JP4925607B2 - 遺伝子組換え加工食品の定量的検知方法 - Google Patents

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Description

本発明は、加工食品に含まれる遺伝子組換え体の定量的検知方法及び当該方法に用いられる核酸分子に関する。より詳細には、本発明は、ダイズ加工食品に含まれる遺伝子組換え体の割合を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて定量的に検知する方法、並びに当該方法に用いられるプライマー、プローブ及び陽性コントロール(標準分子)等の各種の核酸分子に関する。
世界的に、遺伝子組換え技術を利用して開発された農作物の実用化が進んでいる。我が国においても、ダイズ、トウモロコシ等、59品種の作物について遺伝子組換え体が認められている。実際に流通している遺伝子組換え作物として、例えば、トウモロコシについてはBt11系統の後代品種(Novartis社)、Event176系統の後代品種(Novartis社)、MON810系統の後代品種(Monsanto社)、GA21系統の後代品種(Monsanto社)、T25系統の後代品種(Aventis社)が、またダイズについてはRoundup Ready Soy系統の後代品種(Monsanto社)等を挙げることができる。
遺伝子組換え作物は、天然の作物に、害虫抵抗性や除草剤耐性等の産業上好ましい形質を付与する目的で開発される。その主な手法は、元来そのような産業上好ましい形質を有する他の生物から、当該形質を発現する遺伝子を単離し、その遺伝子を対象作物に発現可能な形で導入するというものである。従って、遺伝子組換え作物のDNAの中には、このような導入遺伝子が含まれている。
欧州共同体(EU)により遺伝子組換え作物及びその加工食品の表示に関わる規則(Regulation(EU) No.EC/258/97, Council Regulation (EC) No.1139/98)が定められ、日本に於いても遺伝子組換え作物及びその加工食品の表示に関する制度が定められたことを契機として、食品業界及びそれに関連する業界では、食品原料農作物や食品中の組換えDNAの存否、またはその含量を把握し認識しておくことが求められている。このため、食品、飼料及びこれらの原料農作物中の遺伝子組換え体の有無や含量、特に原料中の存在比を確認する技術が必要とされている。
遺伝子組換え体を検知する技術としては、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(以下「PCR」という)によって該組換え遺伝子を増幅し、これを検出する方法(例えば、非特許文献1及び2);競合PCRによる組換えダイズやトウモロコシの定量的検知技術(例えば、非特許文献3〜6);蛍光プローブを用いた定量的PCR(リアルタイムPCR、インラインPCRともいう)による組換えダイズやトウモロコシの定量的検知技術(例えば、非特許文献7〜9);組換えDNAから生産される蛋白質をEnzyme Linked Immuno Sorvent Assay (ELISA)法を用いて測定することによって、遺伝子組換え体の含量を定量する方法(例えば、非特許文献10)を挙げることができる。また、最近では、定量PCR法を用いて、複数の遺伝子組換え体の系統を含む集団中における遺伝子組換え体の存在比を正確に定量する方法として、内部標準を用いた方法(特許文献1及び2)が確立され、特に前者の方法(特許文献1)は、日本国において遺伝子組換え食品の検査分析の標準法として採用されている。当該方法は、作物中の内在性遺伝子と組換え遺伝子のPCR法によるコピー数を測定し、その比から遺伝子組換え遺伝子の混入量を換算し定量する方法である。
上記標準法として定められた従来の定量PCR法(以下、単に「従来法」という)は、遺伝子組換作物や殆ど加工処理されていない食品や飼料中に含まれる遺伝子組換え体の存在を定量的に検知する方法としては優れているものの、加工食品中に含まれる遺伝子組換え体の定量には適していない。
その理由として、加工食品は、通常加熱や加圧などの比較的苛酷な条件で処理されるため、従来法で測定対象とする遺伝子(組換え遺伝子、内在性遺伝子)が分解され断片化していることが挙げられる。特に遺伝子の分解・断片化の程度は、加工処理法やその程度によって種々異なるため、得られる結果(DNA量)に及ぼす影響を予測することは困難である。また、従来法は測定対象とする内在性遺伝子と組換え遺伝子が、互いに安定して存在するか、または分解していても互いに同じ割合で分解していることを前提とする方法であるが、加熱や加圧などの加工処理によっては、個々に異なる割合や程度で分解する可能性が考えられる。
このように、加工食品、特にレトルトなどの苛酷な加工(加圧や加温)が加えられた加工食品を対象とする場合、従来法で得られる値は、その多くが真値を示していないのが現状である。
Hupfer, C., Hotzel, H., Sachse, K., Engel, K. H., Z. Lebensm. Unters. Forsch. A., 205, 442-445 (1997) Studer, E., Dahinden, I., Luthy, J., Hubner, P., Mitt. Gebiete Lebensm. Hyg.,88, 515-524 (1997) Deutsche Lebensmittlel-Rundschau, Vol.95,Jahrg., Heft 2, 57-59 (1999) Eur. Food. Res. Technol, Vol.209, 83-87 (1999) Z. Lebensm Unters Forsch A, Vol.207, No.3, 207-213 (1998) Food Control Vol.10, 353-358 (1999) Journal of Agricultural and Food Chemistry, Vol.47, No.12, 5261-5266 (1999) Food Control Vol.10, 385-389 (1999) Chemie in Labor und Biotechnik, Vol.50, Jahrg., Heft 1, 6-8 (1999) Food Control Vol.10, 367-374 (1999) WO02/34943 特開2001−136983号公報
本発明の第1の課題は、上記従来法の問題を解消した改良法として、加工食品や加工飼料などのように加工処理された試料中の遺伝子組換え体の存在を定量的に検知するための方法、並びにそれに使用する核酸分子(プライマー、プローブ及び標準分子)を提供することである。特に、本発明の課題は、遺伝子組換えダイズを原料として調製される加工食品や加工飼料に含まれる遺伝子組換え体の定量的検知方法、並びにそれに使用する核酸分子を提供することである。
本発明者らは、上記第1の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、遺伝子組換えダイズの特定のDNA領域を増幅する新規なプライマー対、及びプローブを用いることによって、またダイズ由来のHMG(high-mobility group)遺伝子配列の全部または一部及びRoundup Ready Soy系統に特異的な遺伝子配列を有する組換えDNA分子を標準分子(陽性コントロール)として用いることによって、レトルト加工などといった熱処理された加工食品(ダイズ加工食品)を対象としても遺伝子組換え体の存在を定量的に測定することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明者らが開発した方法は、被験ダイズ試料に含まれる遺伝子組換え体の割合をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて検知する方法において、目的遺伝子の全部若しくは一部及び他のDNAエレメントの全部若しくは一部を含む特定領域を増幅しうる新規な核酸プライマー対を使用することによって、加工処理の有無を問わず、被験ダイズ試料に含まれる遺伝子組換え体の割合を定量的に検知することが可能な、新規かつ実用的な方法である。
すなわち、本発明には下記の態様が含まれる:
項1.被験ダイズ試料に含まれる遺伝子組換え体の割合を、ポリメラーゼ連鎖反応を用いて定量的に検知するために使用される、下記(a)、(b)または(c)の新規核酸プライマー対
(a) 配列番号1に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び配列番号2に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチドからなる核酸プライマー対、
(b) 配列番号3に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び配列番号4に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチドからなる核酸プライマー対、
(c) 配列番号5に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び配列番号6に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチドからなる核酸プライマー対。
項2.被験ダイズ試料に含まれる遺伝子組換え体の割合を、ポリメラーゼ連鎖反応を用いて定量的に検知するために使用される核酸プライマー対セットであって、下記(a)及び(c)の核酸プライマー対を含むことを特徴とするプライマー対セット:
(a) 配列番号1に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び配列番号2に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチドからなる核酸プライマー対、
