JP4920645B2 - 自律移動ロボットシステム - Google Patents

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Description

本発明は、移動ロボットや走行車両等の移動体において、本体以外の移動体を随行し、
周辺環境の情報を取得しながら自律的に移動を行う移動システムに関する。
本体となる移動体と随行する移動体からなる移動システムの例として、特許文献1に示
される無人搬送車と荷積み台車の連結切り離し方法及びそのシステムがある。ここでは、
連結と切り離しが可能な、無人搬送車と荷積み台車との連結部の構成が示されている。ま
た、特許文献2に示される搬送車列による搬送システムでは、無人搬送車と牽引車列の組
み合わせや、牽引台車に操舵機構を備えた構成が示されている。
特開平10−24836号公報 特開平6−107168号公報
前述の無人搬送車とこれに牽引される台車による構成は、相互の機械的な連結によって
牽引される。このような構成は、搬送開始点から終点まで同じ状態で移動する場合は効率
的である。しかしながら、搬送開始点から終点の途中で、牽引台車や車列の増減や、分岐
・合流がある場合、機械的な切離しと連結が生じるため自動的に簡単に行えないという問
題がある。また、連結が機械的な構造条件で規定されるため、牽引される台車が初期に想
定・計画された機構形状に限定され、搬送物体の仕様が変更になったときに牽引車での対
応が困難という問題点もある。
本発明の目的は、前記従来の欠点に鑑み、搬送車と台車等が機械的連結無しに、周辺環
境の情報を取得しながら自律的に連動して移動、或いは分岐して移動する自律移動ロボッ
トシステムおよび自律移動ロボットの制御方法を提供することにある。
本発明は、複数の移動ロボットと、前記複数の移動ロボットの移動区間を計画する統合
計画手段を備える自律移動ロボットシステムにおいて、
前記統合計画手段は、前記複数の移動ロボットを自律的な移動を行う主機移動ロボットと
前記主機移動ロボットからの指示により移動する従属機移動ロボットとに設定する統合計
画手段であり、
前記複数の移動ロボットはそれぞれ、周辺環境の状況を計測する計測手段と、前記統合計
画手段および他の移動ロボットとの通信を行う通信手段と、該移動ロボットの位置を認識
する主機位置認識手段と、前記他の移動ロボットの位置を認識する従属機位置認識手段と
、前記当該移動ロボットおよび前記他の移動ロボットの走行経路を計画する走行計画手段
と、前記走行計画手段に従い移動機構を制御する走行制御手段を少なくとも備えることを
特徴とする。
なお、前記従属機移動ロボットは、前記主機移動ロボットと連動した移動から分岐して
移動するに際して、前記統合計画手段の指示により主機移動ロボットに設定変更され、自
律的に移動するようにしても良い。
なお、前記主機移動ロボットは、走行中の経路から他の移動経路に合流するに際して、
前記統合計画手段の指示により従属機移動ロボットに設定変更され、合流後の他の移動経
路にある主機移動ロボットの指示により連動して移動するようにしても良い。
また、複数の移動ロボットの移動区間を計画する統合計画手段により、複数の移動ロボ
ットを自律移動させる自律移動ロボットの制御方法において、
前記統合計画手段は、前記複数の移動ロボットを自律的な移動を行う主機移動ロボットと
前記主機移動ロボットからの指示により移動する従属機移動ロボットとに設定し、
前記複数の移動ロボットは、それぞれ、周辺環境の状況を計測することにより、該移動ロ
ボットと、前記他の移動ロボットの位置を認識して、前記当該移動ロボットおよび前記他
の移動ロボットの走行経路を計画し、
前記統合計画手段によって設定された主機移動ロボットからの指示により、前記走行経路
に沿って前記主機と従属機の移動ロボットが連動して移動することを特徴とする。
なお、前記従属機移動ロボットは、前記主機移動ロボットとの連動移動から分岐して移
動するに際して、前記統合計画手段の指示により主機移動ロボットに設定変更されて自律
的に移動するようにしても良い。
本発明によれば、主機移動ロボットが従属機移動ロボットを制御することにより、互いの
