以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
[図面の説明]
図1は、本発明の実施形態に係る複合機10の外観構成を示す斜視図である。図2は、プリンタ部11の内部の主要構成を示す縦断面図である。なお、図2では、複合機10の筐体やスキャナ部12などの構成が省略されている。図3は、プラテン42の外観構成を示す上面側から視た斜視図である。図4は、プラテン42の外観構成を示す下面側から視た斜視図である。図5は、第1プレート51及び第2プレート52の外観構成を示す上面側から視た斜視図である。図6は、第1プレート51及び第2プレート52の外観構成を示す下面側から視た斜視図である。図7(A)は、棒材65の上面図であり、図7(B)は、棒材65の正面図である。図8は、第1姿勢における棒材65,75を示す上面図である。図9は、第2姿勢における棒材65,75を示す上面図である。なお、図8及び図9においては、一部の棒材65,75のみが示されている。図10(A)は、図8におけるXA−XA切断線の断面図であり、図10(B)は、図9におけるXB−XB切断線の断面図である。図11は、プラテン120の外観構成を示す上面側から視た斜視図である。図12は、プラテン120の外観構成を示す下面側から視た斜視図である。図13は、第1プレート131及び第2プレート132の外観構成を示す上面側から視た斜視図である。図14は、第1プレート131及び第2プレート132の外観構成を示す下面側から視た斜視図である。図15は、第3基部143及び棒材147の外観構成を示す斜視図である。図16は、第1姿勢における棒材147,163を示す上面図である。図17は、第2姿勢における棒材147,163を示す上面図である。
[第1実施形態]
以下に、本発明の第1実施形態に係る複合機10が説明される。
<複合機10の概略構成>
複合機10は、本発明に係るインクジェット記録装置の一実施態様である。図1に示されるように、複合機10は、プリンタ部11とスキャナ部12とを一体的に備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device)であり、プリント機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能を有する。複合機10の下側にプリンタ部11が配置され、上側にスキャナ部12が配置されている。本発明に係るインクジェット記録装置は、主にプリンタ部11によって実現されている。つまり、スキャナ部12は任意の構成であり、本発明に直接関連しないので本明細書においては詳細な説明が省略される。
プリンタ部11は、スキャナ部12で読み取られた画像データや外部入力された記録データに基づいて、被記録媒体としての記録用紙などに画像や文書を記録する。プリンタ部11の正面側には、開口13が形成されている。なお、図1において左手前側が複合機10の正面側である。開口13を通じて、給紙トレイ20及び排紙トレイ21が外部へ露出されている。
複合機10の正面上部には操作パネル14が設けられている。操作パネル14には、各種キーや液晶ディスプレイが配置されている。複合機10は、操作パネル14において入力された指示信号や、コンピュータからプリンタドライバ又はスキャナドライバを介して送信された指示信号に基づいて動作される。例えば、縁有り記録モードや縁なし記録モードの選択は、操作パネル14から入力される。
[プリンタ部11の内部構成]
以下に、プリンタ部11の内部構成がされる。
図2に示されるように、給紙トレイ20及び排紙トレイ21は、給紙トレイ20を下側にして上下2段に配置されている。給紙トレイ20及び排紙トレイ21には記録用紙が保持される。給紙トレイ20及び排紙トレイ21には、A4サイズ以下のB5サイズ、はがきサイズ等の各種サイズの記録用紙が、複数枚が積層された状態で保持され得る。
給紙トレイ20の奥側に分離板22が設けられている。分離板22は、給紙トレイ20に保持された記録用紙と当接する面が、装置奥側(図2における左側)へ傾倒されている。分離板22には記録用紙側へ突出する鋸形状の歯が設けられている。この歯によって、給紙トレイ20から給送された記録用紙が1枚毎に分離されて、搬送路23へ案内される。
搬送路23は、後述される給紙ローラ25、搬送ローラ46及び排紙ローラ48とともに、本発明に係る搬送機構の主要構成をなす。図2に示されるように、搬送路23は、分離板22から上方へ向かった後、複合機10の正面側(図2における右側)へ曲がって延び、排紙トレイ21へ通じている。図2における矢印101はプラテン42における記録用紙の搬送向き(以下、「搬送向き101」とも称される。)を示している。排紙トレイ21より搬送向き101の上流側には、画像記録ユニット24が配置されている。給紙トレイ20から搬送路23へ給送された記録用紙は、搬送路23に案内されて下方から上方へUターンして、画像記録ユニット24へ至る。その記録用紙は、画像記録ユニット24により画像記録が行われた後、排紙トレイ21へ排出される。
図2に示されるように、給紙ローラ25は、給紙トレイ20に対向して設けられている。給紙ローラ25は、スイングアーム26の先端側に回転可能に支持されている。スイングアーム26は、水平方向に延出された軸30を回動軸として配設されている。スイングアーム26は軸30を中心として揺動可能であり、この揺動に伴って給紙ローラ25が給紙トレイ20と接離可能に上下動する。
スイングアーム26は、自重により又はバネ等に付勢されて給紙トレイ20に接触するように下側へ回動されている。スイングアーム26は、給紙トレイ20の挿抜の際に上側へ退避する。スイングアーム26が下側へ回動すると、その先端側の給紙ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙と接触する。
給紙ローラ25は、不図示のモータから駆動伝達されて回転する。給紙トレイ20上の記録用紙は、給紙ローラ25の回転を受けて分離板22側へ送り出され、1枚毎に分離されて搬送路23へ供給される。
搬送路23は、画像記録ユニット24等が配設されている箇所以外は、所定間隔で対向する外側ガイド面と内側ガイド面とから構成されている。例えば、複合機10の背面側の搬送路23の湾曲部は、ガイド部材18,19が所定間隔で対向されて装置フレームに固定されることにより構成されている。