(c) 配列番号5に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び配列番号6に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチドからなる核酸プライマー対。
項3.被験ダイズ試料に含まれる遺伝子組換え体の割合をポリメラーゼ連鎖反応を用いて定量的に検知するために使用される核酸プローブであって、標識されていてもよい下記(d)または(e)のオリゴヌクレオチドからなることを特徴とする核酸プローブ:
(d) 配列番号7に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、
(e) 配列番号8に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
項4.ダイズ由来のHMG(high-mobility group)遺伝子配列の全部または一部、及びRoundup Ready Soy系統特異的遺伝子配列を有する組換えDNA分子。
項5.さらに、ダイズ由来のLe1遺伝子配列の全部または一部、CaMV 35Sプロモーター配列領域、及びNOSターミネーター配列領域を含む項4記載の組換えDNA分子。
項6.宿主細菌中で自己複製可能なプラスミドである項4または5に記載する組換えDNA分子。
項7.項2記載の核酸プライマー対セット、項3記載の核酸プローブ、及び項4乃至6のいずれか1項に記載する組換えDNA分子を含む、被験ダイズ試料に含まれる遺伝子組換え体の割合をポリメラーゼ連鎖反応を用いて定量的に検知するための試薬キット。
項8.被験ダイズ試料に含まれる遺伝子組換え体の割合をポリメラーゼ連鎖反応を用いて定量的に検知するための方法であって、核酸プライマー対として下記(a)及び(c)の核酸プライマー対のセットを用いることを特徴とする方法:
(a) 配列番号1に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び配列番号2に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチドからなる核酸プライマー対、
(c) 配列番号5に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、及び配列番号6に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチドからなる核酸プライマー対。
項9.核酸プローブとして、標識されていてもよい下記(d)及び(e)のオリゴヌクレオチドを用いることを特徴とする項8に記載する方法:
(d) 配列番号7に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド、
(e) 配列番号8に示される塩基配列を含むオリゴヌクレオチド。
項10.標準分子として、項4乃至6のいずれか1項に記載する組換えDNA分子を用いることを特徴とする項8または9に記載する方法。
項11.被験ダイズ試料が、ダイズ加工試料である項8乃至10のいずれかに記載する方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)遺伝子組換え加工食品の定量検知法
前述するように、本発明は、被験ダイズ試料中に含まれる遺伝子組み換え体の割合を定量的に検知する方法に関するものであり、被験ダイズ試料の原料ダイズに由来する核酸からPCRによって組換えDNA配列を増幅し、検知する工程を含むものである。このため、本発明はまた、当該方法の実施に必要とされる、遺伝子組換え体に特異的DNA配列を増幅するためのプライマー対、そして増幅された特異的DNA配列を検出するためのプローブ、並びに遺伝子組換え体・非遺伝子組換え体を問わず、原料ダイズに特異的に存在するDNA配列(内在性DNA配列)を増幅するためのプライマー対、そして増幅された内在性DNA配列を検出するためのプローブを提供するものである。
本発明が対象とする「被験ダイズ試料」は、ゲノムDNAなどの、その植物体由来の核酸を抽出できるものであればよい。例えば、生の種子(ダイズ)の他、乾燥種子(乾燥ダイズ)、ダイズ粉、豆腐、油揚げ、凍り豆腐、おから、湯葉、豆乳、煮豆ダイズ、炒りダイズ等の低度の加工処理を施した加工食品(低加工食品);並びに納豆、醤油、みそ、缶詰ダイズや瓶詰めダイズ等の高度の加工処理を施した加工食品(高加工食品)を挙げることができる。なお、低度の加工処理としては、例えば、粉砕や煮る等の処理を、また高度の加工処理としては、例えば、醸造やレトルト等の処理を挙げることができ、その限りにおいて上記に列記した低加工食品および高加工食品に限定されるものではない。
本発明の方法は、低度に加工処理されたダイズ試料はもちろん、高度に加工処理されたダイズ試料についても、定量的に遺伝子組換え体を検知することができることを特徴とする。高度に加工処理された「被験ダイズ試料」を対象として、その中の遺伝子組換え体を定量的に検知することが難しいという従来技術に鑑みると、本発明の方法が対象とする「被験ダイズ試料」として好適なものは、本発明によって定量的検知が可能となる、高度に加工処理された「被験ダイズ試料」(例えば、上記高加工食品)ということができる。
本発明の定量的検知方法は、上記従来法に従って、遺伝子組換え体が存在する可能性のあるダイズ試料について、試料中の組換え遺伝子特異的DNA配列の数、試料中の内在性遺伝子の数、及び各遺伝子組換え体について計算された定量比(内標比)に基づいて、試料中の遺伝子組換え体の存在比(組換え体/非組換え体)を算出することによって実施することができる。
具体的には、下記の手順により、遺伝子組換え体の存在比が算出される。
(i)被験ダイズ試料中に存在する可能性のある遺伝子組換え体に特異的なDNA配列(組換え遺伝子特異的DNA配列)、及び上記遺伝子組換え体に対応する生物種(ダイズ)が共通して有する内在性遺伝子のDNA配列を同一分子上に含む分子を、「標準分子」として定量的PCR反応を行うこと
(ii)前記定量的PCR反応の結果に基づいて、前記試料中に存在する組換え遺伝子特異的DNA配列の数を決定する、
(iii)前記定量的PCR反応の結果に基づいて、前記試料中に存在する前記内在性遺伝子のDNA配列の数を決定する、そして
(iv)下記の式に従って、前記被験ダイズ試料中の遺伝子組換え体の存在比(混入率)を決定する。
<式1>
遺伝子組み換え体の存在比(混入率)=
(試料中の組換え遺伝子特異的DNA配列の数/試料中の内在性遺伝子の数)×(1/内標比)×100。
なお、ここで内標比は、純粋な遺伝子組換え系統の代表的品種を使用して抽出されたDNA中の(組換え遺伝子)/(内在性遺伝子)の比率であり、各遺伝子組換え系統品種の中で一定の比率を示すことが知られている。通常、ダイズの遺伝子組換え系統である、Roundup Ready Soyについては内標比0.98が使用される。
本明細書において「DNA配列」という用語は、「DNA配列の全長またはその部分領域」と互換的に用いられる。従って、例えば「組換え遺伝子特異的DNA配列」とは、遺伝子組換え体系統に特異的なDNA配列の全長または1以上のその部分領域を意味する。また、「遺伝子配列」という用語も同様に「遺伝子配列の全長またはその部分領域」と互換的に用いられる。
本明細書において、「遺伝子組換え作物」は外来遺伝子が導入された作物個体全体、外来遺伝子が導入された作物個体の一部、例えば、その器官、組織片、及び細胞(培養細胞を含む)、そのような作物個体に由来する種子、花粉、胚をも含む。特に本発明は、「遺伝子組換え作物」として、前述するように外来遺伝子が導入されたダイズ(遺伝子組換えダイズ)を対象とするものである。遺伝子組換えダイズとして、現在流通しているものとしては、Roundup Ready Soy (40-30-2系統)の後代品種を例示することができる。本発明は特に「遺伝子組換え作物」として、かかるRoundup Ready Soy系統の遺伝子組換えダイズを対象とする。
本明細書において、「定量的PCR」とは、一般には増幅反応開始時の鋳型DNA量を定量するための、PCRを利用した一連の反応をいう。定量PCRには、基準となる内在性遺伝子を利用する内部標準法、及び増幅反応において競合する分子を使用する競合法が含まれる。本発明では中でも内部標準法が使用される。さらに本発明では、各配列の分子数を正確且つ簡便に決定するために標準分子と呼ばれる基準となる鋳型DNA配列を用いた定量PCRが使用される。こうすることで、反応の任意の段階で、反応の進行状況、すなわち増幅の程度をモニターすることができる。従って、本明細書において、「定量的PCR」とは、増幅反応開始時の鋳型DNA量を定量するためのPCRであって、必要に応じて反応の任意の時点で増幅対象の分子についての増幅のモニターも可能であるPCRである。定量を行う場合、通常、そのようなPCRと反応開始時の鋳型DNA分子数とその増幅の指標となるシグナルとを関連付ける検量線とが組み合わされる。この検量線は、分子数が知られた標準分子を用いて作成することができる。
以下、本発明に使用し得る試料DNA、プライマー対、プローブ、PCR反応条件、及び被験試料中の遺伝子組換え体の測定方法、被験試料中の遺伝子組換え体の量を算出する方法について説明する。
被験ダイズ試料由来の核酸は、好ましくは該ダイズ試料のゲノムDNAである。被験ダイズ試料からの核酸の採取方法は特に制限されず、PCRに供し得る品質が得られる方法であればどのような方法も使用することができる。例えば、CTAB法(Murray M.G. Thompsonw.F.,Nuc.Acids.Res., 8,4321 (1980))であり、この方法を必要に応じて改変することもできる。また、例えばQIAGEN Genomic tip 20/G, Plant Maxi Kit(QIAGEN GmbH)等のように市販のDNA抽出用のキットを用いることができる。
