JP4925290B2 - ポリスチレン系樹脂積層発泡シート及びその成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート及びその成形品に関し、特に比較的軽量な積層発泡シートから丼等の深絞り形状の成形品を熱成形する際に、成形性に優れ、かつ強度に優れた成形品を得ることができるポリスチレン系樹脂積層発泡シート及びその成形品に関する。
ポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、熱成形による成形品を得るための成形用シートとして従来から広く利用されてきた。このポリスチレン系樹脂積層発泡シート(以下、単に「積層発泡シート」ともいう。)は、ポリスチレン系樹脂発泡シートに耐衝撃性ポリスチレン系樹脂層(以下、単に「樹脂層」ともいう。)が積層されたシートであって、押出機を用いてポリスチレン系樹脂と気泡調整剤等の各種の添加剤と発泡剤とを溶融混練することによって発泡性溶融混合樹脂とし、該発泡性溶融混合樹脂を、高圧のダイ内から大気圧下に放出することによって発泡シートを形成した後、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂シートを積層したり、発泡性溶融混合樹脂と耐衝撃性ポリスチレン系樹脂の溶融物を共押出したりすること等によって製造される。
このようにして得られた積層発泡シートは、熱成形性に優れる素材であって、該シートを加熱成形してなる成形体(以下、単に「成形体」ともいう。)は、軽量で断熱性に優れ、しかも外観が美麗である等の特徴を有するので、弁当、トレイ、丼、カップ等の食品用容器等の熱成形用の素材として広く用いられてきた。
かかる食品用容器は、軽量であることを常に要求されると共に、食品の包装容器としての使用に耐え得る強度が要求され、丼やカップ等の深絞り形状の容器の場合には、特に容器開口部における水平方向の圧縮強度(以下、「リップ強度」ともいう。)が重要な特性として要求される。
強度に優れる丼やカップ等の深絞り形状の成形品を得るための技術として、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3に開示されたものがある。
特許文献1には、特定の粘弾性を持つポリスチレン系樹脂を発泡層に使用することにより、得られる積層発泡シートの引張荷重を特定の範囲内に制御する技術が開示されている。
特許文献2には、発泡シートを製造する際に、発泡シートのブローアップ比(プラグ口径を金型スリット口径で除した値)と引取速度とを制御して発泡シートを延伸することにより、熱成形時の積層発泡シートの収縮率(加熱前後での長さ変化)を特定の範囲に制御する技術が開示されている。
特許文献3には、発泡シートを製造する際に発泡シートの延伸と、該発泡シートに樹脂層を積層する際の樹脂層の延伸とを利用することにより、熱成形時の収縮率を熱成形に適した値に制御する技術が開示されている。
一方、ポリスチレン系樹脂発泡シート中にはスチレンモノマーや、スチレンダイマー、スチレントリマー等のオリゴマーが含有されており、これらが容器内に微量に溶出する虞れがあるといった問題も有している。
1998年に環境庁が作成した「SPEED'98」で、環境ホルモンとして疑われる種々の化合物をリストアップした結果、スチレンダイマーやトリマーを含む発泡ポリスチレン容器の安全性が疑問視されたことがあった。しかしながらスチレンダイマーやトリマー等のオリゴマーの安全性は報文(信原陽一他、食品衛生学会誌、vol.40、No.1、1999、2月)等によっても証明され、環境省は2000年10月31日に、スチレンダイマー及びトリマーを環境ホルモンリストから除外することを決定した。
上記のように、スチレンダイマー及びスチレントリマー(以下、本明細書ではこれらをスチレンオリゴマーともいう。)の環境ホルモンとしての疑いは晴れ、発泡ポリスチレン容器の安全性も証明されたわけではあるが、スチレンオリゴマーはポリスチレン合成の際に生じる所謂不純物であり、容器内へのこのような不純物の溶出量を低減させることが望まれている。
上記スチレンオリゴマーの容器内への溶出量を低減させた容器が食品業界より求められており、スチレンダイマー及びトリマーの含有量の少ないポリスチレン系樹脂の使用が推奨されるところ、そのような原料樹脂はスチレンオリゴマー等の低分子量成分が少ないために熱成形性が低下し、そのため深絞り時に成形品の口縁部付近の周壁において発泡層の表面に亀裂が生じ易いといった問題があった(以下、この発泡層の表面に亀裂が生じる現象を「ナキ」ともいう。)。
そこで、特許文献4には、特定量の流動パラフィンをスチレンダイマーやトリマーの含有量が少ないポリスチレン系樹脂に添加することにより、該樹脂を特定の溶融物性に調整することで、熱成形時の発泡シートの伸びを改善する技術が開示されている。
特開2001−293822号公報 特開平10−324759号公報 特開2003−251762号公報 特開2003−118047号公報
近年においては、食品の包装容器としての使用に耐え得る強度が要求されていると共に、コストダウン、省資源化への対応から、積層発泡シートの更なる軽量化、熱成形する際の容器取り数の多数化に伴う容器間のピッチ間隔の縮小に対応する積層発泡シートの開発が要求されている。
従来の積層発泡シートでは、特に、丼等の深絞り形状の容器の場合、多数取りを行うと容器間の積層発泡シート部分(以下、スケルトン部ともいう。)からの積層発泡シートを十分に引き込めず、得られる容器の側壁部の肉厚が薄くなってしまい、要求される強度、特にリップ強度を満足することができないという問題を有していた。十分な強度を得るために積層発泡シートを高坪量化した場合には、軽量性が低下してしまう。そこで、容器の強度を満足しつつ、積層発泡シートの軽量化を達成するためには、熱成形時の引込み率を向上させ、スケルトン部からの引込み量を増やす必要がある。
上記特許文献1の積層発泡シートでは、常温での発泡シートの引張応力を規定しているが、加熱時の引張応力に関しては検討されておらず、熱成形時の加熱引張応力が十分でなかったため、軽量な積層発泡シートを用いて熱成形を行った場合には、熱成形時に容器のピッチ間隔を狭くすると、得られる成形品の強度は未だ不十分なものであった。
上記特許文献2及び3の積層発泡シートでは、積層発泡シートの加熱収縮率を特定の範囲内に制御することにより、熱成形時における積層発泡シートのドローダウンを効果的に防止しているが、積層発泡シートの加熱時の引張物性に関しては何ら検討されておらず、軽量な積層発泡シートを用いて熱成形を行った場合には、熱成形時に容器のピッチ間隔を狭くすると、得られる容器の強度は不十分なものであった。
上記特許文献4の積層発泡シートでは、流動パラフィンのような化合物を添加すると積層発泡シートの熱成形時の伸びは向上するが、スケルトン部からの引込み率は低下してしまうため、熱成形時に容器のピッチ間隔を狭くすると、得られる成形品の強度が低下してしまい、高強度の成形品を得るためには積層発泡シートの目付け量を重くしなければならないといった問題点があった。
本発明は、軽量な積層発泡シートを熱成形した場合に、深絞り成形性に優れ、かつ熱成形時の引込み率を向上させた、容器成形品の側壁部の肉厚が薄くなく高い強度の成形品が得られる積層発泡シートを提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの発泡層を形成するポリスチレン系樹脂の120℃における引張物性が特定の範囲内にあるとき、熱成形時の伸びが比較的大きいにもかかわらず、熱成形時の引込み率が向上することを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
