JP4923498B2 - 高強度・低比重アルミニウム合金 - Google Patents

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本発明は、高強度であって低比重のアルミニウム合金、及びそれを用いてアルミニウム合金鋳塊等を作製する方法に関する。
耐熱性に優れるアルミニウム合金材について提案されている様々な報告では、遷移元素を添加し、高融点系化合物をアルミニウム母材中に分散させ、高温環境での変形を抑制する試みが行われている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、この場合には、アルミニウムよりも比重の重い遷移元素を含むために、例えば自動車のエンジン用ピストンなどの動弁系部品に適用しようとした場合、軽量化効果が小さい。
また、アルミニウム−遷移元素系合金の機械的特性は、遷移元素の組み合わせに強く依存し、また、凝固時の冷却速度の影響を強く受ける。そのため、工業的に生産する場合には、凝固プロセスが極めて限定され、多大な生産コストがかかる。
以上のようなことから、遷移元素の組み合わせ及び添加量を適正に規制することによって最適化を図り、かつ、耐熱性及び耐軟化性を有する高強度のアルミニウム合金の開発が求められていた。
特開2000−144292号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、低比重であると共に耐熱性及び耐軟化性を有する高強度・低比重アルミニウム合金を提供しようとするものである。
第1の発明は、Mg:〜15%(mass%、以下同様)及びFe:0.3〜%を含有し、
V、Cr、Co、Nb、Moからなる第1成分群から1種以上の元素を、個々の含有量が0.2〜%、第1成分合計含有量(X%)が、0.2〜%の範囲となるよう含有し、
Ti、Zr、Scからなる第2成分群から1種以上の元素を、個々の含有量が0.03〜1.5%、第2成分合計含有量(Y%)が0.03〜1.8%の範囲となるよう含有し、残部が不可避的不純物及びアルミニウムよりなり、
Feの含有量(Fe%)と、上記第1成分群の各元素含有量(x%)と、上記第2成分群の各元素含有量(y%)とが、Fe≧x≧yの関係にあり、
かつ、比重が2.7以下であることを特徴とする高強度・低比重アルミニウム合金にある(請求項1)。
本発明を完成するに当たっては、アルミニウム合金中に添加する遷移元素の種類によって、耐軟化性に差異が生じることを多数の実験の中から見出し、少なくとも上記構成のAl−Mg−Fe−X−Y(ここに、Xは第1成分群の元素を、Yは第2成分群の元素を意味する。)にすることによって、耐軟化性を確保し、高強度かつ低比重のアルミニウム合金が得られることを見出したのである。
以下に、各元素の含有量限定理由等について説明する。
「Mg:1〜15%」
Mgを含むことにより、固溶硬化による強化を図ることができ、また、適正な熱処理条件との組み合わせによってAl−Mg化合物がアルミニウム母相中に分散することによる分散強化(析出強化を含む)を得ることができる。これにより、低比重でかつ高強度のアルミニウム合金を得ることができる。
Mg含有量が1%未満の場合には、上記の優れた効果が十分に得られず、一方、15%を超える場合には特性が飽和するという問題や、粗大なβ−AlMg晶出物が形成されるという問題が生じる。従って、Mg含有量のより好ましい範囲は、3〜12%である。
「Fe:0.3〜10%」
アルミニウム合金にFeを添加した場合、耐熱性が向上する。また、金属組織的には、Al−Fe系化合物とα−Alとによってラメラ構造を形成するようになるが、上記第1成分群の中から適正元素を添加すると共にMgを添加することによって、上記ラメラ組織を構成するAl−Fe系化合物を断片化することができる。その結果、耐熱性、耐軟化性を保ったまま延性能を向上させることができる。ただし、凝固時の冷却速度が遅い場合、上記第1成分群の元素がアルミニウム母相中にほとんど固溶せず上記の効果が得られない場合があるので、本発明の合金を用いて各種製品を作製する場合には、少なくとも102℃/sec以上の冷却速度で急冷凝固させることが好ましい。
Fe含有量が0.3%未満の場合には、上記の優れた効果が十分に得られず、一方、10%を超える場合には、工業上生産可能な範囲において、粗大なAlFe系晶出物が形成されるようになり、著しく物性を低下させるという問題や、冷却速度に対応して特性が大きく変化するため、生産し難いという問題が生じる。従って、Fe含有量のより好ましい範囲は、0.4〜6%である。
「第1成分群」
V、Cr、Co、Nb、Moからなる第1成分群から1種以上の元素を、個々の含有量が0.2〜8%、第1成分合計含有量(X%)が0.2〜10%の範囲となるよう含有する。
第1成分群の個々の元素の含有量が0.2%未満の場合には、耐軟化性が低下し、また、250℃を越える高温域での強度が得られないという問題があり、一方、8%を超える場合には、粗大なAl−X系晶出物が形成され、靭性を著しく低下させるという問題がある。
第1成分群の元素の合計含有量(X%)が0.2%未満の場合には、耐熱性、耐軟化性が低下するという問題があり、一方、10%を超える場合には、靱性を低下させるという問題がある。
「第2成分元素」
Ti、Zr、Scからなる第2成分群から1種以上の元素を、個々の含有量が0.03〜5%、第2成分合計含有量(Y%)が0.03〜8%の範囲となるよう含有する。第2成分群の元素を添加した場合、鋳塊の組織を微細化するとともに、溶融状態から凝固する際に過飽和固溶したものが、その後の加工、あるいは加熱工程の追加によってアルミニウム母相中に析出し、強度特性を更に向上させる効果を発揮する。
第2成分群の個々の元素の含有量が0.03%未満の場合には、耐熱性、耐軟化性が低下するという問題があり、一方、5%を超える場合には、粗大なAl−Y系晶出物が形成され、靭性が著しく低下するという問題がある。
第2成分群の元素の合計含有量(Y%)が0.03%未満の場合には、十分な耐熱性、耐軟化性が得られないという問題があり、一方、8%を超える場合においても、耐軟化性が低下する場合や靱性が低下する場合があるという問題がある。
また、本発明では、Feの含有量(Fe%)と、上記第1成分群の各元素含有量(x%)と、上記第2成分群の各元素含有量(y%)とが、Fe≧x≧yの関係にある範囲に限定する。Fe<xの場合には、耐軟化性が得られないという問題が生じる。また、Fe<yの場合には、耐熱性の低下とともに、室温での強度も得られないという問題が生じる。また、X<Yの場合には、十分な耐熱性が得られないという問題が生じる。
本発明において、上記第1成分群の元素としては、Cr、Co、Moのうち少なくとも1種することが好ましい(請求項2)。上記第1成分群の元素のうち、特に、Cr、Co、Moは、Feとの共存により高い耐熱性、耐軟化性を有するという理由により好ましい
また、さらに、Si、Cuからなる第3成分群から1種以上の元素を、個々の含有量が2.5%以下、合計含有量が0.5〜2.5%となるよう含有し、かつ、Siを含有する場合には、Mgの含有量(Mg%)と、Siの含有量(Si)とが、Mg/Si≧2.2の関係にあることが好ましい(請求項3)。
上記第3成分群のうちCuを添加した場合には、Al−Cu系化合物及びAl−Cu−Mg系化合物が材料中に分散し、250℃以下の場合の材料強度を高めることができる。
また、Siを添加した場合でも、250℃以下の場合の材料強度を高めることができる。しかしながら、詳細な実験調査の結果、250℃超え400℃以下の高温環境下において高強度で高延性を確保するためには、Mg/Si質量比に制限があることを見出した。すなわち、Siを添加する場合には、Mg/Siを2.2以上にする必要がある。
Mg/Siが2.2未満の場合には、強度、延性共に低下する場合がある。特に、Mg−Si系化合物が安定Mg2Si相としてバランスするMg/Si質量比が約1.7以下の場合には、材料中にMg2Si相及びSi相が分散し、著しく強度、延性を低下させる。また、Mg/Si質量比を2.2以上とすると、Al−Si系合金において問題となる永久成長も極めて小さくなることも見出した。ここでいう永久成長とは、凝固時に固溶したSiが室温から例えば350℃の間の熱サイクルを受けてアルミニウム母相中に析出し、体積膨張する現象である。特に、エンジン構成部材において永久成長が発生すると、初期設定寸法から変化するため、個々の部材のクリアランスが変化したり、あるいは各部材の連結部に応力が発生し、経時的にエンジン性能の低下を招くようになる。
永久成長の発現要因としては、凝固時にAl中に固溶したSiの析出によって生じることが報告されているが、Mg/Si質量比を2.2以上とすることで永久成長を抑制することもできるのである。発明者の調査によれば、Al−Si−Cu系合金(ADC12合金、12mass%Si)のダイキャスト材においては、約0.12%の永久成長が確認されたが、永久成長の主要因であるSiを含む場合でも、Mg/Si質量比を2.2以上とすることで永久成長を0.05%以下に抑えることができた。
また、さらに、Beを0.0005〜0.1%含有することが好ましい(請求項4)。
Beを微量添加すると、Mgの酸化を抑制することができ、Mg酸化物を起点とする破壊を防止することができる。
次に、第2の発明は、上記第1の発明のアルミニウム合金を用いてアルミニウム合金鋳塊を製造する方法であって、
上記アルミニウム合金の組成から決定される液相線温度よりも100〜400℃高い温度域にて溶解して溶湯を形成する溶解工程と、
上記溶湯を102℃/sec以上の冷却速度で冷却して凝固させてアルミニウム合金鋳塊を得る凝固工程とを有することを特徴とするアルミニウム合金鋳塊の製造方法にある(請求項5)。
本発明の方法では、上記の優れた合金を用いて鋳塊を作製する。そのため、上述した効果、すなわち、低比重であると共に耐熱性及び耐軟化性を備えたアルミニウム合金鋳塊を得ることができる。
特に、本発明では、上記溶解工程において、液相線温度よりも100〜400℃高い温度域にて溶解し、細部まで充填可能な流動性のよい溶湯とし、健全な鋳塊を得ることができる。上記の溶解の温度が液相線温度+100℃の温度よりも低い場合には、十分な湯流れ性を得ることができず、鋳塊の内部に巣が形成されるため、健全な鋳塊を得ることができないという問題があり、一方、液相温度+400℃よりも高い場合には、Mgが溶油表面で燃焼あるいは蒸発する。また、形成されるMg酸化物が鋳塊中に混入するおそれがある。
また、上記凝固工程において、凝固時の冷却速度を102℃/sec以上に限定する。これにより、上述したように、第1成分群の元素をアルミニウム母相中に固溶させることができる。また、粗大なAl−Fe系化合物あるいは他の元素を含み構成される晶出相が形成されることを抑制することができ、延性、靱性の低下を防止することができる。耐熱性、強度及び延性のバランスを保つためには、上記のごとく凝固時の冷却速度を102℃/sec以上とすることが必要であり、より好ましくは、102〜103℃/secの範囲の冷却速度とすることがよい。
また、上記凝固工程の後に、上記アルミニウム合金鋳塊に対して、温度150℃〜固相線温度未満の範囲に0.5時間以上保持する熱処理工程を行うことが好ましい(請求項6)。この場合には、含有元素で構成される化合物を均質に析出、分散させ、分散強化による強度upを計ることができる。なお、上記熱処理工程の温度が150℃未満の場合には、安定的に強度を増加させることが難しいという問題があり、一方、固相線温度を超える場合には、材料中に液相が発生するというおそれがある。
また、上記凝固工程の後、上記熱処理工程の前には、均等化処理工程及び上記アルミニウム合金鋳塊を温度300〜500℃の範囲において鍛造加工する鍛造工程を行うことが好ましい(請求項7)。この場合には、加工ひずみと熱の両エネルギーにより、特に高融点なAl−遷移元素系化合物の析出を促進でき、より安定な耐熱性を得ることができるという効果が得られる。なお、上記鍛造工程を行う温度が300℃未満の場合には、十分な変形能が得られず、所定形状に加工できないばかりか、割れが発生するというおそれがあり、一方、500℃を超える場合には、加工時の発熱と合わさって局部溶融し、材料中に空孔が残存するというおそれがある。
なお、上記アルミニウム合金鋳塊は、上記熱処理工程あるいは鍛造工程を追加することによって、そのビッカース硬度HVを100以上に調整することが好ましい。これにより、機能性部材あるいは構造用部材として使用可能な強度、延性を得ることができる。
次に、第3の発明は、上記第1の発明のアルミニウム合金を用いてアルミニウム合金粉末を製造する方法であって、
上記アルミニウム合金の組成から決定される液相線温度よりも300〜600℃高い温度域にて溶解して溶湯を形成する溶解工程と、
上記溶湯を102℃/sec以上の冷却速度で冷却して、粉末状に凝固させてアルミニウム合金粉末を得る粉末形成工程とを有することを特徴とするアルミニウム合金粉末の製造方法にある(請求項8)。
本発明の方法では、上記の優れた合金を用いて粉末を作製する。そのため、上述した効果、すなわち、低比重であると共に耐熱性及び耐軟化性を備えたアルミニウム合金粉末を得ることができる。
特に、本発明でも、上記溶解工程において、液相線温度よりも300〜600℃高い温度域にて溶解し、流動性の高い溶湯を形成することができる。
また、上記粉末形成工程において、凝固時の冷却速度を102℃/sec以上に限定する。これにより、上述したように、第1成分群の元素をアルミニウム母相中に固溶させることができる。そして、これにより、粗大なAl−Fe系化合物あるいは他の元素を含み構成される晶出相が形成されることを抑制することができ、延性、靱性の低下を防止することができる。この場合も、より好ましくは、103〜104℃/secの範囲の冷却速度とすることがよい。
また、上記粉末形成工程は、ガスアトマイズ法又は水アトマイズ法により行うことが好ましい(請求項9)。
上記ガスアトマイズ法は、アルミニウム合金溶湯をタンディッシュにより流出させると同時に、噴霧媒(空気あるいは不活性ガス)のジェットを溶湯流に衝突させ、微細に飛散した溶湯(液滴)を凝固させるという手順によって粉末を形成する方法である。
また、上記水アトマイズ法は、アルミニウム溶湯をタンディッシュより流出させると同時に、水のジェット流を溶湯に衝突させ、急冷凝固させ、比較的非球形な粉末を形成する方法である。
次に、第4の発明は、上記第1の発明のアルミニウム合金を用いてアルミニウム合金リボンを製造する方法であって、
上記アルミニウム合金の組成から決定される液相線温度よりも300〜600℃高い温度域にて溶解して溶湯を形成する溶解工程と、
上記溶湯を103℃/sec以上の冷却速度で冷却して、帯状に凝固させてアルミニウム合金リボンを得るリボン形成工程とを有することを特徴とするアルミニウム合金リボンの製造方法にある(請求項10)。
本発明の方法では、上記の優れた合金を用いてリボンを作製する。そのため、上述した効果、すなわち、低比重であると共に耐熱性及び耐軟化性を備えたアルミニウム合金リボンを得ることができる。
特に、本発明でも、上記溶解工程において、液相線温度よりも300〜600℃高い温度域にて溶解して溶湯を形成する。
また、上記リボン形成工程において、凝固時の冷却速度を103℃/sec以上に限定する。これにより、上述したように、第1成分群の元素をアルミニウム母相中に固溶させることができる。そして、これにより、粗大なAl−Fe系化合物あるいは他の元素を含み構成される晶出相が形成されることを抑制することができ、延性、靱性の低下を防止することができる。この場合も、より好ましくは、104〜106℃/secの範囲の冷却速度とすることがよい。
また、上記リボン形成工程は、単ロール法又は双ロール法により行うことが好ましい(請求項11)。
上記単ロール法は、Al合金溶湯液滴を回転単ロール(銅製)に衝突させ、急冷凝固によりリボン状の急冷凝固材を得る方法である。また、双ロール法は回転ロール(銅製)を対に配置し、両ロールのギャップを任意に調整することで冷却速度を制御することができ、単ロール法と同様にリボン状の急冷凝固材を得る方法である。なお、冷却速度の制御が比較的容易な単ロール法を用いることが望ましく、冷却速度を103℃/sec以上、好ましくは104〜106℃/secの範囲にとする。
なお、上記リボン成形工程にはリボン形状を粉砕する工程も含み、リボン材を成形した後に粉砕、あるいは回転ロールに衝突させる前に、噴霧媒(空気あるいは不活性ガス)のジェット流により断片化した薄片状急冷凝固材を得てもよい。
次に、第5の発明は、上記第3の発明又は第4の発明の製造方法により得られたアルミニウム合金粉末又はアルミニウム合金リボンを素材として用いてアルミニウム合金成形体を製造する方法であって、
上記素材を圧縮成形して圧縮成形体を得る圧縮成形工程と、
上記圧縮成形体を真空中あるいは非酸化雰囲気中で加熱して、少なくとも水酸化物又は/及び水分を取り除く脱ガス工程と、
該脱ガス処理工程を施した上記圧縮成形体に塑性加工を施して所望形状の加工材を得る塑性加工工程とを有することを特徴とするアルミニウム合金成形体の製造方法にある(請求項12)。
本発明の方法では、上述したアルミニウム合金粉末の製造方法により製造した粉末、又は上記アルミニウム合金リボンの製造方法により製造したリボンを素材として用いて、成形体を製造する。
そのため、上述したアルミニウム合金の優れた特性である、低比重であると共に耐熱性及び耐軟化性を備えたアルミニウム合金成形体を得ることができる。
なお、上記リボンを素材として用いる場合には、上記圧縮成形工程の前に、リボンを細かく粉砕するリボン粉砕工程を行うことが好ましい。
また、上記圧縮成形工程では、上記圧縮成形体の相対密度が50〜90%となるように圧縮成形を行うことが好ましい(請求項13)。これにより、後の塑性加工により相対密度の高いAl合金成形体が得られる。一方、圧縮成形工程で得られる圧縮成形体の相対密度が50%未満の場合には、後の塑性加工を経ても十分な緻密化が行えないという問題が生じるおそれがあり、また、90%を超える場合には、大型のプレス設備が必要になる等、生産性の低下やコストアップを招くという問題が生じるおそれがある。
上記圧縮成形の具体的方法としては、例えば、金型成形、冷間静水圧加圧成形(CIP)、熱間静水圧加圧成形(HIP)等の方法がある。
また、上記脱ガス工程では、真空中あるいは非酸化雰囲気において、350℃〜固相線温度未満の温度範囲で加熱して、表面に吸着している、少なくとも水又は/及び水素を取り除くことが好ましい(請求項14)。これにより、ガス成分などが残存せず、過熱時に膨れを生じず、特性低下を招かないという効果が得られる。一方、上記焼結工程を行う温度が350℃未満の場合には、水分を取り除くことができず、また、固相線温度を超える場合には、液相が発生するという問題が生じるおそれがある。
なお、脱ガス工程に要する時間は0.5時間とすることが好ましく、0.5時間未満の場合には、水分を十分に取り除くことができず、特性の低下や膨れの発生を招くおそれがある。
また、上記非酸化雰囲気を形成する不活性ガスとしては、例えば、Ar、He等がある。
また、上記塑性加工工程では、鍛造あるいは押出により、上記圧縮成形体の相対密度が95%以上となるように塑性加工を行うことが好ましい(請求項15)。これにより、緻密化を容易に行うことができる。
また、上記塑性加工工程を行った後に、上記加工材に対して、150℃〜固相線温度未満の温度範囲に0.5時間以上保持して、含有元素からなる金属間化合物を分散させる分散工程を行うことが好ましい(請求項16)。これにより、得られる成形体の強度を安定的に向上させることができる。一方、上記分散工程を行う温度が150℃未満の場合には、安定的に強度を向上させることが難しいという問題が生じるおそれがあり、また、固相線温度を超える場合には、材料内部に液相が発生するという問題が生じるおそれがある。また、上記分散工程における上記温度範囲での保持時間が0.5時間未満の場合には、析出し得る金属間化合物の分布が不均一になるおそれがあり、安定した特性を得ることができないという問題が生じるおそれがある。
なお、この分散工程では、ビッカース硬度HVが100以上となるように行うことが好ましい。これにより、機能性部材あるいは構造用部材として使用可能な強度を得ることができる。また、上記塑性加工により、相対密度の高い、緻密化したAl合金体が得られ、十分な延性能を備えた材料を得ることができる。
(実施形態例1)
本例では、表1〜表5に示すごとく、複数種類の組成を有するアルミニウム合金よりなる鋳塊を作製し、その耐軟化性、比重等を求め、本発明合金の優位性を明らかにした。
まず、本発明のアルミニウム合金よりなる試料(実施例1〜31及び参考例32〜38)について、その成分組成と比重を表1及び表2に示す。
また、比較のために、本発明の成分範囲から外れるアルミニウム合金よりなる試料(比較例1〜73)も準備した。こられの成分組成と比重を表3、表4及び表5に示す。
本例では、図1に示すごとく、すべての試料を鋳造によって作製し、その後、耐軟化性評価のための熱処理を行った。
すなわち、同図に示すごとく、まず鋳塊よりなる各試料を作製するに当たり、各合金の組成から決定される液相線温度よりも100〜400℃高い温度域にて溶解して溶湯を形成する溶解工程S1と、上記溶湯を102℃/sec以上の冷却速度で冷却して凝固させてアルミニウム合金鋳塊を得る凝固工程S2とを行った。なお、凝固工程は、くさび形のキャビティを有する鋳型を用い、すべての評価は同じ部位(冷却速度が同じ部位と想定)により行った。
また、鋳塊作製後の熱処理としては、450℃の温度に1時間保持した後室温まで放冷する焼鈍工程S3と、300℃の温度に100時間保持(例えば、エンジンの走行環境相当の温度域に長時間曝露されたことを想定。)した後に室温まで放冷する加熱工程S4とを行った。
そして、焼鈍工程S3前の鋳塊の硬度HVR1、焼鈍工程S3後の鋳塊の硬度HVR2、及び焼鈍工程S3後に更に加熱工程S4を経た鋳塊の硬度HVR3を測定し、その変化によって耐軟化性の評価を行った。なお、上記HVRn(n:No)は残留硬さと呼され、一般には材料融点の1/2を越えるような高温域に曝されると、残留硬さは大きく低下するようになる。そのような観点から、高温域で長時間曝されても硬さ低下の少ない添加元素の組合せ、添加量を検討した。
耐軟化性は、図2(a)に示すごとく、HVR1<HVR2<HVR3のパターン(パターン1)、及び図2(b)に示すごとく、HVR1<HVR2、HVR1<HVR3、かつHVR2>HVR3のパターン(パターン2)となるものを良好(○)、それ以外の、例えば、図2(c)に示すごとく、HVR>HVR2>HVR3のパターン(パターン3)となるものを不良(×)として判定する。
なお、図2は、横軸にHVR1、HVR2、HVR3の区別を、縦軸にビッカース硬さHVをとったものである。
また、各実施例、参考例及び比較例の耐軟化性の評価結果を、同様の図(図3〜図11)に示すと共に、表6〜表9に示す。
表6、表7及び図3〜図5から知られるように、実施例1〜31及び参考例32〜38の試料は、いずれも、化学組成の調整によって比重が2.70以下であると共に、耐軟化性が上記パターン1又はパターン2の挙動を示しており、低比重と耐久性を兼ね備えた非常に優れたものとなった。
一方、表8及び図6に示す比較例1〜比較例19の結果から知られるように、Al−遷移元素合金において、遷移元素種の組み合わせにより、図2(a)(b)のパターン1、2を示す“上昇系(○)”と、図2(c)のパターン3の“下降系(△)”に分類されることがわかった。なお、比較例64〜73に示すごとく、下降系は汎用のAl合金において観察される現象である。具体的には、上昇系となるのは、Al−Fe−Co合金、Al−Fe−Mo合金、Al−Fe−Cr合金、Al−Fe−V合金、Al−Fe−Nb合金であることがわかる。しかしながら、これらの上昇系の合金は、いずれも比重が大きく、改良が必須であることがわかる。
