JP2856286B2 - ピストンリング - Google Patents

ピストンリング

Info

Publication number
JP2856286B2
JP2856286B2 JP3731790A JP3731790A JP2856286B2 JP 2856286 B2 JP2856286 B2 JP 2856286B2 JP 3731790 A JP3731790 A JP 3731790A JP 3731790 A JP3731790 A JP 3731790A JP 2856286 B2 JP2856286 B2 JP 2856286B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piston ring
piston
hardness
ring
aluminum alloy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP3731790A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH03244875A (ja
Inventor
達生 藤田
文夫 清田
広典 花岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Riken Corp
Original Assignee
Riken Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Riken Corp filed Critical Riken Corp
Priority to JP3731790A priority Critical patent/JP2856286B2/ja
Publication of JPH03244875A publication Critical patent/JPH03244875A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2856286B2 publication Critical patent/JP2856286B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、内燃機関に用いられる軽量化されたピス
トンリングに関する。
(従来の技術) ピストンリングとしては、一般に鋳鉄製のものが使用
され、一部には高炭素ステンレス鋼などのスチール製の
ものも使用されている。又、ピストンリングにはCrメッ
キ、Mo溶射、フェロクロム溶射などの耐摩耗性、耐焼付
性向上のための表面処理が施されている。
一方、鉄鋼と並らぶ代表的工業材料であるアルミニウ
ムは本来鉄鋼より強度や耐摩耗性が低いために、ピスト
ンリングとしては用いられていない。尤も、近年注目す
べき技術としてアルミニウムの急冷凝固粉末冶金法が実
用化され、この方法により製造される粉末冶金製品を各
種自動車用部品として使用することが検討されている。
その具体例としては、シリンダーライナー、コンロッ
ド、ピストン、シンクロナイザリング(日本金属学会
報、1988年Vol.27,No.6,第491頁)、ピストン、コネク
ティングロッド、シリンダースリーブ、スプリングリテ
ーナー、シンクロナイザリング(前掲第494頁)、シリ
ンダーライナー、バルブガイド(特公昭61−45694号公
報)、コンロッド、ピストン、シリンダー(特公平−20
215号公報)などが検討されている。
また、SiC、Al2O3などのセラミックを複合したアルミ
ニウム基複合材料をコンロッド、ピストン、シリンダー
ライナーなどに使用することも検討されている(日経ニ
ューマテリアル、1989年12月11日号第73頁)。
しかしながら、アルミニウム基材料をピストンリング
に使用するためには、該材料がどのような条件を満たす
べきか、についての検討資料は見られない。これは、ピ
ストンリングが以下述べるように薄肉でありかつ高速で
摺動されるために、ピストンやシリンダーなどのように
厚肉の部品としての要求特性を満たす材料がピストンリ
ングに好適であるとは言えないからである。
ピストンリング一般の性質 エンジンの高速回転化のためには、可動部品の軽量化
が不可欠であるので、ピストンリングの厚さを小さくし
たいという要求がある。これは、ピストンリングが薄く
なった分ピストンの寸法を小さくでき、ピストンリン
グ、ピストン両方での軽量化が期待できるからである。
また、エンジンを高速回転化したとき、ピストンリン
グの重量が大きいと、慣性力によりピストンリングがフ
ラッタリグを起こし、ブローバイが増加するので、この
面からもピストンリングの軽量化が要求されている。
また、ピストンリングは燃焼ガス圧力によりシリンダ
ーに押しつけられるような力を受け、この力によってガ
