JP2004259844A - 投影光学系の製造方法、投影光学系、露光装置の製造方法、露光装置、露光方法、および光学系の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】残存収差が良好に抑えられて優れた光学性能を有する投影光学系を効率的に且つ迅速に製造することのできる製造方法。
【解決手段】第1面(3)の像を第2面(7)上に投影する投影光学系(6)の製造方法。少なくとも1つの光学面にコートが形成されていない少なくとも1つのノンコート光学部材を含む複数の光学部材を用いて投影光学系を組み立てる組立工程と、組み立てられた投影光学系の収差を測定する収差測定工程と、測定された投影光学系の収差を補正するために少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面を再加工する再加工工程と、再加工された少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面にコートを形成するコート形成工程とを含む。
【選択図】 図1
【解決手段】第1面(3)の像を第2面(7)上に投影する投影光学系(6)の製造方法。少なくとも1つの光学面にコートが形成されていない少なくとも1つのノンコート光学部材を含む複数の光学部材を用いて投影光学系を組み立てる組立工程と、組み立てられた投影光学系の収差を測定する収差測定工程と、測定された投影光学系の収差を補正するために少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面を再加工する再加工工程と、再加工された少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面にコートを形成するコート形成工程とを含む。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、投影光学系の製造方法、投影光学系、露光装置の製造方法、露光装置、露光方法、および光学系の製造方法に関する。本発明は、特に半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等のマイクロデバイスをリソグラフィー工程で製造するための露光装置に用いられる投影光学系の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
LSIの製造において、回路パターンを形成するリソグラフィー工程では紫外線を光源とする半導体露光装置が用いられている。この種の半導体露光装置にはマスク上のパターンをウェハ上のレジストに転写する投影光学系が組み込まれ、投影光学系には収差を極限まで低減することが求められている。LSIの集積度は3年で2倍の速度で増大しているが、露光装置(ひいては投影光学系)やレジストの解像力の向上により、LSIの高集積化の要請に合ったスピードで加工の微細化を実現している。
【0003】
ところが、近年、露光装置やレジストの解像性能の向上速度がLSIの微細化の速度よりも低いため、解像力の余裕がなくなりつつある。その結果、解像性能の限界に近い条件で、LSIのパターン形成がなされるようになっている。例えば、k1ファクターと呼ばれるパラメータは10年前には約0.8であったが、現在では約0.6であり、今後は約0.4を前提とした開発が進んでいる。このような状況においては、投影光学系の収差により回路パターンの線幅や形状がばらつき易い。したがって、回路の特性のばらつきを良好に抑え、ひいてはLSIの品質を良好に保つには、投影光学系の収差を一定範囲に抑えることが必須となっている。
【0004】
一般に、露光装置に搭載される投影光学系は20枚以上のレンズ(レンズ要素)から構成され、投影光学系の収差は光学設計の段階では所定の値以下に抑えられている。しかしながら、実際に作られる個々のレンズは、製造誤差により設計値からずれた特性を有する。例えば、個々のレンズを形成する光学材料(レンズ材料)として屈折率が均一な合成石英を入手しようとしても、実際に入手可能な光学材料には屈折率の均一性について限界があり、光学材料の屈折率ムラ(屈折率分布)が最終的に投影光学系の収差を劣化させる要因の1つとなる。
【0005】
また、レンズ表面の研磨工程では干渉計で面形状を随時計測しながら研磨を繰り返すが、投影光学系の工業生産を経済的に行うには、その収差にある程度影響を与えるような加工誤差を残さざるを得ない。すなわち、レンズの面形状の誤差も、投影光学系における収差発生の要因の1つとなる。また、多数のレンズを用いて投影光学系を組み立てる際にも組立誤差が発生し、この組立誤差も投影光学系における収差発生の要因の1つとなる。
【0006】
さらに、多数のレンズを用いて組み立てられた投影光学系の収差を小さく抑えるように光学調整する調整工程では、レンズを光軸に沿って移動させてレンズ間の間隔を変化させる間隔調整や、レンズを光軸に対して垂直にシフト(移動)させたりチルト(傾斜)させたりする偏芯調整により、投影光学系を最小の収差状態にする。また、投影光学系の収差をさらに低減するために、レンズを光軸廻りに回転させる回転調整によりレンズの回転非対称な誤差の影響を低減することも合わせて行われる。しかしながら、間隔調整や偏芯調整や回転調整においても、その設定(レンズの移動量、シフト量、チルト量、回転角度など)に誤差が残り、この設定誤差も投影光学系における収差発生の要因の1つとなる。
【0007】
そこで、本出願人は、投影光学系の残存収差を極限まで抑えるための光学調整として、残存収差を補正するのに必要な非球面形状を所定のレンズ面に付与する非球面化手法を提案している(たとえば特開2002−258131号公報を参照)。この非球面化手法では、所定のレンズ面を回転非対称な非球面形状に加工することにより、投影光学系の残存収差を極限まで抑えて光学性能を飛躍的に向上させることができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−258131号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した非球面化手法では、組み立てられ且つレンズ調整(間隔調整や偏芯調整や回転調整)された投影光学系の残存収差を計測し、予め非球面化の対象となっているレンズを投影光学系から取り出し、この非球面化対象レンズの光学面を所要の非球面形状に加工し、非球面形状に加工したレンズを投影光学系へ再度組み込む。なお、投影光学系を組み立てる組立工程に先立って、すべてのレンズの光学面に反射防止膜のようなコートを形成するのが通常である。
【0010】
したがって、従来の非球面化手法では、非球面化対象レンズの光学面を所要の非球面形状に加工する前に、たとえば研磨により光学面からコートを剥離する必要がある。この場合、光学面からコートを剥離するコート剥離工程に時間がかかり、投影光学系を効率的に且つ迅速に製造することができないという不都合があった。また、後述するように、光学面を所要の非球面形状に加工する非球面加工工程においてコート形成に起因する非球面加工誤差が発生し易く、投影光学系の残存収差を良好に抑えて優れた光学性能を実現することが困難であるという不都合があった。
【0011】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、残存収差が良好に抑えられて優れた光学性能を有する投影光学系を効率的に且つ迅速に製造することのできる製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、残存収差が良好に抑えられて優れた光学性能を有する投影光学系を備えた露光装置を効率的に且つ迅速に製造することのできる製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、残存収差が良好に抑えられて優れた光学性能を有する投影光学系を用いて、高解像で良好な露光を行うことのできる露光装置および露光方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、第1面の像を第2面上に投影する投影光学系の製造方法において、
少なくとも1つの光学面にコートが形成されていない少なくとも1つのノンコート光学部材を含む複数の光学部材を用いて前記投影光学系を組み立てる組立工程と、
組み立てられた前記投影光学系の収差を測定する収差測定工程と、
測定された前記投影光学系の収差を補正するために前記少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面を再加工する再加工工程と、
再加工された前記少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面にコートを形成するコート形成工程とを含むことを特徴とする投影光学系の製造方法を提供する。なお、ノンコート光学部材とは、光学部材の光学面のうちの少なくとも1つの光学面にコート(典型的には反射防止膜や増反射膜)が施されていない光学部材のことを示す。
【0013】
第1形態の好ましい態様によれば、前記少なくとも1つのノンコート光学部材は、球面状の光学面を有する球面レンズとして設計されている。また、前記再加工工程は、前記少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面の曲率半径を変更するように再加工する工程を含むことが好ましい。あるいは、前記再加工工程は、前記少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面を非球面形状に加工する非球面加工工程を含むことが好ましい。この場合、前記非球面加工工程は、前記少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面を光軸に関して回転非対称な非球面形状に加工する工程を含むことが好ましい。さらに、前記非球面加工工程は、第1のノンコート光学部材の光学面を非球面形状に加工する工程と、第2のノンコート光学部材の光学面を非球面形状に加工する工程とを含み、前記第1のノンコート光学部材および前記第2のノンコート光学部材は、前記第1面上の所定の1点からの光束が前記第1のノンコート光学部材の光学面を通過するときの光束径と、前記所定の1点からの光束が前記第2のノンコート光学部材の光学面を通過するときの光束径とが実質的に異なるように選定されることが好ましい。なお、少なくとも1つのノンコート光学部材の全ての光学面にコートが形成されていないことが好ましい。また、ノンコート光学部材が屈折部材であるときにはコートは反射防止膜を含むことが好ましく、ノンコート光学部材が反射部材であるときにはコートは増反射膜を含むことが好ましい。
【0014】
また、第1形態の好ましい態様によれば、前記組立工程は、1つまたは複数の光学部材をそれぞれ収納する複数の分割鏡筒を組み立てる工程を含み、前記少なくとも1つのノンコート光学部材は、所定の分割鏡筒内に単体で収納されているノンコート光学部材を含む。あるいは、前記組立工程は、1つまたは複数の光学部材をそれぞれ収納する複数の分割鏡筒を組み立てる工程を含み、前記少なくとも1つのノンコート光学部材は、所定の分割鏡筒内において最も第1面側に配置されているノンコート光学部材を含むことが好ましい。また、第1形態では、前記再加工工程に先立って、測定された前記投影光学系の収差を補正するために少なくとも1つの光学部材の位置または姿勢を調整する調整工程をさらに含むことが好ましい。
【0015】
本発明の第2形態では、第1形態の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする投影光学系を提供する。
【0016】
本発明の第3形態では、マスクのパターンを感光性基板上に露光する露光装置の製造方法において、
前記第1面に設定された前記マスクのパターン像を前記第2面に設定された前記感光性基板上に形成するための前記投影光学系を第1形態の製造方法を用いて製造する製造工程と、
製造された前記投影光学系を前記露光装置に組み込む組込工程とを含むことを特徴とする露光装置の製造方法を提供する。
【0017】
本発明の第4形態では、マスクのパターンを感光性基板上に露光する露光装置において、
前記第1面に設定された前記マスクのパターン像を前記第2面に設定された前記感光性基板上に形成するための第1形態の製造方法を用いて製造された前記投影光学系を備えていることを特徴とする露光装置を提供する。
【0018】
本発明の第5形態では、マスクのパターンを感光性基板上に露光する露光方法において、
第1形態の製造方法を用いて製造された前記投影光学系を介して、前記第1面に設定された前記マスクのパターンを前記第2面に設定された前記感光性基板上に露光することを特徴とする露光方法を提供する。
【0019】
本発明の第6形態では、光学系の製造方法において、
少なくとも1つの光学面にコートが形成されていない少なくとも1つのノンコート光学部材を含む複数の光学部材を用いて前記光学系を組み立てる組立工程と、