搬送路23の湾曲部より搬送向き101の下流側には、画像記録ユニット24が設けられている。画像記録ユニット24は、記録ヘッド39を搭載して往復動するキャリッジ38と、プラテン42とを備えている。図2において、キャリッジ38が往復動する方向は紙面と垂直な方向である。
図2には示されていないが、記録ヘッド39には、各インクカートリッジからインクチューブを通じてシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(Bk)の各色インクが供給される。各インクカートリッジは、複合機10内に記録ヘッド39とは独立に配置されているが、図2には示されていない。同様に、インクチューブも図2には示されていない。キャリッジ38が往復動される間に、記録ヘッド39から各色インクが微小なインク滴として選択的に吐出されることにより、プラテン42上を搬送される記録用紙に画像記録が行われる。記録ヘッド39からのインク滴の吐出は、記録モードや記録用紙の大きさなどに基づいて制御される。例えば、縁なし記録モードでは、記録用紙の縁に対応する位置まで記録ヘッド39からインク滴が吐出される。
キャリッジ38は、一対のガイドレール43,44によって支持されている。ガイドレール43,44は、搬送路23の上側において、搬送向き101へ所定距離が隔てられて並行に配置されている。一対のガイドレール43,44は、搬送向き101と直交する水平方向を長手方向として延出された細長な平板である。キャリッジ38は、ガイドレール43,44を跨ぐように載置されている。キャリッジ38は、ガイドレール43,44に対してスライド可能である。
キャリッジ38は、不図示のモータから駆動伝達されてガイドレール43,44の長手方向へスライドされる。モータからキャリッジ38への駆動伝達は、公知のベルト駆動機構によるが、図2では、モータ及びベルト駆動機構が省略されている。
ベルト駆動機構として、例えば、駆動プーリと従動プーリとの間に無端ベルトが架け渡された構成があげられる。駆動プーリはモータから駆動伝達されて回転し、この回転により、ベルトが周運動する。このベルトにキャリッジ38が連結される。したがって、ベルトが周運動すると、キャリッジ38がガイドレール43,44上をスライドする。キャリッジ38のスライドに伴って、記録ヘッド39もスライドされる。キャリッジ38のスライドは、例えばリニアエンコーダのエンコーダ量に基づいて制御される。
記録ヘッド39と対向する搬送路23の下側には、プラテン42が配設されている。プラテン42は、本発明に係るインクジェット記録用プラテンの一実施態様である。プラテン42の詳細な構成は後述される。
画像記録ユニット24より搬送向き101の上流側には、搬送ローラ46が設けられている。搬送ローラ46に対向してピンチローラが設けられているが、図2においては、ピンチローラは他の部材に隠れて現れていない。搬送ローラ46及びピンチローラは、搬送路23を搬送されてる記録用紙を狭持してプラテン42上へ搬送する。搬送ローラ46は、不図示のモータから駆動伝達されて回転される。
画像記録ユニット24より搬送向き101の下流側には、一対の排紙ローラ48及び拍車49が設けられている。排紙ローラ48及び拍車49は、記録済みの記録用紙を狭持して排紙トレイ21へ搬送する。排紙ローラ48は、不図示のモータから駆動伝達されて回転される。搬送ローラ46及び排紙ローラ48の回転は同期されている。搬送ローラ46の回転及び排紙ローラ48の回転は、例えばロータリーエンコーダのエンコーダ量に基づいて制御される。
画像記録において、搬送ローラ46及び排紙ローラ48が、所定の改行幅に対応した回転量だけ間欠駆動される。搬送ローラ46及び排紙ローラ48が停止している間に、キャリッジ38がスライドされる。キャリッジ38がスライドされる間に、記録ヘッド39から選択的にインク滴が吐出される。このインク滴は、プラテン42上の記録用紙に着弾する。そして、再び搬送ローラ46及び排紙ローラ48が、所定の改行幅に対応した回転量だけ駆動される。この動作が繰り返されることにより、記録用紙に画像記録が行われる。
[プラテン42]
以下に、プラテン42の構成が説明される。
図2に示されるように、用紙搬送路23において、記録ヘッド39と対向してプラテン42が配設されている。プラテン42は、キャリッジ38がスライドする範囲のうち、記録用紙が通過する部分に配置されている。
図3に示されるように、プラテン42は平面視が概ね長方形の平板形状である。プラテン42は、その上面に設けられたリブ31,32によって記録用紙を支持する。プラテン42の上面の幅は、プリンタ部11において使用可能な記録用紙の最大幅より十分に幅広である。プラテン42のリブ31,32に支持された記録用紙は、記録ヘッド39との距離を一定として、記録ヘッド39に対向される。そして、記録ヘッド39から吐出されたインク滴が、プラテン42に支持された記録用紙に着弾する。なお、図3に示される矢印102がキャリッジ38がスライドされる方向である(以下、「スライド方向102」とも称される。)。リブ31,32が、本発明における支持部に相当する。
図3から図5に示されるように、プラテン42は、第1プレート51、第2プレート52、駆動機構53及びインク吸収体54,55を主要な構成とする。
図3から図6に示されるように、第1プレート51は、基部61と櫛歯部62とに大別される。基部61は、キャリッジ38のスライド方向102を長手方向とする細長な平板である。この基部61の上面60、すなわち記録ヘッド39側となる面にリブ31が設けられている。リブ31は、搬送向き101に沿って延出された薄肉な部材であり、基部61の上面60から上方へ突出している。基部61には、複数のリブ31が設けられている。各リブ31の形状は同じであり、各リブ31はスライド方向102に沿って所定の間隔で配置されている。各リブ31によって、基部61の上方において記録用紙が一定の高さに支持される。
図5及び図6に示されるように、基部61の長手方向の両端からはロッド63,64が搬送向き101へそれぞれ延出されている。各ロッド63,64は円柱形状であり、後述される姿勢変化に際してガイドの役割を果たす。
基部61においてロッド63,64の間となる縁からは、複数の棒材65が搬送向き101へそれぞれ延出されて櫛歯部62が形成されている。各棒材65は同一形状であるが、詳細な構成は後述される。各棒材65は、スライド方向102へ一定間隔で離間されて並列されている。各棒材65間のピッチは、後述される第2プレート52の櫛歯部72と噛み合うことが可能なように適宜設定される。また、各棒材65は、基部61の上面60とほぼ同じ高さにおいて搬送向き101へ延出されている。