スをシールしている。しかし、シリンダーの変形等に追
従してしてゆける力を常時維持する必要がある。このた
め、ピストンリングは、自由状態では真円よりも少し開
いた形状に加工され、これをシリンダー内径に沿って弾
性的に真円に閉じて嵌合される。
スチールピストンリングの現状 トップリングに関して言えば、10年前は厚さが1.5〜
2.0mmだったものが、現在では1.5〜1.0mmのものが多く
使われるようになってきている。さらに最近では厚さが
0.8mmあるいは0.6mmのトップリングが要求されている。
ところが、ピストンリングを薄肉化すれば、当然ピス
トンリング溝幅も小さくなり、切削刃物も薄い物を使う
ことになる。すると、ビビリ等が発生しやすくなり、ピ
ストンの加工精度が十分でなく、シール性を損なうこと
となる。このため、現在は0.6mmがスチールリングの厚
さの限界と言われ、これ以上の薄肉化即ち軽量化は不可
能である。
(発明が解決しようとする課題) 従来の鉄系材料に代えて、比重の小さいアルミニウム
合金をピストンリングに使用すると、薄肉化をしないで
軽量化を実現することができると考えられる。スチール
製ピストンリングの摺動面には、Crメッキなどの表面処
理皮膜が通常形成されていることを考慮すれば、アルミ
ニウム製ピストンリングの摺動面に陽極酸化、Crメッ
キ、Ni基メッキ、Fe基メッキ等のAlに対し適用可能な硬
質表面処理を実施することが必要になるであろうから基
地のアルミニウム合金自体には良好な摺動特性を求める
必要はない。しかし、基地の硬度や強度が小さいと、ア
ブレーシブ粒子が摺動面に介在した時など、表面の硬質
表面処理膜が陥没する形で剥離、摩耗することとなるの
で、このような観点からの硬質表面処理膜を支持する機
能が基地のアルミニウム合金に要求される。
上述のようにピストンリングはエンジン内で燃焼ガス
をシールするため、運転時にはその温度が300℃近くま
で昇温する。このため、従来の鋳造法によるアルミニウ
ム合金では、たとえ使用前にT6等の硬化熱処理を実施し
ても、使用時の温度で軟化し、塑性変形してしまい、さ
らに結晶粒子の粗大化等の発生により軟化および塑性変
形の程度は増大する。
ピストンリングはそれ自体の弾性力によるシリンダー
に押しつけられるようにシリンダーへの組付時に、ピス
トンリングの所定数が材料の弾性率に対応して定められ
る。しかし、通常のアルミニウム合金がピストンリング
の作動条件に長時間さらされると、クリープ変形等の塑
性変形により弾力が失われてしまう。
さらに硬度の低下によりピストンリング摺動面の表面
硬化処理による摺動特性を維持することができなくな
る。このように、表面硬化処理を実施することも前提と
したピストンリングとしても、通常のアルミニウム合金
をピストンリングに用いることができなかった。
本発明はこのような状況に鑑みて実施されたもので、
スチールリングにおいて達成された以上の摺動特性を達
成し、大幅に軽量化したピストンリングを提供すること
を目的とする。
(課題を解決するための手段) 本発明は250℃で100時間加熱後の室温での硬度がHRB4
0以上であるようなアルミニウム合金からなり、少なく
ともシリンダーとの摺動表面に硬化表面処理を施した、
ピストンリングに関わる。
ピストンに装着されて、高圧の燃焼ガスをシールしな
がらシリンダー内を高速で上下運動をするピストンリン
グは300℃近くまで温度が上昇し、燃焼生成物等がアブ
レーシブ粒子として摺動面に存在するため、ピストンリ
ングの摺動条件は厳しい。このような厳しい摺動条件に
耐えるためにはピストンリングは母材の材料と表面処理
の両面からの対策が必要になる。後者の対策としては、
少なくともシリンダーとの摺動表面には耐摩耗性、耐焼
付性の向上を目的とした硬質表面処理を施すことが不可
欠となる。さらに、最近の高出力エンジンでは燃焼室内
の温度が高くなり、ピストン溝とピストンリングとのあ
いだの凝着、摩耗が問題となることがあるので、ピスト
ン溝と摺動する部分のピストンリングにも硬質表面処理
を施すことが必要になることもある。
なお、ピストン溝と摺動する部分のピストンリングに
は硬質表面処理に代えて自己潤滑性皮膜処理を施すこと
もできる。
この硬質表面処理皮膜はその使用される条件に応じ
て、Crメッキ、Fe基メッキ、Ni基メッキ等の電解法ある
いは無電解法による湿式メッキ皮膜や、スパッタリング
法あるいはイオンプレーティング法等による金属あるい
はそれらの炭化物、窒化物、酸化物、それらの複合化合
物等の乾式表面処理皮膜から選択することができる。
しかし、このような硬質表面処理を実施しても、下地
となるピストンリング母材の硬度、強度が低いと、下地
の変形により硬質表面処理皮膜が破壊、脱落して優れた
摺動特性を維持することができない。硬質表面処理の耐
摩耗性、耐焼付性向上の効果を維持するためには、下地
