JP4782643B2 - 型締装置 - Google Patents

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Description

本発明は、型締装置に関し、特に電磁石を保持する電磁石保持部材と前記電磁石保持部材に対向する吸着部材との吸着力によって型締力を発生させる型締装置に関する。
従来、射出成形機においては、樹脂を射出装置の射出ノズルから射出して固定金型と可動金型との間のキャビティ空間に充填(てん)し、固化させることによって成形品を得るようになっている。そして、前記固定金型に対して可動金型を移動させて型閉じ、型締め及び型開きを行うために型締装置が配設される。
該型締装置には、油圧シリンダに油を供給することによって駆動される油圧式の型締装置、及び電動機によって駆動される電動式の型締装置があるが、該電動式の型締装置は、制御性が高く、周辺を汚すことがなく、かつ、エネルギー効率が高いので、多く利用されている。この場合、電動機を駆動することによってボールねじを回転させて推力を発生させ、該推力をトグル機構によって拡大し、大きな型締力を発生させるようにしている。
ところが、前記構成の電動式の型締装置においては、トグル機構を使用するようになっているので、該トグル機構の特性上、型締力を変更することが困難であり、応答性及び安定性が悪く、成形中に型締力を制御することができない。そこで、ボールねじによって発生させられた推力を直接型締力として使用することができるようにした型締装置が提供されている。この場合、電動機のトルクと型締力とが比例するので、成形中に型締力を制御することができる。
しかしながら、前記従来の型締装置においては、ボールねじの耐荷重性が低く、大きな型締力を発生させることができないだけでなく、電動機に発生するトルクリップルによって型締力が変動してしまう。また、型締力を発生させるために、電動機に電流を常時供給する必要があり、電動機の消費電力量及び発熱量が多くなるので、電動機の定格出力をその分大きくする必要があり、型締装置のコストが高くなってしまう。
そこで、型開閉動作にはリニアモータを使用し、型締動作には電磁石の吸着力を利用した型締装置が考えられる(例えば、特許文献1)。
国際公開第05/090052号パンフレット
しかしながら、特許文献1に記載された型締装置では、磁極を発生させる部材とその吸着板(特許文献1におけるリヤプラテンと吸着板)との対向する面の形状は同一又は略同一であり、両者は上下左右方向にずれなく配置されることが力の効率上好ましいが、装置の組み付け誤差等によって、両者が上下又は左右方向に相対的にずれて組み付けられてしまう可能性がある。
図1は、リヤプラテンと吸着板とが上下方向に相対的にずれている様子を示す図である。図1では、吸着板522とリヤプラテン523との間にずれaが生じている様子が示されている。このようなずれが生じた場合、上下方向における磁束の対称性が崩れ、吸着板522にモーメントが生じ、吸着板522が傾いてしまう可能性が考えられる。
図2は、吸着板が傾くことによる問題点を説明するための図である。図2中、図1と同一部分には同一符号を付している。
図2において、510は型締装置、519は金型装置を示す。型締装置510は、上記リヤプラテン522及び吸着板513の他、固定プラテン511、可動プラテン512、及び可動プラテン512と吸着板22とを連結する型締力伝達部材としてのロッド539等を有する。
また、金型装置519は、固定プラテン511に固定された固定金型515と、可動プラテン512に固定された可動金型516とより構成される。
図2の型締め装置510では、コイル548を含む電磁石によって吸着板522に働く吸着力がロッド539によって可動プラテン512に伝達され、型締めが行われる。このような構成において、吸着板522が傾いたまま型締めが行われると、ロッド539にモーメントが生じ、可動プラテン512も破線で示されるように変形する可能性がある。その結果、可動金型16も破線で示されるように変形してしまい、定格の型締力が得られないだけでなく、成形品の形状にも影響を与えかねないという可能性が考えられる。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、電磁石を保持する部材とその吸着部材とのずれによる型締力への影響を緩和させることのできる型締装置の提供を目的とする。
