JP2022034519A - 移動車両の走行システム - Google Patents

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一洋 石川
Kazuhiro Ishikawa
剛 仲
Takeshi Naka
アルマンダス ヤルシャウスカス
Jarusauskas Armandas
浩司 堀越
Koji Horikoshi
桂亮 羽富
Katsuyuki Hatomi
真 井上
Makoto Inoue
泰孝 笠置
Yasutaka Kasaoki
デネツ カルナラタラ
Karunarathne Deneth
ヴァン ホア グエン
Van Hoa Nguyen
ムスタファ カリデュ
Mustafa Karidhu
良平 悦喜
Ryohei Etsuki
哲安 劉
Yanxing Liu
ヴィルジーリオ グルッペラー
Virgilio Grupperaa
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Keat Remi
雄二 アルファクラニー
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Abstract

【課題】簡単な構成でライントレース及びSLAMの走行モードに切り替え可能な、自律走行できる移動車両の走行システムを提供する。【解決手段】搬送台車10は、駆動制御部13とマーカー検出部30とマーカー制御部33と障害物検出部45とこれらを制御するCPU部とを含む。走行路に沿って複数箇所にマーカーを配置し、障害物処理部47で検出した障害物の位置と記憶された走行路のマップデータ55により現在位置及び方向を算出してSLAM走行情報56を取得する。また、走行路の横断方向に横一列で複数個のマークを備え、各マークに走行情報50と進行方向横方向のずれ検知のために異なる記号を付した配置位置情報51とを設定する。さらに、SLAM走行モードでは搬送台車がマップデータにより指定された走行路に沿って自律走行し、ライントレース走行モードでは読み出したマーカーに基づいて指定された走行路に沿って自律走行する。【選択図】図4

Description

本発明は、例えば工場や倉庫等において無人の移動車両を自律走行させる移動車両の走行システムに関するものである。
移動体の自律航法と呼ばれる技術は、古くから航空機や船舶等で実用化されており、近年では自動車やドローン等でも実現されている。このような移動体は、それぞれ移動環境に対応して種々のセンサを組み合わせて使用することにより周囲の状況を把握する必要があり、そのためには適切なセンサを使用しなければならない。各種センサの低価格化、高性能化も進んでおり、GPS,ジャイロセンサ,カメラ等が大いに利用されている。特にレーザーを用いた測距センサは、周囲の対象物までの距離を高精度で測定でき、360度の範囲で三次元データとして対象物を検出することが可能である。
これに対して、例えば工場や倉庫等で使用される積載重量が1トン程度の台車やゴルフカート,遊園地の乗り物等のように、私有地や関係者以外の立入りが制限される環境での移動体の運用においては、走行路に沿って白線や磁気テープ(特許文献1参照),ポイント,レール等を敷設し、これらで構成されるラインに沿って走行する(ライントレース)ことによって所定箇所から所定箇所まで移動させることも実用化されている。特に、走行路に沿って白線を敷設して白線に沿って自律走行させる場合、白線を容易に且つ低コストで敷設しなければならない。
さらに本発明者等により、走行路を横切る方向に横長の複数のマークを有するマーカーを用いた移動車両の走行システムを開示している(特許文献2参照)。各マークには、移動車両が走行すべき走行情報と移動車両の進行方向横方向のずれを検知するためにそれぞれ異なる記号が付された配置位置情報とが設定されている。このマーカーを用いた移動車両の走行システムは設置と運用が簡単でコース変更や拡張が容易であるので、柔軟性が高い走行システムが構築できるという特徴がある。
このような閉鎖的領域での自律走行においても、近年ではレーザー測距センサを用いた全周囲の計測により、白線やレール等がなくても自律走行による移動が実現されている。
この場合、レーザー測距センサの検出信号、所謂SLAM技術(Simultaneously Localization and Mapping:自己位置推定と地図作成を同時に行う)を用いて、レーザー測距センサにより前もって作成された周囲マップと、自律走行時の計測データを照合して、移動体の自己位置を認識すると同時に、前もって作成された周囲マップから目標地点へのルートを計算して、移動体が目標地点まで自律走行する。
特開平10-124144号公報 国際公開第2020/013337号
しかしながら、上述の走行路に敷設した白線を使用する自律走行において、走行路を変更する場合には白線を敷設し直す必要があることから、手間がかかり走行路を頻繁に変更することは困難である。また、走行路に沿って敷設した白線は汚れたり剥離したりするので、走行路全体に亘って白線のメンテナンスが必要になる。
レーザー測距センサを用いて周囲の対象物を検出する方式は、周囲の対象物が高精度で検出できるものの、レーザー測距センサ自体が一般に数十万円から数百万円するため、初期投資が著しく増大する。また、前もって作成された周囲マップとの照合が必要で、周囲環境が頻繁に変化する工場や倉庫等で使用するには周囲マップを頻繁に更新する必要があり、運用面での作業が面倒である。他のセンサ、例えばGPSや無線強度による自己位置推定等で補完することも可能であるが、一般に工場や倉庫等の室内ではGPS利用は期待できない。無線強度による自己位置推定では、前もって複数個の無線送信機を設置するので設備コストが高くなる。また、ジャイロセンサやカメラを用いて周囲マップの欠如を補完しながら自律走行する方法も周囲マップとの照合が前提となるため、非常に狭い範囲でしか周囲マップの補完ができず、その利用は限定的になる。また、二次元のレーザー測距センサにより二次元の位置座標検出を用いたSLAMによる自律走行では、段差など傾斜がある走行路では、自己位置の検出ができないなど不安定さが生じる場合がある。
本発明は以上の点に鑑み、簡単な構成により、低コストな横長の複数のマーカーによる走行モードと共に、必要に応じて、ライントレース、SLAMの走行モード及びステレオカメラを用いたVSLAM(Vision Simultaneously Localization and Mapping:画像による自己位置推定と地図作成を同時に行う)による自律走行を用いた仮想マーカー走行モードに切り替え可能な移動車両の走行システムを提供することを目的としている。
上記第1の目的を達成するため、本発明による移動車両の走行システムは、
本体部と地上を走行するための走行部と、走行部を駆動制御する駆動制御部と、マーカー検出部と、障害物検出部と、該駆動制御部,マーカー検出部及び障害物検出部を制御するCPU部と、を含む移動車両と、移動車両が走行すべき走行路に沿って所定の複数箇所にそれぞれ配置されたマーカーと該マーカーが配置されない箇所と、が配備され、移動車両が走行路に沿って移動する移動車両の走行システムであって、
移動車両のマーカー検出部が、本体部の下方を撮像するための撮像手段と、撮像手段で撮像された撮像画面を画像処理して走行路に配置したマーカーを検出する画像処理部と、画像処理部で検出されたマーカーに基づいてマーカーに前もって設定された走行情報を駆動制御部に出力するマーカー制御部と、を備え、
移動車両の障害物検出部が、本体部の前方の障害物との距離を含む画像を撮像する障害物センサと、障害物センサで撮像された撮像画面を画像処理して障害物を検出する障害物処理部と、障害物処理部で検出された障害物の位置と前もって記憶された走行路のマップデータとにより移動車両の現在位置及び方向を算出してSLAM走行情報を取得し該SLAM走行情報を駆動制御部に出力するSLAM走行制御部と、を備えており、
マーカーは、横長帯状に形成されて走行路の横断方向に配置され該帯状のマーカーに横一列で複数個のマークが設けられ、各マークには移動車両が走行すべき走行情報と移動車両の進行方向横方向のずれを検知するためにそれぞれ異なる記号が付された配置位置情報とが設定され、
マーカー制御部が、マーカーの走行情報及び配置位置情報に基づいて移動車両の横方向のずれ及び角度のずれを補正するための修正走行情報を生成して駆動制御部に出力し、
駆動制御部によりマーカー制御部からの修正走行情報に基づいて走行部を駆動制御して、移動車両がマーカーにより指定された走行路に沿って自律走行し、
さらに、マーカーの走行情報にはSLAM走行モード又はライントレース走行モードに関する情報が含まれており、
マーカー制御部が、マーカーの走行情報からSLAM走行情報又はライントレース走行情報への制御切り替え情報を検出した場合には、制御切り替え情報を生成して駆動制御部に出力し、
制御切り替え情報がSLAM走行情報である場合には、駆動制御部によりSLAM走行制御部からの走行情報に基づいて走行部を駆動制御して、移動車両がマップデータにより指定された走行路に沿って自律走行し、
制御切り替え情報がライントレース走行情報である場合には、マーカー検出部が、走行路に沿って配置されたライントレースのためのマーカーを読み出し、マーカー制御部が、マーカー検出部で検出されたライントレース走行情報に基づいて移動車両の横方向のずれ及び角度のずれを補正するための修正走行情報を生成して駆動制御部に出力し、駆動制御部によりマーカー制御部からの修正走行情報に基づいて走行部を駆動制御して、移動車両がマーカーにより指定された走行路に沿って自律走行する。
上記構成によれば、簡単な構成で且つ低コストでルート設定が簡便であり、多品種、多量の搬送物を運ぶのに適しているマーカーモードで自律走行でき、必要に応じて、狭い通路を精度よく走行することができるライントレースモード及び予め取得したマップデータと実際の位置で設定した走行ができ、曲線軌道や前後への動き等の任意の走行を行えるSLAMの走行モードに切り替えが可能な極めて優れた移動車両の走行システムを提供することができる。
好ましくは、移動車両に接続されるネットワークとネットワークに接続される移動車両の外部運転制御部とを備え、外部運転制御部が、ネットワークを介して必要に応じてマーカーにおける走行情報及び/又はSLAM走行行情報を変更することで移動車両の走行路を任意に変更できる。
好ましくは、移動車両が障害物記憶部を備え、該障害物記憶部は、走行路のマップデータをマップ情報として記憶する。好ましくは、SLAM走行制御部は、障害物処理部からのマップ情報に基づいてSLAM走行情報を生成して駆動制御部に出力し、駆動制御部は該SLAM走行情報に基づいて走行部を駆動制御し、障害物処理部から障害信号が入力された場合には移動車両の走行方向に障害物が検出されたと判断して非常停止信号を生成して、駆動制御部に出力し、非常停止信号に基づいて走行部を駆動制御してモータの駆動を停止するか又は回避動作をする。
好ましくは、SLAM走行制御部には、移動車両の各車輪に設けられた車輪回転センサからの車輪回転数情報と、慣性計測ユニットからの検出信号が入力されており、車輪回転数情報に基づいて移動車両の移動距離を算出すると共に、該SLAM走行制御部は慣性計測ユニットの検出信号に基づいて車輪のすべり等を検出して移動距離を補正し、補正した移動距離に基づいてSLAM走行情報を修正し、修正したSLAM走行情報を駆動制御部に出力する。
本発明による移動車両の走行システムは、好ましくは、ステレオカメラと該ステレオカメラに接続されるVSLAM制御部とをさらに備え、VSLAM制御部は、移動車両にて走行路を所定の回数マーカーモードで走行してマーカー制御部でマーカーの位置座標を取得すると共に、ステレオカメラでマーカーの位置座標を取得し、マーカー制御部で取得したマーカーの位置座標とステレオカメラで取得したマーカーの位置座標とを紐付けて走行路の仮想マーカー情報を作成し、仮想マーカー情報を仮想マーカーのマップとしてVSLAM制御部の仮想マーカー記憶部に格納すると共に、該仮想マーカー情報をCPU部に送出し、CPU部は、仮想マーカー情報を走行情報及び/又は修正走行情報として駆動制御部に送出して、移動車両を仮想マーカー走行モードで自律走行させる。
好ましくは、仮想マーカー走行モードで自律走行中に、マーカー制御部がマーカー情報を検出した場合には、駆動制御部が、仮想マーカー情報よりも該マーカー情報を優先して走行部を駆動制御する。
好ましくは、走行路に可変マーカーが配設されており、可変マーカーがマーカー制御部で検出された場合には、検出された可変マーカー情報がマーカー制御部からVSLAM制御部に送出され、該マーカー情報により新たな走行路で自律走行する。
本発明によれば、移動車両において、ルート設定が簡便であり、人の移動手段としての用途のほか、多品種、多量の搬送物を運ぶのに適し、簡単な構成で低コストなマーカーモードで自律走行でき、かつ、必要に応じて、狭い通路を精度よく走行し得るライントレースモードと、予め取得したマップデータと実際の位置で設定した走行ができ、曲線軌道や前後への動き等の任意の走行を行うことができるSLAMの走行モードとVSLAMを用いた仮想マーカー走行モードにも切り替えが可能な、極めて優れた移動車両の走行システムを提供することができる。