図6に示されるように、基部61の下面66には、櫛歯部62が設けられている縁から、櫛歯部62において相互に隣り合う棒材65の間から搬送向き101と反対向きへ延びるインク誘導溝67が形成されている。インク誘導溝67は断面形状がほぼ矩形状の凹溝であり、基部61の下面66において搬送向き101に沿った方向の中央付近まで延出されている。インク誘導溝67の延出端は、インク吸収体54の配置に応じて設定されている。すなわち、インク吸収体54は、基部61の下面66に接触して配置されており、このインク吸収体54との接触箇所までインク誘導溝67が延出されている。なお、基部61の上面60が本発明における第1面に相当し、下面66が本発明における第2面に相当する。
インク吸収体54は、ウレタンフォームなどに代表されるインクを吸収して保持可能な部材であり、細長な四角柱形状である。インク吸収体54は、その長手方向を第1プレート51の基部61の長手方向と同じとして、基部61の下面66に接触して配置されている。
図3から図6に示されるように、第2プレート52は、基部71と櫛歯部72とに大別される。基部71は、キャリッジ38のスライド方向102を長手方向とする細長な平板である。この基部71の上面70、すなわち記録ヘッド39側となる面にリブ32が設けられている。リブ32は、搬送向き101に沿って延出された薄肉な部材であり、基部71の上面70から上方へ突出している。基部71には、複数のリブ32が設けられている。各リブ32の形状は同じであり、各リブ32はスライド方向102に沿って所定の間隔で配置されている。また、各リブ32は、第1プレート51の基部61に設けられた各リブ31と、搬送向き101に沿って対をなしている。各リブ32によって、基部71の上方において記録用紙が一定の高さに支持される。なお、本実施形態では、第2プレート52の基部71には複数のリブ32が設けられているが、このリブ32は、各々が独立したものではなく、基部71の長手方向に沿って連続した形状、すなわち1本の支持凸形状で形成されていてもよい。
図5及び図6に示されるように、基部71の長手方向の両端からはロッド受け材73,74が搬送向き101と反対向きへそれぞれ延出されている。各ロッド受け材73,74は円筒形状である。各ロッド受け材73,74の内空にはロッド63,64が挿入可能である。各ロッド受け材73,74をそれぞれガイドとして各ロッド63,64が搬送向き101に沿ってスライド可能であり、これらが後述される姿勢変化に際してガイドの役割を果たす。
基部71においてロッド受け材73,74の間となる縁からは、複数の棒材75が搬送向き101と反対向きへそれぞれ延出されて櫛歯部72が形成されている。各棒材75は同一形状であるが、詳細な構成は後述される。各棒材75は、スライド方向102へ一定間隔で離間されて並列されている。各棒材75間のピッチは、前述された第1プレート51の櫛歯部62と噛み合うことが可能なように適宜設定される。また、各棒材75は、基部71の上面70とほぼ同じ高さにおいて搬送向き101と反対向きへ延出されている。
図6に示されるように、基部71の下面76には、櫛歯部72が設けられている縁から、櫛歯部72において相互に隣り合う棒材75の間から搬送向き101へ延びるインク誘導溝77が形成されている。インク誘導溝77は断面形状がほぼ矩形状の凹溝であり、基部71の下面76において搬送向き101に沿った方向の中央付近まで延出されている。インク誘導溝77の延出端は、インク吸収体55の配置に応じて設定されている。すなわち、インク吸収体55は、基部71の下面76に接触して配置されており、このインク吸収体55との接触箇所までインク誘導溝77が延出されている。なお、基部71の上面70が本発明における第1面に相当し、下面76が本発明における第2面に相当する。
図4に示されるように、インク吸収体55は、ウレタンフォームなどに代表されるインクを吸収して保持可能な部材であり、細長な四角柱形状である。インク吸収体55は、その長手方向を第2プレート52の基部71の長手方向と同じとして、基部71の下面76に接触して配置されている。
図3及び図4に示されるように、第1プレート51と第2プレート52とは、櫛歯部62と櫛歯部72とが噛み合って組み合わされている。第1プレート51と第2プレート52とが組み合わされた状態において、第1プレート51の各ロッド63,64が第2プレート52の各ロッド受け材73,74に挿入される。ロッド63,64には、コイルバネ68,69がそれぞれ外嵌されており、各コイルバネ68,69は、第1プレート51の基部61の端面と、各ロッド受け材73,74の先端面とをバネ座として、第1プレート51と第2プレート52との間で圧縮されている。
第1プレート51と第2プレート52とが組み合わされた状態において、第1プレート51の各リブ31と第2プレート52の各リブ32とは、搬送向き101に沿って対をなしている。この一対のリブ31,32間に各櫛歯部62,72が存在する。キャリッジ38とともにスライドする記録ヘッド39は、主として櫛歯部62,72と対向しており、櫛歯部62,72上へインク滴を吐出し得る。つまり、櫛歯部62,72は、記録ヘッド39からインク滴が吐出される記録領域に配置されている。一方、各リブ31,32は、記録領域外に配置されている。各リブ31,32は、各基部61,71の各上面60,70から各櫛歯部62,72より高い位置まで突出されているので、プラテン42へ搬送された記録用紙は、各リブ31,32によって各櫛歯部62,72と非接触に支持される。
図3及び図4に示されるように、第2プレート52より搬送向き101の下流側に駆動機構53が設けられている。駆動機構53は、モータ80と、回転軸81とカム82,83とを主要構成とする。
回転軸81は、軸方向がスライド方向102に沿って延出されており、軸方向の長さがプラテン42の長手方向(スライド方向102に沿った方向)より若干長い。各図には示されていないが、回転軸81はモータ80から選択的に駆動伝達されて回転しうる。
回転軸81の両端付近には、カム82,83がそれぞれ設けられている。カム82,83は、回転軸81の回転を第2プレート52の搬送向き101に沿ったスライドに変換して伝達する。カム82,83は、所謂平面カムであり、第2プレート52における搬送向き101の下流側の端面に当接している。このカム82,83とコイルバネ68,69とによって、回転軸81の回転により第2プレート52が第1プレート51に対して搬送向き101に沿ってスライドする。