組み立てられた前記光学系の収差を測定する収差測定工程と、
測定された前記光学系の収差を補正するために前記少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面を再加工する再加工工程と、
再加工された前記少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面にコートを形成するコート形成工程とを含むことを特徴とする光学系の製造方法を提供する。
【0020】
また、本発明の第7形態にかかる光学系の製造方法は、光学系の光学面の収差係数を求める工程と、前記光学面について所要の収差に対する収差感度を算出する工程と、前記算出された前記光学面の収差感度に基づいて、追加工を実施する光学面を決定する工程と、前記決定された光学面に対して前記追加工を実施する工程とを含むことを特徴とする。ここで、前記光学系の収差を計測する工程と、収差計測結果に基づいて前記光学面の形状を算出する工程とを含み、算出された光学面の形状となるように前記追加工を実施することが好ましい。また、前記光学系は、第1面の像を第2面上に形成する投影光学系であることが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる製造方法で製造された投影光学系を備えた露光装置の構成を概略的に示す図である。なお、図1において、投影光学系の光軸AXに平行にZ軸を、光軸AXに垂直な面内において図1の紙面に平行にY軸を、光軸AXに垂直な面内において図1の紙面に垂直にX軸をそれぞれ設定している。
【0022】
図1に示す露光装置は、照明光(露光光)を供給するための光源1として、たとえばKrFエキシマレーザー光源(波長248nm)(またはArFエキシマレーザー光源(波長193nm))を備えている。光源1から射出された光は、照明光学系2を介して、所定のパターンが形成されたマスク(レチクル)3を照明する。マスク3は、マスクホルダ4を介して、マスクステージ5上においてXY平面に平行に保持されている。また、マスクステージ5は、図示を省略した駆動系の作用により、マスク面(すなわちXY平面)に沿って移動可能であり、その位置座標はマスク干渉計(不図示)によって計測され且つ位置制御されるように構成されている。
【0023】
マスク3に形成されたパターンからの光は、投影光学系6を介して、感光性基板であるウェハ7上にマスクパターン像を形成する。ウェハ7は、ウェハテーブル(ウェハホルダ)8を介して、ウェハステージ9上においてXY平面に平行に保持されている。また、ウェハステージ9は、図示を省略した駆動系の作用によりウェハ面(すなわちXY平面)に沿って移動可能であり、その位置座標はウェハ干渉計(不図示)によって計測され且つ位置制御されるように構成されている。こうして、投影光学系6の光軸AXと直交する平面(XY平面)内においてウェハ7を二次元的に駆動制御しながら一括露光またはスキャン露光を行うことにより、ウェハ7の各露光領域にはマスク3のパターンが逐次露光される。
【0024】
図2は、本実施形態における投影光学系の構成を概略的に示す図である。本実施形態の投影光学系6は、248.4nmを基準波長としたものであり、全ての光透過性屈折部材(レンズL11〜L55)が石英ガラス(合成石英)により形成されている。図2に示すように、本実施形態の投影光学系6は、マスク3側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、光路中に開口絞りASを有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを備えている。
【0025】
第1レンズ群G1は、マスク側から順に、凹面をウェハ側に向けた平凹形状の負レンズL11と、曲率の小さい凹面をマスク側に向けた両凹形状の負レンズL12とを有し、これらの負レンズL11、L12によって、両凸形状の気体レンズを形成している。ここで、負レンズL11のウェハ側のレンズ面ASP1は非球面形状に形成されている。第2レンズ群G2は、マスク側から順に、凹面をマスク側に向けたメニスカス形状の2つの正レンズL21、L22と、両凸形状の2つの正レンズL23、L24と、凸面をマスク側に向けたメニスカス形状の正レンズL25と、凸面をマスク側に向けたメニスカス形状の負レンズL26とを有する。ここで、正レンズL25のウェハ側のレンズ面ASP2は非球面形状に形成されている。
【0026】
第3レンズ群G3は、マスク側から順に、平凹形状の負レンズL31と、両凹形状の3つの負レンズL32〜L34と、凹面をマスク側に向けたメニスカス形状の負レンズL35とを有する。ここで、負レンズL34のウェハ側のレンズ面ASP3は非球面形状に形成されている。第4レンズ群G4は、マスク側から順に、凸面をウェハ側に向けた平凸形状の正レンズL41と、両凸形状の正レンズL42と、両凹形状の負レンズL43と、両凸形状の正レンズL44とを有する。第5レンズ群G5は、マスク側から順に、両凸形状の正レンズL51と、凸面をマスク側に向けたメニスカス形状の3つの正レンズL52〜L54と、平行平板L55とを有する。ここで、正レンズL53のウェハ側のレンズ面ASP4は非球面形状に形成されている。
【0027】
以下の表1に、本実施形態にかかる投影光学系の諸元を示す。表1において、左端の列にはマスク3からの各レンズ面の番号を、第2列には各レンズ面の曲率半径を、第3列には各レンズ面から次のレンズ面までの面間隔を、第4列にはレンズ材料を、第5列には非球面の符号を、第6列には各レンズの符号を、第7列には各レンズ面の有効直径をそれぞれ示している。ここで、諸元値における曲率半径、面間隔、有効直径の単位の一例としてmmを用いることができる。また、非球面レンズ面についての第2列の曲率半径は頂点曲率半径を示す。
【0028】
なお、非球面は、光軸に垂直な方向の高さをyとし、非球面の頂点における接平面から高さyにおける非球面上の位置までの光軸に沿った距離(サグ量)をzとし、頂点曲率半径をrとし、円錐係数をκとし、n次の非球面係数をCnとしたとき、以下の式(a)で表される。
【0029】
【数1】
【0030】
本実施形態の投影光学系では、レンズ材質(硝材)として石英ガラス(合成石英)を用いている。基準波長248.4nmにおける石英ガラス(合成石英)の屈折率、波長1pm当たりの石英ガラスの屈折率の変化量(分散)、及び石英ガラスの比重は以下の通りである。
石英ガラスの屈折率:1.50839
石英ガラスの分散 :−5.6×10−7/+1pm
石英ガラスの比重 :2.2
なお、分散は波長+1pmあたりの屈折率の変化量を示しており、分散が−5.6×10−7/+1pmであるとは、波長が基準波長から+1pmだけ変化した場合に屈折率が5.6×10−7だけ減少することを意味している。
【0031】
以下の表1において、SiO2は石英ガラスを、NAはウェハ側の開口数を、φはウェハ上でのイメージサークルの半径を、βは投影光学系全体の投影倍率を、D0はマスクから最もマスク側の光学面(レンズ面、反射面)までの距離を、WDは最もウェハ側の光学面からウェハまでの距離(作動距離)をそれぞれ示している。また、ASP1〜ASP4は非球面を示し、ASは開口絞りを示している。
【0032】
【表1】
【0033】
図3は、本実施形態にかかる投影光学系の製造方法の基本工程を概略的に示すフローチャートである。図3を参照すると、本実施形態の製造方法は、複数のレンズ(一般には光学部材)を用いて投影光学系を組み立てる組立工程S1と、組立工程S1で組み立てられた投影光学系の収差を測定する収差測定工程S2と、収差測定工程S2で測定された投影光学系の残存収差を補正するためのレンズ調整工程S3と、レンズ調整工程S3を経た投影光学系の残存収差を補正するために所定の光学面を再加工(再研磨)する再加工工程S4とを含んでいる。
【0034】
図4は、本実施形態の製造方法における組立工程S1の内部工程を概略的に示すフローチャートである。本実施形態の製造方法における組立工程S1では、各レンズを形成すべきブロック硝材(ブランクス)を製造した後、製造されたブロック硝材の屈折率の絶対値および屈折率分布を、たとえば図5に示す干渉計装置を用いて計測する(S11)。図5では、オイル101が充填された試料ケース102の中の所定位置に被検物体であるブロック硝材103を設置する。そして、制御系104に制御された干渉計ユニット105からの射出光が、フィゾーステージ106a上に支持されたフィゾーフラット(フィゾー平面)106に入射する。
【0035】
ここで、フィゾーフラット106で反射された光は参照光となり、干渉計ユニット105へ戻る。一方、フィゾーフラット106を透過した光は測定光となり、試料ケース102内の被検物体103に入射する。被検物体103を透過した光は、反射平面107によって反射され、被検物体103およびフィゾーフラット106を介して干渉計ユニット105へ戻る。こうして、干渉計ユニット105へ戻った参照光と測定光との位相ずれに基づいて、光学材料としての各ブロック硝材103の屈折率分布による波面収差が計測される。なお、屈折率均質性の干渉計による計測に関する詳細については、たとえば特開平8−5505号公報などを参照することができる。
【0036】
次いで、屈折率分布が計測されたブロック硝材から必要に応じて研削されたブロック硝材を用いて、投影光学系を構成すべき各レンズを製造する。すなわち、周知の研磨工程にしたがって、設計値を目標として各レンズの表面を研磨加工する(S12)。研磨工程では、各レンズの面形状の誤差を干渉計で計測しながら研磨を繰り返し、各レンズの面形状を目標面形状に近づける。こうして、各レンズの面形状誤差が所定の範囲に入ると、各レンズの面形状の誤差を、たとえば図6に示すさらに精密な干渉計装置を用いて計測する(S13)。
【0037】
図6では、制御系111に制御された干渉計ユニット112からの射出光が、フィゾーステージ113a上に支持されたフィゾーレンズ113に入射する。ここで、フィゾーレンズ113の参照面(フィゾー面)で反射された光は参照光となり、干渉計ユニット112へ戻る。なお、図6では、フィゾーレンズ113を単レンズで示しているが、実際のフィゾーレンズは複数のレンズ(レンズ群)で構成されている。一方、フィゾーレンズ113を透過した光は測定光となり、被検レンズ114の被検光学面に入射する。
【0038】
被検レンズ114の被検光学面で反射された測定光は、フィゾーレンズ113を介して干渉計ユニット112へ戻る。こうして、干渉計ユニット112へ戻った参照光と測定光との位相ずれに基づいて、被検レンズ114の被検光学面の基準面に対する波面収差が、ひいては被検レンズ114の面形状の誤差が計測される。なお、レンズの面形状誤差の干渉計による計測に関する詳細については、たとえば特開平7−12535号、特開平7−113609号、特開平10−154657号公報などを参照することができる。
【0039】
次いで、面形状誤差が計測された各レンズに、たとえば蒸着法やスパッタリング法にしたがってコート(反射防止膜)を形成する。なお、従来技術では、前述したように、投影光学系を構成するすべてのレンズの光学面にコートを形成していた。これに対し、本実施形態では、光学調整としての再加工(再研磨) の対象となっているレンズ(以下、「再加工対象レンズ」という)を除く他のレンズの光学面にコートを形成する(S14)。
【0040】
最後に、コート形成工程S14を経た複数のレンズおよび再加工対象レンズを用いて投影光学系を組み立てる(S15)。具体的には、所定の組立装置を用い、設計にしたがって1つまたは複数のレンズを各分割鏡筒に組み込み、1つまたは複数のレンズをそれぞれ収納した複数の分割鏡筒を組み立てることにより投影光学系を得る。なお、各分割鏡筒へのレンズの組込みおよび複数の分割鏡筒の組立てに用いられる組立装置に関する詳細については、たとえば特開2002−258131号公報などを参照することができる。
【0041】
図7は、本実施形態の製造方法における収差測定工程S2およびレンズ調整工程S3の内部工程を概略的に示すフローチャートである。本実施形態の製造方法における収差測定工程S2では、実際に組み立てられた投影光学系の波面収差を測定する(S21)。具体的には、たとえば特開平10−38757号公報に開示されたフィゾー干渉計方式の波面収差測定機を用いて、KrFエキシマレーザー光源を使用する投影光学系の波面収差を測定することができる。
【0042】
図8は、KrFエキシマレーザー光源を使用する投影光学系の波面収差を計測するフィゾー干渉計方式の波面収差測定機の構成を概略的に示す図である。図8に示すように、露光光とほぼ同じ波長を有するレーザ光(たとえばArレーザ光の第2高調波)を、ハーフプリズム60およびフィゾーレンズ61のフィゾー面61aを介して、被検光学系としての投影光学系6に入射させる。このとき、フィゾー面61aで反射された光は、いわゆる参照光となり、フィゾーレンズ61およびハーフプリズム60を介して、CCDのような撮像素子62に達する。
【0043】