また、表8及び図7に示す比較例20〜比較例26の結果から知られるように、Al−4mass%Fe基合金においても、Al−Fe−X(V、Cr、Co、Nb、Mo)の組み合わせで耐軟化性が良いことが確認されたが、比重が大きく、改良が必須であることがわかる。
また、表8及び図8に示す比較例27〜比較例43の結果から知られるように、Al−2mass%Fe基合金においても、Al−Fe−X(V、Cr、Co、Nb、Mo)の組み合わせで耐軟化性が良いことが確認されたが、比重が大きく、改良が必須であることがわかる。
また、表9及び図9に示す比較例44〜比較例50の結果から知られるように、Al−1mass%Fe基合金においても、Al−Fe−X(V、Cr、Co、Nb、Mo)の組み合わせで耐軟化性が良いことが確認されたが、比重が大きく、改良が必須であることがわかる。
また、表9及び図10に示す比較例51〜比較例63の結果から知られるように、Fe量よりもX、Y、Zを多くした場合には、初期硬さは高くても、上昇系は認められないことがわかった。また、これらの場合にも、比重が大きく、改良が必須であることもわかる。
また、表9及び図11に示す比較例64〜比較例73の結果から知られるように、Mgを含有する場合であっても、市販材料と同一組成については、加熱により著しく硬さが低下(大きく軟化)することがわかった。また、Al−高Si系合金、Al−Mg2Si合金についても同様であった。
次に、本例では、実施例1〜31及び参考例32〜38に関して、従来のアルミニウム合金の代表として、A2618合金(比較例68)を選択し、これとの比較を目的に、室温での強度及び延性、並びに高温での耐軟化性及び強度を評価した。評価方法は、次のように行った。
<強度>
鋳塊の最も急冷された部分から引張試験片を切り出し、引張試験を行って引張強さを求める。そして、A2618合金の引張強さをaとし、各実施例の引張強さをbとして、c=b/aを求める。このcが0.5以下の場合を評価1、0.5超え0.8以下の場合を評価2、0.8超え1.2以下の場合を評価3、1.2超え1.5以下の場合を評価4、1.5超えの場合を評価5とした。そして、評価3はA2618合金と同等、評価4及び評価5はA2618合金よりも優れていると判定した。
なお、高温の場合には、引張試験片を300℃に保持した状態で引張試験を行った。
<延性>
延性は、引張試験片平行部に設けた標点間距離より、引っ張り試験前後の伸び量より伸び率を評価した。そして、A2618合金の伸び率をdとし、各実施例の伸び率をeとして、f=e/dを求める。このfが0.1以下の場合を評価1、0.1を越え、0.3以下の場合を評価2、0.3を越え、0.6以下の場合
を評価3、0.6を越え1.0以下の場合を評価4、1を超える場合を評価5とした。そして、評価5はA2618合金よりも優れていると判定した。
<耐軟化性>
耐軟化性は、各実施例のHVR1、HVR2、HVR3の変化により評価した。そして、HVR1>HVR2>HVR3で、A2618合金T6材の300℃×100h後のHVRとHVR3との比(HVR3/HVR)が0.5以下になるものを評価1、HVR1>HVR2>HVR3で、HVR3/HVRが0.5を越え、0.9以下となるものを評価2、HVR1>HVR2>HVR3で、A2618合金T6材の300℃×100h後のHVRとHVR3との比(HVR3/HVR)が0.9を越え、1.1以下となるもの、あるいは、HVR1<HVR2かつHVR2>HVR3であり、HVR3/HVRが0.9を越え、1.1以下となる場合を評価3、HVR1<HVR2<HVR3で、HVR3/HVRが1.1を越え、1.3以下となる場合を評価4、HVR1<HVR2<HVR3で、HVR3/HVRが1.3を超える場合を評価5とした。そして、評価3はA2618合金と同等、評価4及び評価5はA2618合金よりも優れていると判定した。
以上の評価結果を表1、表2に示す。
表1、表2より知られるごとく、実施例1〜31及び参考例32〜38は、いずれも、A2618合金と同等以上の特性を有する優れたものであることがわかる。
上述した実施例1〜31及び参考例32〜38からわかるように、ベースとなるAl−Mg−Fe合金に対し、選定した第1成分群(X群:V、Cr、Co、Nb、Mo)、第2成分群(Y群:Ti、Zr、Sc)を添加することで、耐熱性、耐軟化性を損なうことなく、高強度で低比重なAl合金となる。また、必要に応じて、第3の成分群(Si、Cu)またはBeを添加することで、さらにその特性を向上させることもできる。
また、上記組成に対して、熱間加工(押出、圧延、鍛造)と熱処理を施すことで、更に高強度化することも見出した。
