JP4925151B1 - 木造建物用金具、これを用いた木造建物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 建築現場で連結軸と楔との緊結作業が旨く行き、安定した施工品質が確保できる木造建物用金具を提供することである。
【解決手段】 固定側構造部(1)と取付側構造部(3)との突き合せ結合部を補強する木造建物用金具であって、連結軸(11)と、筒状のアーム部(21)と、前記筒状のアーム部の長手方向中央部に形成された通し穴(22)と、連結軸に形成された係合傾斜面(32)を有する前記締結用片側切欠部(31)と、この係合傾斜面と摺接可能な押圧傾斜面(36)を有する楔移動部材(35)と、位置決め保持部(43)とを備え、前記押圧傾斜面と前記係合傾斜面の協働によって前記連結軸を引張るように形成された木造建物用金具である。楔移動部材は移動案内面(356)と押圧傾斜面とが形成された片側突起部(354)を有し、締結用片側切欠部は連結軸側移動案内面(311)を有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、木造建物の仕口や継手に用いて好適な補強用の木造建物用金具、並びにこれを用いた木造建物に関する。
木造建物には、大別して木造軸組工法と木造枠組壁工法が知られている。木造軸組工法は、主に柱や梁といった軸組で支えるもので、耐力壁ではない壁は構造上建物の剛性に殆ど寄与しないため、窓や扉等の開口部を拡大したり増設したりするような大規模なリフォームが容易な利点がある。そこで、風呂や台所に用いられる給排水管等の住宅設備のように、二十年程度で交換・更新する必要のある場合にも、建物軸組構造をそのまま利用できる利点がある。従って、住宅ストックとしての資産価値が維持しやすい利点がある。
これに対して、木造枠組壁工法はフレーム状に組まれた木材に構造用合板を打ち付けた壁や床で支えるもので、高い耐震性・耐火性・断熱性・気密性を有する。そして、木造枠組壁工法の開発された北欧や北部アメリカは、冷涼で乾燥している場合が多く、適切に管理することで百年以上の寿命があることが知られている。しかし、高温多湿の日本においては、構造用合板の寿命が二十五年程度の場合があり、また税法上も木造建物の償却年数が二十五年程度とされているため、住宅ストックとしての資産価値が維持され難い難点がある。また、木造枠組壁工法で設計された住宅の一部には、給排水管等の住宅設備の更新工事を前提としては設計されていない場合がある。この場合、木造建物の償却年数経過後は、大規模なリフォームよりも建直したほうが建築コストを低減することができ、結果として居住者の住宅資産としての価値が維持しにくいと共に、産業用廃棄物の排出量が増加するという難点がある。
このように木造軸組工法は、給排水管等の住宅設備の交換・更新が容易であるため、税法上の木造建物の償却年数が経過しても、住宅としての利用価値が維持できる利点があるが、他方で我が国は地震が多く、高い耐震性を確保するため、柱と梁を接合する仕口や継手に補強金具が用いられる。仕口や継手に補強金具を用いることで、柱と梁が堅固に固定されるため、我が国の気候風土に適合している杉の構造材としての利用が促進できる。特に、本出願人の提案にかかる、特許文献1や特許文献2に示すような、木造建物用仕口は、構造材が乾燥により木痩せした場合に生ずる接合部分の隙間に合わせて、後から再度の締め付けを可能としている。そこで、我が国の南向き斜面に植えられている杉のように、水分の多い材木を構造材として使用する場合でも、建築後の乾燥に柔軟に対処できる利点がある。
特許3766905号公報 特開2006−291578号公報
ところで、特許文献1の木造建物用仕口は、柱と梁の連結軸と、梁に形成された貫通穴に保持されるアームとの緊結を、二股の楔で行っている。本発明者が建築現場で連結軸と楔との緊結作業を行ってみると、二股の楔では連結軸と楔との係合用の遊びがあるため、よじれて緊結が旨くいかない場合があり、緊結作業に時間が掛かるという課題があった。また、作業者によっては、アームを梁に形成された貫通穴に保持する際にハンマーを用いる場合があり、このハンマーによって連結軸と二股の楔との係合が影響を受け、係合を解除する作業に支障を生じる課題があった。
本発明は、上述した課題を解決するもので、その目的は、建築現場で連結軸と楔との緊結作業が旨く行くと共に、作業者がアームを梁に形成された貫通穴に保持する際にハンマーを用いる場合であっても、連結軸と楔との係合が影響を受けにくい、安定した施工品質が確保できる木造建物用金具を提供することである。
上記目的を達成する本発明の木造建物用金具の第1の局面は、例えば図1〜図10に示すように、固定側構造部(1)と取付側構造部(3)との突き合せ結合部を補強する木造建物用金具であって、一端側が前記固定側構造部に固定した状態に取付けられ、他端側が前記取付側構造部の突き合せ端面に形成される所定深さの連結用穴に挿入される連結軸(11)と、前記取付側構造部の長手方向に対する側面部に形成されたアーム取付用穴であって、前記連結用穴と直交するように形成された前記アーム取付用穴に挿入される筒状のアーム部(21)と、前記筒状のアーム部の長手方向中央部に形成された通し穴であって、前記連結軸の外側形状よりも大きな内側形状の前記通し穴(22)と、前記筒状のアーム部に形成された内側連結空間に位置するように設けられた締結用片側切欠部であって、前記連結軸に形成された係合傾斜面(32)を有する前記締結用片側切欠部(31)と、前記筒状のアーム部に移動可能に取付けられると共に、前記係合傾斜面と摺接可能な押圧傾斜面(36)を有する楔移動部材(35)と、前記楔移動部材を前記押圧傾斜面と前記係合傾斜面とを接触させつつ移動させて所定位置に保持可能な位置決め保持部(43)とを備え、前記押圧傾斜面と前記係合傾斜面の協働によって前記連結軸を引張るように形成された木造建物用金具である。そして、前記楔移動部材は、前記筒状のアーム部に形成された内側連結空間の内側形状よりも僅かに小さな外側形状を有する楔本体部(352)と、この楔本体部の長手方向に形成された移動案内面(356)と前記押圧傾斜面とが形成された片側突起部(354)を有し、前記締結用片側切欠部は、さらに前記楔移動部材の前記移動案内面と対向する連結軸側移動案内面(311)を有することを特徴とする。