このような方法により抽出採取した核酸は、PCR法の鋳型として用いるのに適した状態、例えば、緩衝液に溶解させた状態にしておくことが好ましい。また、得られた核酸の純度は、公知の方法によって評価することが出来る。例えば、230nm、260nm、及び280nmの吸光度を測定することにより純度の検定を行うことが出来る。この場合に、260nm/230nmの値が2よりも大きく、260nm/280nmの値が1.8から2.0であることが、PCR法を行う上で好ましい。
さらに、調製したDNA溶液がPCR法に十分な程度に精製されており、かつ分解を受けていないことを確認するために、ダイズゲノムに内在的に含まれている遺伝子(内在性遺伝子)に対するプライマー対を用いてPCR法による増幅が起こることを確認してもよい。かかる内在性遺伝子として、本発明では好適にHMG(high-mobility group)遺伝子(A novel HMG A-like protein binds differentially to the AT-rich regions located in the far distal and proximal parts of a soybean glutamine synthetase gene (GS15) promoter. Reisdorf-Cren M, Carrayol E, Terce-Laforgue T, Hirel B. Plant Cell Physiol. 2002 Sep;43(9):1006-16.)を挙げることができる。
かかるHMG遺伝子に対するプライマー対としては
HMG01-5’:GCAAGCGAGCCATAGGAAAGTA(配列番号1)と
HMG01-3’:GAGAAGACCAGCGGATTTCAAT(配列番号2)との対:及び
HMG02-5’:GAACAAGTGTACAAGGACCTTCCA(配列番号3)と
HMG02-3’:GAGAAGACCAGCGGATTTCAAT (配列番号4)との対
を挙げることができる。
なお、かかるプライマー対は、新規なプライマー対であり、PCR法において、ダイズの内在性遺伝子に含まれるDNA配列を特異的に増幅し検知するためのプライマー対として有効に利用することができる。しかして本発明は、かかるプライマー対を提供するものでもある。好ましくは、上記HMG01-5’とHMG01-3’とのプライマー対である。
以上のようにして得られるダイズ由来の核酸を用いてPCRを行う。
ここで用いるプライマー対の他の一つは、遺伝子組換え特異的DNA配列の全部もしくは一部を含む領域を増幅しうるプライマー対(組換え遺伝子用プライマー対)である。かかるプライマー対を用いることにより、遺伝子組換え体に存在する遺伝子組換え特異的DNA配列を特異的に増幅して検知することができる。なお、本発明において検知の対象となる遺伝子組換え体は、好ましくはRoundup Ready Soy系統の後代品種である。かかる遺伝子組換え体に含まれる組換えDNA配列は既に公知である(米国特許第5,633,435号)。
本発明で用いる組換え遺伝子用プライマー対としては、下記に示すRRS02遺伝子に対するプライマー対を挙げることができる。
RRS02-5’:CTTCACGGTGCAAGCAGCC(配列番号5)
RRS02-3’:GACTTGTCGCCGGGAATG(配列番号6)。
かかるプライマー対は、新規なプライマー対であり、PCR法において、ダイズの遺伝子組換え体系統(Roundup Ready Soy系統)に特有に含まれるDNA配列を、特異的に増幅し検知するためのプライマー対(組換え遺伝子用プライマー対)として有効に利用することができる。しかして本発明は、かかるプライマー対を提供するものでもある。
また、定量的PCR法によりプライマー対が増幅する領域の反応開始時の分子数を定量出来ることが既に公知となっている。既に幾通りかの定量的PCR法が知られているが、多くの場合、プライマー対に挟まれた領域の配列に相補的なプローブを作成する必要がある。プローブは増幅によって生じたDNA配列の数(コピー数)に対応したシグナルを生成するものであればよく、例えば、PCRの際,DNA2本鎖形成反応および2本鎖から1本鎖への乖離反応、または核酸の伸長反応を検知し得る適切な物質を使用することができる。一般にはプローブとして蛍光標識された核酸が使用される。特に、プローブはPCRによる増幅反応においてポリメラーゼの伸長反応に使用される条件下で鋳型DNAに特異的にハイブリダイズし、DNA鎖の伸長、すなわち鋳型DNAの増幅に伴って蛍光量を変化させるものであって、その変化が増幅の程度の指標となることが好ましい。特に、鋳型DNAの増幅に伴って分解され、蛍光物質を遊離し、その結果、反応混合物中の蛍光量を増加させ、かつその蛍光量の増加が増幅の程度の指標となるものであることが好ましい。このようなプローブを使用することにより、PCR反応における増幅の様子をリアルタイムで簡便にモニターすることができる。そのような蛍光標識プローブは当業者によく知られたものであり、そのような性質を有す適切な配列の蛍光標識プローブを合成することもできる。さらに、プローブは対応するプライマー対よりも10℃程度Tm値が高いこと、全長が18塩基から25塩基程度であること、末端にGを有さないことなどが好ましい。
本発明の方法の一つの実施態様では、PCR反応における増幅に伴って分解され、それによって蛍光量が増加し、その蛍光量の増加が増幅の指標となるプローブが使用される。
本発明では、かかるプローブのうち、上記内在性遺伝子(HMG遺伝子)に対するプライマー対〔(HMG01-5’とHMG01-3’)または(HMG02-5’とHMG02-3’)、好ましくは(HMG01-5’とHMG01-3’)〕によって増幅されたDNA配列を検知するためのプローブ(HMG01プローブ、HMG02プローブ)として、下記の塩基配列を有するポリヌクレオチドを用いることができる:
HMG01プローブ:CACCCACTCTGCTTTGTTGACTCACCA(配列番号7)
HMG02プローブ:CACCCACTCTGCTTTGTTGACTCACCA(配列番号7)。
また、RRS02遺伝子に対するプライマー対(組み換え遺伝子用プライマー対:RRS02-5’とRRS02-3’) によって増幅されたDNA配列を検知するためのプローブとして、下記の塩基配列を有するポリヌクレオチドを用いることができる:
RRS02プローブ:CGCAACCGCCCGCAAATCC(配列番号8)。
かかるポリヌクレオチドは、前述するように蛍光色素等で標識されていてもよい。かかる蛍光色素としては、FAM(商標:Applera社)(例えば6-FAM: 6-carboxyfluorescein)、TET(商標:Applera社)(tetrachloro-6-carboxy-fluorescein)、HEX(商標:Applera社)(hexachloro-6-carboxy-fluorescein)、JOE(商標:Applera社)(2,7-dimethoxy-4,5-dichloro-6-caboxy-fluorescein)、TAMRA(商標:Applera社)(6-carboxy-tetramethyl-rhodamine)、ROX(商標:Applera社)(6-carboxy-X-rhodamine )、VIC(商標:Applera社)を挙げることができる。
以上のようにして設計されるプライマー対並びにプローブを用いて、被験ダイズ試料由来の核酸を鋳型として、定量的PCRを行うことができる。この場合の反応液は、当業者であれば容易に調製することができるため、特に制限しないが、例えば、鋳型となる核酸、プライマー対、PCR緩衝液、dNTP、塩化マグネシウム、DNAポリメラーゼ等をそれぞれ適切な量で使用して調製することが出来る。例えば、試料からの抽出DNAを50ng程度使用し、プライマーの最終濃度0.2〜0.5μM程度とし、反応系の全量を25μlとして反応を行なうことができる。
PCRの温度条件についても、特に限定されないが、例えば、95℃で10分間保持した後、以後95℃30秒、58℃30秒、72℃30秒を1サイクルとして40サイクルの反復を行い、40サイクル終了後に72℃で7分保持したのち、4℃に保持することができる。
ただし、この条件に何等拘束されることなく、当業者の日常的な設計変更事項として、各段階の温度および時間は適宜変更することができる。また、このような反応は公知の装置を用いて行うことが出来る。
試料中の組換えDNA配列の分子数は定量的PCRを行なうことによって得ることができる。定量的PCRは、単に増幅対象DNA配列の初期量を測定するだけでは、その値が直接遺伝子組換え体の含量を示さないことが知られている。従って、本発明では、試料中の組換えDNA配列の分子数を、例えば、予め既知量の標準分子を内部標準として用いて定量的PCRを行なうことにより検量線を作成しておく。そして、被験ダイズ試料について同様の定量的PCRを行ない、そこで得られた結果を、前記検量線を用いて換算することにより、試料中の組換えDNA配列の分子数を決定する。
試料中の内在性DNA配列の分子数についても同様な方法で決定することができる。
一方、純粋な遺伝子組換え体について、予めそれらの遺伝子組換え体中の組換えDNA配列の分子数と内在性DNA配列の分子数を定量的PCRによって測定し、測定値の比として「内標比」が定義される。この内標比は、遺伝子組換え体の各系統に導入されている組換えDNA配列の分子数や種類の違いに依存して各々固有の値をとるため、遺伝子組換え体の存在比への定量値の変換は、組換えDNA配列の系統間における多様性を厳密に勘案しうるものである。本発明の方法は、このような内標比を使用することにより、試料DNA溶液中に含まれうるPCR阻害因子などの反応系そのものに対する攪乱因子や、DNA抽出時の収量の差異などによる定量値の誤りを回避することができる。
