除く4極状の光強度分布(30pa〜30pd)において周方向偏光状態が実現される。
マイクロフライアイレンズ9の後側焦点面またはその近傍に形成された二次光源からの光束は、コンデンサー光学系10を介した後、マスクブラインド11を重畳的に照明する。こうして、照明視野絞りとしてのマスクブラインド11には、マイクロフライアイレンズ9を構成する各微小レンズの形状と焦点距離とに応じた矩形状の照野が形成される。マスクブラインド11の矩形状の開口部(光透過部)を介した光束は、結像光学系12の集光作用を受けた後、所定のパターンが形成されたマスクMを重畳的に照明する。すなわち、結像光学系12は、マスクブラインド11の矩形状開口部の像をマスクM上に形成することになる。
マスクステージMS上に保持されたマスクMのパターンを透過した光束は、投影光学系PLを介して、ウェハステージWS上に保持されたウェハ(感光性基板)W上にマスクパターンの像を形成する。こうして、投影光学系PLの光軸AXと直交する平面(XY平面)内においてウェハステージWSを二次元的に駆動制御しながら、ひいてはウェハWを二次元的に駆動制御しながら一括露光またはスキャン露光を行うことにより、ウェハWの各露光領域にはマスクMのパターンが順次露光される。
円錐台アキシコン系7は、図3(a)に示すように、光源側から順に、光源側に平面を向け且つマスク側に凹状断面の屈折面を向けた第1プリズム部材7aと、マスク側に平面を向け且つ光源側に凸状断面の屈折面を向けた第2プリズム部材7bとにより構成されている。さらに具体的には、第1プリズム部材7aの凹状断面の屈折面は、光軸AXと直交する平面状の中央部7cと、光軸AXを中心とする円錐体の側面に対応する周辺円錐部7dとを有する。
同様に、第2プリズム部材7bの凸状断面の屈折面は、光軸AXと直交する平面状の中央部7eと、光軸AXを中心とする円錐体の側面に対応する周辺円錐部7fとを有する。なお、第2プリズム部材7bの中央部7eを覆うように、偏光解消素子(デポラライザ)3cが設けられている。ただし、偏光解消素子3cを円錐台アキシコン系7から離間させて、アフォーカルレンズ5の瞳位置またはその近傍に配置することもできる。以下、偏光解消素子3cを含めて、第2プリズム部材7bの凸状断面の屈折面と表現する。
円錐台アキシコン系7では、第1プリズム部材7aの凹状断面の屈折面と第2プリズム部材7bの凸状断面の屈折面とは、互いに当接可能なように相補的に形成されている。また、第1プリズム部材7aおよび第2プリズム部材7bのうち少なくとも一方の部材が光軸AXに沿って移動可能に構成され、第1プリズム部材7aの凹状断面の屈折面と第2プリズム部材7bの凸状断面の屈折面との間隔が可変に構成されている。
円錐台アキシコン系7では、図3(a)に示すように、5極状の瞳光強度分布のうち、光軸AXを中心とする中央領域30cの光強度分布を形成する中心光束40cが、第1プリズム部材7aの中央部7c、偏光解消素子3cおよび第2プリズム部材7bの中央部7eを通過する。一方、5極状の瞳光強度分布のうち、光軸AXを挟んでY方向に沿って対向する第2組の対の周辺領域30pcおよび30pdの光強度分布を形成する2つの周辺光束40pcおよび40pdは、第1プリズム部材7aの周辺円錐部7dおよび第2プリズム部材7bの周辺円錐部7fを通過する。なお、図3(a)において、5極状の瞳光強度分布のうち、光軸AXを挟んでX方向に沿って対向する第1組の対の周辺領域30paおよび30pbの光強度分布を形成する2つの周辺光束40paおよび40pbの図示は省略されている。
ここで、第1プリズム部材7aの凹状屈折面と第2プリズム部材7bの凸状屈折面とが互いに当接している状態では、中心光束40cおよび4つの周辺光束40pa〜40pdに対して円錐台アキシコン系7は平行平面板として機能し、形成される5極状の瞳光強度分布に及ぼす影響はない。しかしながら、第1プリズム部材7aの凹状屈折面と第2プリズム部材7bの凸状屈折面とを離間させると、中心光束40cに対して円錐台アキシコン系7は影響を及ぼさないが、4つの周辺光束40pa〜40pdに対して円錐台アキシコン系7はいわゆるビームエキスパンダーとして機能する。