そこで上記課題を解決するため、本発明は、電磁石を保持する電磁石保持部材と前記電磁石保持部材に対向する吸着部材との吸着力によって型締力を発生させる型締装置であって、前記電磁石保持部材及び前記吸着板のいずれか一方は、その対向面が他方の対向面より拡大されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記吸着部材は、前記電磁石保持部材との対称性を維持するための補正部材の付加が可能であることを特徴とする。
また、本発明は、前記補正部材は、前記電磁石保持部材と予め一体化されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記吸着部材の対向面は、前記電磁石保持部材の対向面よりも拡大されていることを特徴とする。
また、本発明は、前記吸着部材の対向面は、前記電磁石保持部材と前記吸着板とのずれを解消する方向に所定量延長されていることを特徴とする。
本発明によれば、電磁石を保持する部材とその吸着部材とのずれによる型締力への影響を緩和させることのできる型締装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施の形態において、型締装置については、型閉じを行う際の可動プラテンの移動方向を前方とし、型開きを行う際の可動プラテンの移動方向を後方とし、射出装置については、射出を行う際のスクリューの移動方向を前方とし、計量を行う際のスクリューの移動方向を後方として説明する。
図3は本発明の実施の形態における金型装置及び型締装置の型閉じ時の状態を示す図、図4は本発明の実施の形態における金型装置及び型締装置の型開き時の状態を示す図である。
図において、10は型締装置、Frは射出成形機のフレーム、Gdは、該フレームFr上に敷設されてレールを構成し、型締装置10を支持するとともに、案内する第1の案内部材としての2本のガイド(図においては、2本のガイドGdのうちの1本だけを示す。)、11は、該ガイドGd上に載置され、前記フレームFr及びガイドGdに対して固定された第1の固定部材としての固定プラテンであり、該固定プラテン11と所定の間隔を置いて、かつ、固定プラテン11と対向させて第2の固定部材としてのリヤプラテン13が配設され、前記固定プラテン11とリヤプラテン13との間に4本の連結部材としてのタイバー14(図においては、4本のタイバー14のうちの2本だけを示す。)が架設される。なお、前記リヤプラテン13は、タイバー14が伸縮するのに伴って、ガイドGdに対してわずかに移動することができるように前記ガイドGd上に載置される。
なお、本実施の形態においては、固定プラテン11はフレームFr及びガイドGdに対して固定され、リヤプラテン13はガイドGdに対してわずかに移動することができるようになっているが、リヤプラテン13をフレームFr及びガイドGdに対して固定し、固定プラテン11をガイドGdに対してわずかに移動することができるようにすることができる。
そして、前記タイバー14に沿って固定プラテン11と対向させて第1の可動部材としての可動プラテン12が型開閉方向に進退自在に配設される。そのために、前記可動プラテン12におけるタイバー14と対応する箇所にタイバー14を貫通させるための図示されないガイド穴が形成される。
前記タイバー14の前端部には図示されない第1のねじ部が形成され、前記タイバー14は、前記第1のねじ部とナットn1とを螺合させることによって固定プラテン11に固定される。また、前記各タイバー14の後方の所定の部分には、タイバー14より外径が小さい第2の案内部材としてのガイドポスト21が、リヤプラテン13の後端面から後方に向けて突出させて、かつ、タイバー14と一体に形成される。そして、リヤプラテン13の後端面の近傍には図示されない第2のねじ部が形成され、前記固定プラテン11とリヤプラテン13とは、前記第2のねじ部とナットn2とを螺合させることによって連結される。本実施の形態においては、ガイドポスト21がタイバー14と一体に形成されるようになっているが、ガイドポスト21をタイバー14とは別体に形成することもできる。