一方、フィゾー面61aを透過した光は、いわゆる測定光となり、投影光学系6を介して、反射球面63に入射する。反射球面63で反射された測定光は、投影光学系6、フィゾーレンズ61およびハーフプリズム60を介して、CCD62に達する。こうして、参照光と測定光との干渉に基づいて、投影光学系6に残存する波面収差が測定される。同様に、たとえば特開平10−38758号公報に開示されたフィゾー干渉計方式の波面収差測定機を用いて、超高圧水銀ランプ(たとえばi線)を使用する投影光学系の波面収差を測定することもできる。
【0044】
また、たとえば特開2000−97616号公報に開示された、いわゆるPDI(Phase Diffraction Interferometer:位相回折干渉計)方式の波面収差測定機を用いて、ArFエキシマレーザー光源を使用する投影光学系の波面収差を測定することもできる。図9は、ArFエキシマレーザー光源を使用する投影光学系の波面収差を計測するPDI方式の波面収差測定機の構成を概略的に示す図である。図9に示すように、光源1(図9では不図示)から射出されて照明光学系2を介した露光用照明光が、マスク設定位置に位置決めされた第1のピンホール71に入射する。
【0045】
第1のピンホール71を介して形成された球面波は、被検光学系としての投影光学系6を透過して、グレーティング(一次元回折格子)72に入射する。グレーティング72をそのまま透過した0次回折光は、マスク73に形成された第2のピンホール(不図示)に入射する。一方、グレーティング72で回折作用を受けて発生した1次回折光は、マスク73に形成された開口部(不図示)のほぼ中央に入射する。第2のピンホールを介した0次回折光および開口部を通過した1次回折光は、コリメータレンズ74を介して、CCDのような撮像素子75に達する。
【0046】
こうして、第2のピンホールを介して形成された球面波を参照波面とし、開口部を通過した1次回折光の波面を測定波面とし、参照波面と測定波面との干渉に基づいて投影光学系6に残存する波面収差が測定される。なお、収差測定工程S2では、必要に応じて、組み立てた投影光学系を介して所定のパターン(たとえば理想格子)の像をウェハに転写し、その転写結果から投影光学系のディストーション(歪曲収差)を求める。次いで、収差測定工程S21で測定した投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっているか否かを判定する(S22)。判定工程S22において投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっていると判定した場合(図7中YESの場合)、再加工工程S4へ移行する。
【0047】
一方、判定工程S22において投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっていないと判定した場合(図7中NOの場合)、本実施形態の製造方法におけるレンズ調整S3として、レンズを光軸に沿って移動させてレンズ間の間隔を変化させる間隔調整や、レンズを光軸に対して垂直にシフト(移動)させたりチルト(傾斜)させたりする偏芯調整や、レンズを光軸廻りに回転させる回転調整によるレンズ調整を行う(S31)。間隔調整や偏芯調整や回転調整が可能に構成された投影光学系の内部構成(分割鏡筒の構成を含む)に関する詳細については、たとえば特開2002−286989号公報などを参照することができる。
【0048】
こうして、間隔調整や偏芯調整や回転調整によりレンズ調整された投影光学系の波面収差を再び測定する(S21)。そして、収差測定工程S21で測定した投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっているか否かを再度判定する(S22)。判定工程S22において投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっていると判定した場合には、再加工工程S4へ移行する。しかしながら、判定工程S22において投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっていないと判定した場合には、判定工程S22においてYESの判定が得られるまで、レンズ調整工程S31および収差測定工程S21をさらに繰り返す。
【0049】
図10は、本実施形態の製造方法における再加工工程S4の内部工程を概略的に示すフローチャートである。本実施形態の製造方法における再加工工程S4では、レンズ調整工程S3を経た投影光学系に残存している波面収差を補正するのに適したレンズ、すなわち設計にしたがって予め再加工の対象となっている再加工対象レンズ(非球面加工対象レンズ)を分割鏡筒から取り出す(S41)。本実施形態では、再加工対象レンズの光学面に対して非球面加工を行っており、以下の説明では再加工として非球面加工を行った場合について説明するため、再加工対象レンズを非球面加工対象レンズと呼ぶ。なお、再加工としては非球面加工には限定されず、例えば再加工対象レンズの曲率を変更するような球面加工であっても良い。
【0050】
図11は、非球面形状に加工される光学面の位置と光学面の非球面化により効果的に補正される収差成分との関係を説明する図である。図11に示すように、マスク3上の物点Q1からの光束L1と物点Q2からの光束L2とが分離した位置を通過する光学部材e1の光学面を非球面化することにより、像面座標依存性の高い収差成分(ディストーション、非点隔差等)を効果的に補正することができる。
【0051】
また、物点Q1からの光束L1と物点Q2からの光束L2とがほぼ全面を通過する光学部材e5の光学面を非球面化することにより、瞳座標依存性の高い収差成分(例えば球面収差、偏心コマ収差等)を効果的に補正することができる。さらに、物点Q1からの光束L1と物点Q2からの光束L2との重なり程度が中間的となる光学部材(例えば光学部材e2等)の光学面を非球面化することにより、像面座標依存性と瞳座標依存性とが同等に近い収差成分(例えばコマ収差等)を効果的に補正することができる。
【0052】
一般に、レンズ調整工程3を経た投影光学系に残存する波面収差を良好に補正するには、少なくとも2つの非球面加工対象レンズの光学面を非球面形状に加工することが好ましい。この場合、様々な収差成分を効果的に補正することができるように、2つの非球面加工対象レンズは、マスク3上の所定の1点からの光束が第1の非球面加工対象レンズの光学面を通過するときの光束径と、上記所定の1点からの光束が前記第2の非球面加工対象レンズの光学面を通過するときの光束径とが実質的に異なるように選定されることが好ましい。
【0053】
また、非球面加工対象レンズを分割鏡筒内に単体で収納するように設計することにより、投影光学系の他の部分に悪影響を及ぼすことなく非球面加工対象レンズを取り出すことができる。あるいは、非球面加工対象レンズを含む複数のレンズが1つの分割鏡筒内に収納される場合には、非球面加工対象レンズが当該分割鏡筒内において最もマスク側に配置されるように設計することにより、投影光学系の他の部分に悪影響を及ぼすことなく非球面加工対象レンズを取り出すことができる。
【0054】
次いで、取り出した非球面加工対象レンズの光学面を所定の非球面形状に加工する(S42)。なお、加工工程S42に先立って、非球面加工対象レンズの光学面に形成すべき非球面形状は、上述の収差測定工程S21の最終測定結果に基づいて、たとえばツェルニケ多項式で表わされる非球面(典型的には光軸に関して回転非対称な非球面となるが、多項式の係数によっては回転対称な非球面となり得る)として算出される。以下、ツェルニケ多項式について基本的な事項を簡単に説明する。ツェルニケ多項式の表現では、座標系として極座標(ρ,θ)を用い、直交関数系としてツェルニケの円筒関数を用いる。すなわち、非球面形状W(ρ,θ)は、ツェルニケの円筒関数Zi(ρ,θ)を用いて、次の式(b)に示すように展開される。
【0055】
【数2】
【0056】
ここで、Ciは、ツェルニケ多項式の各項の係数である。以下、ツェルニケ多項式の各項の関数系Zi(ρ,θ)のうち、第1項〜第36項にかかる関数Z1〜Z36を、次の表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】
加工工程S42では、非球面加工前の光学面の面形状と非球面加工後の光学面の面形状との差(加工量)を指標として、非球面加工対象レンズの光学面を所望の非球面形状に加工する。したがって、設計において非球面加工対象レンズとして球面レンズを選択することにより、光学面が所望の非球面形状に加工されたことを確認し易くなり、ひいては非球面の加工精度を向上させることができる。なお、加工工程S42では、必ずしも非球面加工の対象となっているすべてのレンズに非球面加工を施すわけではなく、必要に応じて1つまたは複数の非球面加工対象レンズに非球面加工を施す。また、非球面加工対象レンズの一方の光学面に非球面加工を施すのが通常であるが、双方の光学面に非球面加工を施すこともできる。
【0059】
次いで、非球面加工対象レンズの光学面にコート(反射防止膜)を形成する(S43)。前述したように、本実施形態では、投影光学系の組立工程S1において、従来技術とは異なり、非球面加工対象レンズの光学面にはコートが形成されていない。すなわち、非球面加工対象レンズは、投影光学系の組立工程に際して光学面にコートが形成されていないノンコート光学部材を構成している。したがって、実際に非球面加工を施したか否かにかかわらず、加工工程S42の終了後に、すべての非球面加工対象レンズの光学面にコートを形成する必要がある。
【0060】
こうして、コートが形成された非球面加工対象レンズを元の位置に戻して、投影光学系を再度組み立てる(S44)。そして、再度組み立てられた投影光学系の波面収差を測定する(S45)。また、必要に応じて、所定パターン像のウェハへの転写結果から投影光学系のディストーションを求める。そして、収差測定工程S45で測定した投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっているか否かを判定する(S46)。ここで、判定工程S46における許容範囲Bは、投影光学系の波面収差に関する最終的な目標値としての許容範囲である。これに対して、上述の判定工程S22における許容範囲Aは、再加工(非球面加工)工程S4へ移行するのに設定した中間的な許容範囲である。
【0061】
判定工程S46において投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっていると判定した場合(図10中YESの場合)、本実施形態にしたがう投影光学系の製造が終了する。一方、判定工程S46において投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっていないと判定した場合(図10中NOの場合)、間隔調整や偏芯調整によるレンズ調整を行う(S47)。ここで、レンズ調整工程S47は、上述のレンズ調整工程S31と異なり、レンズの回転調整を含まない。これは、上述したように、加工工程S42において光学面が光軸に関して回転非対称な非球面形状に加工されるのが典型的であるからである。
【0062】
本実施形態の製造方法における再加工(非球面加工)工程S4では、レンズ調整工程S47を経て間隔調整や偏芯調整により光学調整された投影光学系の波面収差を再び測定する(S45)。そして、収差測定工程S45で測定した投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっているか否かを再度判定する(S46)。判定工程S46において投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっていると判定した場合には、本実施形態にしたがう投影光学系の製造が終了する。
【0063】
しかしながら、判定工程S46において投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっていないと判定した場合には、判定工程S46においてYESの判定が得られるまで、レンズ調整工程S47および収差測定工程S45をさらに繰り返す。こうして、本実施形態では、マスク3のパターン像をウェハ(感光性基板)7上に形成するための投影光学系6を上述の製造方法を用いて製造し、製造された投影光学系6を所定の位置に組み込むことにより露光装置が得られる。
【0064】
以上のように、本実施形態にかかる投影光学系の製造方法では、組立工程に際してすべてのレンズの光学面にコート(反射防止膜・増反射膜)を形成する従来技術とは異なり、組立工程に際して再加工対象レンズの少なくとも1つの光学面にはコートを形成することなく、再加工対象レンズを除く他のレンズの光学面だけにコートを形成し、再加工(非球面加工)工程の後に再加工対象レンズの光学面にコートを形成する。このように、従来技術では、再加工対象レンズを含むすべてのレンズの光学面にコートが形成されているので、再加工(非球面加工)工程に先立って再加工(非球面加工)すべきレンズの光学面から研磨によりコートを剥離する必要がある。言い換えると、従来技術では、再加工(非球面加工)対象レンズの再加工(非球面加工)を行う場合には、この再加工(非球面加工)対象レンズに対して2回以上コートを形成する必要がある。