以下、説明を簡単にするために、中央領域30cも周辺領域30pも円形状であるような3極状の瞳光強度分布に対する円錐台アキシコン系7の作用を説明する。図3(b)に示すように、3極状の瞳光強度分布(二次光源)を構成する2つの円形状の周辺領域30pの光強度分布は、円錐台アキシコン系7の間隔を零から所定の値まで拡大させることにより、光軸AXを中心とした円の径方向に沿って外方へ移動するとともに、その形状が円形状から楕円形状に変化する。すなわち、変化前の円形状の周辺領域30pの光強度分布の中心点と変化後の楕円形状の周辺領域30p’の光強度分布の中心点とを結ぶ線分は光軸AXを通り、中心点の移動距離は円錐台アキシコン系7の間隔に依存する。
さらに、変化前の円形状の周辺領域30pを光軸AXから見込む角度(光軸AXから周辺領域30pへの一対の接線がなす角度)と、変化後の楕円形状の周辺領域30p’を光軸AXから見込む角度とが等しい。そして、変化前の円形状の周辺領域30pの直径すなわち光軸AXとして2つの周辺領域30pに外接する円の半径と内接する円の半径との差と、光軸AXとして変化後の楕円形状の周辺領域30p’に外接する円の半径と内接する円の半径との差とが等しい。このように、円形状の周辺領域30pは円錐台アキシコン系7の間隔に依存して周方向に変化するが、径方向には変化しない。
一方、3極状の瞳光強度分布を構成する円形状の中央領域30cの光強度分布は、円錐台アキシコン系7の間隔を零から所定の値まで拡大させても影響を受けない。したがって、円錐台アキシコン系7の間隔を零から所定の値まで拡大させると、3極状の瞳光強度分布を構成する2つの円形状の周辺領域30pの光強度分布の位置および大きさ(形状)が、円形状の中央領域30cの光強度分布とは独立して変化する。図示を省略したが、5極状の瞳光強度分布においても円錐台アキシコン系7の作用により同様の効果を得ることができる。すなわち、円錐台アキシコン系7の作用により3極状や5極状の瞳光強度分布において中央領域の位置および形状を維持しつつ周辺領域の位置および形状だけを変化させることができる。円錐台アキシコン系7は、特性の異なる他のアキシコン系と交換可能に構成されている。
ズームレンズ8は、二次光源の全体形状を相似的に拡大または縮小する機能を有する。たとえば、ズームレンズ8の焦点距離を最小値から所定の値へ拡大させることにより、二次光源の全体形状が相似的に拡大される。説明を簡単にするために、輪帯状の二次光源を想定すると、ズームレンズ8の作用により、二次光源の輪帯比(二次光源に内接する円の直径すなわち内径/二次光源に外接する円の直径すなわち外径)が変化することなく、その幅(輪帯状の二次光源の外径と内径との差の1/2)および大きさ(外径)がともに変化する。このように、円錐台アキシコン系7とズームレンズ8との協働作用により、輪帯状の二次光源の輪帯比と大きさ(外径)とを制御することができる。
このように、偏光光束変換素子4を用いる5極照明では、5極状の瞳光強度分布のうち、中央領域30cを除く4極状の光強度分布(30pa〜30pd)において周方向偏光状態が実現される。周方向偏光状態の4極状の瞳光強度分布(30pa〜30pd)に基づく周方向偏光照明では、最終的な被照射面としてのウェハWに照射される光がS偏光を主成分とする偏光状態になる。ここで、S偏光とは、入射面に対して垂直な方向に偏光方向を有する直線偏光(入射面に垂直な方向に電気ベクトルが振動している偏光)のことである。
また、入射面とは、光が媒質の境界面(被照射面:ウェハWの表面)に達したときに、その点での境界面の法線と光の入射方向とを含む面として定義される。その結果、周方向偏光照明では、投影光学系の光学性能(焦点深度など)が向上し、ウェハ(感光性基板)上において高コントラストの良好なマスクパターン像が得られ、特にウェハ上においてX方向に細長く延びる縦方向微細パターンやY方向に細長く延びる横方向微細パターンなどを忠実に高解像度で転写することができる。一方、偏光光束変換素子4を用いる5極照明では、5極状の瞳光強度分布のうち、中央領域30cにおいて実質的な非偏光状態が実現される。非偏光状態の小σ状の瞳光強度分布30cに基づく非偏光照明では、たとえば孤立パターンや比較的粗いパターンなどを忠実に転写することができる。
すなわち、本実施形態の5極照明では、孤立パターン、比較的粗いパターン、縦方向微細パターン、横方向微細パターンなどを含む様々な特性を有するマスクパターンを忠実に転写することができる。さらに、本実施形態の5極照明では、円錐台アキシコン系7とズームレンズ8との協働作用により、偏光光束変換素子4を用いて形成される5極状の瞳光強度分布の位置および大きさ(形状)を変化させて、多様性に富んだ照明条件を実現することができる。特に、本実施形態の5極照明では、5極状の瞳光強度分布のうち、中央領域30cの大きさを固定したまま、4極状の光強度分布(30pa〜30pd)の輪帯比を変更することができるので、従来技術では二重露光していたところを1回の露光で行う際の微調整が容易になる。