以下に、第1プレート51の櫛歯部62を構成する各棒材65及び第2プレート52の櫛歯部72を構成する各棒材72の構成が説明されるが、棒材65と棒材75とは、搬送向き101に対して延出される向きが異なるのみであって同一の形状なので、ここでは棒材65を例に詳細な構成が説明され、棒材75についての詳細な説明が省略される。
図7に示されるように、棒材65は、搬送向き101に沿った方向を長手方向とする細長な形状であり、スライド方向102に沿った断面は五角形である。断面の五角形において上側の2辺に対応する第1上面91及び第2上面92が、プラテン42において記録ヘッド39と対向される。つまり、第1上面91及び第2上面92がプラテン42における記録領域として露出される面である。この第1上面91及び第2上面92が、本発明における第1面に相当する。
図7に示されるように、棒材65におけるスライド方向102に沿った幅は、搬送向き101に対して連続的に狭くなっている。棒材65における基端側(搬送向き101の上流側)の幅W1は、先端側(搬送向き101の下流側)の幅W2より広い。そして、棒材65におけるスライド方向102に沿った幅は、基端から先端へ向かって幅W1から幅W2へ連続して直線的に狭くなっている。また、棒材65における両側面93,94は、第1上面91及び第2上面92の端から鉛直方向に沿って延びている。また、棒材65における先端面95は、スライド方向102に沿って鉛直方向へ延びている。
第1上面91と第2上面92との境界は搬送向き101に沿って延びており、この境界を尾根部96として、第1上面91及び第2上面92は、それぞれ両側面93,94へ向かって降下する傾斜面である。また、尾根部96は、棒材65の基端から先端へ向かって降下しており、第1上面91及び第2上面92も基端から先端へ向かって降下している。
なお、詳細な説明が省略されるが、図8に示されるように、棒材75も棒材65と同様に、第1上面111、第2上面112、両側面113,114、先端面115及び尾根部116を有する。
前述された棒材65からなる櫛歯部62と、棒材65と同形状の棒材75からなる櫛歯部72とが噛み合うと、各棒材65の側面93,94と各棒材75の側面113,114とが接触し、各棒材65の先端面95が第2プレート52の基部71の端面に当接し、各棒材75の先端面115が第1プレート51の基部61の端面に当接する。図8に示されるように、櫛歯部62,72とが噛み合う第2プレート52のスライド姿勢が本明細書において第1姿勢と称される。
図9及び図10に示されるように、各棒材65の側面93,94と各棒材75の側面113,114とが離れ、各棒材65の先端面95が第2プレート52の基部71の端面から離れ、各棒材75の先端面115が第1プレート51の基部61の端面から離れる第2プレート52のスライド姿勢が本明細書において第2姿勢と称される。前述されたように、このような第2プレート52の姿勢変化は、駆動機構53により実現される。
図8に示されるように、第2プレート52が第1姿勢となると、第1プレート51の櫛歯部62と第2プレート52の櫛歯部72とが噛み合う。これにより、隣接する棒材65,75の境界に谷部98が形成される。
前述されたように、各棒材65,75の第1上面91,111及び第2上面92,112は、それぞれの基端から先端へ向かって降下している。したがって、隣接する棒材65,75の境界においては、第1上面91と第2上面112、又は第2上面92と第1上面111とは、搬送向き101に沿った方向の中央付近の1点で交差する。そして、その交差点以外においては、谷部98は、第1上面91と側面113、及び第1上面111と側面93で構成されるか、又は、第2上面92と側面114、及び第2上面112と側面94とで構成される。そして、各棒材65,75の第1上面91,111及び第2上面92,112は、それぞれの基端から先端へ向かって降下しているので、谷部98は、搬送向き101に沿った方向の中央から、搬送向き101の上流側及び下流側へ向かって徐々に深くなる。
[プラテン42におけるインク排出動作]
以下に、プラテン42におけるインク排出動作が説明される。
プリンタ部11において画像記録が開始されると、モータが駆動されて給紙ローラ25が回転され、給紙トレイ20から記録用紙が1枚分離されて搬送路23へ給送される。搬送23において、搬送ローラ60及びピンチローラが記録用紙をニップして、搬送向き101へさらに記録用紙を搬送する。これにより、記録用紙の先端がプラテン42へ到達する。
プラテン42において、記録用紙は、第1プレート51のリブ31に支持されて、その先端が記録領域、すなわち櫛歯部62,72の上方へ進入する。そして、記録用紙の先端が所定の記録開始位置へ到達すると、キャリッジ38がスライドされる。キャリッジ38のスライドに伴って記録ヘッド39もスライドされ、そのスライドの間に、記録ヘッド39からインク滴が選択的に記録用紙に吐出される。吐出されたインク滴は、記録用紙に着弾し、記録用紙に所望の文字や画像が記録される。
このような画像記録において、例えば、縁なし記録を行った場合や記録用紙の搬送不良が生じた場合に、記録ヘッド39から吐出されたインク滴がプラテン42に着弾することがある。プラテン42においては、記録領域である櫛歯部62,72を構成する各棒材65,75の第1上面91,111及び第2上面92,112にインク滴が着弾する。このとき、駆動機構53は、第2プレートを第1姿勢に保持している。
各棒材65、75の第1上面91,111及び第2上面92,112に着弾したインク滴は、各棒材65,75の境界である谷部98へ向かって流れ落ちる。また、前述されたように、各谷部98においては、噛み合った互いの棒材65,75における搬送向き101に沿った方向の中央より各々の先端側へ向かって深くなっているので、谷部98の中央から各々の先端へ向かってインクが流れる。したがって、プラテン42の記録領域に着弾したインクは、各棒材65,75の先端面95,115と基部61,71の端面とに向かってそれぞれ流れて貯留される。
駆動機構53は、記録用紙の搬送不良が生じたときや、縁なし記録において記録ヘッド39から所定のインク量が吐出されたときを駆動タイミングとして、第2プレート52を第1姿勢から第2姿勢に姿勢変化させる。本実施形態においては、第2プレート52が搬送向き101に沿った方向へスライドされる。したがって、本実施形態においては、搬送向き101に沿った方向が本発明における第1方向に相当する。