なお、この内標比の値はPCRの増幅対象領域や遺伝子組換え体の系統に依存して固有の値を取るため、一度内標比の値を知ることができれば、以後はこの値を係数として用いることにより、増幅対象DNA配列の反応初期量と、内部標準配列の反応初期量からもとの試料における遺伝子組換え体の存在比を知ることができる。本発明において、このような内標比としては、0.98を用いることができる。
また本発明においては、内部標準として、ダイズが共通に有する特異的な内在性DNA配列、特に内在性遺伝子配列を用いることができる。なお、内部標準として、人工的に構築した標準分子を用いることもできる。
本発明の方法に適した内部標準(標準分子)は、ダイズの遺伝子組換え体系統(Roundup Ready Soy系統)に特異的な1以上の組換えDNA配列であって対応する生物種(すなわちダイズ)に共通する1以上の内在性DNA配列を同一分子上に含む組換えDNA分子である。かかる内部標準(標準分子)として、本発明は、Roundup Ready Soy系統特異的遺伝子配列、及び遺伝子組換え体(Roundup Ready Soy系統)に共通するDNA配列として、例えばCaMV 35Sプロモーター配列、NOSターミネーター配列の全部または一部、及びダイズ由来のLe1遺伝子の全部または一部を有するように構築された組換えDNA分子を用いる。かかる組換えDNA分子の具体例として、実施例3で構築したプラスミド「pMulSL2」を例示する(図6)。組換えDNA分子は、さらにダイズが共通に有する特異的な内在性遺伝子(HMG遺伝子)若しくはその部分領域を含むことができる。かかる組換えDNA分子の具体例として、実施例3で構築したプラスミド「pMulSLH」を例示する(図7)。
かかる組換えDNA分子は、上記の配列以外に適切な宿主内で複製させるための種々の配列、あるいは、この標準分子を有する宿主を選抜するためのマーカー遺伝子、その他を更に含んでいてもよい。必要であれば適切な制限酵素を使用することにより、あるいはPCR法によって一部を増幅することにより、この組換えDNA分子から標準分子として使用し得る最小領域のみを得ることもできる。しかしながら、かかる組換えDNA分子は、PCRに供する分子数を容易に制御できるという特性を有することが好ましい。例えば、組換えDNA分子の全塩基配列が既知であるか、または分子量が既知である場合、PCRに供する組換えDNA分子の分子数を制御することができる。組換えDNA分子の塩基配列や分子量は必要に応じて測定することも可能である。
このような内部標準(標準分子)は、当業者によく知られた分子生物学的技術を用いて構築することができる。例えば、制限酵素切断断片を順次クローニングすることによって構築してもよく、tailedプライマーを用いたPCR産物の統合を繰り返すことによって構築してもよい。好ましくは、この標準分子は適切な宿主、例えば微生物、動物細胞、植物細胞内で自己複製可能な組換えDNA分子として構築される。標準分子がプラスミドとして構築される場合は、スーパーコイル形成がPCRの反応系を不安定にさせる場合があるので、制限酵素で切断して直線状分子として使用することが好ましい。この場合、増幅対象のDNA配列を切断することがない限り、どのような制限酵素で切断してもよい。
本発明における定量的PCR、およびそれによる目的DNA配列の分子数の決定はより具体的には、例えば以下のようにして行なうことができる。
(i)検量線の作成
種々の分子数の内部標準(標準分子)、ダイズの遺伝子組換え体系統(Roundup Ready Soy系統)に特異的なDNA配列、またはダイズが共通に有する内在性DNA配列を特異的に増幅するためのプライマー対を用い、前記内在性DNA配列または遺伝子組換え体系統に特異的なDNA配列の増幅に伴って蛍光量を増加させるプローブの存在下でPCRを行なう。各分子数の標準分子を反応開始時の鋳型DNAとする反応について、それぞれ蛍光量を一定のサイクル数毎にモニターする((A)、(B))。
次に蛍光量の増加がサイクル数に対して指数関数関係にある領域で、蛍光量増加(ΔRn)の閾値を設定する。次に、PCRサイクル数を縦軸にとり、反応開始時の鋳型DNA分子数を横軸にとり、この閾値に達するPCRサイクル数を反応開始時のDNA鋳型分子数に対してプロットして検量線を得ることができる。
(ii)試料DNAのPCR
被験ダイズ試料中に存在する可能性のある、遺伝子組換え体系統(Roundup Ready Soy系統)に特異的なDNA配列、およびダイズが共通に有する内在性DNA配列に関して、前記被験ダイズ試料中の前記遺伝子組換え体に特異的なDNA配列および前記内在性DNA配列に対してそれぞれ定量的PCR反応を行なう。遺伝子組換え体に特異的なDNA配列は各遺伝子組換え体系統に特異的であっても、二以上の遺伝子組換え体系統に共通であってもよい。この場合、各遺伝子組換え体に特異的なDNA配列および内在性DNA配列に対するPCRは同一反応混合物中で行ってよく、別個の反応混合物中で行ってもよいが、鋳型DNA分子が両反応で同一であることが保証される必要がある。
(iii)遺伝子組換え体系統(Roundup Ready Soy系統)に特異的なDNA配列、および内在性DNA配列の分子数の決定
上述のようにそれぞれの配列についてPCRを行ない、増幅の指標となるシグナルをモニターし、そのシグナルが(i)で定めた閾値に達したときのPCRサイクル数を測定する。次に、得られたサイクル数を(i)で作成した検量線を用いて反応開始時の分子数に換算する。すでに(i)の検量線が得られている場合は、その検量線を用いて上述の(ii)以降の手順を行えばよい。
斯くして被験ダイズ試料中の組換え体特異的DNA配列の分子数、及び内在性DNA配列の分子数が得られたら、前述の式(I)に従って、被験ダイズ試料中の遺伝子組換え体の全体に対する存在比あるいは各系統別の存在比を計算することができる。この際、内標比としては、予め定められた0.98を用いることもできる。
式1において、定量すべき組換えDNA配列として遺伝子組換え体の系統特異的DNA配列を選択してもよく、系統特異的ではないが遺伝子組換え体に頻用されるDNA配列を選択してもよい。
前者を選択した場合は、試料中の各系統の存在比を正確に知ることが出来るので、全ての遺伝子組換え体系統について分析を繰り返した後に、得られた各系統ごとの試料中における存在比を加算することで、試料中における総体としての遺伝子組換え体の存在比を正確に定量する事ができる。このような方法は、多くの場合、分析試料が流通段階で複数系統の混合物であるという流通実態に対して好適な分析法であるといえる。後者を選択した場合には、同時に複数の系統のおよその存在比を知ることが出来るので、少ない試験回数で試料中における総体としての遺伝子組換え体のおよその存在比を簡便に定量する際には好適な標準試料として使用することが出来る。この場合、式(I)における定量比としては、試料中に存在する可能性のある遺伝子組換え体系統について計算される定量比のうち任意の値を選択することができるが、これらのうちの最小の定量比を用いるのが好ましい。これにより、遺伝子組換え体の存在比として、可能性のある最大値を見積もることができるからである。
以上に示される方法は、当業者であれば適切に実施することができるが、該方法において使用するプライマー等を含むキットにより的確に実施することができる。よって、本発明はかかる試薬キットをも提供する。
このような本発明の試薬キットは、被験ダイズ試料に含まれる組換え遺伝子の存在量を検知するために有効に用いられる上記の1種又は2種以上のプライマー対、プローブ、内部標準(標準分子)を含む。本発明のキットは、さらに必要に応じて、DNA抽出用試薬(DNA抽出用キット)、塩化マグネシウム、PCR用緩衝液、滅菌蒸留水、DNAポリメラーゼなどのPCR反応用試薬(プライマーを除く)、染色剤、電気泳動用ゲルなどの検出用試薬などを含んでもよい。また、本発明のキットは、各種プライマー及び各種試薬を用いて上記組換え遺伝子を検出するための説明書を含んでもよい。
本発明の新規なプライマー対、及びプローブを用いることによって、またダイズ由来のHMG(high-mobility group)遺伝子配列の全部または一部及びRoundup Ready Soy系統に特異的な遺伝子配列を有する組換えDNA分子を標準分子(陽性コントロール)として用いることによって、レトルト加工などといった熱処理された加工食品(ダイズ加工食品)を対象としても遺伝子組換え体の存在を定量的に測定することができる。本発明の方法は、被験ダイズ試料に含まれる遺伝子組換え体の割合をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて検知する方法において、目的遺伝子の全部若しくは一部及び他のDNAエレメントの全部若しくは一部を含む特定領域を増幅しうる新規な核酸プライマー対を使用することによって、加工処理の有無を問わず、被験ダイズ試料に含まれる遺伝子組換え体の割合を定量的に検知することが可能な、新規かつ実用的な方法である。
以下に本発明を実施するための最良の形態として実験例及び実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、これらの実験例及び実施例は説明のためのものであり、本発明の技術的範囲を制限するものではない。
実験例1
(1)ダイズ試料
ダイズ(Glycine max)は、次の2品種の乾燥種子を用いた。
遺伝子組換えダイズ :Roundup ready Soy系統後代品種
非遺伝子組換えダイズ:アメリカ産非組換えダイズ。
(2)試薬
(2-1)DNA抽出試薬
ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)(試薬特級)(Sigma Chemical Co.)