アルミニウム合金は少なくとも室温での硬度がHRB40以
上であることが必要である。ここで硬度は高温で長時間
使用されるピストンリングへの適用を検討しているた
め、250℃で100時間加熱された後室温で測定した値を意
味する。また一旦、250℃x100時間の加熱を行い、その
後再び250℃での加熱を行うと硬度は低下する。したが
って、最初の250℃x100時間の加熱後において測定した
硬度(HRB≧40)を本発明の要件とする。
通常の鋳造法によって製造されるアルミニウム合金で
は、銅、マグネシウム等の合金元素を添加し、時効硬化
熱処理を実施することにより、室温での強度、硬度を大
幅に向上させることができる。しかし、200℃を超える
室温に加熱されると、析出物の粗大化が急速に進み、強
度、硬度が低下する。さらに長時間加熱されると組織の
粗大化も進行し、さらに強度、硬度が低下する。そのた
め、250℃に100時間加熱すると、HRB40を超える室温で
の硬度を維持できる合金は得られず、300℃近くまで温
度が上昇するピストンリングには用いることができなか
った。
一方急冷凝固アルミニウム粉末合金は、Fe,Ni,Mn等の
遷移金属を多量に添加すると、高温でも安全な金属間化
合物が微細に分散した組織が得られる。遷移金属として
は、Fe,Cr,Mn,Ti,Mo,Zr,Ni,Co,Ta,Wなどを用いることが
できる。
但しCu,Agは遷移金属であるがAlと合金し易くかつAl
中の拡散係数が高いので、本発明においては必須成分で
はなく任意成分である。また上記以外の遷移元素であ
る、Rb,Sr,Y,Cs〜Hfは比較的希少元素であるため、コス
トの面から使用に不適である。
上記のCuの他にSi,Mgなどを任意成分として本発明の
アルミニウム合金中に添加することができる。Siは共晶
あるいは初晶Siを形成して耐摩耗性を高め、その含有量
は8〜30%である。Cu,Mgは時効成分であり、その含有
量は0.2〜8.0%である。
遷移金属のアルミニウム中の拡散係数は、時効硬化成
分である銅、マグネシウム等に比較すると非常に小さ
く、高温に長時間加熱されても金属間化合物は粗大化を
生じにくい。そのため、金属間化合物による分散強化の
効果は、高温に長時間加熱されてもほとんど変化するこ
とがない。したがって硬質表面処理皮膜の摺動特性もピ
ストンリング使用中に持続されることになる。遷移金属
を多量に添加した組成の急冷凝固アルミニウム粉末合金
であれば、250℃に100時間以上加熱しても室温での強度
HRB40以上のアルミニウム合金を得ることができる。
このようなアルミニウム合金を用いることにより、硬
質表面処理皮膜の耐摩耗性、耐焼付性向上の効果を損な
うことなく大幅に軽量化されたピストンリングを初めて
得ることができる。
急冷凝固アルミニウム粉末冶金合金の製造法はいくつ
か提案されているが、空気アトマイズ法と熱間押出成形
法を組合わせた方法が工業的に実施されている。粉末製
造時の冷却速度が特性に大きく影響するため、コスト的
に許される場合はアトマイズ法よりも冷却速度の大きい
スプラット法を用いることもできる。
ピストンリングは燃焼ガス圧力によりシリンダーに押
しつけられるような力を受け、この力によってガスをシ
ールしている。しかし、シリンダーの変形等に追従して
安定してシールを行うためには、ピストンリング自体の
弾性力によりシリンダーに押しつける力を常時維持する
必要がある。このため、ピストンリングは、自由状態で
は真円よりも少し開いた形状に加工され、これをシリン
ダー内径に沿って弾性的に真円に閉じて嵌合される。高
温に長時間加熱されても硬度の変化しない急冷凝固アル
ミニウム粉末合金でも、高温での耐力は室温の場合より
も小さいため、長時間運転することにより塑性変形を生
じて、張力が低下してしまう。
そこで、シリンダー摺動面と反対側の部分に、バネの
据わりが良くなるように第2図に示すような適当な凹部
10aを設けた、「コ」状にピストンリングを加工し、鉄
基合金、ニッケル基合金、コバルト基合金、チタン基合
金から適宜選択され、ピストンリングのさらされる温度
域では耐力の低下が問題とならない材質によって製作さ
れたバネを前記凹部に組込むことによって、ピストンリ
ングの張力を一定に保ち、シール性を長時間安定して維
持できるようになる。
張力維持のためのバネ形状としては、第3図に示すト
ーションバー型、第4図に示すようなコイル型のものな
どを使用することができる。
バネ11(第3図)の断面形状が丸である必要はなく、
角断面あるいは異形断面形状等、適宜選択することがで
きる。
本発明に係るピストンリングは、トップリング、セカ
ンドリング、オイルリングの何れか一つにも用いられ、
また全部にも用いられる。すなわち、本発明のピストン
リングと従来のピストンリングの組み合わせも可能であ
り、全て本発明のピストンリングとすることができる。
