以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施の形態において、型締装置については、型閉じを行う際の可動プラテンの移動方向を前方とし、型開きを行う際の可動プラテンの移動方向を後方とし、射出装置については、射出を行う際のスクリューの移動方向を前方とし、計量を行う際のスクリューの移動方向を後方として説明する。
図3は本発明の実施の形態における金型装置及び型締装置の型閉じ時の状態を示す図、図4は本発明の実施の形態における金型装置及び型締装置の型開き時の状態を示す図である。
図において、10は型締装置、Frは射出成形機のフレーム、Gdは、該フレームFr上に敷設されてレールを構成し、型締装置10を支持するとともに、案内する第1の案内部材としての2本のガイド(図においては、2本のガイドGdのうちの1本だけを示す。)、11は、該ガイドGd上に載置され、前記フレームFr及びガイドGdに対して固定された第1の固定部材としての固定プラテンであり、該固定プラテン11と所定の間隔を置いて、かつ、固定プラテン11と対向させて第2の固定部材としてのリヤプラテン13が配設され、前記固定プラテン11とリヤプラテン13との間に4本の連結部材としてのタイバー14(図においては、4本のタイバー14のうちの2本だけを示す。)が架設される。なお、前記リヤプラテン13は、タイバー14が伸縮するのに伴って、ガイドGdに対してわずかに移動することができるように前記ガイドGd上に載置される。
なお、本実施の形態においては、固定プラテン11はフレームFr及びガイドGdに対して固定され、リヤプラテン13はガイドGdに対してわずかに移動することができるようになっているが、リヤプラテン13をフレームFr及びガイドGdに対して固定し、固定プラテン11をガイドGdに対してわずかに移動することができるようにすることができる。
そして、前記タイバー14に沿って固定プラテン11と対向させて第1の可動部材としての可動プラテン12が型開閉方向に進退自在に配設される。そのために、前記可動プラテン12におけるタイバー14と対応する箇所にタイバー14を貫通させるための図示されないガイド穴が形成される。
前記タイバー14の前端部には図示されない第1のねじ部が形成され、前記タイバー14は、前記第1のねじ部とナットn1とを螺合させることによって固定プラテン11に固定される。また、前記各タイバー14の後方の所定の部分には、タイバー14より外径が小さい第2の案内部材としてのガイドポスト21が、リヤプラテン13の後端面から後方に向けて突出させて、かつ、タイバー14と一体に形成される。そして、リヤプラテン13の後端面の近傍には図示されない第2のねじ部が形成され、前記固定プラテン11とリヤプラテン13とは、前記第2のねじ部とナットn2とを螺合させることによって連結される。本実施の形態においては、ガイドポスト21がタイバー14と一体に形成されるようになっているが、ガイドポスト21をタイバー14とは別体に形成することもできる。
また、前記固定プラテン11には第1の金型としての固定金型15が、前記可動プラテン12には第2の金型としての可動金型16がそれぞれ固定され、前記可動プラテン12の進退に伴って固定金型15と可動金型16とが接離させられ、型閉じ、型締め及び型開きが行われる。なお、型締めが行われるのに伴って、固定金型15と可動金型16との間に複数の図示されないキャビティ空間が形成され、射出装置17の射出ノズル18から射出された成形材料としての図示されない樹脂が前記各キャビティ空間に充墳される。また、固定金型15及び可動金型16によって金型装置19が構成される。
そして、前記可動プラテン12と平行に配設された第2の可動部材としての吸着板22が、リヤプラテン13より後方において前記各ガイドポスト21に沿って進退自在に配設され、ガイドポスト21によって案内される。なお、前記吸着板22には、各ガイドポスト21と対応する箇所に、ガイドポスト21を貫通させるためのガイド穴23が形成される。該ガイド穴23は、前端面に開口させられ、ボールナットn2を収容する大径部24、及び吸着板22の後端面に開口させられ、ガイドポスト21と摺動させられる摺動面を備えた小径部25を備える。本実施の形態において、吸着板22は、ガイドポスト21によって案内されるようになっているが、吸着板22を、ガイドポスト21だけでなく、ガイドGdによって案内することもできる。