本発明による移動車両として搬送台車の走行システムの一実施形態を示す概略部分平面図である。 図1に示す搬送台車において、(A)は概略斜視図、(B)は平面図、(C)は側面図、(D)は操作部の拡大平面図である。 図2の搬送台車を示す底面図である。 図2の搬送台車の内部構成を示すブロック図である。 図1におけるマーカーの構成を示す図である。 図2の搬送台車におけるマーカー検出部のカメラを示す概略図である。 直進を表すマーカーによる搬送台車の走行状態を示し、(A)は幅方向のずれがある場合、(B)は走行方向のずれ及び幅方向のずれがある場合の説明図である。 追従モード切替えを表すマーカーによる搬送台車の走行状態を示し、(A)は幅方向のずれがある場合、(B)は走行方向のずれ及び幅方向のずれがある場合の説明図である。 携帯型ビーコンによる搬送台車の停止の状態を示し、(A)は幅方向のずれがある場合、(B)は走行方向のずれ及び幅方向のずれがある場合の説明図である。 マーカー検出部のマーカー制御部による自律走行の動作を示すフローチャートである。 マーカーによる自律走行の具体例を示す説明図である。 走行モードの切り替えを説明する模式図である。 第2の実施形態を示す概略部分平面図である。 第3の実施形態を示す概略部分平面図である。 搬送台車と被牽引台車との接続を示す概略側面図である。 図14において、弧状の左旋回を表すマーカーによる搬送台車の走行状態を示す説明図である。 第3の実施形態の変形例1に係る移動車両の走行システムにおいて、搬送台車と被牽引台車との接続を示す概略側面図である。 図17の搬送台車の底面図である。 搬送台車の内部構成を示すブロック図である。 第3の実施形態の変形例2に係る移動車両の走行システムにおいて、搬送台車と被牽引台車との接続の際の位置関係を示し、(A)は概略平面図、(B)は概略側面図である。 搬送台車と被牽引台車との接続関係を示し、(A)は概略平面図、(B)は概略側面図である。 図21(A)のA-A線に沿った搬送台車の牽引部材及び拘束部材の断面図を示し、(A)は接続前1の状態、(B)は接続前2の状態、(C)は接続時の状態、(D)は離脱時の状態である。 搬送台車の内部構成を示すブロック図である。 図23の搬送台車において、(A)は概略斜視図、(B)は底面図である。 仮想マーカー走行モードにより走行する走行路を説明する図である。 ステレオカメラによるマップマッチングの位置情報の取得と、カメラによる床に貼り付けたマーカーの検出マーク情報の取得を模式的に示す図である。 仮想マーカー走行モードを説明するフロー図である。 仮想マーカー走行モードにおける仮想マーカー情報を説明する図である。 第1の走行路に可変マーカーが貼られている場合に、第1の走行路から第2の走行路を経て、第3の走行路を走行する場合の模式的な図である。 可変マーカーのある場合の制御を示すフロー図である。 仮想マーカー走行モードによる実際の走行路を示す図である。
以下、図面に示した実施形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1-図4は本発明による移動車両として第1の実施形態に係る搬送台車の走行システムを示す。図1において、搬送台車の走行システム1は、搬送台車10と、搬送台車10の走行エリア2に配置されたマーカー40(後述)と、から構成されている。
搬送台車10は、本体部11と、本体部11の下部に設けられた走行部12と、駆動制御部13と、ビーコン検出部20と、マーカー検出部30と、CPU部36と、を含む。CPU部36は、電子計算機のチップを搭載したCPU(Central Processing Unit)と、CPUに接続される各種のセンサ、つまり、後述するマーカー検出部30、ライダー等のレーザー測距センサを用いた障害物検出部45等のインターフェース回路、後述するネットワーク80に接続される送受信機を含む通信部、外部メモリ等から構成される。CPU36としては、MPU(Micro Processing Unit)、ECU(Engine Control Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等が使用できる。搬送台車10の主スイッチ37はCPU部36によりオン/オフされてもよい。
本体部11は例えばその外形が偏平な直方体状に形成され、その上面が平坦な載置台11aとして形成されると共に、その後端から上方に伸びるハンドル11bを備える。走行部12は、図2(B)、図3に示すように、本体部11の下面にて、その前方(図2(B)にて矢印で示す方向)の両側に配置された一対の車輪15と、各車輪15をそれぞれ駆動する減速機構16aを備えたモータ16と、その後方の両側に配置された一対のキャスター17と、から構成される。各駆動モータ16が後述する駆動制御部13により駆動制御されることで各車輪15が回転駆動され、搬送台車10が前進,後退又は左右に転回して所定の方向に走行する。走行部12は、車輪15に限らず、例えば無限軌道等の他の駆動手段により構成されてもよい。各車輪15には、それぞれその回転数を検出する車輪回転センサ15aが設けられる。
駆動制御部13は本体部11内に配置される。駆動制御部13及び各モータ16への給電は、本体部11の下面中央付近に配置された電源13aから行なわれる。電源13aは電池や充電可能な二次電池、例えばリチウム二次電池を使用できる。駆動制御部13は、本体部11に設けられたビーコン検出部20又はマーカー検出部30からの後述する走行情報に基づいて、走行部12の各駆動モータ16をそれぞれ駆動制御して車輪15をそれぞれ独立的に駆動し、前進,後退,左右転回等の走行を行なわせる。
駆動制御部13は、障害物検出部45からの情報に基づいて障害物を検出した場合には走行部12を停止させてもよい。障害物検出部45は、搬送台車10を障害物に対して衝突前に停止させるために設けてあり、搬送台車10の周囲、進行方向及び搬送台車10の施設内の位置を監視できればよい。障害物センサは、例えばレーザーレーダーやミリ波レーダー等を使用できる。レーザーレーダーは、レーザー画像検出とTOF(Time Of Flight)方式による測距を行うセンサである。二次元や三次元のセンサが使用できる。
センサとして、搬送台車10の加速度や角加速度を測定するための二軸又は三軸加速度センサあるいはジャイロセンサを利用した慣性計測ユニット18が備えられる。この慣性計測ユニット18はIMUとも呼ばれる。さらに、駆動制御部13は、各車輪15の回転数をそれぞれ検出する二つの車輪回転センサ15aから入力される検出信号に基づいて搬送台車10の移動距離を算出すると共に、慣性計測ユニット18から入力される検出信号18aを参照して搬送台車10の進行方向のずれ、つまり角度のずれを検出する。これにより駆動制御部13は、車輪15の滑り等による移動距離及び角度のずれを補正し補正した移動距離を算出すると共に、搬送台車10の進行方向の角度を修正することができる。駆動制御部13は、この補正した移動距離に基づいて後述する走行情報50a,25bによる走行部12の駆動制御を行なう。
駆動制御部13は、ハンドル11bの上部に取り付けられた操作部19により操作されてもよい。図2(D)に示すように、操作部19は、所謂シフトレバー19a,ジョイスティック19bと非常停止操作部としての非常停止スイッチ19cと、後述する主スイッチ37とを備える。シフトレバー19aは、例えばP(パーキング),N(ニュートラル) ,D(ドライブ),Fo(追従)の四つのモードを有する。ジョイスティック19bを任意の方向に倒すことで種々の入力操作ができる。非常停止スイッチ19cは、操作時に非常停止信号19dをCPU部36に出力する。操作部19には、さらに速度切替えダイヤル19eを設けてもよい。シフトレバー19a及び速度切替えダイヤル19eは、モードの位置や速度を示す表示灯19f,19gをさらに備えてもよい。CPU部36は、非常停止信号19dが入力されたとき、この非常停止信号19dに基づいて走行情報50aによる自律走行を中断して、非常停止の走行情報50bを生成して駆動制御部13に送出する。
ビーコン検出部20はそれ自体公知であって、例えば図2~図4に示すように本体部11の前部に設けられ、一対の撮像手段としての赤外線カメラ21及び22と、ビーコン演算部24と、ビーコン処理部25と、ビーコン記憶部25a等から構成される。ビーコン演算部24とビーコン処理部25とビーコン記憶部25aの各動作は、CPU部36内に格納されたプログラムにより実行される。又、ビーコン記憶部25aは、CPU部36内の記憶装置又はCPU部36の外部に設けた記憶装置を使用することができる。各赤外線カメラ21及び22は、それぞれ本体部11の前方の追尾すべきビーコンBからの識別光を撮像するために本体部11の互いに横方向に離れてそれぞれ前方に向かって、例えば前端の左右両側にて前方に向かって配置される。即ち、各赤外線カメラ21及び22は、各光軸が互いにほぼ平行に、例えば上向きに傾斜して前方に延びるように配置される。各光軸の傾斜角度は、例えば光軸が前方1メートルで高さ50cm程度の位置を通るように、例えば傾斜角度10度から30度程度に設定される。
各赤外線カメラ21,22は公知の赤外線ステレオカメラで、撮像素子及びレンズ等の光学系から構成される。各赤外線カメラ21,22として赤外線ステレオカメラを用いた場合には、ビーコンBまでの距離と角度を計測することが可能となる。撮像素子が入射する赤外線を検知することで太陽光等の外乱光の影響を低減することができ、夜間等の暗い場所においても確実にビーコンBからの識別光を検出することが可能である。赤外光を検出する撮像素子としては、通常の撮像素子の入射側に赤外線のみを透過する光学フィルターを配置して構成してもよい。各赤外線カメラ21,22は、追尾すべきビーコンBを所定時間ごとに撮像して、撮像した撮像信号をビーコン演算部24に送出する。
ビーコン演算部24は、各赤外線カメラ21,22からのビーコンBの撮像画面を画像処理することにより、所謂ステレオ視によるビーコンBの位置情報24a、即ち方向及び距離を算出してビーコン処理部25に送出する。ビーコン演算部24は、ビーコンBの撮像画面に関して、各赤外線カメラ21,22の光学系による歪み補正を行なうと共に、各赤外線カメラ21,22の本体部11への取付姿勢、即ちそれぞれの光軸の間の平行からのずれを修正して撮像画面上における中心位置を修正する。ビーコン演算部24は、障害物センサ46で測定されたビーコンまでの距離を参照することによりビーコンまでの距離をより正確に算出してもよい。ビーコン演算部24は、赤外線カメラ21,22からの撮像画面の画像処理によりビーコンBの位置情報24aを算出できないときには、ビーコンBの位置情報24aを作成せず、ビーコン処理部25に送出しない。ビーコン処理部25は、ビーコン演算部24で算出されたビーコンBの位置情報24aを、本搬送台車10が走行すべき領域に関してマッピングしてビーコン記憶部25aに登録し、またCPU部36に送出すると共に、このビーコンBの位置情報24aに基づいてそのときの追尾すべきビーコンBに対する方向及び距離から、搬送台車10をビーコンBに追従させるための速度及び方向(操舵角)から成る走行情報25bを生成する。ビーコン処理部25は、当該ビーコンBの位置情報24aと直前のビーコンBの位置情報24aとを比較することによりビーコンBと搬送台車10との相対速度及び距離の変化を算出して、ビーコンBに対する距離が所定範囲内に収まるように走行情報25bに含まれる速度を決定する。走行情報25bは、左右の車輪15を駆動する駆動モータ16の回転速度を制御するための制御情報であって、左右の駆動モータ16を互いに異なる回転速度で制御することにより、その速度差により操舵角を実現する。ビーコン処理部25は、所定時間毎にビーコン演算部24から送られてくるビーコンBの位置情報24aを順次にマッピングしてビーコン記憶部25aに登録すると共に、ビーコン記憶部25aから順次にビーコンBの位置情報24aを読み出して、そのときのビーコンBに対する方向及び距離に基づいて走行情報25bを生成して駆動制御部13に送出する。ビーコン処理部25は、ビーコン演算部24からビーコンBの位置情報24aが送られてこないときには、既にビーコン記憶部25aに登録されているマッピングによるビーコンの位置情報24aに基づいて走行情報25bを生成して駆動制御部13に送出する。これにより、追尾すべきビーコンBが屈曲した経路を進行し又は左右に曲がる場合であっても、マッピングされたビーコンBの位置情報24aに基づいて確実に追尾を行なう。
本実施形態における搬送台車の走行システム1は、走行エリア2に配置されたマーカー40と、このマーカー40を検出するためにマーカー検出部30を備える。マーカー40は少なくとも1個のマークを有し、このマークは走行路2aを横切るように横方向に及び/又は走行路2aに沿って縦方向に、好ましくは複数個で構成される。マーカー40に複数個のマークを付す場合は、マーカーは1本の帯状に構成されるのが好ましい。