走行時の干渉を低減することができ、効率的な移動が可能となる。また、主機移動ロボッ
トと従属機移動ロボットの分岐・合流が自動的に簡単に行える。従って、一旦分岐した従
属機移動ロボットが主機移動ロボットに合流してまとまって移動することが出来るので、
作業員などの人と交錯する移動環境においては、ロボットの移動回数が少なくなり、安全
性を高めることができる。
以下に本発明の実施例を説明する。図1に本発明実施例の自律移動ロボットシステムの
概念を示す。1は自律的に走行経路を計画して自律的な移動が可能である自律移動ロボッ
ト、2は自律移動ロボット1から指示を受けて自律移動ロボット1と連動して、または単
独に移動する従属移動ロボット、Cは自律移動ロボット1と複数の従属移動ロボット2が
含まれる自律移動ロボット群である。この自律移動ロボット群Cは、例えば工場等の製造
ラインの周囲を連なって移動し、所定の製造ステップで必要な部品や半完成品を無人で運
搬するものである。
5は統合計画手段で、少なくとも1つ以上の自律移動ロボット群Cの移動区間を計画し
て指示を行う。本実施例では、統合計画手段5はタスクデータベース7に基づいて自律移
動ロボット群Cの移動経路を経由点レベルで計画する。そして、自律移動ロボット1は、
前記経由点レベルで計画された移動経路の指示に基き、軌跡レベルの移動経路を計画する
この際、自律移動ロボット1は、移動と共に時々刻々と変化する製造ラインの周囲の移
動通路の環境状況Eを取得し、実時間で自律移動ロボット1自体と従属移動ロボット2の
移動経路を軌跡レベルで計画する。軌跡レベルの従属移動ロボット2の移動経路は、自律
移動ロボット1から従属移動ロボット2へ送信され、従属移動ロボット2の移動を制御す
るものである。
以下、より具体的な構成について述べる。図2は、本発明の第1実施例の自律移動ロボ
ット1を用いたロボットシステムの全体構成図である。図2で、6は自律移動ロボット1
(1a、1b)の移動を計画する統合計画手段5と、自律移動ロボット1との通信をワイ
ヤレスで行う通信手段である。
統合計画手段5は、複数の自律移動ロボット1の目的地および目的地に至る経由地(経
由点レベル)を計画し、通信手段6を介して各自律移動ロボット1に指示する。また、複
数の自律移動ロボット1が連携して動作するとき、指示により自律移動ロボット1aを主
機に、自律移動ロボット1bを従属機にそれぞれ設定する。
自律移動ロボット1は、少なくとも以下の要素から構成されるものである。11は、移
動通路の周囲環境として物体の位置、および自律移動ロボット1同士の相対的な位置を計
測する計測手段であり、周囲の見通しが効くように自律移動ロボット1の上方に設置され
る。計測手段11としては、例えば、レーザ光で水平面を走査して物体からの反射に要す
る時間から距離を測定するレーザレンジファインダや、複数のCCDカメラ画像の視差か
ら対象物の距離を測定するCCD立体視センサシステムや、物体に設けられた2次元バー
コード等のランドマーク情報をCCDセンサで取り込みランドマーク情報およびその視野
角から距離を測定するランドマーク利用センサシステムなどである。
12は、統合計画手段5や他の自律移動ロボット1との間で情報を送受信する通信手段
である。例えば、無線LANなどの電波を用いる通信方式や、赤外光のパルスなどを用い
た光による通信方式がある。破線で囲まれる13は、CPUなどを用いた演算を行う演算
手段であり、主機位置認識手段14、従属機位置認識手段15、走行計画手段16、走行
制御手段17が含まれる。
前記主機位置認識手段14は、計測手段11で得られた情報から、主機となる自律移動
ロボット1の位置を認識するものである。計測手段11で情報を得る方法は、例えば特開
2005−326944号公報「レーザ計測により地図画像を生成する装置及び方法」に
示されるレーザレンジファインダの距離情報から地図生成と、当該地図上での自己の位置
を認識する技術がある。
要約すれば、レーザー距離センサを移動させて障害物までの方位と距離を複数回計測し
、各計測により得られる障害物の位置を示す画像からヒストグラムによる特徴点を抽出し
、特徴点が最も一致する画像を重ね合わせて地図を生成するものである。ここでは、主機