【0065】
また、従来技術では、コートを剥離するための研磨により光学面の面形状が変化するので、再加工(非球面加工)工程において指標とすべき再加工前の光学面の面形状として、コートを剥離した後のコート無し光学面の面形状を用いることができず、コートを剥離する前のコート付き光学面の面形状を用いざるを得ない。これに対し、本実施形態では再加工(非球面加工)すべきレンズの光学面から研磨によりコートを剥離する必要がないので、再加工(非球面加工)工程において指標とすべき再加工(非球面加工)前の光学面の面形状として、コート形成前のコート無し光学面の面形状を用いることができる。
【0066】
こうして、本実施形態では、再加工(非球面加工)対象レンズの光学面を所要の(非球面)形状に加工する前に研磨により光学面からコートを剥離する必要がないので、コート剥離工程の省略により投影光学系を効率的に且つ迅速に形成することができる。また、本実施形態では、光学面を所要の(非球面)形状に加工する再加工(非球面加工)工程において指標とすべき再加工(非球面加工)前の光学面の面形状として、コート形成前のコート無し光学面の面形状を用いることができるので、コート形成に起因する非球面誤差の発生を回避し、投影光学系の残存収差を良好に抑えて優れた光学性能を実現することができる。なお、コート形成に起因する非球面誤差とは、たとえばコートの成膜ムラ(厚さ分布)や、コートのプロセスの際に発生する熱によるレンズの膨張・収縮に起因する応力変化などにより、レンズ面形状とコート表面形状との差が生じ、この差により、再加工(非球面加工)時の指標自体に誤差が生じることにより発生するものが考えられる。
【0067】
なお、本実施形態では、組立工程に際して非球面加工対象レンズの光学面にコートを形成しないので、投影光学系の波面収差の測定に際して、非球面加工対象レンズの光学面において反射による光量損失が発生し易く、ひいては従来技術よりも光量不足になり易い。しかしながら、実際には、非球面加工対象レンズの光学面にコートを形成しないことによる光量低下に関しては、たとえば波面収差測定機の光源出力を増大させることや、検出器の蓄積時間を増やすことなどにより、投影光学系の波面収差の測定に対して実質的な悪影響を及ぼさないことが確認されている。
【0068】
ところで、本実施形態の投影光学系6では、非球面加工対象レンズとして、たとえばレンズL12,レンズL25,レンズL26,レンズL43およびレンズL55を選択することができる。非球面加工対象レンズを選択する手順の一例は、以下の通りである。まず、投影光学系6の各レンズ面の収差感度(各レンズ面形状を微小変化させたときの収差係数の変化)を求める。この収差係数として、たとえば3次収差係数、5次収差係数、3次偏心収差係数、5次偏心収差係数や、各レンズ面形状をツェルニケ多項式でフィッティング(近似)して得られるツェルニケ多項式の各項の係数などを用いることができる。
【0069】
次に、着目する収差に関する各レンズ面の収差感度を計算する。ここで、着目する収差として、3次収差、3次偏心収差、5次収差、5次偏心収差や、波面収差をツェルニケ展開したものが挙げられる。こうして、収差感度の独立性の高いレンズ面を有するレンズを非球面加工対象レンズとして選択する。
【0070】
上述の実施形態の露光装置では、照明装置によってレチクル(マスク)を照明し(照明工程)、投影光学系を用いてマスクに形成された転写用のパターンを感光性基板に露光する(露光工程)ことにより、マイクロデバイス(半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)を製造することができる。以下、本実施形態の露光装置を用いて感光性基板としてのウェハ等に所定の回路パターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例につき図12のフローチャートを参照して説明する。
【0071】
先ず、図12のステップ301において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップ302において、そのlロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップ303において、本実施形態の露光装置を用いて、マスク上のパターンの像がその投影光学系を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。その後、ステップ304において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップ305において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。
【0072】
その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。なお、ステップ301〜ステップ305では、ウェハ上に金属を蒸着し、その金属膜上にレジストを塗布、そして露光、現像、エッチングの各工程を行っているが、これらの工程に先立って、ウェハ上にシリコンの酸化膜を形成後、そのシリコンの酸化膜上にレジストを塗布、そして露光、現像、エッチング等の各工程を行っても良いことはいうまでもない。
【0073】
また、本実施形態の露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。以下、図13のフローチャートを参照して、このときの手法の一例につき説明する。図13において、パターン形成工程401では、本実施形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルター形成工程402へ移行する。
【0074】
次に、カラーフィルター形成工程402では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルターの組を複数水平走査線方向に配列されたりしたカラーフィルターを形成する。そして、カラーフィルター形成工程402の後に、セル組み立て工程403が実行される。セル組み立て工程403では、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板、およびカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルター等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。セル組み立て工程403では、例えば、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルターとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。
【0075】
その後、モジュール組み立て工程404にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
【0076】
なお、上述の実施形態では、KrFエキシマ レーザー光源またはArFエキシマ レーザー光源を用いる露光装置に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、所定の波長光(たとえばF2レーザの157nm、水銀ランプのg線(435nm)やi線(365nm))を供給する他の適当な光源を用いる露光装置に本発明を適用することもできる。また、上述の実施形態では、露光装置に搭載される投影光学系の製造方法に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、他の一般的な光学系の製造方法に本発明を適用することもできる。また、上述の実施形態では、ノンコート光学部材としての再加工(非球面加工)対象レンズのすべての光学面をコート無しとしたが、ノンコート光学部材としての再加工(非球面加工)対象レンズの再加工面だけをコート無しとしても良い。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による投影光学系の製造方法では、再加工(非球面加工)の対象となっている光学部材の光学面に対して複数回のコートを行う必要がないので、投影光学系を効率的に且つ迅速に製造することができる。また、光学面を所要の(非球面)形状に加工する再加工(非球面加工)工程において指標とすべき再加工(非球面加工)前の光学面の面形状として、コート形成前のコート無し光学面の面形状を用いることができるので、コート形成に起因する非球面誤差の発生を回避し、投影光学系の残存収差を良好に抑えて優れた光学性能を実現することができる。
【0078】
したがって、残存収差が良好に抑えられて優れた光学性能を有する投影光学系を用いる露光装置および露光方法では、高解像で良好な露光を行うことができ、ひいては高解像で良好な露光条件のもとで良好なマイクロデバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる製造方法で製造された投影光学系を備えた露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】本実施形態における投影光学系の構成を概略的に示す図である。
【図3】本実施形態にかかる投影光学系の製造方法の基本工程を概略的に示すフローチャートである。
【図4】本実施形態の製造方法における組立工程S1の内部工程を概略的に示すフローチャートである。
【図5】各レンズを形成すべきブロック硝材の屈折率の絶対値および屈折率分布を測定する干渉計装置の構成を概略的に示す図である。
【図6】各レンズの面形状誤差を測定する干渉計装置の構成を概略的に示す図である。
【図7】本実施形態の製造方法における収差測定工程S2およびレンズ調整工程S3の内部工程を概略的に示すフローチャートである。
【図8】KrFエキシマレーザー光源を使用する投影光学系の波面収差を計測するフィゾー干渉計方式の波面収差測定機の構成を概略的に示す図である。
【図9】ArFエキシマレーザー光源を使用する投影光学系の波面収差を計測するPDI方式の波面収差測定機の構成を概略的に示す図である。
【図10】本実施形態の製造方法における非球面加工工程S4の内部工程を概略的に示すフローチャートである。
【図11】非球面形状に加工される光学面の位置と光学面の非球面化により効果的に補正される収差成分との関係を説明する図である。
【図12】マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法のフローチャートである。
【図13】マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得る際の手法のフローチャートである。
【符号の説明】
1 光源
2 照明光学系
3 マスク(レチクル)
5 マスクステージ
6 投影光学系
7 ウェハ(感光性基板)
9 ウェハステージ
【発明の属する技術分野】
本発明は、投影光学系の製造方法、投影光学系、露光装置の製造方法、露光装置、露光方法、および光学系の製造方法に関する。本発明は、特に半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等のマイクロデバイスをリソグラフィー工程で製造するための露光装置に用いられる投影光学系の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
LSIの製造において、回路パターンを形成するリソグラフィー工程では紫外線を光源とする半導体露光装置が用いられている。この種の半導体露光装置にはマスク上のパターンをウェハ上のレジストに転写する投影光学系が組み込まれ、投影光学系には収差を極限まで低減することが求められている。LSIの集積度は3年で2倍の速度で増大しているが、露光装置(ひいては投影光学系)やレジストの解像力の向上により、LSIの高集積化の要請に合ったスピードで加工の微細化を実現している。
【0003】
ところが、近年、露光装置やレジストの解像性能の向上速度がLSIの微細化の速度よりも低いため、解像力の余裕がなくなりつつある。その結果、解像性能の限界に近い条件で、LSIのパターン形成がなされるようになっている。例えば、k1ファクターと呼ばれるパラメータは10年前には約0.8であったが、現在では約0.6であり、今後は約0.4を前提とした開発が進んでいる。このような状況においては、投影光学系の収差により回路パターンの線幅や形状がばらつき易い。したがって、回路の特性のばらつきを良好に抑え、ひいてはLSIの品質を良好に保つには、投影光学系の収差を一定範囲に抑えることが必須となっている。
【0004】