また、本発明のピストンリングをオイルリングに使用
するときは、スチールリングの場合と同様に張力を付与
する必要があり、バネを組込む必要がある。一方、本発
明のピストンリングをトップリングに使用するときは、
バネを組込む必要は必ずしもないが、バネによる張力付
加機構を利用することが好ましい。オイルリングは従来
のスチールリングの場合と同様に組合わせリングとする
ことができる。
また、ピストンリングの寸法は公知の計算公式で計算
される。ここで使用される諸定数のうち急冷凝固アルミ
ニウム合金に特有のものは、弾性率E=7000〜12000kg/
mm2である。その他の諸定数は内燃機関の設計により決
まる。なお、厚さ(T寸法)はスチール製ピストンリン
グと同じでも後者より軽量化を達成することができる。
T寸法=0.6〜1.2mm、すなわち現用ピストンリングのT
寸法と同等以下とすることによりブローバイ量が極めて
少ないピストンリングを提供することができる。
以下、実施例により本発明を詳しく説明する。
(実施例) 空気アトマイズ法により表1中にA〜Jとして組成を
示す急冷凝固粉末(粒度平均45μm)を製造し、冷間静
水圧変形により押出用ビレットを成形した。その後、ア
ルゴン雰囲気中で脱ガスを兼ねた予熱を実施し、熱間間
接押出法(押出温度400℃、押出比約20)により実質的
に真密度の成形体を得た。
表1に各種合金について、T6あるいはO処理を実施
し、その後250℃に100時間加熱した時の室温での硬度を
示す。合金A〜Gは本発明に係る急冷凝固アルミニウム
粉末合金成形体である。H〜Jは通常得られる鋳造合金
の中でも耐熱性に優れた合金を選び、ホットトップ鋳造
法により得られる丸棒を熱間間接押出加工した比較材で
ある。Kはピストンリングに現用のスチール(鋼種SWOS
C−V(弁ばね用シリコンクロム鋼、オイルテンパー
線、硬さHmv≒500)である。
これより、通常の鋳造アルミニウム合金は、250℃100
時間の加熱により大幅に硬度が低下するのに比べ、遷移
金属を多量に添加し、微細な金属間化合物を多量に分散
させた急冷凝固アルミニウム粉末合金は強度の低下が少
ないことがわかる。
さらにO処理状態でも高い硬度が得られるため、O処
理で使用することにより加熱による硬度変化が殆どない
ものを得ることができる。
表1の幾つかの材料について以下説明するような方法
で摺動による表面硬化処理膜の破壊状況の比較を行っ
た。
硬度の低い基地上に表面硬化処理を実施した時に、基
地の変形による皮膜の破壊、脱落による摩耗を再現する
ために、各種材料に、通常のピストンリングに施されて
いるものと同様に、厚さ50μmの硬質Crメッキにクラッ
クがはいる荷重を調査した。使用した摩擦試験機を第5
図に示す。図中、1はステータホルダ、2は円盤、3は
注油孔、4はロータ、5は試験片保持具、6は試験片で
ある。ピストンリング材を5mm×5mmの正方形断面を持つ
ピン状試験片6に加工し、上述の用にCrメッキと熱処理
を施したピンをシリンダーライナー材に相当するFC20の
円盤2と摺動させた。潤滑はエンジンオイルを用い、摺
動速度を5m/秒一定とし、荷重を徐々に大きくしてきな
がら、クラック発生の有無を確認した。この様にして、
Crメッキにクラックが発生しない最大荷重を求めた結果
を現行スチール材にCrメッキを施した時の値と比較して
第1図に示す。
図中、横軸は250℃x100時間加熱後の硬度(HRB)を示
し、縦軸はスチール材を1としたときのクラック発生荷
重(1トン)を示す。
加熱により硬度が大幅に低下し、変形抵抗が小さい鋳
造材(H,J)では低い荷重でクラックが発生している。
一方、加熱後も高硬度を維持している急冷凝固アルミニ
ウム粉末冶金合金(A,C,E,G)は、高い荷重までクラッ
クが発生しないことがわかる。
そして、硬度とクラック発生荷重の関係で見るとHRB4
0以上であれば、現用スチール材の場合とほぼ同程度の
耐荷重性を示すので、ピストンリングおして使用するこ
とができることがわかる。
実機試験 実際のエンジンに本発明によるピストンリングを装着
し、従来の鉄系材料を用いたピストンリングの場合とブ
ローバイ量を比較した。
実機試験に供試したスチールピストンリングは厚み
(B寸法)が1.2、1.5、2.0mmのものであった。
この実機試験では、トップリングの軽量化の効果をは
っきりさせるために、厚みが1.2mmのピストンリングに
ついてトップリングのみについて本発明材と従来材とを
入れ換え、セカンド、オイルリングは同一のものを使用
した。アルミニウム合金製ピストンとして、ここでは表
1中のA(O処理)を用い、厚さ1.2mmのピストンリン
グ形状に加工した後、シリンダーと摺動する外周表面に
Crメッキ(厚み50μm)を施し、他の部分は表面処理を
実施せずに試験に用いた。第6図にはフルロードでのブ