なお、5極照明用の偏光光束変換素子4に代えて、輪帯照明用の偏光光束変換素子4aを照明光路中に設定することによって、輪帯照明を行うことができる。このとき、円錐台アキシコン系7に代えて、円錐アキシコン系70が用いられる。輪帯照明用の偏光光束変換素子4aは、矩形状の断面を有する平行光束が入射した場合に、そのファーフィールドに所要の偏光分布を有する輪帯状の光強度分布を形成する機能を有する。具体的に、輪帯照明用の偏光光束変換素子4aは、旋光性を有する光学材料により形成された2種類の基本素子を縦横に且つ稠密に多数配列することにより構成されている。第1の基本素子は、入射光束の断面形状を変化させて、輪帯状の光強度分布のうち、光軸AXを挟んで対向する第1組の対の円弧状領域を形成する。第2の基本素子は、入射光束の断面形状を変化させて、輪帯状の光強度分布のうち、光軸AXを挟んで対向する第2組の対の円弧状領域を形成する。ここで、第1の基本素子と第2の基本素子とでは、光の透過方向に沿った厚さが互いに異なっている。
したがって、輪帯照明用の偏光光束変換素子4aを介した光束は、マイクロフライアイレンズ9の入射面に、たとえば光軸AXを中心とした輪帯状の照野を形成する。その結果、マイクロフライアイレンズ9の後側焦点面またはその近傍にも、その入射面に形成された照野と同じ輪帯状の二次光源が形成される。すなわち、図4(a)に示すように、光軸AXを挟んでX方向に沿って対向する第1組の対の円弧状領域31paおよび31pbと、光軸AXを挟んでY方向に沿って対向する第2組の対の円弧状領域31pcおよび31pdとからなる輪帯状の実質的な面光源が形成される。なお、各円弧状領域31pa〜31pdは、光軸AXから延びる線分によって光軸AXを中心とする輪帯状の領域を4等分して得られるような形態を有する。
ここで、第1組の対の円弧状領域31paおよび31pbを通過する光束はY方向に偏光方向を有する直線偏光状態に設定され、第2組の対の円弧状領域31pcおよび31pdを通過する光束はX方向に偏光方向を有する直線偏光状態に設定されている。すなわち、本実施形態では、偏光状態切換部3の作用によりY方向に偏光方向を有する直線偏光の光が輪帯照明用の偏光光束変換素子4aへ入射する場合、第1組の対の円弧状領域31paおよび31pbを形成する第1の基本素子は入射光の偏光方向をn×180度(n=1,2,3・・・)回転させ、第2組の対の円弧状領域31pcおよび31pdを形成する第2の基本素子は入射光の偏光方向を90度+m×180度(m=0,1,2,3・・・)回転させる。こうして、輪帯状の光強度分布(31pa〜31pd)において周方向偏光状態が実現される。
円錐アキシコン系70は、図4(b)に示すように、光源側から順に、光源側に平面を向け且つマスク側に凹円錐状の屈折面を向けた第1プリズム部材70aと、マスク側に平面を向け且つ光源側に凸円錐状の屈折面を向けた第2プリズム部材70bとから構成されている。そして、第1プリズム部材70aの凹円錐状の屈折面と第2プリズム部材70bの凸円錐状の屈折面とは、互いに当接可能なように相補的に形成されている。また、第1プリズム部材70aおよび第2プリズム部材70bのうち少なくとも一方の部材が光軸AXに沿って移動可能に構成され、第1プリズム部材70aの凹円錐状の屈折面と第2プリズム部材70bの凸円錐状の屈折面との間隔が可変に構成されている。
ここで、第1プリズム部材70aの凹円錐状屈折面と第2プリズム部材70bの凸円錐状屈折面とが互いに当接している状態では、円錐アキシコン系70は平行平面板として機能し、形成される輪帯状の二次光源に及ぼす影響はない。しかしながら、第1プリズム部材70aの凹円錐状屈折面と第2プリズム部材70bの凸円錐状屈折面とを離間させると、輪帯状の二次光源の幅(輪帯状の二次光源の外径と内径との差の1/2)を一定に保ちつつ、輪帯状の二次光源の外径(内径)が変化する。すなわち、輪帯状の二次光源の輪帯比(内径/外径)および大きさ(外径)が変化する。また、上述したように、円錐アキシコン系70とズームレンズ8との協働作用により、輪帯状の二次光源の輪帯比と大きさ(外径)とを制御することができる。