マーカー40は、走行路2aに沿って縦方向に、複数個のマークを線状に連続的に付して、1本以上で配置してもよい。この場合、マーカー40は、走行路2aに沿って進行方向に所定の間隔で複数本配置するか又は連続的に1本を配置してもよい。マーカー40は帯状に形成されることが好ましく、横方向に及び/又は縦方向に並んだ複数個のマークがこの帯状のマーカーに付される。マークは同じマークでも異なるマークであってもよい。例えば、帯状のマーカー40が走行路2aを横切るように配置されている場合、この帯状の1本のマーカーに横方向に1列に複数個の同一のマーク又は異なるマークを配置してもよい。図5に示すように、1本のマーカー40に2列以上を配置して、列毎に複数個の同一のマーク又は異なるマークを配置してもよい。マーカー40を走行路2aに沿って縦方向に複数本併置してもよい。帯状のマーカー40に付された複数個のマークは、上記のように同一のマーク又は異なるマークから構成されてもよい。例えば2本のマーカー40を走行路2aの進行方向中央で併置してもよく、或いは、通路の左右に間隔をあけて併置してもよい。また、横方向の中央のマーカー40を第1のマーカーとするとその両側にさらに第2、第3のマーカー40を併置してもよい。これらの場合も、マーカー毎に同じマークを付しても異なるマークを付してもよい。
図5は図1のマーカーの構成の一例を示す。マーカー40は走行方向を横切って1本の帯状に構成され、帯状の1本のマーカーに、図において上下に2列でそれぞれ9個並んでマークが付されている。すなわち、マーカー40は、搬送台車10の走行方向(矢印図示)に対して手前側の第一列の9個のマーク41と後方の第二列の9個のマーク42とから構成される。第一列のマーク41は、左方から順に、41a,41b,41c,41d,41e,41f,41g,41h,41iであり、各マーク41a~41iを、a行からi行と呼ぶ。第二列のマーク42は、同様に左方から順に、42a,42b,42c,42d,42e,42f,42g,42h,42iである。各マーク42a~41iも同様にa行からi行と呼ぶ。マーカー40の行方向は、順にマーク41の意味する記号として例えば数字や文字を異ならせても良い。列方向(横方向)に記号の異なる複数のマーク41を配置した場合には、横方向の左側から右側の記号が後述する配置位置情報51を有している。マーカー40を検知した時の搬送台車10は、マーク41の配置位置情報51により横方向のずれを検知する。又、走行方向に手前から後方側に複数のマーカー40を配列する場合、同じ数字や同じ文字を並べると、進行方向の速度が上がった時にマーカー40の配置位置情報51のデータ取得の失敗やエラーを無くすことができる。マーカー40を、走行路2aに沿って縦方向に配置する場合は、横方向のずれを検知するために走行路2aを横切るように横方向にもマーカー40を設けてもよい。また、マーカー40を走行路2aに沿って中央及び左右に配置する場合には、左右に配設されるマーカー40を構成するマークに横方向に関する配置位置情報51を設定してもよい。
第一列のマーク41a~41i及び第二列のマーク42a~42iは、前もって搬送台車10の当該マーカー40を通過した後の搬送台車10の走行情報50が設定されている。この走行情報50は、例えば直進,Uターン,左旋回,右旋回,停止又は追従モード切替であり、直進の場合にはさらに数段階、例えば低速,中速及び高速の走行速度を設定されている。例えば図5に示す18個のマーク41a~41i及び42a~42iから成る一本のマーカー40は、すべて同じ走行情報50に関連付けられている。個々のマーク41a~41i及び42a~42iは、図示の場合、ArUcoマーカーが使用され、それぞれ縦横、例えば2cm程度の大きさを有すると共に、互いに例えば8cm程度の間隔で配置されている。個々のマーク41a~41i及び42a~42iの大きさと間隔は、後述するが、マーカー40を検出するカメラ31の設置位置とカメラ31に装着されるレンズの画角から決定される。個々のマーク41a~41i及び42a~42iは、ArUcoマーカーに限らず、バーコード、QRコード(登録商標)等を使用してもよい。一本のマーカー40は搬送台車10の走行路2aを完全に横切るような幅を備える。マーカー40を構成する各マーク41a~41i及び42a~42iは、左端から右端まで順次に左右方向、そして第一列か第二列かの配置位置情報51を設定されている。例えばマーク41cは、第一列三番目という配置位置情報51を設定されている。各マーク41a~41i及び42a~42iの走行情報50及び配置位置情報51は、それぞれ後述するCPU部36で前もって設定され、CPU部36内のマーカー記憶部34に記憶される。図5において、マーカー40は、全体として一枚のシート状に構成され、例えば裏面に接着剤が塗布されて床面等に貼り付けることができる。これにより、各マークの間隔等を調整することなく容易にマーカー40全体を正しい配置で設置することができる。図5に示すように、マーカー40のシートの一部に、その走行情報50の内容を示す『RIGHT』という表記43を備えれば、マーカー40の取扱いがより一層容易となる。図示の『RIGHT』は右旋回を示す。
マーカー検出部30は、図4に示すように、撮像手段としてのカメラ31と画像処理部32とを備え、画像処理部32からの信号が、CPU部36内のマーカー制御部33に出力され必要に応じてマーカー記憶部34に保存される。マーカー制御部33とマーカー記憶部34の各動作は、CPU部36内に格納されたプログラムにより実行される。マーカー記憶部34は、ビーコン記憶部25aと同様にCPU部36内の記憶装置又はCPU部36の外部記憶装置を使用できる。カメラ31は、図2(C)及び図3に示すように、太陽光の影響を受けにくい位置、図示の場合、搬送台車10の本体部11の下面にて下方に向かうように下向きに配置されると共に、その画角内を照明する発光部31aを備える。発光部31aから出射する光の波長は、可視光や赤外線とし得る。カメラ31及び発光部31aとして、好ましくは外乱光の影響を受けにくいよう、例えば赤外線カメラ及び赤外線発光部が使用される。カメラ31は、図6に示すように走行面から垂直に高さH(例えば12cm程度)の位置に取り付けられ、走行面にて幅W(例えば15cm程度)の範囲の画角を備える。発光部31aは例えば発光ダイオード等から構成され、この画角の範囲を照明するように、図示の場合カメラ31の両側に配置される。マーカー40の配置は、カメラ31の設置位置とカメラ31のレンズの視野角、つまり画角から決定され、最大視野角内に3個以上のマーカー40が見えるようなマーカー間距離にすれば、搬送台車10がマーカー40上のどこを通過しても2個以上のマーカーが見える。
画像処理部32は、カメラ31からの撮像信号31bが入力され、この撮像信号31bによる撮像画面を画像処理し、撮像画面内に写っているマーカー40及び当該マーカー40の並び方向32aを検出する。画像処理部32は、この撮像画面内のマーカー40のうち、最も中央寄りの第一列のマーク41a~41iを特定すると共に、同様に最も中央よりの第二列のマーク42a~42iを特定する。画像処理部32は、特定した第一列のマーク41a~41iと第二列のマーク42a~42iの横方向位置が同じ場合には、以下第一列のマーク41a~41iに基づいて、第一列のマーク41a~41i又は第二列のマーク42a~42iのうち、一方が撮像画面不良により特定できない場合には、特定が可能な第一列のマーク41a~41i又は第二列のマーク42a~42iに基づいて、当該マーク41a~41i又は42a~42iを検出マーク情報32bとして、並び方向32aと共にマーカー制御部33に出力する。画像処理部32が、第一列のマーク41a~41i及び第二列のマーク42a~42iのいずれも特定できない場合には、エラー信号32cを生成してマーカー制御部33に出力する。
マーカー制御部33は、画像処理部32からの検出マーク情報32bに基づいて、画像処理部32で特定されたマーク41a~41i又は42a~42iに対して前もって設定された走行情報50及び配置位置情報51をマーカー記憶部34から読み出す。マーカー制御部33は、並び方向32aと配置位置情報51から、そのときの走行方向及び走行路2aにおける横方向のずれと、慣性計測ユニット18からの進行方向のずれ、つまり角度のずれを検出して正しい走行方向及横方向のずれを補正する。角度のずれの検出や補正は慣性計測ユニット18内のジャイロセンサにより行われる。マーカー検出部30は、マーカー40の認識によりマーカー40に対する搬送台車10のXY位置と角度を演算し、マーカー制御部33に出力する。ここで、X位置は走行路2aにおける横方向であり、Y位置は進行方向を示す。マーカー40の検出では、マーク41aが1個でも検出できれば補正は可能であり、2個以上の連続したマーカー40又は同じマーカー40を見つけることで、後述するマーカー40の示す、直進、停止、右左折等の走行情報を認識する。マーク41aの数を2個以上とすることで、搬送台車10が走行する走路となる床の汚れなどと間違って誤検知することを回避する。このように、マーカー40は、必ずしも図5に示すマーク41の内、中央のものを優先して利用しなくてもよい。
マーカー制御部33は、搬送台車10の走行方向の横方向のずれと現在角度をマーカー40から取得し、走行方向のずれを0にし、さらに角度のずれを無くすように走行方向を修正し、走行路2aにおける横方向のずれを中央に戻すように走行路2aによる横位置及び現在角度を修正することにより、読み出した走行情報50を修正して、修正走行情報50aを生成して駆動制御部13に出力する。駆動制御部13は、この修正走行情報50aに基づいて走行部12を駆動制御する。よって、搬送台車10は、修正走行情報50aに従ってマーカー40により指定された通りに移動走行を行なう。マーカー制御部33は、画像処理部32からエラー信号32cが入力された場合には、マーカー40の読取失敗と判断して非常停止信号33aを生成して、搬送台車10の駆動制御部13に出力する。駆動制御部13は、この非常停止信号33aに基づいて走行部12を駆動制御して、モータ16の駆動を停止させる。
マーカー制御部33は、搬送台車10の各車輪15に設けられた車輪回転センサ15aから車輪回転数情報15bと、慣性計測ユニット18からの検出信号18aが入力されており、これらの車輪回転数情報15bに基づいて搬送台車10の移動距離を算出すると共に、慣性計測ユニット18の検出信号18aに基づいて車輪15のすべり等を検出して移動距離を補正し、補正した移動距離に基づいて走行情報50を修正し、修正した走行情報50aを駆動制御部13に出力する。
さらに、マーカー制御部33は、マーカーによる自律走行の制御中に、ビーコン検出部20のビーコン処理部25からビーコンBの位置情報24aを受け取ったときには、マーカーによる自律走行を中断して、駆動制御部13に対する制御をビーコン検出部20のビーコン処理部25に引き継いで、ビーコン処理部25がビーコンの近傍まで走行路2aに沿って所定距離(例えば3m)だけ直進して停止するような走行情報25bを作成して、駆動制御部13に送出する。
さらに、本実施形態における搬送台車の走行システム1は、走行エリア2にマーカー40が配置されていない領域が存在する。この場合は、所謂SLAM技術(Simultaneously Localization and Mapping:自己位置推定と地図作成を同時に行う)による自律走行が可能となるように、走行エリア2の壁や障害物を検出する障害物検出部45を備えている。本明細書においては、SLAM技術による自律走行を、SLAM走行モードと呼ぶ。
障害物検出部45は、図4に示すように、障害物センサ46と障害物処理部47とを備え、障害物処理部47からの信号が、CPU部36内のSLAM走行制御部48に出力され必要に応じて障害物記憶部49に保存される。なお、CPU部36内の障害物記憶部49は、搬送台車が走行する施設内のマップデータをマップ情報として記憶している。障害物処理部47と障害物記憶部49の各動作は、CPU部36内に格納されたプログラムにより実行される。障害物記憶部49は、ビーコン記憶部25aと同様にCPU部36内の記憶装置又はCPU部36の外部記憶装置を使用できる。
障害物センサ46として、本体部11の前部に障害物センサ46aが、本体部11の後方に障害物センサ46bが配置され、走行路2a(図1)の前方及び後方にある障害物に対して赤外線を出射してその反射波を検出して当該障害物までの距離を測定する。障害物センサ46bは本体部11の後方に設けられているので、前方の障害と共に後述する被牽引台車120Aの検知も可能となる。これにより、ほぼ周囲の360度の障害物の検知が可能となる。障害物センサ46は、マップマッチングが可能で10mから30m程度の範囲にある障害物を検知できるステレオカメラ、ライダー、TOF(Time of Flight)カメラ等の障害物センサである。ライダーは、レーザーレーダーとも呼ばれるセンサであり、光検出と測距(LIDAR(Light Detection and Ranging))又はレーザー画像検出と測距(Laser Imaging Detection and Ranging)を行なうセンサで、LIDARとも表記される。ライダーとしては二次元ライダー又は三次元ライダーが使用される。TOFカメラは距離計測技術を用いた測距センサ搭載のカメラであって、撮像したTOF画像データ35bには画素毎に被写体までの距離情報を含んでおり、それ自体三次元画像を構成している。TOFカメラは二次元TOFカメラ又は三次元TOFカメラが使用される。例えば10mの距離まで検知可能な二次元の障害物センサを用いれば、屋内の平面路において搬送台車の走行ができる。また、30mの距離まで検知可能な三次元の障害物センサを用いれば、屋内及び/又は屋外において搬送台車の走行ができる。
