JP7386655B2 - 遺伝子組換え体の検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は遺伝子技術に関し、遺伝子組換え体の検出方法に関する。
食品等の試料に含まれる遺伝子組換え体の定量には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が広く用いられている(例えば、特許文献1から7及び非特許文献1から3参照。)。一方、試料が加工されるに従って、熱、pH変化、及び物理的な力等によって、試料に含まれるデオキシリボ核酸(DNA)が分解し、断片化することが知られている。また、DNAが断片化すると、PCRによる遺伝子組換え体の定量値に誤差が生じることも確認されている。
例えば、遺伝子組換え体を5%含むダイズ原料を、豆腐、豆乳、及び煮豆に加工すると、加工方法や加工量に応じて、PCRで定量された加工品における遺伝子組換え体の存在比が、実際の5%より高くなったり、低くなったりすることが報告されている(例えば、非特許文献4参照。)。したがって、PCRで定量された加工品における遺伝子組換え体の存在比が基準値より高くても、加工品の原材料は実際には基準値以上の遺伝子組換え体を含んでいない可能性がある。また、PCRで定量された加工品における遺伝子組換え体の存在比が基準値より低くても、加工品の原材料は実際には基準値以上の遺伝子組換え体を含んでいる可能性がある。
特許第4291568号公報 特許第4317450号公報 特許第4925607号公報 特許第5229864号公報 特表2002-536024号公報 特開2013-063082号公報 特開2017-143803号公報
Takeshi Ogasawara et al., "Fragmentation of DNAs of Processed Foods Made from Genetically Modified Soybeans," Jpn, J. Food Chem., 2003, 10, 155-160 食品表示基準Q&A別添「遺伝子組換え食品に関する事項」、消費者庁、平成27年3月30日改正 食品表示基準別添「安全性審査済みの遺伝子組換え食品の検査方法」、消費者庁、2019年3月28日改正 Tomoaki Yoshimura et al., "Comparative Studies of the Quantification of Genetically Modified Organisms in Foods Processed from Maize and Soy Using Trial Producing," J. Agric. Chem., 2005, 53, 2060-2069
試料における遺伝子組換え体の存在比を正確に定量できなくとも、試料に遺伝子組換え体が基準値以上に存在することを正確に判定できる方法が望まれている。そこで、本発明は、試料に遺伝子組換え体が基準値以上に存在することを正確に判定できる、遺伝子組換え体の検出方法を提供することを目的の一つとする。
本発明の態様によれば、遺伝子組換え体の検出方法であって、少なくとも1種の遺伝子組換え体を含む可能性のある試料に含まれる核酸配列の少なくとも一部を、遺伝子組換え体に由来する組換え遺伝子を特異的に増幅するプライマーと、遺伝子組換え体に対応する生物種が共通に有する内在性遺伝子を特異的に増幅し、かつ内在性遺伝子の増幅産物の増幅長が組換え遺伝子の増幅産物の増幅長に対して95%以下となるよう構成されたプライマーと、を使用して、PCRにより増幅することと、PCRの結果に基づいて、試料中の遺伝子組換え体の存在比が基準値より高いか判定することと、を含む、方法が提供される。
上記の方法において、遺伝子組換え体の存在比が基準値よりも高い場合、試料が遺伝子組換え体を含むと判定してもよい。
上記の方法において、試料中の核酸配列の少なくとも一部が分解されていてもよい。
上記の方法において、試料が加工されていてもよい。
上記の方法において、PCRの結果に基づいて、試料中の遺伝子組換え体の存在比を決定することをさらに含んでいてもよい。
上記の方法において、試料中の核酸配列の少なくとも一部が分解されており、上記の方法が、核酸配列が分解される前の試料における遺伝子組換え体の存在比が、決定された遺伝子組換え体の存在比より高いと判定することをさらに含んでいてもよい。
上記の方法において、試料が加工されており、上記の方法が、加工される前の試料における遺伝子組換え体の存在比が、加工された試料における決定された遺伝子組換え体の存在比より高いと判定することをさらに含んでいてもよい。
上記の方法において、PCRの結果に基づいて決定される試料中に存在する組換え遺伝子の量と、PCRの結果に基づいて決定される試料中に存在する内在性遺伝子の量と、に基づいて、試料中の遺伝子組換え体の存在比を決定してもよい。
上記の方法において、下記(1)式に基づいて、遺伝子組換え体の存在比を決定してもよい。
C=(NG/NE)×(1/R)×100 (1)