このように、本実施形態の輪帯照明では、輪帯状の光強度分布(31pa〜31pd)において周方向偏光状態が実現されるので、ウェハWに照射される光がS偏光を主成分とする偏光状態になる。その結果、投影光学系の光学性能(焦点深度など)が向上し、ウェハ上において高コントラストの良好なマスクパターン像が得られ、特にウェハ上において縦方向微細パターンや横方向微細パターンや斜め方向に細長く延びる微細パターンなどを忠実に高解像度で転写することができる。さらに、本実施形態の輪帯照明では、円錐アキシコン系70とズームレンズ8との協働作用により、輪帯状の瞳光強度分布の位置および大きさ(形状)を変化させて、多様性に富んだ照明条件を実現することができる。
また、5極照明用の偏光光束変換素子4に代えて、2極照明用の偏光光束変換素子4bを照明光路中に設定することによって、2極照明を行うことができる。このとき、円錐台アキシコン系7に代えて、円錐アキシコン系70またはV溝アキシコン系71が用いられる。2極照明用の偏光光束変換素子4bは、矩形状の断面を有する平行光束が入射した場合に、そのファーフィールドに所要の偏光分布を有する2極状の光強度分布を形成する機能を有する。具体的に、2極照明用の偏光光束変換素子4bは、旋光性を有する光学材料により形成された1種類の基本素子を縦横に且つ稠密に多数配列することにより構成されている。この基本素子は、入射光束の断面形状を変化させて、光軸AXを挟んで対向する一対の円弧状領域を形成する。
したがって、2極照明用の偏光光束変換素子4bを介した光束は、マイクロフライアイレンズ9の入射面に、たとえば光軸AXを中心とした2極状の照野を形成する。その結果、マイクロフライアイレンズ9の後側焦点面またはその近傍にも、その入射面に形成された照野と同じ2極状の二次光源が形成される。すなわち、図5(a)に示すように、光軸AXを挟んでY方向に沿って対向する一対の円弧状領域32paおよび32pbからなる2極状の実質的な面光源が形成される。なお、各円弧状領域32paおよび32pbは、光軸AXから所定の角度を形成するように延びる2つの線分によって光軸AXを中心とする輪帯状の領域を切り取って得られるような円弧状の形態を有する。
ここで、一対の円弧状領域32paおよび32pbを通過する光束は、X方向に偏光方向を有する直線偏光状態に設定されている。すなわち、本実施形態では、偏光状態切換部3の作用によりY方向に偏光方向を有する直線偏光の光が2極照明用の偏光光束変換素子4bへ入射する場合、一対の円弧状領域32paおよび32pbを形成する基本素子は入射光の偏光方向を90度+m×180度(m=0,1,2,3・・・)回転させる。こうして、2極状の光強度分布(32pa,32pb)において周方向偏光状態が実現される。
V溝アキシコン系71は、図5(b)に示すように、光源側から順に、光源側に平面を向け且つマスク側に凹状で且つV字状の屈折面を向けた第1プリズム部材71aと、マスク側に平面を向け且つ光源側に凸状で且つV字状の屈折面を向けた第2プリズム部材71bとから構成されている。第1プリズム部材71aの凹状屈折面は2つの平面から構成され、その交線(稜線)はX方向に沿って延びている。第2プリズム部材71bの凸状屈折面は、第1プリズム部材71aの凹状屈折面と互いに当接可能なように、換言すると第1プリズム部材71aの凹状屈折面と相補的に形成されている。すなわち、第2プリズム部材71bの凸状屈折面も2つの平面から構成され、その交線(稜線)はX方向に沿って延びている。また、第1プリズム部材71aおよび第2プリズム部材71bのうち少なくとも一方の部材が光軸AXに沿って移動可能に構成され、第1プリズム部材71aの凹状屈折面と第2プリズム部材71bの凸状屈折面との間隔が可変に構成されている。
ここで、対向する凹状屈折面と凸状屈折面とが互いに当接している状態では、V溝アキシコン系71は平行平面板として機能し、形成される2極状の二次光源に及ぼす影響はない。しかしながら、V溝アキシコン系71は、凹状屈折面と凸状屈折面とを離間させると、X方向に沿って平行平面板として機能するが、Y方向に沿ってビームエキスパンダーとして機能する。すなわちV溝アキシコン系71の間隔の変化に伴って、所定面6への入射光束のX方向に沿った入射角度は変化しないが、所定面6への入射光束のY方向に沿った入射角度は変化する。