図9及び図10に示されるように、第2プレート52が第1姿勢から第2姿勢へ姿勢変化されると、各々の棒材65,75が離間して、谷部98の底に隙間が生じる。したがって、谷部98に貯留されたインクは、毛管力及び重力によって棒材65,75の隙間に流れ込む。また、各棒材65,75の先端面95,115が基部61,71の端面から離れて、先端面95,115と基部61,71の端面との間に隙間が生じる。したがって、谷部98における各先端面95,115付近においては、毛管力及び重力によって、その隙間にインクが流れ込む。
駆動機構53は、所定の時間が経過すると、第2プレート52を第2姿勢から第1姿勢に姿勢変化させる。これにより、櫛歯部62,72が噛み合って、各棒材65,75間の隙間や、各棒材65,75の先端面95,115と基部61,71の端面との隙間が消失する。そうすると、これら隙間に流れ込んだインクが第1プレート51及び第2プレート52の下面66,76側へ排出される。なお、これら隙間に流れ込んだインクの一部は谷部98側へ戻されるが、インクに働く重力の作用を考慮すると、谷部98に戻されるインク量より、下面66,76側へ排出されるインク量の方が多い。
また、前述されたように、第1姿勢においては、谷部98における各棒材65,75の先端面95,115と基部61,71の端面とに向かってインクが流されて貯留されており、第2姿勢においては、棒材65と棒材75との隙間より、各棒材65,75の先端面95,115と基部61,71の端面との隙間の方が広いので、谷部98に貯留されたインクの大半は、各棒材65,75の先端面95,115付近から基部61,71の下面66,76へ排出される。
さらに、前述されたように、各棒材65,75は、それぞれの先端へ向かって幅狭になっているので、谷部98における搬送向き101に沿った方向の両端が、隣り合う他の谷部98の両端と近接している。そして、第2プレート52が第2姿勢へ姿勢変化されると、隣り合う谷部98の両端に共通して、各棒材65,75の先端面95,115と基部61,71の端面との隙間が形成される。そして、この隙間に対応する基部61,72の下面66,76には、前述されたように、インク誘導溝67,77がそれぞれ形成されているので、谷部98の両端において基部61,72の下面66,76に排出されたインクは、インク誘導溝67,77の毛管力によってインク吸収体54,55へ導かれて、インク吸収体54,55に吸収されて保持される。そして、一度インク吸収体54,55に保持されたインクは、その後に第2プレート52が姿勢変化されても、谷部98側へ逆流することがない。したがって、再び、駆動機構53が第2プレート52を同様に姿勢変化させると、谷部98に戻されたインクが、基部61,71の下面66,76に排出されうる。
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、駆動機構53が第2プレート52を第1姿勢から第2姿勢へ姿勢変化させてから、再び第1姿勢へ姿勢変化させることにより、プラテン42の記録領域に着弾したインク滴が、各櫛歯部62,72の棒材65,75の隙間や各棒材65,75の先端面95,115と基部61,71の端面との隙間を通じて、基部61,71の下面66,76側へ排出される。これにより、記録領域に着弾したインク滴を積極的に排出できるプラテン42が小型且つ簡易な構成で実現される。
また、第1プレート51及び第2プレート52の各棒材65,75において搬送向き101に沿った尾根部96,116が設けられて、第1姿勢において隣接する棒材65,75の境界に谷部98が形成されているので、第1姿勢において、各棒材65,75の第1上面91,111及び第2上面92,112に着弾したインク滴が谷部98へ向かって流れ落ちて貯留される。そして、第2姿勢において、谷部98に貯留されたインクが棒材65,75の隙間に流れ込むので、各棒材65,75に着弾したインク滴が各棒材65,75の隙間に効率よく導かれ、プラテン42におけるインク排出能が向上される。
また、第1プレート51及び第2プレート52の各棒材65,75における第1上面91,111及び第2上面92,112が搬送向き101に沿った方向の先端へ向かって降下する傾斜面であるので、第1姿勢において、谷部98の深さが、噛み合った互いの棒材65,75における中央より各々の先端側へ向かって深くなる。これにより、谷部98において各棒材65,75の中央から各々の先端へ向かってインクが流れる。谷部98が深くなることによって、谷部98に貯留できるインク量が増える。また、谷部98における各棒材65,75の先端側においてインクが各基部61,71の下面66,76側へ流れ込むインクの量が増えるので、各下面66,76側において効率よくインクを回収することができる。
また、第1プレート51及び第2プレート52の各棒材65,75において、スライド方向102の幅が基端から先端へ向かって連続的に狭くなっているので、谷部98の両端が隣り合う他の谷部98の両端と近接する。これにより、隣り合う谷部98の両端においてインクが流れ込む位置も各基部61,71の下面66,76において近接する。したがって、各下面66,76においてインクを回収し易い。
また、第1プレート51及び第2プレート52の各基部61,71の下面66,76にインク吸収体54,55がそれぞれ接触して配置され、各下面66,76に、各櫛歯部62,72において隣り合う各棒材65,75の間からインク吸収体54,55との接触箇所へ延びるインク誘導溝67,77が設けられたので、谷部98の両端において各下面66,76へ排出されたインクが、インク誘導溝67,77を通じてインク吸収体54,55へ導かれ、インク吸収体54,55に吸収されて保持される。
また、第1プレート51及び第2プレート52の各基部61,71の上面60,70における記録領域外に、各棒材65,75より高い位置まで突出するリブ31,32が設けられたので、リブ31,32に支持された記録用紙が記録領域の棒材65,75と接触しない。これにより、棒材65,75からのインクの転写による記録用紙の汚染が防止される。
[第2実施形態]
以下に、本発明の第2実施形態が説明される。第2実施形態では、前述された第1実施形態とプラテン120の構成が異なるのみであり、その他の構成は同じである。したがって、以下にはプラテン120の構成が詳述され、その他の構成の説明が省略される。