(1)式において、Cは遺伝子組換え体の存在比(%)、NGは試料中の組換え遺伝子の量、NEは試料中の内在性遺伝子の量、Rは内標比を表す。
上記の方法において、内標比が、下記(2)式で与えられてもよい。
R=NG100/NE100 (2)
(2)式において、NG100は100%の遺伝子組換え体中の組換え遺伝子の量、NE100は100%の遺伝子組換え体中の内在性遺伝子の量を表す。
上記の方法において、内標比が、下記(3)式で与えられてもよい。
R=NGx/NEx×100/x (3)
(3)式において、NGxは遺伝子組換え体x%の認証標準物質中の組換え遺伝子の量、NExは遺伝子組換え体x%の認証標準物質中の内在性遺伝子の量を表す。
上記の方法において、組換え遺伝子の増幅産物が閾値に達した時のサイクル数と、内在性遺伝子の増幅産物が閾値に達した時のサイクル数と、に基づいて、試料中の遺伝子組換え体の存在比が基準値より高いか判定してもよい。
上記の方法において、組換え遺伝子の増幅産物が閾値に達した時のサイクル数と、内在性遺伝子の増幅産物が閾値に達した時のサイクル数と、の差に基づいて、試料中の遺伝子組換え体の存在比が基準値より高いか判定してもよい。
上記の方法において、内在性遺伝子の増幅産物の増幅長が組換え遺伝子の増幅産物の増幅長に対して93%以下であってもよい。
上記の方法において、組換え遺伝子の増幅産物の増幅長が40bp以上1000bp以下であってもよい。
上記の方法において、PCRが定量PCRであってもよい。
上記の方法において、PCRがリアルタイムPCRであってもよい。
上記の方法において、PCRがマルチプレックスPCRであってもよい。
上記の方法において、生物種が植物であってもよい。
また、本発明の態様によれば、遺伝子組換え体の検出キットであって、遺伝子組換え体に由来する組換え遺伝子を特異的に増幅するPCRプライマーと、遺伝子組換え体に対応する生物種が共通に有する内在性遺伝子を特異的に増幅し、かつ内在性遺伝子の増幅産物の増幅長が組換え遺伝子の増幅産物の増幅長に対して95%以下となるよう構成されたPCRプライマーと、を備える、キットが提供される。
上記のキットが、試料中の遺伝子組換え体の検出キットであってもよい。
上記のキットにおいて、試料中の核酸配列の少なくとも一部が分解されていてもよい。
上記のキットにおいて、試料が加工されていてもよい。
上記のキットにおいて、内在性遺伝子の増幅産物の増幅長が組換え遺伝子の増幅産物の増幅長に対して93%以下であってもよい。
上記のキットにおいて、組換え遺伝子の増幅産物の増幅長が40bp以上1000bp以下であってもよい。
上記のキットにおいて、PCRが定量PCRであってもよい。
上記のキットにおいて、PCRがリアルタイムPCRであってもよい。
上記のキットにおいて、PCRがマルチプレックスPCRであってもよい。
上記のキットにおいて、生物種が植物であってもよい。
本発明によれば、試料に遺伝子組換え体が基準値以上に存在することを正確に判定できる、遺伝子組換え体の検出方法を提供可能である。
実施形態に係る試料中の核酸配列の分子数と増幅産物のコピー数との関係を模式的に示す図である。 実施形態に係るΔCqと遺伝子組換え体の存在比の関係を模式的に示す図である。 実施形態に係るΔCqと遺伝子組換え体の存在比の関係を模式的に示す図である。 実施形態に係る未加工品のΔCqと加工品のΔCqの関係を模式的に示す図である。 実施形態に係る未加工品のΔCqと加工品のΔCqの関係を模式的に示す図である。
以下に本発明の実施形態を説明する。ただし、以下の実施形態が本発明を限定するものであると理解するべきではない。本開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかになるはずである。本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。
実施形態に係る遺伝子組換え体の検出方法は、少なくとも1種の遺伝子組換え体を含む可能性のある試料に含まれる核酸配列の少なくとも一部を、遺伝子組換え体に由来する組換え遺伝子を特異的に増幅するプライマーと、遺伝子組換え体に対応する生物種が共通に有する内在性遺伝子を特異的に増幅し、かつ内在性遺伝子の増幅産物の増幅長が組換え遺伝子の増幅産物の増幅長に対して95%以下となるよう構成されたプライマーと、を使用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により増幅することと、PCRの結果に基づいて、試料中の遺伝子組換え体の存在比が基準値より高いか判定することと、を含む。
試料は、例えば植物原料を含む。植物の例としては、ダイズ、コムギ、オオムギ、及びトウモロコシ等が挙げられる。試料は、遺伝子組換え体からなる原料と、当該遺伝子組換え体と同じ種である非遺伝子組換え体からなる原料と、を含み得る。内在性遺伝子(内在性DNA配列)とは、種が同じであれば、遺伝子組換え体、非遺伝子組換え体を問わずに普遍的に存在する遺伝子(DNA配列)である。遺伝子組換え体と、当該遺伝子組換え体と同じ種である非遺伝子組換え体は、共に同じ内在性遺伝子を有する。例えば、遺伝子組換えダイズと、非遺伝子組換えダイズは、共に同じ内在性遺伝子を有する。遺伝子組換え体が有する組換え遺伝子(組換えDNA配列)を、非遺伝子組換え体は有しない。