[1]スチレンダイマー及びスチレントリマーの含有量が2000ppm以下であるポリスチレン系樹脂発泡層の片面に、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂層が積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、ポリスチレン系樹脂発泡層を構成しているポリスチレン系樹脂のZ平均分子量が5.8×10 〜1.1×10 、且つパラフィン系化合物及びパラフィン系化合物の部分酸化物から選択される1以上の低分子量飽和炭化水素の含有量が0.1重量%以下(0を含む。)であり、該ポリスチレン系樹脂発泡層を脱泡して得られる非発泡樹脂の120℃での引張試験における引張弾性率が110〜170MPaであることを特徴とする多数取り深絞り成形用ポリスチレン系樹脂積層発泡シートに関し、
さらに本発明は、
[2]ポリスチレン系樹脂発泡層を構成しているポリスチレン系樹脂が、重量平均分子量2.0×10 以上3.5×10 未満、かつZ平均分子量4.0×10 以上5.8×10 未満のポリスチレン系樹脂(NMW−PS)と、重量平均分子量4.0×10 以上、かつZ平均分子量1.0×10 以上のポリスチレン系樹脂(UHMW−PS)との混合物からなり、UHMW−PSの使用量が、NMW−PS100重量部に対して3〜50重量部であることを特徴とする前記[1]に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート、
[3]前記ポリスチレン系樹脂発泡層の見かけ密度が0.08〜0.35g/cm、厚みが1.8〜3mm、連続気泡率が0〜25%であり、かつ気泡形状が下記(1)〜(3)式を満足することを特徴とする前記[1]又は[2]に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート、
(数2)
0.3<Z/X<0.8 (1)
0.3<Z/Y<0.8 (2)
0.08<Z<0.2 (3)
(ただし、式中X、Y、Zのそれぞれは、上記発泡層の押出方向(MD)、幅方向(TD)、厚み方向における平均気泡径であり、その単位はmmである。)であり、
また本発明は、
[4]前記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シートを熱成形してなる成形品、を要旨とする。
本発明の請求項1に係わる発明によれば、熱成形する際の引込み率が優れるため、軽量な積層発泡シートを使用しても成形品1個当たりの重量が増え、十分な強度を持つ成形品を得ることが可能となる。
また、本発明の請求項2及び3に係わる発明によれば、更に優れた成形性を有する積層発泡シートが提供される。
以下、本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シート(以下、単に積層発泡シートという)について詳細に説明する。
本発明の積層発泡シートは、ポリスチレン系樹脂発泡層(以下、単に発泡層ともいう)と該発泡層の片面に積層された耐衝撃性ポリスチレン系樹脂層(以下、単に樹脂層ともいう)とからなる。
本発明でいうポリスチレン系樹脂とは、下記(a)〜(e)のいずれかに該当するものを意味する。
(a)下記の一般式(1)で表されるスチレン系モノマーに由来する構造単位が100重量%である単独重合体。
(b)下記の一般式(1)で表される2種以上のスチレン系モノマーに由来する構造単位が100重量%である共重合体。
(c)下記の一般式(1)で表される1種以上のスチレン系モノマーに由来する構造単位が少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも80重量%と、残余がそれとは異なる共重合性モノマーに由来する構造単位からなる共重合体。
(d)上記(a)〜(c)の群から選択される2以上の混合物。
(e)上記(a)〜(d)のいずれかと、上記(a)〜(d)のいずれとも異なる合成樹脂、エラストマーの群から選択される成分との混合物であって、該混合物中において、下記の一般式(1)で表されるスチレン系モノマーに由来する構造単位が少なくとも60重量%、好ましくは少なくとも80重量%であるもの。
Figure 0004925290
前記一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を示し、Zはハロゲン原子またはメチル基を示し、pは0または1〜3の整数である。
前記(a)〜(e)で示されるポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリスチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとの混合物などが例示される。
本発明の積層発泡シートの樹脂層を形成する耐衝撃性ポリスチレン系樹脂は、上記ポリスチレン系樹脂に該当するものの中で、合成ゴム等のゴムにより改質されて耐衝撃性が向上されたものである。本発明におけるゴムによる改質とは、ゴム分を共重合成分として、又は/及びゴム分を混合成分として、ポリスチレン系樹脂中に含有させることを意味する。耐衝撃性ポリスチレン系樹脂の中には、耐衝撃性ポリスチレン(以下、HIPSともいう。)、HIPSとポリスチレン(以下、GPPSともいう。)とのブレンド体、又はGPPSとスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)あるいはその水素添加物(SEBS)とのブレンド体等が包含される。
樹脂層の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂に含まれるゴム分は、0.5〜15重量%の範囲であることが好ましい。特に好ましくは、2〜12重量%である。
本発明の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂としては、曲げ弾性率(JIS K 7171(1994年)に準じて測定)が1800〜2800MPaのものが好ましく、2000〜2600MPaのものがより好ましい。
また、本発明の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂としては、シャルピー衝撃強さ(測定方法はJIS K 7111(1996年)に従う。ただし、方法の分類はISO179/1eAを採用する。)が3〜30kJ/m、好ましくは5〜20kJ/mのものを使用することが好ましい。これらの範囲の耐衝撃性ポリスチレン系樹脂であれば、本発明の積層発泡シートは薄くても高強度を維持することができる。
また、本発明における前記樹脂層は、深絞り成形性に優れていることから、無延伸のものが好ましい。
次に、本発明の積層発泡シートの製造方法について説明する。
まず、ポリスチレン系樹脂、気泡調節剤等の各種の添加剤を押出機に供給し、加熱し、溶融、混練した溶融混練物に発泡剤を圧入して更に混練して発泡性溶融樹脂混合物とし、該発泡性溶融樹脂混合物を発泡適性温度に調整し、押出機の出口に取付けた環状ダイを通して大気中に押出して筒状に発泡させる。次に、得られた筒状発泡体を円柱状の冷却装置(以下、「マンドレル」ともいう。)に沿わせて引取りながら冷却すると共に切り開いてシート状の発泡層を形成する。
樹脂層は、押出発泡により発泡シートとした直後に他の押出機を用いて押出ラミネーションにより発泡シートに積層してもよく、あるいは押出発泡により発泡シートとした数日後に押出ラミネーションにより発泡シートに積層してもよい。また、共押出ダイを用いて発泡性溶融樹脂混合物と樹脂層用溶融樹脂混合物を共押出ダイ内で積層してから押出すことにより樹脂層を形成してもよい。さらに、必要に応じて樹脂層の外面にフィルムを積層してもよい。また、本発明の目的、効果を阻害しない範囲で、樹脂層が積層されている面とは反対側の発泡層表面にフィルムを積層してもよい。
前記押出機に圧入する発泡剤としては、例えば、揮発性有機系発泡剤、無機ガス系発泡剤、分解型発泡剤等を、それぞれ単独で又は2以上組み合わせて用いられる。揮発性有機系発泡剤としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロペンタン等の環式脂肪族炭化水素類、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフロロエタン、1−クロロ−1,1−ジフロロエタン、1,1−ジフロロエタン、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフロロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、エチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。無機ガス系発泡剤としては、二酸化炭素、窒素、空気等が用いられる。また分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。しかしながら、積層発泡シートの熱成形に先立つ加熱時の二次発泡性向上の観点からは、揮発性有機系発泡剤を主たる発泡剤として使用することが望ましい。発泡剤の添加量は、発泡剤の種類、基材樹脂、目的とする発泡倍率等によって異なるため、発泡剤の種類、基材樹脂の種類に応じて目的とする発泡倍率が得られるように添加量を選択する。
前記ポリスチレン系樹脂と共に押出機に供給される気泡調整剤としては、タルク、シリカ等の無機粉末や、多価カルボン酸の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム或いは重炭酸ナトリウムとの反応混合物等が挙げられる。気泡調整剤の添加量は、樹脂100重量部当たり、通常は多くても5重量部程度である。
本発明におけるポリスチレン系樹脂発泡層のスチレンダイマー及びスチレントリマーの含有量はそれらの合計量が2000ppm以下であり、1600ppm以下がより好ましく、1400ppm以下が更に好ましい。
本明細書におけるポリスチレン系樹脂発泡層のスチレンダイマー及びスチレントリマーの含有量は、以下のようにして求められる値である。
A.試料の調整及び測定法
1)発泡層より切り出した測定用の試料約0.2gを0.0001gまで正確に秤量し、ビーカー中の約10mlのテトラヒドロフランに溶解させる。
2)測定用の試料がテトラヒドロフランに完全に溶解したことを確認した後、その約10mlの試料テトラヒドロフラン溶液の全量を、23℃のノルマルヘプタン約250ml中に滴下して樹脂を析出させる。更に、ビーカー中に約10mlのテトラヒドロフランを入れ、ビーカー中を洗浄し、洗浄に使用した約10mlのテトラヒドロフランの全量を更に、前記ノルマルヘプタン中に滴下する操作を2回行う。
3)ノルマルヘプタン中に析出した樹脂を、No.5Bの定量ろ紙を使用して、なすフラスコにろ別する。尚、ろ過の際は吸引ろ過を行なわず自然ろ過とする。
4)ろ液の入った、なすフラスコをロータリーエバポレーターに接続し、40℃の水浴下でノルマルヘプタンを蒸発させ、ろ液を約5〜10mlに濃縮する。濃縮されたろ液をビーカーにとり、更になすフラスコ中に約20mlのノルマルヘプタンを入れ、なすフラスコ中を洗浄する。洗浄に使用したノルマルヘプタンをビーカーにとったろ液に加える。
5)ろ液に約10mlのアセトニトリルを加え、コンプレッサーエアーをろ液に吹きかけながら約1時間かけてろ液を約6〜9mlに濃縮する。
6)約6〜9mlに濃縮されたろ液をアセトニトリルで全量が10mlとなるように希釈した後、孔径0.5μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルター(ヤマト科学株式会社製フロリナートメンブレンフィルター)でろ過したものを測定用試料とする。
7)測定用試料を高速液体クロマトグラフに注入して測定を行う。
B.測定装置(高速液体クロマトグラフ)
液送ポンプLC−6A(2台)、自動試料注入装置SIL−6A、紫外分光光度計検出器SPD−6A、カラムオーブンCTO−6A、システムコントローラSCL−6A、データ処理装置C−R3A、(いずれも(株)島津製作所製)。
C.測定条件
カラム:ULTRON VX−ODS(充填材ODSシリカ、粒径5μm、カラム内径4.6mm、カラム長さ250mm)(信和化工(株)製)。
カラム温度:50℃
移動相:アセトニトリル:水(体積比6:4)を初期濃度とし、測定試料注入直後から13分間のリニアグラジエントによりアセトニトリルのみとした後、更に22分間溶出。
流速:1.5ml/min.
検出波長:225nm
注入量:5〜100μlの範囲で適宜調節。
検量線:スチレン二量体及びスチレン三量体の標準試料(関東化学(株)製)を使用し、絶対検量線法により定量する。
本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、該積層発泡シートのポリスチレン系樹脂発泡層を脱泡して得られる非発泡樹脂の120℃での引張試験における引張弾性率が110〜170MPaを有し、好ましくは120〜160MPaを有するものである。
上記引張弾性率が小さすぎる場合、熱成形時の引込み率が悪くなり、得られる成形品の強度が弱くなる。一方、該引張弾性率が大きすぎる場合には、熱成形時の引込み率は十分であるが、伸びが悪くなり、ナキが発生するなど成形性が悪化する。
また、本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、該積層発泡シートのポリスチレン系樹脂発泡層を脱泡して得られる非発泡樹脂の120℃での引張試験における引張降伏強さが5MPa以上であることが好ましく、6MPa以上であることがより好ましく、7MPa以上であることが更に好ましい。該引張降伏強さが上記範囲内である場合には、より熱成形時の引き込み率が大きな積層発泡シートを得ることができる。上記測定条件における引張降伏強さの上限は概ね20MPa程度である。
また、本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、該積層発泡シートのポリスチレン系樹脂発泡層を脱泡して得られる非発泡樹脂の120℃での引張試験における引張破壊伸度が200%以上であることが好ましく、250%以上であることがより好ましく、300%以上であることが更に好ましい。該引張破壊伸度が小さすぎる場合には、熱成形時の伸びが悪くなり、ナキが発生するなど成形性が悪化する虞がある。即ち該引張破壊伸びが上記範囲内であれば、より深絞り成形性に優れた積層発泡シートを得ることができる。上記測定条件における引張破壊伸度の上限は概ね1000%程度である。
本明細書に記載の前記120℃における引張試験は、JIS K 7113(1995年)に準拠し、次のように測定するものとする。測定装置としては、株式会社オリエンテック製テンシロン万能試験機RTC−1250A等のテンシロン万能試験機が利用できる。
まず、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートから発泡層と樹脂層とを切り分け、該発泡層を200℃の真空オーブンに4時間放置して、発泡層中の発泡剤及び空気を除去する。次に、発泡剤及び空気を除去した発泡層をサンプル調整に必要な枚数を重ね合わせ、230℃で5MPaに加圧することにより厚み1.5mmの非発泡樹脂サンプル(以下、ソリッドサンプルともいう。)を作製する。このソリッドサンプルから、気泡を含まない箇所を切出し、JIS K 7113記載の2号形試験片(全長115mm、平行部分の幅6mm、標線間距離33mm)の形状に切り出す。この試験片の平行部分の幅と厚さを、標線間中央部1か所とそれぞれの標線から5mm内側の1か所で、0.01mmまで測定し、平均断面積と最小断面積を算出する。
次に、テンシロン万能試験機に設置した恒温槽を予め120℃に昇温しておき、作製した試験片をつかみ具に設置し、40秒置いてから、引張速度500mm/minの条件で引張試験を行う。なお、恒温槽内の温度は、つかみ具間中央部から横方向に20mmずらした位置にて、熱電対を用いて測定する。
測定により得られた応力−ひずみ曲線を用いて(4)式より引張降伏強さ、(5)式より引張弾性率を、(6)より引張破壊伸度をそれぞれ算出する。
(数3)
引張降伏強さσ(MPa)=F/A (4)
ただし、上記(4)式において、Fは降伏点における荷重、Aは試験片の元の最小断面積である。
(数4)
引張弾性率E(MPa)=Δσ/Δε (5)
ただし、上記(5)式において、Δσは応力−歪み曲線の初めの直線上の2点間の元の平均断面積による応力の差、Δεは同じ2点間の歪みの差である。
(数5)
引張破壊伸度(%)={(L−L)/L}×100 (6)
ただし、上記(6)式において、Lは破断時の標線間距離、Lは元の標線間距離である。
積層発泡シートを熱成形する際の積層発泡シートの表面温度は120℃程度である。したがって、熱成形性を評価する上で、積層発泡シートを120℃に加熱した際の機械的物性が重要となるが、積層発泡シートは断熱性に優れるために、熱成形時における積層発泡シートの厚み方向への中央部付近の温度は表面部よりも低い温度になっているため、これまでは熱成形性に優れる樹脂特性を特定することが困難であった。
また、ポリスチレン系樹脂は、押出加工時に受ける剪断、熱により分子量が低下するため、熱成形性を評価する上で、押出加工前よりも押出加工後のポリスチレン系樹脂の機械的物性が重要となる。さらに、積層発泡シートから樹脂層を分離すると、発泡層の気泡が破壊されてしまうため、発泡層の正確な機械的物性の評価が不可能であった。
そこで、発明者らは、発泡層を脱泡し非発泡の状態にした厚み1.5mmの試験片を120℃の雰囲気下で40秒間加熱した場合に、該試験片の温度分布が熱成形時の発泡層の温度分布にほぼ等しくなり、そのときの引張物性を評価することにより、加熱時の引張物性と積層発泡シートの熱成形性、特に引込み率との間に相関が見られることを見出した。
前記加熱引張物性を達成するためには、ポリスチレン系樹脂発泡層を構成しているポリスチレン系樹脂のZ平均分子量は5.8×10以上であることが好ましく、6.0×10〜1.6×10であることがより好ましく、7.0×10〜1.1×10のものがさらに好ましい。Z平均分子量が上記範囲内であると、ポリスチレン系樹脂中の高分子量成分が多くなるため、熱成形時の引込み率が高くなり、得られる成形品が強度に優れたものとなると共に、熱成形時の積層発泡シートの伸びに優れるため、該シートの熱成形性に優れる。
上記Z平均分子量を達成するためには、使用される原料ポリスチレン系樹脂として、本発明においては、通常、下記の(ア)又は(イ)が選択されるが、安価でかつ効率的に実施でき、熱成形に適した分子量にポリスチレン系樹脂の分子量を調整することが容易な(イ)が好ましい。
(ア)ポリスチレン系樹脂中に含まれるスチレンオリゴマーの含有量が2000ppm以下であり、押出後のZ平均分子量が5.8×10以上となるような高分子量タイプのポリスチレン系樹脂(以下、「HMW−PS」と称す。)を使用する。
通常、ポリスチレン系樹脂を押出加工する場合、押出中に受けるせん断や熱によりポリスチレン系樹脂の分子量、特にZ平均分子量が低下する。押出後の樹脂のZ平均分子量を5.8×10以上とするには、Z平均分子量が5.8×10より高いポリスチレン系樹脂を使用する必要がある。特に、高せん断下、高温下で押し出す場合にはZ平均分子量が大きく低下するので、よりZ平均分子量が高いポリスチレン系樹脂を使用する必要がある。
しかしながら、スチレンオリゴマーの含有量が少ない高分子量タイプのポリスチレン系樹脂は、一般的には市場にほとんど流通しておらず、本発明における熱成形性に適した、特に熱成形時の引込み率に適した加熱引張物性を有する樹脂を市場から入手することは極めて難しい。
そこで、前記Z平均分子量が5.8×10以上を有する熱成形性に適した加熱引張物性を有するポリスチレン系樹脂は、(イ)ポリスチレン系樹脂中に含まれるスチレンオリゴマーの含有量が2000ppm以下の一般的な分子量のポリスチレン系樹脂(以下、「NMW−PS」と称す。)に、NMW−PSに比べ非常に分子量の大きいポリスチレン系樹脂(以下、「UHMW−PS」と称す。)を併用し、押出後のZ平均分子量が5.8×10以上となるように調整することにより調製することができる。
この場合、UHMW−PSの使用量は、使用するUHMW−PSの分子量にもよるが、NMW−PS 100重量部に対し、3〜50重量部が好ましく、5〜40重量部がより好ましく、10〜30重量部が更に好ましい。UHMW−PSの使用量が少なすぎると、得られる発泡層を構成するポリスチレン系樹脂の分子量を上記範囲内に維持することが困難となる。一方、UHMW−PSの使用量が多すぎると、コストが増大してしまう。なお、得られる押出発泡体を構成するポリスチレン系樹脂の分子量を上記範囲内に維持するには、使用するUHMW−PSのMzが大きいほどその使用量は少なく済み、使用するUHMW−PSのMzが小さいほどその使用量が多く必要となる傾向にある。
上記のNMW−PSとは、重量平均分子量(Mw)が2.0×10以上3.5×10未満であり、Z平均分子量(Mz)が4.0×10以上5.8×10未満であるものをいう。
一方、UHMW−PSとは、重量平均分子量(Mw)が4.0×10以上、Z平均分子量(Mz)が1.0×10以上のものをいう。UHMW−PSとしてはMwが4.0×10〜1.0×10であり、Mzが1.0×10〜3.0×10であるものが好ましく、Mwが4.5×10〜6.0×10であり、Mzが1.0×10〜2.0×10であるものがより好ましい。UHMW−PSのMw、Mzが小さいと本発明の目的を達成することが困難となる虞があり、UHMW−PSのMw、Mzが大きいとNMW−PSとの溶融混練が良好に行い難くなる虞がある。即ち、UHMW−PSの分子量が上記範囲内であると、一般的な分子量を有するNMS−PSに該UHMW−PSを混合することにより、該混合物の分子量を、熱成形時にスケルトン部からの引込み性に優れ、かつ深絞り成形に適した分子量に調整することができる。
UHMW−PSは、例えば、連続重合方法を採用し、有機過酸化物を複数回に分けて適宜の量を添加し、ゲルが発生しない範囲でスチレンモノマーを重合することにより製造することができる。また、他の方法として、懸濁重合、シード重合又は乳化重合方法を採用しても製造可能である。上記重合方法のうち、懸濁重合、シード重合又は乳化重合により得られたUHMW−PS中のスチレンオリゴマーの含有量が少なくなる傾向にあるため好ましい。
得られたUHMW−PS中に重合開始剤(通常は有機過酸化物)が残存していると、その残存量にもよるが、その後の熱加工時に分子量が大きく低下してしまうことになるので、重合開始剤は完全に又は略完全に失活させておくことが好ましい。
本発明において、上記Mw、Mzは、いずれもゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法(GPC法)により求めた値である。具体的には、積層発泡シートの発泡層をテトラヒドロフラン(THF)20mlに溶解させ(もしもTHFへの不溶分が存在する場合にはろ過して除去した後)、下記に示す機器を用い、下記分析条件にてGPC法により測定し、得られたチャートのスチレン系樹脂によるピーク開始位置(本発明では、便宜上、分子量5.4×10位置を採用)を基準に水平(横軸と平行)にベースラインを引き、標準ポリスチレンを用いて作成した標準較正曲線により、各分子量を算出する。
使用機器:株式会社ジーエルサイエンス製GPC仕様高速液体クロマトグラフ。
カラム:昭和電工株式会社製カラム、商品名Shodex GPC KF−806、同KF−805、同KF−803をこの順に直列に連結して使用。
カラム温度:40℃
溶媒:THF
流速:1.0ml/分
濃度:0.15w/v%
注入量:0.2ml
検出器:株式会社ジーエルサイエンス製紫外可視検出器、商品名UV702型(測定波長254nm)
分子量分布の計算に用いた較正曲線の分子量範囲:1.9×10〜5.4×10
なお、前記HMW−PS、NMW−PSやUHMW−PSのようなポリスチレン系樹脂原料の平均分子量についても、測定試料として発泡層の代わりにポリスチレン系樹脂原料を使用することにより、上記測定方法と同じ方法で測定することができる。
本発明において前記発泡層における低分子量飽和炭化水素の含有量は0.1重量%以下(0を含む。)であることが好ましい。通常、低分子量飽和炭化水素はポリスチレン系樹脂の流動性を改良し押出加工性を向上させるために添加されるが、低分子量飽和炭化水素の添加により加熱時の機械的物性、特に引張応力、引張弾性率が低下する虞がある。したがって低分子量飽和炭化水素の含有量が上記範囲内であれば熱成形時の引込み率を低下させることなく、得られる成形品が強度に優れたものとなる。
本発明における前記低分子量飽和炭化水素とは、流動パラフィン、天然パラフィン、パラフィンワックス、ポリオレフィンパラフィン等のパラフィン系化合物及びこれらの部分酸化物である
本明細書におけるポリスチレン系樹脂発泡層の低分子量飽和炭化水素の含有量は、以下の方法により求められる値である。
まず、積層発泡シートから樹脂層を完全に取り除き、発泡層のみを得る。この発泡層から約10gの試料を採取し、重量WFを0.0001gまで秤量し、その試料をビーカー中の約20mlのテトラヒドロフラン(THF)を用いて溶解させる。試料が完全にTHFに溶解したことを確認した後、その約20mlの試料THF溶液の全量を約200mlのノルマルヘプタン中に滴下してポリスチレン系樹脂を再沈させる。このノルマルヘプタン中に析出したポリスチレン系樹脂をNo.5Bの定量ろ紙を使用して自然ろ過することにより取り除き、ノルマルヘプタン相をなすフラスコ中にろ別する。ろ液の入ったなすフラスコをロータリーエバポレーターに接続し、40℃の水浴中でノルマルヘプタンを蒸発させることにより約50mlまで濃縮する。この濃縮されたろ液をビーカーにとり、アセトニトリル約200mlを加えて高級脂肪酸類及び低分子量のスチレン成分をアセトニトリル中に溶媒抽出して除き、分液ロートを用いてノルマルヘプタン相とアセトニトリル相とに分離する。このノルマルヘプタン相を120℃で乾固し、残渣として得られる低分子量飽和炭化水素の重量WAを測定する。
次に、溶媒抽出中にアセトニトリル相に移行している可能性のある微量の低分子量飽和炭化水素をアセトニトリル相から分離するために以下の操作を行う。上記の操作により残ったアセトニトリル相をなすフラスコ中に入れ、ろ液の入ったなすフラスコをロータリーエバポレーターに接続し、40℃の水浴中で加熱することにより約50mlまで濃縮する。この濃縮したアセトニトリル相をビーカーに移し、約200mlのノルマルヘプタンを加えて低分子量飽和炭化水素を溶媒抽出する。その後、分液ロートを用いてアセトニトリル相とノルマルヘプタン相とに分離し、このノルマルヘプタン相を用いて、上記WAを求めた操作と同条件で、濃縮、溶媒抽出、分離、乾固の操作を行うことにより低分子量飽和炭化水素の重量WBを求める。
以上の操作により得られたWAとWBとの和を元の試験片の重量WFで除した値に100を掛けた値を本発明におけるポリスチレン系樹脂発泡層の低分子量飽和炭化水素の含有量(重量%)とする。
本発明の積層発泡シートの発泡層の見かけ密度は0.08〜0.35g/cmが好ましく、0.09〜0.2g/cmがより好ましく、0.1〜0.19g/cmが更に好ましい。見かけ密度が低すぎる場合は、得られる成形品の保形性や、リップ強度等の機械的強度が低くなる虞がある。一方、見かけ密度が大きすぎる場合は、軽量性、断熱性が不十分となる虞や、コストが高くなる虞がある。
本発明の積層発泡シートの発泡層の厚みは1.8〜3.0mmが好ましく、1.9〜2.9mmがより好ましく、2.0〜2.8mmがさらに好ましい。厚みが薄すぎる場合は、絞り比が大きい深絞り成形ができなくなる虞や、得られる成形品に熱湯を入れた場合に変形する虞がある。一方、厚みが厚すぎる場合は、ナキの成形不良が発生する虞がある。
本明細書における発泡層の見かけ密度、厚みは次の方法に従って測定される。
まず、本発明の積層発泡シートから、積層発泡シートの押出方向と一致する方向に50cm、且つ積層発泡シートの幅方向と一致する方向に50cmの正方形のサンプルを切り出す。なお、この際、幅方向の中央部とサンプル中央部が一致するようにする。
次に、サンプルの幅方向のいずれか一方の垂直断面において、片方の端部を基準として5cm間隔で他方の端部に至るまでの幅方向両端部を除く合計9箇所の測定点について、積層発泡シートの厚みと発泡層の厚みを、顕微鏡で撮影した写真に基づいて測定する。
上記9箇所の測定点の測定値を相加平均することにより、積層発泡シートの厚み(mm)と発泡層の厚み(mm)を求める。また、積層発泡シートの厚みから上記発泡層の厚み(mm)を引くことによって得られる値をもって、樹脂層の厚み(mm)とする。
また、前記サンプルの重量(g)を測定し、その測定値を1m当たりの積層発泡シートの重量に換算して積層発泡シートの坪量(g/m)とする。樹脂層の1m当たりの重量(g)である樹脂層の坪量(g/m)は、樹脂層の密度、即ち樹脂層の基材樹脂の密度に前記樹脂層の厚みを掛算し単位に変換することによって求められる。また、発泡層の1m当たりの重量である発泡層の坪量(g/m)は、積層発泡シートの坪量(g/m)から樹脂層の坪量(g/m)を引算することによって求められる。
発泡層の見かけ密度は前記発泡層の坪量(g/m)を前記発泡層の厚みにて割り算し、g/cm単位に変換することによって求められる。
本発明の積層発泡シートにおける発泡層の連続気泡率は0〜25%であることが好ましく、0〜20%がより好ましく、0〜15%が更に好ましく、0〜10%が特に好ましい。連続気泡率が上記範囲内であると熱成形時の二次発泡性に優れたものとなり、得られる成形品の強度、厚みの均一性において特に良好なものとなる。
本明細書における発泡層の連続気泡率(%)とは、ASTM D−2856−70(手順C)に準拠し、空気比較比重計を使用して測定される積層発泡シート試験片の実容積(独立気泡の容積と樹脂部分の容積との和):Vx(cm)を求め、下記(7)式により、算出することができる。
(数6)
連続気泡率(%)={(Va−Vx)/(Va−W/1.05)}×100 (7)
ただし、上記(7)式中のVa、Wは以下のとおりである。
Va:測定に使用した積層発泡シート試験片の外寸から計算される見掛けの容
積Va(cm
W:積層発泡シート試験片の重量(g)
試験片は、サイズが25cmと推奨されているが、試験の対象となるものが2mm程度の薄物である上、空気比較式比重計に付属のサンプルカップに非圧縮状態で収納しなければならない。そのため、積層発泡シートから、縦25mm、横40mm、厚みはそのままのカットサンプルを、厚みの総和が25mmに最も近づく(ただし25mmを超えない。)複数枚のカットサンプルを同時にサンプルカップに収納してこれを連続気泡率測定の試験片とする。
本発明の積層発泡シートにおいては、発泡層の厚み方向の平均気泡径(mm):Z、発泡層の押出方向(MD)の平均気泡径(mm):X、発泡層の幅方向(TD)の平均気泡径(mm):Yとの間に、前記した0.3<Z/X<0.8、0.3<Z/Y<0.8、0.08<Z<0.2の関係が成り立つことが好ましく、さらには、0.4<Z/X<0.6、0.5<Z/Y<0.7、0.1<Z<0.18が成り立つことがより好ましい。
上記Z/X、Z/Yの値が上記範囲を満足するような形状の気泡を有する積層発泡シートは、熱成形性、特に深絞り成形性が良くなり、得られる成形品の機械的強度において優れるものとなる。しかしながら、Z/X、Z/Yの少なくとも一方が上記範囲以下の場合には、扁平すぎる気泡となるため、積層発泡シートを熱成形して得られる成形品の機械強度が低下する虞がある。一方、Z/X、Z/Yの少なくとも一方が上記範囲以上である積層発泡シートは、熱成形時のドローダウンが大きくなりやすく、熱成形性が悪くなる虞がある。また、上記Zが小さすぎる場合には、熱成形性、機械的強度が悪化する虞がある。一方、Zが大きすぎる場合には、外観が不良となる虞があり、また柔軟性が不十分となる虞があり外部から力を受けた場合に気泡が座屈しやすくなる。したがって、上記範囲を満足するような気泡形状を有する積層発泡シートを用いると、熱成形性に優れ、また、熱成形して得られる成形体の機械的強度も優れたものとなる。
なお、上記気泡径及び気泡形状は、発泡層の中央部について測定されたものである。ここで中央部とは、厚み方向の中心を含み、樹脂層が積層されていない側の表面S1及び樹脂層と発泡層との界面S2から各々発泡層全厚みの10%迄の範囲を含まない部分の意味である。即ち、図1に示すように、発泡層の全厚みの80%を占める発泡層の厚み方向の中央部分である。
上記表面S1付近に存在する気泡は、シーティング時のエア冷却の影響により中央部の気泡よりも微細であり、延伸による変形も大きく、さらに、数十μm程度の微細な気泡が含まれることもある。一方、発泡層に樹脂層を積層する際に樹脂層からの熱により、上記界面S2付近に存在する気泡が膨張されたり、界面S2付近の発泡層に数十μm程度の微細な気泡の数が増加したりする。よって、上記の範囲に存在する気泡を平均気泡径の測定から除外し、発泡層の中央部に存在する気泡についてのみ気泡径及び気泡径比を求める。
図1に積層発泡シートの気泡径の測定方法を説明するための積層発泡シート切断断面の模式図を示す。図1(a)は押出方向の垂直切断断面図を示し、図1(b)は幅方向の垂直断面図を示す。図1(c)は発泡層の気泡径X、Y、Zを説明する部分拡大図を示す。図1において、1は積層発泡シート、2、2aはそれぞれ気泡を示し、S1は発泡体の樹脂層が積層されていない側の表面、S2は樹脂層と発泡層との界面をそれぞれ示す。Tは発泡層の厚みを表す。
本明細書において、平均気泡径X、Y、Zは次のように測定するものとする。
発泡層の中央部の押出方向(MD)の平均気泡径(mm):X、幅方向(TD)の平均気泡径(mm):Y、厚み方向の平均気泡径(mm):Zは、発泡層の押出方向の垂直切断面及び、幅方向の垂直切断面を顕微鏡で拡大撮影し、得られた顕微鏡撮影写真に基づいて測定するものとし、測定によって得られた平均気泡径X、平均気泡径Y、平均気泡径ZからZ/X、Z/Yを求める。
更に詳しく説明すると、発泡層の、MDに沿う方向の厚み方向断面の顕微鏡拡大写真を得て、得られた写真をもとに発泡体の樹脂層が積層されていない側の表面S1及び樹脂層と発泡層との界面S2から各々0.1×(発泡層全厚み:T)の位置に相当する位置に線を引き、中央部と中央部以外との気泡に分け、写真上の中央部に存在する各気泡全てについてMDおよび厚み方向の最大気泡径を図1(a)に示すようにノギスにより測定して各気泡2のx、zの値をそれぞれ気泡ごとに得、こうして得られたx、x、x・・x、並びにz、z、z・・zの値から各々その算術平均値であるX、Zを得、このX、Zの値からZ/Xの値を得る。尚、当然のことながらX、Zの値は、それぞれ上記写真の拡大率にもとづいて換算して真の平均気泡径を求める。
Yの値は、発泡層の、TDに沿う方向の厚み方向断面の顕微鏡拡大写真を得て、得られた写真をもとに表面S1及び界面S2から各々0.1×(発泡層全厚み:T)の位置に相当する位置に線を引き、中央部と中央部以外との気泡に分け、写真上の中央部に存在する各気泡全てについてTDの最大気泡径を図1(b)に示すようにノギスにより測定して各気泡2のyの値を気泡ごとに得、こうして得られたy、y、y・・・yの値からその算術平均値であるYを得、このYの値と、先に求めたZの値からZ/Yの値を得る。尚、当然のことながらYの値は、上記写真の拡大率にもとづいて換算して真の平均気泡径を求める。また、上記Z、X、Yの測定において表面S1及び界面S2より0.1×(発泡層全厚み:T)の線上にある気泡2aは測定の対象外とする。
上記気泡径比および気泡径の調整は、以下のとおり調整することができる。
気泡径X、Y、Zの調整方法としては、タルク、重炭酸ナトリウムなどの無機又は有機の気泡調整剤を基材樹脂100重量部に対して0.1〜3重量部添加することや、押出発泡時のダイの圧力を調節することにより調整できる。即ち、良好な外観、目的とする見かけ密度、厚みの発泡シートが得られる範囲内において、気泡調整剤を増量することにより気泡径を小さくすることができ、ダイの圧力を高くすることにより気泡径を小さくすることができる。
また、気泡径比Z/Xについては、押出発泡後の発泡シートの引取速度を調節することにより調整でき、気泡径比Z/Yについては、押出発泡後の発泡シートの拡幅率(ブローアップ比)を調節することにより調整できる。
本発明の積層発泡シートは、従来公知の成形方法によって成形することができ、特に絞り比(成形体深さ/成形体上面開口部面積を円に換算した場合の直径)0.5以上の深絞り成形性に優れている。成形方法としては、真空成形、圧空成形や、これらの応用として、フリードローイング成形、プラグアンドリッジ成形、リッジ成形、マッチドモールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースロード成形等やこれらを組合せた方法等が採用される。上記成形方法の中でも、積層発泡シートの金型密着性を向上させるようなマッチドモールド成形等が好ましく採用される。
以下、本発明の積層発泡シートについて、実施例により具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
[ポリスチレンの製造]
製造例1
内容積1.2mの撹拌機付反応器にイオン交換水350kg、リン酸三カルシウム1.4kg、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム17.5gを添加する。次に重合開始剤を予め溶かしたスチレン溶液を加え、系内を窒素でパージしたのちに、加熱を開始し懸濁重合を行なって、真球状のポリスチレンビーズを製造した。その際の具体的な重合(加熱)条件は次の通りとした。反応機内容物を25℃から90℃まで1時間かけて昇温し、90℃で10時間保持した。続いて90℃から120℃まで1.5時間かけて昇温し、120℃で5時間保持した後に常温まで冷却し、得られた真球状のポリスチレンビーズを反応器から取り出した。
なお、上記スチレン溶液は、スチレンモノマー350kgに、重合開始剤であるt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート610gと、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート203gとを予め溶かしたものである。
続いて、上記真球状のポリスチレンビーズを洗浄し、乾燥した。得られた真球状ポリスチレンビーズは、Mn:1.4×10、Mw:5.1×10、Mz:1.3×10であり、該スチレンビーズ中のスチレンダイマー及びスチレントリマーの合計含有量は370ppmである。以下、この製造例1で得られたポリスチレンビーズをポリスチレンAと呼ぶ。
なお、ポリスチレン系樹脂原料中のスチレンダイマー及びスチレントリマーの合計含有量は、測定試料として発泡層の代わりにポリスチレン系樹脂原料を使用して、前記した発泡層中のスチレンオリゴマー含有量の測定方法と同じ方法で測定した値である。
製造例2
内容積1.2mの撹拌機付反応器にイオン交換水350kg、リン酸三カルシウム1.4kg、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム17.5gを添加する。次に重合開始剤等を予め溶かしたスチレン溶液を加え、系内を窒素でパージしたのちに、加熱を開始し懸濁重合を行なって、真球状のポリスチレンビーズを製造した。その際の具体的な重合(加熱)条件は次の通りとした。反応機内容物を25℃から90℃まで1時間かけて昇温した。続いて90℃から100℃まで15時間かけて昇温した。続いて100℃から120℃まで1.5時間かけて昇温し、120℃で5時間保持した後に常温まで冷却し、得られた真球状のポリスチレンビーズを反応器から取り出した。
なお、上記スチレン溶液は、スチレンモノマー350kgに、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート175g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート245g、高分子量化剤であるジビニルベンゼン(キシダ化学株式会社製の純度約55%品)81gを予め溶かしたものである。
続いて、上記真球状のポリスチレンビーズを洗浄し、乾燥した。得られた真球状ポリスチレンビーズは、Mn:2.1×10、Mw:1.3×10、Mz:3.8×10であり、該スチレンビーズ中のスチレンダイマー及びスチレントリマーの合計含有量は570ppmである。以下、この製造例2で得られたポリスチレンビーズをポリスチレンBと呼ぶ。
製造例3
内容積1.2mの撹拌機付反応器にイオン交換水350kg、リン酸三カルシウム1.4kg、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム17.5gを添加する。次に重合開始剤等を予め溶かしたスチレン溶液を加え、系内を窒素でパージしたのちに、加熱を開始し懸濁重合を行なって、真球状のポリスチレンビーズを製造した。その際の具体的な重合(加熱)条件は次の通りとした。反応機内容物を25℃から90℃まで1時間かけて昇温し、90℃で10時間保持した。続いて90℃から120℃まで1.5時間かけて昇温し、120℃で5時間保持した後に常温まで冷却し、得られた真球状のポリスチレンビーズを反応器から取り出した。
なお、上記スチレン溶液は、スチレンモノマー350kgに、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1220g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート203g、ジビニルベンゼン(キシダ化学株式会社製の純度約55%品)81gを予め溶かしたものである。
続いて、上記真球状のポリスチレンビーズを洗浄し、乾燥した。得られた真球状ポリスチレンビーズは、Mn:1.1×10、Mw:5.6×10、Mz:1.9×10であり、該スチレンビーズ中のスチレンダイマー及びスチレントリマーの合計含有量は350ppmである。以下、この製造例3で得られたポリスチレンビーズをポリスチレンCと呼ぶ。
製造例4
内容積1.2mの撹拌機付反応器にイオン交換水350kg、リン酸三カルシウム1.4kg、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム17.5gを添加する。次に重合開始剤を予め溶かしたスチレン溶液を加え、系内を窒素でパージしたのちに、加熱を開始し懸濁重合を行なって、真球状のポリスチレンビーズを製造した。その際の具体的な重合(加熱)条件は次の通りとした。反応機内容物を25℃から90℃まで1時間かけて昇温し、90℃で10時間保持した。続いて90℃から120℃まで1.5時間かけて昇温し、120℃で5時間保持した後に常温まで冷却し、得られた真球状のポリスチレンビーズを反応器から取り出した。
なお、上記スチレン溶液は、スチレンモノマー350kgに、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート910g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート350gを予め溶かしたものである。
続いて、上記真球状のポリスチレンビーズを洗浄し、乾燥した。得られた真球状ポリスチレンビーズは、Mn:1.1×10、Mw:3.7×10、Mz:1.0×10であり、該スチレンビーズ中のスチレンダイマー及びスチレントリマーの合計含有量は300ppmである。以下、この製造例4で得られたポリスチレンビーズをポリスチレンDと呼ぶ。
製造例5
内容積1.2mの撹拌機付反応器にイオン交換水350kg、リン酸三カルシウム1.4kg、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム17.5gを添加する。次に重合開始剤を予め溶かしたスチレン溶液を加え、系内を窒素でパージしたのちに、加熱を開始し懸濁重合を行なって、真球状のポリスチレンビーズを製造した。その際の具体的な重合(加熱)条件は次の通りとした。反応機内容物を25℃から90℃まで1時間かけて昇温した。続いて90℃から100℃まで4時間かけて昇温した。続いて100℃から120℃まで1.5時間かけて昇温し、120℃で5時間保持した後に常温まで冷却し、得られた真球状のポリスチレンビーズを反応器から取り出した。
なお、上記スチレン溶液は、スチレンモノマー350kgに、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート2440g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート203gを予め溶かしたものである。
続いて、上記真球状のポリスチレンビーズを洗浄し、乾燥した。得られた真球状ポリスチレンビーズは、Mn:6.7×10、Mw:2.3×10、Mz:7.6×10であり、該スチレンビーズ中のスチレンダイマー及びスチレントリマーの合計含有量は270ppmである。以下、この製造例5で得られたポリスチレンビーズをポリスチレンEと呼ぶ。
実施例1
ポリスチレン系樹脂として、PSジャパン株式会社製G0002(連続重合法:スチレンダイマー及びスチレントリマーの合計含有量1210ppm、Mn:1.1×10、Mw:3.0×10、Mz:5.7×10、流動パラフィン含有量0重量%(以下、単にG0002ともいう。))85重量部と、製造例1で得たポリスチレンA 15重量部とを混合したポリスチレン系樹脂100重量部に対してタルク0.9重量部を配合した原料を、内径90mmの押出機に投入して加熱し溶融混練することにより溶融樹脂とし、該溶融樹脂にイソブタン65重量%とノルマルブタン35重量%の混合ブタン発泡剤を圧入して混練し、発泡性溶融樹脂混合物とした。なお、発泡剤の添加量は、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して3.2重量部とした。
次いで、上記90mmの押出機の下流側に接続された内径120mmの押出機にて、上記発泡性溶融樹脂混合物を、ブレーカー部の測定温度が156℃となるように冷却して該発泡性溶融樹脂混合物を吐出量100kg/hrで出口スリット間隙0.67mmの環状ダイを通して押出発泡させ、その直後に内側から温度25℃の冷却エアを風量1.8m/minで吹きつけ、同時に外側から温度25℃の冷却エア1.5m/minを吹き付けながら、円筒状の発泡体とし、該発泡体の内面を直径270mmの円柱状冷却装置(マンドレル)の円柱側面に沿わせ7.8m/minの速度で通過させながら冷却した後、押出方向に切り開くことにより約850mm幅の発泡シートを得た。マンドレルの直径をダイ出口の口径(スリット間隙)で割った値のブローアップ比は3.7とした。
上記方法にて得られた発泡シートを3週間養生した後、以下の押出ラミネート方式により該発泡シート片面に樹脂層を形成した。
すなわち、他の押出機に、耐衝撃性ポリスチレンとして東洋スチレン株式会社製、製品名:XL−4を投入し、押出機中で加熱下に溶融、混練して溶融物としTダイを通して発泡シートの外表面側(円柱状冷却装置冷却面と反対面側)に240℃の溶融樹脂を押出して1m当たり125gとなるように無延伸樹脂層を積層接着し、積層発泡シートを得た。
実施例2
ポリスチレン系樹脂として、G0002 70重量部と、製造例1で得たポリスチレンA 30重量部とを混合したポリスチレン系樹脂を使用した以外は、実施例1と同様に積層発泡シートを得た。
実施例3
ポリスチレン系樹脂として、G0002 85重量部と、製造例3で得たポリスチレンC 15量部とを混合したポリスチレン系樹脂を使用した以外は、実施例1と同様に積層発泡シートを得た。
実施例4
ポリスチレン系樹脂として、製造例4で得たポリスチレンD 100重量部を使用した以外は、実施例1と同様に積層発泡シートを得た。
実施例5
発泡剤の添加量をポリスチレン系樹脂100重量部に対して3.3重量部とし、発泡体の引取速度を8.3m/minとした以外は、実施例1と同様に積層発泡シートを得た。
比較例1
ポリスチレン系樹脂として、PSジャパン株式会社製G0302(連続重合法:スチレンダイマー及びスチレントリマーの合計含有量1210ppm、Mn:1.2×10、Mw:3.0×10、Mz:5.7×10、流動パラフィン含有量0.6重量%)100重量部を使用した以外は、実施例1と同様に積層発泡シートを得た。
比較例2
ポリスチレン系樹脂として、G0002 50重量部と製造例5で得たポリスチレンE 50重量部とを使用した以外は、実施例1と同様に積層発泡シートを得た。
比較例3
ポリスチレン系樹脂として、G0002 75重量部と製造例2で得たポリスチレンB 25重量部とを使用した以外は、実施例1と同様に積層発泡シートを得た。
比較例4
発泡剤の添加量をポリスチレン系樹脂100重量部に対して3.3重量部とし、発泡体の引取速度を8.3m/minとした以外は、比較例1と同様に積層発泡シートを得た。
実施例、比較例で得られた積層発泡シートの発泡層を脱法して調整した試験片の加熱時の引張物性、発泡層を構成している樹脂の分子量、発泡層中の低分子量飽和炭化水素含有量、発泡層の見かけ密度、厚み、坪量、連続気泡率、気泡径、気泡形状、スチレンオリゴマー含有量、樹脂層坪量、積層発泡シートの坪量を測定した結果を表1、2に示す。
実施例、比較例で得られた積層発泡シートについて、浅野研究所製 品番 FKS−0631−10の成形機を用いて、マッチドモールド法により樹脂層が積層された面を容器の外面側に位置するように熱成形を行った。該成形機は、積層発泡シートを加熱させる加熱ゾーンと、成形を行う成形ゾーンとからなり、加熱ゾーンに積層シートの上下に位置して加熱ヒーターが設けられている。樹脂層が上側になるように積層発泡シートを600mm角の開口部を有する枠に固定して、上側ヒーターを325℃、下側ヒーターを275℃に調整し、該積層発泡シートの加熱を13.6秒間行った。その後、成形ゾーンに加熱された積層発泡シートを送り、開口部が直径φ141mmの円形、深さ73mm、絞り比0.52の丼形状の容器を成形した。この成形における1ショット当たりの容器取り数は、積層発泡シートの長さ方向に3個、幅方向に3個の計9個であり、長さ方向及び幅方向のピッチ間隔はそれぞれ156mmであった。
成形性、引込み率、得られた成形品のリップ強度を表1、2に示す。
[成形性評価]
成形性は以下の基準で評価した。
○・・・成形中にナキが発生することなく、成形品が得られた。
×・・・成形中にナキが発生し、良好な成形品を得ることができなかった。
[引込み率]
成形品1個あたりの重量を、成形品の上部開口面積あたりの積層発泡シートの重量で除した値を引込み率とした。なお、引込み率の測定は、1ショット分の成形で得られる9個の容器全てについて行い、9個の容器それぞれに対して求められた引込み率の中の最小値をそのショットにおける引込み率とした。この測定を10ショット分行い、各ショットごとの引込み率を平均することにより、引込み率を求めた。
[成形品リップ強度]
成形品のリップ強度の測定は、株式会社オリエンテック製テンシロン万能試験機RTC−1250Aを使用して、長方形状の溝が設けられている上側の取付治具と、円弧上の溝が設けられている下側の取付治具とを用いて測定した。具体的には、成形品の周縁に形成されたフランジ部の上下部分を上側取付治具の長方形状の溝に挿入し、該フランジ部の下方部分を下側取付治具の円弧上の溝に挿入して、成形品を上下の取付治具間に拘持し、速度50mm/minで圧縮することにより、降伏点までの最大荷重(N)を測定する。該測定は、押出方向、幅方向の各々について10個の成形品を用いて10回行い、平均した値をリップ強度とした。
Figure 0004925290

Figure 0004925290
表1、2から、本発明の積層発泡シートは、成形性、成形により得られる成形品の強度に問題がないのに対し、比較例の積層発泡シートは、引込み率が小さいため、リップ強度が小さいことが判る。
積層発泡シートの気泡径の測定方法を説明するための積層発泡シート切断断面の模式図である。
符号の説明
1 積層発泡シート
2 気泡

Claims (4)

  1. スチレンダイマー及びスチレントリマーの含有量が2000ppm以下であるポリスチレン系樹脂発泡層の片面に、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂層が積層されたポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいて、
    ポリスチレン系樹脂発泡層を構成しているポリスチレン系樹脂のZ平均分子量が5.8×10 〜1.1×10 、且つパラフィン系化合物及びパラフィン系化合物の部分酸化物から選択される1以上の低分子量飽和炭化水素の含有量が0.1重量%以下(0を含む。)であり、該ポリスチレン系樹脂発泡層を脱泡して得られる非発泡樹脂の120℃での引張試験における引張弾性率が110〜170MPaであることを特徴とする多数取り深絞り成形用ポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
  2. ポリスチレン系樹脂発泡層を構成しているポリスチレン系樹脂が、重量平均分子量2.0×10 以上3.5×10 未満、かつZ平均分子量4.0×10 以上5.8×10 未満のポリスチレン系樹脂(NMW−PS)と、重量平均分子量4.0×10 以上、かつZ平均分子量1.0×10 以上のポリスチレン系樹脂(UHMW−PS)との混合物からなり、UHMW−PSの量が、NMW−PS100重量部に対して3〜50重量部であることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
  3. 前記ポリスチレン系樹脂発泡層の見かけ密度が0.08〜0.35g/cm、厚みが1.8〜3mm、連続気泡率が0〜25%であり、かつ気泡形状が下記(1)〜(3)式を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
    (数1)
    0.3<Z/X<0.8 (1)
    0.3<Z/Y<0.8 (2)
    0.08<Z<0.2 (3)
    (ただし、式中X、Y、Zのそれぞれは、上記発泡層の押出方向(MD)、幅方向(TD)、厚み方向における平均気泡径であり、その単位はmmである。)
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シートを熱成形してなる成形品。
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