ところで、前記可動プラテン12を進退させるために、第1の駆動部としての、かつ、型開閉用の駆動部としてのリニアモータ28が、可動プラテン12とフレームFrとの間に配設される。前記リニアモータ28は、第1の駆動要素としての固定子29、及び第2の駆動要素としての可動子31を備え、前記固定子29は、前記フレームFr上において、前記ガイドGdと平行に、かつ、可動プラテン12の移動範囲に対応させて形成され、前記可動子31は、可動プラテン12の下端において、前記固定子29と対向させて、かつ、所定の範囲にわたって形成される。
前記固定子29の長さをLpとし、可動子31の長さをLmとし、可動プラテン12のストロークをLstとしたとき、前記長さLmは、リニアモータ28による最大の推進力に対応させて設定され、前記長さLpは、
Lp>Lm+Lst
にされる。
前記可動子31は、コア34及びコイル35を備える。そして、前記コア34は、固定子29に向けて突出させて、所定のピッチで形成された複数の磁極歯33を備え、前記コイル35は、各磁極歯33に巻装される。なお、前記磁極歯33は可動プラテン12の移動方向に対して直角の方向に、互いに平行に形成される。また、前記固定子29は、図示されないコア、及び該コア上に延在させて形成された図示されない永久磁石を備える。該永久磁石は、N極及びS極の各磁極を交互に、かつ、前記磁極歯33と同じピッチで着磁させることによって形成される。
したがって、前記コイル35に所定の電流を供給することによってリニアモータ28を駆動すると、可動子31が進退させられ、それに伴って、可動プラテン12が進退させられ、型閉じ及び型開きを行うことができる。
なお、本実施の形態においては、固定子29に永久磁石を、可動子31にコイル35を配設するようになっているが、固定子にコイルを、可動子に永久磁石を配設することもできる。その場合、リニアモータ28が駆動されるのに伴って、コイルが移動しないので、コイルに電力を供給するための配線を容易に行うことができる。
ところで、前記可動プラテン12が前進させられて可動金型16が固定金型15に当接すると、型閉じが行われ、続いて、型締めが行われる。そして、型締めを行うために、リヤプラテン13と吸着板22との間に、第2の駆動部としての、かつ、型締め用の駆動部としての二つの電磁石ユニット37a及び37b(以下、総称する場合「電磁石ユニット37」という。)が上下方向に対称に配設される。そして、リヤプラテン13及び吸着板22を貫通して延び、かつ、可動プラテン12と吸着板22とを連結する型締力伝達部材としてのロッド39が進退自在に配設される。該ロッド39は、型閉じ時及び型開き時に、可動プラテン12の進退に連動させて吸着板22を進退させ、型締め時に、電磁石ユニット37によって発生させられた型締力を可動プラテン12に伝達する。
なお、固定プラテン11、可動プラテン12、リヤプラテン13、吸着板22、リニアモータ28、電磁石ユニット37、ロッド39等によって型締装置10が構成される。
前記電磁石ユニット37aは、リヤプラテン13側に形成された第1の駆動部材としての電磁石49a、及び吸着板22側に形成された第2の駆動部材としての吸着部51aから成り、該吸着部51aは、前記吸着板22の前端面の所定の部分、本実施の形態においては、電磁石49aと対向する部分に形成される。また、リヤプラテン13の後端面の所定の部分、本実施の形態においては、前記ロッド39より下方に、水平方向に延在させて二つの溝45aが互いに平行に形成され、各溝45aの間に矩形の形状を有するコア46a、及び他の部分にヨーク47aが形成される。そして、前記コア46aにコイル48aが巻装される。