このように構成された装置においては、連結軸11は、一端側が固定側構造部に固定した状態に取付けられ、他端側が前記取付側構造部の突き合せ端面に形成される所定深さの連結用穴2に挿入される。筒状のアーム部21は、取付側構造部の長手方向に対する側面部に形成されたアーム取付用穴4に挿入されるもので、連結軸の外側形状よりも大きな内側形状の通し穴22を有する。内側連結空間は、筒状のアーム部21における通し穴22の形成部位に形成される空間である。締結用片側切欠部31は、内側連結空間に位置するように設けられると共に、連結軸に形成された係合傾斜面32と連結軸側移動案内面311を有する。楔移動部材35は、係合傾斜面と摺接可能な押圧傾斜面36が形成された片側突起部354と、楔本体部の長手方向に形成された移動案内面356を有する。楔移動部材35は、締結用片側切欠部31の係合傾斜面32と連結軸側移動案内面311に案内されて、移動案内面356と押圧傾斜面36によって締結用片側切欠部31に係止されるので、楔移動部材35の姿勢が多少の角度で捩れている場合でも、締結用片側切欠部31との係止が安定的に行える。
上記目的を達成する本発明の木造建物用金具の第2の局面は、例えば図1〜図10に示すように、縦方向構造材(1)と横方向構造材(3)との突き合せ結合部を補強する木造建物用金具であって、一端側が前記縦方向構造材に固定した状態に取付けられ、他端側が前記横方向構造材の突き合せ端面に形成された所定深さの連結用穴に挿入される連結軸(11)と、前記横方向構造材の側面部に形成されたアーム取付用穴であって、前記連結用穴と直交するように形成された前記アーム取付用穴に挿入される筒状のアーム部(21)と、前記筒状のアーム部の長手方向中央部に形成された通し穴であって、前記連結軸の外側形状よりも大きな内側形状の前記通し穴(22)と、前記筒状のアーム部に形成された内側連結空間に位置するように設けられた締結用片側切欠部であって、前記連結軸に形成された係合傾斜面(32)を有する前記締結用片側切欠部(31)と、前記筒状のアーム部に移動可能に取付けられると共に、前記係合傾斜面と摺接可能な押圧傾斜面を有する楔移動部材(35)と、前記楔移動部材を前記押圧傾斜面と前記係合傾斜面とを接触させつつ移動させて所定位置に保持可能な位置決め保持部(43)とを備え、前記押圧傾斜面と前記係合傾斜面の協働によって前記連結軸を引張るように形成された木造建物用金具である。そして、前記楔移動部材は、前記筒状のアーム部に形成された内側連結空間の内側形状よりも僅かに小さな外側形状を有する楔本体部(352)と、この楔本体部の長手方向に形成された移動案内面(356)と前記押圧傾斜面とが形成された片側突起部(354)を有し、前記締結用片側切欠部は、さらに前記楔移動部材の前記移動案内面と対向する連結軸側移動案内面(311)を有することを特徴とする。
このように構成された装置は、木造建物の突き合せ結合部が、固定側構造部1と取付側構造部3との突き合せ結合部という関係と評価できる場合ばかりでなく、縦方向構造材(1)と横方向構造材(3)と評価できる場合にも、突き合せ結合部の補強に適用できる。
本発明の木造建物用金具において、好ましくは、例えば図3、図5に示すように、楔移動部材35における移動案内面356と押圧傾斜面36との間の角度は60度から90度の範囲の鋭角であり、締結用片側切欠部31における連結軸側移動案内面311と係合傾斜面32との間の角度も、前記鋭角に対応する角度であり、楔移動部材35が締結用片側切欠部31と締結されるように形成されたことを特徴とする。
このように構成すると、楔移動部材35における移動案内面356と押圧傾斜面36のなす角度が鋭角であるので、楔移動部材35の姿勢が多少捩れていても、楔移動部材35が締結用片側切欠部31と係合するように、楔移動部材35の姿勢を矯正することができ、係合関係が容易に得られる。
本発明の木造建物用金具において、好ましくは、例えば図9、図10に示すように、楔移動部材35Bにおける移動案内面356Bと押圧傾斜面36Bとの間の角度は90度から120度の範囲の鈍角であり、締結用片側切欠部31Bにおける連結軸側移動案内面311Bと係合傾斜面32Bとの間の角度も、前記鈍角に対応する角度であり、楔移動部材35Bが締結用片側切欠部31Bと締結されるように形成されたことを特徴とする。このように構成すると、楔移動部材35Bにおける移動案内面356Bと押圧傾斜面36Bのなす角度が鈍角であるので、楔移動部材35Bの剛性が大きくなり、楔移動部材35Bの姿勢が多少捩れていても、締結用片側切欠部31Bと折り合うように、締結用片側切欠部31Bと楔移動部材35Bの姿勢を矯正することができ、係合関係が容易に得られる。
本発明の木造建物は、固定側構造部と取付側構造部との突き合せ結合部、又は縦方向構造材と横方向構造材との突き合せ結合部を有する木造建物において、前記突き合せ結合部の結合に請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の木造建物用金具を用いたことを特徴とする。
本発明の木造建物用金具によれば、取付側構造部又は横方向構造材に設けられた位置決め保持手段を作動させて楔移動部材を移動させることで、当該楔移動部材の押圧傾斜面と連結軸の係合傾斜面との協動によって当該連結軸が引張られる。これにより、柱と梁のような、固定側構造部と取付側構造部又は縦方向構造材と横方向構造材とが緊結される。そこで、例えば木造建物完成後に柱と梁が木痩せ等した場合、柱に取付けられている外板等を取外すことなく当該柱と梁とを簡単に再度緊結できる。また、二方差し、三方差し、四方差しする場合などにも適用でき適用範囲が広い。