また、前記固定プラテン11には第1の金型としての固定金型15が、前記可動プラテン12には第2の金型としての可動金型16がそれぞれ固定され、前記可動プラテン12の進退に伴って固定金型15と可動金型16とが接離させられ、型閉じ、型締め及び型開きが行われる。なお、型締めが行われるのに伴って、固定金型15と可動金型16との間に複数の図示されないキャビティ空間が形成され、射出装置17の射出ノズル18から射出された成形材料としての図示されない樹脂が前記各キャビティ空間に充墳される。また、固定金型15及び可動金型16によって金型装置19が構成される。
そして、前記可動プラテン12と平行に配設された第2の可動部材としての吸着板22が、リヤプラテン13より後方において前記各ガイドポスト21に沿って進退自在に配設され、ガイドポスト21によって案内される。なお、前記吸着板22には、各ガイドポスト21と対応する箇所に、ガイドポスト21を貫通させるためのガイド穴23が形成される。該ガイド穴23は、前端面に開口させられ、ボールナットn2を収容する大径部24、及び吸着板22の後端面に開口させられ、ガイドポスト21と摺動させられる摺動面を備えた小径部25を備える。本実施の形態において、吸着板22は、ガイドポスト21によって案内されるようになっているが、吸着板22を、ガイドポスト21だけでなく、ガイドGdによって案内することもできる。
ところで、前記可動プラテン12を進退させるために、第1の駆動部としての、かつ、型開閉用の駆動部としてのリニアモータ28が、可動プラテン12とフレームFrとの間に配設される。前記リニアモータ28は、第1の駆動要素としての固定子29、及び第2の駆動要素としての可動子31を備え、前記固定子29は、前記フレームFr上において、前記ガイドGdと平行に、かつ、可動プラテン12の移動範囲に対応させて形成され、前記可動子31は、可動プラテン12の下端において、前記固定子29と対向させて、かつ、所定の範囲にわたって形成される。
前記固定子29の長さをLpとし、可動子31の長さをLmとし、可動プラテン12のストロークをLstとしたとき、前記長さLmは、リニアモータ28による最大の推進力に対応させて設定され、前記長さLpは、
Lp>Lm+Lst
にされる。
前記可動子31は、コア34及びコイル35を備える。そして、前記コア34は、固定子29に向けて突出させて、所定のピッチで形成された複数の磁極歯33を備え、前記コイル35は、各磁極歯33に巻装される。なお、前記磁極歯33は可動プラテン12の移動方向に対して直角の方向に、互いに平行に形成される。また、前記固定子29は、図示されないコア、及び該コア上に延在させて形成された図示されない永久磁石を備える。該永久磁石は、N極及びS極の各磁極を交互に、かつ、前記磁極歯33と同じピッチで着磁させることによって形成される。
したがって、前記コイル35に所定の電流を供給することによってリニアモータ28を駆動すると、可動子31が進退させられ、それに伴って、可動プラテン12が進退させられ、型閉じ及び型開きを行うことができる。
なお、本実施の形態においては、固定子29に永久磁石を、可動子31にコイル35を配設するようになっているが、固定子にコイルを、可動子に永久磁石を配設することもできる。その場合、リニアモータ28が駆動されるのに伴って、コイルが移動しないので、コイルに電力を供給するための配線を容易に行うことができる。
ところで、前記可動プラテン12が前進させられて可動金型16が固定金型15に当接すると、型閉じが行われ、続いて、型締めが行われる。そして、型締めを行うために、リヤプラテン13と吸着板22との間に、第2の駆動部としての、かつ、型締め用の駆動部としての電磁石ユニット37が配設される。そして、リヤプラテン13及び吸着板22を貫通して延び、かつ、可動プラテン12と吸着板22とを連結する型締力伝達部材としてのロッド39が進退自在に配設される。該ロッド39は、型閉じ時及び型開き時に、可動プラテン12の進退に連動させて吸着板22を進退させ、型締め時に、電磁石ユニット37によって発生させられた型締力を可動プラテン12に伝達する。
なお、固定プラテン11、可動プラテン12、リヤプラテン13、吸着板22、リニアモータ28、電磁石ユニット37、ロッド39等によって型締装置10が構成される。
前記電磁石ユニット37は、リヤプラテン13側に形成された第1の駆動部材としての電磁石49、及び吸着板22側に形成された第2の駆動部材としての吸着部51から成り、該吸着部51は、前記吸着板22の前端面の所定の部分、本実施の形態においては、吸着板22において前記ロッド39を包囲し、かつ、電磁石49と対向する部分に形成される。また、リヤプラテン13の後端面の所定の部分、本実施の形態においては、前記ロッド39よりわずかに上方及び下方に、水平方向に延在させてコイル配設部としての二つの溝45が互いに平行に形成され、各溝45間に矩形の形状を有するコア46、及び他の部分にヨーク47が形成される。そして、前記コア46にコイル48が巻装される。
なお、前記コア46及びヨーク47、並びに吸着板22は、強磁性体から成る薄板を積層することによって形成され、電磁積層鋼板を構成する。
本実施の形態においては、リヤプラテン13とは別に電磁石49が、吸着板22とは別に吸着部51が形成されるが、リヤプラテン13の一部として電磁石を、吸着板22の一部として吸着部を形成することもできる。
したがって、電磁石ユニット37において、前記コイル48に電流を供給すると、電磁石49が駆動され、吸着部51を吸着し、前記型締力を発生させることができる。
そして、前記ロッド39は、後端部において吸着板22と連結させて、前端部において可動プラテン12と連結させて配設される。したがって、ロッド39は、型閉じ時に可動プラテン12が前進するのに伴って前進させられて吸着板22を前進させ、型開き時に可動プラテン12が後退するのに伴って後退させられて吸着板22を後退させる。
そのために、前記リヤプラテン13の中央部分に、ロッド39を貫通させるための穴41、及び前記吸着板22の中央部分にロッド39を貫通させるための穴42が形成され、前記穴41の前端部の開口に臨ませて、ロッド39を摺動自在に支持するブッシュ等の軸受部材Br1が配設される。また、前記ロッド39の後端部にねじ43が形成され、該ねじ43と、吸着板22に対して回転自在に支持された型厚調整機構としてのナット44とが螺合させられる。
ところで、型閉じが終了した時点で、吸着板22はリヤプラテン13に近接させられ、リヤプラテン13と吸着板22との間にギャップδが形成されるが、該ギャップδが小さくなりすぎたり、大きくなりすぎたりすると、吸着部51を十分に吸着することができず、型締力が小さくなってしまう。そして、最適なギャップδは、金型装置19の厚さが変化するのに伴って変化する。
そこで、前記ナット44の外周面に図示されない大径のギヤが形成され、前記吸着板22に型厚調整用の駆動部としての図示されない型厚調整用モータが配設され、該型厚調整用モータの出力軸に取り付けられた小径のギヤと、前記ナット44の外周面に形成されたギヤとが噛合させられる。
そして、金型装置19の厚さに対応させて、型厚調整用モータを駆動し、前記ナット44をねじ43に対して所定量回転させると、吸着板22に対するロッド39の位置が調整され、固定プラテン11及び可動プラテン12に対する吸着板22の位置が調整されて、ギャップδを最適な値にすることができる。すなわち、可動プラテン12と吸着板22との相対的な位置を変えることによって、型厚の調整が行われる。
なお、前記型厚調整用モータ、ギヤ、ナット44、ロッド39等によって型厚調整装置が構成される。また、ギヤによって、型厚調整用モータの回転をナット44に伝達する回転伝達部が構成される。そして、ナット44及びねじ43によって運動方向変換部が構成され、該運動方向変換部において、ナット44の回転運動がロッド39の直進運動に変換される。この場合、ナット44によって第1の変換要素が、ねじ43によって第2の変換要素が構成される。
次に、前記構成の型締装置10の動作について説明する。
前記金型装置19の交換に伴い、新しい金型装置19が取り付けられると、まず、金型装置19の厚さに対応させて吸着板22と可動プラテン12との間の距離が変更され、型厚調整が行われる。該型厚調整においては、固定金型15及び可動金型16をそれぞれ固定プラテン11及び可動プラテン12に取り付け、次に、可動金型16を後退させて、金型装置19を開いた状態に置く。
続いて、距離調整工程で、リニアモータ28を駆動し、固定金型15に可動金型16を当接させて型タッチを行う。なお、このとき、型締力は発生させない。この状態で、型厚調整用モータを駆動してナット44を回転させ、リヤプラテン13と吸着板22との距離、すなわち、前記ギャップδを調整し、あらかじめ設定された値にする。
このとき、リヤプラテン13と吸着板22とが接触してもコイル48が破損することがないように、また、コイル48がリヤプラテン13の表面から突出しないように、リヤプラテン13内にコイル48を埋め込む。この場合、リヤプラテン13の表面は、コイル48の損傷防止用のストッパとして機能する。
その後、図示されない制御部の型開閉処理手段は、型開閉処理を行い、型閉じ時に、図4の状態において、コイル35に電流を供給する。続いて、リニアモータ28が駆動され、可動プラテン12が前進させられ、図3に示されるように、可動金型16が固定金型15に当接させられる。このとき、リヤプラテン13と吸着板22との間、すなわち、電磁石49と吸着部51との間には、最適なギャップδが形成される。なお、型閉じに必要とされる力は、型締力と比較されて十分に小さくされる。
続いて、前記型開閉処理手段は、型締め時に、前記コイル48に電流を供給し、吸着部51を電磁石49の吸着力によって吸着する。それに伴って、吸着板22及びロッド39を介して型締力が可動プラテン12に伝達され、型締めが行われる。
また、前記型締力は図示されない荷重検出器によって検出され、検出された型締力は前記制御部に送られ、該制御部において、型締力が設定値になるようにコイル48に供給される電流が調整され、フィードバック制御が行われる。この間、射出装置17において溶融させられた樹脂が射出ノズル18から射出され、金型装置19の各キャビティ空間に充墳される。なお、前記荷重検出器として、ロッド39上に配設されたロードセル、タイバー14の伸び量を検出するセンサ等を使用することができる。
そして、各キャビティ空間内の樹脂が冷却されて固化すると、前記型開閉処理手段は、型開き時に、図3の状態において、前記コイル48に電流を供給するのを停止する。それに伴って、リニアモータ28が駆動され、可動プラテン12が後退させられ、図4に示されるように、可動金型16が後退限位置に置かれ、型開きが行われる。
なお、本実施の形態においては、コア46及びヨーク47、並びに吸着板22の全体が電磁積層鋼板によって構成されるようになっているが、リヤプラテン13におけるコア46の周囲及び吸着部51を電磁積層鋼板によって構成するようにしてもよい。本実施の形態においては、リヤプラテン13の後端面に電磁石49が形成され、該電磁石49と対向させて、吸着板22の前端面に吸着部51が進退自在に配設されるようになっているが、リヤプラテン13の後端面に吸着部を、該吸着部と対向させて、吸着板22の前端面に電磁石を進退自在に配設することができる。
また、本実施の形態では薄板からなる積層板を用いた例を示したが、一の部材からなる鉄心でコア46及びヨーク47を形成するようにしてもよい。
また、本実施の形態においては、第1の駆動部としてリニアモータ28が配設されるようになっているが、該リニアモータ28に代えて電動式のモータ、油圧シリンダ等を配設することができる。なお、前記モータを使用する場合、モータを駆動することによって発生させられた回転の回転運動は、運動方向変換部としてのボールねじによって直進運動に変換され、可動プラテン12が進退させられる。
吸着板22とリヤプラテン13とについて更に詳しく説明する。図5は、第一の実施の形態における吸着板とリヤプラテンとの構成例を示す図である。
図5において吸着板22の上面には、補正部材としてのシム板(厚さ数ミリ程度の鉄の薄板)の積層及び固定が可能とされている。すなわち、参照番号60は、シム板の積層を示す。吸着板22にシム板を重ねることが可能されることにより、吸着板22とリヤプラテン13との間に組み付け誤差等によって上下方向にずれが生じ、磁束の対称性が崩れた場合であっても、そのずれを補正することができ磁束の対称性を回復又は確保することができる。
図5においても、吸着板22とリヤプラテン13との間に、上下方向にずれbが生じた場合が示されている。このような場合に、吸着板22を中心線lを基準として上下方向に対称となるように、すなわち、h1とh2との値が等しくなるようにシム板を積層することにより、吸着板22のリヤプラテン13に対する対称性を確保することができる。したがって、対称性の確保の容易化という観点より、シム板における吸着板22又は他のシム板との接触面の形状は、吸着板22の上面の形状と同一又は略同一であることが望ましい。吸着板22の対称性が回復されれば、ロッド39を挟んで上下に配置された電磁石49による磁束の上下方向の対称性を回復することができ、吸着板22にモーメントが発生するのを防止することができる。
この様子を磁気回路を用いて説明すると以下のようになる。図6は、シム板の積層による効果を磁気回路を用いて説明するための図である。図中における磁気回路は便宜上簡略化されている。
図6において、(A)は、吸着板22がリヤプラテン13に対して相対的に下方にずれている場合に形成される磁気回路を示す。(A)の場合、中心線lを基準として上方の電磁石によって形成される磁気回路C1は、磁気抵抗としてR、R、Rg及びRgを含む。また、下方の電磁石によって形成される磁気回路C2は、磁気抵抗としてR3、R4、Rg、Rg、及びRgを含む。ここで、R=R、R=R、Rg=Rg=Rgという関係が成り立つ。また、空気中における磁気抵抗Rg〜Rgは、磁性体中の磁気抵抗R〜Rに比較して十分大きい。このように、吸着板22とリヤプラテン13とがずれている場合には、磁気回路も非対称となっている。
一方、(B)は、補正部材60(シム板の積層)が、ずれを解消する方向に付加されることにより吸着板22の対称性が回復された場合の磁気回路を示す。(B)の場合、中心線lを基準として上方の電磁石によって形成される磁気回路C3は、磁気抵抗としてR、R、Rg、Rg、及びRgを含む。また、下方の電磁石によって形成される磁気回路C4は、磁気抵抗として磁気回路C2と同様にR、R、Rg、Rg、及びRgを含む。ここで、R=R、R=R、Rg=Rg=Rg=Rg、Rg=Rgの関係が成り立ち、更にR10≒R11であるため、磁気回路C3と磁気回路C4とは対称性を有する。
このように、シム板によってずれが補正されることにより、磁気回路の対称性も確保され、吸着板22に対するモーメントの発生を抑止することができる。
なお、吸着板22へのシム板の固定は、周知の機構を用いて行えばよい。例えば、吸着板22に固定されたねじ棒に各シム板を貫通させ、上端においてナットn10を当該ねじ棒に螺合させることにより固定してもよい。
また、図5では、吸着板22の上面にシム板が積層される例が示されているが、吸着板22の下面、更には左右両面にもシム板が積層可能とされてもよい。そうすることで、例えば、吸着板22がリヤプラテン13に対して相対的に上方にずれた場合や、左右方向にずれた場合でも、上下方向又は左右方向の磁束の対称性を確保することができる。
ところで、補正部材は、吸着板22に一体化されていてもよい。図7は、第二の実施の形態における吸着板とリヤプラテンとの構成例を示す図である。
図7における吸着板22には、吸着板22に予め補正部材が一体化されている。言い換えれば、吸着板22は、その上端部及び下端部がリヤプラテン13に比較して延長されていることにより、延長部d及びd(以下、双方を総称する場合「延長部d」という。)が形成され、その結果、吸着板22の対向面はリヤプラテン13の対向面に対して拡大されている。なお、図7において、吸着板22は、必ずしも中心線lを基準として上下方向に対称でなくてもよい。延長部dが所定の長さ以上であることによって、吸着板22が非対称であることによる磁束の対称性に対する影響が無視できるほど小さくなるからである。すなわち、延長部d及びdが、それぞれギャップδからの漏れ磁場による影響を受けない部分を有する程度の長さを有すれば、吸着板22が非対称であっても磁束の対称性は維持できるからである。図7では、漏れ磁場による影響を受ける範囲が破線による矢印a1及びa2によって示されている。なお、延長部dは、組み付け誤差によって上下いずれかの延長部dの長さが短くなることを想定し、組み付け誤差が発生しても、漏れ磁場による影響を受けない部分を有する程度の長さを有するように、当該組み付け誤差を解消する方向に形成される。目安として、組み付け誤差が生じても、それぞれの延長部dの長さはギャップδの約3倍以上となるように延長部dを形成すればよいと考える。