その結果、図示を省略するが、一対の円弧状領域32paおよび32pbは、X方向には移動しないが、Y方向に沿って光軸AXを挟んで対称に移動する。すなわち、V溝アキシコン系71の間隔が拡大すると、第1円弧状領域32paは−Y方向に移動し、第2円弧状領域32pbは+Y方向に移動する。また、V溝アキシコン系71の間隔が拡大すると、各円弧状領域32pa,32pbは、X方向には拡大しないが、Y方向に拡大する。また、上述したように、V溝アキシコン系71とズームレンズ8との協働作用により、二次光源の輪帯比と大きさ(外径)とを制御することができる。なお、2極照明における円錐アキシコン系70の作用、および円錐アキシコン系70とズームレンズ8との協働作用については、輪帯照明におけるこれらの作用の説明と重複するので省略する。
このように、本実施形態のY方向2極照明では、2極状の光強度分布(32pa,32pd)において周方向偏光状態が実現されるので、ウェハWに照射される光がS偏光を主成分とする偏光状態になる。その結果、投影光学系の光学性能(焦点深度など)が向上し、ウェハ上において高コントラストの良好なマスクパターン像が得られ、特にウェハ上においてX方向に細長く延びる微細パターンなどを忠実に高解像度で転写することができる。さらに、本実施形態の2極照明では、V溝アキシコン系71(または円錐アキシコン系70)とズームレンズ8との協働作用により、2極状の瞳光強度分布の位置および大きさ(形状)を変化させて、多様性に富んだ照明条件を実現することができる。
さらに、5極照明用の偏光光束変換素子4に代えて、適当な特性を有する偏光光束変換素子(不図示)を照明光路中に設定することによって、他の複数極照明(X方向2極、3極、4極、8極、9極など)や円形照明などを含む様々な形態の照明を行うことができる。また、偏光光束変換素子の作用により照明瞳面上に形成される瞳光強度分布に応じて、円錐台アキシコン系、円錐アキシコン系、V溝アキシコン系、あるいは他の適当な特性を有するアキシコン系を選択的に用いることができる。
以上のように、本実施形態では、照明光路に対して交換可能な偏光光束変換素子(4,4a,4bなど)の作用により、光源1からの光束の断面形状および偏光状態を適宜変化させて、照明瞳面上に所要の偏光分布を有する所定形状(5極状、輪帯状、2極状など)の瞳光強度分布を形成する。そして、照明光路に対して交換可能なアキシコン系(円錐台アキシコン系7,円錐アキシコン系70,V溝アキシコン系71など)の作用により、照明瞳面上に形成される瞳光強度分布の形状を変化させる。こうして、本実施形態の照明光学装置では、たとえば瞳光強度分布の形状や偏光状態などに関して多様性に富んだ照明条件を実現することができる。また、本実施形態の露光装置では、瞳光強度分布の形状や偏光状態などに関して多様性に富んだ照明条件を実現することのできる照明光学装置を用いて、マスクのパターン特性に応じて実現された適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことができる。
上述の実施形態にかかる露光装置では、照明光学装置によってマスク(レチクル)を照明し(照明工程)、投影光学系を用いてマスクに形成された転写用のパターンを感光性基板に露光する(露光工程)ことにより、マイクロデバイス(半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)を製造することができる。以下、上述の実施形態の露光装置を用いて感光性基板としてのウェハ等に所定の回路パターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例につき図6のフローチャートを参照して説明する。
先ず、図6のステップ301において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップ302において、その1ロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップ303において、上述の実施形態の露光装置を用いて、マスク上のパターンの像がその投影光学系を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。その後、ステップ304において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップ305において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。
