JP4540027B2 - 連泡発泡体、真空断熱材用芯材及び真空断熱材 - Google Patents

連泡発泡体、真空断熱材用芯材及び真空断熱材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリスチレン系樹脂からなる連続気泡構造の発泡体(連泡発泡体)、真空断熱材用芯材及び真空断熱材に関する。
【0002】
【従来の技術】
保形性を有する芯材をガスバリアー性フィルムで包み内部を真空吸引してなる真空断熱材は、芯材内に残留するガスを真空吸引によって排気することにより、良好な断熱性を示す。このことから、芯材は真空吸引に耐え得る圧縮強度を有し、且つ真空断熱空間を形成し得るものが使用されている。
【0003】
従来、真空断熱材用の芯材としては、▲1▼シリカ、パーライト等の無機微粒子充填剤、▲2▼連泡ウレタンフォーム、▲3▼ガラス繊維等が知られているが、▲1▼のものは密度が0.2〜0.35g/cm3と高く軽量性の面で不十分であることと、非常に微細な粉体であるため生産工程及び廃棄処理時の粉塵の問題があった。▲2▼のものは取り扱いが容易であるが、リサイクルがしにくいこと及びその樹脂中に微量ながら水分、炭酸ガス等の揮発成分が存在するため、真空包装の前処理として、120℃×2〜3時間程度の予備乾燥が必要であった。▲3▼のものは無機粉体と同様にガラス繊維の飛散から生じる取り扱い上の問題があった。
【0004】
近年、特表平11−504362号公報によれば、真空断熱材用ポリスチレン系樹脂の連泡発泡体が提案されているが、これはポリスチレン系樹脂であるために軽量かつ取り扱いが容易であり、真空断熱材用芯材としては優れているものである。しかしながら、このものは、使用する発泡剤が樹脂中に長期間残存してしまうことが考えられ、これが真空包装する際に真空度を低下させる原因となること、また気泡径を常に70μm以下と非常に小さくコントロールしなければならないものであるため、その製造条件は通常の押出発泡体の製造条件に比べ、非常に狭くなるという不利がある。
さらに、真空断熱材の用途として例えば冷蔵庫、保冷車、自動販売機等の断熱材が挙げられる。この真空断熱材の固定方法は、真空断熱材の両面にウレタンを注入発泡させて真空断熱材を固定している。このためウレタンが発泡する際の熱により真空断熱材が変形してしまい、このような条件下では使用できず用途が限られてしまうものであった。また、保冷車、自動販売機では、真夏の太陽による熱、自動販売機では、ヒーターの熱等によって高温となり真空断熱材が変形してしまうことがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、リサイクル性にすぐれるとともに、取り扱いの容易なポリスチレン系樹脂発泡体において、高い発泡倍率を有し、軽量性、断熱性、通気性、透湿性等に優れる連泡発泡体、更に耐熱性に優れる連泡発泡体、該発泡体からなる真空断熱材用芯材及び真空断熱材を提供することをその課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、ポリスチレン系樹脂発泡体からなり、連続気泡率が90%以上、密度が0.03〜0.4g/cm、厚み方向の気泡径が80〜200μm、厚み方向の気泡径/幅方向の気泡径の比及び厚み方向の気泡径/長さ方向の気泡径の比がいずれも0.1〜1.2である押出発泡体であって、該発泡体の表面に気泡断面が露出していることを特徴とする連泡発泡体が提供される。また、本発明によれば、前記連泡発泡体からなり、その密度が0.03〜0.2g/cmの範囲にあり、該発泡体中の発泡剤残存量が0.01重量%未満であることを特徴とする真空断熱材用芯材が提供される。さらに、本発明によれば、前記芯材をガスバリアー性フィルムで包み、内部を真空吸引してなる真空断熱材が提供される。さらにまた、本発明によれば、密度が0.03〜0.4g/cmの表皮付きポリスチレン系樹脂発泡体であって、その連続気泡率が50〜90%の範囲にあり、該発泡体両表面から厚み方向に5.0mmまでの部分を取り除いた後の発泡体の連続気泡率が90%以上であり、密度が0.03〜0.4g/cm であり、厚み方向の気泡径が80〜200μmであり、厚み方向の気泡径/幅方向の気泡径の比及び厚み方向の気泡径/長さ方向の気泡径の比がいずれも0.1〜1.2であることを特徴とする連泡発泡体が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる前記ポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸系樹脂として、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体等が挙げられる。また、スチレン−無水マレイン酸樹脂として、例えば、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。また、ポリスチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとの混合物などが挙げられる。また、前記したものを任意の割合で混合しても良い。