障害物処理部47には障害物センサ46からの撮像信号46cが入力され、この撮像信号46cによる撮像画面を画像処理し、撮像画面内に写っている障害物と移動車両10との距離を検出して、障害物情報47aをSLAM走行制御部48に出力する。具体的には、障害物センサ46は、例えばレーザースキャナ及び受光部から構成され、レーザースキャナによりレーザービームを放射して、物流倉庫等の施設内の壁面で反射されたレーザービームを受光部で収集することで、障害物処理部47は物流倉庫内における現在位置及び方向を算出して、SLAM走行制御部48に出力する。
マーカー40の走行情報50にはSLAM走行モード又は後述するライントレース走行モードに関する情報が含まれており、マーカー制御部33が、マーカー40の走行情報からSLAM走行情報56又はライントレース走行情報への制御切り替え情報を検出した場合には、制御切り替え情報を生成して駆動制御部33に出力し、制御切り替え情報がSLAM走行情報56である場合には、駆動制御部33によりSLAM走行制御部48からの走行情報56に基づいて走行部12を駆動制御して、搬送台車10がマップデータにより指定された走行路2に沿って自律走行する。
ここで、種々のマーカー40、即ちマーカー40-1~40-10による搬送台車10の動作について説明する。マーカー40-1,2,3はそれぞれ低速,中速及び高速の直進、マーカー40-4は左90度旋回、マーカー40-5は右90度旋回、マーカー40-6は停止、マーカー40-7は進入禁止、マーカー40-8は反時計回りのUターン、マーカー40-9は時計周りのUターン、マーカー40-10は追従モード切替に関連付けられている。
まず、直進の場合、図7に示すように、前方に走行する搬送台車10がマーカー40(マーカー40-1,40-2又は40-3)を通過すると、マーカー検出部30の画像処理部32が当該マーカー40の撮像画面からマーカー40の並び方向32a及び検出マーク情報32bを検出する。マーカー制御部33は、検出マーク情報32bに基づいてマーカー記憶部34から当該マーカー40に設定された走行情報50を読み出し、走行路2aに対する走行方向のずれ及び幅方向のずれに関して修正した走行情報50aを駆動制御部13に出力する。搬送台車10は、当該マーカー40から2m、又は3~10m程度(設定可能)の間で徐行しながら走行方向及び幅方向のずれを補正し、補正終了後は走行情報50に設定された速度まで加速し直進する。
徐行の距離は上記の範囲で設定可能である。この際、当該マーカー40に設定された走行情報5の速度指示が同じ場合には徐行しないで、例えば高速の場合には速度を落とさずに走行方向及び幅方向のずれを補正してもよい。このように、速度を落とさずに走行方向及び幅方向のずれを補正すると、牽引物が後ろから押して台車が押されたり、台車が滑ったりして生じる誤差を減少させることができる。
走行路2aに対する幅方向のずれのみがある場合は、図7(A)に示すように幅方向のずれが修正され、また走行路2aに対する走行方向のずれ及び幅方向のずれがある場合には、図7(B)に示すように走行方向と幅方向のずれの双方が修正される。
図7で説明した直進の他に、左折、右折、停止、進入禁止、Uターン等もこれらを示すマーカー40を用いることにより搬送台車の走行状態を制御することができる(特許文献2参照)。
(ビーコンへの追従)
次に、ビーコンへの追従モード切替えの場合には、図8に示すように前方に走行する搬送台車10がマーカー40(マーカー40-10)を通過すると、マーカー検出部30の画像処理部32が当該マーカー40の撮像画面からマーカー40の並び方向32a及び検出マーク情報32bを検出する。マーカー制御部33は、検出マーク情報32bから当該マーカー40に設定された走行情報50を読み出し、マーカー40による自律走行を中断して、駆動制御部13の制御をビーコン検出部20のビーコン処理部25に引き継ぐ。その後は、搬送台車10はビーコン検出部20で検出されたビーコンBに追従する。ビーコンBは作業者が装着してもよい。走行路2aに対する幅方向のずれのみがある場合は、図8(A)に示すように幅方向のずれは修正されずにそのままビーコンBに追従し、また走行路2aに対する走行方向のずれ及び幅方向のずれがある場合は、図8(B)に示すように走行方向のずれも幅方向のずれも修正されず、そのままビーコンBに追従する。このような追従モードへの切替えによって、走行路2aの途中で、走行路2aから外れた位置までビーコンBにより搬送台車10を誘導して、搬送台車10の載置台11a上に搭載した荷物等の積み下ろしを行なうことが可能となる。
図9に示すように、搬送台車10のマーカーによる自律走行中に、ビーコン検出部20がビーコンB(携帯型ビーコン)からの識別光を検出した場合は、ビーコン検出部20のビーコン処理部25がビーコンBの位置情報24aをマーカー検出部30のマーカー制御部33に送出する。マーカー検出部30のマーカー制御部33は、マーカー40による自律走行を中断して、ビーコンBの近傍まで走行路2aに沿って所定距離(例えば3m)だけ直進して停止する走行情報50を作成して駆動制御部13に送出する。これを受けて駆動制御部13は走行部12を駆動制御することにより、搬送台車10は、ビーコンBの近傍まで走行路2aに沿って所定距離だけ直進して停止する。このとき、走行方向のずれや幅方向のずれの修正は行なわれず、図9(A)に示すように走行方向のずれがない場合も、図9(B)に示すように走行方向のずれがある場合も、搬送台車10はそのまま直進する。搬送台車10の走行が再開されたとき、ビーコン検出部20がビーコンBからの識別光を検出している間は、マーカー制御部33による自律走行は行なわれず、ビーコン検出部20のビーコン処理部25によるビーコン追尾走行が行なわれるが、ビーコンBからの別光を検出しなくなった時点で、搬送台車10は走行路2a上に位置しているので、マーカー検出部30はマーカーによる自律走行を再開することができる。
搬送台車10に設けた非常停止スイッチ19cが操作されたとき、非常停止信号19dがマーカー検出部30のマーカー制御部33に入力される。マーカー制御部33は、非常停止信号19dに基づいて走行情報50aによる自律走行を中断して非常停止の走行情報50を生成して駆動制御部13に送出する。これを受けて駆動制御部13は、非常停止の走行情報50に基づいてただちに走行部12を駆動制御して、搬送台車10の走行を緊急停止させる。
マーカー検出部30のマーカー制御部33は、マーカーの走行情報50aにより駆動制御部13を制御する。マーカー制御部33は、図10に示す自律走行モードのフローチャートに従って以下のように動作する。自律走行モードでは、まずステップST1にて、自律走行開始後にマーカー検出部30が最初のマーカーを探し、マーカー40を検出する。マーカー検出部30は、ステップST1で検出したマーカー40が関連付けられている走行情報50の種類により、「直進」,「左旋回」,「右旋回」,「停止」,「Uターン」,「進入禁止」、「追従モード切替」、ニュートラルモード、ライントレース走行モード、SLAM走行モード、後述する被牽引台車との自動接続と及び被牽引台車との自動脱離を判別する。
「前進」の場合には、マーカー制御部33はステップST2にて図7に示すように、直進の走行情報50aを作成して、ステップST3にて走行方向のずれ及び幅方向のずれを修正した後、ステップST4にて駆動制御部13により走行部12を駆動制御して搬送台車10を前進させて、ステップST1に戻る。「左旋回」及び「右旋回」の場合には、マーカー制御部33は、それぞれステップST5及びステップST6にて左旋回又は右旋回の走行情報50aを作成して左旋回又は右旋回させた後、ステップST4にて駆動制御部13により走行部12を駆動制御して搬送台車10を前進させてステップST1に戻る。「停止」の場合には、マーカー制御部33はステップST7にて停止の走行情報50aを作成し、ステップST8にて走行方向のずれ及び幅方向のずれを修正し、ステップST9にて操作者の自律走行再開の操作を待って、ステップST4にて駆動制御部13により走行部12を駆動制御し、搬送台車10を前進させてステップST1に戻る。「Uターン」の場合には、マーカー制御部33は、ステップST10にてUターンの走行情報50aを作成してUターンさせた後、ステップST11にて走行方向のずれ及び幅方向のずれを修正し、ステップST4にて駆動制御部13により走行部12を駆動制御して搬送台車10を前進させてステップST1に戻る。「進入禁止」の場合には、マーカー制御部33は、ステップST12にて走行方向のずれや幅方向のずれの修正を行なわずにただちに停止させる。この場合、マーカー制御部33は、ステップ13にてマーカーによる自律走行を終了して操作者の操作を待つ。その間、マーカー制御部33は自律走行を停止し、ステップST14で示すようにニュートラルモードにする。「追従モード切替」の場合には、マーカー制御部33は、ステップST15にて図8に示すようにマーカーによる自律走行を中断して、ステップST16にて追従モードに切り替える。
上記搬送台車の走行システム1のマーカー40による走行モードの具体的な使用例を、図11を参照して説明する。搬送台車10が走行すべき例えば倉庫等の走行エリア内において、点線で示すように走行路2aを設定し、この走行路2aに沿って搬送台車10を誘導するために、適宜の箇所61~72にそれぞれマーカー40を設置する。位置61及び69のマーカー40は停止の走行情報を設定され、位置62,63,65,71及び72のマーカー40は直進の走行情報を設定され、位置64,66,68及び70のマーカー40は左折(左90度旋回)の走行情報を設定され、位置67のマーカー40は右折(右90度旋回)の走行情報を設定されている。
このような走行エリア内において、位置61で停止している搬送台車10がマーカーによる自律走行を開始すると、位置62及び63で直進し、位置64で左折し、位置65で直進し、位置66で左折,位置67で右折し、さらに位置68で左折し、位置69で停止する。図11に点線で示す搬送台車10の走行経路の各位置(61~69)において、それぞれ走行方向のずれ及び直進の場合には幅方向のずれが修正されることによって、搬送台車10は確実に走行路2aに沿って自律走行する。各マーカー40は、走行エリアの床面に接着等により設置され、走行路2aを変更する場合には、既設のマーカー40は容易に剥がすことができると共に、所定の位置に適宜のマーカー40を新たに設置することにより容易に走行路2aの変更ができる。
(走行モードの切り替え)
次に、マーカー40による走行モードからマーカー40を用いない他の走行モードへの切り替えについて説明する。
図12は、走行モードの切り替えを説明する模式図である。搬送台車10は、マーカー40による走行モードからライントレースによる走行モードへの切り替え(図12のA参照)、ライントレースによる走行モードからSLAMによる走行モードへの切り替え(図12のB参照)、SLAMによる走行モードからライントレースによる走行モードへの切り替え(図12のC参照)、ライントレースによる走行モードからマーカー40による走行モードへの切り替え(図12のD参照)、マーカー40による走行モードからSLAMによる走行モードへの切り替え(図12のE参照)、SLAMによる走行モードからマーカー40による走行モードへの切り替え(図12のF参照)等を組み合わせて行うことができる。
(マーカーによる走行モードからライントレースによる走行モードへの切り替え)
図12においてAに示すように、マーカー40による走行モードからライントレースの走行モードへの切り替えは、搬送台車10がマーカー40の走行モード変更の意味付けを読み取ることにより行われる。ライントレースの領域の走行は、マーカー40による走行モードと同様にマーカー検出部30とマーカー制御部33とにより行われる。ライントレースは、従来と同様のライントレース用の白線を施設等の床に貼り付けたものや、マーカー40を用いることができる。ライントレース用の白線は、白の樹脂や紙のテープ、磁気テープ等を用いることができる。
ライントレース用の白線としてマーカー40を用いる場合には、1個以上のマーク41を進行方向に並べ、マーク41がカメラの視野角による水平認識範囲である例えば25cmから外れないように横方向ずれを修正しながら走行する。その際、カメラ31で認識したマーク41の水平方向のずれと傾き角度を、搬送台車10の進行方向補正値として用いる。
