JP2004244941A - 接合具及びそれを用いた構造部材の仕口接合構造並びに構造部材の接合方法 - Google Patents

接合具及びそれを用いた構造部材の仕口接合構造並びに構造部材の接合方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004244941A
JP2004244941A JP2003036633A JP2003036633A JP2004244941A JP 2004244941 A JP2004244941 A JP 2004244941A JP 2003036633 A JP2003036633 A JP 2003036633A JP 2003036633 A JP2003036633 A JP 2003036633A JP 2004244941 A JP2004244941 A JP 2004244941A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
structural
bolt insertion
bolt
hole
embedded
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003036633A
Other languages
English (en)
Inventor
Hatsuo Fujita
初雄 藤田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2003036633A priority Critical patent/JP2004244941A/ja
Publication of JP2004244941A publication Critical patent/JP2004244941A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】木材や集成材等の構造部材からなる木造建築物の構造強度や耐震性を向上し、引張力や水平力による接合部の接合力の低下や構造部材の変形を防止でき、接合部が剛接合となるので、筋交いなどの耐力壁と同様に水平力に対抗できる無筋交いの開口とすることができ、また、木材等の痩せによる構造部材同士の接合部の緩みにも対応して、火災時の安全性を向上できる構造部材の仕口接合構造の提供。
【解決手段】一の構造部材と、一の構造部材の長手方向の端面と外周壁で当接された他の構造部材と、一の構造部材の端面に穿孔された埋設部材挿通孔と、他の構造部材の外周壁から貫通され埋設部材挿通孔と連通するボルト挿通部材貫通孔と、埋設部材挿通孔に螺着された埋設部材と、ボルト挿通部材貫通孔に螺着されたボルト挿通部材と、ボルト挿通部材から挿入され埋設部材と螺着された固定ボルトと、を備えている。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、簡単な構造で木材や集成材等を有する構造部材の接合面同士を密着させて結合することができる接合具、及び、木材や集成材等からなる柱、梁、桁等を構造部材として有する木造建築物の構造部材同士を強固に接合でき建物強度を向上できるとともに、木材等の痩せによる構造部材同士の接合部の緩みにも対応でき、火災時の安全性を向上できる構造部材の仕口接合構造、並びに構造部材を簡単かつ確実強固に接合できる構造部材の仕口接合構造の接合方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、在来軸組工法と呼称される木造建築物においては、柱と梁などの構造部材の接合部の強度は無いものとして筋交い等を配置し、筋交い等により軸組に働く水平力に対抗している。また、従来から、柱と梁、梁と梁等の構造部材同士の接合構造においては、構造部材の接合面を所定の形状に切欠形成して大入れにより接合する構造や、接合金具により構造部材同士を接合する構造が用いられている。
近年では、住宅等の建築時の省力化、合理化又は木造建築物の強度の向上を目的として、接合具や金具、箱金物等を用いた仕口や継手等により、梁と桁、柱と梁、胴差と通し柱等を接合する構造部材の接合構造や接合方法が開発されている。また、阪神大震災を含め毎年、地震や台風等で特に木造住宅が大きな被害を被ることが多く、木造建築物の各構造部材同士の接合構造において、仕口等の接合部分の強度向上を含めて建築物全体の構造強度の向上を図った構造部材の接合構造や接合方法が種々開発されている。
【0003】
例えば、(特許文献1)には、「構造部材間の接合に箱金物とこれらを緊結する金具やボルト、ナットを用いた木造軸組工法に使用される軸組金具」が開示されている。
(特許文献2)には、「少なくとも2つの被連結材に共通の継手を嵌挿するようにして、被連結材を衝合させるとともに、被連結材に設けられたボルト孔と、継手に設けられたボルト孔とにボルトを貫通させ、該ボルトをナットにて締結固定する骨組みの連結機構において、ボルトには、ボルト締め付け時に外部に開口する一方の開口部と、ボルト孔に開口する他方の開口部とを有する連通路が設けられ、該連通路を通して少なくとも継手のボルト孔と、ボルトとの間隙に充填剤が充填される骨組みの連結機構」が開示されている。
(特許文献3)には「木質材料に開けられた雌ネジにネジ作用で止められる雄ネジが表面に形成されている棒状材を有し、この棒状材の少なくとも一方の端部部分の軸芯部には雌ネジが形成されており、一方側には前記木質材料の結合対象である非結合材に結合される継手が形成され、他方側には前記軸芯部の雌ネジにネジ作用ではめられるボルトを通すためのボルト孔が形成されている継手具を有している建具の結合具」が開示されている。
(特許文献4)には、「一端が係止構造とされ、他端に頭部が設けられたシャフトと、このシャフトが挿通される係合溝が一端から他端側へ設けられ、頭部に当接する係合溝の両端部分の肉厚が一端から他端側へ順次増加する円筒状の楔部材と、を備え、柱と梁に穿孔された貫通孔にシャフトを挿入し、梁に穿孔された楔挿入穴にシャフトの頭部を位置させるとともに、係合溝の肉厚の薄い方から楔部材を楔挿入穴に挿入し、楔部材の係合溝とシャフトの頭部とを係合することにより、柱と梁を引き寄せて柱と梁を連結する木質部材連結具」が開示されている。(特許文献5)には、「当接面で当接される縦構造部材、横架構造部材と、縦構造部材の外周壁部から当接面に対して直角に横架構造部材の所定部まで穿孔された接合ボルトが挿入される接合ボルト挿入部と、横架構造部材の外周壁部から接合ボルト挿入部に連通し緊結体が挿入される緊結体挿入部と、接合ボルトの中空部に注入されて吐出口から吐出され接合ボルトの外周面と接合ボルト挿入部の周壁間に充填される接着剤と、を備えている接合用治具及びそれを用いた構造部材の接合構造並びに構造部材の接合方法」が開示されている。
(特許文献6)には、「2本の横架構造部材と、接合面に各々穿孔された金具挿通孔と、金具挿通孔に挿着され横架構造部材を引き寄せる引寄せ金具と、引寄せ金具の両端部に引寄せ金具の長手方向と略直角に形成された金具固定孔部と、横架構造部材に金具挿通孔と略直角に穿孔された固定用孔と、固定用孔及び金具固定孔部に挿着された金具固定具と、横架構造部材の所定部に外周壁面から金具挿通孔にかけて形成された締付溝と、を備えている木造建造物の構造部材の接合構造及びその接合方法」が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
実開昭63−162008号公報
【特許文献2】
特開平6−10419号公報
【特許文献3】
特開平8−120791号公報
【特許文献4】
特開平10−46679号公報
【特許文献5】
特開2000−129782号公報
【特許文献6】
特開2001−355287号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術では、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)では、木造建築物の施工時に構造部材に金具や金物等を装着しこれにボルトやナット等を介して固定せねばならず、施工作業性に欠けるとともに、金具や金物等の構造が複雑で生産性に欠け、しかも部品点数が多いため、施工時の作業が煩雑で作業性に欠けるという課題を有していた。また、曲げや引張り、圧縮、剪断等の物理的強度を要するため、金具や金物等が大型で重量があり運搬性に欠け、金具や金物等を小さくしようとすると接合部の強度も小さくなり、更に高所作業では安全性に欠けるという課題を有していた。
(2)(特許文献2)では、部材(被連結材)同士をボルト、ナットで連結した後に、ボルトに形成された接着剤が注入(流通)される孔を介して、ボルトの外周面とボルトを挿通したボルト孔との間に接着剤を充填し部材同士を接合しているので、ボルトが挿通されるボルト孔が、連結する部材同士に貫通されていなければ部材同士を連結(接合)することができず、汎用性や使用性に欠ける。