また、前記した中でも真空断熱材における芯材が熱により変形しない等の耐熱性の点から連泡発泡体におけるメルトフローレートが3.0g/10分以下であることが好ましく、特に、2.2g/10分以下であることが好ましい。下限値は、押出し圧力の上昇を防ぐため0.5g/10分であることが好ましい。
なお、メルトフローレートは、JIS K7210(1976)にて求められる値を採用する。操作方法はA法で同一材料につき1回の押出しごとに1個の質量測定用材料を採取し、これを3回繰返すこととする。条件は、試験温度200℃、試験荷重49.03Nである。
前記したものの中でも真空断熱材における芯材が熱により変形しない等の耐熱性の点から、連泡発泡体の基材樹脂は、そのビカット軟化温度が110℃以上であるポリスチレン系樹脂が好ましい。前記したビカット軟化温度の上限値は連泡発泡体を得るための樹脂の押出発泡温度が高くなりすぎスチレン成分の分解反応がすすまないようにする点から140℃程度である。連泡発泡体の基材樹脂は、スチレン−アクリル酸系樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂が特に好ましい。これらの樹脂からなる連泡発泡体を芯材とする真空断熱材は、特に低い熱伝導率を示す。その理由は、定かではないが、これらの樹脂の熱伝導率に起因するものと考えられる。その中でも耐熱性に優れる点から、ビカット軟化温度が110℃以上であるスチレン−アクリル酸系樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂が好ましい。
尚、ビカット軟化温度はJIS K7206(1999)(試験荷重はB法、液体加熱法で昇温速度は50℃/時の条件)にて求められる値を示す。さらに、試験片は、サイズ厚み3.5mm×10mm×20mmの試験片を成形し、アニーリングしないこととする。
【0008】
ポリスチレン系樹脂には、必要に応じ、耐衝撃性向上等を目的としてスチレン−共役ジエンブロック共重合ゴムやその水添物をブレンドすることができるし、また、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1ブテン共重合体等のポリプロピレン系樹脂;環状ポリオレフィン等のポリオレフィン系樹脂の他、また、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル等のポリエステル系樹脂を40重量%以下、更に好ましくは20重量%以下の割合でブレンドしても良い。
【0009】
また、ポリスチレン系樹脂には、本発明の目的を著しく損なわない範囲で、必要に応じて、通常、ポリスチレン系樹脂およびポリオレフィン系樹脂等に添加される各種の添加剤、例えば、気泡調整剤(造核剤)、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、導電性付与剤、耐候剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、無機充填剤等を添加することができる。
【0010】
本発明における連続気泡率の高い発泡体を得るために好適な発泡剤としては、塩化メチル、塩化メチレン、塩化エチル等の塩素化炭化水素、1,1,1−トリクロロエタン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン(HCFC−123)、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)及び1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン(HCFC−124)等のクロロフルオロカーボン、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン等の脂肪族炭化水素、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、ジフルオロメタン(HFC−32)等のフルオロカーボン、各種アルコール、二酸化炭素(CO2)、水、及び窒素等を任意の割合で原料に適宜混合しても良い。尚、上記発泡剤は単独又は2種以上を併用して使用することができる。また、真空断熱材用芯材を得るための発泡剤としては、発泡体内部より大気中に速やかに拡散する性質を有するものが好ましく、例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化エチレン等の塩素化炭化水素、各種アルコール、水、窒素、二酸化炭素が挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を混合して使用される。
本発明における原料樹脂に対する発泡剤の使用量は、得ようとする発泡体の密度に応じて適宜決定されるが、通常、0.03〜0.4g/cm3の本発明の発泡体を得るために、原料樹脂1kgに対して0.05〜2.5モルの発泡剤が使用される。
【0011】