この場合、図10に示す自律走行モードのフローチャートに従って以下のように動作する。ライントレースによる走行モードでは、ステップST20にて、マーカー検出部30がマーカー40lを検出し、マーカー検出部30は、ステップST20で検出したマーカー40lが関連付けられている走行情報50の種類により、「ライントレース走行モード」を判別する。「ライントレース走行モード」の場合には、マーカー制御部33はライントレース走行モードの走行情報50aを作成して、駆動制御部13により走行部12を駆動制御して搬送台車10を前進させる。そして、ライントレース走行モードの終了に関するマーカー40を検出したときにステップST4に進み、ST4にて駆動制御部13により走行部12を駆動制御して搬送台車10を前進させて、ステップST1に戻る。このようにして、制御切り替え情報がライントレース走行情報である場合には、マーカー検出部30が、走行路2の直進方向に配置されたライントレースのためのマーカー40を読み出し、マーカー検出部30が、走行路2の直進方向に配置されたライントレースのためのマーカーを40読み出す。
次に、マーカー制御部33が、マーカー検出部30で検出されたライントレース走行情報に基づいて移動車両の横方向のずれ及び角度のずれを補正するための修正走行情報50aを生成して駆動制御部13に出力し、駆動制御部13により、マーカー制御部33からの修正走行情報55aに基づいて走行部12を駆動制御して、搬送台車10がマーカー40により指定された走行路2に沿って自律走行する。
ライントレースの走行モードによれば、マーカー40による走行モードでは走行停止が生じるような狭い通路を精度よく走行することができる。さらに、ライントレースの走行モードによれば、後述するSLAMによる走行モードを用いることが困難な走行路2で有効である。このような走行路2としては、SLAMの走行に用いることができる障害物が無く、且つ、精度よく走行したいエリア、センサ検知範囲に壁など固定障害物が少ない広い倉庫、トラックバース、例えば倉庫のトラック横付けエリア及び常に物が流動しているようなエリア等が挙げられる。
(ライントレースによる走行モードからSLAMの走行モードへの切り替え)
図12においてBに示すように、ライントレースによる走行モードからSLAMによる走行モードへの切り替えは、搬送台車10がマーカー40の走行モード変更の意味付けを読み取ることにより行われる。この場合、図10に示す自律走行モードのフローチャートに従って以下のように動作する。ライントレースによる走行モードでは、ステップST20にてマーカー検出部30がマーカー40sを検出し、マーカー検出部30は、ステップST21で検出したマーカー40sが関連付けられている走行情報50の種類により、「SLAMの走行モード」を判別する。マーカー40sに附される走行情報50には、「SLAMの走行モード」を意味付けするために、SLAMの走行モードで使用するマップデータの種類、SLAMの走行モードの開始位置、終了位置を示す識別番号が付されてもよい。SLAMの走行モードによる走行は、マーカー40による走行モードとは異なり障害物検出部45とSLAM走行制御部48とにより行われる。ここで、障害物記憶部49は施設内のマップデータを備えると共に、図12のBに示すSLAM走行路12sも登録している。さらに、SLAM走行制御部48は、SLAM走行路2sの位置の新設,廃止等の変更の際には逐次更新されて、常に最新のマップデータを有している。
SLAM走行制御部48は、障害物処理部47からのマップ情報55に基づいてSLAM走行情報56を生成して駆動制御部13に出力する。駆動制御部13は、このSLAM走行情報56に基づいて走行部12を駆動制御する。よって、搬送台車10は、SLAM走行情報56に従って障害物処理部47からのマップ情報55により指定された通りに移動走行を行なう。SLAM走行制御部48は、障害物処理部47から障害信号47cが入力された場合には、搬送台車10の走行方向に障害物が検出されたと判断して非常停止信号48aを生成して、搬送台車10の駆動制御部13に出力する。駆動制御部13は、この非常停止信号48aに基づいて走行部12を駆動制御して、モータ16の駆動を停止するか又は回避動作をする。
SLAM走行制御部48は、搬送台車10の各車輪15に設けられた車輪回転センサ15aから車輪回転数情報15bと、慣性計測ユニット18からの検出信号18aが入力されており、これらの車輪回転数情報15bに基づいて搬送台車10の移動距離を算出すると共に、慣性計測ユニット18の検出信号18aに基づいて車輪15のすべり等を検出して移動距離を補正し、補正した移動距離に基づいてSLAM走行情報56を修正し、修正したSLAM走行情報56を駆動制御部13に出力する。
さらに、SLAM走行制御部48は、SLAMによる走行モード中に、ビーコン検出部20のビーコン処理部25からビーコンBの位置情報24aを受け取ったときには、SLAMによる自律走行を中断して、駆動制御部13に対する制御をビーコン検出部20のビーコン処理部25に引き継いで、ビーコン処理部25がビーコンの近傍まで走行路2aに沿って例えば3mの所定距離だけ直進して停止するような走行情報25bを作成して、駆動制御部13に送出する。なお、SLAMの走行モードの終了に関するマーカー40を検出したときには、ステップST4に進み、ST4にて駆動制御部13により走行部12を駆動制御して搬送台車10を前進させてステップST1に戻る。
SLAMによる走行モードよれば、障害物センサ47により前もって作成された施設内のマップデータと、自律走行時の車輪回転センサ15a及び慣性計測ユニット18の計測データを照合して、搬送台車10の自己位置を認識すると同時に、前もって作成されたマップデータから目標地点へのルートを計算して搬送台車10が目標地点まで自律走行させることができる。その際、SLAM走行制御部48は、障害物センサ47とバンパーセンサ38cからの検出信号に基づいて、走行中に走行路2にて障害物や人あるいは他の搬送台車10やフォークリフト等と接触しないように停止するか又は回避動作をする。つまり、適宜に減速したり停止したりあるいは迂回することにより走行路2に沿って走行する。
SLAMによる走行モードによれば、マーカー40やライントレースを使用せずに予め取得したマップデータと実際の位置で設定した走行ができ、曲線軌道や前後への動き等の任意の走行を行うことができる。
(SLAMによる走行モードからライントレースモードへの切り替え)
図12のCに示すように、SLAMによる走行モードからライントレースによる走行モードへの切り替えは、搬送台車10がマーカー40lの走行モード変更の意味付けを読み取ることにより行われる。ライントレース及びSLAMによる走行モードは、図12のBで説明した方法と同様に行われる。
(ライントレースによる走行モードからマーカー40による走行モードへの切り替え)
図12においてDで示すように、ライントレースによる走行モードからマーカー40による走行モードへの切り替えは、搬送台車10がマーカー40mの走行モード変更の意味付けを読み取ることにより行われる。ライントレースの走行モード及びマーカー40による走行モードは、上述した走行モードと同様に、マーカー検出部30とマーカー制御部33とにより行われる。
(マーカー40による走行モードからSLAMによる走行モードへの切り替え)
図12においてEで示すように、マーカー40による走行モードからSLAMによる走行モードへの切り替えは、搬送台車10がマーカー40sの走行モード変更の意味付けを読み取ることにより行われる。SLAMによる走行モードは、上述した走行モードと同様に、障害物処理部47とSLAM走行制御部48とにより行われる。
(SLAMによる走行モードからマーカーによる走行モードへの切り替え)
図12においてFで示すように、SLAMによる走行モードからマーカー40による走行モードへの切り替えは、搬送台車10がマーカー40mの走行モード変更の意味付けを読み取ることにより行われる。マーカー40による走行モードは上述した走行モードと同様に行われる。
マーカー40による走行モードによれば、ライントレースの走行モード及びSLAMによる走行モードに対してルート設定が簡便であり、多品種、多量の搬送物を運ぶのに適している。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る移動車両の走行システム5について図13を参照して説明する。この移動車両の走行システム5が図1に示す第1の実施形態に係る走行システム1と異なるのは、搬送台車10に接続されるネットワーク80と、ネットワーク80に接続される搬送台車10の外部運転制御部90と、をさらに備えている点である。搬送台車10は、CPU部36がネットワーク80に接続される送受信機を含む通信部を備えている以外は、第1の実施形態に係る移動車両の走行システム1と同じ構成である。
ネットワーク80は任意の構成のネットワークであって、専用回線ネットワークであっても、3G、LTE、インターネットのような公衆回線ネットワークであってもよい。ネットワーク80は無線に限らず有線であってもよい。有線を用いたネットワーク80としては、LAN(イーサネット(登録商標))、RS232C、 車載ネットワークであるCAN(Controlled Area Network)等であってよい。無線を用いたネットワーク80としては所謂無線LANであってよい。無線LANとしてはWiFi(登録商標)やブルートゥース(登録商標)が適用できる。ネットワーク80としては、CPU部36の通信部が備える通信機能及び入出力機能として電気的な信号を送出できるトランジスタやリレーのような電子部品と伝送用ケーブル等により構成してもよい。ネットワーク80により搬送台車10と外部運転制御部90がそれぞれ相互に接続される。必要に応じて各種信号が相互に送受信され得る。
外部運転制御部90は、例えばタブレットとタブレットに格納されるプログラムにより構成されるが、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)やシーケンサ、リモコン等の制御装置を用いてもよい。本明細書においては、搬送台車10を制御するプログラムが格納されているタブレットを用いる。
第2実施形態に従えば、外部運転制御部90が、必要に応じてネットワーク80を介して搬送台車10の制御を行ってもよい。例えば、外部運転制御部90となるタブレットにより搬送台車10の走行路2aを任意に変更してもよい。マーカー40における走行情報が外部運転制御部90により変更されてもよい。外部運転制御部90は、下記のように必要に応じてネットワーク80を介してマーカー40における走行情報を変更することで移動車両10の走行路2aを任意に変更できる。
さらに、本発明の移動車両の走行システム1,5によれば、ルート設定が簡便であり、多品種、多量の搬送物を運ぶのに適しているマーカーモードで自律走行でき、必要に応じて、狭い通路や、SLAMによる走行モードを用いるのが困難である、障害物が少ない通路又はマップデータが常に変動する通路等を精度よく走行することができるライントレースモード及び予め取得したマップデータと実際の位置で設定した走行ができ、曲線軌道や前後への動き等の任意の走行を行うことができるSLAMの走行モードに切り替えが可能な極めて優れた移動車両の走行システムを提供することができる。
(第3の実施形態)
次に、図14及び図15を参照して本発明の第3の実施形態に係る移動車両の走行システム100を説明する。第3の実施形態では、移動車両が被牽引台車120とこの被牽引台車を牽引する搬送台車110とで構成される。これらの車両は、連結機構により互いに連結及び連結解除できるよう構成される。移動車両となる搬送台車110側の連結機構は、搬送台車110の後端に設けた連結器132と、被牽引台車120の前端に設けた連結器134と、これらを連結する連結用部材130とを備え、搬送台車110が先導して被牽引台車120を牽引して移動する構成である。被牽引台車120は、カゴ台車(ロールボックスパレット )、六輪台車(スリムカート)、あるいは、パレット搬送可能な台車であってよい。搬送台車110側の連結機構は、連結器132を連結用部材130に可動に取り付ける場合は、被牽引台車120側の連結器134は固定して取り付ける。逆に、搬送台車110側の連結器132を固定して取り付ける場合は他方の連結器134を可動に取り付ければよい。被牽引台車120の積載量は100kg~300kgとすることができる。各モータ16を適宜に選定すれば被牽引台車120の積載量をさらに増大し、例えば600kgとすることも可能である。
(マーカーの変形例1)
移動車両110は、移動車両10と同様に直進,Uターン,左旋回,右旋回及び停止、侵入禁止、追従モード、ニュートラルモード、ライントレース走行モード、SLAM走行モードを示すマーカー40を使用できるが、図14に示すように、さらに弧(R)を描く軌道を自律走行するマーカー40も併用することができる。弧を描く軌道の自律走行を、直角状の左旋回及び右旋回と区別するために、それぞれ弧状の左旋回及び弧状の右旋回と呼ぶ。マーカーの変形例7として、旋回を示すマーカー40について説明する。
