JP4811623B2 - 投影光学系および該投影光学系を備えた露光装置 - Google Patents

投影光学系および該投影光学系を備えた露光装置 Download PDF

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  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、投影光学系および該投影光学系を備えた露光装置に関し、特にマイクロデバイス(半導体素子、液晶表示素子、薄膜磁気ヘッド等)をフォトリソグラフィ工程で製造する際に使用される投影露光装置に最適な投影光学系に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ワープロやパソコンやテレビ等の表示素子として、液晶表示パネルが多用されるようになっている。液晶表示パネルは、ガラス基板(プレート)上に透明薄膜電極をフォトリソグラフィの手法で所望の形状にパターンニングすることによって製造される。このフォトリソグラフィ工程のための装置として、マスク上に形成された原画パターンを屈折型の投影光学系を介してプレート上のフォトレジスト層に投影露光する投影露光装置が用いられている。特に、最近では、低温ポリ(多結晶)シリコンを用いた液晶表示パネルにより高精細化が要望されており、広い視野に亘って高い解像力を有する投影露光装置が望まれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、高解像力を有する投影露光装置を実現するには、搭載される投影光学系の開口数を大きく設定する必要がある。一方、投影光学系の焦点深度は、開口数の二乗に反比例する。このため、開口数が大きく設定された高解像力を有する投影光学系においては、焦点深度が狭くなる。この場合、投影光学系の像面湾曲や雰囲気温度(環境温度)の変化による投影光学系の焦点位置の変動により、焦点深度の利用可能な範囲は更に狭くなる。その結果、焦点位置決めを高精度化したり装置内の温度制御を高精度化する等の対策が必要となり、装置の高コスト化を招くという不都合があった。また、露光されるガラス基板に対しては、高い平面度が要求され、材料の高コスト化につながるという不都合もあった。
【0004】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、広い投影視野および高い解像力を確保しつつ、像面の平坦性に優れ、且つ温度変化による焦点位置の変動の比較的少ない、良好な光学性能を有する投影光学系を提供することを目的とする。また、本発明は、良好な光学性能を有する投影光学系を用いて、装置および材料の高コスト化を招くことなく良好な露光を行うことのできる露光装置および露光方法を提供することを目的とする。さらに、本発明では、上述の露光装置を用いた良好な露光により大面積で良好なマイクロデバイスを製造することのできるマイクロデバイス製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の第1発明では、第1面に形成されたパターンの像を第2面上へ実質的に等倍の倍率で投影する投影光学系において、
前記投影光学系は、前記第1面側から順に、第1部分光学系と、前記投影光学系の瞳面に関して前記第1部分光学系とほぼ対称的に構成された第2部分光学系とを備え、
前記第1部分光学系は、互いに対向するように配置された第1組の一対の凹面形状の屈折面と、該第1組の一対の凹面形状の屈折面の間の光路中において互いに対向するように配置された第2組の一対の凹面形状の屈折面とを有することを特徴とする投影光学系を提供する。
【0006】
第1発明の好ましい態様によれば、前記第1部分光学系は、前記第1面側から順に、前記第2面側に凹面を向けた第1負レンズと、前記第2面側に凹面を向けた第2負レンズと、前記第1面側に凹面を向けた第3負レンズと、前記第1面側に凹面を向けた第4負レンズとを有する。
【0007】
また、第1発明の好ましい態様によれば、前記第1部分光学系は、前記第1面側から順に、正の屈折力を有する第1正レンズ群と、負の屈折力を有する第1負レンズ群と、正の屈折力を有する第2正レンズ群とを有し、
前記第1負レンズ群は、前記第1面側から順に、前記第2面側に凹面を向けた第1負レンズと、前記第2面側に凹面を向けた第2負レンズと、前記第1面側に凹面を向けた第3負レンズと、前記第1面側に凹面を向けた第4負レンズとを有し、
前記第1部分光学系の焦点距離をF1とし、前記第1負レンズ群の焦点距離をf1Nとするとき、
−0.4<f1N/F1<0
の条件を満足する。
【0008】
本発明の第2発明では、第1面に形成されたパターンの像を第2面上へ実質的に等倍の倍率で投影する投影光学系において、
前記投影光学系は、前記第1面側から順に、第1部分光学系と、前記投影光学系の瞳面に関して前記第1部分光学系とほぼ対称的に構成された第2部分光学系とを備え、
前記第1部分光学系は、前記第1面側から順に、正の屈折力を有する第1正レンズ群と、負の屈折力を有する第1負レンズ群と、正の屈折力を有する第2正レンズ群とを有し、
前記投影光学系に供給される照明光に対する光学素子の屈折率nの雰囲気温度Tに対する変化率をdn/dTで表すとき、前記第2正レンズ群を構成する少なくとも1つの負レンズは、
dn/dT<0
の条件を満足することを特徴とする投影光学系を提供する。
【0009】
第2発明の好ましい態様によれば、前記第2正レンズ群を構成する少なくとも1つの正レンズは、
dn/dT>0
の条件を満足する。
【0010】
本発明の第3発明では、第1面に形成されたパターンの像を第2面上へ実質的に等倍で投影する投影光学系において、
前記投影光学系は非球面を有し、
前記第1面と前記第2面との光軸に沿った距離をLとし、前記第1面から前記非球面までの光軸に沿った距離をLAとするとき、
0.035<LA/L<0.3
の条件を満足することを特徴とする投影光学系を提供する。
【0011】
第3発明の好ましい態様によれば、前記投影光学系は、前記投影光学系の瞳面に関して対称的に配置された第1非球面と第2非球面とを有し、
前記第1面と前記第2面との光軸に沿った距離をLとし、前記第1面から前記第1非球面までの光軸に沿った距離をLAとするとき、
0.035<LA/L<0.3
の条件を満足する。
【0012】
本発明の第4発明では、第1面に形成されたマスクパターンの像を、感光性基板が配置される第2面上へ投影するリソグラフィー用投影光学系において、前記投影光学系は、第1の非球面と第2の非球面とを備え、前記第1の非球面と前記第2の非球面とは互いに同じ形状であることを特徴とする投影光学系を提供する。本発明の第5発明では、第1面に形成されたマスクパターンの像を、感光性基板が配置される第2面上へ投影するリソグラフィー用投影光学系の製造方法において、複数の光学素子を準備する第1工程と、該準備された複数の光学素子のうちの少なくとも2つに所定形状の非球面を形成して、少なくとも第1非球面光学素子と第2非球面光学素子とを得る第2工程と、前記第1及び第2非球面光学素子の面形状を検査する第3工程と、前記光学素子を所定の光軸に沿って配置する第4工程とを含むことを特徴とする投影光学系の製造方法を提供する。
【0013】
本発明の第6発明では、第5発明の製造方法により製造されたことを特徴とする投影光学系を提供する。本発明の第7発明では、第1発明〜第4発明、および第6発明の投影光学系と、前記第1面に設定されたマスクを照明するための照明光学系とを備え、前記投影光学系を介して前記マスク上に形成されたパターンを前記第2面に設定された感光性基板へ露光することを特徴とする露光装置を提供する。
【0014】