本発明によるポリスチレン系樹脂を用いて得られる連泡発泡体において、その密度は0.03〜0.4g/cm3である。その密度が0.4g/cm3を越える発泡体では断熱性が劣り、断熱材としての効果を得ることができない。また、0.03g/cm3未満の発泡体では、圧縮強度が不十分なものとなり、例えば、真空包装する際、包装体中の真空圧力と大気圧との差圧に耐えられず気泡(セル)の座屈が発生し良好な真空断熱材を得ることができない。
【0012】
本発明によるポリスチレン系樹脂を用いて得られる連泡発泡体において、その厚み方向の気泡径Tは80〜200μmである。また、その厚み方向の気泡径T/幅方向の気泡径Wの比(T/W)(以下、幅方向気泡扁平率とも言う)及び厚み方向の気泡径T/長さ方向の気泡径Lの比(T/L)(以下、長さ方向気泡扁平率とも言う)は、いずれも、0.1〜1.2の範囲である。
【0013】
ポリスチレン系樹脂連泡発泡体において、その厚み方向の気泡径Tが大きすぎる発泡体や、幅方向気泡扁平率及び/又は長さ方向気泡扁平率が1.2を超える発泡体では、断熱性の劣るものとなる。一方、幅方向気泡扁平率及び/又は長さ方向気泡扁平率が0.1未満の発泡体では、断熱性の点ではより好ましいものとなるものの、この場合には、従来用いられてきた装置、原料、造核剤等を大幅に変更もしくは改質する必要が生じ、また、板状に成形することが困難となり、そして、後述する5%圧縮強度が劣り、真空断熱材用芯材等の用途においては不適合なものとなる虞れがある。
【0014】
尚、前記気泡径は、発泡体を押出方向または幅方向の垂直断面を顕微鏡等を用いてスクリーンまたはモニタ等に拡大投影し、投影画像上において測定しようとする方向に直線を引き(例えば、厚み方向の気泡径の測定は厚み方向に直線を引く)、その直線と交差する気泡の数をカウントし、直線の長さ(但し、この長さは拡大投影した投影画像上の直線の長さではなく、投影画像の拡大率を考慮した真の直線の長さを指す。)をカウントされた気泡の数で割ることによって得られる発泡体の各々の方向における平均気泡径を意味する。本発明において、上記幅方向気泡扁平率及び/又は長さ方向気泡扁平率を0.1〜1.2とすることにより、発泡体の厚み方向の気泡径Tを常に70μm以下にコントロール必要がなく、80〜200μmにコントロールするだけで連泡発泡体は真空断熱材用芯材としての十分な断熱性を有するものとなる。また、連泡発泡体を製造する上で、より高い発泡倍率、より厚い厚みの発泡体を製造することができるため、断熱性向上、用途展開における発泡体寸法による制約も解消し、圧縮等の機械的物性向上等の優れた効果をもたらす。尚、幅方向気泡扁平率及び/又は長さ方向気泡扁平率のより好ましい範囲は、0.2〜0.8である。
【0015】
本発明によるポリスチレン系連泡発泡体において、その連続気泡率は90%以上、好ましくは95%以上であり、その上限値は100%である。連続気泡率90%以上のものは吸音性、透湿性において特に優れたものとなり、連続気泡率が90%未満の発泡体では、真空断熱材を得るために真空包装を行う際、発泡体内の独立気泡部分では残存発泡剤ガスを吸引できないことから、大きな断熱効果を得ることができない。
【0016】
尚、前記ポリスチレン系発泡体の連続気泡率は、ASTM D−2856−70(手順C)に準じて空気比較式比重計により、測定試料における発泡体の真の体積:Vx(cm3)の割合を求め、式(1)により連続気泡率を計算して得たものである。見掛けの体積:Va(cm3)は、試料の外寸から求められる見掛けの体積である。測定される発泡体の真の体積Vx(cm3)は、発泡体を構成する樹脂の容積と、発泡体内の独立気泡部分の気泡全容積との和である。よって連続気泡率は、下記に示す式(1)より求められる。但し、測定される発泡体の重量:W(g)、測定される発泡体の基材樹脂の密度:ρ(g/cm3)とする
連続気泡率(%)=(Va−Vx)×100/(Va−W/ρ) (1)
尚、発泡体の連続気泡率を測定するための測定試料は、縦25mm、横25mm、厚み40mmの直方体サンプルを発泡体から切り出し、切り出したサンプルを測定試料とする。尚、厚みが40mmの直方体サンプルを切り出さない場合は、重ね合せて所定の厚みに調整して測定試料とする。また、発泡体の部分部分において連続気泡率が、ばらつく場合があるため、該発泡体の各部分の連続気泡率のばらつきが認識できるように、各部分から平均的に測定試料を切り出し(少なくとも1つの発泡体に対して10個以上)、切り出した各々の測定試料の連続気泡率の算術平均値をもって発泡体の連続気泡率とする。
よって、本明細書における連泡発泡体の連続気泡率とは、発泡体の一部のみの値ではなく、発泡体全体における平均値をいう。従って、連続気泡押出発泡体の一部分において本発明が特定する連続気泡率を下回る部分があっても、発泡体全体の平均値が本発明が特定する連続気泡率以上であれば、本発明が特定する連泡発泡体である。
【0017】
本発明で用いる連泡発泡体において、その好ましい密度は0.03〜0.2g/cm更に0.03〜0.1g/cmであり、厚み方向気泡径Tは80〜200μmである。このような連泡発泡体は、真空断熱材用芯材として好適なものである。