また、梁と柱を接合する場合、被連結材に共通の継手を嵌挿し被連結材を衝合させた後、ボルト、ナットで被連結材同士を接合しなければならず、ボルト・ナットの他に「継手」部材が必要となり、部品点数が増え取扱性や部材の接合作業性に欠けるという課題を有していた。
(3)(特許文献3)の結合具では、結合を行う柱及び横架構造部材に大径ボルトを螺着するためのネジ切り加工を行い、継手具を係止するための切り欠き加工を行って継手具を装着し、更に柱及び横架構造部材に螺着された大径ボルトの軸芯部に形成された雌ネジ部と継手具をボルトによって固定するので、部品点数が多く、加工及び構造が複雑で施工性に欠けるという課題を有していた。
(4)(特許文献4)の接合構造や接合方法では、シャフトや楔部材の形状が複雑でシャフトや楔部材の生産性に欠け、シャフトや楔部材等の種々の部品を要し、接合構造が複雑で接合作業性に欠けると共に、柱を介して柱の対向する側面に梁を接合する際に、シャフトを柱から突出しないように挿入するので、梁に余掘の形成を要し梁の欠損部分が大きく、梁の強度低下を引き起し易く、柱や梁等の構造部材の接合部の強度に欠けるという課題を有していた。また、柱と梁の構造部材を接合する際に、シャフトが梁の長手方向と略平行に位置しているので、梁にねじれが生じ易くシャフトの耐久性に欠け、シャフトの破損を引き起し易いという課題を有していた。
(5)(特許文献5)の接合構造や接合方法では、部材(被連結材)同士をボルト接合ボルトと緊結体で連結した後に、ボルトに形成された接着剤が注入される孔を介して、ボルトの外周面とボルトを挿通したボルト孔との間に接着剤を充填し部材同士を接合するので、部品点数が多く、加工及び構造が複雑で、接着剤の硬化時間の温度管理が必要で施工性が悪く、結合後に取り外すことが困難で、部材を再利用することができないという課題を有していた。
(6)(特許文献6)の接合構造や接合方法では、部材(被連結材)同士を引寄せ金具と金具固定具で連結した後に、さらに引寄せ金具に埋込材を嵌合させたり、支持金具を引寄せ金具に挿通して部材(被連結材)に螺着させたりして固定しなければならいので、部品点数が多く、加工及び構造が複雑で施工性に欠けるという課題を有していた。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、簡単な構造で構造部材を接合面で密着させて接合することができるとともに構造部材の接合作業が簡単な接合具の提供、及び、木材や集成材等からなる柱、梁、桁等の構造部材を有する木造建築物の構造強度や耐震性を向上できるとともに、引張力や水平力による接合部の接合力の低下や構造部材の変形を防止でき、接合部が剛接合となるので、柱と梁で構成されるフレームは、筋交いなどの耐力壁と同様に水平力に対抗することのできる無筋交いの開口フレームとすることができ、また、木材等の痩せによる構造部材同士の接合部の緩みにも対応でき、火災時の安全性を向上できる構造部材の仕口接合構造の提供、並びに、構造部材を簡単かつ確実強固に接合でき、構造部材の接合作業性に優れた構造部材の接合方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の接合具及びそれを用いた構造部材の仕口接合構造並びに構造部材の接合方法は以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の接合具は、a.一端部に締付頭部を有した埋設胴部と、前記埋設胴部の外周面に形成された雄ねじ部と、前記埋設胴部の前記締付頭部側の端面から軸芯に長手方向と平行に形成された螺着用雌ねじ部と、を有する埋設部材と、b.一端部に締付頭部を有した中空胴部と、前記中空胴部の外周面に形成された雄ねじ部と、前記締付頭部及び前記中空胴部の軸芯に長手方向と平行に形成されたボルト貫通孔と、を有するボルト挿通部材と、c.一端部に形成された締付頭部と、他端部に形成された螺着用雄ねじ部と、を有する固定ボルト
と、を備えた構成を有している。
【0008】
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)梁と柱等の横架構造部材や縦構造部材の構造部材同士を接合する際に、各構造部材の埋設部材挿通孔とボルト挿通部材貫通孔にそれぞれ埋設部材とボルト挿通部材をねじ込んで螺着し、固定ボルトの螺着用雄ねじ部と埋設部材の螺着用雌ねじ部を螺着することにより、構造部材同士を簡単かつ確実に接合できる。
(2)外周面に雄ねじ部が形成された棒状の埋設胴部又は中空胴部に螺着用雌ねじ部又はボルト貫通孔を形成し、端部に締付頭部を形成するだけで埋設部材又はボルト挿通部材を形成でき、構造が簡単で部品点数が少ないため接合具の生産性を向上でき、また、要求される構造部材の接合強度に応じて埋設部材及びボルト挿通部材の長さや直径等を容易に変更することができ、汎用性に優れる。
(3)埋設部材及びボルト挿通部材の一端に締付頭部を有しているので、締付頭部を用いて埋設部材及びボルト挿通部材を構造部材にねじ込むことができ、構造部材同士の接合が容易にできる。
(4)埋設部材及びボルト挿通部材の外周面に雄ねじ部が形成されているので、埋設部材及びボルト挿通部材を構造部材に螺着した際に、外周面のねじ山を構造部材にねじ込むことができ、その結果、埋設部材及びボルト挿通部材と構造部材を高い引き抜き力や剪断力で螺着することができ、接合具で構造部材同士を高い接合力で剛接合することができる。
(5)埋設部材及びボルト挿通部材を構造部材に直接螺着するので、埋設部材及びボルト挿通部材の外周面を構造部材に密接させることができ、特に、構造部材が乾燥等により収縮した場合、構造部材が埋設部材及びボルト挿通部材の外周面により密着されるので、接合具で構造部材同士をより強固に接合することができ、経年による接合部分の強度の低下を防止できる。
(6)地震などにより接合部に圧縮力が加わった場合、埋設部材及びボルト挿通部材の先端に形設された締付頭部同士が当たるので、圧縮力は埋設部材及びボルト挿通部材の雄ねじ部に伝わり、構造部材に形成されたねじ山とのせん断力となるが、ねじ山のせん断耐力が十分に大きいので、埋設部材及びボルト挿通部材が動くことはなく、構造部材の強固な接合を保持することができる。
(7)地震などにより接合部に引張り力が加わった場合、その力が固定ボルトを通して埋設部材及びボルト挿通部材の雄ねじ部と構造部材内に形成されたねじ山とのせん断力として伝わるが、ねじ山のせん断耐力が十分に大きいので、埋設部材及びボルト挿通部材が動くことはなく、構造部材の強固な接合を保持することができる。
【0009】
ここで、接合具の材質としては、ステンレス鋼、クロム鋼、鉄鋼、カーボン鉄鋼等の鉄製品やアルミニウム合金等の金属製の他、カーボン繊維やボロン繊維、ガラス繊維、金属繊維等の有機や無機の繊維と合成樹脂で成形加工したものが用いられる。金属製の場合、防錆加工されたものが好適に用いられる。これにより、接合具が埋設部材挿通孔やボルト挿通部材貫通孔内で錆びつくのを防止でき、増し締めや解体作業の作業性を向上できる。
ボルト挿通部材のボルト貫通孔としては、中空胴部の外径の0.2倍〜0.9倍の大きさで形成するのが好ましい。尚、ボルト貫通孔が中空胴部の外径の0.2倍より小さくなるにつれ、ボルト貫通孔に挿通される固定ボルトの外径も小さくなり、固定ボルトの剪断力が低下し接合具を構造部材に挿着した際の剛性が低下する傾向があり、また、ボルト貫通孔が中空胴部の外径の0.9倍より大きくなるにつれ、中空胴部に形成されるボルト貫通孔が大きくなるため中空胴部の剪断力が低下し中空胴部の強度が低下する傾向があるので望ましくない。
埋設部材を構造部材内に埋設しているので、火災の高温から守ることができ、外部の熱が接合具を介して構造部材の内部に伝わるのを防止して安全性を向上することができる。
更に、埋設部材及びボルト挿通部材の埋設胴部及び中空胴部の外周面に形成された雄ねじ部は構造部材に穿孔された下孔に対して雌ねじを自削しながらねじ込む必要があるので、ねじ山の形状としては三角ねじや鋸刃ねじが望ましい。特に鋸刃ねじの場合、ねじ山の断面形状が略直角三角形状なので、進行方向に対してはねじ山が鋭角に当たって自削能力に優れ、引抜きに対してはねじ山の垂直面が構造部材に形成されたねじ谷に当接して引抜き耐力に優れる。
尚、埋設部材としては、螺着用雌ねじ部が形成される埋設胴部の締付頭部側と反対側の先端をテーパ状としたものを使用してもよい。これにより、埋設部材を軽量化すると共に、軟らかい材質の構造部材に対して下孔がなくても自削しながらねじ込み作業を行うことができる。
また、固定ボルトとしては、全長に渡って螺着用雄ねじ部を形成した断面が円形状のものや、一端部に形成された螺着用雄ねじ部を除く中央部分の断面が略円形、略楕円形、三角形や四角形、六角形等の略多角形状に形成してもよい。