本発明の第8発明では、第7発明の露光装置を用いて前記マスクのパターンを前記感光性基板へ露光する露光工程と、前記露光工程を介して露光された前記感光性基板を現像する現像工程とを含むことを特徴とするマイクロデバイスの製造方法を提供する。本発明の第9発明では、所定のパターンが形成されたマスクを照明する照明工程と、第1発明〜第4発明、および第6発明の投影光学系を用いて、前記第1面に設定された前記マスクのパターンを前記第2面に設定された感光性基板へ露光する露光工程とを含むことを特徴とする露光方法を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の典型的な態様にしたがう投影光学系は、第1面側(物体面側)から順に、第1部分光学系G1と、開口絞りASと、この開口絞りに関して第1部分光学系G1とほぼ対称的に構成された第2部分光学系G2とから構成されている。したがって、物体面としての第1面に形成されたパターンの像は、像面としての第2面上において実質的に等倍の倍率で投影される。以下、説明を簡単にするために、第2部分光学系G2が開口絞りに関して第1部分光学系G1と対称的に構成され、投影光学系の投影倍率が等倍である場合を想定し、第1部分光学系G1にのみ着目して本発明を説明する。
【0016】
前述したように、高解像力を有する投影光学系では、焦点深度が狭くなるので、この狭い焦点深度を充分に利用するには、像面湾曲量を小さく抑えること、すなわち平坦性に優れた像面を確保することが必要である。そこで、投影光学系のペッツバール和を良好に補正するために、正の屈折力を有する第1部分光学系G1中には、負の屈折力を有するレンズ群G1Nが配置されることになる。しかしながら、この負レンズ群G1Nの負の屈折力が強くなると、コマ収差の補正が困難となる。
【0017】
本発明では、投影光学系のペッツバール和(ひいてはその像面湾曲)を良好に補正する際に発生するコマ収差を良好に補正するために、互いに対向するように配置された第1組の一対の凹面形状の屈折面と、この第1組の一対の凹面形状の屈折面の間の光路中において互いに対向するように配置された第2組の一対の凹面形状の屈折面とを第1部分光学系G1中に配置している。この構成により、本発明では、広い投影視野および高い解像力を確保しつつ、像面の平坦性に優れた投影光学系を実現することができる。
【0018】
さらに具体的な態様によれば、第1部分光学系G1は、第1面側から順に、正の屈折力を有する第1正レンズ群G1Pと、負の屈折力を有する第1負レンズ群G1Nと、正の屈折力を有する第2正レンズ群G2Pとから構成されている。そして、第1負レンズ群G1Nは、第1面側から順に、第2面側に凹面を向けた第1負レンズと、第2面側に凹面を向けた第2負レンズと、第1面側に凹面を向けた第3負レンズと、第1面側に凹面を向けた第4負レンズとから構成されている。この場合、第1負レンズの第2面側の凹面および第4負レンズの第1面側の凹面が第1組の一対の凹面形状の屈折面を構成し、第2負レンズの第2面側の凹面および第3負レンズの第1面側の凹面が第2組の一対の凹面形状の屈折面を構成している。
【0019】
本発明では、上述の構成において、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。
−0.4<f1N/F1<0 (1)
ここで、F1は、第1部分光学系G1の焦点距離である。また、f1Nは、第1負レンズ群G1Nの焦点距離である。
【0020】
条件式(1)は、第1負レンズ群G1Nの焦点距離f1Nと第1部分光学系G1の焦点距離F1との比について適切な範囲を規定している。条件式(1)の下限値を下回ると、第1負レンズ群G1Nの負の屈折力が弱くなりすぎて、像面湾曲を良好に補正することが困難になるので好ましくない。なお、本発明の効果を充分に発揮するには、条件式(1)の下限値を−0.3とし、その上限値を−0.1と設定することがさらに好ましい。
【0021】
また、前述したように、高解像力を有する投影光学系では、焦点深度が狭くなるので、この狭い焦点深度を充分に利用するには、雰囲気温度の変化による投影光学系の焦点位置の変動(すなわち投影光学系の結像面の合焦方向に沿った位置変動)を小さく抑えることが必要である。第1部分光学系G1が、第1面側から順に、正の屈折力を有する第1正レンズ群G1Pと、負の屈折力を有する第1負レンズ群G1Nと、正の屈折力を有する第2正レンズ群G2Pとから構成されている場合、投影光学系の瞳面の近傍すなわち開口絞りASの近傍に配置された第2正レンズ群G2Pにおいて温度変化により発生する焦点位置の変動の影響が最も大きいと考えられる。換言すると、雰囲気温度の変化による投影光学系の焦点位置の変動を小さく抑えるには、第2正レンズ群G2Pにおいて温度変化により発生する焦点位置の変動を小さく抑える必要がある。
【0022】
しかしながら、第2正レンズ群G2Pは第1部分光学系G1の正屈折力の多くを担うため、第2正レンズ群G2Pにおいて色収差の良好な補正を行う必要がある。そこで、第2正レンズ群G2Pを構成する正レンズには、CaF2(蛍石)などの異常分散性のガラス材料が多用されることが多い。このとき、CaF2などの異常分散性のガラス材料では、雰囲気温度Tに対する屈折率の変化率dn/dTが負の値を有するので、第2正レンズ群G2Pにおいて温度変化dTにより発生する焦点位置の変動量すなわち変動率ΔFD/dTは比較的大きな正の値を有することになる。ここで、焦点位置の変動量ΔFDは、投影光学系の結像面が物体面から離れる方向に変動するときに正の符号をとり、投影光学系の結像面が物体面へ近づく方向に変動するときに負の符号をとるものとする。
【0023】
そこで、本発明では、雰囲気温度の変化による投影光学系の焦点位置の変動を小さく抑えるために、第2正レンズ群G2Pを構成する少なくとも1つの負レンズが以下の条件式(2)を満足する。
dn/dT<0 (2)
【0024】
条件式(2)を満足することにより、雰囲気温度の変化dTにより発生する投影光学系の焦点位置の変動率ΔFD/dTの値を比較的大きな正の値から負の方向へ導くことが可能になり、ひいては雰囲気温度の変化による投影光学系の焦点位置の変動を小さく抑えることが可能になる。この構成により、本発明では、広い投影視野および高い解像力を確保しつつ、温度変化による焦点位置の変動の比較的少ない投影光学系を実現することができる。
【0025】
また、本発明においては、雰囲気温度の変化による投影光学系の焦点位置の変動をさらに小さく抑えるために、第2正レンズ群G2Pを構成する少なくとも1つの正レンズが以下の条件式(3)を満足することが好ましい。
dn/dT>0 (3)
【0026】
条件式(3)を満足することにより、雰囲気温度の変化dTにより発生する投影光学系の焦点位置の変動率ΔFD/dTの値を比較的大きな正の値から負の方向へ導くことが可能になり、ひいては雰囲気温度の変化による投影光学系の焦点位置の変動をさらに小さく抑えることが可能になるので好ましい。
【0027】
さらに、本発明では、投影光学系が非球面を有し、この非球面が次の式(4)を満足する。
0.035<LA/L<0.3 (4)
ここで、Lは、第1面と第2面との光軸に沿った距離である。また、LAは、第1面から非球面までの光軸に沿った距離である。
【0028】
条件式(4)を満足することにより、第1面に比較的近い位置に非球面が配置される。この場合、像高の異なる光線が非球面に入射する位置が互いに離れ易く、像面湾曲の補正を良好に行うことが可能になる。なお、投影光学系がほぼ等倍に構成され、その瞳面に関してほぼ対称的に構成される場合、第2面に比較的近い位置にも非球面が配置される。この場合、投影光学系は、その瞳面に関して対称的に配置された第1非球面と第2非球面とを有し、この第1非球面が条件式(4)を満足することが望ましい。
【0029】
以上のように、本発明の投影光学系では、広い投影視野および高い解像力を確保しつつ、像面の平坦性に優れ、且つ温度変化による焦点位置の変動の比較的少ない、良好な光学性能を達成することができる。したがって、本発明の露光装置および露光方法では、良好な光学性能を有する本発明の投影光学系を用いて、装置および材料の高コスト化を招くことなく、良好な露光を行うことができる。また、本発明では、本発明の露光装置を用いた良好な露光により、大面積で良好なマイクロデバイスを製造することができる。
【0030】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる投影光学系を備えた露光装置の構成を概略的に示す図である。図1において、感光性基板であるプレート(ガラス基板)の法線方向に沿ってZ軸を、プレート面内において図1の紙面に平行な方向にY軸を、プレート面内において図1の紙面に垂直な方向にX軸をそれぞれ設定している。
【0031】