ローバイ量を、第4図にはノーロードでのブローバイ量
を示す。
第6図より、鉄系ピストンリングの厚さ(B寸法)を
小さくしてトップリングの重量を少なくすることによ
り、ブローバイ量が減少していることがわかる。そし
て、アルミニウム合金を用いてさらに軽量化したピスト
ンリングとすることにより、一層ブローバイ量が減少す
ることがわかる。
第7図に示すように、ノーロード条件ではフラッタリ
ングが発生しやすいため、高回転域で急激にブローバイ
量が増加する。しかし、ピストンリングの重量を少なく
するほど高回転域まで少ないブローバイ量が維持され、
ピストンリングの軽量化の効果がわかる。アルミニウム
合金製ピストンリングは、試験後も外観に異常はなく、
摩耗もほとんど認められかなかった。
高温高熱による張力の変化 ピストンリングの張力は、真円に閉じた時の弾性変形
応力によって発生するものであるため、張力は自由状態
での合口隙間の大きさに依存している。そのため、張力
の変化を調べるには、合口隙間の変化を調べれば良いこ
とになる。
ここでは、本発明によるピストンリングの実施例とし
て、表1中のA(O処理)のアルミニウム合金を用いた
第8図に示すピストンリング本体10と、第3図に示すイ
ンコネル750を用いたバネ11を第9図のように組合わせ
た。ピストンリングの形状は自由状態での合口隙間9m
m、真円にとじた状態で外形φ75mm、厚さ1.2mm、高さ3.
1mmの形状、このピストンリングは、スチール製ピスト
ンリングに比較して45%の重量であった。
表面硬化処理はシリンダーと摺動する外周面だけでな
く、ピストン溝と摺動する上下面およびバネと接触する
内周面についても硬質Crメッキを施した。
このピストンリングをピストンの形状を模式したトッ
プリング溝を持つ円盤に組付け、この円盤を内径φ75mm
のシリンダーに相当する円筒に嵌合した。これを、300
℃に加熱保持したオーブン炉に挿入し、10時間加熱後取
り出して室温まで冷却した。
ピストンリングを円筒および円盤より取外し、加熱前
後の自由状態での合口隙間の変化を測定した。同様の試
験をスチールおよび鋳鉄製ピストンリングについて行っ
た。これらの結果を併せて第10図に示す。
図中、スチールおよび鋳鉄の材質は次のとおりであ
る。スチールA:SUS440相当材、スチールB(SWOSC−V
相当材)、鋳鉄A(FCD60相当材)、鋳鉄B(FCD20相当
材)。第10図より、アルミニウム合金製ピストンリング
バネを内周側に組合わせることで、スチールおよび鋳鉄
ピストンリングと同程度の合口隙間減少率のピストンリ
ングが得られ、長時間安定した張力を維持することがで
きることが明らかである。
(発明の作用および効果) 本発明により、所定硬さを有するアルミニウム合金母
材に硬質表面処理を施すことによって、耐摩耗性、耐焼
付性などについては鉄系ピストンリングと同等の特性を
有し、ブローバイガスやフラッタリングについては鉄系
ピストンリングをはるかにしのぐ特性を有するピストン
リングが得られる。アルミニウムは本来耐摩耗性や耐焼
付性は鉄系材料より劣っているが、硬質表面処理と所定
母材の硬度の作用がこれらの特性を良好にする。一方、
アルミニウムは軽量化に適し、ブローバイガスやフラッ
タリングに対しては鉄系材料より適している。硬度を上
述にように特定してもアルミニウムは高温における張力
の減退があり、ピストンリングの特性上好ましくない。
この点は張力の減退を考慮して、ピストンリングの形状
を設計することにより回避はできるが、張力の減退を補
うためのバネを用いることにいより根本的に解決され
る。
【図面の簡単な説明】
第1図はピストンリングの硬度(HRB)とクラック発生
荷重の関係を示すグラフ、 第2図はバネを嵌合する凹部を有するピストンリングの
断面形状を示す図、 第3図および第4図はバネを示す図、 第5図は摩擦試験機の概要を示す一部断面図、 第6図はフルロード試験に供されたピストンリングのB
寸法(厚み)とブローバイ量の関係を示すグラフ、 第7図はノーロード試験について第6図と同様のグラ
フ、 第8図は実施例におけるピストンリングの図、 第9図は実施例においてピストンリングを円盤に組込ん
だ図、 第10図は自由状態での合口隙間減少率を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−140673(JP,A) 特開 平1−216168(JP,A) 特開 昭62−247044(JP,A) 実開 昭53−30008(JP,U) 特公 昭56−36296(JP,B2) 特公 平1−20215(JP,B2) 特公 昭47−7162(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16J 1/00 - 10/04 C22C 21/00 - 21/18