そして、従来材(例えば、A2618合金)に比べ、本発明合金の300℃での高温引張強度は同等以上であり、かつ、従来材よりも耐軟化性に優れるため、使用環境(例えば、300℃に長時間曝される)において特性低下が極めて少ない。それ故、本発明の合金は、例えば、ピストン等の自動車部品において好適に利用することができる。
なお、以上の結果から、最適な合金組成は、Al−Mg−Fe−(Co−Mo)−(Zr−Ti)+(Si、Be)であると考えられる。
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(実施形態例2)
本例では、上述した実施例18と同じ組成のアルミニウム合金を用いて、粉末を作製した。具体的には、上記アルミニウム合金の組成から決定される液相線温度よりも500℃高い温度域にて溶解して溶湯を形成する溶解工程と、上記溶湯を102℃/sec以上の冷却速度で冷却して、粉末状に凝固させてアルミニウム合金粉末を得る粉末形成工程とを実施した。本例では、上記粉末形成工程としてガスアトマイズ法を採用し、孔径2mmのアルミナ製ルツボを用い、ノズルから落下した上記アルミニウム合金溶湯に、100kgf/cm2に加圧された窒素ガスを吹き付けることにより行った。なお、窒素ガスに代えて、空気もしくはアルゴンなどの不活性ガスを用いてもよい。
その結果、粉末粒径が150μmのとき冷却速度が1×103℃/S程度のアルミニウム合金粉末(図示略)が得られた。この粉末を素材として用いて、上記アルミニウム合金粉末について150μm未満のものをふるい分け、それに少なくとも、圧縮成形工程と、脱ガス工程と、塑性加工工程とを行うことにより、低比重であると共に耐熱性及び耐軟化性を有する高強度・低比重のアルミニウム合金成形体を得ることができる。
(実施形態例3)
本例では、上述した実施例18と同じ組成のアルミニウム合金を用いて、リボンを作製した。具体的には、Ar雰囲気中にて上記アルミニウム合金の組成から決定される液相線温度よりも500℃高い温度域にて溶解して溶湯を形成する溶解工程と、上記溶湯を103℃/sec以上の冷却速度で冷却して、帯状に凝固させてアルミニウム合金リボンを得るリボン形成工程とを実施した。本例では、上記リボン形成工程として単ロール法を採用し、孔径0.3mmの石英製ノズルを用い、1000rpmあるいは、2500rpmで回転している直径20cmの銅製ロールエに0.5kg/cm2を噴出し、急冷凝固させて、幅1〜2mm、厚さ20μm及び80μmの急冷凝固リボンを作製した。
このリボンを素材として用いて、長さ0.5〜2mm程に分断した後に、そのフレーク状となったリボン材に対して、少なくとも、圧縮成形工程と、脱ガス工程と、塑性加工工程とを行うことにより、低比重であると共に耐熱性及び耐軟化性を有する高強度・低比重のアルミニウム合金成形体を得ることができる。
実施形態例1における、溶解工程、凝固工程、焼鈍工程及び加熱工程と、硬度HVR1〜3の測定タイミングを示す説明図。 実施形態例1における、硬度の挙動の(a)パターン1、(b)パターン2、(c)パターン3を示す説明図。 実施形態例1における、実施例1〜実施例14の耐軟化性を示す説明図。 実施形態例1における、実施例15〜実施例25の耐軟化性を示す説明図。 実施形態例1における、実施例26〜31及び参考例32〜38の耐軟化性を示す説明図。 実施形態例1における、比較例1〜比較例19の耐軟化性を示す説明図。 実施形態例1における、比較例20〜比較例26の耐軟化性を示す説明図。 実施形態例1における、比較例27〜比較例43の耐軟化性を示す説明図。 実施形態例1における、比較例44〜比較例50の耐軟化性を示す説明図。 実施形態例1における、比較例51〜比較例63の耐軟化性を示す説明図。 実施形態例1における、比較例64〜比較例73の耐軟化性を示す説明図。
符号の説明
S1 溶解工程
S2 凝固工程
S3 焼鈍工程
S4 加熱工程

Claims (16)

  1. Mg:〜15%(mass%、以下同様)及びFe:0.3〜%を含有し、
    V、Cr、Co、Nb、Moからなる第1成分群から1種以上の元素を、個々の含有量が0.2〜%、第1成分合計含有量(X%)が、0.2〜%の範囲となるよう含有し、
    Ti、Zr、Scからなる第2成分群から1種以上の元素を、個々の含有量が0.03〜1.5%、第2成分合計含有量(Y%)が0.03〜1.8%の範囲となるよう含有し、残部が不可避的不純物及びアルミニウムよりなり、
    Feの含有量(Fe%)と、上記第1成分群の各元素含有量(x%)と、上記第2成分群の各元素含有量(y%)とが、Fe≧x≧yの関係にあり、
    かつ、比重が2.7以下であることを特徴とする高強度・低比重アルミニウム合金。
  2. 請求項1において、上記第1成分群の元素としては、Cr、Co、Moのうち少なくとも1種することを特徴とする高強度・低比重アルミニウム合金。