一般に、露光装置に搭載される投影光学系は20枚以上のレンズ(レンズ要素)から構成され、投影光学系の収差は光学設計の段階では所定の値以下に抑えられている。しかしながら、実際に作られる個々のレンズは、製造誤差により設計値からずれた特性を有する。例えば、個々のレンズを形成する光学材料(レンズ材料)として屈折率が均一な合成石英を入手しようとしても、実際に入手可能な光学材料には屈折率の均一性について限界があり、光学材料の屈折率ムラ(屈折率分布)が最終的に投影光学系の収差を劣化させる要因の1つとなる。
【0005】
また、レンズ表面の研磨工程では干渉計で面形状を随時計測しながら研磨を繰り返すが、投影光学系の工業生産を経済的に行うには、その収差にある程度影響を与えるような加工誤差を残さざるを得ない。すなわち、レンズの面形状の誤差も、投影光学系における収差発生の要因の1つとなる。また、多数のレンズを用いて投影光学系を組み立てる際にも組立誤差が発生し、この組立誤差も投影光学系における収差発生の要因の1つとなる。
【0006】
さらに、多数のレンズを用いて組み立てられた投影光学系の収差を小さく抑えるように光学調整する調整工程では、レンズを光軸に沿って移動させてレンズ間の間隔を変化させる間隔調整や、レンズを光軸に対して垂直にシフト(移動)させたりチルト(傾斜)させたりする偏芯調整により、投影光学系を最小の収差状態にする。また、投影光学系の収差をさらに低減するために、レンズを光軸廻りに回転させる回転調整によりレンズの回転非対称な誤差の影響を低減することも合わせて行われる。しかしながら、間隔調整や偏芯調整や回転調整においても、その設定(レンズの移動量、シフト量、チルト量、回転角度など)に誤差が残り、この設定誤差も投影光学系における収差発生の要因の1つとなる。
【0007】
そこで、本出願人は、投影光学系の残存収差を極限まで抑えるための光学調整として、残存収差を補正するのに必要な非球面形状を所定のレンズ面に付与する非球面化手法を提案している(たとえば特開2002−258131号公報を参照)。この非球面化手法では、所定のレンズ面を回転非対称な非球面形状に加工することにより、投影光学系の残存収差を極限まで抑えて光学性能を飛躍的に向上させることができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−258131号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した非球面化手法では、組み立てられ且つレンズ調整(間隔調整や偏芯調整や回転調整)された投影光学系の残存収差を計測し、予め非球面化の対象となっているレンズを投影光学系から取り出し、この非球面化対象レンズの光学面を所要の非球面形状に加工し、非球面形状に加工したレンズを投影光学系へ再度組み込む。なお、投影光学系を組み立てる組立工程に先立って、すべてのレンズの光学面に反射防止膜のようなコートを形成するのが通常である。
【0010】
したがって、従来の非球面化手法では、非球面化対象レンズの光学面を所要の非球面形状に加工する前に、たとえば研磨により光学面からコートを剥離する必要がある。この場合、光学面からコートを剥離するコート剥離工程に時間がかかり、投影光学系を効率的に且つ迅速に製造することができないという不都合があった。また、後述するように、光学面を所要の非球面形状に加工する非球面加工工程においてコート形成に起因する非球面加工誤差が発生し易く、投影光学系の残存収差を良好に抑えて優れた光学性能を実現することが困難であるという不都合があった。
【0011】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、残存収差が良好に抑えられて優れた光学性能を有する投影光学系を効率的に且つ迅速に製造することのできる製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、残存収差が良好に抑えられて優れた光学性能を有する投影光学系を備えた露光装置を効率的に且つ迅速に製造することのできる製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、残存収差が良好に抑えられて優れた光学性能を有する投影光学系を用いて、高解像で良好な露光を行うことのできる露光装置および露光方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の第1形態では、第1面の像を第2面上に投影する投影光学系の製造方法において、
少なくとも1つの光学面にコートが形成されていない少なくとも1つのノンコート光学部材を含む複数の光学部材を用いて前記投影光学系を組み立てる組立工程と、
組み立てられた前記投影光学系の収差を測定する収差測定工程と、
測定された前記投影光学系の収差を補正するために前記少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面を再加工する再加工工程と、
再加工された前記少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面にコートを形成するコート形成工程とを含むことを特徴とする投影光学系の製造方法を提供する。なお、ノンコート光学部材とは、光学部材の光学面のうちの少なくとも1つの光学面にコート(典型的には反射防止膜や増反射膜)が施されていない光学部材のことを示す。
【0013】
第1形態の好ましい態様によれば、前記少なくとも1つのノンコート光学部材は、球面状の光学面を有する球面レンズとして設計されている。また、前記再加工工程は、前記少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面の曲率半径を変更するように再加工する工程を含むことが好ましい。あるいは、前記再加工工程は、前記少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面を非球面形状に加工する非球面加工工程を含むことが好ましい。この場合、前記非球面加工工程は、前記少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面を光軸に関して回転非対称な非球面形状に加工する工程を含むことが好ましい。さらに、前記非球面加工工程は、第1のノンコート光学部材の光学面を非球面形状に加工する工程と、第2のノンコート光学部材の光学面を非球面形状に加工する工程とを含み、前記第1のノンコート光学部材および前記第2のノンコート光学部材は、前記第1面上の所定の1点からの光束が前記第1のノンコート光学部材の光学面を通過するときの光束径と、前記所定の1点からの光束が前記第2のノンコート光学部材の光学面を通過するときの光束径とが実質的に異なるように選定されることが好ましい。なお、少なくとも1つのノンコート光学部材の全ての光学面にコートが形成されていないことが好ましい。また、ノンコート光学部材が屈折部材であるときにはコートは反射防止膜を含むことが好ましく、ノンコート光学部材が反射部材であるときにはコートは増反射膜を含むことが好ましい。
【0014】
また、第1形態の好ましい態様によれば、前記組立工程は、1つまたは複数の光学部材をそれぞれ収納する複数の分割鏡筒を組み立てる工程を含み、前記少なくとも1つのノンコート光学部材は、所定の分割鏡筒内に単体で収納されているノンコート光学部材を含む。あるいは、前記組立工程は、1つまたは複数の光学部材をそれぞれ収納する複数の分割鏡筒を組み立てる工程を含み、前記少なくとも1つのノンコート光学部材は、所定の分割鏡筒内において最も第1面側に配置されているノンコート光学部材を含むことが好ましい。また、第1形態では、前記再加工工程に先立って、測定された前記投影光学系の収差を補正するために少なくとも1つの光学部材の位置または姿勢を調整する調整工程をさらに含むことが好ましい。
【0015】
本発明の第2形態では、第1形態の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする投影光学系を提供する。
【0016】
本発明の第3形態では、マスクのパターンを感光性基板上に露光する露光装置の製造方法において、
前記第1面に設定された前記マスクのパターン像を前記第2面に設定された前記感光性基板上に形成するための前記投影光学系を第1形態の製造方法を用いて製造する製造工程と、
製造された前記投影光学系を前記露光装置に組み込む組込工程とを含むことを特徴とする露光装置の製造方法を提供する。
【0017】
本発明の第4形態では、マスクのパターンを感光性基板上に露光する露光装置において、
前記第1面に設定された前記マスクのパターン像を前記第2面に設定された前記感光性基板上に形成するための第1形態の製造方法を用いて製造された前記投影光学系を備えていることを特徴とする露光装置を提供する。
【0018】
本発明の第5形態では、マスクのパターンを感光性基板上に露光する露光方法において、
第1形態の製造方法を用いて製造された前記投影光学系を介して、前記第1面に設定された前記マスクのパターンを前記第2面に設定された前記感光性基板上に露光することを特徴とする露光方法を提供する。
【0019】
本発明の第6形態では、光学系の製造方法において、
少なくとも1つの光学面にコートが形成されていない少なくとも1つのノンコート光学部材を含む複数の光学部材を用いて前記光学系を組み立てる組立工程と、
組み立てられた前記光学系の収差を測定する収差測定工程と、
測定された前記光学系の収差を補正するために前記少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面を再加工する再加工工程と、
再加工された前記少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面にコートを形成するコート形成工程とを含むことを特徴とする光学系の製造方法を提供する。
【0020】
また、本発明の第7形態にかかる光学系の製造方法は、光学系の光学面の収差係数を求める工程と、前記光学面について所要の収差に対する収差感度を算出する工程と、前記算出された前記光学面の収差感度に基づいて、追加工を実施する光学面を決定する工程と、前記決定された光学面に対して前記追加工を実施する工程とを含むことを特徴とする。ここで、前記光学系の収差を計測する工程と、収差計測結果に基づいて前記光学面の形状を算出する工程とを含み、算出された光学面の形状となるように前記追加工を実施することが好ましい。また、前記光学系は、第1面の像を第2面上に形成する投影光学系であることが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる製造方法で製造された投影光学系を備えた露光装置の構成を概略的に示す図である。なお、図1において、投影光学系の光軸AXに平行にZ軸を、光軸AXに垂直な面内において図1の紙面に平行にY軸を、光軸AXに垂直な面内において図1の紙面に垂直にX軸をそれぞれ設定している。
【0022】
図1に示す露光装置は、照明光(露光光)を供給するための光源1として、たとえばKrFエキシマレーザー光源(波長248nm)(またはArFエキシマレーザー光源(波長193nm))を備えている。光源1から射出された光は、照明光学系2を介して、所定のパターンが形成されたマスク(レチクル)3を照明する。マスク3は、マスクホルダ4を介して、マスクステージ5上においてXY平面に平行に保持されている。また、マスクステージ5は、図示を省略した駆動系の作用により、マスク面(すなわちXY平面)に沿って移動可能であり、その位置座標はマスク干渉計(不図示)によって計測され且つ位置制御されるように構成されている。
【0023】
マスク3に形成されたパターンからの光は、投影光学系6を介して、感光性基板であるウェハ7上にマスクパターン像を形成する。ウェハ7は、ウェハテーブル(ウェハホルダ)8を介して、ウェハステージ9上においてXY平面に平行に保持されている。また、ウェハステージ9は、図示を省略した駆動系の作用によりウェハ面(すなわちXY平面)に沿って移動可能であり、その位置座標はウェハ干渉計(不図示)によって計測され且つ位置制御されるように構成されている。こうして、投影光学系6の光軸AXと直交する平面(XY平面)内においてウェハ7を二次元的に駆動制御しながら一括露光またはスキャン露光を行うことにより、ウェハ7の各露光領域にはマスク3のパターンが逐次露光される。
【0024】
図2は、本実施形態における投影光学系の構成を概略的に示す図である。本実施形態の投影光学系6は、248.4nmを基準波長としたものであり、全ての光透過性屈折部材(レンズL11〜L55)が石英ガラス(合成石英)により形成されている。図2に示すように、本実施形態の投影光学系6は、マスク3側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、負の屈折力を有する第3レンズ群G3と、光路中に開口絞りASを有する第4レンズ群G4と、正の屈折力を有する第5レンズ群G5とを備えている。
【0025】