また、上述の実施形態の露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。以下、図7のフローチャートを参照して、このときの手法の一例につき説明する。図7において、パターン形成工程401では、上述の実施形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィー工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルター形成工程402へ移行する。
次に、カラーフィルター形成工程402では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルターの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルターを形成する。そして、カラーフィルター形成工程402の後に、セル組み立て工程403が実行される。セル組み立て工程403では、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板、およびカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルター等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。
セル組み立て工程403では、例えば、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルターとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。その後、モジュール組み立て工程404にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
なお、上述の実施形態では、露光光としてKrFエキシマレーザ光(波長:248nm)やArFエキシマレーザ光(波長:193nm)を用いているが、これに限定されることなく、他の適当なレーザ光源、たとえば波長157nmのレーザ光を供給するF2レーザ光源などに対して本発明を適用することもできる。さらに、上述の実施形態では、照明光学装置を備えた露光装置を例にとって本発明を説明したが、以外の被照射面を照明するための一般的な照明光学装置に本発明を適用することができることは明らかである。
また、上述の実施形態において、投影光学系と感光性基板との間の光路中を1.1よりも大きな屈折率を有する媒体(典型的には液体)で満たす手法、所謂液浸法を適用しても良い。この場合、投影光学系と感光性基板との間の光路中に液体を満たす手法としては、国際公開番号WO99/49504号公報に開示されているような局所的に液体を満たす手法や、特開平6−124873号公報に開示されているような露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる手法や、特開平10−303114号公報に開示されているようなステージ上に所定深さの液体槽を形成し、その中に基板を保持する手法などを採用することができる。
なお、液体としては、露光光に対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系や基板表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なものを用いることが好ましく、たとえばKrFエキシマレーザ光やArFエキシマレーザ光を露光光とする場合には、液体として純水、脱イオン水を用いることができる。また、露光光としてF2レーザ光を用いる場合は、液体としてはF2レーザ光を透過可能な例えばフッ素系オイルや過フッ化ポリエーテル(PFPE)等のフッ素系の液体を用いればよい。
1 光源
3 偏光状態切換部
4,4a,4b 偏光光束変換素子
5 アフォーカルレンズ
7 円錐台アキシコン系
8 ズームレンズ
9 マイクロフライアイレンズ
10 コンデンサー光学系
11 マスクブラインド
12 結像光学系
70 円錐アキシコン系
71 V溝アキシコン系
M マスク
PL 投影光学系
W ウェハ
3 偏光状態切換部
4,4a,4b 偏光光束変換素子
5 アフォーカルレンズ
7 円錐台アキシコン系
8 ズームレンズ
9 マイクロフライアイレンズ
10 コンデンサー光学系
11 マスクブラインド
12 結像光学系
70 円錐アキシコン系
71 V溝アキシコン系
M マスク
PL 投影光学系
W ウェハ
Claims (11)