図16に示すように、被牽引台車120を牽引する搬送台車110が弧状の左旋回をする場合、搬送台車110がマーカー40(マーカー40-12)を通過すると、マーカー検出部30の画像処理部32が当該マーカー40の撮像画面からマーカー40の並び方向32a及び検出マーク情報32bを検出する。マーカー40-12により最初に直進し、例えば2m直進したときに走路2aの中央位置になるよう搬送台車110の位置が補正され、次に旋回半径Rと旋回する角度が設定される。例えば2m直進し、半径3mで60°旋回(図16のAの軌跡参照)、2m直進し、半径5mで90°旋回(図16のBの軌跡参照)等に自由に設定ができる。
マーカー制御部33は、検出マーク情報32bから当該マーカー40に設定された、直進する距離と旋回半径Rと旋回する角度に関する走行情報50を読み出し、走行路2aに対する走行方向のずれに関して修正した走行情報50aを駆動制御部13に出力する。これにより、搬送台車110は当該マーカー40-12から所定の位置迄直進し、一旦停止した後、左方向に弧を描くような軌道で旋回する。つまり、移動車両110は、始めは直進マーカー(図7のマーカー40-1~3)と同じように直進し、次に、マーカー40-12が示す旋回半径Rと旋回する角度に従って弧状の左旋回をする。この場合、直進する際に幅方向のずれに関する修正が行なわれる。これにより、搬送台車110は、被牽引台車120を牽引して弧状に左旋回をする際に円滑に旋回することができる。弧状の右旋回の場合は、上述した弧状の左旋回の場合と左右に関して逆に動作するので、詳細な説明は省略する。
(マーカーの変形例2)
マーカー40は、特定の方向へ進む際に、所定の距離で停止、又は所定の距離まで直進して旋回するという、二つ以上の機能を組み合わせても良い。つまり、マーカー40には、上述の直進,Uターン,左旋回,右旋回、停止、弧状の左旋回、弧状の右旋回の何れかに加えて、さらに、これらの一つ以上を組み合わせた走行情報を設定してもよい。例えば5m先で停止、3m先で弧状に右旋回又は弧状の右旋回等に設定できる。
(第3の実施形態の変形例1)
第3の実施形態の変形例1に係る移動車両の走行システム100Aを図17~図18を参照して説明する。搬送台車110Aは、被牽引台車120Aの連結機構として、自動的に着脱できる連結器142を備える。搬送台車110Aの連結器142は、上下方向に移動可能な機構を備えた自動連結用部材144を備える。自動連結用部材144は、連結器142内に配置されたソレノイドやモータにより駆動されて、自動連結用部材144のピン部144aを上下方向に移動する。被牽引台車120Aは、搬送台車110Aの連結器142と着脱可能な被牽引台車側の連結器154を備える。被牽引台車側の連結器154は、自動連結用部材144のピン部144aが挿入される挿入孔を備える。
(搬送台車110Aと被牽引台車120Aとの自動接続)
搬送台車110Aと被牽引台車120Aとの自動接続について説明する。例えば、倉庫の走行路2aにおいて、搬送台車110Aと被牽引台車120Aとが自動接続すべき箇所にマーカーDと呼ぶマーカー40が設置されている。マーカーDは、搬送台車110Aと被牽引台車120Aとが自動接続される箇所と定義され、マーカー記憶部34に保存される。搬送台車110Aと被牽引台車120Aとが自動接続されることが、走行情報50に関連付けられる。マーカーDを検知したマーカー制御部33は、CPU部36にマーカーDの箇所で停止し、自動連結用部材144による自動接続をするように制御する。これを受けて、CPU部36は、自動連結用部材144のピン部144aを上方向に移動するようにソレノイドを制御して、ピン部144aが被牽引台車側の連結器154の孔に挿入する。ネットワーク80に接続された外部運転制御部90が、搬送台車110AのCPU部36に「被牽引台車120Aと接続する」の信号を送出しても良い。外部運転制御部90としてPLCを用いた場合は、PLCから被牽引台車120Aと被牽引台車120Aとが自動接続されるように制御することができる。PLCとCPU部36とを接続するネットワーク80は、CPU部36に接続されるスイッチや通信部を用いて構成してもよい。
(搬送台車110Aと被牽引台車120Aとの自動脱離)
例えば倉庫の走行路2aにおいて、搬送台車110Aと被牽引台車120Aとの接続を解除する場合、搬送台車110Aを被牽引台車120Aから離脱させる箇所にマーカー40としてマーカーEが設置されている。マーカーEは、搬送台車110Aを被牽引台車120Aから離脱する箇所と定義され、マーカー記憶部34に保存される。搬送台車110Aが被牽引台車120Aから離脱されることは、走行情報50に関連付けられる。マーカーEを検知したマーカー制御部33は、CPU部36にマーカーEの箇所で停止し、次に自動連結用部材144による自動離脱をするように制御する。これを受けて、CPU部36は、自動連結用部材144のピン部144aを下方向に移動するようにソレノイドを制御して、ピン部144aを被牽引台車側の連結器154から自動離脱させる。なお、搬送台車110Aと被牽引台車120Aとの自動接続と同様に、ネットワーク80に接続した外部運転制御部90が、搬送台車110AのCPU部36に「被牽引台車120Aから離脱」の信号を送出して、被牽引台車120Aを離脱させてもよい。
搬送台車110Aに被牽引台車120Aを接続するときには、マーカー40に後退の意味付けを行い、搬送台車110Aを後退させて、連結器142と被牽引台車側の連結器154に対する位置合わせを行ってもよい。この位置合わせはCPU部36により行うことができる。また、位置合わせは作業者が搬送台車110Aのハンドルを操作して行ってもよい。或いは、PLCを用いた外部運転制御部90に接続されたスイッチや、通信機能を用いて位置合わせしてもよい。このように、マーカーD又はマーカーEに、自動接続又は自動離脱するように前もって走行情報が設定されていれば、搬送台車110AはCPU部36によりマーカーD又はマーカーEの箇所で停止し、次にソレノイドを制御して自動連結用部材144による自動接続又は自動離脱をする。
この搬送台車110Aは、図18及び図19に示すように、必要応じて、さらに、測距センサ153を備えて構成される。それ以外は、搬送台車10と同様に構成される(図4参照)。測距センサ153は、障害物センサ46a, 46bが主として前方や後方の障害物を検知するのに対して、搬送台車110Aよりも幅の広い被牽引台車120Aを牽引する時に左右の斜め方向を含む、より距離の長い範囲にある障害物を検知する。距離は大凡5m前後、例えば5~10m程度に設定してもよい。測距センサ153は、2次元のレーザレンジファインダー(2DLRF)と呼ばれている測距センサ、ステレオカメラ等のカメラによる画像認識により測距する測距センサ等が好適である。幅広の被牽引台車120Aを牽引する際、進行方向前方の障害物を未然に検知し得ることで、障害物との衝突の前に搬送台車110Aを停止したり障害物と衝突しないように回避する。2DLRFはmmオーダの測距ができるので、局所的に高精度、高密度に搬送台車110Aの周囲にある障害物との測距を行うことにより、障害物のための停止動作の早期化と障害物回避の動作を迅速に行う。重量物を積載している被牽引台車120Aは、障害物を検知して停止する迄の制動時間が余計に掛かるので停止動作の安全性がより高くなる。
(第3の実施形態の変形例2)
第3の実施形態の走行システム100Bでは、図20(A)及び(B)に示すように、搬送台車110Bが被牽引台車120Bを牽引する連結機構として、搬送台車110B側には、操作部119と、後述する被牽引台車120Bのピン160に接続するための牽引部材170と、拘束部材172と、該牽引部材172に接続されるリンク機構174と、該リンク機構174を駆動するソレノイド176等とが設けられるが、ハンドル111bを備えていない。牽引部材170は、被牽引台車120Bを連結する際にピン160を挿入する孔170が設けられている。拘束部材172は、ピン160が牽引部材170の孔172aに挿入されたときに該ピン160の離脱を抑止するバネ性の部材である。この実施形態では、搬送台車110Bが被牽引台車120Bの下側に潜り込んだ態様で被牽引台車120Bを牽引し誘導する構成である。操作部119は、搬送台車110Bが被牽引台車120Bの下部側に潜り込む際に支障がないように本体部111の積載面と水平の位置から略下側に配置されている。被牽引台車120B側の連結機構として、本体部122の下部において下方に突出したピン160と、搬送台車110Bを被牽引台車120Aの下部側に潜り込ませて保持する左右両側に設けた一対のガイド162を備えている。ガイド162の間隔Wgは搬送台車110Bの幅と略同じかそれより僅かに幅広に形成され、被牽引台車120Bを潜り込ませてこれを保持し得る幅に設定されている。
(搬送台車110Bと被牽引台車120Bとの自動接続)
図21(A)及び(B)に示すように、被牽引台車120B側にはその連結機構として、本体部111の下部側に、前述の一対のガイド162に加え下方に向かって突出するピン160を備える。搬送台車110Bは被牽引台車120Bの下部側に潜り込み、ガイド162に沿って直進することにより搬送台車110Bの牽引部材170の孔170aに被牽引台車120Bのピン160が挿入されて相互に連結する。連結機構による連結の動作を具体的に説明すると、まず、図22(A)に示すように搬送台車110Bが矢印方向に進むと、被牽引台車120Bのピン160に搬送台車110Bの拘束部材172が近接する。さらに進むと、図22(B)に示すようにバネ164で所定位置に弾性保持されている拘束部材172を被牽引台車120Bのピン160がバネ力に抗して押し下げると共に、このピン160は搬送台車110Bの牽引部材170の孔170aに入り込む。ピン160が孔170aの終端まで進むと、図22(C)に示すように拘束部材172は被牽引台車120Bのピン160と離れ、再びバネ154により所定位置に戻る。その結果、牽引部材170がピン160に水平方向で引っ掛かり、牽引部材の孔170aにピン160が挿入されることで被牽引台車120Bが搬送台車110Bに接続される。
(搬送台車110Bと被牽引台車120Bとの自動脱離)
図22(C)に示す連結機構による連結を解除する場合は、図22(D)に示すように搬送台車110Bの本体部の下部に配置されたソレノイド176を駆動してリンク機構174を吸引することで、牽引部材170をピン160より下方向(矢印C)に引き下げる。これにより、搬送台車110Bの牽引部材170の孔170aから被牽引台車120Bのピン160の水平方向の接続を解除する。この状態で、搬送台車110Bが進行方向へ進むと被牽引台車120Bから離脱する。ソレノイド176はピン160から十分に離れた時間の経過後に停止することで、搬送台車110Bの牽引部材170はバネ164の力により所定の位置へ復帰する。搬送台車110Bが被牽引台車120Bの下部側に潜り込んで被牽引台車120Bを連結するので、被牽引台車120Bが移動車両100A単独の動作と同じ動きができ、被牽引台車を搬送台車の後方に接続した場合に被牽引台車のその場回転が可能になる。また、搬送台車110Bと被牽引台車120Bとは積層状態で移動するので、全体の長さが短縮され作業効率が向上する。
ここで、SLAMの走行モードにおいては、被牽引台車120Bは、マップデータとしての登録が無く、障害物検出部45により障害物として判断されてしまう。これを解消し、SLAMの走行モードにおいても搬送台車110Bと被牽引台車120Bとの自動接続及び自動脱離をする方法について説明する。
搬送台車110Bにおいて、SLAMの走行モード中に、被牽引台車120Bとの自動接続をするという走行情報が附されたマーカー40を検出したときには、搬送台車110Bは被牽引台車120Bとの自動接続、つまり装着を行う。マーカー40に附される走行情報50には、「搬送台車110Bとの自動接続」を意味付けするために、搬送台車110Bの種類、自動接続の開始位置及び終了位置を示す識別番号が付されてもよい。この場合、障害物処理部47は、予め障害物記憶部49に記録された搬送台車110Bの本体部の形状、例えば車輪を含む形状から搬送台車110Bの移動車両側の連結機構142が、搬送台車110B側の連結機構154と自動接続できる位置へ走行して自動接続する。自動接続されたか否かは、CPU部36が搬送台車110Bの牽引部材の孔170aにピン160が挿入されることをスイッチ等で検出し、この検出信号の有無により判断してもよい。
ここで、搬送台車110Bと被牽引台車120Bとの自動接続が終了した後のその停止又は次のマーカー40を探すために前進動作を行う。例えば、図10に示す自律走行モードのフローチャートのST22に示すように、「被牽引台車との自動接続」の場合には、マーカー制御部33は、被牽引台車との自動接続に関する走行情報50aを作成して、駆動制御部13により走行部12を駆動制御して搬送台車120Bを前進させる。そして、CPU部36が、搬送台車110Bの牽引部材の孔170aにピン160が挿入されることを図示しないスイッチで検出したときに、自動接続がされた判断してステップST4に進み、ST4にて駆動制御部13により走行部12を駆動制御して搬送台車10を前進させ、ステップST1に戻ってもよい。