【0018】
前記本発明のスチレン系樹脂連泡発泡体は、従来用いられている装置を変更することなく製造することができる。例えば、ポリスチレン系樹脂材料に気泡調整剤を加え、加熱溶融混練後、高圧条件下で揮発性発泡剤を注入し、流動ゲルとなし、上記発泡体を得るに適する温度に冷却し、該流動ゲルを低圧域へ押出して揮発性発泡剤を蒸発させることによって、所望のポリスチレン系樹脂連泡発泡体を製造することができる。尚、上記製造方法において、押出発泡時の流動ゲルの温度制御が重要である。すなわち、上記発泡体を得るに適する温度を、原料ポリスチレン系樹脂のメルトフローレイト、分子量等の物性により多少変動するが、120〜150℃に調整することが、肝要である。
このようにして得られる発泡体は、表皮付きの発泡体であって表皮層を有するもので、内部が連続気泡率90%以上の連続気泡構造となり、その表面は比較的独立気泡構造の高い連続気泡率が0〜90%、好ましくは0〜50%表皮層で覆われる。この表皮付きポリスチレン系樹脂発泡体において、その密度は0.03〜0.4g/cm3、好ましくは0.03〜0.2g/cm3更に好ましくは0.03〜0.1g/cm3であり、その連続気泡率は50〜90%、好ましくは60〜90%である。また、その発泡体表面から厚み方向に5.0mmまでの部分、即ち、深さ5.0mmまでの部分を取り除いた後の発泡体(表皮層無しの発泡体)の連続気泡率は90%以上、好ましくは95%以上である。本発明ではこのような比較的連続気泡率の低い表皮層を発泡体表面に形成することにより、公知のポリスチレン系樹脂発泡体と同様に、高発泡倍率のものから低発泡倍率のものまで、また、薄物から厚物までを用途に応じて製造できることが可能となる。
【0019】
上記製造方法で得られた発泡体の表面に形成された該表皮層を除去することで、連続気泡率の高い連泡発泡体を得ることができる。表皮層の除去は、5mm以内の深さでベルトサンダー、プレーナー等で切削面に溶融による全面を覆う被膜を形成させず切削することによって、好ましく実施することができる。上記製造方法で得られる製造品の比較的連続気泡率の低い表皮層部分の厚みは通常5mm以内であり、それより多く除去することは製造コストの悪化につながる。
【0020】
上記の製造方法にて得られた発泡体の発泡剤残存量は、ガスクロマトグラフにより測定される。測定手順としては、発泡体から切り出した縦15mm×横15mm×長さ50mmの測定試料をトルエン等の溶媒及びシクロペンタン等の内部標準液の入った試料ビンヘ入れ、該試料を溶解させる。次に試料ビン中の溶液をガスクロマトクラフに注入してクロマトグラムを得る。得られたガスクロマトグラムより、各発泡剤成分のピーク面積を読み取り、ピーク面積と発泡剤成分の量との検量線により、発泡剤残存量を算出する。尚、発泡剤が上記トルエン等の溶媒に溶解しないものの場合は、ガスクロマトグラフに注入する試料は試料ビンの気相部のガスをサンプリングして注入する等の方法を採用することができる。
上記測定により得られる発泡剤残存量の測定値が0.01重量%以下であることが望ましい。発泡体内の樹脂成分に溶けて残る発泡剤及び発泡体内の独立気泡中に残っている発泡剤は、真空包装した際に断熱性を阻害するため、0.01重量%以下とすることで断熱性にほとんど影響しないものと考えられる。
【0021】
本発明で用いる連泡発泡体において、その23℃での5%圧縮強さは、0.05MPa以上であることが好ましく、より好ましくは0.1MPa以上である。その上限値は特に制約されないが、通常、2MPaである。5%圧縮強さが0.05MPa未満の発泡体では、ガスバリアー性材料、例えば、アルミニウムなどの金属箔、ポリ塩化ビニリデン、及びポリビニルアルコールのようなバリアー材料を中間層として介在させたラミネートフィルムや、ポリエステルやポリエチレンなどのプラスチックフィルム上に金属を蒸着もしくは積層した低ガス透過性のプラスチックで形成されたフィルムの袋内に発泡体を入れ、真空吸引し、その内部を負圧としたときに、発泡体がその負圧に耐えきれず気泡が座屈してしまい、真空断熱材としての断熱性、厚み精度が悪いものとなる。また、真空断熱材における芯材が真空状態において熱により変形しない等の耐熱性の点から70℃での5%圧縮強さが0.05MPa以上であることが好ましい。また、さらなる耐熱性の点から70℃での5%圧縮強さが0.1MPa以上であることが好ましい。その上限値は特に制約されないが、通常、1MPaである。尚、上記真空断熱材を製造する際にガスバリアー製材料からなる袋内に、芯材となる発泡体と共に、水分及び/又はガスを吸着する為の吸着剤を入れることが、真空断熱材の断熱性を長期間維持する上で好ましい。また、真空断熱材のガスバリアー性材料からなる袋内は40〜90Paの真空度に調整することが、生産性、断熱性の点から好ましい。尚、前記発泡体の23℃での5%圧縮強さは、JIS K 7220に準じて測定されたもので、温度23℃、相対湿度50%の雰囲気下にて試験速度を5mm/分とし、縦50mm×横50mm×発泡体厚みの試験片を使用して発泡体の厚み方向に5%圧縮したときの最大荷重に基づき算出される値である。また、前記70℃での5%圧縮強さは、前記試験片を温度70℃、湿度50%のオーブンに24時間保持して温度70℃、湿度50%の条件下で測定する以外前記したように算出される値である。