- 光源からの光束に基づいて被照射面を照明する照明光学装置において、
前記光源からの光束の断面形状および偏光状態を変化させて、照明瞳面上に所要の偏光分布を有する所定形状の瞳光強度分布を形成するための偏光光束変換素子と、
前記照明瞳面上に形成される第1の瞳光強度分布の形状を変化させるための第1アキシコン系と、
前記第1アキシコン系と交換可能に配置されて、前記照明瞳面上に形成される第2の瞳光強度分布の形状を変化させるための第2アキシコン系とを備えていることを特徴とする照明光学装置。 - 前記偏光光束変換素子は、旋光性を有する光学材料により形成されて入射光束に基づいて前記瞳光強度分布のうちの第1領域分布を形成するための第1基本素子と、旋光性を有する光学材料により形成されて前記入射光束に基づいて前記瞳光強度分布のうちの第2領域分布を形成するための第2基本素子とを有し、前記第1基本素子と前記第2基本素子とは、光の透過方向に沿った厚さが互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の照明光学装置。
- 前記第1アキシコン系および前記第2アキシコン系は、凹状断面の屈折面を有する第1プリズムと、該第1プリズムの前記凹状断面の屈折面とほぼ相補的に形成された凸状断面の屈折面を有する第2プリズムとをそれぞれ有し、前記第1プリズムと前記第2プリズムとの間隔は可変に構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の照明光学装置。
- 前記第1アキシコン系および前記第2アキシコン系のうちの少なくとも一方の前記屈折面は、前記照明光学装置の光軸を中心とする円錐体の側面に対応する形状を有することを特徴とする請求項3に記載の照明光学装置。
- 前記第1アキシコン系および前記第2アキシコン系のうちの少なくとも一方の前記屈折面は、前記照明光学装置の光軸を通る所定の軸線に関してほぼ対称なV字状の断面を有することを特徴とする請求項3に記載の照明光学装置。
- 前記第1アキシコン系および前記第2アキシコン系のうちの少なくとも一方の前記屈折面は、前記照明光学装置の光軸とほぼ直交する平面状の中央部と、前記光軸を中心とする円錐体の側面に対応する周辺円錐部とを有することを特徴とする請求項3に記載の照明光学装置。
- 光源からの光束に基づいて被照射面を照明する照明光学装置において、
前記光源からの光束の断面形状および偏光状態を変化させて、照明瞳面上に所要の偏光分布を有する所定形状の瞳光強度分布を形成するための偏光光束変換素子と、
前記瞳光強度分布の形状を変化させるためのアキシコン系とを備え、
前記アキシコン系は、凹状断面の屈折面を有する第1プリズムと、該第1プリズムの前記凹状断面の屈折面とほぼ相補的に形成された凸状断面の屈折面を有する第2プリズムとを有し、前記第1プリズムと前記第2プリズムとの間隔は可変に構成され、前記屈折面は前記照明光学装置の光軸とほぼ直交する平面状の中央部を有することを特徴とする照明光学装置。 - 前記屈折面は、前記中央部と、前記光軸を中心とする円錐体の側面に対応する周辺円錐部とを有することを特徴とする請求項7に記載の照明光学装置。
- 前記偏光光束変換素子は、旋光性を有する光学材料により形成されて入射光束に基づいて前記瞳光強度分布のうちの第1領域分布を形成するための第1基本素子と、旋光性を有する光学材料により形成されて前記入射光束に基づいて前記瞳光強度分布のうちの第2領域分布を形成するための第2基本素子とを有し、前記第1基本素子と前記第2基本素子とは、光の透過方向に沿った厚さが互いに異なることを特徴とする請求項7または8に記載の照明光学装置。
- 所定のパターンを照明するための請求項1乃至9のいずれか1項に記載の照明光学装置と、前記所定のパターンの像を感光性基板上に形成するための投影光学系とを備えていることを特徴とする露光装置。
- 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の照明光学装置を介して所定のパターンを照明し、照明された前記パターンを投影光学系により感光性基板に露光する露光工程と、
前記露光工程により露光された前記感光性基板を現像する現像工程とを含むことを特徴とするデバイスの製造方法。
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-
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