図11に示されるように、プラテン120は平面視が概ね長方形の平板形状である。プラテン120は、その上面に設けられたリブ121,122によって記録用紙を支持する。プラテン120の上面の幅は、プリンタ部11において使用可能な記録用紙の最大幅より十分に幅広である。プラテン120のリブ121,122に支持された記録用紙は、記録ヘッド39との距離を一定として、記録ヘッド39に対向される。そして、記録ヘッド39から吐出されたインク滴が、プラテン120に支持された記録用紙に着弾する。なお、図11に示される矢印102がキャリッジ38がスライドされる方向である(以下、「スライド方向102」とも称される。)。リブ121,122が、本発明における支持部に相当する。
図11から図14に示されるように、プラテン120は、第1プレート131、第2プレート132、駆動機構133及びインク吸収体134,135を主要な構成とする。
図11から図14に示されるように、第1プレート131は、基部140と櫛歯部144とに大別される。基部140は、さらに第1基部141、第2基部142及び第3基部143に大別される。第1基部141は、キャリッジ38のスライド方向102を長手方向とする細長な平板である。この第1基部141の上面145、すなわち記録ヘッド39側となる面にリブ121が設けられている。リブ121は、搬送向き101に沿って延出された薄肉な部材であり、第1基部141の上面145から上方へ突出している。第1基部141には、複数のリブ121が設けられている。各リブ121の形状は同じであり、各リブ121はスライド方向102に沿って所定の間隔で配置されている。各リブ121によって、第1基部141の上方において記録用紙が一定の高さに支持される。
第2基部142は、キャリッジ38のスライド方向102を長手方向とする細長な平板である。この第2基部142の上面146、すなわち記録ヘッド39側となる面にリブ122が設けられている。リブ122は、搬送向き101に沿って延出された薄肉な部材であり、第2基部142の上面146から上方へ突出している。第2基部142には、複数のリブ122が設けられている。各リブ122の形状は同じであり、各リブ122はスライド方向102に沿って所定の間隔で配置されている。また、各リブ122は、第1基部141に設けられた各リブ121と、搬送向き101に沿って対をなしている。各リブ122によって、第2基部142の上方において記録用紙が一定の高さに支持される。なお、本実施形態では、第2基部142の上面には複数のリブ122が設けられているが、このリブ122は各々が独立したものではなく、第2基部142の長手方向に沿って連続した形状、すなわち1本の支持凸形状で形成されていてもよい。
第3基部143は、第1基部141と第2基部142との間に渡って搬送向き101に沿った方向へ延出されている。第1基部141と第2基部142とは、それぞれの長手方向をスライド方向102に沿った方向として、搬送向き101に対して離間されて配置されている。このように配置された第1基部141と第2基部142とが、搬送向き101に沿って延びる第3基部143によって接続されている。第3基部143は、スライド方向102に沿って所定の間隔で複数が配置されている。各第3基部143から、後述される棒材147がスライド方向102に沿ってそれぞれ延出されて、各第3基部143に櫛歯部144がそれぞれ形成されている。各第3基部143から棒材147が延出される向きは同じである。各第3基部143のスライド方向102に対する間隔は、後述されるように各第3基部143の櫛歯部144に対して第2プレートの櫛歯部161が姿勢変化可能なスペースを考慮して設定されている。
図15に示されるように、第3基部143におけるスライド方向102の縁からは、複数の棒材147がスライド方向102へそれぞれ延出されて櫛歯部144が形成されている。各棒材147は同一形状であるが、詳細な構成は後述される。各棒材147は、搬送向き101に沿った方向へ一定間隔で離間されて並列されている。各棒材147間のピッチは、後述される第2プレート132の櫛歯部161と噛み合うことが可能なように適宜設定される。また、各棒材147は、第3基部143の上面とほぼ同じ高さにおいてスライド方向102に沿って延出されている。
図14及び図15に示されるように、第3基部143の下面148には、櫛歯部144が設けられている縁から、櫛歯部144において相互に隣り合う棒材147の間に開口し、かつ搬送向き101に沿って延びるインク誘導溝149が形成されている。インク誘導溝149は断面形状がほぼ矩形状の凹溝であり、第3基部143の下面148において搬送向き101に沿った方向の両縁まで延出されている。インク誘導溝149の延出端は、インク吸収体134,135の配置に応じて設定されている。すなわち、インク吸収体134,135は、第1基部141及び第2基部142の下面に接触して配置されており、このインク吸収体134,135との接触箇所までインク誘導溝149が延出されている。
なお、基部140の上面145,146が本発明における第1面に相当し、下面148,150,151が本発明における第2面に相当する。また、インク誘導溝149は、インク吸収体134,135の配置に応じて、第3基部143の下面148のみならず、第1基部141又は第2基部142の下面150,151にまで延出されてもよい。
図12に示されるように、インク吸収体134,135は、ウレタンフォームなどに代表されるインクを吸収して保持可能な部材であり、細長な四角柱形状である。インク吸収体134は、その長手方向を第1基部141の長手方向と同じとして、第1基部141の下面150に接触して配置されている。インク吸収体135は、その長手方向を第2基部142の長手方向と同じとして、第2基部142の下面151に接触して配置されている。
図11から図14に示されるように、第2プレート132は、基部160、櫛歯部161及びフレーム162に大別される。基部160は、第1プレート131における第1基部141と第2基部142との間に渡って搬送向き101に沿った方向へ延出されている。基部160は、スライド方向102に沿って所定の間隔で複数が配置されている。各基部160から、棒材163がスライド方向102に沿ってそれぞれ延出されて、各基部160に櫛歯部161がそれぞれ形成されている。各基部160から棒材163が延出される向きは同じであるが、第1プレート131における各櫛歯部144において棒材147が延出される向きとは反対向きである。各基部160のスライド方向102に対する間隔は、第1プレート131における各櫛歯部144に対して各櫛歯部161が姿勢変化可能なスペースを考慮して設定されている。