さらに、埋設部材及びボルト挿通部材の締付頭部は、スパナやレンチなどの工具が係合できる形状であればよく、端面に六角レンチ等の工具が係合される六角形状等の凹部を形成したもの、端部にスパナ等の工具が係合される四角形や六角形等の多角形状のナット等からなる頭部を形成したもの等、種々のものが用いられる。また、固定ボルトの場合は、これらに加えて端面にドライバー等の工具が係合される−状や+状に切欠形成したものを用いてもよい。
【0010】
本発明の請求項2に記載の接合具は、請求項1に記載の接合具であって、前記埋設部材及び/又は前記ボルト挿通部材の前記締付頭部と反対側の先端外周面がストレート部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)埋設部材及び/又は前記ボルト挿通部材の先端の外周がストレート部を有しているので、埋設部材挿通孔及び/又はボルト挿通部材貫通孔に沿って真っ直ぐに挿入し雌ねじを自削形成しながら螺着することができる。
ここで、ストレート部の長さは全長の約1/12倍〜1/5倍、好ましくは約1/10倍〜1/6倍が望ましい。ストレート部の長さが全長の1/10倍より短いと埋設部材挿通孔又はボルト挿通部材貫通孔に沿ってガイドすることができず、1/6倍より長いと雄ねじ部の長さが必要量確保できなくなる危険性があり好ましくない。
【0011】
本発明の請求項3に記載の接合具は、請求項1又は2に記載の接合具であって、前記埋設部材及び/又は前記ボルト挿通部材の前記締付頭部と反対側の前記雄ねじ部先端のねじ山がテーパ状に形成されている構成を有している。
この構成により、請求項1又は2の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)埋設部材及び/又はボルト挿通部材の外周雄ねじ部の先端部のねじ山がテーパ状に形成されていることにより、いきなり最大径のねじ山が埋設部材挿通孔及び/又はボルト挿通部材貫通孔に掛かることがなく、ねじ山の先端部から少しずつ埋設部材挿通孔及び/又はボルト挿通部材貫通孔にねじ込まれるので、無理な力をかけずに真っ直ぐに挿入することができる。
ここで、ねじ山のテーパねじ部の長さは雄ねじ部の全長の約1/15倍〜1/5倍、好ましくは約1/14倍〜1/8倍が望ましい。テーパねじ部の長さが雄ねじ部の全長の1/14倍より短いと、テーパ角度が急角度になり真っ直ぐに入り難くなる傾向があり、1/8倍より長いと雄ねじ部の有効長さが短くなって構造部材との接合力が小さくなる傾向があるので好ましくない。
雄ねじ部のねじ山のピッチは約5〜14mm、好ましくは約8〜12mmが望ましい。雄ねじ部のねじ山のピッチが8mmよりも小さいとねじ込み時の送り量が少なくなって作業性が悪くなり、12mmよりも大きいとねじ込み時のトルクが大きくなり過ぎて作業性が悪くなる傾向があり好ましくない。
雄ねじ部のねじ山の最大高さは約2〜7mm、好ましくは約3〜5mmが望ましい。雄ねじ部のねじ山の高さが3mmよりも小さいと構造部材との接合力が小さくなり、7mmより大きいと、ねじ込み時のトルクが大きくなり過ぎて作業性が悪くなる傾向があり好ましくない。
【0012】
本発明の請求項4に記載の接合具は、請求項1乃至3に記載の接合具であって、前記埋設部材及び/又は前記ボルト挿通部材の前記雄ねじ部のねじ山に部材長手方向と平行に1以上の溝が形成されている構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)埋設部材及び/又はボルト挿通部材の外周の雄ねじ部のねじ山に溝が形成されていることにより、タッピング能力を持っているので構造部材側にねじ谷を自削形成でき、ねじ込みに要するトルクを減少させて、容易に装着することができる。
(2)溝の本数を増やすことにより、さらにトルクを減少させると共に、切削屑の排出性が向上して、容易に構造部材との螺着を行うことができる。
ここで、外周の雄ねじ部のねじ山に形成する溝の最大幅は溝の本数にもよるが、溝が1乃至2本の場合は、雄ねじ部の外径の約6/20倍〜13/20倍、好ましくは約9/20倍〜12/20倍が望ましい。
溝の最大幅が雄ねじ部の外径の9/20倍より小さいと、切削性が悪く、ねじ込みに要するトルクが大きくなって作業性が悪くなり、12/20倍より大きいと構造部材との引抜きに対する抵抗が小さくなる傾向があり好ましくない。
また、溝の最大深さはねじ山の高さと同じかそれ以上が望ましい。これにより確実に切削屑を排出し、容易に雌ねじを自削形成することができる。
更に、溝の断面形状としては円弧状の他に三角形状や台形状などがある。溝の断面形状を三角形状や台形状にすることにより、細い溝幅でも十分な溝の深さを得ることができるので、切削能力に優れると共に、有効雄ねじ部を広くして引抜き耐力を向上させることができる。
【0013】
本発明の請求項5に記載の接合具は、請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の接合具であって、前記埋設部材及び/又は前記ボルト挿通部材の前記雄ねじ部のねじ山に螺旋状に形成された1以上の溝を有する構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1項の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)溝を螺旋状に形成することにより、雌ねじの自削性が向上し、ねじ込みに要するトルクを減少させ、発生する切削屑を回転と共に自動的に手前に送り出す性能が高まって、小さな力でねじ込むことができるので、作業性の向上を図ることができる。
【0014】
本発明の請求項6に記載の構造部材の仕口接合構造は、一の構造部材と、前記一の構造部材の長手方向の端面と外周壁で当接された他の構造部材と、前記一の構造部材の端面に対して長手方向と平行に穿孔された1以上の埋設部材挿通孔と、前記他の構造部材の外周壁から前記一の構造部材の端面に対して貫通され前記埋設部材挿通孔と連通する1以上のボルト挿通部材貫通孔と、前記埋設部材挿通孔に螺着された請求項1乃至5の内いずれか1項に記載された接合具の埋設部材と、前記ボルト挿通部材貫通孔に螺着された請求項1乃至5の内いずれか1項に記載された接合具のボルト挿通部材と、前記ボルト挿通部材のボルト貫通孔から挿入され前記埋設部材の前記螺着用雌ねじ部と螺着された請求項1乃至5の内いずれか1項に記載された接合具の固定ボルトとを有し、前記構造部材同士が接合されている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)構造部材の接合面に穿孔された埋設部材挿通孔及びボルト挿通部材貫通孔に埋設部材及びボルト挿通部材を螺着すると共に、ボルト挿通部材のボルト貫通孔から固定ボルトを挿入し、固定ボルトの螺着用雄ねじ部と埋設部材に形成された螺着用雌ねじ部を螺着固定することにより、構造部材と接合具が密接に接合された剛接合とすることができる。
(2)機械的強度が著しく高い埋設部材及びボルト挿通部材を各構造部材に螺着して固定ボルトによって構造部材同士を確実に強固に接合しているので、構造部材の接合部に生ずる曲げ、引張り、圧縮、剪断等に対する抵抗力を向上できる。(3)構造部材同士の接合部分が、接合具と強固に固定されたラーメン構造となるので、耐力壁や筋交いを使用することなく建築物の間口(スパン)を著しく広げることができ、柱の無い空間を得ることができる。
(4)埋設部材挿通孔やボルト挿通部材貫通孔を複数形成し、複数の接合具で構造部材を接合した場合、接合部の接合力を向上できるとともに、接合面積の大きな構造部材でも複数の接合具で接合することができ、構造部材の大きさに応じて接合具の本数を調整することで多様な設計に対応することができる。
(5)接合構造を解体する場合は、固定ボルトを緩めるだけで接合部の接合を解放できるので、構造部材や接合具を有効に再度利用することができ省資源性に優れる。
【0015】
ここで、埋設部材挿通孔やボルト挿通部材貫通孔としては、構造部材同士を接合面で接合した際に、各々連通するように形成される。また、固定ボルトの強度を埋設部材及びボルト挿通部材の引き抜き耐力よりも大きくすることが好ましい。これにより、地震などで固定ボルトの締付頭部が先に破断され、接合部が離れて建物が一挙に倒壊するのを防ぐことができる。この時、固定ボルトが破断する前に埋設部材及びボルト挿通部材が引き抜かれるように設定し、建物の倒壊角度が大きくなって埋設部材及びボルト挿通部材が引きずり出されても抜け出ないように十分な長さを持つことで、大きな地震の際、建物の急激な倒壊を防止できる。通常、地震が加わった場合の最大変位量は建物の各階高さに対して各々1/200〜1/120と設定されており、接合具の長さをその変位量の約3〜20倍、好ましくは約5倍〜15倍に相当する長さに設定することが望ましい。