本発明の第1の実施の形態としての仕口用金具を説明する構成斜視図で、梁の片引きの場合を示している。 梁の片引きの詳細を説明する断面図で、本発明の第1の実施の形態にかかる仕口用金具が装着された状態を示している。 連結軸11の詳細を説明する構成図で、(A)は平面図、(B)は側面図を示している。 筒状のアーム部21の詳細を説明する構成図で、(A)は軸方向の側面図、(B)端面図を示している。 楔移動部材35の詳細を説明する構成図で、(A)は軸方向の側面図、(B)は底面側の端面図、(C)は軸方向の平面図、(D)は先端側のD−D断面での端面図を示している。 梁の片引きにおける連結軸の引張り動作を説明するための断面図である。 梁の片引きにおける連結軸の再度の引張り動作を説明するための断面図である。 楔移動部材35を筒状のアーム部21に装着する状態の説明図である。 連結軸11に形成された締結用片側切欠部31の変形実施例を説明する構成図で、(A)は平面図、(B)は側面図を示している。 楔移動部材35の変形実施例を説明する構成図で、(A)は軸方向の側面図、(B)は底面側の端面図、(C)は軸方向の平面図、(D)は先端側のD−D断面での端面図を示している。 連結軸11に形成された締結用片側切欠部と筒状のアーム部21の位置関係を説明する要部構成図断面である。 本発明の第2の実施の形態としての仕口用金具を説明する構成斜視図で、土台と柱とのホールドの場合を示している。 本発明の第3の実施の形態としての仕口用金具を説明する構成斜視図で、土台と柱とのホールドの場合を示している。 本発明の第3の実施の形態に用いられる自在継ぎ手の構成斜視図である。 本発明の第4の実施の形態としての仕口用金具を説明する構成斜視図で、梁の両引きの場合を示している。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の一実施の形態としての仕口用金具を説明する構成斜視図で、梁の片引きの場合を示している。図において、木造建物用金具としての仕口補強金具10は、連結軸11と、筒状のアーム部21と、楔移動部材35と、保持部材43を有している。仕口補強金具10は、柱1と梁3との突き合せ結合部(仕口)を補強可能に設けられるもので、柱1と梁3とを緊結する。皿ボルト91は、仕口補強金具10を柱1に固定した状態に取付けるのに用いるもので、柱1の幅寸法相当の長さを有する。皿ボルト91の先端部には、ねじ部が形成されており、連結軸11に形成されためねじ部13と連結される。なお、柱1と梁3は図1に破線で示される。また、請求項1における固定側構造部と取付側構造部の関係では、柱1が固定側構造部であり、梁3が取付側構造部となる。さらに、請求項2における縦方向構造材と横方向構造材の関係では、柱1が縦方向構造材であり、梁3が横方向構造材となる。
図2は、梁の片引きの詳細を説明する断面図で、本発明の仕口用金具が装着された状態を示している。連結用穴2は、柱1を横方向に貫通する柱部連結用穴2aと、梁3の突き合せ端面を所定長さだけ穿って形成された梁部連結用穴2bとで形成される。アーム取付用穴4は、梁3の側面部に連結用穴2と直交するように形成される。
図2に示すように、梁3の突き合せ端面には、ほぞ3aが形成されており、このほぞ3aは柱1の端面1uに形成されたほぞ穴1aに差し込まれている。梁部連結用穴2bは、梁3の長手方向軸線から上下方向に所定距離(例えば、0〜15mm)だけ離れて形成するのが好ましい。このように、梁3の端面中央から上下方向に離して梁部連結用穴2bを形成することにより、梁3などの木材中央部に自然的に入るひび割れを回避することができるとともに、連結軸11に引張り力が加わっても梁3の自然ひびが影響せず、引張り力を低下させることを防止できる。
また、梁部連結用穴2bは、梁3のほぞ3aを貫通する長さを有する。後に詳述する連結軸11で、ほぞ3aを直接補強するためである。この梁部連結用穴2bの内径は、穴開けに支障がでない範囲で連結軸11との間隙が極力小さくなるように選定されている。これにより、梁3の断面欠落が少なくなり、かつ連結軸11が座屈等するのを効果的に防止できる。
この実施形態では、直径17mmの連結軸11に対して梁部連結用穴2bの内径は21mmとされている。なお、柱部連結用穴2aの内径は、後に詳述する直径12mmの皿ボルト91に対して15mmとされている。また、アーム取付用穴4は、連結用穴2よりも大きな内径(例えば、30.5mm)を有する。ちなみに、アーム取付用穴4に嵌挿されるアーム21は、例えば直径が30mmとされている。
次に、仕口補強金具10の詳細を、図2を用いて説明する。連結軸11は、梁部連結用穴2bに挿入されると共に、連結軸11の基端部12に柱1と係止するための係止部13が設けられている。筒状のアーム21は、梁3のアーム取付用穴4に挿入されると共に、長手方向中央部に連結軸11を通すための通し穴22が開けられている。楔移動部材35と保持部材43は、連結軸11に設けられた係合傾斜面32と協働して、このアーム21を足場として連結軸11を引っ張り可能な構成としている。なお、仕口補強金具10の各構成部品(11、21、35、43等)は鋼鉄製やステンレス鋼製とするとよい。以下、各構成部品(11、21、35、43等)について説明する。
図3は連結軸11の詳細を説明する構成図で、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)はマーキングの側面図を示している。連結軸11は、長寸(例えば、全長L=311〜360mm)で丸軸形状とされている。この連結軸11の基端部12には、係止部としてめねじ部13が螺設されている。この実施形態では、連結軸11は、梁3側の梁部連結用穴2bに挿入されている。なお、連結軸11は、軸線方向にねじ結合された複数個の連結軸構成要素から形成してもよい。このように、連結軸11を分割可能な構成とすると、柱1・梁3の大きさや取付け条件などに応じて連結軸11の長さを簡単に変えることができ、一段と取り扱いやすくなる。
次に、皿ボルト91について説明する。皿ボルト91のおねじ部91sは、連結軸11のめねじ部13に先端部がマーキング線M2に達するまでねじ込まれている。皿ボルト91の頭部91hは、円板状の座金92を介して柱1の側面1sに圧接されている。これにより、連結軸11の基端部12は、柱1に固定されている。ここで、「固定されている」とは、連結軸11の柱1から離隔する方向への移動(引張りによる移動を除く)が当該柱1によって規制されている状態を意味する。座金92は、例えば直径が60mmで、厚さが10mmとされている。