QIAGEN DNase Plant Maxi Kit(QIAGEN GmbH)
QIAGEN DNase Plant Mini Kit(QIAGEN GmbH)
QIAGEN Genomic-tip 20/G(QIAGEN GmbH)。
(2-2)緩衝液
G2緩衝液:800 mM guanidine HCl; 30 mM Tris-HCl, pH8.0; 30 mM EDTA, pH8.0; 5% Tween-20; 0.5% Triton X-100
QBT緩衝液:750 mM NaCl; 50 mM MOPS, pH7.0; 15% isopropanol; 0.15% Triton X-100
QC緩衝液:1.0 M NaCl; 50 mM MOPS, pH7.0; 15% isopropanol
QF緩衝液:1.25 M NaCl; 50 mM Tris-HCl, pH8.5; 15% isopropanol。
(2-3)定量的PCRには以下の試薬を使用した
TaqMan Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems)。
(3)装置
(3-1)試料からのDNA抽出には以下の装置を使用した
粉砕器“Multi Beads Shocker MB301”(Yasui Kikai Co.)
粉砕器“DM-6”(Yu Chi Machinery Co., Ltd.)
タッチミキサー“Tube mixer”(Yamato Scientific Co., Ltd.)
超純水製造装置“CPW-20”(ADVANTEC Toyo kaisha Ltd.)
インキュベーター“Thermo Minder SD mini”(TAITEC Co.)
遠心機“himac CT13”(Hitachi Koki Co., Ltd.)
遠心機“himac CF15D2”(Hitachi Koki Co., Ltd.)
遠心機“Allegra(商標) 6KR”(Beckman Coulter, Inc.)
分光光度計“DU7400”(Beckman Coulter, Inc.)。
(3-2)定量的PCRには以下の装置を使用した
定量的PCR装置“ABI PRISM 7700 Sequence Detector System”(PE Biosystems)
定量的PCR装置“ABI PRISM 5700 Sequence Detector System” (PE Biosystems)。
(4)その他
プライマーの合成は、北海道システムサイエンス(株)に委託した。
プローブの合成は、Applied Biosystemsに委託した。
DNA塩基配列の確認は、北海道システムサイエンス(株)に委託した。
実施例1 DNAの抽出
厚生労働省通知 アレルギー物質を含む食品の検査方法について (食発第1106001号、平成14年11月6日)に記載されている「2.3.2.2. イオン交換樹脂タイプキット法」の方法に従って、ダイズ試料からDNAを抽出した。具体的な手法は、下記の通りである。
ダイズ試料の調製物(ダイズ試料を凍結乾燥した後、粉砕し均質化を図ったもの)0.5 gをポリプロピレン製遠沈管(50 mL容)に量り採る。同遠沈管にG2緩衝液 7.5 mLを加えてボルテックスミキサーで激しく混合し、混合後さらにG2緩衝液7.5 mL、並びにα-アミラーゼ(1 mg/mL) 200 μLを加え再びボルテックスミキサーで混合する。混合処理後、37℃で1時間加温する。この間、数回遠沈管を反転させ試料を攪拌する。加温処理後、Proteinase K(QIAGEN Proteinase K:QIAGEN社) 100 μLならびにRNase A(QIAGEN社) 20 μLを加えボルテックスミキサーで混合し、その後、50℃で2時間加温する。この間、数回遠沈管を反転させ試料を攪拌する。次いで、低温下(4 ℃)、8000 x gの条件で25分間遠心し、上清9 mlを、シリンジ(10 ml)に分取後、濾過膜〔Millex-HV(MILLIPORE社)、材質Poly VinyliDene Fluoride)に負荷し、ろ過を行う。この間にイオン交換樹脂カラムQIAGEN Genomic-tip 20/G(QIAGEN社)をQBT緩衝液 1 mLを用いて平衡化しておく。
ろ液を平衡化済みイオン交換樹脂カラムQIAGEN Genomic-tip 20/Gに2 mLずつ3回に分けて負荷する(最終負荷量として、 6 ml)。上清全量の負荷操作を終了した後、イオン交換樹脂カラムQIAGEN Genomic-tip 20/GにQC緩衝液2 mLを負荷し、洗浄する。同様の洗浄操作を合計3回繰り返した後、カラムを新しいポリプロピレン製遠沈管(15 mL容)に移し変える。洗浄操作終了後のカラムに予め50 ℃に温めておいたQF緩衝液 1mLを加えDNAを溶出する。同カラムに対し、もう1度同様の溶出操作を行う。得られた計2 mLの溶出液に対し、2.5倍量のエタノール(5 ml)、及び1/10倍量の3M 酢酸ナトリウム(200 μL)を加えよく混合し、低温下(4 ℃)、8000 x g 以上の条件で20分間遠心し、沈殿を除かないよう、注意を払いつつ上清のみを除く。上清を除いた後の遠沈管にエタノール濃度70 %の含水エタノール 5 mLを加え、低温下(4 ℃)、8000 x gの条件で10分間遠心する。上清を捨て、残った沈殿を乾燥させるため、アスピレーターを用いて5分間程度の真空乾燥処理を行う。このとき完全に乾燥しないように注意する。沈殿が乾燥したことを確認した後、TE(pH8.0)200 μLを加え、65 ℃、5分間の条件での加温処理、ならびにピペッティングによりDNAを溶解させ、DNA試料原液(DNA抽出溶媒)とする。
実施例2 検知すべき領域の選定(プライマー対・プローブの設計)
遺伝子組換え体系統特異的DNA配列を増幅するためのプライマー対は、導入されているDNA配列において、複数の種類のDNA配列にまたがる領域を増幅するように設計した。具体的には、Round Ready Soy系統後代品種について、CTP4配列とCP4-epsps遺伝子配列との境界領域を増幅するようにプライマーを設計した(図1参照)。
RRS02-5’:CTTCACGGTGCAAGCAGCC(配列番号5)
RRS02-3’:GACTTGTCGCCGGGAATG(配列番号6)。
またダイズが共通して有する特異な内在性遺伝子のDNA配列として、HMG(high-mobility group)遺伝子の内部配列を選定し、これらのシークエンスをゲノムデータベース検索により取得して下記の2つのプライマー対を設計した。
1. HMG01プライマー対
HMG01-5’:GCAAGCGAGCCATAGGAAAGTA(配列番号1)
HMG01-3’:GAGAAGACCAGCGGATTTCAAT(配列番号2)
2.HMG01プライマー対
HMG02-5’:GAACAAGTGTACAAGGACCTTCCA(配列番号3)
HMG02-3’:GAGAAGACCAGCGGATTTCAAT(配列番号4)。
実施例3 標準分子の作成
標準分子の作成は、WO02/34943A1の実施例6に記載されている手法に準じて行った。まず、検知すべき領域の統合を図2に模式的に示す手順に従って行った。
即ち、表1に示したtailedプライマーを用いて対応する遺伝子組換え体系統から抽出したDNAを鋳型としたPCRを順次行い、分子末端に別の検知すべき領域と相補的な配列を有するPCR産物を得たのち、得られたPCR産物は隣接させたい領域を増幅させたPCR産物とともにPCRを利用した統合反応に供した。
Figure 0004925607
PCRは、鋳型となるダイズDNAを10ng、tailedプライマーを各0.5μM、DNAポリメラーゼ“KOD”(TOYOBO Co., Ltd.)を0.156Unit、dNTPを160μM、MgC1を1.5mM、×10PCRバッファーII(TOYOBO Co., Ltd.)を2.5μL混合したものに蒸留水を加えて、全量25μLの反応系とした。反応条件は、98℃で1分間保持した後、以後98℃30秒、54℃30秒、74℃1分を1サイクルとして35サイクルの反復を行い、35サイクル終了後に74℃で2分保持したのち、4℃に保持した。
得られたPCR産物は隣接させたい領域を増幅させたPCR産物とともにPCRを利用した統合反応に供した。即ち、先に増幅した各々のPCR産物を0.25μLずつ、DNAポリメラーゼ“KOD”(TOYOBO Co., Ltd.)を0.156Unit、dNTPを160μM、MgClを1.5mM、×10PCRバッファーII(TOYOBO Co., Ltd.)を2.5μLに蒸留水を加えて、全量24.5μLの反応系として、まずプライマーなしのPCR増幅を行った。反応条件は、98℃で1分間保持した後、以後98℃30秒、56℃30秒、74℃1分を1サイクルとして8サイクルの反復を行ったところで反応を止めた。