例えば建物の各階高さが3,000mmで最大変位量をその1/120と設定すれば変位量は25mmとなり、接合具の長さはその3倍に当たる75mm以上あれば十分である。
また、埋設部材及びボルト挿通部材の太さとしては外径8mm〜外径40mm程度が望ましい。
外径が8mmより細いと埋設胴部及び中空胴部の外周に形成される雄ねじ部のねじ山が小さくなって構造部材である木材の繊維にかかりにくくなり、引抜き力が極端に小さくなる。また、外径が40mmより太いと、ねじ込み時のトルクが大きくなり、それにつれ工具も大きくなって不経済になるので好ましくない。
【0016】
また、埋設部材挿通孔やボルト挿通部材貫通孔の全長は、埋設部材及びボルト挿通部材の長さに応じて、それらを構造部材に埋設できる深さ(長さ)で形成するのが好ましい。これにより、接合具を構造部材に埋設することができると共に、構造部材の接合面同士を当接させて構造部材を密接に接合することができる。
埋設部材挿通孔やボルト挿通部材貫通孔は、構造部材の大小にもよるが、構造部材の外周壁面から内側に埋設部材及びボルト挿通部材の外径の1.1倍〜6倍の位置に形成される。埋設部材挿通孔やボルト挿通部材貫通孔が、構造部材の外周壁面から埋設部材及びボルト挿通部材の外径の1.1倍より小さい位置になるにつれ構造部材に大きな外力がかかった際に構造部材の端部や表面が破損する傾向があり、6倍より大きい位置になるにつれ構造部材に形成できる接合具挿入部の数が減少し構造部材同士の接合力を向上させ難い傾向があるので望ましくない。更に、埋設部材挿通孔及びボルト挿通部材貫通孔の孔径は、埋設部材及びボルト挿通部材の埋設胴部及び中空胴部に形成されたストレート部の外形と同じにすることが望ましい。これにより、埋設部材及びボルト挿通部材を埋設部材挿通孔及びボルト挿通部材貫通孔に対して真っ直ぐに挿入させることができる。
埋設部材及びボルト挿通部材が構造部材に隙間なく強固にねじ込まれることにより、水平加力に対して接合部が一切変形することのない剛接合とすることができる。
尚、構造部材としては集成材を使用することができ、木質構造部材の仕口接合構造を安価に製造することができる。
【0017】
本発明の請求項7に記載の構造部材の仕口接合構造は、請求項6に記載の発明において、前記構造部材が互いに係合する保持部を接合面に形成されている構成を有している。
この構成により、請求項6の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)構造部材同士を保持部で係合させて保持することができるので、接合する構造部材の接合面を容易に位置合わせすることができ、構造部材に形成された埋設部材挿通孔やボルト挿通部材貫通孔を確実に連通させて接合することができる。
(2)構造部材の上部積載荷重を保持部のせん断耐力によって負担させることができるので、埋設部材やボルト挿通部材にはせん断荷重が働かず、接合部の安全性を更に高めることができる。
ここで、保持部としては、接合する構造部材の接合面の一方に凹状に形成された凹部と他方に凸状に形成され凹部に嵌合される凸部を有するもの、一方のみに凹状に形成された凹部を有するもの、一方に形成された孔部と他方に凸状に形成され孔部に嵌合される凸部を有するもの、互いに係合する切り欠き部を有するもの等が用いられる。凹部としては、当接する構造部材の端部や接合面に形成された凸部を遊嵌できる大きさであればよく、深さが5mm〜30mm、好ましくは10mm〜20mmに形成される。深さが10mmより浅いと構造部材の上部積載荷重を保持部のせん断耐力に負担させることができず、20mmより深くなるにつれて凹部を形成した構造部材の機械的強度が低下するので好ましくない。
【0018】
本発明の請求項8に記載の構造部材の接合方法は、所定の接合面で接合される各構造部材に、請求項1乃至5の内いずれか1項に記載された接合具の前記埋設部材及び前記ボルト挿通部材が各々螺着される埋設部材挿通孔及びボルト挿通部材貫通孔を形成する挿入部形成工程と、前記埋設部材挿通孔及び前記ボルト挿通部材貫通孔に前記埋設部材及び前記ボルト挿通部材を螺着する接合具装着工程と、請求項1乃至5の内いずれか1項に記載された接合具の固定ボルトを前記ボルト挿通部材の前記ボルト貫通孔から挿入し前記埋設部材の前記螺着用雌ねじ部と螺着して前記構造部材同士を接合する固定工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)各構造部材に埋設部材挿通孔及びボルト挿通部材貫通孔を形成し、埋設部材及びボルト挿通部材を螺着後、固定ボルトをボルト挿通部材のボルト貫通孔から挿入し埋設部材の螺着用雌ねじ部と螺着するだけで、2以上の構造部材に接合具を固定して構造部材同士を接合することができ、構造部材の接合作業性を向上できる。
(2)構造部材を順に組み立てていくことができ、建設現場で直接各構造部材の接合ができる。
【0019】
ここで、埋設部材挿通孔やボルト挿通部材貫通孔は、現場でドリル等で穿孔や切削するか、又は、工場でプレカット方式等で予め形成してもよい。
埋設部材及びボルト挿通部材が螺着された埋設部材挿通孔やボルト挿通部材貫通孔はストレート孔であるが、開口部には埋設部材挿通孔やボルト挿通部材貫通孔より大径の凹状部を形成することが望ましい。これにより、埋設部材、ボルト挿通部材及び固定ボルトの締付頭部を凹状部において工具に係合して締め付けることができ、構造部材の接合面を密着させて強固に接合できると共に、外壁面に固定ボルトの締付頭部が突出するのを防止できる。
尚、埋設部材挿通孔やボルト挿通部材貫通孔の開口側に埋設材を埋設してもよい。これにより、固定ボルトの締付頭部が表面に露出するのを防止でき、特に、火災時等に構造部材の炭化皮膜により接合具を火災の高温から守ることができ安全性を向上することができる。また、埋設材を構造部材の外周壁面と略面一にすることにより、構造部材の外観を向上できる。さらに、固定ボルトの締付頭部を埋設材で構造部材内に埋設しているので、接合具に外部の熱が伝わるのを防止でき、外部の熱が接合具を介して構造部材の内部に伝わるのを防止できる。
また、工場で埋設部材挿通孔及びボルト挿通部材貫通孔を形成する挿入部形成工程を行うと共に、埋設部材挿通孔及びボルト挿通部材貫通孔に埋設部材及びボルト挿通部材を螺着する接合具装着工程を行ってもよい。これにより、建設現場では固定ボルトをボルト挿通部材のボルト貫通孔から挿入し埋設部材の螺着用雌ねじ部と螺着して構造部材同士を接合する固定工程のみを行えばよく、作業性を向上できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1、2)
本発明の実施の形態1における接合具について、以下図面を用いて説明する。
図1(a)は実施の形態1における埋設部材の一部破断全体側面図、図1(b)は実施の形態1における埋設部材の正面図、図1(c)は実施の形態1における埋設部材のA−A線断面図であり、図2(a)は実施の形態1におけるボルト挿通部材の全体側面図、図2(b)は実施の形態1におけるボルト挿通部材の背面図、図2(c)は実施の形態1におけるボルト挿通部材のB−B線断面図であり、図3は実施の形態1における固定ボルトの全体側面図である。
図1中、1は実施の形態1におけるステンレス等の金属製の埋設部材、1aは埋設部材1の一端部に六角形や四角形状に形成された締付頭部、1bは埋設部材1の断面が円形状の埋設胴部、1cは埋設胴部1bの外周に形成した雄ねじ部、1dは埋設胴部1bの先端側外周に形成されたストレート部、1eは締付頭部1aから埋設胴部1bの軸芯部の長手方向と平行に穿孔形成された螺着用雌ねじ部、1fは雄ねじ部1cのねじ山がテーパ状に形成されたテーパねじ部、1gは雄ねじ部1cのねじ山に埋設胴部1bの長手方向と平行に形成された断面が円弧状の溝である。
図2中、2は実施の形態1におけるステンレス等の金属製やFRP、FRTP等の合成樹脂で中空状に形成されたボルト挿通部材、2aはボルト挿通部材2の一端部に六角形や四角形状に形成された締付頭部、2bはボルト挿通部材2の断面が円形状の中空胴部、2cは中空胴部2bの外周に形成された雄ねじ部、2dは中空胴部2bの他端部外周に形成されたストレート部、2eは中空胴部2bの軸芯に長手方向と平行に貫通したボルト貫通孔、2fは雄ねじ部2cのねじ山がテーパ状に形成されたテーパねじ部、2gは雄ねじ部2cのねじ山に中空胴部2bの長手方向と平行に形成された断面が台形状の溝である。
図3中、3は実施の形態1におけるステンレス等の金属製の固定ボルト、3aは固定ボルト3の一端部に六角形や四角形状に形成された締付頭部、3bは他端部外周に形成された螺着用雄ねじ部、3cは固定ボルト3に緩嵌された座金である。
【0021】