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合金元素としてFe,Cr,Mn,Ti,Mo、Zr及びNi
    からなる群の遷移金属を、単独または2種以上で併せて
    2.5〜20.0wt%含有し、かつ250℃で100時間加熱後の室
    温での高度がHRB40以上であるようなアルミニウム合金
    の少なくともシリンダーとの摺動面に硬質表面処理を施
    すとともに、シリンダーとの摺動面の反対側の部分に張
    力を補うためのバネを組み込んだことを特徴とするピス
    トンリング。
  2. 【請求項2】前記アルミニウム合金がさらに8〜30wt%
    のSiを含有することを特徴とする請求項1記載のピスト
    ンリング。
  3. 【請求項3】前記アルミニウム合金がさらに0.2〜8.0wt
    %のCu及びMgの1種又は2種を含有することを特徴とす
    る請求項1又は2記載のピストンリング。
  4. 【請求項4】厚さ(T寸法)が0.6〜1.2mmであることを
    特徴とする請求項1から3までの何れか1項記載のピス
    トンリング。
JP3731790A 1990-02-20 1990-02-20 ピストンリング Expired - Fee Related JP2856286B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3731790A JP2856286B2 (ja) 1990-02-20 1990-02-20 ピストンリング

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3731790A JP2856286B2 (ja) 1990-02-20 1990-02-20 ピストンリング