  3. 請求項1又は2において、さらに、Si、Cuからなる第3成分群から1種以上の元素を、個々の含有量が2.5%以下、合計含有量が0.5〜2.5%となるよう含有し、かつ、Siを含有する場合には、Mgの含有量(Mg%)と、Siの含有量(Si)とが、Mg/Si≧2.2の関係にあることを特徴とする高強度・低比重アルミニウム合金。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、さらに、Beを0.0005〜0.1%含有することを特徴とする高強度・低比重アルミニウム合金。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金を用いてアルミニウム合金鋳塊を製造する方法であって、
    上記アルミニウム合金の組成から決定される液相線温度よりも100〜400℃高い温度域にて溶解して溶湯を形成する溶解工程と、
    上記溶湯を102℃/sec以上の冷却速度で冷却して凝固させてアルミニウム合金鋳塊を得る凝固工程とを有することを特徴とするアルミニウム合金鋳塊の製造方法。
  6. 請求項5において、上記凝固工程の後に、上記アルミニウム合金鋳塊に対して、温度150℃〜固相線温度未満の範囲に0.5時間以上保持する熱処理工程を行うことを特徴とするアルミニウム合金鋳塊の製造方法。
  7. 請求項6において、上記凝固工程の後、上記熱処理工程の前には、均等化処理工程及び上記アルミニウム合金鋳塊を温度300〜500℃の範囲において鍛造加工する鍛造工程を行うことを特徴とするアルミニウム合金鋳塊の製造方法。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金を用いてアルミニウム合金粉末を製造する方法であって、
    上記アルミニウム合金の組成から決定される液相線温度よりも300〜600℃高い温度域にて溶解して溶湯を形成する溶解工程と、
    上記溶湯を102℃/sec以上の冷却速度で冷却して、粉末状に凝固させてアルミニウム合金粉末を得る粉末形成工程とを有することを特徴とするアルミニウム合金粉末の製造方法。
  9. 請求項8において、上記粉末形成工程は、ガスアトマイズ法又は水アトマイズ法により行うことを特徴とするアルミニウム合金粉末の製造方法。
  10. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルミニウム合金を用いてアルミニウム合金リボンを製造する方法であって、
    上記アルミニウム合金の組成から決定される液相線温度よりも300〜600℃高い温度域にて溶解して溶湯を形成する溶解工程と、
    上記溶湯を103℃/sec以上の冷却速度で冷却して、帯状に凝固させてアルミニウム合金リボンを得るリボン形成工程とを有することを特徴とするアルミニウム合金リボンの製造方法。
  11. 請求項10において、上記リボン形成工程は、単ロール法又は双ロール法により行うことを特徴とするアルミニウム合金リボンの製造方法。
  12. 請求項8〜11のいずれか1項に記載の製造方法により得られたアルミニウム合金粉末又はアルミニウム合金リボンを素材として用いてアルミニウム合金成形体を製造する方法であって、
    上記素材を圧縮成形して圧縮成形体を得る圧縮成形工程と、
    上記圧縮成形体を真空中あるいは非酸化雰囲気中で加熱して、水酸化物又は/及び水分を取り除く脱ガス工程と、
    該脱ガス処理工程を施した上記圧縮成形体に塑性加工を施して所望形状の加工材を得る塑性加工工程とを有することを特徴とするアルミニウム合金成形体の製造方法。
  13. 請求項12において、上記圧縮成形工程では、上記圧縮成形体の相対密度が50〜90%となるように圧縮成形を行うことを特徴とするアルミニウム合金成形体の製造方法。
  14. 請求項12又は13において、上記脱ガス工程では、真空中あるいは非酸化雰囲気において、350℃〜固相線温度未満の温度範囲で加熱して、表面に吸着している水又は/及び水素を取り除くことを特徴とするアルミニウム合金成形体の製造方法。
  15. 請求項12〜14のいずれか1項において、上記塑性加工工程では、鍛造あるいは押出により、上記圧縮成形体の相対密度が95%以上となるように塑性加工を行うことを特徴とするアルミニウム合金成形体の製造方法。
  16. 請求項12〜15のいずれか1項において、上記塑性加工工程を行った後に、上記加工材に対して、150℃〜固相線温度未満の温度範囲に0.5時間以上保持して、含有元素からなる金属間化合物を分散させる分散工程を行うことを特徴とするアルミニウム合金成形体の製造方法。
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