なお、図7では、吸着板22の上下方向に延長部dが形成される例が示されているが、吸着板22の左右方向にも延長部dが形成されるようにしてよい。そうすることで、例えば、吸着板22が相対的に左右方向にずれた場合でも、左右方向の磁束の対称性を維持することができる。
このように、吸着板22が十分な延長部dを有することにより、組み付け誤差による磁束に対する感度を鈍くすることができる。したがって、組み付け誤差が生じたとしても、磁束の対称性を維持することができ、吸着板22に対するモーメントの発生を防止することができる。
なお、上記第一及び第二の実施の形態では、吸着板22の対向面がリヤプラテン13の対向面に対して拡大される例を説明したが、リヤプラテン13の対向面が吸着板22の対向面に対して相対的に拡大されるようにしてもよい。
例えば、第一の実施の形態においては、吸着板22がリヤプラテン13に対してはみ出している部分のシム板を取り外すことにより吸着板22の対称性が維持されるようにしてもよい。この場合、吸着板22の対向面は縮小されることになり、相対的にリヤプラテン13の対向面が拡大されることになる。
また、第二の実施の形態においては、リヤプラテン13が、吸着板22に対して上下方向又は左右方向に延長部を有するような構成にしてもよい。この場合、リヤプラテン13の対向面が、吸着板22の対向面に対して拡大されることになる。但し、吸着板22に延長部dを設ける方が、磁束の対称性を維持するのは容易である。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
リヤプラテンと吸着板とが上下方向に相対的にずれている様子を示す図である。 吸着板が傾くことによる問題点を説明するための図である。 本発明の実施の形態における金型装置及び型締装置の型閉じ時の状態を示す図である。 本発明の実施の形態における金型装置及び型締装置の型開き時の状態を示す図である。 第一の形態における吸着板とリヤプラテンとの構成例を示す図である。 シム板の積層による効果を磁気回路を用いて説明するための図である。 第二の実施の形態における吸着板とリヤプラテンとの構成例を示す図である。
符号の説明
10、510 型締装置
11、511 固定プラテン
12、512 可動プラテン
13 リヤプラテン
14 タイバー
15、515 固定金型
16、516 可動金型
17 射出装置
18 射出ノズル
19、519 金型装置
21 ガイドポスト
22、522 吸着板
23 ガイド穴
24 大径部
25 小径部
28 リニアモータ
29 固定子
31 可動子
37 電磁石ユニット
39、539 ロッド
41、42 穴
43 ねじ
44 ナット
45 溝
46 コア
47 ヨーク
48、548 コイル
49 電磁石
51 吸着部
60 補正部材
Br1 軸受部材
Gd ガイド
Fr フレーム
n1、n2、n10 ナット

Claims (5)

  1. 電磁石を保持する電磁石保持部材と前記電磁石保持部材に対向する吸着部材との吸着力によって型締力を発生させる型締装置であって、
    前記電磁石保持部材及び前記吸着板のいずれか一方は、その対向面が他方の対向面より拡大されていることを特徴とする型締装置。
  2. 前記吸着部材は、前記電磁石保持部材との対称性を維持するための補正部材の付加が可能であることを特徴とする請求項1記載の型締装置。
  3. 前記補正部材は、前記電磁石保持部材と予め一体化されていることを特徴とする請求項2記載の型締装置。
  4. 前記吸着部材の対向面は、前記電磁石保持部材の対向面よりも拡大されていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項記載の型締装置。
  5. 前記吸着部材の対向面は、前記電磁石保持部材と前記吸着板とのずれを解消する方向に所定量延長されていることを特徴とする請求項4記載の型締装置。
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