また、前記電磁石ユニット37bは、リヤプラテン13側に形成された第1の駆動部材としての電磁石49b、及び吸着板22側に形成された第2の駆動部材としての吸着部51bから成り、該吸着部51bは、前記吸着板22の前端面の所定の部分、本実施の形態においては、電磁石49bと対向する部分に形成される。また、リヤプラテン13の後端面の所定の部分、本実施の形態においては、前記ロッド39より上方に、水平方向に延在させて二つの溝45bが互いに平行に形成され、各溝45bの間に矩形の形状を有するコア46b、及び他の部分にヨーク47bが形成される。そして、前記コア46bにコイル48bが巻装される。
なお、以下、電磁石49a及び電磁石49bを総称する場合「電磁石49」という。電磁石ユニット37a及び電磁石ユニット37bの他の構成要素についても、対になっているものを総称する場合、符号の接尾子(a又はb)を削除して記す。
なお、前記コア46及びヨーク47、並びに吸着板22は、強磁性体から成る薄板を積層することによって形成され、電磁積層鋼板を構成する。
本実施の形態においては、リヤプラテン13とは別に電磁石49が、吸着板22とは別に吸着部51が形成されるが、リヤプラテン13の一部として電磁石を、吸着板22の一部として吸着部を形成することもできる。
したがって、電磁石ユニット37において、前記コイル48に電流を供給すると、電磁石49が駆動され、吸着部51を吸着し、前記型締力を発生させることができる。
そして、前記ロッド39は、後端部において吸着板22と連結させて、前端部において可動プラテン12と連結させて配設される。したがって、ロッド39は、型閉じ時に可動プラテン12が前進するのに伴って前進させられて吸着板22を前進させ、型開き時に可動プラテン12が後退するのに伴って後退させられて吸着板22を後退させる。
そのために、前記リヤプラテン13の中央部分に、ロッド39を貫通させるための穴41、及び前記吸着板22の中央部分にロッド39を貫通させるための穴42が形成され、前記穴41の前端部の開口に臨ませて、ロッド39を摺動自在に支持するブッシュ等の軸受部材Br1が配設される。また、前記ロッド39の後端部にねじ43が形成され、該ねじ43と、吸着板22に対して回転自在に支持されたナット44とが螺合させられる。
ところで、型閉じが終了した時点で、吸着板22はリヤプラテン13に近接させられ、リヤプラテン13と吸着板22との間にギャップδが形成されるが、該ギャップδが小さくなりすぎたり、大きくなりすぎたりすると、吸着部51を十分に吸着することができず、型締力が小さくなってしまう。そして、最適なギャップδは、金型装置19の厚さが変化するのに伴って変化する。
そこで、前記ナット44の外周面に図示されない大径のギヤが形成され、前記吸着板22に型厚調整用の駆動部としての図示されない型厚調整用モータが配設され、該型厚調整用モータの出力軸に取り付けられた小径のギヤと、前記ナット44の外周面に形成されたギヤとが噛合させられる。
そして、金型装置19の厚さに対応させて、型厚調整用モータを駆動し、前記ナット44をねじ43に対して所定量回転させると、吸着板22に対するロッド39の位置が調整され、固定プラテン11及び可動プラテン12に対する吸着板22の位置が調整されて、ギャップδを最適な値にすることができる。すなわち、可動プラテン12と吸着板22との相対的な位置を変えることによって、型厚の調整が行われる。
なお、前記型厚調整用モータ、ギヤ、ナット44、ロッド39等によって型厚調整装置が構成される。また、ギヤによって、型厚調整用モータの回転をナット44に伝達する回転伝達部が構成される。そして、ナット44及びねじ43によって運動方向変換部が構成され、該運動方向変換部において、ナット44の回転運動がロッド39の直進運動に変換される。この場合、ナット44によって第1の変換要素が、ねじ43によって第2の変換要素が構成される。
次に、前記構成の型締装置10の動作について説明する。