その後、最外部のプライマーをそれぞれ0.5μM加えた後、再度PCR増幅を行って、2つの領域が統合された増幅産物を得た。この2回目の反応条件は、98℃で1分間保持した後、以後98℃30秒、56℃30秒、74℃1分を1サイクルとして35サイクルの反復を行い、35サイクル終了後に74℃で2分保持したのち、4℃に保持した。
同様の統合反応を繰り返し、図3に示す塩基配列(配列番号9)を有する分子(分子A)を得た。すなわち、分子Aは、5’末端側から順に、図3に示す塩基配列中、塩基番号1〜121に位置するRoundup Ready Soy系統特異的増幅対象DNA配列、塩基番号122-239に位置するLe1(GENBANK アクセッション番号K00821 M30884)増幅対象DNA配列、塩基番号240-419に位置するNOSターミネータ増幅対象DNA配列、及び塩基番号240-419に位置するNOSターミネータ増幅対象DNA配列、及び塩基番号428-528に位置するCaMV 35Sプロモーター増幅対象DNA配列が統合されている。次いで、この分子A(図3)の5’末端側の領域にさらに図4に示す塩基配列(配列番号10)を結合して分子(分子B)を得た。すなわ分子Bは、5’末端から順に、図4に示すHMG(high-mobility group)遺伝子増幅対象DNA配列、図3に示す塩基配列中、塩基番号1〜121に位置するRoundup Ready Soy系統特異的増幅対象DNA配列、塩基番号122-239に位置するLe1(GENBANK アクセッション番号K00821 M30884)増幅対象DNA配列、塩基番号240-419に位置するNOSターミネータ増幅対象DNA配列、及び塩基番号240-419に位置するNOSターミネータ増幅対象DNA配列、及び塩基番号428-528に位置するCaMV 35Sプロモーター増幅対象DNA配列が統合されている。図3、及び図4に示す塩基配列を、それぞれ配列番号9、及び10に示す。
上記の統合分子(分子A、分子B)は、DNAポリメラーゼ“AmpliTaq Gold”(PE Biosystems)による再増幅の後、TOPO TA Cloning Kit with TOP10F’ Cells(Invitrogen Co.)を用いてプラスミドベクター(pUC19)にライゲーションし、大腸菌宿主ベクター系を用いて容易な無限供給を可能とした。即ち、上記した統合分子(分子A、または分子B)1μLを鋳型として、上記と同一の条件でPCR増幅を行ったのち、反応液1μLとプラスミドベクター(pUC19)1μL、塩溶液バッファーを1μLを混合し、室温で5分間静置したのち、反応液の2μLをキットに含まれる大腸菌株TOP10F’ Cellsと混合し氷上で5分静置後42℃30秒のヒートショックを加えて形質転換を行った。
形質転換体を含む溶液100μLをLB(ampicillin)プレート(1Lあたりの組成:トリプトン ペプトン(Difco Laboratories)10g、酵母エキストラクト(Difco Laboratories)5g、NaCl(Wako Pure Chemical Industries, Ltd.)5g、アガー粉末(Syoei Kanten Ltd.)15g、D[−]−α−アミノベンジルペニシリン(ampicillin)ナトリウム(Sigma)50mgに撒き、37℃一晩静置して形質転換体を得た。
得られた形質転換体はそれぞれのコロニーについてコロニーダイレクトPCRを行い、正しい形質転換体を選択した。即ち、M13フォワードプライマー、M13リバースプライマーを各0.5μM、DNAポリメラーゼ“AmpliTaq Gold”(PE Biosystems)を0.625Unit、反応バッファーは×10PCRバッファーII(PE Biosystems)を2.5μL用い、MgClは反応系あたり1.5mM、dNTPは200μMとなるよう調製した。これに蒸留水を加えて、全量25μLの反応系とし、この溶液に爪楊枝で拾い上げたコロニーを懸濁した。
反応条件は95℃で5分間保持した後、以後95℃30秒、50℃30秒、72℃90秒を1サイクルとして35サイクルの反復を行い、35サイクル終了後に72℃で90秒保持した後、4℃に保持した。
得られたPCR増幅産物をアガロースゲル電気泳動し、設計と合致する増幅産物が認められたコロニーについて40mLのLB(ampicillin)液体培地(1Lあたりの組成:トリプトン ペプトン(Difco Laboratories)10g、酵母エキストラクト(Difco Laboratories)5g、NaCl(Wako Pure Chemical Industries, Ltd.)5g、D[−]−α−アミノベンジルペニシリン(Ampicollin)ナトリウム(Sigma)50mg中で37℃一晩培養した。
大量培養した大腸菌形質転換体からQIAGEN Plasmid Maxi Kit(QUIAGEN GmbH)を用いてプラスミドを抽出した。プラスミドの抽出はキット添付のプロトコールに従った。
統合分子(分子A)を鋳型として用いて調製したプラスミド(pMulSL)(図5)、及び統合分子(分子B)を鋳型として用いて調製したプラスミド(pMulSLH)((図6)は、それぞれ塩基配列に誤りのないことを確認し標準分子とした。これらの分子を定量的PCRに使用する際には、制限酵素で切断、直鎖化した分子を用いた。下記の実施例中では上記プラスミド(pMulSLH)の制限酵素消化物(以下「pMulSLH消化物」という)を標準分子として用いた。
実施例4 プライマー対およびプローブの特異性の確認(定量的PCR)
実施例2で設計したプライマー対およびプローブが、定量的PCRにおいて目的とする配列のみを特異的に検知することができることを確認した。
実施例5 加工処理による影響
(1)擬似混入試料として、重量%が1%または5%になるように遺伝子組換え大豆とアメリカ産非遺伝子組換え大豆を混合した。これをパウダー状になるまでミキサーを用いて粉砕した。この大豆パウダーに等量の水を加え(大豆粉:水=1:1)ペースト状にし、モデル加工処理を行った。サンプルは1点につき2.4gを耐圧性試験管にはかりとり、50kP(111℃),80kPa(117℃)の2つの圧力で0, 20, 40, 60, 80, 100 minの6点の時間処理を行った。各圧力・時間ともにn=3で試験を行った。加工処理済み試料を凍結乾燥し、粉砕、均一試料とし、0.5gサンプリングし、実施例1の方法に従ってDNA抽出を行った。
(2)定量PCR法
TaqMan(登録商標) Universal PCR Master Mix (Applied Biosystems) 12.5μL、対象プライマー対溶液(各プライマー25μmol/L) 0.5 μL、対象プローブ溶液(10 μmol/L) 0.5μL、水9μL、20 ng/μL DNA試料溶液2.5 μL又は検量線用標準プラスミドDNA溶液2.5 mLの組成でPCR反応溶液を調製し、1DNA試料あたり3ウェル並行で行った。
なお、プライマー対セットとして、下記表2に示す「RRS02/ HMG01」セット(本発明)、「RRS01/ Le1n02」セット(比較例1)、及び「RRS01/ Le1n03」セット(比較例2)をそれぞれ用いた。
Figure 0004925607
また、上記のプライマー対で増幅したDNA配列の検出に使用するプローブを下記表3に示す。
Figure 0004925607
定量PCRの反応条件は、50℃、2分間の条件で保持した後、95℃で10分間加熱し、ホットスタート法で反応を開始した。その後、95℃ 30秒、59℃ 1分を1サイクルとし、40サイクルの増幅反応を行った。反応終了後、測定結果の解析を行った。また、PCR反応にはABI PRISM(商標)7700を用いた。標準分子として実施例3で調製した「pMulSLH 消化物」を使用した。
(3)結果
50kPで加圧処理した遺伝子組換え体の混入物(1重量%、5重量%)の結果を、それぞれ図7Aおよび図7Bに示す。また、80kPで加圧処理した遺伝子組換え体の混入物(1重量%、5重量%)の結果を、それぞれ図8Aおよび図8Bに示す。
これらの結果から、本発明のプライマー対セット(「RRS02/ HMG01」セット)とそれに対応するプローブ(配列番号7)を使用することによって、加工処理の影響を受けにくく、組み換え体の存在を定量的に検知することができることがわかる。
実験例2
(1)加工処理用試料