位置認識手段14aは主機と設定された自律移動ロボット1a自身の位置を認識する。
前記従属機位置認識手段15(15a)は、主機と設定された自律移動ロボット1aが
、従属機と設定された自律移動ロボット1bの位置を認識するためのものである。ここで
は、計測手段11aで得られた周囲環境の情報から、自律移動ロボット1bの相対的な位
置(自律移動ロボット1aからの距離と方向)を計測する。この計測の一例を図3を用い
て説明する。
自律移動ロボット1aの中心Gaの位置は、主機位置認識手段14aの認識結果より(
x、y、θ)で表されているとする。計測手段11aは、従属機である自律移動ロボット
1bの一辺を捉え、従属機位置認識手段15aはこの一辺の形状パターンから自律移動ロ
ボット1bであることを認識し、前記中心Gaからの距離(α、β)と傾きγを計測する
。自律移動ロボット1bの中心Gbの相対的な位置は(α、β、γ)と表される。また、
他の方法として、自律移動ロボット1bの主機位置認識手段14bで、自律移動ロボット
1b側から測定して認識した自律移動ロボット1aの位置を、通信手段12bと通信手段
12aとを介して主機位置認識手段14aで取得する方法もある。
主機に設定された自律移動ロボット1aの走行計画手段16aは、計測手段11aから
得られた周囲物体の距離や、自律移動ロボット1aおよび自律移動ロボット1bの位置か
ら、両自律移動ロボット1a、1bの走行経路を計画するものである。
図4は、走行制御の一例として、主機に設定された自律移動ロボット1aの指示により
自律移動ロボット1bが、経由点P1、P2、P3を移動する場合の説明図である。
先に統合計画手段5では、経由点P1、P2、P3を移動する経由点レベルの計画がな
される。自律移動ロボット1aでは初期の移動計画(走行計画)として、P1からP2に
向けては直線移動T1(0、b12、v)と、P2からP3に向けては曲線移動T2(r
23、c23、v)という軌跡レベルの計画が走行計画手段16aで生成される。aとb
は距離、rは回転半径、cは回転角度、vは移動速度を表す。移動経路の中心は線Lであ
り、所定の誤差eの範囲は許容するものとする。
ここで、自律移動ロボット1bの位置(x+α、y+β、θ+γ)が誤差範囲La〜L
bより外れたときには、再度計画をやり直す。具体的には、図4において誤差範囲より外
れた点Gbから経由点P2に向かう矢印の移動を実施するように、直線移動T1’(a2
’、b2’、v)を再度指示する。
主機に設定された自律移動ロボット1aの走行計画手段16aで生成された走行計画は
、通信手段12を介して自律移動ロボット1bの走行計画手段16bに送られる。走行制
御手段17bは、前記走行計画に沿うように移動機構18bを制御し、走行面Gを移動さ
せるものである。
このような自律移動ロボット1を複数台の組み合わせる構成では、主機が従属機を制御
することにより、連動して移動時にコーナー部分で互いに接触する等の干渉を低減するこ
とができ、効率的な移動が可能となる。また、作業員などの人と交錯する移動環境におい
ては、まとまって移動することにより、ロボットの移動回数が少なくなり、安全性を高め
ることができる。
複数の自律移動ロボット1を統合して動作制御するロボットシステムは、例えば生産ラ
インで必要とする部品を積載するローダ機構を自律移動ロボット1に付加して、任意の場
所に分岐して搬送に用いることができる。図5と図6にその様子を示す。
図5において、同じ方向へ向かう主機となる自律移動ロボット1aと従属機となる自律
移動ロボット1bとは、経路L1を連動して近接移動し、自律移動ロボット1bには部品
が積載されている。そして、自律移動ロボット1bは途中から、部品を目的地Dへ搬送す
るべく走行経路L1からL2に分岐して移動する(1b→1b´)。一方、自律移動ロボ
ット1aはそのまま走行経路L1を移動し続ける(1a→1a´)。
ここで、自律移動ロボット1bは、分岐までは自律移動ロボット1aの指示(制御)に
従い、分岐後は統合計画手段5からの指示により従属機から主機に設定変更され、自身で
走行経路L2を生成して自律移動し、目的地Dに到達する(1b´)。