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03244875A JPH03244875A (ja) 1991-10-31
JP2856286B2 true JP2856286B2 (ja) 1999-02-10

Family

ID=12494298

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3731790A Expired - Fee Related JP2856286B2 (ja) 1990-02-20 1990-02-20 ピストンリング

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2856286B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4923498B2 (ja) * 2005-09-28 2012-04-25 株式会社豊田中央研究所 高強度・低比重アルミニウム合金

Also Published As

Publication number Publication date
JPH03244875A (ja) 1991-10-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5875702A (en) Swash plate of swash plate compressor and combination of swash plate with shoes
EP0713972B2 (en) Swash plate for a swash plate type compressor
US4989556A (en) Valve spring retainer for valve operating mechanism for internal combustion engine
JP5859440B2 (ja) 内燃機関用の鋼製ピストン
EP3162475B1 (en) Sintered valve seat and method for manufacturing same
US5338168A (en) Oil pump made of aluminum alloys
US5076866A (en) Heat resistant slide member for internal combustion engine
JP2018529015A (ja) 弁座リングおよび弁を含むトライボロジーシステム
JP3304021B2 (ja) 高温耐摩耗性に優れた銅合金
JP4116166B2 (ja) すべり軸受及びその製造方法
JP2552523B2 (ja) 内燃機関のシリンダスリーブとピストンの組合せ
JP4590784B2 (ja) 摺動部材および弁開閉時期制御装置
JP2856286B2 (ja) ピストンリング
JP2732512B2 (ja) アルミニウム合金製バルブリフタ
JP3897416B2 (ja) 粉末アルミ合金製シリンダーライナ
JP2923578B2 (ja) 耐摩耗性アルミニウム合金
JP2924263B2 (ja) 高強度アルミニウム合金製ポンプロータ
JP2003343353A (ja) 内燃機関のシリンダとピストンリングの組み合わせ
JP2000080451A (ja) 耐摩環用焼結体および耐摩環
JP2893658B2 (ja) 焼結A▲l▼合金製摺動部材
JPH04263037A (ja) エンジンおよび乗り物用の構造部材
JP2864279B2 (ja) 摺動部材の組合せ
JPH06235096A (ja) 摺動部材
JPH06323327A (ja) アルミニウム粉末合金製コンロッド
JP3149066B2 (ja) 内燃エンジン用ピストン

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees