JP4923498B2 - 高強度・低比重アルミニウム合金 - Google Patents
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しかしながら、この場合には、アルミニウムよりも比重の重い遷移元素を含むために、例えば自動車のエンジン用ピストンなどの動弁系部品に適用しようとした場合、軽量化効果が小さい。
以上のようなことから、遷移元素の組み合わせ及び添加量を適正に規制することによって最適化を図り、かつ、耐熱性及び耐軟化性を有する高強度のアルミニウム合金の開発が求められていた。
V、Cr、Co、Nb、Moからなる第1成分群から1種以上の元素を、個々の含有量が0.2〜2%、第1成分合計含有量(X%)が、0.2〜3%の範囲となるよう含有し、
Ti、Zr、Scからなる第2成分群から1種以上の元素を、個々の含有量が0.03〜1.5%、第2成分合計含有量(Y%)が0.03〜1.8%の範囲となるよう含有し、残部が不可避的不純物及びアルミニウムよりなり、
Feの含有量(Fe%)と、上記第1成分群の各元素含有量(x%)と、上記第2成分群の各元素含有量(y%)とが、Fe≧x≧yの関係にあり、
かつ、比重が2.7以下であることを特徴とする高強度・低比重アルミニウム合金にある(請求項1)。
「Mg:1〜15%」
Mgを含むことにより、固溶硬化による強化を図ることができ、また、適正な熱処理条件との組み合わせによってAl−Mg化合物がアルミニウム母相中に分散することによる分散強化(析出強化を含む)を得ることができる。これにより、低比重でかつ高強度のアルミニウム合金を得ることができる。
Mg含有量が1%未満の場合には、上記の優れた効果が十分に得られず、一方、15%を超える場合には特性が飽和するという問題や、粗大なβ−AlMg晶出物が形成されるという問題が生じる。従って、Mg含有量のより好ましい範囲は、3〜12%である。
アルミニウム合金にFeを添加した場合、耐熱性が向上する。また、金属組織的には、Al−Fe系化合物とα−Alとによってラメラ構造を形成するようになるが、上記第1成分群の中から適正元素を添加すると共にMgを添加することによって、上記ラメラ組織を構成するAl−Fe系化合物を断片化することができる。その結果、耐熱性、耐軟化性を保ったまま延性能を向上させることができる。ただし、凝固時の冷却速度が遅い場合、上記第1成分群の元素がアルミニウム母相中にほとんど固溶せず上記の効果が得られない場合があるので、本発明の合金を用いて各種製品を作製する場合には、少なくとも102℃/sec以上の冷却速度で急冷凝固させることが好ましい。
Fe含有量が0.3%未満の場合には、上記の優れた効果が十分に得られず、一方、10%を超える場合には、工業上生産可能な範囲において、粗大なAlFe系晶出物が形成されるようになり、著しく物性を低下させるという問題や、冷却速度に対応して特性が大きく変化するため、生産し難いという問題が生じる。従って、Fe含有量のより好ましい範囲は、0.4〜6%である。
V、Cr、Co、Nb、Moからなる第1成分群から1種以上の元素を、個々の含有量が0.2〜8%、第1成分合計含有量(X%)が0.2〜10%の範囲となるよう含有する。
第1成分群の個々の元素の含有量が0.2%未満の場合には、耐軟化性が低下し、また、250℃を越える高温域での強度が得られないという問題があり、一方、8%を超える場合には、粗大なAl−X系晶出物が形成され、靭性を著しく低下させるという問題がある。
第1成分群の元素の合計含有量(X%)が0.2%未満の場合には、耐熱性、耐軟化性が低下するという問題があり、一方、10%を超える場合には、靱性を低下させるという問題がある。
Ti、Zr、Scからなる第2成分群から1種以上の元素を、個々の含有量が0.03〜5%、第2成分合計含有量(Y%)が0.03〜8%の範囲となるよう含有する。第2成分群の元素を添加した場合、鋳塊の組織を微細化するとともに、溶融状態から凝固する際に過飽和固溶したものが、その後の加工、あるいは加熱工程の追加によってアルミニウム母相中に析出し、強度特性を更に向上させる効果を発揮する。
第2成分群の個々の元素の含有量が0.03%未満の場合には、耐熱性、耐軟化性が低下するという問題があり、一方、5%を超える場合には、粗大なAl−Y系晶出物が形成され、靭性が著しく低下するという問題がある。
第2成分群の元素の合計含有量(Y%)が0.03%未満の場合には、十分な耐熱性、耐軟化性が得られないという問題があり、一方、8%を超える場合においても、耐軟化性が低下する場合や靱性が低下する場合があるという問題がある。
また、Siを添加した場合でも、250℃以下の場合の材料強度を高めることができる。しかしながら、詳細な実験調査の結果、250℃超え400℃以下の高温環境下において高強度で高延性を確保するためには、Mg/Si質量比に制限があることを見出した。すなわち、Siを添加する場合には、Mg/Siを2.2以上にする必要がある。
永久成長の発現要因としては、凝固時にAl中に固溶したSiの析出によって生じることが報告されているが、Mg/Si質量比を2.2以上とすることで永久成長を抑制することもできるのである。発明者の調査によれば、Al−Si−Cu系合金(ADC12合金、12mass%Si)のダイキャスト材においては、約0.12%の永久成長が確認されたが、永久成長の主要因であるSiを含む場合でも、Mg/Si質量比を2.2以上とすることで永久成長を0.05%以下に抑えることができた。
Beを微量添加すると、Mgの酸化を抑制することができ、Mg酸化物を起点とする破壊を防止することができる。
上記アルミニウム合金の組成から決定される液相線温度よりも100〜400℃高い温度域にて溶解して溶湯を形成する溶解工程と、
上記溶湯を102℃/sec以上の冷却速度で冷却して凝固させてアルミニウム合金鋳塊を得る凝固工程とを有することを特徴とするアルミニウム合金鋳塊の製造方法にある(請求項5)。
特に、本発明では、上記溶解工程において、液相線温度よりも100〜400℃高い温度域にて溶解し、細部まで充填可能な流動性のよい溶湯とし、健全な鋳塊を得ることができる。上記の溶解の温度が液相線温度+100℃の温度よりも低い場合には、十分な湯流れ性を得ることができず、鋳塊の内部に巣が形成されるため、健全な鋳塊を得ることができないという問題があり、一方、液相温度+400℃よりも高い場合には、Mgが溶油表面で燃焼あるいは蒸発する。また、形成されるMg酸化物が鋳塊中に混入するおそれがある。
上記アルミニウム合金の組成から決定される液相線温度よりも300〜600℃高い温度域にて溶解して溶湯を形成する溶解工程と、
上記溶湯を102℃/sec以上の冷却速度で冷却して、粉末状に凝固させてアルミニウム合金粉末を得る粉末形成工程とを有することを特徴とするアルミニウム合金粉末の製造方法にある(請求項8)。
特に、本発明でも、上記溶解工程において、液相線温度よりも300〜600℃高い温度域にて溶解し、流動性の高い溶湯を形成することができる。
上記ガスアトマイズ法は、アルミニウム合金溶湯をタンディッシュにより流出させると同時に、噴霧媒(空気あるいは不活性ガス)のジェットを溶湯流に衝突させ、微細に飛散した溶湯(液滴)を凝固させるという手順によって粉末を形成する方法である。
また、上記水アトマイズ法は、アルミニウム溶湯をタンディッシュより流出させると同時に、水のジェット流を溶湯に衝突させ、急冷凝固させ、比較的非球形な粉末を形成する方法である。
上記アルミニウム合金の組成から決定される液相線温度よりも300〜600℃高い温度域にて溶解して溶湯を形成する溶解工程と、
上記溶湯を103℃/sec以上の冷却速度で冷却して、帯状に凝固させてアルミニウム合金リボンを得るリボン形成工程とを有することを特徴とするアルミニウム合金リボンの製造方法にある(請求項10)。
特に、本発明でも、上記溶解工程において、液相線温度よりも300〜600℃高い温度域にて溶解して溶湯を形成する。
上記単ロール法は、Al合金溶湯液滴を回転単ロール(銅製)に衝突させ、急冷凝固によりリボン状の急冷凝固材を得る方法である。また、双ロール法は回転ロール(銅製)を対に配置し、両ロールのギャップを任意に調整することで冷却速度を制御することができ、単ロール法と同様にリボン状の急冷凝固材を得る方法である。なお、冷却速度の制御が比較的容易な単ロール法を用いることが望ましく、冷却速度を103℃/sec以上、好ましくは104〜106℃/secの範囲にとする。
なお、上記リボン成形工程にはリボン形状を粉砕する工程も含み、リボン材を成形した後に粉砕、あるいは回転ロールに衝突させる前に、噴霧媒(空気あるいは不活性ガス)のジェット流により断片化した薄片状急冷凝固材を得てもよい。
上記素材を圧縮成形して圧縮成形体を得る圧縮成形工程と、
上記圧縮成形体を真空中あるいは非酸化雰囲気中で加熱して、少なくとも水酸化物又は/及び水分を取り除く脱ガス工程と、
該脱ガス処理工程を施した上記圧縮成形体に塑性加工を施して所望形状の加工材を得る塑性加工工程とを有することを特徴とするアルミニウム合金成形体の製造方法にある(請求項12)。
そのため、上述したアルミニウム合金の優れた特性である、低比重であると共に耐熱性及び耐軟化性を備えたアルミニウム合金成形体を得ることができる。
なお、上記リボンを素材として用いる場合には、上記圧縮成形工程の前に、リボンを細かく粉砕するリボン粉砕工程を行うことが好ましい。
なお、脱ガス工程に要する時間は0.5時間とすることが好ましく、0.5時間未満の場合には、水分を十分に取り除くことができず、特性の低下や膨れの発生を招くおそれがある。
また、上記非酸化雰囲気を形成する不活性ガスとしては、例えば、Ar、He等がある。
本例では、表1〜表5に示すごとく、複数種類の組成を有するアルミニウム合金よりなる鋳塊を作製し、その耐軟化性、比重等を求め、本発明合金の優位性を明らかにした。
まず、本発明のアルミニウム合金よりなる試料(実施例1〜31及び参考例32〜38)について、その成分組成と比重を表1及び表2に示す。
また、比較のために、本発明の成分範囲から外れるアルミニウム合金よりなる試料(比較例1〜73)も準備した。こられの成分組成と比重を表3、表4及び表5に示す。
すなわち、同図に示すごとく、まず鋳塊よりなる各試料を作製するに当たり、各合金の組成から決定される液相線温度よりも100〜400℃高い温度域にて溶解して溶湯を形成する溶解工程S1と、上記溶湯を102℃/sec以上の冷却速度で冷却して凝固させてアルミニウム合金鋳塊を得る凝固工程S2とを行った。なお、凝固工程は、くさび形のキャビティを有する鋳型を用い、すべての評価は同じ部位(冷却速度が同じ部位と想定)により行った。
そして、焼鈍工程S3前の鋳塊の硬度HVR1、焼鈍工程S3後の鋳塊の硬度HVR2、及び焼鈍工程S3後に更に加熱工程S4を経た鋳塊の硬度HVR3を測定し、その変化によって耐軟化性の評価を行った。なお、上記HVRn(n:No)は残留硬さと呼され、一般には材料融点の1/2を越えるような高温域に曝されると、残留硬さは大きく低下するようになる。そのような観点から、高温域で長時間曝されても硬さ低下の少ない添加元素の組合せ、添加量を検討した。
なお、図2は、横軸にHVR1、HVR2、HVR3の区別を、縦軸にビッカース硬さHVをとったものである。
また、各実施例、参考例及び比較例の耐軟化性の評価結果を、同様の図(図3〜図11)に示すと共に、表6〜表9に示す。
<強度>
鋳塊の最も急冷された部分から引張試験片を切り出し、引張試験を行って引張強さを求める。そして、A2618合金の引張強さをaとし、各実施例等の引張強さをbとして、c=b/aを求める。このcが0.5以下の場合を評価1、0.5超え0.8以下の場合を評価2、0.8超え1.2以下の場合を評価3、1.2超え1.5以下の場合を評価4、1.5超えの場合を評価5とした。そして、評価3はA2618合金と同等、評価4及び評価5はA2618合金よりも優れていると判定した。
なお、高温の場合には、引張試験片を300℃に保持した状態で引張試験を行った。
延性は、引張試験片平行部に設けた標点間距離より、引っ張り試験前後の伸び量より伸び率を評価した。そして、A2618合金の伸び率をdとし、各実施例等の伸び率をeとして、f=e/dを求める。このfが0.1以下の場合を評価1、0.1を越え、0.3以下の場合を評価2、0.3を越え、0.6以下の場合
を評価3、0.6を越え1.0以下の場合を評価4、1を超える場合を評価5とした。そして、評価5はA2618合金よりも優れていると判定した。
耐軟化性は、各実施例等のHVR1、HVR2、HVR3の変化により評価した。そして、HVR1>HVR2>HVR3で、A2618合金T6材の300℃×100h後のHVRとHVR3との比(HVR3/HVR)が0.5以下になるものを評価1、HVR1>HVR2>HVR3で、HVR3/HVRが0.5を越え、0.9以下となるものを評価2、HVR1>HVR2>HVR3で、A2618合金T6材の300℃×100h後のHVRとHVR3との比(HVR3/HVR)が0.9を越え、1.1以下となるもの、あるいは、HVR1<HVR2かつHVR2>HVR3であり、HVR3/HVRが0.9を越え、1.1以下となる場合を評価3、HVR1<HVR2<HVR3で、HVR3/HVRが1.1を越え、1.3以下となる場合を評価4、HVR1<HVR2<HVR3で、HVR3/HVRが1.3を超える場合を評価5とした。そして、評価3はA2618合金と同等、評価4及び評価5はA2618合金よりも優れていると判定した。
表1、表2より知られるごとく、実施例1〜31及び参考例32〜38は、いずれも、A2618合金と同等以上の特性を有する優れたものであることがわかる。
また、上記組成に対して、熱間加工(押出、圧延、鍛造)と熱処理を施すことで、更に高強度化することも見出した。
そして、従来材(例えば、A2618合金)に比べ、本発明合金の300℃での高温引張強度は同等以上であり、かつ、従来材よりも耐軟化性に優れるため、使用環境(例えば、300℃に長時間曝される)において特性低下が極めて少ない。それ故、本発明の合金は、例えば、ピストン等の自動車部品において好適に利用することができる。
なお、以上の結果から、最適な合金組成は、Al−Mg−Fe−(Co−Mo)−(Zr−Ti)+(Si、Be)であると考えられる。
本例では、上述した実施例18と同じ組成のアルミニウム合金を用いて、粉末を作製した。具体的には、上記アルミニウム合金の組成から決定される液相線温度よりも500℃高い温度域にて溶解して溶湯を形成する溶解工程と、上記溶湯を102℃/sec以上の冷却速度で冷却して、粉末状に凝固させてアルミニウム合金粉末を得る粉末形成工程とを実施した。本例では、上記粉末形成工程としてガスアトマイズ法を採用し、孔径2mmのアルミナ製ルツボを用い、ノズルから落下した上記アルミニウム合金溶湯に、100kgf/cm2に加圧された窒素ガスを吹き付けることにより行った。なお、窒素ガスに代えて、空気もしくはアルゴンなどの不活性ガスを用いてもよい。
本例では、上述した実施例18と同じ組成のアルミニウム合金を用いて、リボンを作製した。具体的には、Ar雰囲気中にて上記アルミニウム合金の組成から決定される液相線温度よりも500℃高い温度域にて溶解して溶湯を形成する溶解工程と、上記溶湯を103℃/sec以上の冷却速度で冷却して、帯状に凝固させてアルミニウム合金リボンを得るリボン形成工程とを実施した。本例では、上記リボン形成工程として単ロール法を採用し、孔径0.3mmの石英製ノズルを用い、1000rpmあるいは、2500rpmで回転している直径20cmの銅製ロールエに0.5kg/cm2を噴出し、急冷凝固させて、幅1〜2mm、厚さ20μm及び80μmの急冷凝固リボンを作製した。
S2 凝固工程
S3 焼鈍工程
S4 加熱工程
Claims (16)
- Mg:3〜15%(mass%、以下同様)及びFe:0.3〜3%を含有し、
V、Cr、Co、Nb、Moからなる第1成分群から1種以上の元素を、個々の含有量が0.2〜2%、第1成分合計含有量(X%)が、0.2〜3%の範囲となるよう含有し、
Ti、Zr、Scからなる第2成分群から1種以上の元素を、個々の含有量が0.03〜1.5%、第2成分合計含有量(Y%)が0.03〜1.8%の範囲となるよう含有し、残部が不可避的不純物及びアルミニウムよりなり、
Feの含有量(Fe%)と、上記第1成分群の各元素含有量(x%)と、上記第2成分群の各元素含有量(y%)とが、Fe≧x≧yの関係にあり、
かつ、比重が2.7以下であることを特徴とする高強度・低比重アルミニウム合金。 - 請求項1において、上記第1成分群の元素としては、Cr、Co、Moのうち少なくとも1種とすることを特徴とする高強度・低比重アルミニウム合金。
- 請求項1又は2において、さらに、Si、Cuからなる第3成分群から1種以上の元素を、個々の含有量が2.5%以下、合計含有量が0.5〜2.5%となるよう含有し、かつ、Siを含有する場合には、Mgの含有量(Mg%)と、Siの含有量(Si)とが、Mg/Si≧2.2の関係にあることを特徴とする高強度・低比重アルミニウム合金。
- 請求項1〜3のいずれか1項において、さらに、Beを0.0005〜0.1%含有することを特徴とする高強度・低比重アルミニウム合金。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金を用いてアルミニウム合金鋳塊を製造する方法であって、
上記アルミニウム合金の組成から決定される液相線温度よりも100〜400℃高い温度域にて溶解して溶湯を形成する溶解工程と、
上記溶湯を102℃/sec以上の冷却速度で冷却して凝固させてアルミニウム合金鋳塊を得る凝固工程とを有することを特徴とするアルミニウム合金鋳塊の製造方法。 - 請求項5において、上記凝固工程の後に、上記アルミニウム合金鋳塊に対して、温度150℃〜固相線温度未満の範囲に0.5時間以上保持する熱処理工程を行うことを特徴とするアルミニウム合金鋳塊の製造方法。
- 請求項6において、上記凝固工程の後、上記熱処理工程の前には、均等化処理工程及び上記アルミニウム合金鋳塊を温度300〜500℃の範囲において鍛造加工する鍛造工程を行うことを特徴とするアルミニウム合金鋳塊の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金を用いてアルミニウム合金粉末を製造する方法であって、
上記アルミニウム合金の組成から決定される液相線温度よりも300〜600℃高い温度域にて溶解して溶湯を形成する溶解工程と、
上記溶湯を102℃/sec以上の冷却速度で冷却して、粉末状に凝固させてアルミニウム合金粉末を得る粉末形成工程とを有することを特徴とするアルミニウム合金粉末の製造方法。 - 請求項8において、上記粉末形成工程は、ガスアトマイズ法又は水アトマイズ法により行うことを特徴とするアルミニウム合金粉末の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金を用いてアルミニウム合金リボンを製造する方法であって、
上記アルミニウム合金の組成から決定される液相線温度よりも300〜600℃高い温度域にて溶解して溶湯を形成する溶解工程と、
上記溶湯を103℃/sec以上の冷却速度で冷却して、帯状に凝固させてアルミニウム合金リボンを得るリボン形成工程とを有することを特徴とするアルミニウム合金リボンの製造方法。 - 請求項10において、上記リボン形成工程は、単ロール法又は双ロール法により行うことを特徴とするアルミニウム合金リボンの製造方法。
- 請求項8〜11のいずれか1項に記載の製造方法により得られたアルミニウム合金粉末又はアルミニウム合金リボンを素材として用いてアルミニウム合金成形体を製造する方法であって、
上記素材を圧縮成形して圧縮成形体を得る圧縮成形工程と、
上記圧縮成形体を真空中あるいは非酸化雰囲気中で加熱して、水酸化物又は/及び水分を取り除く脱ガス工程と、
該脱ガス処理工程を施した上記圧縮成形体に塑性加工を施して所望形状の加工材を得る塑性加工工程とを有することを特徴とするアルミニウム合金成形体の製造方法。 - 請求項12において、上記圧縮成形工程では、上記圧縮成形体の相対密度が50〜90%となるように圧縮成形を行うことを特徴とするアルミニウム合金成形体の製造方法。
- 請求項12又は13において、上記脱ガス工程では、真空中あるいは非酸化雰囲気において、350℃〜固相線温度未満の温度範囲で加熱して、表面に吸着している水又は/及び水素を取り除くことを特徴とするアルミニウム合金成形体の製造方法。
- 請求項12〜14のいずれか1項において、上記塑性加工工程では、鍛造あるいは押出により、上記圧縮成形体の相対密度が95%以上となるように塑性加工を行うことを特徴とするアルミニウム合金成形体の製造方法。
- 請求項12〜15のいずれか1項において、上記塑性加工工程を行った後に、上記加工材に対して、150℃〜固相線温度未満の温度範囲に0.5時間以上保持して、含有元素からなる金属間化合物を分散させる分散工程を行うことを特徴とするアルミニウム合金成形体の製造方法。
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