目的地Dで品物の荷降ろし後の動作は図6の通りである。荷降ろし後は、作業者のスイ
ッチ操作などにより、荷降ろし終了の旨を統合計画手段5に伝えられる。自律移動ロボッ
ト1bは、統合計画手段5の指示により、主機として走行経路L3を自律移動する(1b
)。走行経路L1に合流した後は、他の自律移動ロボットと共に移動する(1b→1b´
)。
ここで、合流時に合流点付近の走行経路L1上に、先の分岐時に分かれた自律移動ロボ
ット1aがある場合は、統合計画手段5の指示により、1aを主機として自律移動ロボッ
ト1bは従属機に設定変更されて連動する(1a´、1b´)。合流点付近に自律移動ロ
ボット1a以外の別な自律移動ロボット1があれば、統合計画手段5の指示により、別な
自律移動ロボット1を主機として自律移動ロボット1bは従属機に設定変更される。以後
は主機となる自律移動ロボットの指示に従って連動して移動経路L1を移動する。
このように、従属機に設定された自律移動ロボットを分岐時には従属機から主機に設定
変更し、合流時には主機から従属機に設定変更することにより、自律移動ロボットの分岐
・合流時の動作を円滑に制御することができる。
前記第1実施例においては、2台共自律移動ロボットであるが、連動して動作するとき
従属機となる自律移動ロボット1bの走行計画を主機となる自律移動ロボット1aが生成
するので、従属機となる自律移動ロボット1bの計測手段11b、主機位置認識手段13
b、従属機位置認識手段14b、走行計画手段15bは必ずしも必要ではない。
図7に第2実施例を示す。第2実施例の従属機となる移動ロボット2は、従属機専用と
して機能を果たすのに必須な要素で簡略構成され、以下、従属移動ロボットと称する。こ
の従属移動ロボット2の構成要素としては、通信手段21と、走行制御手段22と、移動
機構23を備えている。各要素の機能は前述と同様なので説明を省略する。この従属移動
ロボット2は、自律移動ロボット1と比較して、計測手段等の部品がないため、安価に構
成できる。
また、前述のように従属移動ロボット2は計測手段を持たないため、周囲の環境状況変
化に対する対応性に難点がある。例えば、人の突然の飛び出しに対して、従属移動ロボッ
ト2が接近している場合、主機となる自律移動ロボット1の計測手段11に死角が生じる
可能性がある。
そこで、第3実施例として図8に示すように、計測手段11は、従属移動ロボット2に
より死角を生じない位置、例えば従属移動ロボット2より高い見通しの効く位置になるよ
うに自律移動ロボット1に配置される。そして、自律移動ロボット1の側面には、第2の
計測手段19が設置され、従属移動ロボット2の検出が容易となるように構成される。こ
の場合、第2の計測手段19は、計測手段11と比較して、側面の近距離を計測するので
、安価なセンサを使用することができる。この構成によって死角が無くなり、さらに計測
手段の二重化により、計測の信頼性を高めることができる。
さらに、図8においては従属移動ロボット2に、第2の計測手段19により計測される
識別手段24を設けている。識別手段24は、第2の計測手段19による計測、および従
属機位置認識手段15による認識の信頼性を高め、また、識別手段24に従属移動ロボッ
ト2の機体番号を付けることができ、具体的には二次元バーコードや無線IDタグなどで
機体番号を示すことができる。
図9には、他の例の識別手段24として凹凸形状の部材を従属移動ロボット2に設け、
第2の計測手段19として、レーザレンジファインダを用いた場合を示している。レーザ
光の走査による距離測定機能により識別手段24の凹凸形状を計測して認識し、従属移動
ロボット2の位置と、機体番号の認識を行う。
また、第4実施例として図10に、第3実施例とは逆に、自律移動ロボット1に識別手
段24を設け、従属移動ロボット2に第2の計測手段19を設けた例を示す。この場合、
第2の計測手段19で自律移動ロボット1を計測し、その計測データに従属移動ロボット
2自身の機体番号を付加して、通信手段21を介して、自律移動ロボット1へ送信する。
従属機位置認識手段15は、該機体番号と第2の計測手段19で観測された主機1の識
別手段24とから、従属移動ロボット2の機体番号と、自律移動ロボット1からの従属移
動ロボット2の位置を認識する。このように、第3実施例とは逆に識別手段24と第2の
計測手段19を設けても良い。
さらに、移動ロボットの機体番号の導入により、第5実施例として図11に示すように
、複数の従属移動ロボット2a、2bを制御することができる。ここでは、第2の計測手
段19は自律移動ロボット1の側面と複数の従属移動ロボット2a、2bの側面にそれぞ
れ設置され、従属移動ロボット2a、2bの他の側面に識別手段24が設置される。自律
移動ロボット1の第2の計測手段19によって、従属移動ロボット2aの識別手段24が
計測され、従属移動ロボット2aの第2の計測手段19によって、従属移動ロボット2b
の識別手段24が計測される。
この計測により得られたデータは自律移動ロボット1の従属機位置認識手段15に集め
られて、複数の従属移動ロボット2の位置を認識する。そしてこの認識に基き、走行計画
手段16で、複数の従属移動ロボット2の走行計画を行い、計画された走行経路が通信手
段12、21a、21bを介して、それぞれの従属移動ロボット2a、2bへ送信される
走行制御手段22a、22bが各々の移動機構23a、23bを制御することにより、
主機としての自律移動ロボット1と複数の従属移動ロボット2の全体の連携移動が可能に
なる。
このような複数ロボットの列をなす構成では、図11の自律移動ロボット1を先頭にし
ているが、これは、移動に伴って変化する周辺環境の計測が、移動方向の先頭で計測する
のが効率的であるからである。また、上記の複数ロボットで構成されたシステムでは、安
価に構成可能な従属移動ロボット2の台数が多くなるので、システム全体として物流能力
に対するコストを下げることができる。
前記第5実施例では、主機移動ロボットと複数の従属機移動ロボットの連携動作形態を明らかにした。実際の運用では、図5で示すように、作業現場まで、主機移動ロボットが従属機移動ロボットを縦列で引きつれ、作業現場に到着後、図12に示すように、複数の目的地D1〜D3等の任意地点に、各々の従属機移動ロボット1b〜1dが散開し、作業後に、主機移動ロボット1aの元に集結し、次の現場に移動するという複数ロボットの協調作業パターンが考えられる。
このような運用制御は、第1実施例で記載した、従属機移動ロボット1b、1c、1dが、主機移動ロボット1aと同様の構成で、現場到着後に従属機移動ロボット1b、1c、1dを、統合計画手段5の制御下に置き、独立の主機移動ロボットとして運用するという、図5及び図6に示す運用の応用で実施可能である。すなわち、現場に到着後、従属機移動ロボット1b、1c、1dに対し、各々の目的地D1〜D3に対する移動経路を、統合計画手段5から与え実行すれば良い。
このような運用は、作業の並列化により、作業効率を上げることに効果がある。その一方、多数の従属機移動ロボット1b、1c、1dの設備コストが問題となる。この解決手段として、第2実施例にて、主機移動ロボット1により遠隔操縦される、必要最低限のシステム構成でコストを安くすることが可能な従属機移動ロボット2の構成を提案している。
図12に示した、現場での分散作業に、このシステムを適用した場合の運用を図13に示す。この運用ケースでは、主機移動ロボット1により従属機移動ロボット2a〜2cが、縦列して現場に誘導され、現場到着後、主機移動ロボット1が、従属機移動ロボット2a〜2cを目的地D1〜D3に向かい遠隔操縦し、作業後、自分に向かい集合するように操縦する。この作業が成立する前提条件として、主機移動ロボット1は、従属機移動ロボット2a〜2cの全ての位置・方向を計測手段11で常時捕捉しつつ、主機移動ロボット1の走行計画手段16で決定した従属機移動ロボット2a〜2cの移動計画に基づき、従属機移動ロボット2a〜2cの、走行制御手段22に対し走行指令を連続して発生することで、従属機移動ロボット2a〜2cの遠隔操縦を実現する。
上記した、システムでは、システムコストを安く抑える効果がある反面、従属機移動ロボット2a〜2cの位置が、主機移動ロボット1の計測手段11から見通し範囲に無い場合、例えば、双方の間に遮蔽物がある場合などは、従属機移動ロボット2a〜2cの連続的な遠隔操縦が不能になり、分散作業が中断する問題を持ち、分散作業を行う環境条件の制約が大きい。
上記の問題の解決と、システムコストダウンの両立を図るために、図14に示す第6実施例を提案する。この実施例では、図7に示す第2実施例の従属移動ロボット2の構成に、従属位置認識手段100及び走行計画手段101を追加した構成となっている。
本構成では、走行制御手段22にて、移動機構23の走行操作をするために、移動累積距離、移動方位の情報を、把握している。例えば、差動型移動機構の場合、左右の駆動輪の回転数をエンコーダで計測し、エンコーダのカウント累積値で、移動累積距離を推定し、また左右駆動輪の回転数差分もしくは別途設けたジャイロセンサ等から移動方位を推定する。
従属位置認識手段100は、走行制御手段22から得た、移動累積距離、移動方位の情報、及び所定の走行初期条件、すなわち初期位置及び初期方位から、主機移動ロボット1が把握している地図定義と同一の地図上での従属機移動ロボット2自身の位置及び移動方位を推定する。
走行計画手段101は、主機移動ロボット1の走行計画手段16から、従属機移動ロボット2自身の個別移動計画データを受け取り、従属位置認識手段100で得た自己位置情報に基づき、従属機移動ロボット2を自律的に走行させる。
主機移動ロボット1は、計測手段11により、従属機移動ロボット2を捕捉した場合は、通信手段12を介して、従属機移動ロボット2の位置・移動方位のデータと従属機移動ロボット2を捕捉した時点の時刻データを供給する。従属位置認識手段100は、通信手段21を介して、従属機移動ロボット2の位置・移動方位のデータを受け取り、従属機移動ロボット2の位置・移動方位の値を補正する。
本実施例では、走行制御手段22から得られる累積情報により、従属機移動ロボット2自己位置推定をしているため、移動機構23の滑り、計測時間の長期化に伴う計測誤差の累積等により、長期距離移動、長時間移動を行った場合、自己位置推定精度が著しく劣化する。
従属位置認識手段100は、この問題を解決するために、主機移動ロボット1から供給された、従属機移動ロボット2のある時刻の位置・移動方位のデータを真値として初期化条件に用いることで、上記の累積誤差をキャンセルする。この操作は、常時行う必要はなく、主機移動ロボット1による従属機移動ロボット2の補足が、断続的になったとしても、従属機移動ロボット2自身による自己位置推定誤差の増加を有限値に限定できる。
本構成の運用例を図15及び16で説明する。図15で示す運用では、主機移動ロボット1は、搭載した計測手段11の見通し領域に存在する従属機移動ロボット2a〜2cの位置及び移動方位を計測し、各々の位置及び移動方位データを従属機移動ロボット2a〜2cの従属位置認識手段100に供給し、従属機移動ロボット2a〜2cは各々の自己位置誤差を校正し、ここの移動精度を維持する。個々の従属機移動ロボット2a〜2cの識別は、主機移動ロボット1の従属位置認識手段15で把握されている、従属機移動ロボット2a〜2cの推定位置に絞り込み従属機移動ロボット2a〜2cの外形形状を探索することにより実施する。
図16で示す運用では、主機移動ロボット1は、従属機移動ロボット2a〜2cの近傍まで巡回移動し、従属機移動ロボット2a〜2c各々を探索する。この操作により、死角に入り見えなくなった従属機移動ロボット2a〜2cの位置も確実に把握することが出来る。
図16及び17に示した運用は、従属機移動ロボット2a〜2cがある地点に停止しているイメージで説明しているが、従属機移動ロボット2a〜2cの各々が移動している状態でも、同様に従属機移動ロボット2a〜2cの移動精度を向上できることは明白である。
本構成によれば、ローコストな従属機移動ロボットにより、精度の良い自律走行を実現でき、特に多数の従属機移動ロボットを並列運用する場合、経済的効果が大きい。
第6の実施例では、従属機移動ロボット2を捕捉するために、計測手段11を用いているが、この場合、第3実施例で提示したように、複数の従属機移動ロボット2を運用した場合、計測手段11の見通し領域を遮断される可能性が高くなる。また、第6の実施例では、従属機移動ロボット2a〜2c各々の識別を、各々の存在推定位置を頼りに推定識別しており、例えば、従属機移動ロボット2a〜2cが相互に近接走行している場合などに、識別ミスを犯す可能性がある。