図1に示す露光装置は、たとえば高圧水銀ランプからなる光源1を備えている。光源1は、回転楕円面からなる反射面を有する楕円鏡2の第1焦点位置に位置決めされている。したがって、光源1から射出された照明光束は、ミラー3を介して、楕円鏡2の第2焦点位置に光源像を形成する。楕円鏡2の第2焦点位置に形成された光源像からの光束は、コリメートレンズ4によりほぼ平行な光束に変換された後、所望の波長域の光束を選択的に透過させる波長選択フィルター5に入射する。本実施形態の場合、波長選択フィルター5では、i線(λ=365nm)の光だけが選択的に透過する。
【0032】
波長選択フィルター5を介して選択された露光波長の光(i線の光)は、オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズ6に入射する。フライアイレンズ6は、正の屈折力を有する多数のレンズエレメントをその光軸が基準光軸AXと平行になるように縦横に且つ稠密に配列することによって構成されている。フライアイレンズ6を構成する各レンズエレメントは、マスク上において形成すべき照野の形状(ひいてはプレート上において形成すべき露光領域の形状)と相似な矩形状の断面を有する。また、フライアイレンズ6を構成する各レンズエレメントの入射側の面は入射側に凸面を向けた球面状に形成され、射出側の面は射出側に凸面を向けた球面状に形成されている。
【0033】
したがって、フライアイレンズ6に入射した光束は多数のレンズエレメントにより波面分割され、各レンズエレメントの後側焦点面には1つの光源像がそれぞれ形成される。すなわち、フライアイレンズ6の後側焦点面には、多数の光源像からなる実質的な面光源すなわち二次光源が形成される。フライアイレンズ6の後側焦点面に形成された二次光源からの光束は、その近傍に配置された開口絞り7に入射する。開口絞り7は、後述する投影光学系PLの入射瞳面と光学的にほぼ共役な位置に配置され、二次光源の照明に寄与する範囲を規定するための可変開口部を有する。開口絞り7は、可変開口部の開口径を変化させることにより、照明条件を決定するσ値(投影光学系の瞳面の開口径に対するその瞳面上での二次光源像の口径の比)を所望の値に設定する。
【0034】
開口絞り7を介した二次光源からの光は、コンデンサー光学系8の集光作用を受けた後、所定のパターンが形成されたマスクMを重畳的に均一照明する。マスクMのパターンを透過した光束は、投影光学系PLを介して、感光性基板であるプレートP上にマスクパターンの像を形成する。こうして、投影光学系PLの光軸と直交する平面(XY平面)内においてプレートPを二次元的に駆動制御しながら一括露光またはスキャン露光を行うことにより、プレートPの各露光領域にはマスクMのパターンが逐次露光される。
【0035】
なお、一括露光では、いわゆるステップ・アンド・リピート方式にしたがって、プレートの各露光領域に対してマスクパターンを一括的に露光する。この場合、マスクM上での照明領域の形状は正方形に近い矩形状であり、フライアイレンズ6の各レンズエレメントの断面形状も正方形に近い矩形状となる。一方、スキャン露光では、いわゆるステップ・アンド・スキャン方式にしたがって、マスクおよびプレートを投影光学系に対して相対移動させながらプレートの各露光領域に対してマスクパターンをスキャン露光(走査露光)する。この場合、マスクM上での照明領域の形状は短辺と長辺との比がたとえば1:3の矩形状であり、フライアイレンズ6の各レンズエレメントの断面形状もこれと相似な矩形状となる。
【0036】
〔第1実施例〕
図2は、本実施形態の第1実施例にかかる投影光学系のレンズ構成を示す図である。第1実施例にかかる投影光学系PLは、物体側(すなわちマスクM側)から順に、第1部分光学系G1と、開口絞りASと、この開口絞りASに関して第1部分光学系G1と対称的に構成された第2部分光学系G2とから構成されている。換言すると、第2部分光学系G2は、そのレンズ形状、そのレンズ間隔およびその光学材料において、投影光学系PLの瞳面に配置された開口絞りASに関して第1部分光学系G1と対称的に構成されている。したがって、第1実施例にかかる投影光学系PLは、等倍の投影倍率を有する。
【0037】
第1部分光学系G1は、物体側から順に、正の屈折力を有する第1正レンズ群G1Pと、負の屈折力を有する第1負レンズ群G1Nと、正の屈折力を有する第2正レンズ群G2Pとから構成されている。そして、第1正レンズ群G1Pは、物体側から順に、両凹レンズL1P1、両凸レンズL1P2、両凸レンズL1P3、両凸レンズL1P4、および物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL1P5から構成されている。
【0038】
また、第1負レンズ群G1Nは、物体側から順に、像側(プレートP側)に凹面を向けた屈折面r1N12を有する負メニスカスレンズL1N1、像側に凹面を向けた屈折面r1N22を有する両凹レンズL1N2、物体側に凹面を向けた屈折面r1N31を有する負メニスカスレンズL1N3、および物体側に凹面を向けた屈折面r1N41を有する両凹レンズL1N4から構成されている。すなわち、屈折面r1N12および屈折面r1N41は、互いに対向するように配置された第1組の一対の凹面形状の屈折面を構成している。また、屈折面r1N22および屈折面r1N31は、第1組の一対の凹面形状の屈折面の間の光路中において互いに対向するように配置された第2組の一対の凹面形状の屈折面を構成している。
【0039】
さらに、第2正レンズ群G2Pは、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL2P1、両凸レンズL2P2、両凸レンズL2P3、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL2P4、両凸レンズL2P5、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL2P6、および両凹レンズL2P7から構成されている。ここで、正メニスカスレンズL2P1、両凸レンズL2P2、両凸レンズL2P3、両凸レンズL2P5は、異常分散性のガラス材料によって形成され、雰囲気温度Tの変化に対する屈折率nの変化率dn/dTは負の値を有する。この異常分散性のガラス材料としては、たとえば、(株)オハラ製のS−FPL51Y(商標)やFPL51Y(商標)、ショット(SCHOTT)製のFK51、これらの相当品を用いることができる。また、両凹レンズL2P7は、雰囲気温度Tの変化に対する屈折率nの変化率dn2P7/dT<0の条件を満足する負レンズを構成している。さらに、正メニスカスレンズL2P6は、雰囲気温度Tの変化に対する屈折率nの変化率dn2P6/dT>0の条件を満足する正レンズを構成している。
【0040】
一方、第2部分光学系G2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第3正レンズ群G3Pと、負の屈折力を有する第2負レンズ群G2Nと、正の屈折力を有する第4正レンズ群G4Pとから構成されている。上述したように、第2部分光学系G2は、開口絞りASに関して第1部分光学系G1と対称的に構成されている。すなわち、第3正レンズ群G3Pは開口絞りASに関して第2正レンズ群G2Pと対称的に構成され、第2負レンズ群G2Nは開口絞りASに関して第1負レンズ群G1Nと対称的に構成され、第4正レンズ群G4Pは開口絞りASに関して第1正レンズ群G1Pと対称的に構成されている。
【0041】
したがって、第3正レンズ群G3Pは、像側から順に、像側に凹面を向けた正メニスカスレンズL3P1、両凸レンズL3P2、両凸レンズL3P3、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL3P4、両凸レンズL3P5、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL3P6、および両凹レンズL3P7から構成されている。ここで、正メニスカスレンズL3P1、両凸レンズL3P2、両凸レンズL3P3、両凸レンズL3P5は、上記の異常分散性のガラス材料によって形成され、雰囲気温度Tの変化に対する屈折率nの変化率dn/dTは負の値を有する。また、両凹レンズL3P7は、雰囲気温度Tの変化に対する屈折率nの変化率dn3P7/dT<0の条件を満足する負レンズを構成している。さらに、正メニスカスレンズL3P6は、雰囲気温度Tの変化に対する屈折率nの変化率dn3P6/dT>0の条件を満足する正レンズを構成している。