各種ダイズ疑似混入試料粉に対し、等重量の蒸留水を加え、ミキサーミルを用いて十分に均一化して調製した。なお、ダイズ疑似混入試料粉は非遺伝子組換えダイズの粉砕物をマトリクスとし、遺伝子組換えダイズの粉砕物を0、1、5及び100%(w/w)の割合で含有する試料である。なお、以下、遺伝子組換えダイズの粉砕物を1、5及び100%(w/w)の割合で含有する試料を、それぞれ1%RRS、5%RRS、及び100%RRSと称する。
(2)標的遺伝子
(2-1)標的遺伝子1(内在性遺伝子)
1.Lectin遺伝子
2.HMG(high-mobility group)遺伝子。
(2-2)標的遺伝子1(RRS特異的DNA配列)
CTP配列とCP4-epsps遺伝子配列との境界領域。
(3)プライマー対とプローブ
(3-1) Lectin遺伝子定量系
(i) Le1n02定量系:プライマー対(Le1n02-5’、 Le1n02-3’)
Figure 0004925607
(ii) Le1n03定量系:プライマー対(Le1n03-5’、 Le1n03-3’)
Figure 0004925607
(3-2) HMG遺伝子定量系
(i) HMG01定量系:プライマー対(HMG01-5’、 HMG01-3’)
Figure 0004925607
(ii) HMG02定量系:プライマー対(HMG02-5’、 HMG02-3’)
Figure 0004925607
(3-3) RRS特異的DNA配列定量系
(i) RRS01定量系:プライマー対(RRS01-5’、 RRS01-3’)
Figure 0004925607
(ii) RRS02定量系:プライマー対(RRS02-5’、 RRS02-3’)
Figure 0004925607
実施例6
(1)加工処理(加熱処理)
各加工処理用試料につき、各々2.4 gを耐熱試験管に測りとり、アルミブロック恒温槽内で105℃にて、0、50、100、150、200、または250分間加熱処理を行った。処理後、凍結乾燥し、再粉砕及び再均一化を行い、1検体あたり0.5 gを秤量した。これをDNA抽出用試料とし、実施例1の方法に従ってDNA抽出を行った (1実験区あたり3検体使用)。
(2)定量PCR法
TaqMan(登録商標) Universal PCR Master Mix (Applied Biosystems) 12.5μL、対象プライマー対溶液(各プライマー25μmol/L) 0.5 μL、対象プローブ溶液(10 μmol/L) 0.5μL、水9μL、20 ng/μL DNA試料溶液2.5 μL又は検量線用標準プラスミドDNA溶液2.5 mLの組成でPCR反応溶液を調製し、1DNA試料あたり3ウェル並行で行った。
なお、プライマー対として、標的遺伝子をLectin遺伝子(内在性遺伝子)とするLectin遺伝子定量系については、上記(3-1)に示す「Le1n02-5’/-3’」(Le1n02定量系)と「Le1n03-5’/-3’」 (Le1n03定量系)の各プライマー対を、標的遺伝子をHMG遺伝子(内在性遺伝子)とするHMG遺伝子定量系については、上記(3-2)に示す「HMG01-5’/-3’」(HMG01定量系)と「HMG02-5’/-3’」(HMG02定量系)の各プライマー対を、また標的遺伝子をRRS特異的DNA配列とするRRS特異的DNA配列定量系については、上記(3-3)に示す「RRS01-5’/-3’」(RRS01定量系)と「RRS02-5’/-3’」(RRS02定量系)の各プライマー対を、各々用いた。
定量PCRの反応条件は、50℃、2分間の条件で保持した後、95℃で10分間加熱し、ホットスタート法で反応を開始した。その後、95℃ 30秒、59℃ 1分を1サイクルとし、40サイクルの増幅反応を行った。反応終了後、測定結果の解析を行った。また、PCR反応にはABI PRISM(商標)7700を用いた。標準分子として実施例3で調製した「pMulSLH 消化物」を使用した。
各定量系について、加熱処理時間を横軸に、増幅された標的遺伝子のコピー数を縦軸にとったグラフを図9に、またその片対数プロットを図10に示す。
この結果から、加熱処理による各標的DNA配列のコピー数は、加工時間に依存し、対数的に減衰することがわかる。解析の結果得られた各定量系における指数近似極性の相関係数は0.98以上と非常に良好であった。
以上示したとおり、各定量系を用いて測定されたコピー数が、加工処理時間依存的かつ、対数的に減少していることが明らかになった。これらの結果は、加工処理により、測定対象となるDNAが変質しており、また、その反応様式が一次反応であることを意味している。そこで、定量系毎に得られたコピー数をy軸、加工処理時間をx軸にプロットし、指数近似曲線を作成すると、一般式:y=ae-kxで表すことのできる数式が得られた。
この式において、yはある時点におけるコピー数、aは初期コピー数(加工処理時間0分におけるコピー数)、kは反応速度定数、xは加工処理時間を表す。また、これから、一次反応の一般式、[A]=[A]0e-ktが得られる。この一般式において、[A]はある時点における物質の濃度、[A]0は物質の初期濃度、kは反応速度定数、tは反応時間を表す。上記のようにして各定量系に対して作成された一次反応式を比較すると、反応速度定数は基本的に、各定量系、および加工処理条件に固有の値であり、試料に含まれているRRSの量にはよらず、一定であることが明らかになった。さらに、内在性遺伝子を標的とする定量系と、RRS特異的配列を標的とする定量系とを組み合わせて考えた場合には、反応速度定数の値が非常に近い組み合わせがあることが明らかとなった。特に、HMG01とRRS02の定量系を用いて求められた反応速度定数は、1%試料において、それぞれ-0.0333、-0.0326、また5%試料において-0.0352、-0.0345と、全ての定量系の組み合わせの中で最も近い値を示した。この結果は、測定対象としたモデル加工食品(低圧加工処理)においては、両定量系を用いて測定されるコピー数が加工処理に対し、同様の速度で減少していることを示唆している。
次いで、各プライマー対を用いて、2種の内在性遺伝子を標的とした定量系〔Lectin遺伝子定量系(Le1n02定量系、Le1n03定量系)、HMG遺伝子定量系(HMG01定量系、HMG02定量系)〕より得られたコピー数の比を求めた(HMG02/Le1n02、Le1n03/Le1n02、HMG02/ HMG01)。加熱処理時間を横軸に、上記で求めたコピー数の比を縦軸にとったグラフを図12に示す。これから、内在性遺伝子を標的とする各定量系により得られたコピー数の比は、加工時間に依存して変動することが明らかになった。そこで、この結果から、内在性遺伝子のコピー数の比から、加工時間(加熱時間)が推定できると考えられた。
実施例7
上記のことを踏まえて、1%RRS、5%RRS、及び100%RRSを被験試料として、RRS特異的DNA配列を標的遺伝子とするRRS特異的DNA配列定量系(RRS01定量系、RRS02定量系)を用いて、実施例6と同様にして定量PCRを行った。RRS01定量系及びRRS02定量系について、加熱処理時間を横軸に、増幅された標的遺伝子のコピー数を縦軸にとったグラフをそれぞれ図13及び図14に示す。また、各試料、各定量系から得られた減衰率(指数近似曲線の傾き)を表10に示す。
Figure 0004925607
この結果、遺伝子組換え体の混入率に因らず、減衰率がほぼ一定となることが明らかとなった。
実施例8
以上の実施例で示したように、加熱処理加工食品を対象とした場合、各定量系を用いて測定されるコピー数は加熱処理時間依存的に減少し、その減少率は各定量系に固有のものであった。これらの結果に基づき、内在性遺伝子を標的とした異なる定量系を組み合わせ、それらから得られるコピー数の比を求めることで、加工処理時間を推定することができると思われた。検討の結果、いずれの定量系を組み合わせて実験を行った場合にも、コピー数比は、処理時間とよい相関を保ちながら変動していることが明らかになった(実施例6)。また実施例7に示したとおり、ある条件で処理したモデル加工食品においては、RRS(遺伝子組換えDNA配列)の含量に依らず、RRS01あるいはRRS02定量系を用いて得られるコピー数の減少率(反応速度定数)は一定であったことから、遺伝子組換え体の混入量が未知な試料においても、同様であると考えた。上記のことを踏まえ、また先に述べたとおり、モデル加工食品におけるコピー数の減少が一時反応であることに基づき、未知試料の実測コピー数から、加工処理時間と、加工前のコピー数(遺伝子組換え体の混入率)を算出する解析方法を構築した。