ここで、実施の形態1では、ボルト挿通部材2のボルト貫通孔2eは、中空胴部2bの外径の0.2倍〜0.9倍の大きさで形成されている。ボルト貫通孔が中空胴部の外径の0.2倍より小さくなるにつれ、ボルト貫通孔に挿通される固定ボルトの外径も小さくなり、固定ボルトの剪断力が低下し接合具を構造部材に挿着した際の剛性が低下する傾向があり、また、ボルト貫通孔が中空胴部の外径の0.9倍より大きくなるにつれ、中空胴部に形成されるボルト貫通孔が大きくなるため中空胴部の剪断力が低下し中空胴部の強度が低下する傾向がある。
また、ストレート部1d、2dの長さはそれぞれ埋設部材1及びボルト挿通部材2の全長の1/10倍〜1/6倍に形成されている。ストレート部1d、2dの長さが全長の1/10倍より短いと埋設部材挿通孔又はボルト挿通部材貫通孔に沿ってガイドすることができず、1/6倍より長いと雄ねじ部の長さが必要量確保できなくなる危険性があり好ましくない。
ねじ山のテーパねじ部1f、2fの長さはそれぞれ雄ねじ部1c、2cの全長の約1/14倍〜1/8倍に形成されている。ねじ山のテーパねじ部1f、2fの長さが雄ねじ部1c、2cの全長の1/14倍より短いとテーパ角度が急角度になり真っ直ぐに入り難くなって作業性が悪く、1/8倍より長いと雄ねじ部1c、2cの有効長さが短くなって構造部材との接合力が小さくなる傾向がある。
さらに、雄ねじ部1c、2cのねじ山のピッチは8〜12mm、ねじ山の最大高さは約3〜5mmに形成されている。雄ねじ部1c、2cのねじ山のピッチが8mmよりも小さいとねじ込み時の送り量が少なくなって作業性が悪くなり、12mmよりも大きいとねじ込み時のトルクが大きくなり過ぎて作業性が悪くなる傾向がある。また、雄ねじ部1c、2cのねじ山の最大高さが3mmよりも小さいと構造部材との接合力が小さくなり、7mmより大きいと、ねじ込み時のトルクが大きくなり過ぎて作業性が悪くなる傾向がある。
雄ねじ部1c、2cのねじ山に部材の長手方向と平行に形成された溝1g、2gの最大幅は、雄ねじ部1c、2cの外径の9/20倍〜12/20倍に形成されている。溝1g、2gの最大幅が雄ねじ部1c、2cの外径の9/20倍より小さいと、切削性が悪く、ねじ込みに要するトルクが大きくなって作業性が悪くなり、12/20倍より大きいと構造部材との引抜きに対する抵抗が小さくなる傾向がある。
雄ねじ部1c、2cのねじ山に部材の長手方向と平行に形成された溝1g、2gの長さは雄ねじ部1c、2cの全長の約1/4倍〜1倍に形成されている。溝1g、2gの長さが雄ねじ部1c、2cの全長の約1/4倍より短いと、切削性が悪く、ねじ込みに要するトルクが大きくなって作業性が悪くなる傾向がある。
また、溝1g、2gの最大深さはねじ山の高さと同じに形成されている。これにより確実に切削屑を排出し、容易に雌ねじを自削形成することができる。
固定ボルト3は、一端部に形成した雄ねじ部3cを除く部分の断面が略円形であるが、略楕円形、三角形や四角形、六角形等の略多角形状に形成してもよい。
更に、固定ボルト3の締付頭部1cの端面はドライバー等の工具が係合される−状や+状に切欠形成したものを用いてもよい。
【0022】
以上のように形成された実施の形態1の接合具を用いて、以下、実施の形態2における木造建築物の構造部材の仕口接合構造について、図面を用いて説明する。尚、実施の形態1と同様のものには同一の符号を付して説明を省略する。
図4(a)は実施の形態2における構造部材の仕口接合構造を示す全体正面図、図4(b)は図4(a)におけるC−C線断面側面図である。
図4(a)中、11は両端面で接合された木造建造物の梁や桁等の横架構造部材、12は一側面に横架構造部材11が接合された木造建造物の柱等の縦構造部材である。
図4(b)において、横架構造部材11には4ヵ所の埋設部材挿通孔14aを穿孔している。埋設部材挿通孔14aの位置は横架構造部材11の外周壁面から内側に埋設部材1の埋設胴部1bの外径の1.1倍〜6倍の位置に形成している。これは、縦構造部材12についても同じ同様である。埋設部材挿通孔やボルト挿通部材貫通孔が、構造部材の外周壁面から埋設部材及びボルト挿通部材の外径の1.1倍より小さい位置になるにつれ構造部材に大きな外力がかかった際に構造部材の端部や表面が破損する傾向があり、6倍より大きい位置になるにつれ構造部材に形成できる接合具挿入部の数が減少し構造部材同士の接合力を向上させ難い傾向がある。
【0023】
図5は実施の形態2における構造部材間の仕口接合構造を示す要部断面側面図である。
図5中、1は埋設部材、2はボルト挿通部材、3は固定ボルト、11は一端面で接合された木材や集成材等からなる木造建造物の梁や桁等の横架構造部材、11aは横架構造部材11の接合面、12は一側面に横架構造部材11が接合された木材や集成材等からなる木造建造物の柱等の縦構造部材、12aは縦構造部材12の一側面で横架構造部材11が接合される縦構造部材12の接合面、12bは縦構造部材12の接合面12aと対向する外壁面、13は縦構造部材12の側面に凹状に形成され横架構造部材11の端部が嵌合された保持部、14aは横架構造部材11の接合面11aの4ヵ所に所定深さ穿孔された断面円形状の埋設部材挿通孔、14bは縦構造部材12の接合面12aの4ヵ所に穿孔された断面円形状のボルト挿通部材貫通孔、14cは埋設部材挿通孔14a及びボルト挿通部材貫通孔14bの端部に締付頭部1a、2aの最大径よりも大きい径でかつ深さが締付頭部1a、2aの長さと略同一に形成された大径凹部、15は大径凹部14cに埋設され表面が縦構造部材12の外壁面12bと略面一に形成された埋設材である。
【0024】
ここで、実施の形態2では横架構造部材11や縦構造部材12に埋設部材挿通孔14a及びボルト挿通部材貫通孔14bを4ヵ所形成しているが、横架構造部材11や縦構造部材12の大小、埋設部材1やボルト挿通部材2の大小及び圧縮、引張り強度の大小等に応じて1以上の任意の数形成され、使用本数が任意に調整される。使用本数が多い場合、接合具にかかる荷重を分散させることができるとともに、接合具を小型化することができ横架構造部材11や縦構造部材12の断面欠損を減少させることができる。
埋設部材挿通孔14a及びボルト挿通部材貫通孔14bはストレート孔であるが、端部には大径凹部14cを形成している。これにより、接合具の締付頭部1a、2a、3aをトルクレンチなどの工具で係合して容易に締付作業ができる。
また、縦構造部材12の接合面12aには凹状に形成され横架構造部材11の接合面11aが嵌合される保持部13を深さ10mm〜20mmで形成している。保持部13の深さが10mmより浅いと、横架構造部材11や縦構造部材12の上部積載荷重を保持部のせん断耐力に負担させることができず、20mmより深くなるにつれて凹部を形成した構造部材の機械的強度が低下するので好ましくない。
【0025】
以上のように構成された実施の形態2の構造部材の仕口接合構造について、以下その接合方法を説明する。
まず、挿入部形成工程において、横架構造部材11、縦構造部材12の各接合面11a、12aに大径凹部14cを形成すると共に、埋設部材挿通孔14a、ボルト挿通部材貫通孔14bを穿孔して形成する。
次に、接合具装着工程において、横架構造部材11及び縦構造部材12の埋設部材挿通孔14a及びボルト挿通部材貫通孔14bにそれぞれ埋設部材1及びボルト挿通部材2を挿通しながら螺着する。
次に、固定工程において、縦構造部材12の接合面12aに凹状に形成された保持部13に横架構造部材11の接合面11aを嵌合し、縦構造部材12の外壁面12bから固定ボルト3をボルト挿通部材2のボルト貫通孔2eから挿入し、埋設部材1の螺着用雌ねじ部1eと螺着固定して横架構造部材11と縦構造部材12を接合する。
尚、以上の工程の内、挿入部形成工程と接合具挿着工程は予め工場などで行い、現場では固定工程のみを行うようにしてもよい。これにより、現場での作業性が向上する。
また、接着剤などによる接着固定をしていないので、横架構造部材11や縦構造部材12の木痩せ等により接合部がガタついた際には、レンチ等の工具を固定ボルト3の締付頭部1cに係合して締め増しを行うこともできる。さらに、容易に解体して構造部材や接合具を再利用することもできる。
なお、本発明の実施の形態2は、横架構造部材11の端面を縦構造部材12の側面に接合する構造であるが、本発明の実施の形態1における接合具を用いれば、土台と柱のように縦構造部材12の端面を横架構造部材11の側面に接合する構造も可能である。
【0026】
以上のように実施の形態1における接合具及びそれを用いた実施の形態2における構造部材の接合構造並びに接合方法によれば、以下の作用を有する。
(1)外周面に雄ねじ部が形成された棒状の埋設胴部又は中空胴部に螺着用雌ねじ部又はボルト貫通孔を形成し、端部に締付頭部を形成するだけで埋設部材又はボルト挿通部材を形成でき、構造が簡単で部品点数が少ないため接合具の生産性を向上でき、また、要求される構造部材の接合強度に応じて埋設部材及びボルト挿通部材の長さや直径等を容易に変更することができ、汎用性に優れる。