前記金型装置19の交換に伴い、新しい金型装置19が取り付けられると、まず、金型装置19の厚さに対応させて吸着板22と可動プラテン12との間の距離が変更され、型厚調整が行われる。該型厚調整においては、固定金型15及び可動金型16をそれぞれ固定プラテン11及び可動プラテン12に取り付け、次に、可動金型16を後退させて、金型装置19を開いた状態に置く。
続いて、距離調整工程で、リニアモータ28を駆動し、固定金型15に可動金型16を当接させて型タッチを行う。なお、このとき、型締力は発生させない。この状態で、型厚調整用モータを駆動してナット44を回転させ、リヤプラテン13と吸着板22との距離、すなわち、前記ギャップδを調整し、あらかじめ設定された値にする。
このとき、リヤプラテン13と吸着板22とが接触してもコイル48が破損することがないように、また、コイル48がリヤプラテン13の表面から突出しないように、リヤプラテン13内にコイル48を埋め込む。この場合、リヤプラテン13の表面は、コイル48の損傷防止用のストッパとして機能する。なお、コイル48がリヤプラテン13の表面から突出している場合、リヤプラテン13と吸着板22との間、例えば、リヤプラテン13における吸着板22と対向する面、又は吸着板22におけるリヤプラテン13と対向する面に、図示されない接触防止用ストッパを配設し、リヤプラテン13と吸着板22とが接触してコイル48を破損させることがないようにする。
その後、非図示の制御部は、型開閉処理を行い、型閉じ時に、図4の状態において、コイル35に電流を供給する。続いて、リニアモータ28が駆動され、可動プラテン12が前進させられ、図3に示されるように、可動金型16が固定金型15に当接させられる。このとき、リヤプラテン13と吸着板22との間、すなわち、電磁石49と吸着部51との間には、最適なギャップδが形成される。なお、型閉じに必要とされる力は、型締力と比較されて十分に小さくされる。
続いて、前記制御部は、型締め時に、前記コイル48に電流を供給し、吸着部51を電磁石49の吸着力によって吸着する。それに伴って、吸着板22及びロッド39を介して型締力が可動プラテン12に伝達され、型締めが行われる。さらに、前記ギャップδを形成するための図示されないギャップ調整用ストッパを配設することができる。なお、前記接触防止用ストッパをフレームFrに配設することもできる。
また、前記型締力は荷重検出器55によって検出される。本実施の形態において、荷重検出器55は、4本の各タイバー14に設置され、それぞれのタイバー14の伸び量を検出するセンサが使用される。検出値は前記制御部に送られ、該制御部において、各タイバー14に対する荷重が略均一となるようコイル48に供給される電流が調整され、フィードバック制御が行われる(制御部によるコイル48への電流の調整(フィードバック制御)の詳細については後述する)。この間、射出装置17において溶融させられた樹脂が射出ノズル18から射出され、金型装置19の各キャビティ空間に充墳される。なお、荷重検出器は、ロッド39上に配設されたロードセルの伸び量を検出するように設置してもよい。
そして、各キャビティ空間内の樹脂が冷却されて固化すると、前記制御部は、型開き時に、図3の状態において、前記コイル48に電流を供給するのを停止する。それに伴って、リニアモータ28が駆動され、可動プラテン12が後退させられ、図4に示されるように、可動金型16が後退限位置に置かれ、型開きが行われる。
なお、本実施の形態においては、コア46及びヨーク47、並びに吸着板22の全体が電磁積層鋼板によって構成されるようになっているが、リヤプラテン13におけるコア46の周囲及び吸着部51を電磁積層鋼板によって構成するようにしてもよい。本実施の形態においては、リヤプラテン13の後端面に電磁石49が形成され、該電磁石49と対向させて、吸着板22の前端面に吸着部51が進退自在に配設されるようになっているが、リヤプラテン13の後端面に吸着部を、該吸着部と対向させて、吸着板22の前端面に電磁石を進退自在に配設することができる。