第1レンズ群G1は、マスク側から順に、凹面をウェハ側に向けた平凹形状の負レンズL11と、曲率の小さい凹面をマスク側に向けた両凹形状の負レンズL12とを有し、これらの負レンズL11、L12によって、両凸形状の気体レンズを形成している。ここで、負レンズL11のウェハ側のレンズ面ASP1は非球面形状に形成されている。第2レンズ群G2は、マスク側から順に、凹面をマスク側に向けたメニスカス形状の2つの正レンズL21、L22と、両凸形状の2つの正レンズL23、L24と、凸面をマスク側に向けたメニスカス形状の正レンズL25と、凸面をマスク側に向けたメニスカス形状の負レンズL26とを有する。ここで、正レンズL25のウェハ側のレンズ面ASP2は非球面形状に形成されている。
【0026】
第3レンズ群G3は、マスク側から順に、平凹形状の負レンズL31と、両凹形状の3つの負レンズL32〜L34と、凹面をマスク側に向けたメニスカス形状の負レンズL35とを有する。ここで、負レンズL34のウェハ側のレンズ面ASP3は非球面形状に形成されている。第4レンズ群G4は、マスク側から順に、凸面をウェハ側に向けた平凸形状の正レンズL41と、両凸形状の正レンズL42と、両凹形状の負レンズL43と、両凸形状の正レンズL44とを有する。第5レンズ群G5は、マスク側から順に、両凸形状の正レンズL51と、凸面をマスク側に向けたメニスカス形状の3つの正レンズL52〜L54と、平行平板L55とを有する。ここで、正レンズL53のウェハ側のレンズ面ASP4は非球面形状に形成されている。
【0027】
以下の表1に、本実施形態にかかる投影光学系の諸元を示す。表1において、左端の列にはマスク3からの各レンズ面の番号を、第2列には各レンズ面の曲率半径を、第3列には各レンズ面から次のレンズ面までの面間隔を、第4列にはレンズ材料を、第5列には非球面の符号を、第6列には各レンズの符号を、第7列には各レンズ面の有効直径をそれぞれ示している。ここで、諸元値における曲率半径、面間隔、有効直径の単位の一例としてmmを用いることができる。また、非球面レンズ面についての第2列の曲率半径は頂点曲率半径を示す。
【0028】
なお、非球面は、光軸に垂直な方向の高さをyとし、非球面の頂点における接平面から高さyにおける非球面上の位置までの光軸に沿った距離(サグ量)をzとし、頂点曲率半径をrとし、円錐係数をκとし、n次の非球面係数をCnとしたとき、以下の式(a)で表される。
【0029】
【数1】
【0030】
本実施形態の投影光学系では、レンズ材質(硝材)として石英ガラス(合成石英)を用いている。基準波長248.4nmにおける石英ガラス(合成石英)の屈折率、波長1pm当たりの石英ガラスの屈折率の変化量(分散)、及び石英ガラスの比重は以下の通りである。
石英ガラスの屈折率:1.50839
石英ガラスの分散 :−5.6×10−7/+1pm
石英ガラスの比重 :2.2
なお、分散は波長+1pmあたりの屈折率の変化量を示しており、分散が−5.6×10−7/+1pmであるとは、波長が基準波長から+1pmだけ変化した場合に屈折率が5.6×10−7だけ減少することを意味している。
【0031】
以下の表1において、SiO2は石英ガラスを、NAはウェハ側の開口数を、φはウェハ上でのイメージサークルの半径を、βは投影光学系全体の投影倍率を、D0はマスクから最もマスク側の光学面(レンズ面、反射面)までの距離を、WDは最もウェハ側の光学面からウェハまでの距離(作動距離)をそれぞれ示している。また、ASP1〜ASP4は非球面を示し、ASは開口絞りを示している。
【0032】
【表1】
【0033】
図3は、本実施形態にかかる投影光学系の製造方法の基本工程を概略的に示すフローチャートである。図3を参照すると、本実施形態の製造方法は、複数のレンズ(一般には光学部材)を用いて投影光学系を組み立てる組立工程S1と、組立工程S1で組み立てられた投影光学系の収差を測定する収差測定工程S2と、収差測定工程S2で測定された投影光学系の残存収差を補正するためのレンズ調整工程S3と、レンズ調整工程S3を経た投影光学系の残存収差を補正するために所定の光学面を再加工(再研磨)する再加工工程S4とを含んでいる。
【0034】
図4は、本実施形態の製造方法における組立工程S1の内部工程を概略的に示すフローチャートである。本実施形態の製造方法における組立工程S1では、各レンズを形成すべきブロック硝材(ブランクス)を製造した後、製造されたブロック硝材の屈折率の絶対値および屈折率分布を、たとえば図5に示す干渉計装置を用いて計測する(S11)。図5では、オイル101が充填された試料ケース102の中の所定位置に被検物体であるブロック硝材103を設置する。そして、制御系104に制御された干渉計ユニット105からの射出光が、フィゾーステージ106a上に支持されたフィゾーフラット(フィゾー平面)106に入射する。
【0035】
ここで、フィゾーフラット106で反射された光は参照光となり、干渉計ユニット105へ戻る。一方、フィゾーフラット106を透過した光は測定光となり、試料ケース102内の被検物体103に入射する。被検物体103を透過した光は、反射平面107によって反射され、被検物体103およびフィゾーフラット106を介して干渉計ユニット105へ戻る。こうして、干渉計ユニット105へ戻った参照光と測定光との位相ずれに基づいて、光学材料としての各ブロック硝材103の屈折率分布による波面収差が計測される。なお、屈折率均質性の干渉計による計測に関する詳細については、たとえば特開平8−5505号公報などを参照することができる。
【0036】
次いで、屈折率分布が計測されたブロック硝材から必要に応じて研削されたブロック硝材を用いて、投影光学系を構成すべき各レンズを製造する。すなわち、周知の研磨工程にしたがって、設計値を目標として各レンズの表面を研磨加工する(S12)。研磨工程では、各レンズの面形状の誤差を干渉計で計測しながら研磨を繰り返し、各レンズの面形状を目標面形状に近づける。こうして、各レンズの面形状誤差が所定の範囲に入ると、各レンズの面形状の誤差を、たとえば図6に示すさらに精密な干渉計装置を用いて計測する(S13)。
【0037】
図6では、制御系111に制御された干渉計ユニット112からの射出光が、フィゾーステージ113a上に支持されたフィゾーレンズ113に入射する。ここで、フィゾーレンズ113の参照面(フィゾー面)で反射された光は参照光となり、干渉計ユニット112へ戻る。なお、図6では、フィゾーレンズ113を単レンズで示しているが、実際のフィゾーレンズは複数のレンズ(レンズ群)で構成されている。一方、フィゾーレンズ113を透過した光は測定光となり、被検レンズ114の被検光学面に入射する。
【0038】
被検レンズ114の被検光学面で反射された測定光は、フィゾーレンズ113を介して干渉計ユニット112へ戻る。こうして、干渉計ユニット112へ戻った参照光と測定光との位相ずれに基づいて、被検レンズ114の被検光学面の基準面に対する波面収差が、ひいては被検レンズ114の面形状の誤差が計測される。なお、レンズの面形状誤差の干渉計による計測に関する詳細については、たとえば特開平7−12535号、特開平7−113609号、特開平10−154657号公報などを参照することができる。
【0039】
次いで、面形状誤差が計測された各レンズに、たとえば蒸着法やスパッタリング法にしたがってコート(反射防止膜)を形成する。なお、従来技術では、前述したように、投影光学系を構成するすべてのレンズの光学面にコートを形成していた。これに対し、本実施形態では、光学調整としての再加工(再研磨) の対象となっているレンズ(以下、「再加工対象レンズ」という)を除く他のレンズの光学面にコートを形成する(S14)。
【0040】
最後に、コート形成工程S14を経た複数のレンズおよび再加工対象レンズを用いて投影光学系を組み立てる(S15)。具体的には、所定の組立装置を用い、設計にしたがって1つまたは複数のレンズを各分割鏡筒に組み込み、1つまたは複数のレンズをそれぞれ収納した複数の分割鏡筒を組み立てることにより投影光学系を得る。なお、各分割鏡筒へのレンズの組込みおよび複数の分割鏡筒の組立てに用いられる組立装置に関する詳細については、たとえば特開2002−258131号公報などを参照することができる。
【0041】
図7は、本実施形態の製造方法における収差測定工程S2およびレンズ調整工程S3の内部工程を概略的に示すフローチャートである。本実施形態の製造方法における収差測定工程S2では、実際に組み立てられた投影光学系の波面収差を測定する(S21)。具体的には、たとえば特開平10−38757号公報に開示されたフィゾー干渉計方式の波面収差測定機を用いて、KrFエキシマレーザー光源を使用する投影光学系の波面収差を測定することができる。
【0042】
図8は、KrFエキシマレーザー光源を使用する投影光学系の波面収差を計測するフィゾー干渉計方式の波面収差測定機の構成を概略的に示す図である。図8に示すように、露光光とほぼ同じ波長を有するレーザ光(たとえばArレーザ光の第2高調波)を、ハーフプリズム60およびフィゾーレンズ61のフィゾー面61aを介して、被検光学系としての投影光学系6に入射させる。このとき、フィゾー面61aで反射された光は、いわゆる参照光となり、フィゾーレンズ61およびハーフプリズム60を介して、CCDのような撮像素子62に達する。
【0043】
一方、フィゾー面61aを透過した光は、いわゆる測定光となり、投影光学系6を介して、反射球面63に入射する。反射球面63で反射された測定光は、投影光学系6、フィゾーレンズ61およびハーフプリズム60を介して、CCD62に達する。こうして、参照光と測定光との干渉に基づいて、投影光学系6に残存する波面収差が測定される。同様に、たとえば特開平10−38758号公報に開示されたフィゾー干渉計方式の波面収差測定機を用いて、超高圧水銀ランプ(たとえばi線)を使用する投影光学系の波面収差を測定することもできる。
【0044】
また、たとえば特開2000−97616号公報に開示された、いわゆるPDI(Phase Diffraction Interferometer:位相回折干渉計)方式の波面収差測定機を用いて、ArFエキシマレーザー光源を使用する投影光学系の波面収差を測定することもできる。図9は、ArFエキシマレーザー光源を使用する投影光学系の波面収差を計測するPDI方式の波面収差測定機の構成を概略的に示す図である。図9に示すように、光源1(図9では不図示)から射出されて照明光学系2を介した露光用照明光が、マスク設定位置に位置決めされた第1のピンホール71に入射する。
【0045】
第1のピンホール71を介して形成された球面波は、被検光学系としての投影光学系6を透過して、グレーティング(一次元回折格子)72に入射する。グレーティング72をそのまま透過した0次回折光は、マスク73に形成された第2のピンホール(不図示)に入射する。一方、グレーティング72で回折作用を受けて発生した1次回折光は、マスク73に形成された開口部(不図示)のほぼ中央に入射する。第2のピンホールを介した0次回折光および開口部を通過した1次回折光は、コリメータレンズ74を介して、CCDのような撮像素子75に達する。
【0046】
こうして、第2のピンホールを介して形成された球面波を参照波面とし、開口部を通過した1次回折光の波面を測定波面とし、参照波面と測定波面との干渉に基づいて投影光学系6に残存する波面収差が測定される。なお、収差測定工程S2では、必要に応じて、組み立てた投影光学系を介して所定のパターン(たとえば理想格子)の像をウェハに転写し、その転写結果から投影光学系のディストーション(歪曲収差)を求める。次いで、収差測定工程S21で測定した投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっているか否かを判定する(S22)。判定工程S22において投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっていると判定した場合(図7中YESの場合)、再加工工程S4へ移行する。
【0047】
一方、判定工程S22において投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっていないと判定した場合(図7中NOの場合)、本実施形態の製造方法におけるレンズ調整S3として、レンズを光軸に沿って移動させてレンズ間の間隔を変化させる間隔調整や、レンズを光軸に対して垂直にシフト(移動)させたりチルト(傾斜)させたりする偏芯調整や、レンズを光軸廻りに回転させる回転調整によるレンズ調整を行う(S31)。間隔調整や偏芯調整や回転調整が可能に構成された投影光学系の内部構成(分割鏡筒の構成を含む)に関する詳細については、たとえば特開2002−286989号公報などを参照することができる。
【0048】