(2)埋設部材及びボルト挿通部材の一端に締付頭部を有しているので、締付頭部を用いて構造部材にねじ込むことができ、構造部材同士の接合が容易にできる。
(3)埋設部材及びボルト挿通部材の外周面に雄ねじ部が形成されているので、埋設部材及びボルト挿通部材を構造部材に螺着した際に、外周面のねじ山を構造部材にねじ込むことができ、その結果、埋設部材及びボルト挿通部材と構造部材を高い引き抜き力や剪断力で螺着することができ、構造部材同士を高い接合力で剛接合することができる。
(4)埋設部材及びボルト挿通部材を構造部材に直接螺着するので、埋設部材及びボルト挿通部材の外周面を構造部材に密接させることができ、特に、構造部材が乾燥等により収縮した場合、構造部材が埋設部材及びボルト挿通部材の外周面により密着されるので、構造部材同士をより強固に接合することができ、経年による接合部分の強度の低下を防止できる。
(5)地震などにより接合部に圧縮力が加わった場合、埋設部材及びボルト挿通部材の先端に形設された締付頭部同士が当たるので、圧縮力は埋設部材及びボルト挿通部材の雄ねじ部に伝わり、構造部材に形成されたねじ山とのせん断力となるが、ねじ山のせん断耐力が十分に大きいので、埋設部材及びボルト挿通部材が動くことはなく、構造部材の強固な緊結を保持することができる。
(6)地震などにより接合部に引張り力が加わった場合、その力が固定ボルトを通して埋設部材及びボルト挿通部材の雄ねじ部と構造部材内に形成されたねじ山とのせん断力として伝わるが、ねじ山のせん断耐力が十分に大きいので、埋設部材及びボルト挿通部材が動くことはなく、構造部材の強固な緊結を保持することができる。
(7)埋設部材及び/又は前記ボルト挿通部材の先端の外周がストレート部を有しているので、埋設部材挿通孔及び/又はボルト挿通部材貫通孔に沿って真っ直ぐに挿入し雌ねじを自削形成しながら螺着することができる。
(8)埋設部材及び/又はボルト挿通部材の外周雄ねじ部の先端部のねじ山がテーパ状に形成されていることにより、いきなり最大径のねじ山が埋設部材挿通孔及び/又はボルト挿通部材貫通孔に掛かることがなく、ねじ山の先端部から少しずつ埋設部材挿通孔及び/又はボルト挿通部材貫通孔にねじ込まれるので、無理な力をかけずに真っ直ぐに挿入することができる。
(9)埋設部材及び/又はボルト挿通部材の外周雄ねじ部のねじ山に溝が形成されているので、締め付けに要するトルクを減少させて、容易に雌ねじを自削形成することができる。
(10)構造部材に埋設部材挿通孔及びボルト挿通部材貫通孔を形成し、埋設部材及びボルト挿通部材を螺着後、固定ボルトをボルト挿通部材のボルト貫通孔から挿入し埋設部材の螺着用雌ねじ部と螺着するだけで、構造部材と結合具を密接に接合することができ、構造部材の接合作業性を向上できる。
(11)機械的強度が著しく高い接合具を各構造部材に埋設して構造部材同士を強固に接合しているので、構造部材の曲げ、引張り、圧縮、剪断等に対する抵抗力を向上できる。
(12)構造部材同士の接合部分が、接合具と強固に固定されたラーメン構造となるので、耐力壁や筋交いを使用することなく建築物の間口(スパン)を著しく広げることができ、柱の無い空間を得ることができる。
(13)接合構造を解体する場合は、固定ボルトを緩めるだけで接合部の接合を解放できるので、構造部材や接合具を有効に再度利用することができ省資源性に優れる。
(14)構造部材同士を保持部で係合させて保持することができるので、接合する構造部材の接合面を容易に位置合わせすることができ、構造部材に形成された埋設部材挿通孔やボルト挿通部材貫通孔を確実に連通させて接合することができる。
(15)構造部材の上部積載荷重を保持部のせん断耐力によって負担させることができるので、埋設部材やボルト挿通部材にはせん断荷重が働かず、接合部の安全性を更に高めることができる。
(16)埋設材を埋設することにより、固定ボルトの締付頭部が表面に露出するのを防止でき、特に、火災時等に構造部材の炭化皮膜により接合具を火災の高温から守ることができ、さらに接合具に外部の熱が伝わるのを防止して、外部の熱が接合具を介して構造部材の内部に伝わるのを防止して安全性を向上すると共に、埋設材を構造部材の外周壁面と略面一にすることにより、構造部材の外観を向上できる。
【0027】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3における接合具について、以下図面を用いて説明する。
図6(a)は実施の形態3における埋設部材の全体側面図、図6(b)は実施の形態3における埋設部材の正面図、図6(c)は図6(a)におけるD−D線断面側面図である。
図6中、21は実施の形態1におけるステンレス等の金属製の埋設部材、21aは埋設部材21の一端部に六角形や四角形状に形成された締付頭部、21bは埋設部材21の断面が円形状の埋設胴部、21cは埋設胴部21bの外周に形成された雄ねじ部、21dは埋設胴部21bの他端部に形成されたテーパ部、21eは埋設胴部21bの軸芯部の長手方向に形成された螺着用雌ねじ部、21gは雄ねじ部21c及びテーパ部21dのねじ山に埋設胴部21bに螺旋状に形成された溝である。
図6において、埋設部材21が実施の形態1における埋設部材1と異なるのは、埋設胴部21bの締付頭部21aと反対側の先端部にテーパ部21dを形成した点と埋設胴部21bのねじ山に形成された溝が螺旋状である点である。
以上のように構成された実施の形態3における接合具によれば、実施の形態1及び2の作用に加え、以下の作用を有する。
(1)埋設部材の埋設胴部の締付頭部と反対側の先端部にテーパ部を形成したことにより、埋設部材を軽量化すると共に、螺着時のトルクを減少させてねじ込み作業を容易にし、構造部材との接合力を向上させることができる。
(2)溝を螺旋状に形成することにより、雌ねじの自削性が向上し、ねじ込みに要するトルクを減少させ、発生する切削屑を回転と共に自動的に手前に送り出す性能が高まって、小さな力でねじ込むことができるので、作業性の向上を図ることができる。
【0028】
【発明の効果】
以上のように本発明における接合具によれば、以下の優れた効果を実現できる。請求項1に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)梁と柱等の横架構造部材や縦構造部材の構造部材同士を接合する際に、各構造部材の埋設部材挿通孔とボルト挿通部材貫通孔にそれぞれ埋設部材と構縦造部材用接合具をねじ込んで螺着し、固定ボルトと埋設部材を螺着することにより、構造部材同士を密着させ、確実に接合できる信頼性、耐久性に優れた接合具を提供することができる。
(2)外周面に雄ねじ部が形成された棒状の埋設胴部又は中空胴部に螺着用雌ねじ部又はボルト貫通孔を形成し、端部に締付頭部を形成するだけで埋設部材又はボルト挿通部材を形成でき、構造が簡単で、また、要求される構造部材の接合強度に応じて接合具胴部の長さや直径等を容易に変更することができる生産性、汎用性に優れた接合具を提供することができる。
(3)埋設部材及びボルト挿通部材の一端に締付頭部を有しているので、締付頭部を用いて埋設部材及びボルト挿通部材を構造部材にねじ込むことができ、構造部材同士の接合が容易にできる施工性、信頼性に優れた接合具を提供することができる。
(4)埋設部材及びボルト挿通部材の外周面に雄ねじ部が形成されているので、埋設部材及びボルト挿通部材を構造部材に螺着した際に、外周面のねじ山を構造部材にねじ込むことができ、その結果、埋設部材及びボルト挿通部材と構造部材を高い引き抜き力や剪断力で螺着することができ、構造部材同士を高い接合力で剛接合することができる信頼性に優れた接合具を提供することができる。
(5)埋設部材及びボルト挿通部材を構造部材に直接螺着するので、埋設部材及びボルト挿通部材の外周面を構造部材に密接させることができ、特に、構造部材が乾燥等により収縮した場合、構造部材が埋設部材及びボルト挿通部材の外周面により密着されるので、構造部材同士をより強固に接合することができ、経年による接合部分の強度の低下を防止できる信頼性、耐久性に優れた接合具を提供することができる。
(6)地震などにより接合部に圧縮力が加わった場合、埋設部材及びボルト挿通部材の先端に形設された締付頭部同士が当たるので、圧縮力は埋設部材及びボルト挿通部材の雄ねじ部に伝わり、横架構造部材や縦構造部材に形成されたねじ山とのせん断力となるが、ねじ山のせん断耐力が十分に大きいので、埋設部材及びボルト挿通部材が動くことはなく、構造部材の強固な緊結を保持することができる安全性、耐久性に優れた接合具を提供することができる。