すなわち、上記検討の結果から、加熱処理したダイズモデル加工食品における各標的DNA配列のコピー数の経時的変化は、加工時間とコピー数との間に良好な相関性、及び直線線を保ちながら推移することがわかった。そして、x軸を加工処理時間、y軸をコピー数とするxy座標において、一般式:y=aecx(式中、aは初期コピー数、cは傾きを意味する)で示される指数曲線に近似させることが可能であることを確認した。これらの知見から、上記本発明の「遺伝子組換え加工食品の定量検知法」を用いて得られる内在性遺伝子のコピー数の比から、当該加工食品の加工時間と、加工前の食品に対する遺伝子組換え体の混入率を推定することができることを見いだした。
その概要を、図14〜20に示す。なお、図14は推定される未知試料の指数近似曲線を示す。
この方法によれば、未知試料(遺伝子組換え体混入率未知、加熱処理時間未知)を測定して得られる2種類の内在性遺伝子のコピー数の比をもちいて、当該試料の加工時間(加熱時間)を推定することができる。また、これを100%RRS(遺伝子組換え体混入率100%)の指数近似曲線と傾きが同じ式に代入することで、当該試料の加工前の遺伝子組換え体のコピー数(b)を算出することができる。
遺伝子組換えダイズ(Roundup Ready Soy系統)に導入された組換えDNA配列の構成と、プライマーの設計位置を示す。 PCR産物の統合手法を示す模式図である。 HMG遺伝子のターゲット配列(HMG配列)の塩基配列を示す。 ダイズ用標準分子の塩基配列の一部(3’領域)を示す。この塩基配列の5’末端側の領域に図3に示す塩基配列(HMG配列)が結合したものがダイズ用標準分子の塩基配列である。 プラスミドpMulSLHの模式図を示す。ベクターに挿入されている配列のうち、HMG領域が図3に示す塩基配列、RRS-Le1領域が図4に示す塩基配列である。 プラスミドpMulSLH2の模式図を示す。ベクターに挿入されている配列のうち、HMG領域が図3に示す塩基配列、RRS-Le1-NOSターミネーター-CaMV35Sプロモーターの領域が図4に示す塩基配列である。 実施例5において、50kPで加圧処理した遺伝子組換え体の混入物(RRS1%、及びRRS5%)に関する結果を示す図である。図AはRRS1%の結果、図BはRRS5%の結果、をそれぞれ示す。 実施例5において、80kPで加圧処理した遺伝子組換え体の混入物(RRS1%、及びRRS5%)に関する結果を示す図である。図AはRRS1%の結果、図BはRRS5%の結果、をそれぞれ示す。 実施例6において、Leln02定量系、Leln03定量系、HMG01定量系、HMG02定量系、RRS01定量系及びRRS02定量系について行った実験結果を、加熱処理時間を横軸、定量PCRで増幅された標的遺伝子のコピー数を縦軸に示したグラフである。 図9の片対数プロットを示す。 実施例6において、2種の内在性遺伝子を標的とした定量系より得られたコピー数の比を、加熱処理時間を横軸に、上記コピー数の比を縦軸にとったグラフである。 実施例7において、RRS01定量系について行った実験結果を、加熱処理時間を横軸、定量PCRで増幅された標的遺伝子のコピー数を縦軸に示したグラフである。 実施例7において、RRS02定量系について行った実験結果を、加熱処理時間を横軸、定量PCRで増幅された標的遺伝子のコピー数を縦軸に示したグラフである。 推定される未知試料の指数近似曲線を示す。 未知試料の実測コピー数から、加工処理時間と加工前のコピー数(遺伝子組換え体の混入率)を算出する解析方法の概要を示す。図16及び17に続く。 未知試料の実測コピー数から、加工処理時間と加工前のコピー数(遺伝子組換え体の混入率)を算出する解析方法の概要を示す。図17に続く。 未知試料の実測コピー数から、加工処理時間と加工前のコピー数(遺伝子組換え体の混入率)を算出する解析方法の概要を示す。 内在性遺伝子のコピー数比と加工時間の関係式から算出した推定加工時間を示す。 1%RRS試料について、数式から得られた遺伝子組換え体の混入率算出結果を示す。 5%RRS試料について、数式から得られた遺伝子組換え体の混入率算出結果を示す。

Claims (6)

  1. (A)ダイズ加工試料である被験ダイズ試料に含まれる遺伝子組換え体の割合を、ポリメラーゼ連鎖反応を用いて定量的に検知するために使用される、下記(a)及び(b)の核酸プライマー対を含む核酸プライマー対セット、
    (B)標識された下記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドを含む核酸プローブ、及び
    (C)下記(a)及び(b)の核酸プライマー対のセットを用いて増幅可能な組換えDNA分子であって、配列番号1で示される塩基配列またはその相補配列、配列番号7に示される塩基配列またはその相補配列、及び配列番号2で示される塩基配列またはその相補配列をこの順で含み、かつ配列番号5に示される塩基配列またはその相補配列、配列番号8に示される塩基配列またはその相補配列、及び配列番号6に示される塩基配列をこの順で含む組換えDNA分子
    を含む、
    被験ダイズ試料に含まれる遺伝子組換え体の割合をポリメラーゼ連鎖反応を用いて定量的に検知するための試薬キット
    (a) 配列番号1に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び配列番号2に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドからなる核酸プライマー対、
    (b) 配列番号5に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び配列番号6に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドからなる核酸プライマー対、
    (c) 配列番号7に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、
    (d) 配列番号8に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド。
  2. 前記組換えDNA分子が、さらに、ダイズ由来のLe1遺伝子配列、CaMV 35Sプロモーター配列領域、及びNOSターミネーター配列領域を含むことを特徴とする請求項1に記載するキット。
  3. 前記組換えDNA分子が宿主細菌中で自己複製可能なプラスミドであることを特徴とする請求項1または2に記載するキット。
  4. ダイズ加工試料である被験ダイズ試料に含まれる遺伝子組換え体の割合をポリメラーゼ連鎖反応を用いて定量的に検知するための方法であって、
    (A)核酸プライマー対として下記(a)及び(b)の核酸プライマー対のセットを用い
    (B)核酸プローブとして、標識された下記(c)及び(d)のオリゴヌクレオチドを用い、かつ
    (C)標準分子として、下記(a)及び(b)の核酸プライマー対のセットを用いて増幅可能な組換えDNA分子であって、配列番号1で示される塩基配列またはその相補配列、配列番号7に示される塩基配列またはその相補配列、及び配列番号2で示される塩基配列またはその相補配列をこの順で含み、かつ配列番号5に示される塩基配列またはその相補配列、配列番号8に示される塩基配列またはその相補配列、及び配列番号6に示される塩基配列またはその相補配列をこの順で含む組換えDNA分子を用いることを特徴とする方法:
    (a) 配列番号1に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び配列番号2に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドからなる核酸プライマー対、
    (b) 配列番号5に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、及び配列番号6に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドからなる核酸プライマー対
    (c) 配列番号7に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド、
    (d) 配列番号8に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチド
  5. 前記組換えDNA分子が、さらに、ダイズ由来のLe1遺伝子配列、CaMV 35Sプロモーター配列領域、及びNOSターミネーター配列領域を含むことを特徴とする請求項4に記載する方法。
  6. 前記組換えDNA分子が宿主細菌中で自己複製可能なプラスミドであることを特徴とする請求項4または5に記載する方法。
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