【0042】
また、第2負レンズ群G2Nは、像側から順に、物体側に凹面を向けた屈折面r2N11を有する負メニスカスレンズL2N1、物体側に凹面を向けた屈折面r2N21を有する両凹レンズL2N2、像側に凹面を向けた屈折面r2N32を有する負メニスカスレンズL2N3、および像側に凹面を向けた屈折面r2N42を有する両凹レンズL2N4から構成されている。すなわち、屈折面r2N11および屈折面r2N42は、互いに対向するように配置された第1組の一対の凹面形状の屈折面を構成している。また、屈折面r2N21および屈折面r2N32は、第1組の一対の凹面形状の屈折面の間の光路中において互いに対向するように配置された第2組の一対の凹面形状の屈折面を構成している。
【0043】
さらに、第4正レンズ群G4Pは、像側から順に、両凹レンズL4P1、両凸レンズL4P2、両凸レンズL4P3、両凸レンズL4P4、および像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL4P5から構成されている。
【0044】
次の表(1)に、第1実施例の投影光学系の諸元の値を掲げる。表(1)の主要諸元において、NAは物体側での開口数(像側での開口数も同じ)を、Y0は最大像高をそれぞれ示している。また、表(1)の光学部材諸元において、第1カラムの面番号は物体側からの光線進行方向に沿った面の順序を、第2カラムのrは各面の曲率半径(mm)を、第3カラムのdは各面の軸上間隔すなわち面間隔(mm)を、第4カラムのnは露光光(λ=365nm)に対する屈折率をそれぞれ示している。
【0045】
【表1】
Figure 0004811623
Figure 0004811623
Figure 0004811623
【0046】
図3は、第1実施例における投影光学系の球面収差、非点収差および歪曲収差を示す図である。また、図4は、第1実施例における投影光学系のコマ収差を示す図である。各収差図において、NAは物体側での開口数を、Yは像高をそれぞれ示している。また、非点収差を示す収差図において、実線はサジタル像面を示し、破線はタンジェンシャル像面を示している。各収差図から明らかなように、第1実施例の投影光学系では、大きな投影視野(有効径142mm)の全体に亘って諸収差が良好に補正され、良好な光学性能が確保されていること、特に非点収差図を参照すると像面の平坦性が良好に確保されていることがわかる。また、表(1)の条件式対応値における焦点位置の変動率ΔFD/dTの値を参照すると、第1実施例の投影光学系では、雰囲気温度の変化による焦点位置の変動が比較的小さく抑えられていることがわかる。
【0047】
〔第2実施例〕
図5は、本実施形態の第2実施例にかかる投影光学系のレンズ構成を示す図である。第2実施例では、第1実施例と同様に、投影光学系PLが、物体側から順に、第1部分光学系G1と、開口絞りASと、この開口絞りASに関して第1部分光学系G1と対称的に構成された第2部分光学系G2とから構成され、等倍の投影倍率を有する。また、第1部分光学系G1も第1実施例と同様に、物体側から順に、正の屈折力を有する第1正レンズ群G1Pと、負の屈折力を有する第1負レンズ群G1Nと、正の屈折力を有する第2正レンズ群G2Pとから構成されている。したがって、第2部分光学系G2も第1実施例と同様に、物体側から順に、正の屈折力を有する第3正レンズ群G3Pと、負の屈折力を有する第2負レンズ群G2Nと、正の屈折力を有する第4正レンズ群G4Pとから構成されている。
【0048】
具体的には、第2実施例において、第1正レンズ群G1Pは、物体側から順に、非球面状に形成された凹面を物体側に向けた負メニスカスレンズL1P1、両凸レンズL1P2、両凸レンズL1P3、両凸レンズL1P4、および両凸レンズL1P5から構成されている。また、第1負レンズ群G1Nは、物体側から順に、非球面状に形成された凹面を像側に向けた屈折面r1N12を有する負メニスカスレンズL1N1、像側に凹面を向けた屈折面r1N22を有する両凹レンズL1N2、物体側に凹面を向けた屈折面r1N31を有する負メニスカスレンズL1N3、および物体側に凹面を向けた屈折面r1N41を有する両凹レンズL1N4から構成されている。すなわち、屈折面r1N12および屈折面r1N41は、互いに対向するように配置された第1組の一対の凹面形状の屈折面を構成している。また、屈折面r1N22および屈折面r1N31は、第1組の一対の凹面形状の屈折面の間の光路中において互いに対向するように配置された第2組の一対の凹面形状の屈折面を構成している。
【0049】
さらに、第2正レンズ群G2Pは、物体側から順に、両凸レンズL2P1、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL2P2、両凸レンズL2P3、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL2P4、両凸レンズL2P5、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL2P6、および両凹レンズL2P7から構成されている。ここで、両凸レンズL2P1、正メニスカスレンズL2P2、両凸レンズL2P3、両凸レンズL2P5は、異常分散性のガラス材料によって形成され、雰囲気温度Tの変化に対する屈折率nの変化率dn/dTは負の値を有する。なお、異常分散性のガラス材料としては、第1実施例で挙げた材料を用いることができる。また、両凹レンズL2P7は、雰囲気温度Tの変化に対する屈折率nの変化率dn2P7/dT<0の条件を満足する負レンズを構成している。さらに、正メニスカスレンズL2P6は、雰囲気温度Tの変化に対する屈折率nの変化率dn2P6/dT>0の条件を満足する正レンズを構成している。
【0050】
一方、第3正レンズ群G3Pは、像側から順に、両凸レンズL3P1、像側に凹面を向けた正メニスカスレンズL3P2、両凸レンズL3P3、像側に凹面を向けた負メニスカスレンズL3P4、両凸レンズL3P5、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL3P6、および両凹レンズL3P7から構成されている。ここで、両凸レンズL3P1、正メニスカスレンズL3P2、両凸レンズL3P3、両凸レンズL3P5は、上記の異常分散性のガラス材料によって形成され、雰囲気温度Tの変化に対する屈折率nの変化率dn/dTは負の値を有する。また、両凹レンズL3P7は、雰囲気温度Tの変化に対する屈折率nの変化率dn3P7/dT<0の条件を満足する負レンズを構成している。さらに、正メニスカスレンズL3P6は、雰囲気温度Tの変化に対する屈折率nの変化率dn3P6/dT>0の条件を満足する正レンズを構成している。
【0051】
また、第2負レンズ群G2Nは、像側から順に、非球面状に形成された凹面を物体側に向けた屈折面r2N11を有する負メニスカスレンズL2N1、物体側に凹面を向けた屈折面r2N21を有する両凹レンズL2N2、像側に凹面を向けた屈折面r2N32を有する負メニスカスレンズL2N3、および像側に凹面を向けた屈折面r2N42を有する両凹レンズL2N4から構成されている。すなわち、屈折面r2N11および屈折面r2N42は、互いに対向するように配置された第1組の一対の凹面形状の屈折面を構成している。また、屈折面r2N21および屈折面r2N32は、第1組の一対の凹面形状の屈折面の間の光路中において互いに対向するように配置された第2組の一対の凹面形状の屈折面を構成している。
【0052】
さらに、第4正レンズ群G4Pは、像側から順に、非球面状に形成された凹面を像側に向けた負メニスカスレンズL4P1、両凸レンズL4P2、両凸レンズL4P3、両凸レンズL4P4、および両凸レンズL4P5から構成されている。
【0053】
なお、第2実施例において、非球面は、光軸に垂直な方向の高さをyとし、非球面の頂点における接平面から高さyにおける非球面上の位置までの光軸に沿った距離(サグ量)をxとし、頂点曲率半径をrとし、円錐係数をκとし、n次の非球面係数をCnとしたとき、以下の数式(a)で表される。