各棒材163は同一形状であるが、詳細な構成は第1プレート131における棒材147を例として後述される。各棒材163は、搬送向き101に沿った方向へ一定間隔で離間されて並列されている。各棒材163間のピッチは、前述された第1プレート131の櫛歯部144と噛み合うことが可能なように適宜設定される。また、各棒材163は、基部160の上面とほぼ同じ高さにおいてスライド方向102に沿って延出されている。
基部160の下面には、櫛歯部161が設けられている縁から、櫛歯部161において相互に隣り合う棒材163の間に開口し、かつ搬送向き101に沿って延びるインク誘導溝164が形成されている。インク誘導溝164は断面形状がほぼ矩形状の凹溝であり、基部160の下面において搬送向き101に沿った方向の両縁まで延出されている。なお、基部160の上面が本発明における第1面に相当し、下面が本発明における第2面に相当する。
フレーム162は、枠165と一対の脚166,167とに大別される。図11及び図12に示されるように、枠165は、第1プレート131の主な外形である長方形と同程度の長方形をなすものであり、スライド方向102に対して一方側には当接部168が搬送向き101に沿って延出されている。この当接部168は、後述される駆動機構133のカム136が当接する箇所である。
枠165においてスライド方向102の他方側には当接部168に相当する搬送向き101に沿った部材がなく、スライド方向102に沿って延出端169,170が突出している。この延出端169,170は、コイルバネ171,172のバネ座となる。コイルバネ171,172は、延出端169,170と、不図示のプリンタ部11のフレームなどとをバネ座として、圧縮された状態でスライド方向102に沿って伸縮可能に設けられている。
図11及び図12に示されるように、第1プレート131と第2プレート132とは、対応する櫛歯部144と櫛歯部161とがそれぞれ噛み合って組み合わされている。各櫛歯部144,161は、搬送向き101に沿って対をなすリブ121,122間に配置される。キャリッジ38とともにスライドする記録ヘッド39は、主として櫛歯部144,161と対向しており、櫛歯部144,161上へインク滴を吐出し得る。つまり、櫛歯部144,161は、記録ヘッド39からインク滴が吐出される領域に配置されている。一方、各リブ121,122は、記録ヘッド39からインク滴が吐出される領域外に配置されている。各リブ121,122は、基部140の各上面145,146から各櫛歯部144,161より高い位置まで突出されているので、プラテン120へ搬送された記録用紙は、各リブ121,122によって各櫛歯部144,161と非接触に支持される。
図11及び図12に示されるように、第2プレート132に対してスライド方向102の側方に駆動機構133が設けられている。駆動機構133は、モータ138と、カム136とを主要構成とする。
カム136は、搬送向き101及びスライド方向102に直交する鉛直方向の軸線137を中心に回転する所謂平面カムである。カム136には、モータ138から駆動軸137に選択的に駆動力が伝達される。そして、カム136は、モータ138からの回転を第2プレート132のスライド方向102に沿ったスライドに変換して伝達する。カム136は、第2プレート132のフレーム162における当接部168に当接している。このカム136と前述されたコイルバネ171,172とによって、モータ138の回転によって第2プレート132が第1プレート131に対してスライド方向102に沿ってスライドする。
以下に、第1プレート131の櫛歯部144を構成する各棒材147及び第2プレート132の櫛歯部161を構成する各棒材163の構成が説明されるが、棒材147と棒材166とは、スライド方向102に沿って延出される向きが異なるのみであって同一の形状なので、ここでは棒材147を例に詳細な構成が説明され、棒材163についての詳細な説明が省略される。
図15に示されるように、棒材147は、スライド方向102を長手方向とする細長な形状であり、搬送向き101に沿った断面は五角形である。断面の五角形において上側の2辺に対応する第1上面181及び第2上面182が、プラテン120において記録ヘッド39と対向される。つまり、第1上面181及び第2上面182がプラテン120における記録領域として露出される面である。この第1上面181及び第2上面182が、本発明における第1面に相当する。
図15に示されるように、棒材147における搬送向き101に沿った幅は、スライド方向102に対して連続的に狭くなっている。棒材147における基端側(第3基部143側)の幅W3は、先端側の幅W4より広い。そして、棒材147における搬送向き101に沿った幅は、基端から先端へ向かって幅W3から幅W4へ連続して直線的に狭くなっている。また、棒材147における両側面183,184は、第1上面181及び第2上面182の端から鉛直方向に沿って延びている。また、棒材147における先端面185は、搬送向き101に沿って鉛直方向へ延びている。
第1上面181と第2上面182との境界はスライド方向102に沿って延びており、この境界を尾根部186として、第1上面181及び第2上面182は、それぞれ両側面183,184へ向かって降下する傾斜面である。また、尾根部186は、棒材147の基端から先端へ向かって降下しており、第1上面181及び第2上面182も基端から先端へ向かって降下している。
なお、詳細な説明が省略されるが、図16及び図17に示されるように、棒材163も棒材147と同様に、第1上面191、第2上面192、両側面193,194、先端面195及び尾根部196を有する。
前述された棒材147からなる櫛歯部144と、棒材147と同形状の棒材163からなる櫛歯部161とが噛み合うと、各棒材147の側面183,184と各棒材163の側面193,194とが接触し、各棒材147の先端面185が第2プレート132の基部160の端面に当接し、各棒材163の先端面195が第1プレート131の第3基部143の端面に当接する。図16に示されるように、櫛歯部144,161が噛み合う第2プレート132のスライド姿勢が本明細書において第1姿勢と称される。
