JP4967095B2 - 黄色ブドウ球菌濃度測定方法及び食中毒可能性判定方法 - Google Patents

黄色ブドウ球菌濃度測定方法及び食中毒可能性判定方法 Download PDF

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本発明は、食品などの検体において、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の濃度を測定する方法、及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が産生する毒素に起因する食中毒の可能性を判定する方法に関する。
黄色ブドウ球菌(学名:Staphylococcus aureus)は、ヒトをはじめとする各種動物の皮膚などに常在する菌である。そして、この黄色ブドウ球菌は、主に化膿性疾患に起因する菌である一方、食中毒に関連する菌の一つでもある。
黄色ブドウ球菌は、菌の種類によっても異なるが、一般に耐熱性の毒素を産生する。現在、検体中に存在する病原体を確認する細菌学的検査法としては、塗抹鏡検による観察、病原体由来抗原の検出、DNAプローブによる診断、分離培養法などが知られているが、これらの中で、黄色ブドウ球菌の確認には、主に、抗黄色ブドウ球菌毒素抗体を用いて、黄色ブドウ球菌由来の毒素を直接検出するELISA法が用いられている(例えば、特許文献1、非特許文献1)。
特開平6−88824 「1990年6月作成 逆受身ラテックス凝集反応によるブドウ球菌エンテロトキシン検出用キット SET−RPLA「生研」添付文書集p118-123」デンカ生研株式会社発行
しかしながら、食中毒を引き起こす主要な毒素の種類は少なくとも5種類(黄色ブドウ球菌毒素A、B、C、D、E)あるため、ELISA法に用いる抗体を特定するために、あらかじめ黄色ブドウ球菌の種類を確定するか、黄色ブドウ球菌の種類を確定しない場合は、各毒素に対する抗体を全て用いなければならなかった。
そこで、本発明は、食品などにおいて、簡便に黄色ブドウ球菌の濃度を測定する方法、及び黄色ブドウ球菌が産生する毒素に起因する食中毒の可能性を判定する方法を提供することを目的とする。
本発明にかかる、検体中に存在する黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の濃度を測定する方法は、所定の菌濃度で黄色ブドウ球菌を粉砕処理して得られる菌抽出物を用いて、配列番号1の中で前記黄色ブドウ球菌では特異的に保存されているが前記黄色ブドウ球菌以外の細菌種では保存されていない領域を利用して行うリアルタイムPCRを、複数の希釈段階を設けた菌濃度の前記黄色ブドウ球菌に対して行うことにより、前記黄色ブドウ球菌と、前記リアルタイムPCRの結果との相関関係を求める工程と、検体を前記粉砕処理して得られる検体抽出物を用いて、前記リアルタイムPCRと同じ条件でリアルタイムPCRを行い、前記検体抽出物に対する前記リアルタイムPCRの結果を得る工程と、前記相関関係より、前記検体抽出物に対する前記リアルタイムPCRの結果から、前記検体抽出物の黄色ブドウ球菌の菌濃度を算出する工程とを含む。この方法において、前記リアルタイムPCRの結果が、Ct(Threshold)値であることが好ましい。検体が固体の場合は、菌濃度を単位重量あたりの菌数とする。
また、上記方法において、前記リアルタイムPCRをTaqMan法によって行ってもよい。その場合、前記配列番号1の中で前記黄色ブドウ球菌では特異的に保存されているが前記黄色ブドウ球菌以外の細菌種では保存されていない領域に対し、前記黄色ブドウ球菌内で異なる遺伝子プールにある複数の細菌株の塩基配列を決定することにより、前記遺伝子内に存在する多型の位置を決定し、前記多型を含まないように、前記リアルタイムPCRのためのプローブの位置を決定し、前記多型を多くとも1個しか含まないように、前記リアルタイムPCRのためのプライマーの位置を決定することが好ましい。
さらに、前記検体は、食品であることが好ましい。
また、本発明にかかる、検体中に存在する黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が産生する毒素に起因する食中毒の可能性を判定する方法は、検体を粉砕処理して得られる検体抽出物を用いて、配列番号1の中で前記黄色ブドウ球菌では特異的に保存されているが前記黄色ブドウ球菌以外の細菌種では保存されていない領域を利用して行うリアルタイムPCRを行い、前記検体抽出物に対する前記リアルタイムPCRの結果を得る工程と、前記リアルタイムPCRの結果におけるCt(Threshold)値が20以上である場合は「食中毒の可能性が低い」と判断し、前記リアルタイムPCRの結果におけるCt値が20未満である場合は「食中毒の可能性が高い」と判断する工程とを含む。
また、上記方法において、前記リアルタイムPCRをTaqMan法によって行ってもよい。その場合、前記配列番号1の中で前記黄色ブドウ球菌では特異的に保存されているが前記黄色ブドウ球菌以外の細菌種では保存されていない領域に対し、前記黄色ブドウ球菌内で異なる遺伝子プールにある複数の細菌株の塩基配列を決定することにより、前記遺伝子内に存在する多型の位置を決定し、前記多型を含まないように、前記リアルタイムPCRのためのプローブの位置を決定し、前記多型を多くとも1個しか含まないように、前記リアルタイムPCRのためのプライマーの位置を決定することが好ましい。
さらに、前記検体は、食品であることが好ましい。
本発明によると、食品などにおいて、簡便に黄色ブドウ球菌の濃度を測定する方法、及び黄色ブドウ球菌が産生する毒素に起因する食中毒の可能性を判定する方法を提供することができる。
以下に、本発明の実施の形態において実施例を挙げながら具体的かつ詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施の形態及び実施例に特に説明がない場合には、J. Sambrook, E. F. Fritsch & T. Maniatis (Ed.), Molecular cloning, a laboratory manual (3rd edition), Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (2001); F. M. Ausubel, R. Brent, R. E. Kingston, D. D. Moore, J.G. Seidman, J. A. Smith, K. Struhl (Ed.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Ltd.などの標準的なプロトコール集に記載の方法、あるいはそれを修飾したり、改変した方法を用いる。また、市販の試薬キットや測定装置を用いる場合には、特に説明が無い場合、それらに添付のプロトコールを用いる。
なお、本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図ならびに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々に修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
本発明は、食品などの検体中に存在する黄色ブドウ球菌の毒素の量を簡便に測定する方法、及び黄色ブドウ球菌が産生する毒素に起因する食中毒の可能性を判定する方法である。以下、それらの方法の具体的詳細を述べる。
まず、検体を粉砕処理して検体抽出物を得る。検体としては、食品などを用いることができる。粉砕処理は、加熱する、すり鉢で擂る、ホモジナイザーでホモジナイズするなど、検体を細かく粉砕できればよいが、液状になるまで粉砕するのが好ましい。粉砕する際、バッファーなどの溶液を加え、溶液中で検体を粉砕してもよい。また、検体が液状(例えば、牛乳など)の場合は、超音波によって粉砕処理を行ってもよい。検体抽出物を得るのに、フェノール処理などのDNA抽出処理をしてもよいが、PCRによって結果が得られる程度の抽出処理であればよい。最後に、遠心処理やフィルター処理などにより、固形物を除去するのが好ましい。
この検体抽出物を用い、黄色ブドウ球菌に存在する配列番号1を対象にリアルタイムPCRを行い、検体抽出物に含まれる配列番号1のDNA量を定量する。ここで、配列番号1は、全ての黄色ブドウ球菌種が共通に持っているため、リアルタイムPCRを行うには有効な検出対象の配列となる。
この配列番号1内において、黄色ブドウ球菌では特異的に保存されているが黄色ブドウ球菌以外の細菌種では保存されていない領域を利用して、リアルタイムPCRを行うように、プライマーやプローブなどを設定する。図1に、以下の実施例で用いた黄色ブドウ球菌におけるそのような領域の一例を挙げる(図1の黒塗りに白抜き字の部分)。この領域内においてプライマー及びプローブを設定してリアルタイムPCRを実施したところ、図2に示す通り、このプライマー及びプローブは、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対して特異的に反応することが分かった。従って、この領域中で、多型を有する塩基をできるだけ含まないように、リアルタイムPCRに用いるプライマーやプローブなどの塩基配列を決定すれば、黄色ブドウ球菌の全ての菌株において、DNAを増幅させることができる。なお、本実施例では、図1の矢印の部分の配列をPCRプライマーに、四角の部分の配列をプローブに用いた。
リアルタイムPCR法には、5’末端を蛍光物質(FAMなど)で、3’末端をクエンチャー物質(TAMRAなど)で修飾したオリゴヌクレオチド(TaqManプローブ)をPCR反応系に加えるTaqMan法、二本鎖DNAに結合することで蛍光を発する試薬(インターカレーター:SYBR Green I)をPCR反応系に加えるインターカレーター法、RNAとDNAからなるキメラプローブとRNase Hの組み合わせを利用するサイクリングプローブ法などが開発されているが、PCRによる検出対象として配列番号1の遺伝子を用いる場合、リアルタイムPCRとして、TaqMan法又はサイクリングプローブ法を行うことが特に好ましい。なぜなら、TaqMan法及びサイクリングプローブ法では、プライマーだけでなく、プローブも用いるので、検出対象としているDNAに対する特異性が著しく上昇し、非特異的に出現するシグナルによるDNA量の過剰評価が抑えられるからである。以下の実施例では、TaqMan法によるリアルタイムPCRを行った。なお、TaqMan法においてプローブの塩基配列を決める際には、検出対象の黄色ブドウ球菌の菌株で特異的に保存されたDNA領域中で、多型を有する塩基をできるだけ含まないように決定することが望ましい。
このようにして得られたプライマー配列及び/又はプローブ配列を有するオリゴヌクレチドを合成し、それらを用いて、検出抽出物に対し、リアルタイムPCRを行う。
一方、複数の希釈段階を設けた菌濃度で黄色ブドウ球菌を粉砕処理して得られる菌抽出物を用い、その黄色ブドウ球菌に対してリアルタイムPCRを行うことにより、黄色ブドウ球菌濃度と、リアルタイムPCRの結果との相関関係を求める。この相関関係より、検体抽出物に対して得られたリアルタイムPCRの結果から、検体抽出物中の黄色ブドウ球菌の菌濃度を算出する。なお、その菌濃度から検体中に存在する黄色ブドウ球菌の菌数を算出することもできる。
例えば、段階希釈した黄色ブドウ球菌に対し、検体と同様に粉砕処理して得られる菌抽出物を用いて、それぞれ検体と同様にリアルタイムPCRを行い、検量線を作成する。この検量線を用いて、検体抽出物で行ったリアルタイムPCRの結果から、検体抽出物中のその黄色ブドウ球菌の菌濃度を算出する。
具体的には、横軸にPCRのサイクル数、縦軸にPCR産物量をとり、各希釈段階黄色ブドウ球菌に対するPCRについてプロットすると、S字曲線が平行に並んだグラフとなる。次に、縦軸に増幅が指数関数的に起こる領域内で所定の増幅産物量になるサイクル数(Threshold cycle;Ct値)を、横軸に細菌濃度(log(黄色ブドウ球菌数)/ml)をとり、各希釈段階についてプロットすると、グラフは直線状になる(検量線)。検体抽出物で行った黄色ブドウ球菌のリアルタイムPCRの結果から、上記所定の増幅産物量になるサイクル数(Ct)を求め、検量線より、検体抽出物中の菌濃度を算出する。
なお、菌濃度ではなく、抽出したDNA量を基にして作成した検量線を用いて、その黄色ブドウ球菌のゲノム量を用いて菌濃度を計算することも理論上は可能である。しかし、DNAを抽出する際の効率などの問題があり、実際上100%のDNAが抽出されているわけではないため、検量線を作成し、その検量線を用いて、検体抽出物中の菌濃度を算出するのが好ましい。
また、上記の相関関係は、黄色ブドウ球菌の菌数と、リアルタイムPCRの結果との相関関係であってもよいが、検量線の作成には、複数のサンプルの処理を同じ条件で行うことが好ましく、検量線を作製するときに用いる複数のサンプルの処理を全く同じ条件で行った場合、複数のサンプルは同じ容量を有するので、菌数とリアルタイムPCRの結果との相関関係は、菌濃度とリアルタイムPCRの結果との相関関係と等価なものとなる。
さらに、上記粉砕処理は、上記各菌抽出物を作製する場合と検体抽出物を作製する場合において異なっていてもよいが、正確なデータを得るために粉砕処理の条件は同じである方が好ましい。
黄色ブドウ球菌が産生する毒素に起因する食中毒の可能性を判定する方法を得るために、実施例に記載するように、複数の菌濃度の黄色ブドウ球菌を用いて、黄色ブドウ球菌が産生する毒素の量を測定することにより、黄色ブドウ球菌濃度と、黄色ブドウ球菌の毒素量との関係を求めた(図4−1、図4−2及び図4−3参照)。いずれの場合も、Ct値が20以上である場合には毒素が検出されなかった。従って、Ct値が20未満である場合に「食中毒の可能性が高い」と判定し、Ct値が20以上である場合に「食中毒の可能性が低い」と判定する。なお、Ct値が20未満である場合、毒素が検出されないことがあるが、毒素が検出される場合があるときに「食中毒の可能性が低い」と判定するよりも、毒素が検出されない場合があるときに「食中毒の可能性が高い」と判定するほうが、現実的に問題が少ない。従って、判定の境界となる値は20より大きいほうが好ましく、24がより好ましく、27がさらに好ましい。
以上より、本発明は、検体抽出物中の黄色ブドウ球菌の型が異なった場合でも、黄色ブドウ球菌が産生する毒素に起因する食中毒の可能性を判定することができるのでとても有用である。
以下、実施例を用いて、以上に説明した実施態様を具体的に説明するが、これは例示であって、本発明をこの実施例に限定するものではない。
==食品中の黄色ブドウ球菌濃度の測定==
検体として市販の牛乳を用いた。
次に、検量線の作成のため、以下の(1)及び(2)の試料を準備し、100μl(50U)アクロモペプチダーゼを用いてDNAをMag Extrator(TOYOBO社)で抽出した。
(1)8時間培養した黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)をPBSで10〜109倍まで10倍ずつ希釈した菌培養液
(2)黄色ブドウ球菌で汚染されていない1mlの上記牛乳(これをネガティブコントロールとする)、及び黄色ブドウ球菌で汚染されていない上記牛乳に対しPBSで10〜109倍まで10倍ずつ希釈した菌培養液を0.1mlずつ添加した人工汚染牛乳
次に、上記の菌培養液、牛乳、人工汚染牛乳から得られたDNAを用いて、TaqMan法を用いたリアルタイムPCRを行った。リアルタイムPCRに用いた反応液50μlは以下のように調製した;25μlTaqMan universal PCR maseter mix (アプライド・バイオシステム社)、5μl鋳型DNA(10ng/μl)、100nM下記プライマー、1000nM下記 TaqMan プローブ。なお、プローブの塩基配列は、図1に示されているように、黄色ブドウ球菌において保存されており、黄色ブドウ球菌以外の細菌で保存されていないDNA領域のうち、多型を示す塩基対を含まないように決定した。一方、プライマーの塩基配列は、図1に示されているように、黄色ブドウ球菌において保存されており、黄色ブドウ球菌以外の細菌で保存されていないDNA領域のうち、1個しか多型を示す塩基対を含まないように決定した。
プライマー及びプローブの配列は以下の通りである。
フォワードプライマー: TCGAAATTAAATGTTGTCGTGTCTTC(配列番号2)
リバースプライマー: TCATTTTTGACATGRAGAGAAACATC(配列番号3)
TaqManプローブ:TCGCGACATTCATTATGCCCAAATTTTTAA(配列番号4)
リアルタイムPCR反応は、50℃2分、95℃10分の初期変性、95℃15秒(熱変性)、65℃1分(アニーリング及び伸長反応)を40サイクルの条件で行った。PCRを行っている最中の蛍光強度の測定は自動的に行われた。また、DNA増幅データは、ABI PRISM 7000 SDS softwareによって解析された。
次に、各試料において、菌の濃度(log (菌数)/ml)に対する検出した蛍光強度が検出閾値に達した時のサイクル数(Ct)をプロットし、菌培養液及び人工汚染牛乳の検量線をそれぞれ作成した(図3)。
その結果、図3に示すように、人工汚染牛乳の検量線は、菌培養液の検量線の上側へ平行にずれたが、そのずれは誤差レベルであった。従って、用いる食品ごとに人工汚染物を作製し検量線を作成することが好ましいが、異なる人工汚染物で作成した検量線も用いることができる。
==黄色ブドウ球菌が産生する毒素に起因する食中毒の可能性の判定==
50mlのトリップティックソイブロス(TRYPTIC SOY BROTH)(会社名:Difco、製品番号:0370-17-3)培地に黄色ブドウ球菌エンテロトキシンA型産生性株、黄色ブドウ球菌エンテロトキシンC型産生性株及び黄色ブドウ球菌エンテロトキシンD型産生性株を約1×105個植菌し、37℃のインキュベーターにて培養した。そして、3時間ごとに、前述の「食品中の黄色ブドウ球菌濃度の測定」に記載のリアルタイムPCR法を用いてCt値を求めこの培養液中に存在する黄色ブドウ球菌の濃度を測定した。また、同時に培地中に産生された黄色ブドウ球菌由来の毒素(エンテロトキシンA、C、D)を逆受身ラテックス凝集反応法(逆受身ラテックス凝集反応によるブドウ球菌エンテロトキシン検出用キット SET−RPLA「生研」(会社名:デンカ生研株式会社))によって測定した。その結果を図4−1、図4−2及び図4−3に示す。なお、図中の数字はCt値を示す。
図4−1、図4−2及び図4−3に示す通り、Ct値が20以上の場合には各々のエンテロトキシンが産生されないことが分かった。
本発明の一実施形態において、プライマー及びプローブを設定するための黄色ブドウ球菌の塩基配列を示す図である。なお、この配列は、GeneBank Accession No.BA000018を参考にした。 本発明の一実施形態において、TaqMan法に使用するプライマー及びプローブの特異性を細菌ごとに示した図である。なお、PCR(+)はPCR反応陽性、PCR(−)はPCR反応陰性を示す。 本発明の一実施形態において、菌培養液及び人工汚染牛乳の検量線を表わした図である。 本発明の一実施形態において、黄色ブドウ球菌濃度、黄色ブドウ球菌が産生した毒素の量、及びCt値を測定した結果を示す図である。なお、グラフ中の数字は、Ct値を表わす。図4−1はエンテロトキシンAの産生を表わす。 本発明の一実施形態において、黄色ブドウ球菌濃度、黄色ブドウ球菌が産生した毒素の量、及びCt値を測定した結果を示す図である。なお、グラフ中の数字は、Ct値を表わす。図4−2はエンテロトキシンCの産生を表わす。 本発明の一実施形態において、黄色ブドウ球菌濃度、黄色ブドウ球菌が産生した毒素の量、及びCt値を測定した結果を示す図である。なお、グラフ中の数字は、Ct値を表わす。図4−3はエンテロトキシンDの産生を表わす。

Claims (8)

  1. 検体中に存在する黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の濃度を測定する方法であって、
    複数の希釈段階を設けた菌濃度の前記黄色ブドウ球菌を粉砕処理して得られる菌抽出物に対してリアルタイムPCRを行うことにより、前記黄色ブドウ球菌と、前記リアルタイムPCRの結果との相関関係を求める工程であって、
    前記リアルタイムPCRに用いるプライマーが、TCGAAATTAAATGTTGTCGTGTCTTC(配列番号2)とTCATTTTTGACATGRAGAGAAACATC(配列番号3)であり、プローブが、TCGCGACATTCATTATGCCCAAATTTTTAA(配列番号4)である工程と、
    検体を前記粉砕処理して得られる検体抽出物を用いて、前記リアルタイムPCRと同じ条件でリアルタイムPCRを行い、前記検体抽出物に対する前記リアルタイムPCRの結果を得る工程と、
    前記相関関係より、前記検体抽出物に対する前記リアルタイムPCRの結果から、前記検体抽出物の黄色ブドウ球菌の菌濃度を算出する工程と、
    を含む方法。
  2. 前記リアルタイムPCRの結果が、Ct(Threshold)値であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記リアルタイムPCRをTaqMan法によって行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記検体が、食品であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 検体中に存在する黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が産生する毒素に起因する食中毒の可能性を判定する方法であって、
    TCGAAATTAAATGTTGTCGTGTCTTC(配列番号2)とTCATTTTTGACATGRAGAGAAACATC(配列番号3)をプライマーとして用いたリアルタイムPCRを、1E+07cfu/mlの菌濃度を有する前記黄色ブドウ球菌を粉砕処理して得られる学習用菌抽出物を用いて行い、増幅産物量が所定量になるサイクル数(Ct)をCt基準値として決定する工程(イ)と、
    前記学習用菌抽出物の代わりに検体を粉砕処理して得られる検体抽出物を用いる以外は、工程(イ)と同様の条件下でリアルタイムPCRを行い、前記検体抽出物に対する前記リアルタイムPCRの結果を得る工程(ロ)と、
    工程(ロ)のリアルタイムPCRの結果におけるCt値が、工程(イ)で決定した前記Ct基準値以上である場合は「食中毒の可能性が低い」と判断し、工程(ロ)のリアルタイムPCRの結果におけるCt値が、工程(イ)で決定した前記Ct基準値未満である場合は「食中毒の可能性が高い」と判断する工程(ハ)と、
    を含む方法。
  6. 前記リアルタイムPCRをTaqMan法によって行うことを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 前記リアルタイムPCRのためのプローブは、TCGCGACATTCATTATGCCCAAATTTTTAA(配列番号4)であることを特徴とする
    請求項6に記載の方法。
  8. 前記検体が、食品であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の方法。
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