また、本実施の形態においては、前記金型装置19に複数のキャビティ空間が形成され、複数個取りの成形を行うことができるようになっていて、可動プラテン12の後端面におけるロッド39の周囲に、各キャビティ空間ごとに図示されない複数のエジェクタ装置が配設されるようになっている。なお、前記金型装置19に一つのキャビティ空間が形成され、1個取りの成形を行う場合には、エジェクタ装置を可動プラテン12の後端面における中央部分に配設することが好ましい。その場合、ロッド39内にエジェクタ装置が配設される。
また、本実施の形態においては、第1の駆動部としてリニアモータ28が配設されるようになっているが、該リニアモータ28に代えて電動式のモータ、油圧シリンダ等を配設することができる。なお、前記モータを使用する場合、モータを駆動することによって発生させられた回転の回転運動は、運動方向変換部としてのボールねじによって直進運動に変換され、可動プラテン12が進退させられる。
上述したように、本実施の形態における型締装置10は、二つの電磁石49を備えるため、電磁石49が一つの場合に比べて、吸着板22に対する吸着力、ひいては型締力の均一性を向上させることができる。
次に、コイル48に供給する電流の調整を行う制御部の詳細について説明する。
図5は、制御部の第一の例を説明するための図である。図5中、図3と同一部分には同一符号を付し、その説明は適宜省略する。
図5において、(A)は、図3のリヤプラテン13及びコイル48等のX−X断面図である。また、60aは制御部の例を示す。制御部60aは、コントローラ61と、コントローラ61に接続されたドライバ62a及びドライバ62b等より構成される。
コントローラ61は、各荷重検出器55からフィードバックされる、各タイバー14の伸び量(荷重)を示す検出信号に基づいて、コイル48a及び48bに供給する電流値を判定し、その判定結果に基づく制御信号(電流値)をドライバ62a及び62b(以下総称する場合、「ドライバ62」という。)に出力する。
ドライバ62aは、コントローラ61からの制御信号において指令された電流値に相当する電流をコイル48aに供給する。ドライバ62bは、コントローラ61からの制御信号において指令された電流値に相当する電流をコイル48bに供給する。すなわち、本実施の形態において、各コイル48は、それぞれ個別に接続されたドライバ62より電流の供給を受ける。
次に、制御部60aの動作について説明する。この動作は、型閉じ後、型締めが行われる際の動作である。
まず、コントローラ61は、コイル48に供給する電流値を示す制御信号をドライバ62a及びドライバ62bに出力する。この際、コイル48a及びコイル48bの仕様が同一であり、また、ドライバ62a及びドライバ62bが同一の仕様である場合(そのようであることが好ましい)、ドライバ62aに対する制御信号とドライバ62bに対する制御信号は同一の電流値を示す。
続いて、ドライバ62aは、コントローラ61からの制御信号に応じた電流をコイル48aに供給する。同様に、ドライバ62bは、コントローラ61からの制御信号に応じた電流をコイル48bに供給する。
コイル48a及びコイル48bに電流が供給されると、図3に示される電磁石49a及び電磁石49bが駆動される。電磁石49a及び電磁石49bは、吸着板22における吸着部51を吸着し、型締力を発生させる。
型締力の発生に応じ、各タイバー14には荷重がかかる。各荷重検出器55は、当該荷重による各タイバー14の伸び量を検出し、検出信号(検出値)をコントローラ61に出力する。
コントローラ61は、例えば、各荷重検出器55からの4つの検出値について、予め適切な伸び量として設定されている設定値との偏差を算出する。続いて、それぞれ(4つ)の偏差を比較し、比較した値に応じて各タイバー14の伸び量が略均一となるようにコイル48a又はコイル48bに供給すべき電流値を変化させる。すなわち、タイバー14の荷重が弱い側の電磁石49に供給する電流値を大きくする。又は、タイバー14の荷重が強い側の電磁石49に供給する電流値を小さくする。したがって、例えば、上側の2本のタイバー14の荷重が弱い場合は、コイル49bに供給する電流値を大きくしたり、コイル49aに供給する電流値を小さくしたりする。