(7)地震などにより接合部に引張り力が加わった場合、その力が固定ボルトを通して埋設部材及びボルト挿通部材の雄ねじ部と構造部材内に形成されたねじ山とのせん断力として伝わるが、ねじ山のせん断耐力が十分に大きいので、埋設部材及びボルト挿通部材が動くことはなく、構造部材の強固な緊結を保持することができる安全性、耐久性に優れた接合具を提供することができる。
【0029】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)埋設部材及び/又は前記ボルト挿通部材の先端の外周がストレート部を有しているので、埋設部材挿通孔及び/又はボルト挿通部材貫通孔に沿って真っ直ぐに挿入し雌ねじを自削形成しながら螺着することができる施工性、信頼性に優れた接合具を提供することができる。
【0030】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)埋設部材及び/又はボルト挿通部材の外周雄ねじ部の先端部のねじ山がテーパ状に形成されていることにより、いきなり最大径のねじ山が埋設部材挿通孔及び/又はボルト挿通部材貫通孔に掛かることがなく、ねじ山の先端部から少しずつ埋設部材挿通孔及び/又はボルト挿通部材貫通孔にねじ込まれるので、無理な力をかけずに真っ直ぐに挿入することができる施工性、信頼性に優れた接合具を提供することができる。
【0031】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)埋設部材及び/又はボルト挿通部材の外周雄ねじ部のねじ山に溝が形成されているので、締め付けに要するトルクを減少させて、容易に雌ねじを自削形成することができる施工性に優れた接合具を提供することができる。
(2)溝の本数を増やすことにより、さらにトルクを減少させると共に、切削屑の排出性が向上して、容易に構造部材との螺着を行うことができる施工性に優れた接合具を提供することができる。
【0032】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1項の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)溝を螺旋状に形成することにより、雌ねじの自削性が向上し、ねじ込みに要するトルクを減少させ、発生する切削屑を回転と共に自動的に手前に送り出す性能が高まって、小さな力でねじ込むことができるので、作業性の向上を図ることができる施工性に優れた接合具を提供することができる。
【0033】
本発明における接合具を用いた構造部材の仕口接合構造によれば、以下の優れた効果を実現できる。
請求項6に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)構造部材の接合面に穿孔された埋設部材挿通孔及びボルト挿通部材貫通孔に埋設部材及びボルト挿通部材を螺着すると共に、ボルト挿通部材のボルト貫通孔から固定ボルトを挿入し、固定ボルトの螺着用雄ねじ部と埋設部材に形成された螺着用雌ねじ部を螺着固定することにより、構造部材と接合具が密接に接合された剛接合とすることができる接合強度、耐震性に優れた構造部材の仕口接合構造を提供することができる。
(2)機械的強度が著しく高い接合具を各構造部材に埋設して構造部材同士を強固に接合しているので、構造部材の曲げ、引張り、圧縮、剪断等に対する抵抗力を向上できる接合強度、耐震性に優れた構造部材の仕口接合構造を提供することができる。
(3)構造部材同士の接合部分が、接合具と強固に固定されたラーメン構造となるので、耐力壁や筋交いを使用することなく建築物の間口(スパン)を著しく広げることができ、柱の無い空間を得ることができる作業性、接合強度、耐震性に優れた構造部材の仕口接合構造を提供することができる。
(4)埋設部材挿通孔やボルト挿通部材貫通孔を複数形成し、複数の接合具で構造部材を接合した場合、接合部の接合力を向上できるとともに、接合面積の大きな構造部材でも複数の接合具で接合することができ、構造部材の大きさに応じて接合具の本数を調整することで多様な設計に対応することができる汎用性、接合強度、耐震性に優れた構造部材の仕口接合構造を提供することができる。
(5)接合構造を解体する場合は、固定ボルトを緩めるだけで接合部の接合を解放できるので、構造部材や接合具を有効に利用することができる作業性、省資源性に優れた構造部材の仕口接合構造を提供することができる。
【0034】
請求項7に記載の発明によれば、請求項6の効果に加え、以下のような効果を有する。
(1)構造部材同士を保持部で係合させて保持することができるので、接合する構造部材の接合面を容易に位置合わせすることができ、構造部材に形成された埋設部材挿通孔やボルト挿通部材貫通孔を確実に連通させて接合することができる作業性、信頼性に優れた構造部材の仕口接合構造を提供することができる。
(2)構造部材の上部積載荷重を保持部のせん断耐力によって負担させることができるので、埋設部材やボルト挿通部材にはせん断荷重が働かず、接合部の安全性を更に高めることができる安全性、信頼性に優れた構造部材の仕口接合構造を提供することができる。
【0035】
本発明における接合具を用いた構造部材の接合方法によれば、以下の優れた効果を実現できる。
請求項8に記載の発明によれば、以下のような効果を有する。
(1)構造部材に埋設部材挿通孔及びボルト挿通部材貫通孔を形成し、埋設部材及びボルト挿通部材を螺着後、固定ボルトをボルト挿通部材のボルト貫通孔から挿入し埋設部材の螺着用雌ねじ部と螺着するだけで、2以上の構造部材に接合具を固定して構造部材同士を接合することができ、構造部材の接合作業性を向上できる作業性、信頼性に優れた接合方法を提供することができる。
(2)構造部材を順に組み立てていくことができ、建設現場で直接各構造部材の接合ができる作業性、信頼性に優れた接合方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)実施の形態1における埋設部材の全体側面図
(b)実施の形態1における埋設部材の正面図
(c)図1(a)におけるA−A線断面図
【図2】(a)実施の形態1におけるボルト挿通部材の一部破断全体側面図
(b)実施の形態1におけるボルト挿通部材の背面図
(c)図2(a)におけるB−B線断面図
【図3】実施の形態1における固定ボルトの全体側面図
【図4】(a)実施の形態2における構造部材の仕口接合構造を示す全体正面図
(b)図4(a)におけるC−C線断面側面図
【図5】実施の形態2における構造部材間の仕口接合構造を示す要部断面側面図
【図6】(a)実施の形態3における埋設部材の全体側面図
(b)実施の形態3における埋設部材の正面図
(c)図6(a)におけるD−D線断面図
【符号の説明】
1 埋設部材
1a、2a、3a 締付頭部
1b 埋設胴部
1c、2c 雄ねじ部
1d、2d ストレート部
1e 螺着用雌ねじ部
1f、2f テーパねじ部
1g、2g 溝
2 ボルト挿通部材
2b 中空胴部
2e ボルト貫通孔
3 固定ボルト
3b 螺着用雄ねじ部
3c 座金
11 横架構造部材
12 縦構造部材
11a、12a 接合面
12b 外壁面
13 保持部
14a 埋設部材挿通孔
14b ボルト挿通部材貫通孔
14c 大径凹部
15 埋設材
21 埋設部材
21a 締付頭部
21b 埋設胴部
21c 雄ねじ部
21d テーパ部
21e 螺着用雌ねじ部
21g 溝

Claims (8)

  1. a.一端部に締付頭部を有した埋設胴部と、前記埋設胴部の外周面に形成された雄ねじ部と、前記埋設胴部の前記締付頭部側の端面から軸芯に長手方向と平行に形成された螺着用雌ねじ部と、を有する埋設部材と、
    b.一端部に締付頭部を有した中空胴部と、前記中空胴部の外周面に形成された雄ねじ部と、前記締付頭部及び前記中空胴部の軸芯に長手方向と平行に形成されたボルト貫通孔と、を有するボルト挿通部材と、
    c.一端部に形成された締付頭部と、他端部に形成された螺着用雄ねじ部と、を有する固定ボルトと、
    を備えていることを特徴とする接合具。
  2. 前記埋設部材及び/又は前記ボルト挿通部材の前記締付頭部と反対側の先端外周面がストレート部を有することを特徴とする請求項1に記載の接合具。
  3. 前記埋設部材及び/又は前記ボルト挿通部材の前記締付頭部と反対側の前記雄ねじ部先端のねじ山がテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接合具。
  4. 前記埋設部材及び/又は前記ボルト挿通部材の前記雄ねじ部のねじ山に部材長手方向と平行に1以上の溝が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の接合具。
  5. 前記埋設部材及び/又は前記ボルト挿通部材の前記雄ねじ部のねじ山に螺旋状に形成された1以上の溝を有することを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1項に記載の接合具。