次に、搬送台車110Bと被牽引台車120Bとの自動脱離について説明する。
搬送台車110Bにおいて、SLAMの走行モード中に、搬送台車110Bと被牽引台車120Bとの自動脱離のマーカー40を検出したときには、ソレノイド176を駆動してリンク機構174を吸引することで、牽引部材170をピン160より下方向(図22の矢印C)に引き下げる。これにより、搬送台車110Bの牽引部材170の孔170aから被牽引台車120Bのピン160の水平方向の接続を解除し、被牽引台車120Bとの自動脱離を行う。マーカー40に附される走行情報50には、「搬送台車110Bとの自動脱離」を意味付けするために、搬送台車110Bの種類、自動脱離の開始位置を示す識別番号が付されてもよい。この場合、自動脱離されたか否かは、CPU部36が、搬送台車110Bの牽引部材の孔170aにピン160が挿入されていないことをスイッチ等で検出し,このスイッチからの検出信号により自動脱離されたことを判断してもよい。
ここで、搬送台車110Bと被牽引台車120Bとの自動脱離が終了した後のその停止又は次のマーカー40を探すために前進動作を行う。例えば、図10に示す自律走行モードのフローチャートのST23に示すように、「被牽引台車との自動脱離」の場合には、CPU部36が、搬送台車110Bの牽引部材の孔170aにピン160が挿入されていないことを検出したときに、自動脱離がされたと判断してステップST4に進み、ST4にて駆動制御部13により走行部12を駆動制御して搬送台車10を前進させ、ステップST1に戻ってもよい。
SLAMの走行モードにおける、搬送台車110Bと被牽引台車120Bとの自動接続及び自動脱離をする方法について説明したが、SLAMの走行モードに限らず、ライントレースによる走行モードにおいてもSLAMの走行モードと同様に行うことができる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る移動車両の走行システムについて説明する。
第4の実施形態に係る搬送台車の走行システムにおいて、搬送台車100Cは、さらにVSLAM(Vision Simultaneously Localization and Mapping:画像による自己位置推定と地図作成を同時に行う)による自律走行の機能を備えている。VSLAM機能を備えることで、マーカーによる走行モードとVSLAMによる走行モードとを組み合わせた仮想マーカー走行モードによる自律走行が可能である。
図23は搬送台車100Cの内部構成を示すブロック図であり、図24は図23に示す搬送台車100Cにおいて、(A)概略斜視図、(B)底面図である。
この搬送台車100Cが図4に示す搬送台車10と異なるのは、ステレオカメラ46dと、ステレオカメラ46dに接続されるVSLAM制御部45Aを備えている点である。ステレオカメラ46dは、図24(A)に示すように本体部11の前部に設けられ、前方の画像及びマーカー40を撮像して位置情報を取得する。ステレオカメラ46dの視野は、前方の水平方向において120度~140度程度であり、仰角を20度~45度程度として、前方の仰角範囲を40度~90度程度とすることで、前方の三次元の画像取得が可能となる。他の構成は、図4に示す搬送台車10のブロック図と同様であるので、説明は省略する。
VSLAM制御部45Aは、ステレオカメラ46dからの画像信号から搬送台車110Cの前方にある例えば倉庫内の荷物、扉、パレット、窓、壁、天井等の特徴量と位置情報を抽出する画像処理部47Aと、後述する検出したマーカー40から仮想マーカー情報を生成する仮想マーカー生成部48Bと、画像処理部47A及び仮想マーカー情報から生成したマップを格納する仮想マーカー記憶部49Aと、を備えている。VSLAM制御部45Aは、図24(B)に示すように、例えば、本体部11の下面に配置される駆動制御部13、13の間に配置される。
(仮想マーカー走行モード)
仮想マーカー走行モードとは、施設内にマーカー40を配設した走行路を、所定の回数マーカーモードで走行した後で、VSLAM制御部45Aにより走行路のマップ作成と自己位置の推定を行い、取得した仮想マーカー情報を、VSLAM制御部45AからCPU部36に送出し、CPU部36が駆動制御部13を介して走行部12を駆動制御して搬送台車100Cを自律走行させるモードである。
すなわち、VSLAM制御部45Aは、搬送台車110Cにて走行路2aを所定の回数マーカーモードで走行してマーカー制御部33でマーカー40の位置座標を取得すると共に、ステレオカメラ46dでマーカー40の位置座標を取得し、マーカー制御部33で取得したマーカーの位置座標とステレオカメラ46dで取得したマーカーの位置座標とを紐付けて走行路2aの仮想マーカー情報を作成し、仮想マーカー情報を仮想マーカーのマップとしてVSLAM制御部45Aの仮想マーカー記憶部49Aに格納すると共に、該仮想マーカー情報をCPU部36に送出する。CPU部36は、仮想マーカー情報を走行情報及び/又は修正走行情報として駆動制御部13に送出し、搬送台車100Cを仮想マーカー走行モードで自律走行させる。具体的には、仮想マーカー生成部48Bにおいて、マップ作成と自己位置の推定とから走行路2aの仮想マーカー情報を作成し、この仮想マーカー情報を仮想マーカー走行モード情報57として、CPU部36に送出する。
図25は仮想マーカー走行モードにより走行する走行路を示し、図26はマーカー40により走行する際のステレオカメラ46d及びVSLAM制御部45Aによる仮想マーカー走行モードのマップ作成を説明する図、図27は仮想マーカー走行モードのマップ作成モードと仮想マーカー生成モードを説明するフロー図、図28は仮想マーカー走行モードにおける仮想マーカー情報を説明する図である。図25に示すように、走行路には、実施形態1で説明した直進,左旋回,右旋回及び停止等のマーカー40が配置されている。
図26に示すように、ステレオカメラ46dによるマップマッチングのためのマーカーの位置情報と、カメラ31による床に貼り付けたマーカー40の検出マーク情報とが取得される。マーカー40は、1列に10個のマークを有している。ステレオカメラ46dは搬送台車100Cの進行方向に向けて設置されており(図24(A)参照)、カメラ31は、搬送台車100Cの下向きに設置されている(図6参照)。カメラ31は、可視光カメラ又は赤外カメラでよい。
仮想マーカー情報は、ステレオカメラ46dが取得した各マークの位置情報(式(1)参照)と、マーカー制御部33で取得した各マークの位置情報(式(2)参照)とを紐づける情報(式(3)参照)である。VSLAM制御部45Aにおいては、仮想マーカー情報と前方の画像によるマップとが同時に取得されて、仮想マーカー情報及びマップとして仮想マーカー記憶部49Aに格納される。
Figure 2022034519000002
Figure 2022034519000003
Figure 2022034519000004
式(3)に示すマーカー40の横方向の10個のマークの各IDが、仮想マーカー記憶部49Aのマップ上の位置に推定されて、「仮想マーカーのマーク領域」として配置されている。なお、マーカー40が配置された走行路で作成されたマップは、走行路を1周から数周程度走行させてから、仮想マーカー記憶部49Aに格納してもよい。
次に、図27のフロー図によりマップ作成モードについて説明する。
図27に示すように、操作部19の操作によってステップA1にてマップ作成指示をCPU部36に送出する。これを受けてCPU部36は、ステップA2にてマップ作成指示をVSLAM制御部45Aに送出し、これを受けたVSLAM制御部45Aは、ステップA3にてマップ作成モードを実行する。
操作部19によりステップA4にてマーカー走行指示をCPU部36に送出し、CPU部36はステップA5にてマーカー制御部33にマーカー取得指示を送出する。これを受けてマーカー制御部33は、ステップA6にてマーカー40から検出した検出マーク情報32bをCPU部36及びVSLAM制御部45Aに送出する。
ステップA4にて操作部19からマーカー走行指示を受けたCPU部36は、ステップA7にて走行情報50及び/又は修正走行情報50aを駆動制御部13に送出し、これを受けて駆動制御部13が走行部12を駆動制御することにより、ステップA8にて、搬送台車110Cはマーカー40による走行モードで自律走行する。
図25に示す走行路において、所定のマーカー走行モードで走行して走行路の終点に到着した場合には、ステップA9にて操作部19で停止指示の操作をし、これを受けてCPU部36は、ステップA10にて駆動制御部13に走行停止指示を送出する。
(仮想マーカー走行モードによる走行)
次に、マップ作成モードが終了した後の仮想マーカー走行モードについて説明する。
最初に、ステップA12にて操作部19によってCPU部36に仮想マーカーモードによる走行指示を送出する。これを受けてCPU部36は、ステップA13にてVSLAM制御部45Aに仮想マーカー生成モード開始の指示を送出すると共に、ステップA14にてマーカー制御部33にマーカー取得指示を送出する。次に、VSLAM制御部45Aは、ステップA15にて仮想マーカー検出情報を生成してCPU部36へ送出する。又、ステップA16にてマーカー制御部33は、検出したマーカーがある場合には検出マーク情報32bをCPU部36に送出する。
このようにして、CPU部36は、VSLAM制御部45Aから送出される仮想マーカー検出情報とマーカー制御部33から送出される検出マーク情報32bから走行情報50及び/又は修正走行情報50aを生成して、ステップA17にて駆動制御部13に送出することで、駆動制御部13はステップA18にてマーカー情報と仮想マーカー情報による走行モードで走行部12のモータ16を駆動制御し、搬送台車100Cが自律走行する。
図28は仮想マーカー情報による走行の説明図である。
仮想マーカーのマークによる走行では、走行路にマーカー40を配置しない、つまり、実際のマーカー40が存在しない状態でも走行が可能となる。図28に示すように、ステレオカメラ46dが取得したマップ位置情報((X,Y,θ)’’)に紐づいた仮想マーカー情報(ID, X,Y,θ)’)を、VSLAM制御部45Aから、CPU部36に送出し、CPU部36は、仮想マーカーのマーク情報(ID, X,Y,θ)’から走行情報57及び/又は修正走行情報57aを生成して駆動制御部13に送出し、この走行情報57及び/又は修正走行情報57aに基づいて走行部12を駆動制御して、マーカー40による走行モード及び/又は仮想マーカー情報により自律走行する(ステップA18参照)。
例えば、マップ作成時には仮想マーカー記憶部49Aに下記式(4)の情報が記録されている。
Figure 2022034519000005
実際の仮想マーカーのマーク走行時には、下記式(5)の情報が、後述するようにVSLAM制御部45AからCPU部36へ受け渡しされる。
Figure 2022034519000006
図28に示すように、搬送台車100Cがマップ上に記録されたID1の「仮想マーカー領域」を通過する時、搬送台車100Cはマーカーの傾き等がある場合でも、マーカー領域内のずれを想定した仮想マーカーのマーク情報(ID:45x,X,Y,θ)’として、CPU部36を介して駆動制御部13へ走行情報5及び/又は修正走行情報5aが送出される。
ここで、ステップA18において、駆動制御部13は、VSLAM制御部45Aから送出される仮想マーカー検出情報よりもマーカー制御部33から送出される検出マーク情報32bを優先して走行部12を駆動制御する。つまり、ステップA18において、駆動制御部13がマーカー制御部33から検出マーク情報32bを受信した場合にはステップA19にて、仮想マーカー検出情報に優先して検出マーク情報32bよる自律走行に移行する。これにより、仮想マーカー走行モードによる走行では、仮想マーカー情報により仮想マーカー記憶部49Aに格納したマップにより位置推定を行い、このマップ上で走行路に配置されたマーカー40を再現(つまり仮想マーカーと呼ぶ)しながら、マーカー走行モードと類似の走行をさせることができる。
(仮想マーカー走行モードによる走行の停止)
仮想マーカー走行モードによる走行を停止する場合には、操作部19からステップA20にて停止指示の操作をし、これを受けてCPU部36は、ステップA21にて駆動制御部13に走行停止指示を送出する。
(可変マーカーを検出した場合の制御)
走行路に可変マーカーが貼られていて、複数の走行路を仮想マーカー走行モードにより走行させる場合について説明する。
図29は、第1の走行路に可変マーカー44が貼られている場合に、第1の走行路2bから第2の走行路2cを経て、第3の走行路2dを走行する場合を示し、図30は可変マーカー44を検出した場合の制御のフロー図である。マーカー制御部33は、第1の走行路2bにおいて第1の可変マーカー44aを検出した場合には、検出マーク情報32bをステップA20にてCPU部36に送出すると共に、ステップA21にてVSLAM制御部45Aに送出する。この場合、第1の可変マーカー44aには、第1の可変マーカー44aから直進して第2の走行路2cを走行するように定義付けがされている。