コントローラ61は、算出した電流値の変化を示す制御信号をドライバ62a若しくはドライバ62b、又はドライバ62a及びドライバ62bの双方に出力する。ドライバ62a若しくはドライバ62b、又はドライバ62a及びドライバ62bの双方は、コントローラ61からの制御信号に応じて、コイル48a又はコイル49bに供給する電流を変化させる。電流の変化によって、少なくともいずれか一方の電磁石49による吸着力が変化し、各タイバー14にかかる荷重も変化する。当該荷重は、再びコントローラ61にフィードバックされ、各タイバー14にかかる荷重にばらつきがある場合は、再度コイル48に供給する電流値がコントローラ61の制御のもとに調整される。
以上のようにして、各タイバー14にかかる荷重が略均一となるように制御される。したがって、装置の組み付け精度が悪い場合や、装置を構成する部材の変更等によってリヤプラテン13と吸着板22との間のギャップの平行度が崩れている場合であっても、吸着板22に対する吸着力の均一性を向上させることができ、ロッド39に対するモーメントの発生を抑制させることができる。したがって、型締力の安定性及びバランス良さを更に向上させることができる。
また、本実施の形態における型締装置10は、少なくとも二つのコイル48を備え、それぞれのコイル48ごとに個別にドライバ62が接続されるため、定格型締力を同じくする場合のコストを低減させることができる。すなわち、コイル48が一つしかない従来のような構成の場合に、当該コイル48には一つのドライバ62が接続されるのが一般的である。この場合、コイル48が二つあり、それぞれにドライバ62が接続される場合に比べて、同一の型締力を得るためには約2倍の容量のドライバ62が必要とされる。一般的に、ドライバの価格は、ある程度の容量から先は指数関数的に増加する傾向にある。したがって、容量の小さいドライバを複数用いて同一の型締力を発生させる方が、より経済的であるといえる。
なお、コントローラ61に表示モニタ(ディスプレイ)63を接続し、センサ55からの検出値や、ドライバ62a及びドライバ62bに供給させている電流値等を表示モニタ63に表示させるようにしてもよい。更に、表示モニタ63に表示された情報を閲覧した作業員に、コイル48a又はコイル48bに対する電流値を変化させるための指示を入力させてもよい。この場合、コントローラ61は、作業員からの入力指示に応じた制御信号をドライバ62に出力する。したがって、作業員の手動によって吸着板22に対する吸着力を略均一化させることができる。
ところで、図5においては、複数のドライバ62を共通のコントローラ61が制御する例を示したが、各ドライバ62を個別のコントローラによって制御してもよい。
図6は、制御部の第二の例を説明するための図である。図6中、図5と同一部分には同一符号を付し、その説明は適宜省略する。
図6における制御部60bではドライバ62aにサーボコントローラ64a及びサーボコントローラ64bが接続され、ドライバ62bにサーボコントローラ64a及びサーボコントローラ64bが接続されている。サーボコントローラ64a及びサーボコントローラ64bは、共通の上位制御装置のコントローラ61に接続されている。これによって、サーボコントローラ64a及び64bの同期が制御される。
コントローラ61は、各荷重検出器55からフィードバックされる検出信号に基づいて、コイル48a及び48bに供給する電流値を判定し、その判定結果に基づく動作指令(電流値)をサーボコントローラ64a及び64b(以下総称する場合、「サーボコントローラ64」という。)に出力する。
サーボコントローラ64aは、正常動作中は、コントローラ61より指令された電流値を示す制御信号をドライバ62aのみに出力する。サーボコントローラ64bは、正常動作中は、コントローラ61より指令された電流値を示す制御信号をドライバ62bのみに出力する。すなわち、正常動作中は、ドライバ62aはサーボコントローラ64aによって、ドライバ62bはサーボコントローラ64aによって制御される。