【数1】
x=(y2/r)/〔1+{1−(1+κ)・y2/r21/2
+C4・y4+C6・y6+C8・y8+C10・y10+C12・y12 (a)
第2実施例において、非球面状に形成されたレンズ面には面番号の右側に*印を付している。
【0054】
次の表(2)に、第2実施例の投影光学系の諸元の値を掲げる。表(2)の主要諸元において、NAは物体側での開口数(像側での開口数も同じ)を、Y0は最大像高をそれぞれ示している。また、表(2)の光学部材諸元において、第1カラムの面番号は物体側からの光線進行方向に沿った面の順序を、第2カラムのrは各面の曲率半径(非球面の場合には頂点曲率半径:mm)を、第3カラムのdは各面の軸上間隔すなわち面間隔(mm)を、第4カラムのnは露光光(λ=365nm)に対する屈折率をそれぞれ示している。
【0055】
【表2】
Figure 0004811623
Figure 0004811623
Figure 0004811623
Figure 0004811623
Figure 0004811623
【0056】
図6は、第2実施例における投影光学系の球面収差、非点収差および歪曲収差を示す図である。また、図7は、第2実施例における投影光学系のコマ収差を示す図である。各収差図において、NAは物体側での開口数を、Yは像高をそれぞれ示している。また、非点収差を示す収差図において、実線はサジタル像面を示し、破線はタンジェンシャル像面を示している。各収差図から明らかなように、第2実施例の投影光学系においても第1実施例と同様に、大きな投影視野(有効径142mm)の全体に亘って諸収差が良好に補正され、良好な光学性能が確保されていること、特に非点収差図を参照すると像面の平坦性が良好に確保されていることがわかる。また、表(2)の条件式対応値における焦点位置の変動率ΔFD/dTの値を参照すると、第2実施例の投影光学系においても第1実施例と同様に、雰囲気温度の変化による焦点位置の変動が比較的小さく抑えられていることがわかる。
【0057】
なお、上述の各実施例では、瞳面(開口絞りAS)に関して完全に対称な等倍光学系に本発明を適用しているが、これに限定されることなく、必要に応じて第1部分光学系G1の焦点距離と第2部分光学系G2の焦点距離との比を変えることにより、投影倍率を若干変更することができる。こうして投影倍率を等倍から若干変更した状態において、投影光学系はその瞳面に関してほぼ対称に構成された状態になる。換言すると、本発明において、「瞳面に関してほぼ対称」に構成された状態とは、投影倍率を等倍から変更した状態を含むものとする。
【0058】
〔投影光学系の製造方法〕
次に、図9〜図14を参照して、第2実施形態にかかる投影光学系の製造方法について説明する。なお、第2実施形態では、互いに同じ形状である2つの非球面を有する上記第1実施形態の第2実施例にかかる投影光学系の製造方法について説明する。
【0059】
図9は、本発明の第2実施形態にかかる投影光学系の製造方法の製造フローを示すフローチャートである。第2実施形態の製造方法では、各レンズを形成すべきブロック硝材(ブランクス)を製造した後、製造されたブロック硝材の屈折率の絶対値および屈折率分布を、たとえば図10に示す干渉計装置を用いて計測する(S11)。図10では、オイル101が充填された試料ケース102の中の所定位置に被検物体であるブロック硝材103を設置する。そして、制御系104に制御された干渉計ユニット105からの射出光が、フィゾーステージ106a上に支持されたフィゾーフラット(フィゾー平面)106に入射する。
【0060】
ここで、フィゾーフラット106で反射された光は参照光となり、干渉計ユニット105へ戻る。一方、フィゾーフラット106を透過した光は測定光となり、試料ケース102内の被検物体103に入射する。被検物体103を透過した光は、反射平面107によって反射され、被検物体103およびフィゾーフラット106を介して干渉計ユニット105へ戻る。こうして、干渉計ユニット105へ戻った参照光と測定光との位相ずれに基づいて、光学材料としての各ブロック硝材103の屈折率分布による波面収差が計測される。なお、屈折率均質性の干渉計による計測に関する詳細については、たとえば特開平8−5505号公報などを参照することができる。第2実施形態においては、測定された屈折率分布に関する情報を各ブロック硝材103ごとに所定の記憶装置に記憶させておく。
【0061】
次いで、第2実施形態の製造方法では、屈折率分布が計測されたブロック硝材から必要に応じて研削されたブロック硝材を用いて、投影光学系を構成すべき各レンズを製造する。すなわち、周知の研磨工程にしたがって、設計値を目標として各レンズの表面を研磨加工して、球面形状のレンズ面を有する球面レンズと非球面形状のレンズ面を有する非球面レンズとを製造する(S12)。研磨工程では、各レンズの面形状の誤差を干渉計で計測しながら研磨を繰り返し、各レンズの面形状を目標面形状(ベストフィット球面形状)に近づける。こうして、各レンズの面形状誤差が所定の範囲に入ると、各レンズの面形状の誤差を、たとえば図11に示すさらに精密な干渉計装置を用いて計測する(S13)。
【0062】
図11に示す干渉計装置は、設計値が球面である球面レンズの面形状計測に好適なものである。図11では、制御系111に制御された干渉計ユニット112からの射出光が、フィゾーステージ113a上に支持されたフィゾーレンズ113に入射する。ここで、フィゾーレンズ113の参照面(フィゾー面)で反射された光は参照光となり、干渉計ユニット112へ戻る。なお、図11では、フィゾーレンズ113を単レンズで示しているが、実際のフィゾーレンズは複数のレンズ(レンズ群)で構成されている。一方、フィゾーレンズ113を透過した光は測定光となり、被検レンズ114の被検光学面に入射する。
【0063】
被検レンズ114の被検光学面で反射された測定光は、フィゾーレンズ113を介して干渉計ユニット112へ戻る。こうして、干渉計ユニット112へ戻った参照光と測定光との位相ずれに基づいて、被検レンズ114の被検光学面の基準面に対する波面収差が、ひいては被検レンズ114の面形状の誤差(設計上のベストフィット球面からのずれ)が計測される。なお、球面レンズの面形状誤差の干渉計による計測に関する詳細については、たとえば特開平7−12535号、特開平7−113609号、特開平10−154657号公報などを参照することができる。
【0064】
また、非球面レンズの面形状誤差を干渉計を用いて計測する場合には、図11の干渉計装置において、フィゾーレンズ113に代えて、平面形状の参照面を有する参照部材と、該参照部材を透過する光を所定形状の非球面波に変換する非球面波形成部材とをフィゾーステージ113a上に設ける。ここで、非球面波形成部材は、レンズ、ゾーンプレート、或いはそれらの組み合わせで構成され、参照部材からの平面波を、測定対象である被検光学面の面形状に対応した非球面波に変換するものである。なお、このような非球面レンズの計測方法に関しては、たとえば特開平10−260020号、特開平10−260024号、特開平11−6784号を参照することができる。
【0065】
上述のような方法で非球面形状を測定する場合には、被検光学面としての非球面レンズ面の形状の種類の数に応じて、非球面波形成部材を準備する必要があり、投影光学系中の非球面の数が増えると非球面波形成部材の種類も増え、その設計・製造が多大な負荷となりがちであった。さらに、非球面形状計測装置の数が限られているような場合では、投影光学系に用いられる非球面の種類が増えると、計測しようとする非球面の種類に応じて複数種類の非球面波形成部材を交換する工程が必要となり、製造時間がかかりがちであった。
【0066】
しかしながら、第2実施形態の製造方法にかかる投影光学系(すなわち第1実施形態の第2実施例の投影光学系)では、4面ある非球面のうち、2面が互いに同じ形状であって、残りの2面が互いに同じ形状で構成されているため、2種類の非球面波形成部材を準備すれば良く、投影光学系の製造に際して、コスト(設計コスト、製造コスト)の点や、製造時間の短縮の点で非常に有利である。
【0067】
その後、計測された面形状が所定の範囲内に入っているか否かを判断する(S14)。ここで、計測された面形状が所定の範囲内でない場合(図9中NGの場合)、研磨工程(S12)へ移行する。また、計測された面形状が所定の範囲内である場合(図9中OKの場合)、次の組立工程(S15)へ移行する。
【0068】
組立工程では、誤差が所定の範囲内となった複数のレンズを用いて投影光学系26を組み立てる(S15)。具体的には、設計値にしたがって複数のレンズを所定の保持枠で保持することにより、各光学ユニットを順次組み上げる。そして、組み上げた複数の光学ユニットを、鏡筒の上部開口を介して、鏡筒内に順次落とし込む。このとき、各光学ユニットの間には、所定のワッシャを介在させる。こうして、鏡筒内に最初に落とし込まれた光学ユニットが鏡筒の一端に形成された突出部においてワッシャを介して支持され、すべての光学ユニットが鏡筒内に収容されることにより、投影光学系の組立が終了する。なお、投影光学系の組立に関する詳細については、たとえば特開平10−154657号公報などを参照することができる。
【0069】
次いで、第2実施形態の製造方法では、実際に組み立てられた投影光学系の波面収差を測定する(S16)。具体的には、たとえば特開平10−38758号公報に開示されたフィゾー干渉計方式の波面収差測定機を用いて、超高圧水銀ランプ(たとえばi線)を使用する投影光学系の波面収差を測定することができる。この場合、図12に示すように、露光光とほぼ同じ波長を有するレーザ光(たとえばArレーザ光のシングルモード、波長363.8nm)を、ハーフプリズム60およびフィゾーレンズ61のフィゾー面61aを介して、被検光学系としての投影光学系26に入射させる。このとき、フィゾー面61aで反射された光は、いわゆる参照光となり、フィゾーレンズ61およびハーフプリズム60を介して、CCDのような撮像素子62に達する。
【0070】
一方、フィゾー面61aを透過した光は、いわゆる測定光となり、投影光学系26を介して、反射球面63に入射する。反射球面63で反射された測定光は、投影光学系26、フィゾーレンズ61およびハーフプリズム60を介して、CCD62に達する。こうして、参照光と測定光との干渉に基づいて、投影光学系26に残存する波面収差が測定される。同様に、たとえば特開平10−38757号公報に開示されたフィゾー干渉計方式の波面収差測定機を用いて、KrFエキシマレーザ光源を使用する投影光学系の波面収差を測定することもできる。
【0071】
また、たとえば特開2000−97616号公報に開示された、いわゆるPDI(Phase Diffraction Interferometer:位相回折干渉計)方式の波面収差測定機を用いて、ArFエキシマレーザ光源を使用する投影光学系の波面収差を測定することもできる。この場合、図13に示すように、光源21(図13では不図示)から射出されて照明光学系22を介した露光用照明光が、マスク設定位置に位置決めされた第1のピンホール71に入射する。第1のピンホール71を介して形成された球面波は、被検光学系としての投影光学系26を透過して、グレーティング(一次元回折格子)72に入射する。
【0072】
グレーティング72をそのまま透過した0次回折光は、マスク73に形成された第2のピンホール(不図示)に入射する。一方、グレーティング72で回折作用を受けて発生した1次回折光は、マスク73に形成された開口部(不図示)のほぼ中央に入射する。第2のピンホールを介した0次回折光および開口部を通過した1次回折光は、コリメータレンズ74を介して、CCDのような撮像素子75に達する。こうして、第2のピンホールを介して形成された球面波を参照波面とし、開口部を通過した1次回折光の波面を測定波面とし、参照波面と測定波面との干渉に基づいて投影光学系26に残存する波面収差が測定される。
【0073】
次いで、第2実施形態の製造方法では、収差測定工程S16で測定した投影光学系の波面収差が許容範囲内に収まっているか否かを判定する(S17)。判定工程S17において投影光学系の波面収差が許容範囲内に収まっていると判定した場合(図9中OKの場合)、第2実施形態にしたがう投影光学系の製造が終了する。一方、判定工程S17において投影光学系の波面収差が許容範囲内に収まっていないと判定した場合(図9中NGの場合)、レンズを光軸AXに沿って移動させてレンズ間の間隔を変化させる間隔調整や、レンズを光軸AXに対して垂直にシフトさせたりチルトさせたりする偏芯調整を行う(S18)。
【0074】
図14は、間隔調整や偏芯調整が可能に構成された投影光学系の内部構成を概略的に示す図である。なお、図14においては、図1に対応する共通のXYZ座標系を採用している。図14に示すように、鏡筒30は複数の分割鏡筒11〜16を備えており、分割鏡筒16に設けられたフランジ17を介して、図示なき露光装置のフレームに支持されている。これら複数の分割鏡筒11〜16は、光軸Ax方向に積層されている。そして、複数の分割鏡筒11〜16のうち、分割鏡筒11、12,13により支持されているレンズL1P1,L1P2,L1P3,L1P4,L1P5,L1N1は、光軸方向(Z方向)に移動可能で且つXY方向を軸としてチルト可能な可動レンズとなっている。
【0075】
可動レンズL1P1,L1P2,L1P3,L1P4,L1P5,L1N1を保持している分割鏡筒11、12,13の構成について説明する。分割鏡筒11は、それぞれ可動レンズL1P1,L1P2を保持するレンズ枠21,22をその内部に積層した状態で保持し、分割鏡筒12に対して光軸方向(Z方向)に移動可能で且つXY方向を軸としてチルト可能となるように分割鏡筒12に連結されている。分割鏡筒12は、それぞれ可動レンズL1P3,L1P4を保持するレンズ枠23,24をその内部に積層した状態で保持し、分割鏡筒13に対して光軸方向(Z方向)に移動可能で且つXY方向を軸としてチルト可能となるように分割鏡筒13に連結されている。そして、分割鏡筒13は、それぞれ可動レンズL1P5,L1N1を保持するレンズ枠25,26をその内部に積層した状態で保持し、分割鏡筒12に対して光軸方向(Z方向)に移動可能で且つXY方向を軸としてチルト可能となるように分割鏡筒14に連結されている。
【0076】
ここで、分割鏡筒12に取り付けられたアクチュエータ81によって分割鏡筒11が駆動され、分割鏡筒13に取り付けられたアクチュエータ82によって分割鏡筒12が駆動され、分割鏡筒14に取り付けられたアクチュエータ83によって分割鏡筒13が駆動される。これらのアクチュエータ81〜83は、分割鏡筒12〜14の3箇所、具体的にはXY平面内においてZ方向を軸とする方位角120°毎、に取り付けられており、これにより、分割鏡筒11〜13のそれぞれにおける3箇所が独立に光軸方向(Z方向)へ移動する。
【0077】
ここで、それぞれの分割鏡筒11〜13において、3箇所の駆動量が同じ量である場合は、分割鏡筒11〜13は、分割鏡筒12〜14に対してZ方向(光軸方向)へ移動することとなり、3箇所の駆動量が異なる量である場合には、分割鏡筒11〜13は、分割鏡筒12〜14に対してXY方向を軸としてチルトすることになる。
【0078】
これらのアクチュエータ81〜83としては、高精度、低発熱、高剛性及び高クリーン度の圧電素子を使用することができる。なお、アクチュエータ81〜83を圧電素子で構成する代わりに、磁歪アクチュエータや流体圧アクチュエータで構成しても良い。また、これらのアクチュエータによる駆動量、ひいては分割鏡筒11〜13の移動量を計測するために、例えば光学式エンコーダからなる駆動量計測装置を設けて、分割鏡筒11〜13の移動、ひいては可動レンズL1P1,L1P2,L1P3,L1P4,L1P5,L1N1の移動をクローズドループで制御しても良い。
【0079】
さて、分割鏡筒13〜16のうち、分割鏡筒14〜16により支持されているレンズL1N2〜L4P1は、固定レンズとなっている。これらの固定レンズL1N2〜L4P1を保持している分割鏡筒14〜16の構成について説明する。分割鏡筒14は、固定レンズL1N2〜L2P4をそれぞれ保持するレンズ枠31〜37及びスペーサ41〜43を分割鏡筒14の内部に積層した状態で保持しており、分割鏡筒15の上部に連結されている。
【0080】
分割鏡筒15は、固定レンズL2P5〜L3P5をそれぞれ保持するレンズ枠50〜55、スペーサ44〜45、及び開口絞りASを分割鏡筒15の内部に積層した状態で保持しており、分割鏡筒16の上部に連結されている。そして、分割鏡筒16は、固定レンズL3P4〜L4P1をそれぞれ保持するレンズ枠61〜73及びスペーサ46〜48を分割鏡筒16の内部に積層した状態で保持している。
【0081】
また、第2実施形態においては、複数の分割鏡筒11〜16を備えているため、投影光学系の組立時において、分割鏡筒11〜16の間に介在するワッシャ等の間隔調整部材の厚み等を変更することによって、分割鏡筒11〜16間の偏芯調整(XY平面内の位置関係の調整、XY方向を軸とするチルト方向の位置関係の調整)及び分割鏡筒間の間隔調整(Z方向の間隔調整)を行うことができる。なお、このような分割鏡筒間の偏芯・間隔調整に関しては、特開2001−56426号公報に開示されている。
【0082】
なお、上述の説明では、レンズまたはレンズ群を光軸Axに沿って移動させる移動調整(間隔調整)およびレンズまたはレンズ群を光軸Axに対して傾斜させるチルト調整に限定したが、光軸Axに対して垂直な方向(XY平面内の方向)に沿ってレンズをシフトさせるシフト調整を行うことや、光軸Axを軸とする回転方向に沿ってレンズを回転させる回転調整を行うこともできる。
【0083】
第2実施形態の製造方法では、間隔調整や偏芯調整によりレンズ調整された投影光学系の波面収差を再び測定する(S16)。そして、収差測定工程S16で再び測定した投影光学系の波面収差が許容範囲内に収まっているか否かを再度判定する(S17)。判定工程S17において投影光学系の波面収差が許容範囲内に収まっていると判定した場合には、投影光学系の製造が終了する。しかしながら、判定工程S17において投影光学系の波面収差が許容範囲内に収まっていないと判定した場合には、判定工程S17においてOKの判定が得られるまで、レンズ調整工程S18および収差測定工程S16をさらに繰り返す。
【0084】
なお、第2実施形態の製造方法では、収差測定工程S16の後に、判定工程S17およびレンズ調整工程S18を設けているが、これらの工程S16〜S18を省略することができる。すなわち、投影光学系の組立工程S15の後に、第2実施形態の製造方法を終了することもできる。
【0085】
また、第2実施形態では、倍率が等倍である第2実施形態の投影光学系を製造する場合を例にとって説明したが、投影光学系の倍率は等倍には限定されず、例えば拡大倍率、縮小倍率のいずれであっても良い。このような拡大または縮小倍率の投影光学系であっても、投影光学系中に同じ形状の非球面が2つ以上設けられていれば、第2実施形態の製造方法を適用できる。また、第2実施形態ではレンズ面が非球面であった場合を例として説明したが、非球面はレンズ面に設けられるものには限定されず、例えば反射面であっても良い。
【0086】
以上の通り、第2実施形態の製造方法によれば、投影光学系が互いに同じ形状の2組以上の非球面を有しているため、これらの非球面を計測する際の計測時間の短縮、ひいては投影光学系を製造する時間の短縮や、投影光学系を製造する際のコスト(製造装置の製造コスト、投影光学系の製造コスト)を十分におさえることができる。
【0087】
なお、上述の実施形態では、i線(365nm)の露光光を供給する超高圧水銀ランプを光源として用いた例を示したが、露光光の波長はi線には限られない。例えば、光源として超高圧水銀ランプを用い、g線(436nm)のみ、h線(405nm)のみ、g線とh線、h線とi線、またはg線とh線とi線とを露光光としても良い。
【0088】
また、光源として248nmの光を供給するKrFエキシマレーザ、193nmの光を供給するArFエキシマレーザ、157nmの光を供給するF2レーザなどを光源として用いても良い。ここで、KrFエキシマレーザを光源として用いる場合においては、露光光を狭帯化したときには投影光学系中の屈折性光学素子として石英ガラスを用い、露光光量を増すために露光光を狭帯化しないときには投影光学系中の屈折性光学素子として石英ガラスと蛍石とを用いる。また、ArFエキシマレーザを光源として用いる場合においては、投影光学系中の屈折性光学素子として石英ガラスと蛍石とを用いる。また、F2レーザを光源として用いる場合には、投影光学系中の屈折性光学素子として蛍石を用いる。
【0089】
また、上述の実施形態では、液晶表示素子やプラズマディスプレイパネル(PDP)等の表示デバイスの製造のリソグラフィー工程で用いる投影露光装置について説明したが、本発明は表示デバイス製造用の投影露光装置には限定されず、例えば半導体デバイス製造用、フォトマスク製造用、磁気ヘッド製造用、プリント配線基板の製造用にも適用することが可能である。なお、半導体デバイス製造用の投影露光装置ではワークとしてウェハを用い、表示デバイス製造用の投影露光装置ではワークとしてガラス基板を用い、フォトマスク製造用の投影露光装置ではワークとしてガラス基板或いはシリコン基板を用い、磁気ヘッド製造用の投影露光装置では、ワークとしてローバーと呼ばれるバー形状の基板を用い、プリント配線基板製造用の投影露光装置では、ワークWとしてエポキシ樹脂等の樹脂基板を用いる。また、本発明は、基板及びワークの少なくとも一方として帯状のフィルムを用いる投影露光装置にも適用できる。このような投影露光装置は、例えばTAB(Tape Automated Bonding)方式の電子部品の実装に使用されるフィルム回路基板の製造に用いられるフィルム露光装置が知られている。
【0090】
また、上記の実施形態では、基板上の所定のショット領域に対してレチクル(マスク)上のパターン像を一括転写する一括露光方式を採用したが、上記実施形態の露光装置を、ステップ・アンド・スキャン型の投影露光装置やスティッチング及びスリットスキャン型の露光装置としても良い。ここで、ステップ・アンド・スキャン型の投影露光装置は、レチクル(マスク)上の所定形状の照明領域に対して相対的に所定の方向ヘレチクル及び基板を同期して走査することにより、基板上の1つのショット領域にレチクルのパターン像を逐次的に転写するものである。このようなステップ・アンド・スキャン型の露光装置では、投影光学系の露光フィールドよりも広い基板上の領域にレチクルのパターンを露光することができる。
【0091】
また、スティッチング及びスリットスキャン型の露光装置では、レチクル(マスク)上の所定形状の照明領域に対して相対的に所定の第1の方向にレチクル及び基板を同期して走査することにより、基板上の第1列目の領域への露光が行われる。その後、そのレチクルを交換するか、又はそのレチクルを上記照明領域の第1の方向と直交する第2の方向に沿って所定量だけ移動させて、基板を照明領域の第2の方向と共役な方向に横ずれさせる。そして、再びレチクル上の所定形状の照明領域に対して相対的に第1の方向にレチクル及び基板を同期して走査することにより、基板上の第2列目の領域への露光を行う。このようなスティッチング及びスリットスキャン型の露光装置では、投影光学系の露光フィールドよりも広い基板上の領域にレチクルのパターンを露光することができる。なお、このようなスティッチング及びスリットスキャン型の露光装置は、米国特許第5,477,304号公報、特開平8−330220号公報、特開平10−284408号公報などに開示されている。
【0092】
また、上記の実施形態の投影露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定の回路パターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることもできる。以下、図8のフローチャートを参照して説明する。図8において、パターン形成工程401では、本実施形態の露光装置を用いてレチクル(マスク)のパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィー工程が実行される。この光リソグラフィー工程によって、感光性基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レチクル剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルター形成工程402へ移行する。