図17に示されるように、各棒材147の側面183,184と各棒材163の側面193,194とが離れ、各棒材147の先端面185が第2プレート132の基部160の端面から離れ、各棒材163の先端面195が第1プレート131の第3基部143の端面から離れる第2プレート132のスライド姿勢が本明細書において第2姿勢と称される。前述されたように、このような第2プレート132の姿勢変化は、駆動機構133により実現される。
図16に示されるように、第2プレート132が第1姿勢となると、第1プレート131の櫛歯部144と第2プレート132の櫛歯部161とが噛み合う。これにより、隣接する棒材147,163の境界に谷部198が形成される。
前述されたように、各棒材147,163の第1上面181,191及び第2上面182,192は、それぞれの基端から先端へ向かって降下している。したがって、隣接する棒材147,163の境界においては、第1上面181と第2上面192、又は第2上面182と第1上面191とは、スライド方向102に沿った方向の中央付近の1点で交差する。そして、その交差点以外においては、谷部198は、第1上面181と側面194、及び第2上面192と側面183で構成されるか、又は、第2上面182と側面193、及び第1上面191と側面184とで構成される。そして、各棒材147,163の第1上面181,191及び第2上面182,192は、それぞれの基端から先端へ向かって降下しているので、谷部198は、スライド方向102に沿った方向の中央から、スライド方向のいずれかへ向かって徐々に深くなる。
[プラテン120におけるインク排出動作]
プラテン120におけるインク排出動作は、第2プレート132がスライドする方向が異なる他は、第1実施形態のプラテン42におけるインク排出動作と同様である。つまり、本実施形態においては、第2プレート132がスライド方向102に沿ってスライドされる。したがって、本実施形態においては、スライド方向102が本発明における第1方向に相当する。
画像記録において各棒材147,163の第1上面181,191及び第2上面182,192に着弾したインク滴は、各棒材147,163の境界である谷部198へ向かって流れ落ちる。また、前述されたように、各谷部198においては、噛み合った互いの棒材147,163におけるスライド方向102に沿った中央より各々の先端側へ向かって深くなっているので、谷部198の中央から各々の先端へ向かってインクが流れる。したがって、プラテン120の記録領域に着弾したインクは、各棒材147,163の先端面185,195と第3基部143,基部160の端面とに向かって流れて貯留される。
駆動機構133が第2プレート132を第1姿勢から第2姿勢に姿勢変化させると、図17に示されるように、各々の棒材147,163が離間して、谷部198の底に隙間が生じる。したがって、谷部198に貯留されたインクは、毛管力及び重力によって棒材147,163の隙間に流れ込む。また、各棒材147,163の先端面185,195が第3基部143,基部160の端面から離れて、先端面185,195と第3基部143,基部160の端面との間に隙間が生じる。したがって、谷部198における各先端面185,195付近においては、毛管力及び重力によって、その隙間にインクが流れ込む。
駆動機構133が第2プレート132を第2姿勢から第1姿勢に姿勢変化させると、図16に示されるように、櫛歯部62,72が噛み合って、各棒材147,163間の隙間や、各棒材147,163の先端面185,195と第3基部143,基部160の端面との隙間が消失する。そうすると、これら隙間に流れ込んだインクが各棒材147,163の下面へ排出される。なお、これら隙間に流れ込んだインクの一部は谷部198側へ戻されるが、インクに働く重力の作用を考慮すると、谷部198に戻されるインク量より、各棒材147,163の下面側へ排出されるインク量の方が多い。
また、前述されたように、第1姿勢においては、谷部198における各棒材147,163の先端面185,195と第3基部143,基部160の端面とに向かってインクが流されて貯留されており、第2姿勢においては、棒材65と棒材75との隙間より、各棒材147,163の先端面185,195と第3基部143,基部160の端面との隙間の方が広いので、谷部198に貯留されたインクの大半は、各棒材147,163の先端面185,195付近から各棒材147,163の下面へ排出される。
さらに、前述されたように、各棒材147,163は、それぞれの先端へ向かって幅狭になっているので、谷部198におけるスライド方向102の両端が、隣り合う他の谷部198の両端と近接している。そして、第2プレート132が第2姿勢へ姿勢変化されると、隣り合う谷部198の両端に共通して、各棒材147,163の先端面185,195と第3基部143,基部160の端面との隙間が形成される。そして、この隙間に対応する第3基部143,基部160の端面には、前述されたように、インク誘導溝149,164がそれぞれ開口されているので、谷部198の両端において各棒材147,163の下面に排出されたインクは、インク誘導溝149,164の毛管力によってインク吸収体134,135へ導かれて、インク吸収体134,135に吸収されて保持される。そして、一度インク吸収体134,135に保持されたインクは、その後に第2プレート132が姿勢変化されても、谷部198側へ逆流することがない。したがって、再び、駆動機構133が第2プレート132を同様に姿勢変化させると、谷部198に戻されたインクが、各棒材147,163の下面に排出されうる。
前述された第2実施形態に係るプラテン120によっても、第1実施形態に係るプラテン42と同様の作用効果が奏される。
なお、前述された各実施形態においては、各櫛歯部62,72,144,161を構成する各棒材65,75,147,163が先端へ向かって幅狭となるくさび形状であるが、本発明において棒材の形状がくさび形状に限定されないことは言うまでもない。
また、前述された各実施形態における第1姿勢では、対応する各棒材65,75,147,163が必ずしも密接している必要はなく、各棒材65,75,147,163の間に若干の隙間があってもよい。また、第2姿勢では、対応する各棒材65,75,147,163が完全に離間される必要はなく、本発明の作用が奏される程度に少なくとも一部が離間されればよい。