【0022】
本発明の連泡発泡体(請求項1)は、前記のように、その連続気泡率を90%以上に調節するために、比較的連続気泡率の低い表皮層を除去したものであり、その発泡体表面には、その表皮層を除去したことにより、気泡断面が露出している。この気泡断面の露出は、発泡体の一方の面又は両方の面に対して行うことができるが、両方の面に気泡断面を露出させるのが好ましい。
【0023】
【発明の効果】
本発明のポリスチレン系樹脂連泡発泡体は、90%以上の連続気泡率を有する連続気泡構造の発泡体であり、断熱性にすぐれるとともに、圧縮強度にもすぐれ、さらに70℃での5%圧縮強さが0.05MPa以上の連泡発泡体は、熱により変形しない等の耐熱性に優れる。よって、本発明の発泡体は吸音材、透湿性断熱材、真空断熱材用芯材として好適なものである。 本発明の真空断熱材は、前記連泡発泡体を芯材とし、これをガスバリヤー性フィルムで包み、そのフィルム包装内を真空吸引したものであり、高い断熱効果を有する。この断熱材は、断熱パネル等として利用され、従来の無機粉体やガラス繊維等のパネルに比べ、軽量かつ取り扱いが容易であり、また、生産工程での環境面の問題が少なく、連泡ウレタンフォームに比べ、真空包装の際に予備乾燥等の前処理の必要がなく、真空包装後の真空度の保持性にも優れる。またリサイクル性にも優れるものである。さらに70℃での5%圧縮強さが0.05MPa以上の連泡発泡体を芯材とした真空断熱材は、熱により変形しない等の耐熱性に優れるものである。公知のポリスチレン系連泡フォームに対しては、本発明の連泡発泡体(請求項1)は、表面に気泡断面を露出させたもので、且つ特定の気泡径比を有することにより、気泡径を常に70μm以下にしなくても、厚み方向の気泡径を80〜200μmとすることにより、例えば、真空断熱用芯材として使用した場合に十分な断熱性を発揮できるものである。また、発泡剤残存量を0.01重量%未満と少なくすることにより、真空包装後の真空度の保持性に優れたものとなる。更に、本発明の連泡発泡体は、上記の通り気泡径をさほど小さくコントロールする必要がないため、製造においても従来の装置が使用でき、かつ気泡径等の制約が緩和されている分だけ製造条件も比較的広い。本発明の連泡発泡体は、表皮層部分が独立気泡で内部が連続気泡の発泡体を製造してその表皮層部分を除去するため、発泡倍率が高く、厚みが厚い連泡発泡体を容易に得ることができる。
【0024】
本発明の真空断熱材は、各種用途、例えば、冷蔵庫、冷凍庫、保冷車、冷蔵船、冷凍船、保温コンテナー、保冷ボックス、自動販売機、床暖房、床下、屋根下、壁または壁内の断熱材等として有利に用いられる。
【0025】
【実施例】
次に本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
尚、本発明による発泡体は、下記A法とB法の2種の方法により製造した。
(1)A法
下記に示す構造の装置を用いて発泡体を製造する方法をA法とした。
発泡体製造装置としては、口径40mmの押出機に口径90mmのアキュームレータを付設した装置を用いた。また、このアキュームレータ先端には、幅80mm、間隔1.2mmの樹脂排出口を有するリップを付設した。
A法においては、原料樹脂を押出機に供給して、混練し、この混練物に発泡剤を圧入した後、アキュームレータに充填する。発泡剤を混入した混練物のアキュームレータへの充填完了後、そのアキュームレータから円弧状の幅70mm、間隔1.3mmの樹脂排出口(リップ)を有する平面図が半円形のラジアルダイスを通過させ大気下に射出して発泡成形体を得る。このようにして得られる発泡体は表皮を有するもので、その上下面の表皮層を除去することで、連続気泡率の高い連泡発泡体が得られる。
【0026】
(2)B法
下記に示す構造の装置を用いて発泡体を製造する方法をB法とした。
発泡体製造装置としては、口径65mmの押出機と口径90mmの押出機と口径150mmの押出機を連結した押出機を用いた。また、この口径150mmの押出機の先端には、幅115mm、間隔2mmの樹脂排出口(リップ)を有するフラットダイスを付設した。さらに、そのリップの先端には、入口寸法が樹脂排出口より大きく、出口寸法が厚さ50mm、幅260mmであり、入口付近から出口に向って緩やかに拡大後、平行な構造を有するフッ素樹脂製成形具を付設した。
B法においては、原料樹脂を口径65mmの押出機に供給し、混練した後、この混練物を口径90mmの押出機に供給し、混練した後、口径150mmの押出機に供給し、混練し、この混練物に発泡剤を圧入する。この発泡剤を圧入した混練物をリップを通し、さらに成形具を通して大気下に押出し、発泡成形体を得る。このようにして得られる発泡体は表皮を有するもので、その上下面の表皮層を除去することで、連続気泡率の高い連泡発泡体が得られる。
【0027】
実施例1