他の動作(フィードバック制御等)については、図5と同様であるため、ここでの説明は省略する。
ところで、図6のように、それぞれのドライバ62が別個のサーボコントローラ64によって制御される場合、いずれかの電気回路が故障し、当該サーボコントローラ64に接続されているドライバ62が制御できなくなると、コントローラ61が意図した電流を当該コイル48に供給することができなくなってしまう。そうすると、各電磁石49の吸着力に大きな際が生じ吸着版22とリヤプラテン13との平行度を崩してしまうことになりかねない。更には、固定金型15及び可動金型16を衝突させ、破損させてしまうことも考えられる。
そこで、本実施の形態におけるサーボコントローラ64は、それぞれに自己診断回路を有している。自己診断回路としては電子サーマル等を用いてもよいし、他の装置を用いてもよい。
いずれか一方のサーボコントローラ64の自己診断回路が異常を検出した場合であって、その異常が、ドライバ62に対する電流値の制御信号の出力に影響を及ぼすものであるよう場合、当該サーボコントローラ64から他方サーボコントローラ64に対して異常信号が出力される。異常信号を受け取ったサーボコントローラ64は、正常動作状態において自らが制御するドライバ62だけでなく、他方のドライバ62に対しても電流の供給を停止するよう制御信号を出力する。ドライバ62a及び62bの双方は、当該制御信号に基づいて、コイル48への電流の供給を停止させる。これによって、二つの電磁石49a及び49bの駆動は停止する。
このように、本実施の形態における制御部62bによれば、いずれか一方の電気回路において異常が発生した場合に、双方の電磁石の駆動を速やか停止させるため、いずれか一方の電磁石のみが制御不能となることによる不都合を回避することができる。
また、ドライバ62中には図示しないパワーモジュールが備えられている。このパワーモジュールによって、コイル48へ流す電流量がサーボコントローラ64より送信される制御信号に基づいて制御される。しかしながら、スイッチング機能により電流量を制御するため、電気回路中で最も異常が生じやすい個所でもある。このため、自己診断機能をパワーモジュールに備えるようにしてもよい。この場合、パワーモジュールへ流される電流が過電圧か、過電流かを判断し、異常判断を行う。異常が検出された場合には、サーボコントローラ64へ異常信号が送信され、異常信号を受信したサーボコントローラ64は停止信号をドライバ62へ送信するとともに、他方のサーボコントローラ64へ異常信号を送信し、両方のコイル48への電流の印加を停止させる。
さらに、ドライバ62中のパワーモジュールに異常検出機能を備える場合には、ドライバ62を互いに接続して、異常信号をドライバ62間で送受信することもできる。
なお、上記においては、電磁石49が二つ配設された例について説明したが、吸着力の均一化という観点に照らして、配設される電磁石49は、3つ又は4つであってもよいし、更にそれ以上であってもよい。但し、偶数である方が、装置構成が複雑になるのを回避するという観点からは好ましい。
例えば、図7は、電磁石を4つ備えた場合の図3のリヤプラテン及びコイル等のX−X断面図である。図7中、図3と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
図7では、リヤプラテン13に四つの溝46a〜46dが設けられ、それぞれのコア46a〜46dに、コイル48a〜48dが巻装されている。すなわち、4つの電磁石が実装されている。この場合、4つの電磁石の磁極が上下左右方向に対称となるように構成されることが好ましい。
なお、制御部61a又は61bによるフィードバック制御の際には、それぞれのコイル48ごとにドライバ62が接続され、更にそれぞれのドライバ62は、コントローラ61又はサーボコントローラ64によって制御される。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。