試料は加工されていてもよく、試料に含まれるDNA等の核酸配列の少なくとも一部が分解により断片化されていてもよい。分解とは、加熱による分解、酵素による分解、酸による分解、アルカリによる分解、物理的な力による分解、及び菌等の微生物による発酵等による分解等を含む。試料に含まれる核酸配列は、PCRを実施する前に、試料から抽出される。
プライマーはPCRプライマーである。PCRは、リアルタイムPCR等の定量PCRであってもよいし、マルチプレックスPCRであってもよい。PCRの結果から試料中の遺伝子組換え体の存在比が基準値より高いか否かを判定することが可能であれば、PCRの種類は限定されない。本開示において、増幅長とは、PCRによる増幅産物の配列長を指す。組換え遺伝子を特異的に増幅するプライマーの設計部位としては、例えば、非遺伝子組換え体のゲノムが有しない導入遺伝子、導入遺伝子を挟むプロモーター及びターミネーター、これら配列の境界領域、非遺伝子組換え体ゲノムとこれら配列との境界領域が挙げられる。プロモーターは導入遺伝子を発現させるために必要な領域のことであり、ターミネーターは導入遺伝子の発現を終了させるために必要な領域である。
内在性遺伝子の増幅産物の増幅長は、組換え遺伝子の増幅産物の増幅長に対して、95%以下、93%以下、92%以下、91%以下、90%以下、88%以下、85%以下、83%以下、あるいは80%以下である。また、内在性遺伝子の増幅産物の増幅長は、組換え遺伝子の増幅産物の増幅長に対して、4%以上、10%以上、あるいは20%以上である。
組換え遺伝子の増幅産物の増幅長は、例えば、40bp以上、50bp以上、60bp以上、70bp以上、80bp以上、90bp以上、あるいは100bp以上である。また、組換え遺伝子の増幅産物の増幅長は、例えば、1000bp以下、400bp以下、200bp以下、190bp以下、180bp以下、170bp以下、160bp以下、あるいは150bp以下である。
PCRがリアルタイムPCR等の定量PCRである場合、PCRの結果に基づいて決定される試料中に存在する組換え遺伝子の量と、PCRの結果に基づいて決定される試料中に存在する内在性遺伝子の量と、に基づいて、試料中の遺伝子組換え体の存在比を決定する。
例えば、試料中の遺伝子組換え体の存在比は、下記(4)式に基づいて算出される。
C=(NG/NE)×(1/R)×100 (4)
(4)式において、Cは試料中の遺伝子組換え体の存在比(%)、NGは定量PCRで決定される試料中の組換え遺伝子の量、NEは定量PCRで決定される試料中の内在性遺伝子の量、Rは内標比を表す。
内標比とは、純度100%の遺伝子組換え体中の内在性遺伝子の量に対する純度100%の遺伝子組換え体中の組換え遺伝子の量の比であり、下記(5)式で与えられる。
R=NG100/NE100 (5)
(5)式において、Rは内標比、NG100は100%の遺伝子組換え体中の組換え遺伝子の量、NE100は100%の遺伝子組換え体中の内在性遺伝子の量を表す。
また、内標比は、遺伝子組換え体の存在比が明らかな認証標準物質などを用いることでも定めることができる。この場合、内標比Rは下記(6)式で与えられる。
R=NGx/NEx×100/x(6)
(6)式において、Rは内標比、NGxは遺伝子組換え体x%の認証標準物質中の組換え遺伝子の量、NExは遺伝子組換え体x%の認証標準物質中の内在性遺伝子の量を表す。
内標比は、組換え体系統のそれぞれにおいて固有であり、一定の値を示すと考えられている。したがって、内標比としては、予め取得された値や、公開されている値を用いてもよい。ただし、内標比は、定量PCRを実施する機種の違いによって変化する場合があるので、試料を分析する定量PCR装置と同じ定量PCR装置で決定された内標比の値を用いることが好ましい。
ここで、図1(a)に示すように、試料が未加工であり、試料中の核酸配列が分解されていない場合は、鋳型核酸配列のコピー数は、増幅産物の増幅長にかかわらず、試料中の鋳型核酸配列の分子数に理論的には対応する。これに対し、図1(b)に示すように、試料が加工されており、試料中の核酸配列が分解されている場合は、鋳型核酸配列のコピー数は少なくなる傾向にある。ただし、増幅産物の増幅長が短いほど、鋳型核酸配列のコピー数の減少は抑制される傾向にある。
本実施形態においては、内在性遺伝子の増幅産物の増幅長が、組換え遺伝子の増幅産物の増幅長に対して95%以下と短くなるよう設定される。そのため、試料を加工し試料中の核酸配列が分解したことによる内在性遺伝子の鋳型核酸配列のコピー数の減少の程度は、試料を加工し試料中の核酸配列が分解したことによる組換え遺伝子の鋳型核酸配列のコピー数の減少の程度よりも抑制される。
試料中の遺伝子の量は、PCRによる鋳型核酸配列のコピー数に基づいて決定される。したがって、加工される前の試料中の内在性遺伝子の実際の量に対する、定量PCRにより決定される加工され分解した試料中の内在性遺伝子の量の減少度は、加工される前の試料中の組換え遺伝子の実際の量に対する、定量PCRにより決定される加工され分解した試料中の組換え遺伝子の量の減少度よりも小さくなる。
そのため、上記(4)式におけるNGの減少度より、NEの減少度の方が小さいことから、本実施形態に係る方法によって決定される試料中の遺伝子組換え体の存在比は、加工される前の試料中の遺伝子組換え体の実際の存在比よりも低くなる。したがって、本実施形態に係る方法によって決定される試料中の遺伝子組換え体の存在比が基準値よりも高い場合は、試料に含まれる核酸配列の分解の程度にかかわらず、加工される前の試料中の遺伝子組換え体の存在比も基準値より必ず高いと判断することが可能である。よって、本実施形態に係る方法によって決定される試料中の遺伝子組換え体の存在比が基準値よりも高い場合は、加工される前の試料中に基準値よりも必ず高い存在比で遺伝子組換え体が存在していたと判断することが可能である。
なお、基準値は、政府機関、自治体機関、食品メーカー、流通業者、及び消費者団体等が任意に設定した値であってもよい。日本においては、分別生産流通管理を実施しても意図せずに混入してくる遺伝子組換え食品の混入許容値は、ダイズ及びトウモロコシについては5%となっているが、基準値はこれに限定されない。
上述したように、PCRはマルチプレックスPCRであってもよい。マルチプレックスPCRにおいては、複数セットのプライマー対とプローブをPCR液に添加することにより、内在性遺伝子と組換え遺伝子を同時に検出することが可能である。つまり、マルチプレックスPCRを用いて、試料中の組換え遺伝子の増幅産物が閾値に達した時のサイクル数(CqGA)と、試料中の内在性遺伝子の増幅産物が閾値に達した時のサイクル数(CqEA)と、に基づいて、試料中の遺伝子組換え体の存在比が基準値より高いか判定することができる。CqGA及びCqEAは、例えば、増幅産物の量を反映するプローブの蛍光強度が閾値に達した時のサイクル数として検出される。
下記(7)式で与えられるCqGAとCqEAの差ΔCqAは、試料中の遺伝子組換え体の存在比の対数値と負の相関があることが知られている。
ΔCqA=CqGA-CqEA (7)
したがって、図2に例示するように、試料中の遺伝子組換え体の存在比が高いほどΔCqAは小さくなり、試料中の遺伝子組換え体の存在比が低いほどΔCqAは大きくなる。
ここで、下記(8)式に示すように、検査対象の試料のΔCqAが、基準値と同じ存在比で遺伝子組換え体を含む標準試料のΔCqSよりも大きい場合、検査対象の試料中の遺伝子組換え体の存在比は、基準値以下と判定することが可能である。
ΔΔCq=ΔCqA-ΔCqS≧0 (8)
また、図3及び下記(9)式に示すように、検査対象の試料のΔCqAが、基準値と同じ存在比で遺伝子組換え体を含む標準試料のΔCqSよりも小さい場合、検査対象の試料中の遺伝子組換え体の存在比は、基準値より高いと判定することが可能である。
ΔΔCq=ΔCqA-ΔCqS<0 (9)
本発明者らの知見によれば、試料を加工することにより試料に含まれる核酸配列が分解されると、図4に例示するように、CqGAとCqEAは大きくなる傾向にある。また、増幅長が長いほうがCqGAとCqEAが大きくなる程度が大きく、増幅長が短いほうがCqGAとCqEAが大きくなる程度が小さくなる。本実施形態では、内在性遺伝子の増幅産物の増幅長が、組換え遺伝子の増幅産物の増幅長に対して95%以下と短くなるよう設定する。そのため、図5に例示するように、増幅長が長い組換え遺伝子のCqGAの方が大きくなる程度が大きく、増幅長が短い内在性遺伝子のCqEAの方が大きくなる程度が小さくなる。
未加工品に対し、加工され核酸配列が分解された試料のCqGAが大きくなる程度と、加工され核酸配列が分解された試料のCqEAが大きくなる程度と、が等しければ、ΔCqAは変化しない。これに対し、本実施形態に係る方法では、加工され核酸配列が分解された試料のCqGAが大きくなる程度より、加工され核酸配列が分解された試料のCqEAが大きくなる程度が小さいため、未加工品に対し、加工され核酸配列が分解された試料のΔCqAは大きくなる。そのため、未加工品のΔCqAよりも大きいにもかかわらず、加工され核酸配列が分解された試料のΔCqAが標準試料のΔCqSより小さく、(9)式に示すように、検査対象の試料中の遺伝子組換え体の存在比が基準値より高いと判定した場合、試料に含まれる核酸配列の分解の程度にかかわらず、加工される前の試料中の遺伝子組換え体の存在比も基準値より必ず高いと判断することが可能である。
従来においては、加工された試料においては、試料中の核酸配列の分解の程度が一定ではないため、Cq値の比較では試料中の遺伝子組換え体の存在比を正確に評価できないと考えられていた。これに対し、本実施形態によれば、Cq値の比較によっても、試料中の遺伝子組換え体の存在比が基準値より高いか否かを正確に判断することが可能である。
(実施例)
以下に本発明の実施例を説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されないことはもちろんである。
(実施例1)
定量PCRの一つであるリアルタイムPCRを用いて、モデル加工品の遺伝子組換え体の存在比(GM含量)を測定した。
(試料)
遺伝子組換えダイズ系統標準物質(10%RoundupReady(RRS)認証標準物質、カタログナンバー:ERMBF410GK-1G、シグマアルドリッチ)を用意した。この遺伝子組換えダイズ系統標準物質を150℃にて0分間、15分間、30分間、及び120分間のそれぞれで乾熱滅菌処理を行い、モデル加工品を作製した。DNeasy Plant Maxi Kit(キアゲン)を用いて、作製したモデル加工品から、PCRの鋳型となるDNAを抽出した。
(リアルタイムPCR)
リアルタイムPCR反応液は、プライマー終濃度0.5μmol/L、プローブ終濃度0.2μmol/Lとなるように調製した。鋳型DNAは反応液あたり50ngとなるように調製した。TaqMan Universal PCR Master Mix(Thermo Fisher Scientific)を12.5μL用い、反応系の液量が25μLとなるよう蒸留水で液量を調製した。
ダイズ内在性遺伝子として、Le1遺伝子配列を増幅対象とした。Le1遺伝子配列を増幅するプライマー対として、表1に示すように、配列番号1、2に記載のプライマー対「Le1」(118bp)、配列番号3、4に記載のプライマー対「Le1short1」(100bp)、配列番号5、6に記載のプライマー対「Le1short2」(89bp)、及び配列番号7、8に記載のプライマー対「Le1short3」(74bp)を用意した。また、Le1遺伝子配列を増幅するプライマー対の間を認識する、下記の配列を有するプローブを用意した。下記の配列は配列番号9に対応する。
5'-FAM-AGCTTCGCCGCTTCCTTCAACTTCAC-TAMRA-3'
組換え遺伝子として、P35S遺伝子配列及びRRS遺伝子配列を増幅対象とした。P35S遺伝子配列を増幅するプライマー対として、表2に示すように、配列番号10、11に記載のプライマー対「P35S-1」(101bp)を用意し、RRS遺伝子配列を増幅するプライマー対として配列番号13、14に記載のプライマー対「RRS-01」(121bp)を用意した。
また、P35S遺伝子配列を増幅するプライマー対の間を認識する、下記の配列を有するプローブを用意した。下記の配列は配列番号12に対応する。
5’-FAM-CCCACTATCCTTCGCAAGACCCTTCCT-TAMRA-3’
また、RRS遺伝子配列を増幅するプライマー対の間を認識する、下記の配列を有するプローブを用意した。下記の配列は配列番号15に対応する。
5’-FAM-CGCAACCGCCCGCAAATCC-TAMRA-3’
モデル加工品のGM含量を測定するためにプライマー対セットを用意した。具体的には、表3に示すように、「P35S-1/Le1」セット、「P35S-1/Le1short1」セット、「P35S-1/Le1short2」セット、及び「P35S-1/Le1short3」セットを用意した。また、表4に示すように、「RRS-01/Le1」セット、「RRS-01/Le1short1」セット、「RRS-01/Le1short2」セット、及び「RRS-01/Le1short3」セットを用意した。
以降の分析は、食品表示基準別添「安全性審査済みの遺伝子組換え食品の検査方法」(消費者庁2019年3月28日改正)に従って行い、各モデル加工品における内在性遺伝子Le1のコピー数、組換え遺伝子P35Sのコピー数、及び組換え遺伝子RRSのコピー数を算出した。
(結果)
モデル加工品のコピー数は、表5及び表6に示すとおりであった。
サンプルのGM含量(%)は、下記(10)式を用いて算出した。
C=(NG/NE)×(1/R)×100 (10)
(10)式において、CはGM含量(%)、NGはモデル加工品から抽出したDNA中の組換え遺伝子のコピー数、NEはモデル加工品から抽出したDNA中の内在性遺伝子のコピー数、Rは内標比を表す。
P35Sの内標比としては、10%RoundupReady認証標準物質において「P35S-1」で増幅されたコピー数を「Le1」で増幅されたコピー数で除した値に10を乗じた0.60を使用した。RRSの内標比としては、食品表示基準別添「安全性審査済みの遺伝子組換え食品の検査方法」(消費者庁2019年3月28日改正)に従い、1.04を使用した。
上記(10)式を用いて算出された、各モデル加工品のGM含量(%)を表7及び表8に示す。
P35S/Le1プライマーセットを用いた場合、比較例1(Le1/P35S増幅長比1.17)と比較例2(Le1/P35S増幅長比0.99)のモデル加工品のGM含量は、未処理(0分)の場合より、乾熱処理をした場合に高くなることがあった。一方、検証例1(Le1/P35S増幅長比0.88)及び検証例2(Le1/P35S増幅長比0.73)のモデル加工品のGM含量は、未処理(0分)の場合と比較して、乾熱処理をした場合は常に低くなり、かつ乾熱処理時間に応じて段階的に低くなった。
RRS/Le1プライマーセットを用いた場合、比較例3(Le1/RRS増幅長比0.98)のモデル加工品のGM含量は、未処理(0分)の場合より、乾熱処理をした場合の方が常に低くなったが、乾熱処理時間に応じた段階的な低下は見られなかった。一方、検証例3(Le1/RRS増幅長比0.83)、検証例4(Le1/RRS増幅長比0.74)及び検証例5(Le1/RRS増幅長比0.61)のモデル加工品のGM含量は、未処理(0分)の場合と比較して、乾熱処理をした場合は常に低くなり、かつ乾熱処理時間に応じて段階的に低くなった。
これらの結果から、遺伝子組換え体DNA配列(本実施例ではP35S又はRRS)の増幅産物の増幅長に対し、内在性遺伝子配列(本実施例ではLe1)の増幅産物の増幅長が所定の割合より短くなるように設定されたプライマー対セットを用いてGM含量を測定すると、加工された試料のGM含量は加工される前の試料のGM含量と比較して常に低く、かつ加工度合いが高くなるにつれて段階的に低くなることが示された。
したがって、加工により必ずGM含量が過小評価される方法を用いて測定された加工された試料のGM含量が基準値(例えば5%)より高ければ、加工前の試料ないしは加工された試料の原材料のGM含量は、必ず基準値(例えば5%)より高いと判定できることが示された。
(実施例2)
マルチプレックスPCRを用いて、モデル加工品のGM含量を測定した。
(試料)
実施例1と同じモデル加工品を作製し、PCRの鋳型となるDNAを抽出した。
(マルチプレックスPCR)
モデル加工品のGM含量を測定するために実施例1と同じプライマー対セットを用意した。分析は、食品表示基準別添「安全性審査済みの遺伝子組換え食品の検査方法」(消費者庁2019年3月28日改正)に従って行った。蛍光強度の閾値を0.2、Base LineをStartでは3にEndでは15に設定し、各モデル加工品における内在性遺伝子Le1のCq値、及び組換え遺伝子P35S及び組換え遺伝子RRSのCq値を算出した。
(結果)
モデル加工品の各Cq値は、表9に示すとおりであった。
モデル加工品のΔCq値(=Cq(P35S)-Cq(Le1)又はCq(RRS)-Cq(Le1))は、表10及び表11に示すとおりであった。
P35S/Le1プライマーセットを用いた場合、比較例4(Le1/P35S増幅長比1.17)のモデル加工品のΔCq値は、未処理(0分)のΔCq値と比較して常に大きくならず、かつ乾熱処理時間に応じた増加も見られなかった。一方、参考例1(Le1/P35S増幅長比0.99)、検証例6(Le1/P35S増幅長比0.88)、及び検証例7(Le1/P35S増幅長比0.73)のモデル加工品のΔCq値は、未処理(0分)のΔCq値と比較して乾熱処理により常に大きくなり、かつ乾熱処理時間に応じて段階的に増加した。
RRS/Le1プライマーセットを用いた場合、比較例5(Le1/RRS増幅長比0.98)のモデル加工品のΔCq値は、未処理(0分)のΔCq値と比較して常に大きくならず、かつ乾熱処理時間に応じた増加も見られなかった。一方、検証例8(Le1/RRS増幅長比0.83)、検証例9(Le1/RRS増幅長比0.74)及び検証例10(Le1/RRS増幅長比0.61)のモデル加工品のΔCq値は、未処理(0分)のΔCq値と比較して乾熱処理により常に大きくなり、かつ乾熱処理時間に応じて段階的に増加した。
これらの結果から、遺伝子組換え体DNA配列(本実施例ではP35S又はRRS)の増幅産物の増幅長に対し、内在性遺伝子配列(本実施例ではLe1)の増幅産物の増幅長が所定の割合より短くなるよう設定したプライマー対セットを用いると、加工された試料のΔCq値は、加工される前の試料のΔCq値と比較して常に大きくなり、かつ加工度合いが高くなるにつれて段階的に増加することが示された。
したがって、加工によりΔCq値が必ず大きくなる方法を用いて測定された加工された試料のΔCqA値が標準試料(例えばGM含量5%)のΔCqS値より小さければ、加工前の試料ないしは加工された試料の原材料のGM含量は、必ず基準値(例えば5%)より高いと判定できることが示された。

Claims (15)

  1. 遺伝子組換え体の検出方法であって、
    少なくとも1種の遺伝子組換え体を含む可能性のある試料であって、核酸配列の少なくとも一部が分解されている試料に含まれる核酸配列の少なくとも一部を、前記遺伝子組換え体に由来する組換え遺伝子を特異的に増幅するプライマーと、前記遺伝子組換え体に対応する生物種が共通に有する内在性遺伝子を特異的に増幅し、かつ前記内在性遺伝子の増幅産物の増幅長が前記組換え遺伝子の増幅産物の増幅長に対して95%以下となるよう構成されたプライマーと、を使用して、マルチプレックスPCRにより増幅することと、
    前記マルチプレックスPCRの結果に基づいて、前記試料中の前記遺伝子組換え体の存在比が基準値より高いか判定することと、
    前記試料中の前記遺伝子組換え体の存在比が前記基準値より高いと判定した場合、前記核酸配列が分解される前の前記試料における前記遺伝子組換え体の存在比も前記基準値より高いと判定することと、