原料樹脂としては、ポリスチレン樹脂(エー・アンド・エム スチレン社製、商品名:G9401、ビカット軟化温度102℃、MFR2.5g/10分)を用い、気泡調整剤としてはタルク3重量%を用い、発泡剤としては塩化メチル3.7重量%を用い、前記A法によって発泡体を製造した。この場合、発泡温度(アキュームレーターからの射出樹脂温度)を146℃とした。
このようにして得た発泡成形体の物性を表1、表2に示す。この発泡成形体は非常に高品質のものであり、真空断熱材用芯材としての物性を満たすものである。
次に、この発泡成形体を用いて形成した真空断熱パネル(アルミ箔積層プラスチックフィルム袋内真空度80Pa)の熱伝導率を、JIS A 1412に従い、英弘精機社製熱伝導率測定機で測定した。その結果を表4に示す。
【0028】
実施例2
原料樹脂としては、ポリスチレン樹脂(エー・アンド・エム スチレン社製、商品名:スタイロン679、ビカット軟化温度86℃、MFR19g/10分)を用い、気泡調整剤としてはタルク5重量%を用い、発泡剤としては塩化メチル3.7重量%を用い、前記A法によって発泡体を製造した。この場合、発泡温度(アキュームレーターからの射出樹脂温度)を128℃とした。
このようにして得た発泡成形体の物性を表1、表2に示す。この発泡成形体は非常に高品質のものであり、真空断熱材用芯材としての物性を満たすものである。
次に、この発泡成形体を用いて形成した真空断熱パネル(アルミ箔積層プラスチックフィルム袋内真空度80Pa)の熱伝導率を表4に示す。
【0029】
比較例4
原料樹脂としては、ポリスチレン樹脂(エー・アンド・エム スチレン社製、商品名:スタイロン679、ビカット軟化温度86℃、MFR19g/10分)を用い、気泡調整剤としてはタルク5重量%を用い、発泡剤としては塩化メチル3.7重量%を用い、前記B法によって発泡体を製造した。この場合、発泡温度(口径150mm押出機からの押出樹脂温度)を134℃とした。このようにして得た発泡成形体の物性を表1、表2に示す。次に、この発泡成形体を用いて形成した真空断熱パネル(アルミ箔積層プラスチックフィルム袋内真空度80Pa)の熱伝導率を表4に示す。
【0030】
実施例
原料樹脂としては、ポリスチレン樹脂(エー・アンド・エム スチレン社製、商品名:スタイロン679、ビカット軟化温度86℃、MFR19g/10分)95重量部と高密度ポリエチレン(出光石油化学社製、商品名:110J)5重量部との混合物を用い、気泡調整剤としてはタルク5重量%を用い、発泡剤としては塩化メチル3.7重量%を用い、前記B法によって発泡体を製造した。この場合、発泡温度(口径150mm押出機からの押出樹脂温度)を125℃とした。このようにして得た発泡成形体の物性を表1、表2に示す。この発泡成形体は非常に高品質のものであり、真空断熱材用芯材としての物性を満たすものである。次に、この発泡成形体を用いて形成した真空断熱パネル(アルミ箔積層プラスチックフィルム袋内真空度80Pa)の熱伝導率を表4に示す。
【0031】
比較例
原料樹脂としては、ポリスチレン樹脂(エー・アンド・エム スチレン社製、商品名:G9401、ビカット軟化温度102℃、MFR2.5g/10分)を用い、気泡調整剤としてはタルク5重量%を用い、発泡剤としてはイソブタン3重量%を用い、前記A法によって発泡体を製造した。この場合、発泡温度(アキュームレーターからの射出樹脂温度)を157℃とした。このようにして得た発泡成形体の物性を表1、表2に示す。次に、この発泡成形体を用いて形成した真空断熱パネル(アルミ箔積層プラスチックフィルム袋内真空度80Pa)の熱伝導率を表4に示す。この発泡成形体は、高い連続気泡率を有するが、発泡成形体の基材樹脂に溶け込んでいる発泡剤の残存量が多いために、これを真空包装して断熱パネルとしても、その熱伝導率は大きく、その断熱性は未だ不満足のものであった。
【0032】
比較例4については、70℃での5%圧縮強さが0.08MPaであった。
【0033】
以下、実施例4〜7について70℃での5%圧縮強さが0.05MPa以上の連泡発泡体について説明する。
【0034】
実施例
料樹脂としては、ポリスチレン樹脂(エー・アンド・エム スチレン社製、商品名:スタイロン685−P、ビカット軟化温度103℃、MFR2.1g/10分)を用い、気泡調整剤としてはタルク10.0重量%を用い、発泡剤としては塩化メチル3.7重量%を用い、前記B法によって発泡体を製造した。この場合、発泡温度(口径150mm押出機からの押出樹脂温度)を137℃とした。このようにして得た発泡成形体の物性を表1、表3に示す。この発泡成形体は非常に高品質のものであり、真空断熱材用芯材としての物性を満たすものである。次に、この発泡成形体を用いて形成した真空断熱パネル(アルミ箔積層プラスチックフィルム袋内真空度80Pa)の熱伝導率を表4に示す。この発泡体は70℃での5%圧縮強さが0.15MPaであり、熱による変形がないものであった。
【0035】
実施例
原料樹脂としては、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(スチレン91.5%メタクリル酸8.5%、エー・アンド・エム スチレン社製、商品名:スタイロンG9001、ビカット軟化温度117℃、MFR1.2g/10分)を用い、気泡調整剤としてはタルク10重量%を用い、発泡剤としては塩化メチル3.7重量%を用い、前記B法によって発泡体を製造した。この場合、発泡温度(口径150mm押出機からの押出樹脂温度)を151℃とした。このようにして得た発泡成形体の物性を表1、表3に示す。この発泡成形体は非常に高品質のものであり、真空断熱材用芯材としての物性を満たすものである。次に、この発泡成形体を用いて形成した真空断熱パネル(アルミ箔積層プラスチックフィルム袋内真空度80Pa)の熱伝導率を表4に示す。この発泡体は70℃での5%圧縮強さが0.15MPaであり、熱による変形がないものであった。
【0036】
実施例
原料樹脂としては、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂(スチレン92.2重量%、アクリル酸7.8%)とメタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレンゴム(MBS樹脂)とのコンパウンド[MBS樹脂の含有量は4重量%(スチレン−メタクリル酸共重合樹脂100重量部に対して4.2重量部)、東洋スチレン(株)社製、商品名:トーヨースチロール GP TF−2−311、ビカット軟化温度116℃、MFR1.0g/10分]を用い、気泡調整剤としてはタルク10重量%を用い、発泡剤としては塩化メチル3.7重量%を用い、前記B法によって発泡体を製造した。この場合、発泡温度(口径150mm押出機からの押出樹脂温度)を160℃とした。このようにして得た発泡成形体の物性を表1、表3に示す。この発泡成形体は非常に高品質のものであり、真空断熱材用芯材としての物性を満たすものである。次に、この発泡成形体を用いて形成した真空断熱パネル(アルミ箔積層プラスチックフィルム袋内真空度80Pa)の熱伝導率を表4に示す。この発泡体は70℃での5%圧縮強さが0.18MPaであり、熱による変形がないものであった。
【0037】
実施例
原料樹脂としては、スチレン−無水マレイン酸共重合樹脂(スチレン90重量%、無水マレイン酸10重量%)(ノヴァケミカルジャパン(株)社製、商品名:Dylark232、ビカット軟化温度112℃、MFR2.0g/10分)を用い、気泡調整剤としてはタルク10重量%を用い、発泡剤としては塩化メチル3.7重量%を用い、前記B法によって発泡体を製造した。この場合、発泡温度(口径150mm押出機からの押出樹脂温度)を151℃とした。このようにして得た発泡成形体の物性を表1、表3に示す。この発泡成形体は非常に高品質のものであり、真空断熱材用芯材としての物性を満たすものである。次に、この発泡成形体を用いて形成した真空断熱パネル(アルミ箔積層プラスチックフィルム袋内真空度80Pa)の熱伝導率を表4に示す。この発泡体は70℃での5%圧縮強さが0.20MPaであり、熱による変形がないものであった。
【0038】
比較例1
原料樹脂としては、ポリスチレン樹脂(A&Mスチレン社製、商品名:スタイロン679、ビカット軟化温度86℃、MFR19g/10分)を用い、気泡調整剤としてはタルク5重量%を用い、発泡剤としては塩化メチル3.7重量%を用い、前記B法によって発泡体を製造した。この場合、発泡温度(口径150mm押出機からの押出樹脂温度)を129℃とした。
このようにして得た発泡成形体の物性を表1、表3に示す。
次に、この発泡成形体を用いて形成した真空断熱パネル(アルミ箔積層プラスチックフィルム袋内真空度80Pa)の熱伝導率を表4に示す。
この発泡成形体は、発泡剤として塩化エチルを使用したため、発泡剤残存量の非常に少ないものであったが、その連続気泡率が低いために、これを芯材として形成した断熱パネルは、芯材の独立気泡中に空気が残存することとなり、断熱パネルの断熱性は未だ不満足のものであった。
【0039】
比較例2
原料樹脂としては、ポリスチレン樹脂(A&Mスチレン社製、商品名:G9401、ビカット軟化温度102℃、MFR2.5g/10分)を用い、気泡調整剤としてはタルク0.3重量%を用い、発泡剤としては塩化メチル3.7重量%を用い、前記A法によって発泡体を製造した。この場合、発泡温度(アキュームレーターからの射出樹脂温度)を133℃とした。
このようにして得た発泡成形体の物性を表1、表3に示す。
次に、この発泡成形体を用いて形成した真空断熱パネル(アルミ箔積層プラスチックフィルム袋内真空度80Pa)の熱伝導率を表4に示す。
この発泡成形体は、その発泡剤残存量は少なく、また、その連続気泡率の高いものであったが、その垂直方向(厚み方向)のセル径が500μmと大きいために、これを芯材として形成した断熱パネルの断熱性は未だ不満足のものであった。
【0040】
比較例3
原料樹脂としては、ポリスチレン樹脂(A&Mスチレン社製、商品名:G9401、ビカット軟化温度102℃、MFR2.5g/10分)を用い、気泡調整剤としてはタルク1重量%を用い、発泡剤としては塩化メチル3.7重量%を用い、前記B法によって発泡体を製造した。この場合、発泡温度(口径150mm押出機からの押出樹脂温度)を146℃とした。
このようにして得た発泡成形体の物性を表1、表3に示す。
次に、この発泡成形体を用いて形成した真空断熱パネル(アルミ箔積層プラスチックフィルム袋内真空度80Pa)の熱伝導率を表4に示す。
この発泡成形体は、発泡剤残存量が少なく、連続気泡率も高いものであったが、その厚み方向の気泡径Tと幅方向の気泡径Wとに比(T/W)及び厚み方向の気泡径Tと長さ方向の気泡径Lとの比(T/L)が大きいため、これを芯材として形成した断熱パネルの断熱性は未だ不満足のものであった。
【0041】
【表1】
Figure 0004540027
【0042】
【表2】
Figure 0004540027
【0043】
【表3】
Figure 0004540027
【0044】
前記表1の厚み、密度において、表皮層無の発泡体は、表皮層有の発泡体から、なるべく表皮層(上面及び下面の各表皮層)のみを切削除去した発泡体を指す。
発泡体の連続気泡率は、表皮層有の発泡体と、なるべく表皮層のみを除去した後の表皮層無の発泡体及び、表皮層を含む発泡体両表面から各々厚み方向に5.0mmまでの部分を除去した後の表皮層無(5mm除去)の発泡体の連続気泡率を示す。
【0045】
【表4】
Figure 0004540027
【0046】
本明細書における実施例及び比較例での熱伝導率、発泡剤残存量、密度の測定は以下の方法により行った。
[熱伝導率]
JIS A1412(1994)記載の平板熱流計法(熱流計2枚方式、平均温度23℃)にて測定される値である。測定に使用する試料寸法は、両面の表皮層を除去した真空断熱材用芯材の寸法が200mm(縦)×200mm(横)×試料厚みのものとし、該芯材を真空包装した直後のものについて測定を行なった。
[発泡剤残存量]
発泡体から15mm(縦)×15mm(横)×50mm(長さ)の測定試料を切り出し精秤し、該試料をシクロペンタン0.02g入ったトルエン50ml溶液中で溶解させる。この溶液をマイクロシリンジにて2μl取り、ガスクロマトグラフに注入しクロマトグラムを得た。ガスクロマトグラフの条件は以下の通りである。
使用機器:(株)島津製作所製GC−14B
カラム:ステンレス製φ3×3000mm
カラム充填剤:シリコンDC550
カラム温度:40℃
検出器:FID
検出限界:0.01重量%
尚、実施例の発泡剤残存量の測定にて得られたクロマトグラムにはシクロペンタンのピークのみが現われ、発泡剤は検出されなかった。
[密度]
JIS K6767の見掛け密度の測定方法により算出される値である。

Claims (9)

  1. ポリスチレン系樹脂発泡体からなり、連続気泡率が90%以上、密度が0.03〜0.4g/cm、厚み方向の気泡径が80〜200μm、厚み方向の気泡径/幅方向の気泡径の比及び厚み方向の気泡径/長さ方向の気泡径の比がいずれも0.1〜1.2である押出発泡体であって、該発泡体の表面に気泡断面が露出していることを特徴とする連泡発泡体。
  2. 該発泡体の厚み方向の気泡径/幅方向の気泡径の比及び厚み方向の気泡径/長さ方向の気泡径の比が、いずれも0.2〜0.8であることを特徴とする請求項1に記載の連泡発泡体。
  3. 該発泡体の密度が0.03〜0.2g/cmであり、厚みが5.0〜50.0mmで23℃での5%圧縮強さが0.05MPa以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の連泡発泡体。
  4. 該発泡体の70℃での5%圧縮強さが0.05MPa以上であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の連泡発泡体。
  5. 該発泡体の基材樹脂がビカット軟化温度が110℃以上であるポリスチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の連泡発泡体。
  6. 該発泡体の基材樹脂がスチレン−アクリル酸系樹脂又はスチレン−無水マレイン酸樹脂であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の連泡発泡体。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の連泡発泡体からなり、その密度が0.03〜0.2g/cmの範囲にあり、該発泡体中の発泡剤残存量が0.01重量%未満であることを特徴とする真空断熱材用芯材。
  8. 請求項に記載の芯材をガスバリアー性フィルムで包み、内部を真空吸引してなる真空断熱材。
  9. 密度が0.03〜0.4g/cmの表皮付きポリスチレン系樹脂発泡体であって、その連続気泡率が50〜90%の範囲にあり、該発泡体両表面から厚み方向に5.0mmまでの部分を取り除いた後の発泡体の連続気泡率が90%以上であり、密度が0.03〜0.4g/cm であり、厚み方向の気泡径が80〜200μmであり、厚み方向の気泡径/幅方向の気泡径の比及び厚み方向の気泡径/長さ方向の気泡径の比がいずれも0.1〜1.2であることを特徴とする連泡発泡体。
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