なお、皿ボルト91の頭部91hは、座金92に完全に収容されており、柱1の側面1sから突出しないものとされている。これにより、例えば柱1の側面1sに外板を取付ける場合にも、皿ボルト91の頭部91hが当たる外板部分を削り取るような作業はしなくてすみ、作業効率を高めることができる。また、座金92が円形であるので、皿ボルト91を介して大きな横方向荷重を受けた場合でも、柱1にはほとんど損傷を与えない。座金92自体も破損しない。
また、連結軸11の基端部12の外周には、図3(A)に示すように、マーキング点M1、マーキング線M2が記されている。マーキング点M1は、連結軸11の係合傾斜面32の縦軸線回り方向の位置確認用である。また、マーキング線M2は、柱1に対する位置確認用である。
通常は、図6に示すように、柱1側の皿ボルト91に連結軸11をマーキング線M2が柱1の突き合せ端面1uと整合するまでねじ込むことにより、皿ボルト91に連結軸11を正確に接続できる。なお、梁3のアーム取付用穴4の穿設位置を変えた場合にはマーキング線M2を目印として連結軸11の軸線方向位置を調節できる。しかも、柱1と梁3の締め付け調節および楔移動部材35の引き方も寸法を出さなくとも容易に行える。
図4は、筒状のアーム部21の詳細を説明する構成図で、(A)は軸方向の側面図、(B)端面図を示している。アーム部21は、例えば円筒形状であり、アーム部21の外径はDoutである。アーム21の通し穴22の内径は、連結軸11の直径(17mm)よりも若干大きい17.5mmである。アーム21において、通し穴22が設けられた部位は、内側連結空間となっており、内側連結空間では、連結軸11の締結用片側切欠部31と楔移動部材35とが係合する。また、このアーム21の図4(A)中右側部分には、大径めねじ部23が形成されており、同図中左側部分には小径めねじ部24が形成されている。図示するように、大径めねじ部23の内径はDinである。この大径めねじ部23には、後に詳述する位置決め保持手段の位置調節用ねじ部材43が螺合される。また、アーム21の小径めねじ部24には連結軸係止用の止めねじ46が螺合される。
さらに、アーム21の図4(A)中右端面には、当該アーム21を軸線回りに回動するための調節用溝25が形成されている。この調節用溝25にドライバーの先端等を入れて回すことにより、通し穴22の軸線回り方向の位置を調節できる。なお、アーム21の通し穴22の縁部は、連結軸11が挿入しやすいように面取りCがされている。
なお、アーム21の端面は、図6に示すように、ウレタンフォーム19やキャップ(図示省略)などによって外部から遮断されるので、結露等が生じることはない。そのため、錆が発生せず長期間にわたって仕口補強機能を発揮する。ウレタンフォーム19やキャップであれば、柱1と梁3を再度緊結する場合にも簡単に取り除くことができ便利である。
図3に戻り、連結軸11には締結用片側切欠部31が設けられている。締結用片側切欠部31の形成位置は、連結軸11の装着状態では、筒状のアーム部21に形成された内側連結空間に位置するように設けられている。締結用片側切欠部31には、係合傾斜面32と、連結軸側移動案内面311と、ストッパ面312が形成されている。締結用片側切欠部31の深さは、例えば連結軸11の直径の半分程度になるように定める。ここに、係合傾斜面32は、図3(A)、(B)に示すように、連結軸11の先端部側が傾斜面となるように、先端部近くの部位を平面状に削って形成してある。連結軸側移動案内面311は、締結用片側切欠部31の底面であり、楔移動部材35の装着状態では、移動案内面356と対向する。係合傾斜面32と連結軸側移動案内面311のなす角度は、楔移動部材35の断面略三辺形の穂先状に突出した片側突起部354と嵌め合う角度となっている。好ましくは、締結用片側切欠部31が内側連結空間に位置することを確認できるように、図3(C)に示すように、係合傾斜面32に認識用の着色、例えば白色のペイント、をした着色部314、又は連結軸11の外周面であって連結軸側移動案内面311に沿う場所に、認識用の着色、例えば白色のペイント、をした着色部313を設けるとよい。
連結軸側移動案内面311の法線とストッパ面312の法線は、連結軸側移動案内面311側に向かっている。即ち、連結軸側移動案内面311とストッパ面312の間隔は、連結軸側移動案内面311の法線方向に関しては、連結軸11の外周面側ほど狭くなっており、連結軸側移動案内面311の図3(A)の面内上下方向に関しては、上側で狭いLとなり、下側で広いLとなっている。連結軸側移動案内面311の面内上下方向が広い側が、締結用片側切欠部31における楔移動部材35の装着される側になっている。
図5は、楔移動部材35の詳細を説明する構成図で、(A)は軸方向の側面図、(B)は底面側の端面図、(C)は軸方向の平面図、(D)は先端側のD−D断面での端面図を示している。楔移動部材35は、断面略三辺形の穂先状に突出した片側突起部354を有しており、片側突起部354の先端上部には押圧傾斜面36が形成されている。この楔移動部材35は、片側突起部354を締結用片側切欠部31に挿入可能に形成されている。押圧傾斜面36の縦軸線に対する傾斜角度は、例えば15°から45°の範囲が好ましく、この実施形態では30°になっている。この傾斜角度は、楔移動部材35のストローク量と、連結軸11の軸方向スライド量の関係を定めるもので、傾斜角度が15°よりも小さいと軸方向スライド量が小さくなりすぎて木痩せの調整量が不足し、傾斜角度が45°よりも大きいと楔移動部材35を締結用片側切欠部31に押し込む力が大きくなりすぎ、作業性が低下する。片側突起部354の厚さd36は、締結用片側切欠部31との嵌め合いを考慮して、例えば楔本体部352の直径の半分程度になるように定める。