こうして、間隔調整や偏芯調整や回転調整によりレンズ調整された投影光学系の波面収差を再び測定する(S21)。そして、収差測定工程S21で測定した投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっているか否かを再度判定する(S22)。判定工程S22において投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっていると判定した場合には、再加工工程S4へ移行する。しかしながら、判定工程S22において投影光学系の波面収差が許容範囲A内に収まっていないと判定した場合には、判定工程S22においてYESの判定が得られるまで、レンズ調整工程S31および収差測定工程S21をさらに繰り返す。
【0049】
図10は、本実施形態の製造方法における再加工工程S4の内部工程を概略的に示すフローチャートである。本実施形態の製造方法における再加工工程S4では、レンズ調整工程S3を経た投影光学系に残存している波面収差を補正するのに適したレンズ、すなわち設計にしたがって予め再加工の対象となっている再加工対象レンズ(非球面加工対象レンズ)を分割鏡筒から取り出す(S41)。本実施形態では、再加工対象レンズの光学面に対して非球面加工を行っており、以下の説明では再加工として非球面加工を行った場合について説明するため、再加工対象レンズを非球面加工対象レンズと呼ぶ。なお、再加工としては非球面加工には限定されず、例えば再加工対象レンズの曲率を変更するような球面加工であっても良い。
【0050】
図11は、非球面形状に加工される光学面の位置と光学面の非球面化により効果的に補正される収差成分との関係を説明する図である。図11に示すように、マスク3上の物点Q1からの光束L1と物点Q2からの光束L2とが分離した位置を通過する光学部材e1の光学面を非球面化することにより、像面座標依存性の高い収差成分(ディストーション、非点隔差等)を効果的に補正することができる。
【0051】
また、物点Q1からの光束L1と物点Q2からの光束L2とがほぼ全面を通過する光学部材e5の光学面を非球面化することにより、瞳座標依存性の高い収差成分(例えば球面収差、偏心コマ収差等)を効果的に補正することができる。さらに、物点Q1からの光束L1と物点Q2からの光束L2との重なり程度が中間的となる光学部材(例えば光学部材e2等)の光学面を非球面化することにより、像面座標依存性と瞳座標依存性とが同等に近い収差成分(例えばコマ収差等)を効果的に補正することができる。
【0052】
一般に、レンズ調整工程3を経た投影光学系に残存する波面収差を良好に補正するには、少なくとも2つの非球面加工対象レンズの光学面を非球面形状に加工することが好ましい。この場合、様々な収差成分を効果的に補正することができるように、2つの非球面加工対象レンズは、マスク3上の所定の1点からの光束が第1の非球面加工対象レンズの光学面を通過するときの光束径と、上記所定の1点からの光束が前記第2の非球面加工対象レンズの光学面を通過するときの光束径とが実質的に異なるように選定されることが好ましい。
【0053】
また、非球面加工対象レンズを分割鏡筒内に単体で収納するように設計することにより、投影光学系の他の部分に悪影響を及ぼすことなく非球面加工対象レンズを取り出すことができる。あるいは、非球面加工対象レンズを含む複数のレンズが1つの分割鏡筒内に収納される場合には、非球面加工対象レンズが当該分割鏡筒内において最もマスク側に配置されるように設計することにより、投影光学系の他の部分に悪影響を及ぼすことなく非球面加工対象レンズを取り出すことができる。
【0054】
次いで、取り出した非球面加工対象レンズの光学面を所定の非球面形状に加工する(S42)。なお、加工工程S42に先立って、非球面加工対象レンズの光学面に形成すべき非球面形状は、上述の収差測定工程S21の最終測定結果に基づいて、たとえばツェルニケ多項式で表わされる非球面(典型的には光軸に関して回転非対称な非球面となるが、多項式の係数によっては回転対称な非球面となり得る)として算出される。以下、ツェルニケ多項式について基本的な事項を簡単に説明する。ツェルニケ多項式の表現では、座標系として極座標(ρ,θ)を用い、直交関数系としてツェルニケの円筒関数を用いる。すなわち、非球面形状W(ρ,θ)は、ツェルニケの円筒関数Zi(ρ,θ)を用いて、次の式(b)に示すように展開される。
【0055】
【数2】
【0056】
ここで、Ciは、ツェルニケ多項式の各項の係数である。以下、ツェルニケ多項式の各項の関数系Zi(ρ,θ)のうち、第1項〜第36項にかかる関数Z1〜Z36を、次の表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】
加工工程S42では、非球面加工前の光学面の面形状と非球面加工後の光学面の面形状との差(加工量)を指標として、非球面加工対象レンズの光学面を所望の非球面形状に加工する。したがって、設計において非球面加工対象レンズとして球面レンズを選択することにより、光学面が所望の非球面形状に加工されたことを確認し易くなり、ひいては非球面の加工精度を向上させることができる。なお、加工工程S42では、必ずしも非球面加工の対象となっているすべてのレンズに非球面加工を施すわけではなく、必要に応じて1つまたは複数の非球面加工対象レンズに非球面加工を施す。また、非球面加工対象レンズの一方の光学面に非球面加工を施すのが通常であるが、双方の光学面に非球面加工を施すこともできる。
【0059】
次いで、非球面加工対象レンズの光学面にコート(反射防止膜)を形成する(S43)。前述したように、本実施形態では、投影光学系の組立工程S1において、従来技術とは異なり、非球面加工対象レンズの光学面にはコートが形成されていない。すなわち、非球面加工対象レンズは、投影光学系の組立工程に際して光学面にコートが形成されていないノンコート光学部材を構成している。したがって、実際に非球面加工を施したか否かにかかわらず、加工工程S42の終了後に、すべての非球面加工対象レンズの光学面にコートを形成する必要がある。
【0060】
こうして、コートが形成された非球面加工対象レンズを元の位置に戻して、投影光学系を再度組み立てる(S44)。そして、再度組み立てられた投影光学系の波面収差を測定する(S45)。また、必要に応じて、所定パターン像のウェハへの転写結果から投影光学系のディストーションを求める。そして、収差測定工程S45で測定した投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっているか否かを判定する(S46)。ここで、判定工程S46における許容範囲Bは、投影光学系の波面収差に関する最終的な目標値としての許容範囲である。これに対して、上述の判定工程S22における許容範囲Aは、再加工(非球面加工)工程S4へ移行するのに設定した中間的な許容範囲である。
【0061】
判定工程S46において投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっていると判定した場合(図10中YESの場合)、本実施形態にしたがう投影光学系の製造が終了する。一方、判定工程S46において投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっていないと判定した場合(図10中NOの場合)、間隔調整や偏芯調整によるレンズ調整を行う(S47)。ここで、レンズ調整工程S47は、上述のレンズ調整工程S31と異なり、レンズの回転調整を含まない。これは、上述したように、加工工程S42において光学面が光軸に関して回転非対称な非球面形状に加工されるのが典型的であるからである。
【0062】
本実施形態の製造方法における再加工(非球面加工)工程S4では、レンズ調整工程S47を経て間隔調整や偏芯調整により光学調整された投影光学系の波面収差を再び測定する(S45)。そして、収差測定工程S45で測定した投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっているか否かを再度判定する(S46)。判定工程S46において投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっていると判定した場合には、本実施形態にしたがう投影光学系の製造が終了する。
【0063】
しかしながら、判定工程S46において投影光学系の波面収差が許容範囲B内に収まっていないと判定した場合には、判定工程S46においてYESの判定が得られるまで、レンズ調整工程S47および収差測定工程S45をさらに繰り返す。こうして、本実施形態では、マスク3のパターン像をウェハ(感光性基板)7上に形成するための投影光学系6を上述の製造方法を用いて製造し、製造された投影光学系6を所定の位置に組み込むことにより露光装置が得られる。
【0064】
以上のように、本実施形態にかかる投影光学系の製造方法では、組立工程に際してすべてのレンズの光学面にコート(反射防止膜・増反射膜)を形成する従来技術とは異なり、組立工程に際して再加工対象レンズの少なくとも1つの光学面にはコートを形成することなく、再加工対象レンズを除く他のレンズの光学面だけにコートを形成し、再加工(非球面加工)工程の後に再加工対象レンズの光学面にコートを形成する。このように、従来技術では、再加工対象レンズを含むすべてのレンズの光学面にコートが形成されているので、再加工(非球面加工)工程に先立って再加工(非球面加工)すべきレンズの光学面から研磨によりコートを剥離する必要がある。言い換えると、従来技術では、再加工(非球面加工)対象レンズの再加工(非球面加工)を行う場合には、この再加工(非球面加工)対象レンズに対して2回以上コートを形成する必要がある。
【0065】
また、従来技術では、コートを剥離するための研磨により光学面の面形状が変化するので、再加工(非球面加工)工程において指標とすべき再加工前の光学面の面形状として、コートを剥離した後のコート無し光学面の面形状を用いることができず、コートを剥離する前のコート付き光学面の面形状を用いざるを得ない。これに対し、本実施形態では再加工(非球面加工)すべきレンズの光学面から研磨によりコートを剥離する必要がないので、再加工(非球面加工)工程において指標とすべき再加工(非球面加工)前の光学面の面形状として、コート形成前のコート無し光学面の面形状を用いることができる。
【0066】
こうして、本実施形態では、再加工(非球面加工)対象レンズの光学面を所要の(非球面)形状に加工する前に研磨により光学面からコートを剥離する必要がないので、コート剥離工程の省略により投影光学系を効率的に且つ迅速に形成することができる。また、本実施形態では、光学面を所要の(非球面)形状に加工する再加工(非球面加工)工程において指標とすべき再加工(非球面加工)前の光学面の面形状として、コート形成前のコート無し光学面の面形状を用いることができるので、コート形成に起因する非球面誤差の発生を回避し、投影光学系の残存収差を良好に抑えて優れた光学性能を実現することができる。なお、コート形成に起因する非球面誤差とは、たとえばコートの成膜ムラ(厚さ分布)や、コートのプロセスの際に発生する熱によるレンズの膨張・収縮に起因する応力変化などにより、レンズ面形状とコート表面形状との差が生じ、この差により、再加工(非球面加工)時の指標自体に誤差が生じることにより発生するものが考えられる。
【0067】
なお、本実施形態では、組立工程に際して非球面加工対象レンズの光学面にコートを形成しないので、投影光学系の波面収差の測定に際して、非球面加工対象レンズの光学面において反射による光量損失が発生し易く、ひいては従来技術よりも光量不足になり易い。しかしながら、実際には、非球面加工対象レンズの光学面にコートを形成しないことによる光量低下に関しては、たとえば波面収差測定機の光源出力を増大させることや、検出器の蓄積時間を増やすことなどにより、投影光学系の波面収差の測定に対して実質的な悪影響を及ぼさないことが確認されている。
【0068】
ところで、本実施形態の投影光学系6では、非球面加工対象レンズとして、たとえばレンズL12,レンズL25,レンズL26,レンズL43およびレンズL55を選択することができる。非球面加工対象レンズを選択する手順の一例は、以下の通りである。まず、投影光学系6の各レンズ面の収差感度(各レンズ面形状を微小変化させたときの収差係数の変化)を求める。この収差係数として、たとえば3次収差係数、5次収差係数、3次偏心収差係数、5次偏心収差係数や、各レンズ面形状をツェルニケ多項式でフィッティング(近似)して得られるツェルニケ多項式の各項の係数などを用いることができる。
【0069】
次に、着目する収差に関する各レンズ面の収差感度を計算する。ここで、着目する収差として、3次収差、3次偏心収差、5次収差、5次偏心収差や、波面収差をツェルニケ展開したものが挙げられる。こうして、収差感度の独立性の高いレンズ面を有するレンズを非球面加工対象レンズとして選択する。
【0070】
上述の実施形態の露光装置では、照明装置によってレチクル(マスク)を照明し(照明工程)、投影光学系を用いてマスクに形成された転写用のパターンを感光性基板に露光する(露光工程)ことにより、マイクロデバイス(半導体素子、撮像素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)を製造することができる。以下、本実施形態の露光装置を用いて感光性基板としてのウェハ等に所定の回路パターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法の一例につき図12のフローチャートを参照して説明する。
【0071】
先ず、図12のステップ301において、1ロットのウェハ上に金属膜が蒸着される。次のステップ302において、そのlロットのウェハ上の金属膜上にフォトレジストが塗布される。その後、ステップ303において、本実施形態の露光装置を用いて、マスク上のパターンの像がその投影光学系を介して、その1ロットのウェハ上の各ショット領域に順次露光転写される。その後、ステップ304において、その1ロットのウェハ上のフォトレジストの現像が行われた後、ステップ305において、その1ロットのウェハ上でレジストパターンをマスクとしてエッチングを行うことによって、マスク上のパターンに対応する回路パターンが、各ウェハ上の各ショット領域に形成される。
【0072】
その後、更に上のレイヤの回路パターンの形成等を行うことによって、半導体素子等のデバイスが製造される。上述の半導体デバイス製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する半導体デバイスをスループット良く得ることができる。なお、ステップ301〜ステップ305では、ウェハ上に金属を蒸着し、その金属膜上にレジストを塗布、そして露光、現像、エッチングの各工程を行っているが、これらの工程に先立って、ウェハ上にシリコンの酸化膜を形成後、そのシリコンの酸化膜上にレジストを塗布、そして露光、現像、エッチング等の各工程を行っても良いことはいうまでもない。
【0073】
また、本実施形態の露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。以下、図13のフローチャートを参照して、このときの手法の一例につき説明する。図13において、パターン形成工程401では、本実施形態の露光装置を用いてマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルター形成工程402へ移行する。
【0074】
次に、カラーフィルター形成工程402では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルターの組を複数水平走査線方向に配列されたりしたカラーフィルターを形成する。そして、カラーフィルター形成工程402の後に、セル組み立て工程403が実行される。セル組み立て工程403では、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板、およびカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルター等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。セル組み立て工程403では、例えば、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルターとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。
【0075】
その後、モジュール組み立て工程404にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
【0076】
なお、上述の実施形態では、KrFエキシマ レーザー光源またはArFエキシマ レーザー光源を用いる露光装置に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、所定の波長光(たとえばF2レーザの157nm、水銀ランプのg線(435nm)やi線(365nm))を供給する他の適当な光源を用いる露光装置に本発明を適用することもできる。また、上述の実施形態では、露光装置に搭載される投影光学系の製造方法に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、他の一般的な光学系の製造方法に本発明を適用することもできる。また、上述の実施形態では、ノンコート光学部材としての再加工(非球面加工)対象レンズのすべての光学面をコート無しとしたが、ノンコート光学部材としての再加工(非球面加工)対象レンズの再加工面だけをコート無しとしても良い。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による投影光学系の製造方法では、再加工(非球面加工)の対象となっている光学部材の光学面に対して複数回のコートを行う必要がないので、投影光学系を効率的に且つ迅速に製造することができる。また、光学面を所要の(非球面)形状に加工する再加工(非球面加工)工程において指標とすべき再加工(非球面加工)前の光学面の面形状として、コート形成前のコート無し光学面の面形状を用いることができるので、コート形成に起因する非球面誤差の発生を回避し、投影光学系の残存収差を良好に抑えて優れた光学性能を実現することができる。
【0078】
したがって、残存収差が良好に抑えられて優れた光学性能を有する投影光学系を用いる露光装置および露光方法では、高解像で良好な露光を行うことができ、ひいては高解像で良好な露光条件のもとで良好なマイクロデバイスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる製造方法で製造された投影光学系を備えた露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】本実施形態における投影光学系の構成を概略的に示す図である。
【図3】本実施形態にかかる投影光学系の製造方法の基本工程を概略的に示すフローチャートである。
【図4】本実施形態の製造方法における組立工程S1の内部工程を概略的に示すフローチャートである。
【図5】各レンズを形成すべきブロック硝材の屈折率の絶対値および屈折率分布を測定する干渉計装置の構成を概略的に示す図である。
【図6】各レンズの面形状誤差を測定する干渉計装置の構成を概略的に示す図である。
【図7】本実施形態の製造方法における収差測定工程S2およびレンズ調整工程S3の内部工程を概略的に示すフローチャートである。
【図8】KrFエキシマレーザー光源を使用する投影光学系の波面収差を計測するフィゾー干渉計方式の波面収差測定機の構成を概略的に示す図である。
【図9】ArFエキシマレーザー光源を使用する投影光学系の波面収差を計測するPDI方式の波面収差測定機の構成を概略的に示す図である。
【図10】本実施形態の製造方法における非球面加工工程S4の内部工程を概略的に示すフローチャートである。
【図11】非球面形状に加工される光学面の位置と光学面の非球面化により効果的に補正される収差成分との関係を説明する図である。
【図12】マイクロデバイスとしての半導体デバイスを得る際の手法のフローチャートである。
【図13】マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得る際の手法のフローチャートである。
【符号の説明】
1 光源
2 照明光学系
3 マスク(レチクル)
5 マスクステージ
6 投影光学系
7 ウェハ(感光性基板)
9 ウェハステージ
Claims (14)
- 第1面の像を第2面上に投影する投影光学系の製造方法において、
少なくとも1つの光学面にコートが形成されていない少なくとも1つのノンコート光学部材を含む複数の光学部材を用いて前記投影光学系を組み立てる組立工程と、
組み立てられた前記投影光学系の収差を測定する収差測定工程と、
測定された前記投影光学系の収差を補正するために前記少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面を再加工する再加工工程と、
再加工された前記少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面にコートを形成するコート形成工程とを含むことを特徴とする投影光学系の製造方法。 - 前記少なくとも1つのノンコート光学部材は、球面状の光学面を有する球面レンズとして設計されていることを特徴とする請求項1に記載の投影光学系の製造方法。
- 前記再加工工程は、前記少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面の曲率半径を変更するように再加工する工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の投影光学系の製造方法。
- 前記再加工工程は、前記少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面を非球面形状に加工する非球面加工工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の投影光学系の製造方法。
- 前記非球面加工工程は、前記少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面を光軸に関して回転非対称な非球面形状に加工する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の投影光学系の製造方法。
- 前記非球面加工工程は、第1のノンコート光学部材の光学面を非球面形状に加工する工程と、第2のノンコート光学部材の光学面を非球面形状に加工する工程とを含み、
前記第1のノンコート光学部材および前記第2のノンコート光学部材は、前記第1面上の所定の1点からの光束が前記第1のノンコート光学部材の光学面を通過するときの光束径と、前記所定の1点からの光束が前記第2のノンコート光学部材の光学面を通過するときの光束径とが実質的に異なるように選定されることを特徴とする請求項4または5に記載の投影光学系の製造方法。 - 前記組立工程は、1つまたは複数の光学部材をそれぞれ収納する複数の分割鏡筒を組み立てる工程を含み、
前記少なくとも1つのノンコート光学部材は、所定の分割鏡筒内に単体で収納されているノンコート光学部材を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の投影光学系の製造方法。 - 前記組立工程は、1つまたは複数の光学部材をそれぞれ収納する複数の分割鏡筒を組み立てる工程を含み、
前記少なくとも1つのノンコート光学部材は、所定の分割鏡筒内において最も第1面側に配置されているノンコート光学部材を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の投影光学系の製造方法。 - 前記再加工工程に先立って、測定された前記投影光学系の収差を補正するために少なくとも1つの光学部材の位置または姿勢を調整する調整工程をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の投影光学系の製造方法。
- 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする投影光学系。
- マスクのパターンを感光性基板上に露光する露光装置の製造方法において、
前記第1面に設定された前記マスクのパターン像を前記第2面に設定された前記感光性基板上に形成するための前記投影光学系を請求項1乃至9のいずれか1項に記載の製造方法を用いて製造する製造工程と、
製造された前記投影光学系を前記露光装置に組み込む組込工程とを含むことを特徴とする露光装置の製造方法。 - マスクのパターンを感光性基板上に露光する露光装置において、
前記第1面に設定された前記マスクのパターン像を前記第2面に設定された前記感光性基板上に形成するための請求項1乃至9のいずれか1項に記載の製造方法を用いて製造された前記投影光学系を備えていることを特徴とする露光装置。 - マスクのパターンを感光性基板上に露光する露光方法において、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の製造方法を用いて製造された前記投影光学系を介して、前記第1面に設定された前記マスクのパターンを前記第2面に設定された前記感光性基板上に露光することを特徴とする露光方法。 - 光学系の製造方法において、
少なくとも1つの光学面にコートが形成されていない少なくとも1つのノンコート光学部材を含む複数の光学部材を用いて前記光学系を組み立てる組立工程と、
組み立てられた前記光学系の収差を測定する収差測定工程と、
測定された前記光学系の収差を補正するために前記少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面を再加工する再加工工程と、
再加工された前記少なくとも1つのノンコート光学部材の光学面にコートを形成するコート形成工程とを含むことを特徴とする光学系の製造方法。
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