【0093】
次に、カラーフィルター形成工程402では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたカラーフィルターを形成する。そして、カラーフィルター形成工程402の後に、セル組み立て工程403が実行される。セル組み立て工程403では、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板、およびカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルター等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。セル組み立て工程403では、例えば、パターン形成工程401にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルター形成工程402にて得られたカラーフィルターとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。
【0094】
その後、モジュール組み立て工程404にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子を得ることができる。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の投影光学系では、広い投影視野および高い解像力を確保しつつ、像面の平坦性に優れ、且つ温度変化による焦点位置の変動の比較的少ない、良好な光学性能を達成することができる。したがって、本発明の露光装置および露光方法では、良好な光学性能を有する本発明の投影光学系を用いて、装置および材料の高コスト化を招くことなく、良好な露光を行うことができる。また、本発明では、本発明の露光装置を用いた良好な露光により、大面積で良好なマイクロデバイスを製造することができる。また、本発明の投影光学系の製造方法によれば、高い光学性能を有する投影光学系を得ることができるにもかかわらず、高いコスト化を招くことなく製造時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる投影光学系を備えた露光装置の構成を概略的に示す図である。
【図2】本実施形態の第1実施例にかかる投影光学系のレンズ構成を示す図である。
【図3】第1実施例における投影光学系の球面収差、非点収差および歪曲収差を示す図である。
【図4】第1実施例における投影光学系のコマ収差を示す図である。
【図5】本実施形態の第2実施例にかかる投影光学系のレンズ構成を示す図である。
【図6】第2実施例における投影光学系の球面収差、非点収差および歪曲収差を示す図である。
【図7】第2実施例における投影光学系のコマ収差を示す図である。
【図8】本実施形態の露光装置を用いてプレート上に所定のパターンを形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得る際の手法のフローチャートである。
【図9】本発明の第2実施形態にかかる投影光学系の製造方法の製造フローを示すフローチャートである。
【図10】各レンズを形成すべきブロック硝材の屈折率の絶対値および屈折率分布を測定する干渉計装置の構成を概略的に示す図である。
【図11】設計値が球面である球面レンズの面形状計測に好適な干渉計装置の構成を概略的に示す図である。
【図12】i線ランプ光源を使用する投影光学系の波面収差を計測するフィゾー干渉計方式の波面収差測定機の構成を概略的に示す図である。
【図13】ArFエキシマレーザ光源を使用する投影光学系の波面収差を計測するPDI方式の波面収差測定機の構成を概略的に示す図である。
【図14】間隔調整や偏芯調整が可能に構成された投影光学系の内部構成を概略的に示す図である。
【符号の説明】
1 光源
2 楕円鏡
4 コリメートレンズ
5 波長選択フィルター
6 フライアイレンズ
7 開口絞り
8 コンデンサー光学系
M マスク
PL 投影光学系
P プレート
G1 第1部分光学系
G2 第2部分光学系
AS 開口絞り

Claims (11)

  1. 第1面に形成されたパターンの像を第2面上へ実質的に等倍の倍率で投影する投影光学系において、
    前記第1面側から順に、第1部分光学系と、当該投影光学系の瞳面に関して前記第1部分光学系とほぼ対称的に構成された第2部分光学系とを備え、
    前記第1部分光学系は、互いに対向するように配置された第1組の一対の凹面形状の屈折面と、該第1組の一対の凹面形状の屈折面の間の光路中において互いに対向するように配置された第2組の一対の凹面形状の屈折面とを有し、かつ、前記第1面側から順に、前記第2面側に凹面を向けた第1負レンズと、前記第2面側に凹面を向けた第2負レンズと、前記第1面側に凹面を向けた第3負レンズと、前記第1面側に凹面を向けた第4負レンズとを有することを特徴とする投影光学系。
  2. 前記第1部分光学系は、前記第1面側から順に、正の屈折力を有する第1正レンズ群と、負の屈折力を有する第1負レンズ群と、正の屈折力を有する第2正レンズ群とを有し、
    前記第1負レンズ群は、前記第1負レンズと、前記第2負レンズと、前記第3負レンズと、前記第4負レンズとを含むことを特徴とする請求項1に記載の投影光学系。
  3. 前記第1部分光学系の焦点距離をF1とし、前記第1負レンズ群の焦点距離をf1Nとするとき、
    −0.4<f1N/F1<0
    の条件を満足することを特徴とする請求項2に記載の投影光学系。
  4. 前記第1部分光学系は、前記第1面側から順に、正の屈折力を有する第1正レンズ群と、負の屈折力を有する第1負レンズ群と、正の屈折力を有する第2正レンズ群とを有し、
    前記投影光学系に供給される照明光に対する光学素子の屈折率nの雰囲気温度Tに対する変化率をdn/dTで表すとき、前記第2正レンズ群を構成する少なくとも1つの負レンズは、
    dn/dT<0
    の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の投影光学系。
  5. 前記第2正レンズ群を構成する少なくとも1つの正レンズは、
    dn/dT>0
    の条件を満足することを特徴とする請求項4に記載の投影光学系。
  6. 前記第1部分光学系は非球面を有し、
    前記第1面と前記第2面との光軸に沿った距離をLとし、前記第1面から前記非球面までの光軸に沿った距離をLAとするとき、
    0.035<LA/L<0.3
    の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の投影光学系。
  7. 前記瞳面に関して互いに対称的に配置された第1非球面と第2非球面とを有し、
    前記第1面と前記第2面との光軸に沿った距離をLとし、前記第1面から前記第1非球面までの光軸に沿った距離をLAとするとき、
    0.035<LA/L<0.3
    の条件を満足することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の投影光学系。
  8. 前記第1非球面と前記第2非球面とは互いに同じ形状であることを特徴とする請求項7に記載の投影光学系。
  9. 請求項1乃至8のうちの何れか一項に記載の投影光学系と、前記第1面に設定されたマスクを照明するための照明光学系とを備え、前記投影光学系を介して前記マスク上に形成されたパターンを前記第2面に設定された感光性基板へ露光することを特徴とする露光装置
  10. 請求項9に記載の露光装置を用いて前記マスクのパターンを前記感光性基板へ露光する露光工程と、
    前記露光工程を介して露光された前記感光性基板を現像する現像工程とを含むことを特徴とするマイクロデバイスの製造方法
  11. 所定のパターンが形成されたマスクを照明する照明工程と、
    請求項1乃至8のうちの何れか一項に記載の投影光学系を用いて、前記第1面に設定された前記マスクのパターンを前記第2面に設定された感光性基板へ露光する露光工程とを含むことを特徴とする露光方法
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