また、楔移動部材35は、筒状のアーム部21に形成された内側連結空間の内側形状よりも僅かに小さな外側形状を有する楔本体部352と、この楔本体部の長手方向に形成された移動案内面356と押圧傾斜面36とが形成された片側突起部354を有する。片側突起部354における、移動案内面356と押圧傾斜面36とがなす角度は鋭角であり、例えば60度から90度の範囲にある。移動案内面356と押圧傾斜面36とがなす角度が60度よりも小さい場合は、締結用片側切欠部31の開口部が狭くなると共に、楔移動部材35自体の強度が低下する。なお、片側突起部354の突端に位置すると共に、楔移動部材35の外周面側や移動案内面356側に、面取り部355を設けてもよい。面取り部355を設けると、連結軸11に形成された締結用片側切欠部31に楔移動部材35を装着する際に、片側突起部354が締結用片側切欠部の外側に捲れ曲がりやすいことを防止して、片側突起部354の突端の破損する頻度を低減する。
また、取出し用のめねじ部39は、楔本体部352の片側突起部354の設けられていない側の端部に螺設されたもので、連結軸当接面358まで貫通している。連結軸当接面358は、楔本体部352の片側突起部354の設けられていない側に設けられるもので、移動案内面356とのなす角度が、例えば60度から90度の範囲、特に好ましくは75度にある。楔移動部材35の片側突起部354を締結用片側切欠部31に挿入すると、筒状のアーム部21に形成された内側連結空間内で、連結軸当接面358が連結軸11の外周面に当接して、楔移動部材35が締結用片側切欠部31にしっかり位置決めされる。
さらに、修理・点検等のためにアーム21内に入れられた楔移動部材35を外へ取り出す場合には、図5(C)で2点鎖線で示すように、尖爪取出用ボルト81をアーム21内に差し込んで、楔移動部材35のめねじ部39と螺合させ、尖爪取出用ボルト81の先端を連結軸11の外周面に当接させる。そして、尖爪取出用ボルト81をめねじ部39内で廻すと、尖爪取出用ボルト81の先端が連結軸11の外周面に当って、楔移動部材35が締結用片側切欠部31との係合を解除して、筒状のアーム部21から引き出せばよい。ここで、尖爪取出用ボルト81の形状は、先端に雄ねじ部が形成されるもので、例えば汎用のボルトを用いる。尖爪取出用ボルト81を尖爪取付用ボルトと兼用する場合には、汎用のボルトの周面に形成された雄ねじ部を覆うように、例えばアルミ合金製の円管812を尖爪取付用ボルト81の周面に装着して、楔移動部材35の取付けに用いるとよい。
図1に戻り、位置決め保持部材43は、この楔移動部材35を押圧傾斜面36と係合傾斜面32とを接触させつつ移動させて所定位置に保持可能なもので、例えば周面にネジ面が形成されている。図2に示すように、位置決め保持部材43は、アーム21の大径めねじ部23に回転自在に螺合した位置調節用ねじ部材43から形成されている。ここに、この実施形態では、連結軸11を図6に示す初回引張り位置P1と、図7に示す再度引張り位置P2に保持できるように、止めねじ46で連結軸11を係止する。
止めねじ46は、アーム21の小径めねじ部24に回転自在に螺合して、先端部が連結軸11の位置決め用凹部(44、45)と当接した位置で係止可能に形成されている。ここで、図2中上方の位置決め用凹部44は、初回に連結軸11を引張った位置(初回引張り位置P1)に係止するためのもので、下方の位置決め用凹部45は再度連結軸11を引張った位置(再度引張り位置P2)に係止するためのものである。この止めねじ46によって、連結軸11を初回引張り位置P1や再度引張り位置P2に保持した状態で、楔移動部材35をアーム21内から取り出して修理・点検した後、アーム21内へ戻して連結軸11を再び保持できる。したがって、止めねじ46は楔移動部材35のメンテナンスにも役立つ。
次に、この実施形態の作用を、図面を参照しながら説明する。図8は、楔移動部材35を筒状のアーム部21に装着する状態の説明図である。まず、締結用片側切欠部31に楔移動部材35の片側突起部354を挿入する。楔移動部材35は片側突起部354を有するので、楔移動部材35の姿勢が締結用片側切欠部31に対して多少よじれていても、係合が旨く行えるため、従来例のような二股の楔と比較して、作業性が高まる。この場合、長寸のボルト81をアーム21内に差し込んで楔移動部材35のめねじ部39と螺合させ、その状態でボルト81を用いて挿入すると、楔移動部材35の姿勢が筒状のアーム部21に形成された内側連結空間内で確実に保持される。
この状態で、仕口補強金具10の位置調節用ねじ部材43を、図2に示すように、六角レンチ82を用いて回転させて内方へ移動させると、楔移動部材35は押されて、筒状のアーム部21に形成された内側連結空間側へ移動して、押圧傾斜面36が連結軸11の係合傾斜面32と接触する。次に、その状態で位置調節用ねじ部材43を更に回転させると、楔移動部材35は押圧傾斜面36を係合傾斜面32と摺接させつつ内方へ移動する。これにより、連結軸11は、図2に示す初期位置P0から図6に示す位置(初回引張り位置P1)まで引張られて位置決め用凹部44がアーム21の小径ねじ部24と整合する位置に位置決めされる。
次に、その状態で、止めねじ46をアーム21の小径めねじ部24に螺合させ先端部が位置決め用凹部44と当接するまで回転する。これにより、連結軸11は楔移動部材35および位置調節用ねじ部材43によって所定長さだけ引張られた位置に保持されるとともに、止めねじ46によっても係止される。この際、楔移動部材35の押圧傾斜面36は、連結軸11の係合傾斜面32全体と当接しているので、確実に連結軸11を初回引張り位置P1に保持できる。これにより、柱1と梁3とが緊結される。このように、梁3側の位置決め保持手段(位置調節用ねじ部材43)を作動することによって柱1と梁3とを緊結するので、図7に示すように、木造建物完成後に柱1と梁3が木痩せした場合に、連結軸11を再度引張り位置P2まで引張って当該両部材(1、3)を簡単に再度緊結できる。
また、アーム21は梁3に対して固定されており、アーム21内の楔移動部材43を移動させることにより、アーム21を足場として基端部12側が柱1に固定された連結軸11を引張る構成とされているので、梁3は偏心荷重を受けず柱1と緊結できる。
また、連結軸11が梁3および柱1内に収容されているので、大地震などで梁3が揺れた場合でも連結軸11には大きな曲げモーメントや引張り力が作用しないので破損しにくく、両者(1、3)の突き合せ結合部を保護できる。また、強度的に弱い梁3のほぞ3aを連結軸11が直接補強するので、当該結合部が破損するのを防止できる。
したがって、仕口補強金具10の適用範囲が広くて取扱いやすく、しかも木痩せ等した場合でも、柱1と梁3を簡単に再度緊結できる。また、アーム21と組み合わされた連結軸11は、梁3に完全に収容されるので、仕口補強金具10を梁3内に収容した状態で運搬できる。したがって、運搬時の仕口補強金具10の損傷を効果的に防止できる。さらに、建物を柱1や梁3が見える真壁工法で構築した場合、上記仕口補強金具10の連結軸11やアーム21等は柱1や梁3に収容されているので見苦しくなく、木本来の美しさや景観を損なわない。
図9は、連結軸11に形成された締結用片側切欠部31の変形実施例を説明する構成図で、(A)は平面図、(B)は側面図を示している。係合傾斜面32Bと連結軸側移動案内面311Bのなす角度は、図3の場合と比較すると開いた角度となっており、図10に示す楔移動部材35Bの断面略三辺形の穂先状に突出した片側突起部354Bと嵌め合う角度となっている。そこで、ストッパ面312Bの法線は、連結軸側移動案内面311B側に向かっているが、連結軸側移動案内面311Bの法線は、連結軸側移動案内面311B側でなく、連結軸11の外周面側に向かっている。そして、ストッパ面312Bの法線方向と連結軸側移動案内面311Bの法線方向が、連結軸11の軸方向成分として平行であれば、連結軸側移動案内面311Bの法線方向に関しては、連結軸側移動案内面311Bとストッパ面312Bの間隔は、連結軸11の外周面側からの距離によらず一定となる。これに対して、連結軸側移動案内面311の図3(A)の面内上下方向に関しては、連結軸側移動案内面311Bとストッパ面312Bの間隔は、上側で狭いLとなり、下側で広いLとなっている。連結軸側移動案内面311Bの面内上下方向が広いL側が、締結用片側切欠部31における楔移動部材35の装着される側になっている。
図10は、楔移動部材35Bの変形実施例を説明する構成図で、(A)は軸方向の側面図、(B)は底面側の端面図、(C)は軸方向の平面図、(D)は先端側のD−D断面での端面図を示している。この変形実施例では、片側突起部354Bにおける、移動案内面356Bと押圧傾斜面36Bとがなす角度は鈍角であり、例えば120度から90度の範囲にあり、楔移動部材35Bの姿勢が安定して作業性が高まる。なお、移動案内面356Bと押圧傾斜面36Bとがなす角度が120度よりも大きい場合は、押圧傾斜面36Bと係合傾斜面32Bとの接触面積が大きくなり、楔移動部材35Bを押し込む力が大きくなるため、作業性が低下する。また、面取り部355Bは、片側突起部354Bの突端に位置するもので、楔移動部材35Bの外周面側に設けてある。面取り部355Bは、連結軸11に形成された締結用片側切欠部31に楔移動部材35Bを装着する際に、片側突起部354Bが締結用片側切欠部の外側に捲れ曲がりやすいことを防止して、片側突起部354Bの突端の破損する頻度を低減する。さらに、片側突起部354Bの厚さd36Bは、締結用片側切欠部31との嵌め合いを考慮して、例えば楔本体部352の直径の半分程度でもよく、また片側突起部354Bは図3に示す片側突起部354と比較して同じ程度の剛性となるように、楔本体部352の直径の半分よりも薄く定めても良い。
図11は、連結軸11に形成された締結用片側切欠部と筒状のアーム部21の位置関係を説明する要部構成図断面である。アーム21の通し穴が設けられた部位は、内側連結空間であり、その内径は図4に示すように、大径めねじ部23の内径Dinに相当する。内側連結空間には、連結軸11の締結用片側切欠部31が挿入されるが、この場合に、図9に示すように、連結軸側移動案内面311Bとストッパ面312Bの間隔は、下側で広いLとなっている。そこで、連結軸11の軸方向の姿勢が連結用穴2の内部で傾いてしまう場合にも、アーム21の通し穴に連結軸側移動案内面311Bとストッパ面312Bが旨く通過するように、Lは内径Dinよりも小さくするのがよい。また、連結軸側移動案内面311Bとストッパ面312Bの突端となる端部は面取りをして、アーム21の通し穴に当る場合にも、止まることなく円滑に移動できるような形状にするのがよい。また、係合傾斜面32Bに認識用の着色、例えば白色のペイント、をした着色部314B、又は連結軸11の外周面であって連結軸側移動案内面311Bに沿う場所に、認識用の着色、例えば白色のペイント、をした着色部313Bを設けると、連結軸11の締結用片側切欠部31を内側連結空間に位置合わせすることが正確に行える。
(第2の実施形態)
図12は、本発明の第2の実施の形態としての仕口用金具を説明する構成斜視図で、土台と柱とのホールドの場合を示している。なお、第1の実施形態(図1〜図10)の場合と共通する構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略化又は省略する。まず、柱3Aは、その突き合せ端面を所定長さだけ穿って連結用穴2を形成するとともに、当該柱3Aの所定側面部に連結用穴2と直交するようにアーム取付用穴4を形成する。また、基礎体5側には、植込ボルト8と地覆7が設けてある。ここで、地覆7は、建物・門などの柱間の最下端に入れる横木である。なお、請求項1における固定側構造部と取付側構造部の関係では、柱3Aが取付側構造部であり、基礎体5側が固定側構造部となる。
仕口用金具10は、第1の実施形態と同様の部品で構成される。即ち、連結軸11は、柱3Aの連結用穴2に挿入されかつ下端部に基礎体5側の植込ボルト8と係止するための係合部14と、係合傾斜面32の設けられた締結用片側切欠部31を有している。筒状のアーム21は、柱3Aのアーム取付用穴4に挿入されかつ長手方向中央部に連結軸11を通すための通し穴22が開けられている。楔移動部材35は、アーム21内に移動可能に取付けられると共に、係合傾斜面32と摺接可能な押圧傾斜面36を有する。位置決め保持手段43は、この楔移動部材35を押圧傾斜面36と係合傾斜面32とを接触させつつ移動させて所定位置に保持可能なもので、例えば位置調節用ねじ部材43を用いる。
連結軸11の基端部12には、係合部としておねじ部14が形成されている。この連結軸11のおねじ部14は、基礎コンクリート6に植設された植込ボルト8とナット部材85を介して固定されている。
かかる構成では、柱3Aの所定側面部(例えば、内側側面部)に設けられた位置調節用ねじ部材43を作動させて楔移動部材35を移動させると、当該楔移動部材35の押圧傾斜面36と連結軸11の係合傾斜面32との協動によって当該連結軸11が引張られる。これにより、柱3Aと基礎体5とが緊結される。このように、柱3Aの所定側面部(例えば、内側側面部)に設けられた位置調節用ねじ部材43を作動することによって柱3Aを固定側構造としての基礎体5とを緊結するので、木造建物完成後に柱3Aが木痩せ等した場合に当該両部材(3A、5)を簡単に再度緊結できる。
さらに、連結軸11が柱3A内に収容されているので、大地震などで柱3Aが横揺れした場合でも連結軸11には大きな曲げモーメントや引張力が作用しないので、破損を最小限に抑えることができる。さらにまた、柱3Aと基礎体5を強く緊結しても両部材(1、5)の突き合せ結合部(仕口)には大きな偏心荷重が作用せず、結合強度が低下してしまうようなことはない。したがって、取扱いやすくしかも木痩せ等した場合には、柱3Aと基礎体5を簡単に再度緊結できる。
また、柱3A側の位置調節用ねじ部材43を回すことにより柱3Aと基礎体5とを緊結するので、基礎コンクリート6と土台7との間に基礎パッキン9を介装して間隙を設ける必要はない。したがって、土台7が基礎コンクリート6に密着されている基礎体5でも使用でき、施工性を一段と向上できる。もとより、風通しをよくするために、基礎パッキン9を介装することは自由である。
(第3の実施形態)
図13は、本発明の第3の実施の形態としての仕口用金具を説明する構成斜視図で、土台と柱とのホールドの場合を示している。第3の実施形態において、第2の実施形態と相違する点は、連結軸11の係合部14と基礎体5との間に自在継手50を介装してある点である。
図14は、本発明の第3の実施の形態に用いられる自在継手の構成斜視図である。自在継手50は、基礎体5上で植込ボルト8と相対変位させて係止可能な下部本体51と、この下部本体51に固定され連結軸11の係合部14を係止可能な係止部が設けられた上部本体61とから形成されている。下部本体51は、円板状に形成されており、その中央部から外周部へ向けて伸延するように長穴52が形成されている。長穴52は、基礎体5側の植込ボルト8を通し可能に形成されている。
一方、上部本体61は、厚肉円板状に形成されており、その中央部には係止用ねじ穴66(図13参照)が形成されている。この上部本体61の係止用ねじ穴66には、両ねじ部材86が螺合しており、両ねじ部材86はナット部材(図示せず)を介して連結軸11のおねじ部14と接続されている。
また、上部本体61には、側面の所定部分および下部本体51側の平面の所定部分に向けて開口した内部空間62が設けられている。図13に示すように、この内部空間62を通して、下部本体51の上面で植込ボルト8の先端部と螺合したナット89を回して締付け可能かつ締付け解除可能とされている。この上部本体61は、ねじ通し穴63に嵌挿されたボルト63sを下部本体51のねじ穴53に螺合させて締め付けることにより固定されている。
かかる構成では、自在継手50を用いて基礎体5側の植込ボルト8と柱3A側の仕口補強金具10の連結軸11とを偏心した状態で固定できる。したがって、一段と施工性の向上を図れる。
図15は、本発明の第4の実施の形態としての仕口用金具を説明する構成斜視図で、梁の両引きの場合を示している。梁の両引きの場合は、柱1の両側面に梁3を突き合せ結合する場合である。この場合、各梁3の連結用穴2に挿入される仕口補強金具10の連結軸11の基端部12は、互いに両ねじ部材84を用いて連結される。したがって、各連結軸11の基端部12は、間接的に柱1内に固定されることになる。請求項1における固定側構造部と取付側構造部の関係では、仕口補強金具10の楔移動部材35を締結用片側切欠部31に装着作業している側が、取付側構造部であり、他方が固定側構造部となる。
なお、上記の実施の形態においては、梁の片引きや両引きの場合、並びに土台と柱とのホールドの場合を示したが、本発明の木造建物用金具の適用範囲はこれに限定されるものではなく、三方差し、四方差し、並びに火打ち材のような補強用の斜材などにも適用でき適用範囲が広い。さらに、数寄屋造りや六角堂や八角堂の屋根のような複数の屋根材で突き合せ結合部が形成される場合にも、本発明の仕口用金具で補強することができる。
さらに、上記の実施の形態においては、締結用片側切欠部31、31Bの深さとして、連結軸11の直径の半分程度の場合を図3、図9に示し、片側突起部354、354Bの厚さd36、d36Bとして、締結用片側切欠部31、31Bとの嵌め合いを考慮して、例えば楔本体部352の直径の半分程度の場合を示したが、本発明の木造建物用金具の適用範囲はこれに限定されるものではなく、片側突起部354、354Bの厚さとして、楔本体部352の直径の半分よりも薄くしても良い。この場合、楔移動部材35、35Bの嵌め合いの相手方となる締結用片側切欠部31、31Bの深さは、例えば連結軸11の直径の半分よりも薄くできる。すると、連結軸11の締結用片側切欠部31、31Bによる欠損部が少なくて済み、連結軸11の剛性を高く保持できる。
また、上記の実施の形態においては、連結軸11、筒状のアーム部21、楔移動部材35、35Bの材料として鋼鉄製やステンレス鋼製の場合を示したが、本発明の木造建物用金具の適用範囲はこれに限定されるものではなく、鋼鉄製やステンレス鋼製のよりも切削加工が容易な、黄銅のような軟らかい金属材料を用いても良い。さらに、連結軸11、筒状のアーム部21、楔移動部材35、35Bの材料として、剛性が金属と同じ程度で、耐熱性が高く、射出成型のような量産性の高い製造手法が採用できるガラス繊維強化ナイロン樹脂のようなプラスチック材料や複合材料でもよい。
また、上記の実施の形態においては、筒状のアーム部21に小径めねじ部24が形成されていると共に、止めねじ46の先端部が連結軸11の位置決め用凹部(44、45)と当接した位置で係止可能に形成されている場合を示したが、本発明の木造建物用金具の適用範囲はこれに限定されるものではなく、小径めねじ部24、連結軸11の位置決め用凹部(44、45)、止めねじ46は設けなくてもよい。この場合に、六角レンチ83を用いて止めねじ46を小径めねじ部24に羅着する作業は不要となる。
1 柱(固定側構造部・縦方向構造材)
3 梁(取付側構造部・横方向構造材)
5 基礎体
10 仕口補強金具
11 連結軸
21 筒状のアーム部
22 通し穴
31、31B 締結用片側切欠部
312、312B 連結軸側移動案内面
32、32B 係合傾斜面
35、35B 楔移動部材
354、354B 移動案内面
356、354B 片側突起部
36、36B 押圧傾斜面
43 位置調節用ねじ部材

Claims (5)

  1. 固定側構造部と取付側構造部との突き合せ結合部を補強する木造建物用金具であって、
    一端側が前記固定側構造部に固定した状態に取付けられ、他端側が前記取付側構造部の突き合せ端面に形成される所定深さの連結用穴に挿入される連結軸と、
    前記取付側構造部の長手方向に対する側面部に形成されたアーム取付用穴であって、前記連結用穴と直交するように形成された前記アーム取付用穴に挿入される筒状のアーム部と、
    前記筒状のアーム部の長手方向中央部に形成された通し穴であって、前記連結軸の外側形状よりも大きな内側形状の前記通し穴と、
    前記筒状のアーム部に形成された内側連結空間に位置するように設けられた締結用片側切欠部であって、前記連結軸に形成された係合傾斜面を有する前記締結用片側切欠部と、
    前記筒状のアーム部に移動可能に取付けられると共に、前記係合傾斜面と摺接可能な押圧傾斜面を有する楔移動部材と、
    前記楔移動部材を前記押圧傾斜面と前記係合傾斜面とを接触させつつ移動させて所定位置に保持可能な位置決め保持部とを備え、
    前記押圧傾斜面と前記係合傾斜面の協働によって前記連結軸を引張るように形成された木造建物用金具であって、
    前記楔移動部材は、前記筒状のアーム部に形成された内側連結空間の内側形状よりも僅かに小さな外側形状を有する楔本体部と、この楔本体部の長手方向に形成された移動案内面と前記押圧傾斜面とが形成された片側突起部を有し、
    前記締結用片側切欠部は、さらに前記楔移動部材の前記移動案内面と対向する連結軸側移動案内面を有することを特徴とする木造建物用金具。
  2. 縦方向構造材と横方向構造材との突き合せ結合部を補強する木造建物用金具であって、
    一端側が前記縦方向構造材に固定した状態に取付けられ、他端側が前記横方向構造材の突き合せ端面に形成された所定深さの連結用穴に挿入される連結軸と、
    前記横方向構造材の側面部に形成されたアーム取付用穴であって、前記連結用穴と直交するように形成された前記アーム取付用穴に挿入される筒状のアーム部と、
    前記筒状のアーム部の長手方向中央部に形成された通し穴であって、前記連結軸の外側形状よりも大きな内側形状の前記通し穴と、
    前記筒状のアーム部に形成された内側連結空間に位置するように設けられた締結用片側切欠部であって、前記連結軸に形成された係合傾斜面を有する前記締結用片側切欠部と、
    前記筒状のアーム部に移動可能に取付けられると共に、前記係合傾斜面と摺接可能な押圧傾斜面を有する楔移動部材と、
    前記楔移動部材を前記押圧傾斜面と前記係合傾斜面とを接触させつつ移動させて所定位置に保持可能な位置決め保持部とを備え、
    前記押圧傾斜面と前記係合傾斜面の協働によって前記連結軸を引張るように形成された木造建物用金具であって、
    前記楔移動部材は、前記筒状のアーム部に形成された内側連結空間の内側形状よりも僅かに小さな外側形状を有する楔本体部と、この楔本体部の長手方向に形成された移動案内面と前記押圧傾斜面とが形成された片側突起部を有し、
    前記締結用片側切欠部は、さらに前記楔移動部材の前記移動案内面と対向する連結軸側移動案内面を有することを特徴とする木造建物用金具。
  3. 前記楔移動部材における前記移動案内面と前記押圧傾斜面との間の角度は60度から90度の範囲の鋭角であり、
    前記締結用片側切欠部における前記連結軸側移動案内面と前記係合傾斜面との間の角度も、前記鋭角に対応する角度であり、
    前記楔移動部材が前記締結用片側切欠部と締結されるように形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の木造建物用金具。
  4. 前記楔移動部材における前記移動案内面と前記押圧傾斜面との間の角度は90度から120度の範囲の鈍角であり、
    前記締結用片側切欠部における前記連結軸側移動案内面と前記係合傾斜面との間の角度も、前記鈍角に対応する角度であり、
    前記楔移動部材が前記締結用片側切欠部と締結されるように形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の木造建物用金具。
  5. 固定側構造部と取付側構造部との突き合せ結合部、又は縦方向構造材と横方向構造材との突き合せ結合部を有する木造建物において、
    前記突き合せ結合部の結合に請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の木造建物用金具を用いたことを特徴とする木造建物。
JP2011276716A 2011-12-19 2011-12-19 木造建物用金具、これを用いた木造建物 Active JP4925151B1 (ja)

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