  6. 一の構造部材と、前記一の構造部材の長手方向の端面と外周壁で当接された他の構造部材と、前記一の構造部材の端面に対して長手方向と平行に穿孔された1以上の埋設部材挿通孔と、前記他の構造部材の外周壁から前記一の構造部材の端面に対して貫通され前記埋設部材挿通孔と連通する1以上のボルト挿通部材貫通孔と、前記埋設部材挿通孔に螺着された請求項1乃至5の内いずれか1項に記載された接合具の埋設部材と、前記ボルト挿通部材貫通孔に螺着された請求項1乃至5の内いずれか1項に記載された接合具のボルト挿通部材と、前記ボルト挿通部材のボルト貫通孔から挿入され前記埋設部材の前記螺着用雌ねじ部と螺着された請求項1乃至5の内いずれか1項に記載された接合具の固定ボルトとを有し、前記構造部材同士が接合されていることを特徴とする構造部材の仕口接合構造。
  7. 前記構造部材が接合面に形成されて互いに係合する保持部を有することを特徴とする請求項6に記載の構造部材の仕口接合構造。
  8. 所定の接合面で接合される各構造部材に、請求項1乃至5の内いずれか1項に記載された接合具の前記埋設部材及び前記ボルト挿通部材が各々螺着される埋設部材挿通孔及びボルト挿通部材貫通孔を形成する挿入部形成工程と、前記埋設部材挿通孔及び前記ボルト挿通部材貫通孔に前記埋設部材及び前記ボルト挿通部材を螺着する接合具装着工程と、請求項1乃至5の内いずれか1項に記載された接合具の固定ボルトを前記ボルト挿通部材の前記ボルト貫通孔から挿入し前記埋設部材の前記螺着用雌ねじ部と螺着して前記構造部材同士を接合する固定工程と、を備えていることを特徴とする構造部材の接合方法。
JP2003036633A 2003-02-14 2003-02-14 接合具及びそれを用いた構造部材の仕口接合構造並びに構造部材の接合方法 Pending JP2004244941A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003036633A JP2004244941A (ja) 2003-02-14 2003-02-14 接合具及びそれを用いた構造部材の仕口接合構造並びに構造部材の接合方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003036633A JP2004244941A (ja) 2003-02-14 2003-02-14 接合具及びそれを用いた構造部材の仕口接合構造並びに構造部材の接合方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004244941A true JP2004244941A (ja) 2004-09-02

Family

ID=33021661

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003036633A Pending JP2004244941A (ja) 2003-02-14 2003-02-14 接合具及びそれを用いた構造部材の仕口接合構造並びに構造部材の接合方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004244941A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007002624A (ja) * 2005-06-27 2007-01-11 Kokusai Mokushitsu Bunka Kenkyusho:Kk 建築物構成要素の連結構造及び連結方法
JP2007077611A (ja) * 2005-09-12 2007-03-29 Sumitomo Forestry Co Ltd 木部材接合構造
JP2009084781A (ja) * 2007-09-27 2009-04-23 Yoshikuni Okura 締結具
JP2009102944A (ja) * 2007-10-25 2009-05-14 Yoshikuni Okura 締結具
JP2009127211A (ja) * 2007-11-20 2009-06-11 Yoshikuni Okura 締結具
JP2017057957A (ja) * 2015-09-17 2017-03-23 ソーラーフロンティア株式会社 ビス
CN106894517A (zh) * 2017-02-16 2017-06-27 上海市城市建设设计研究总院(集团)有限公司 复合剪力定位销

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007002624A (ja) * 2005-06-27 2007-01-11 Kokusai Mokushitsu Bunka Kenkyusho:Kk 建築物構成要素の連結構造及び連結方法
JP2007077611A (ja) * 2005-09-12 2007-03-29 Sumitomo Forestry Co Ltd 木部材接合構造
JP4707507B2 (ja) * 2005-09-12 2011-06-22 住友林業株式会社 木部材接合構造
JP2009084781A (ja) * 2007-09-27 2009-04-23 Yoshikuni Okura 締結具
JP2009102944A (ja) * 2007-10-25 2009-05-14 Yoshikuni Okura 締結具
JP2009127211A (ja) * 2007-11-20 2009-06-11 Yoshikuni Okura 締結具
JP2017057957A (ja) * 2015-09-17 2017-03-23 ソーラーフロンティア株式会社 ビス
CN106894517A (zh) * 2017-02-16 2017-06-27 上海市城市建设设计研究总院(集团)有限公司 复合剪力定位销

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20090133359A1 (en) Structural member joints
JP3272840B2 (ja) 接合具、接合具ユニット及びそれを連結させた接合連結具
JP3041271B2 (ja) 木造接合工法
US5560174A (en) Connector
JP2007054344A (ja) フレーム部材と接合具とそれらを用いた構造体
US20060280550A1 (en) Profile connecting system
US5845453A (en) Jointing metal fitting for buildings
JP4546492B2 (ja) 木質構造物における木材接合部の補強構造
JP2004244941A (ja) 接合具及びそれを用いた構造部材の仕口接合構造並びに構造部材の接合方法
JP2007218043A (ja) 木造建築物における接合緊締構造とその金具,柱脚構造とその金具,および柱・梁接合構造とその金具
JP6923984B1 (ja) ラグスクリューボルトの取付け治具及び取付け方法
JP3635520B2 (ja) 木材用接手、及び同接手を用いた木材の接合方法
JP2001355287A (ja) 木造建造物の構造部材の接合構造及びその接合方法
JP4372208B2 (ja) 木材連結補強用継手金物
JP2009062775A (ja) 木造建築構造材の接合・固定方法
JP5557305B2 (ja) 木質材用補強具
JP2001342686A (ja) 接合具及びそれを用いた構造部材の接合構造並びに構造部材の接合方法
JP3103077B2 (ja) 接合具及びそれを用いた柱、梁、桁等の接合装置並びに柱、梁、桁等の接合方法
JP7397546B1 (ja) ラグスクリューボルト
JP7378187B1 (ja) ラグスクリューボルトの取付け治具及び取付け方法
JP2007077629A (ja) 接合金具及びこの接合金具の埋め込み方法
JP2009127211A (ja) 締結具
JP2000129782A (ja) 接合用治具及びそれを用いた構造部材の接合構造並びに構造部材の接合方法
JP4949194B2 (ja) 締結具
CN112236566B (zh) 接合件、接合构造以及接合方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060210

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070910

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070919

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080131