図17に示す第7実施例の構成では、第3実施例と同様に、主機移動ロボット1に第2の計測手段19を設け、従属機移動ロボット2に識別手段24を設けている。この構成により、図16及び図17で示したような運用例で、従属機移動ロボット2a〜2cの位置補足の確度が上がり、従属機移動ロボット2a〜2c各々にユニークに割り当てられた識別手段24を検出することにより、個々の識別にミスが発生しない。
図18に示す第8実施例の構成では、第7実施例の従属機移動ロボット2、さらに第2の計測手段19を設けており、これにより把握された、他の従属機移動ロボット2の位置・方位データを、主機移動ロボット1に配信する。
本構成によれば、図19に示す運用例のように、主機移動ロボット1の死角にある従属機移動ロボット2bの位置・方位は、主機移動ロボット1にとって、相対位置が計測可能な従属機移動ロボット2aから、さらに、従属機移動ロボット2aから相対位置を計測可能であり、主機移動ロボット1から、従属機移動ロボット2bの位置・方位が計測可能となり、第7実施例に比べ、より確実にかつ高確率に従属機移動ロボットの位置・方位を把握できる。
本発明の自律移動ロボットシステム概念図。 本発明第1実施例の全体構成図。 本発明第1実施例の主機と従属機の座標の説明図。 本発明第1実施例の移動経路説明図。 本発明第1実施例の分岐運行説明図。 本発明第1実施例の合流運行説明図。 本発明第2実施例の全体構成図。 本発明第3実施例の全体構成図。 本発明第3実施例の従属機の検出方法を示す説明。 本発明第4実施例の全体構成図。 本発明第5実施例の全体構成図。 本発明第1実施例の運用説明図。 本発明第2実施例の運用説明図。 本発明第6実施例の全体構成図。 本発明第6実施例の運用説明図。 本発明第6実施例の運用説明図。 本発明第7実施例の全体構成図。 本発明第8実施例の全体構成図。 本発明第8実施例の運用説明図。
符号の説明
1…自律移動ロボット(主機移動ロボット、従属機移動ロボット)、2…従属移動ロボ
ット、5…統合計画手段、6…通信手段、7…タスクデータベース、11…計測手段、1
2…通信手段、13…演算手段、14…主機位置認識手段、15、100…従属機位置認識手段、16、101…走行計画手段、17…走行制御手段、18…移動機構、19…第2の計測手段、21…通信手段、22…走行制御手段、23…移動機構、24…識別手段。

Claims (3)

  1. 複数の移動ロボットと、前記複数の移動ロボットの移動区間を計画する統合計画手段を備える自律移動ロボットシステムにおいて、
    前記統合計画手段は、前記複数の移動ロボットを自律的な移動を行う主機移動ロボットと前記主機移動ロボット指示により移動する従属機移動ロボットとに設定する統合計画手段であり、
    前記各移動ロボットは、周辺環境の状況を計測する計測手段と、前記統合計画手段および他の移動ロボットとの通信を行う通信手段と、前記主機移動ロボットの位置を認識する主機位置認識手段と、前記従属機移動ロボットの位置を認識する従属機位置認識手段と、
    前記主機および従属機の移動ロボットの走行経路を計画する走行計画手段と、前記走行計画手段に従い移動機構を制御する走行制御手段を備え、
    前記主機移動ロボットが走行中の移動経路から他の移動経路に合流する場合、前記統合計画手段は前記他の移動経路上の合流点付近に存在する他の主機移動ロボットを判定し、
    前記主機移動ロボットは前記統合計画手段の指示により従属機移動ロボットに設定変更され、合流後の前記他の主機移動ロボットの指示により連動して移動することを特徴とする自律移動ロボットシステム。
  2. 前記移動ロボットは、周辺環境の状況を計測する計測手段を複数備えることを特徴とする請求項1に記載の自律移動ロボットシステム。
  3. 前記計測手段の少なくとも1つは走査により周辺環境との距離を分布的に計測する計測手段であることを特徴とする請求項1に記載の自律移動ロボットシステム。
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