    を含み、
    前記試料中の前記遺伝子組換え体の存在比が基準値より高いか判定することにおいて、
    前記試料中の前記組換え遺伝子の増幅産物が閾値に達した時のサイクル数と、前記試料中の前記内在性遺伝子の増幅産物が閾値に達した時のサイクル数と、の差ΔCqAが、前記基準値と同じ存在比で前記遺伝子組換え体を含む標準試料中の前記組換え遺伝子の増幅産物が閾値に達した時のサイクル数と、前記標準試料中の前記内在性遺伝子の増幅産物が閾値に達した時のサイクル数と、の差ΔCqSより小さい場合、前記試料に含まれる前記核酸配列の分解の程度にかかわらず、前記試料中の前記遺伝子組換え体の存在比が基準値より高いと判定する、
    方法。
  2. 遺伝子組換え体の検出方法であって、
    少なくとも1種の遺伝子組換え体を含む可能性のある加工された試料に含まれる核酸配列の少なくとも一部を、前記遺伝子組換え体に由来する組換え遺伝子を特異的に増幅するプライマーと、前記遺伝子組換え体に対応する生物種が共通に有する内在性遺伝子を特異的に増幅し、かつ前記内在性遺伝子の増幅産物の増幅長が前記組換え遺伝子の増幅産物の増幅長に対して95%以下となるよう構成されたプライマーと、を使用して、マルチプレックスPCRにより増幅することと、
    前記マルチプレックスPCRの結果に基づいて、前記加工された試料中の前記遺伝子組換え体の存在比が基準値より高いか判定することと、
    前記加工された試料中の前記遺伝子組換え体の存在比が前記基準値より高いと判定した場合、加工される前の前記試料における前記遺伝子組換え体の存在比も前記基準値より高いと判定すること、
    を含み、
    前記加工された試料中の前記遺伝子組換え体の存在比が基準値より高いか判定することにおいて、
    前記加工された試料中の前記組換え遺伝子の増幅産物が閾値に達した時のサイクル数と、前記加工された試料中の前記内在性遺伝子の増幅産物が閾値に達した時のサイクル数と、の差ΔCqAが、前記基準値と同じ存在比で前記遺伝子組換え体を含む標準試料中の前記組換え遺伝子の増幅産物が閾値に達した時のサイクル数と、前記標準試料中の前記内在性遺伝子の増幅産物が閾値に達した時のサイクル数と、の差ΔCqSより小さい場合、前記試料に含まれる前記核酸配列の分解の程度にかかわらず、前記試料中の前記遺伝子組換え体の存在比が基準値より高いと判定する、
    方法。
  3. 遺伝子組換え体の検出方法であって、
    少なくとも1種の遺伝子組換え体を含む可能性のある加工食品に含まれる核酸配列の少なくとも一部を、前記遺伝子組換え体に由来する組換え遺伝子を特異的に増幅するプライマーと、前記遺伝子組換え体に対応する生物種が共通に有する内在性遺伝子を特異的に増幅し、かつ前記内在性遺伝子の増幅産物の増幅長が前記組換え遺伝子の増幅産物の増幅長に対して95%以下となるよう構成されたプライマーと、を使用して、定量PCRにより増幅することと、
    前記定量PCRの結果に基づいて、前記加工食品中の前記遺伝子組換え体の存在比が基準値より高いか判定することと、
    前記加工食品中の前記遺伝子組換え体の存在比が前記基準値より高いと判定した場合、前記加工食品に含まれる前記核酸配列の分解の程度にかかわらず、前記加工食品の原料における前記遺伝子組換え体の存在比も前記基準値より高いと判定することと、
    を含む方法。
  4. 下記(1)式に基づいて、前記遺伝子組換え体の存在比を決定する、請求項3に記載の方法。
    C=(NG/NE)×(1/R)×100 (1)
    (1)式において、Cは前記遺伝子組換え体の存在比(%)、NGは前記加工食品中の前記組換え遺伝子の量、NEは前記加工食品中の前記内在性遺伝子の量、Rは内標比を表す。
  5. 前記内標比が、下記(2)式で与えられる、請求項4に記載の方法。
    R=NG100/NE100 (2)
    (2)式において、NG100は100%の前記遺伝子組換え体中の組換え遺伝子の量、NE100は100%の前記遺伝子組換え体中の内在性遺伝子の量を表す。
  6. 前記内標比が、下記(3)式で与えられる、請求項4に記載の方法。
    R=NGx/NEx×100/x (3)
    (3)式において、NGxは遺伝子組換え体x%の認証標準物質中の組換え遺伝子の量、NExは遺伝子組換え体x%の認証標準物質中の内在性遺伝子の量を表す。
  7. 前記内在性遺伝子の増幅産物の増幅長が前記組換え遺伝子の増幅産物の増幅長に対して93%以下である、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記組換え遺伝子の増幅産物の増幅長が40bp以上1000bp以下である、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記生物種が植物である、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 遺伝子組換え体の検出キットであって、
    遺伝子組換え体に由来する組換え遺伝子を特異的に増幅する第1のPCRプライマーと、
    前記遺伝子組換え体に対応する生物種が共通に有する内在性遺伝子を特異的に増幅し、かつ前記内在性遺伝子の増幅産物の増幅長が前記組換え遺伝子の増幅産物の増幅長に対して95%以下となるよう構成された第2のPCRプライマーと、
    を備える、キットであって、
    前記第1及び第2のPCRプライマーを用いてマルチプレックスPCRにより増幅された、少なくとも1種の遺伝子組換え体を含む可能性のある試料であって、核酸配列の少なくとも一部が分解されている試料に含まれる核酸配列の少なくとも一部に基づいて、前記試料中の前記遺伝子組換え体の存在比が基準値より高いか判定するためのキットであって、
    前記試料中の前記遺伝子組換え体の存在比が前記基準値より高いと判定した場合、前記核酸配列が分解される前の前記試料における前記遺伝子組換え体の存在比も前記基準値より高いと判定するためのキットであって、
    前記試料中の前記遺伝子組換え体の存在比が基準値より高いか判定することにおいて、前記試料中の前記組換え遺伝子の増幅産物が閾値に達した時のサイクル数と、前記試料中の前記内在性遺伝子の増幅産物が閾値に達した時のサイクル数と、の差ΔCqAが、前記基準値と同じ存在比で前記遺伝子組換え体を含む標準試料中の前記組換え遺伝子の増幅産物が閾値に達した時のサイクル数と、前記標準試料中の前記内在性遺伝子の増幅産物が閾値に達した時のサイクル数と、の差ΔCqSより小さい場合、前記試料に含まれる前記核酸配列の分解の程度にかかわらず、前記試料中の前記遺伝子組換え体の存在比が基準値より高いと判定するためのキット。
  11. 遺伝子組換え体の検出キットであって、
    遺伝子組換え体に由来する組換え遺伝子を特異的に増幅する第1のPCRプライマーと、
    前記遺伝子組換え体に対応する生物種が共通に有する内在性遺伝子を特異的に増幅し、かつ前記内在性遺伝子の増幅産物の増幅長が前記組換え遺伝子の増幅産物の増幅長に対して95%以下となるよう構成された第2のPCRプライマーと、
    を備える、キットであって、
    前記第1及び第2のPCRプライマーを用いてマルチプレックスPCRにより増幅された、少なくとも1種の遺伝子組換え体を含む可能性のある加工された試料に含まれる核酸配列の少なくとも一部に基づいて、前記加工された試料中の前記遺伝子組換え体の存在比が基準値より高いか判定するためのキットであって、
    前記加工された試料中の前記遺伝子組換え体の存在比が前記基準値より高いと判定した場合、加工される前の前記試料における前記遺伝子組換え体の存在比も前記基準値より高いと判定するためのキットであって、
    前記加工された試料中の前記遺伝子組換え体の存在比が基準値より高いか判定することにおいて、前記加工された試料中の前記組換え遺伝子の増幅産物が閾値に達した時のサイクル数と、前記加工された試料中の前記内在性遺伝子の増幅産物が閾値に達した時のサイクル数と、の差ΔCqAが、前記基準値と同じ存在比で前記遺伝子組換え体を含む標準試料中の前記組換え遺伝子の増幅産物が閾値に達した時のサイクル数と、前記標準試料中の前記内在性遺伝子の増幅産物が閾値に達した時のサイクル数と、の差ΔCqSより小さい場合、前記試料に含まれる前記核酸配列の分解の程度にかかわらず、前記試料中の前記遺伝子組換え体の存在比が基準値より高いと判定するためのキット。
  12. 遺伝子組換え体の検出キットであって、
    遺伝子組換え体に由来する組換え遺伝子を特異的に増幅する第1のPCRプライマーと、
    前記遺伝子組換え体に対応する生物種が共通に有する内在性遺伝子を特異的に増幅し、かつ前記内在性遺伝子の増幅産物の増幅長が前記組換え遺伝子の増幅産物の増幅長に対して95%以下となるよう構成された第2のPCRプライマーと、
    を備える、キットであって、
    前記第1及び第2のPCRプライマーを用いて定量PCRにより増幅された、少なくとも1種の遺伝子組換え体を含む可能性のある加工食品に含まれる核酸配列の少なくとも一部に基づいて、前記加工食品中の前記遺伝子組換え体の存在比が基準値より高いか判定するためのキットであって、
    前記加工食品中の前記遺伝子組換え体の存在比が前記基準値より高いと判定した場合、前記加工食品に含まれる前記核酸配列の分解の程度にかかわらず、前記加工食品の原料における前記遺伝子組換え体の存在比も前記基準値より高いと判定するためのキット。
  13. 前記内在性遺伝子の増幅産物の増幅長が前記組換え遺伝子の増幅産物の増幅長に対して93%以下である、請求項10から12のいずれか1項に記載のキット。
  14. 前記組換え遺伝子の増幅産物の増幅長が40bp以上1000bp以下である、請求項10から13のいずれか1項に記載のキット。
  15. 前記生物種が植物である、請求項10から14のいずれか1項に記載のキット。
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