VSLAM制御部45Aは、検出マーク情報32bを受けて第1の可変マーカー44aから直進して第2の走行路2cを走行するように仮想マーカー生成部48Bに指示を送出し、ステップA23にて仮想マーカー生成部48Bは仮想マーカー検出情報をCPU部36に送出する。CPU部36は、ステップA24にて駆動制御部13に走行情報50及び/又は修正走行情報50a、つまり走行情報を送出する。これにより、駆動制御部13は、ステップA25にてマーカー情報と仮想マーカー情報による走行モードで走行部12のモータ16を駆動制御し、搬送台車100Cが第2の走行路を自律走行する。
搬送台車100Cが第2の走行路2cを自律走行して、第1の走行路2bに進入する定義付けがされた第1の可変マーカー44aを通過した時、VSLAM制御部45Aは、マップ情報を仮想マーカー記憶部49Aから読み出し、第1の走行路2bの仮想マーカー情報を生成する。これにより、搬送台車100Cが再び第1の走行路2bを走行して、第1の走行路2bで第2可変マーカー44bを検出する(ステップA30及びステップA30’参照)と、第1可変マーカー44aと同様に直進(ステップA32~ステップA34参照)をして、第3の走行路3dを自律走行する(ステップA35参照)。このステップA30からA34は、ステップA20からA24と同様に制御される。
このように、仮想マーカー走行モードによれば、VSLAM制御部45Aは、取得したマップ情報に基づいて自己位置推定を行い、マップ情報には仮想マーカー情報が記憶されているので、VSLAM制御部45Aは、自己位置推定を行っている期間は、仮想マーカーの位置を通過する時に、CPU部36に仮想マーカー情報として送信する。CPU部36は、仮想マーカー情報に従い、駆動制御部13により走行部12を駆動制御する。これにより、仮想マーカー走行モードにおいては、SLAM走行制御部48を使用しないで、走行部12を駆動制御することができる。
なお、図24(A)に示すように本体部11の前部には、例えば二次元ライダーを用いた障害物センサ46aが設けられているので、前方の障害物の距離等の検出は、SLAM走行モードと同様にCPU部36のSLAM走行制御部48により実行される。
仮想マーカー走行モードによれば、マーカー40を用いて走行路2aを形成し、このマーカー40が配置された走行路を、マーカー40による位置座標とステレオカメラ46dによる位置座標とを紐付けて仮想マーカーとして、マップ及び走行通路が例えば1~2時間で作成される。従来のSLAM走行モードのマップ及び走行路の作成には、半日から1日掛かっていたのに比較して大幅に時間の短縮が図ることができる。
さらに、仮想マーカー走行モードによれば、仮想マーカーが作成された後は、マーカー40を剥がしても搬送台車100Cを、ステレオカメラ46dとVSLAM制御部45Aとにより自己位置を推定しながら自律走行できる。このため、マーカー40が、貼れない、剥がれ易い施設、油等ですぐに汚れる油面の床等の実質自律走行が不可能であった走行路2aでも走行できるようになる。例えば、横長のマーカー40による精度数十cmの走行とライン状のマーカー40による精度数cmの自律走行が可能となる。
逆に、光線の変化が激しくステレオカメラ46dでは特徴点の抽出やマッチングポイントが検出し難い環境では、搬送台車100Cを仮想マーカー走行モードではなく、マーカー40による走行モードで走行させてもよい。これにより、走行路2aに応じて、搬送台車100Cを、マーカー走行モードと仮想マーカー走行モードの柔軟な組み合わせで簡単に安定的な自律走行することが可能となる。
仮想マーカー走行モードを用いるVSLAM制御部45Aの制御によれば、ステレオカメラ46dによる三次元(3D)の画像から位置座標を検出すると共に走行路が配置された施設内の特徴量を検出しているので、二次元の位置座標検出によるSLAM走行モードにおける自己位置の検出ができない場合等による不安定さを解消することができる。
また、VSLAM制御部45Aは、マップの生成をしないで、仮想マーカー情報のみを生成しても良い。この場合には、CPU部36は仮想マーカー情報をマーカー情報と同一に扱い、VSLAM走行制御部48を使用しないで、マーカー走行を行うことができる。CPU部36は、仮想マーカー及びマーカー40が一定区間以上検出されない場合には、安全のために搬送台車100Cを停止させてもよい。この操作は、マーカー走行モードによる走行時と同様の操作である。
さらに、VSLAM制御部45Aは、常に自己位置推定が正常な確率、つまり、マップマッチングの比率をCPU部36の駆動制御部13に対して送信し、駆動制御部13は、一定の期間において、自己位置推定の正常な確率が低下した場合には安全のために搬送台車100Cを停止させてもよい。自己位置推定の正常な確率が下がり易い箇所には、ステレオカメラ46dの検出可能な特徴点を増やすなどの対策を行うことができる。また、自己位置推定の正常な確率が下がり易い箇所には、マーカー40を常時設置して、仮想マーカー走行モードからマーカー走行モードに切り替えてもよい。これにより、搬送台車100Cの仮想マーカー走行モードで自律走行が不安定な箇所の改善を容易にできる。
(実施例)
キャリロ(株式会社ZMP製品)に、仮想マーカーモードのために以下のステレオカメラ46dと、VSLAM制御部45Aとを追加した。
ステレオカメラ(MYNT EYE社製、型番:S1030)
制御部:
CPU:Intel(登録商標)社製、型番:Core(登録商標)i7
RAM(ランダムアクセスメモリ):8GB
記憶装置(SSD):32GB
図31は、仮想マーカー走行モードによる実際の走行路を示す図である。図30では、屋内の60m×20mの走行路において、一部で外から日差しが入り、ステレオカメラ46dが使用できない領域があるにも関わらず、仮想マーカー走行モードで搬送台車100Cの自律移動が確認できた。
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができる。上述した実施形態では、マーカー40の個々のマークとしてArUcoマーカーが使用されているが、他の種々のマーク、例えばQRコード(登録商標)等も使用され得る。マーカー40は、二列×9個で並んで配置されたマークを備えているが、一列の配置又は三列以上でも、横方向に2~8又は10以上のマークが並んでいてもよい。搬送台車10,110,110A,110B,110Cの進行方向の速度が上がった時、マーカー40の検知の可否はカメラ31のシャッター速度とCPU部36の処理速度に依存する。従って、進行方向のマーカー40の列数を増して設置すれば、搬送台車10,110,110A,110B,110Cの速度が上がった時でも、確実にマーカー40から走行情報を取得することができる。
マーカー検出部30をビーコン検出部20と別体に独立して設けることなく、マーカー制御部33とビーコン検出部20のビーコン処理部25を共通化してもよい。非常停止操作部としての非常停止スイッチ19は、搬送台車10の本体部11に設けられることなく各種設定を行なう外部操作部に設けられてもよく、また搬送台車10の走行エリア内に固定配置されてもよい。この非常停止スイッチ19は、一つに限らず複数あっても良く、ジョイスティック19bの操作に含ませてもよい。非常停止のための周囲センサは、超音波センサのような距離センサに限らず、バンパー38に設けたバンパーセンサ38aによって検知してもよい。非常停止操作部としては、作業者が装着するビーコンや、他の赤外線や無線通信によるリモコン装置により、作業者がリモート操作により搬送台車10,110を停止させる構成としても良い。
移動車両の走行システム1,5,100,110A,110Bの安全機能として、マーカー40が例えば10m進んでも発見できない場合には、移動車両10,110,110A,110Bがコースを外れたと認識して自動で停止してもよい。搬送台車10,110,100A,100Bはスピーカを備えてもよい。スピーカによりマーカー40の直進、左折、右折、緊急停止等の動作の前に搬送台車の周囲に警報音や効果音を発生することができる。上述した実施形態においては、移動車両として、搬送台車10,110,100A,100B、100Cに例をとって説明したが、これに限らず、搬送台車以外のあらゆる移動車両に本発明を適用し得ることは明らかである。
搬送台車100Cの仮想マーカー走行モードを、移動車両10,110A,110Bに適用してもよい。仮想マーカー走行モードにおいては、マップ作成時に記憶したマーカー情報の意味を、後から違う仮想マーカーとして設定しても良い。例えばマップ作成時に「直進」だったマーカーを「可変マーカーA」に変更し、仮想マップ上でマーカー40を可変マーカーAに変えても良い。
仮想マーカー走行モードにおいて、走行路2aの変更がある場合には、マップ情報に対して、マップ作成時には存在しない仮想マーカーを後から配置しても良い。例えば、マップ作成時は長い直進の走行路2aに対して、実際のマーカー40を設置して走行路2aを変えるのではなく、マップに仮想マーカーを後から設置して、走行路2aを変更しても良い。さらに、仮想の一時停止マーカーを任意の位置に配置して搬送台車100Cを一時停止させても良い。
上記の「可変マーカーA」、仮想マーカー、仮想の一時停止マーカーの追加等は、第2実施形態に従い、外部運転制御部90が、必要に応じてネットワーク80を介して搬送台車100CのVSLAM制御部45Aの制御を行うことにより実行してもよい。
1…移動車両の走行システム、 2…走行エリア、 2a…走行路、
10,100A,100B,100C…搬送台車(移動車両)、 11,111…本体部、 11a…載置台、 11b,111b…ハンドル、 12…走行部、 13…駆動制御部、 13a…電源、 15…車輪、 15a…車輪回転センサ、 15b…車輪回転数情報、 16…モータ、 16a…減速機構、 17…キャスター、 18…慣性計測ユニット(IMU)、 18a…検出信号、 19,119…操作部、 19a…シフトレバー、 19b…ジョイスティック、 19c…非常停止スイッチ、 19d…非常停止信号、 19e…速度切り替えダイヤル、 19f,19g…表示灯、
20…ビーコン検出部、 21,22…赤外線カメラ、 24…ビーコン演算部、
24a…ビーコンBの位置情報、 25…ビーコン処理部、 25a…ビーコン記憶部、 25b…走行情報、
30…マーカー検出部、 31…カメラ(撮像手段)、 31a…発光部、 31b…
撮像信号、 32…画像処理部、 32a…並び方向、 32b…検出マーク情報、
32c…エラー信号、 33…マーカー制御部、 33a…非常停止信号、 34…マーカー記憶部、 36…CPU部、 37…主スイッチ、 38…バンパー、 38a…バンパーセンサ、 40,40l,40m,40s…マーカー、 41,41a~41i…第一列のマーク、 42,42a~42i…第二列のマーク、44…可変マーカー
45…障害物検出部、45A…VSLAM制御部、 46…障害物センサ、46d…ステレオカメラ 47…障害物処理部、47A…画像処理部 47a…障害物情報、 48…SLAM走行制御部、 48B…仮想マーカー生成部 49…障害物記憶部、 49A…仮想マーカー記憶部、
50…走行情報、 50a…修正走行情報、 51…配置位置情報、 55…マップ情報、 56…SLAM走行情報、 57…仮想マーカー走行モード情報、 61~72…位置、 80…ネットワーク、 90…外部運転制御部、
120,120A,120B…被牽引台車、 130…連結用部材、
132,142…移動車両側の連結機構、
134,154…被牽引台車側の連結機構、
144…自動連結用部材、 144a…ピン部、 153…測距センサ、
160…ピン、 162…ガイド、 164…バネ、
170…牽引部材、 170a…牽引部材の孔、
172…拘束部材、 174…リンク機構、 176…ソレノイド

Claims (9)

  1. 本体部と地上を走行するための走行部と、前記走行部を駆動制御する駆動制御部と、マーカー検出部と、障害物検出部と、該駆動制御部,該マーカー検出部及び該障害物検出部を制御するCPU部と、を含む移動車両と、
    前記移動車両が走行すべき走行路に沿って所定の複数箇所にそれぞれ配置されたマーカーと該マーカーが配置されない箇所と、
    が配備され、前記移動車両が前記走行路に沿って移動するようにした移動車両の走行システムであって、
    前記移動車両の前記マーカー検出部が、前記本体部の下方を撮像するための撮像手段と、前記撮像手段で撮像された撮像画面を画像処理して前記走行路に配置した前記マーカーを検出する画像処理部と、前記画像処理部で検出されたマーカーに基づいて当該マーカーに前もって設定された走行情報を前記駆動制御部に出力するマーカー制御部と、を備え、
    前記移動車両の前記障害物検出部が、前記本体部の前方の障害物との距離を含む画像を撮像する障害物センサと、前記障害物センサで撮像された撮像画面を画像処理して前記障害物を検出する障害物処理部と、前記障害物処理部で検出された障害物の位置と前もって記憶された走行路のマップデータとにより前記移動車両の現在位置及び方向を算出してSLAM走行情報を取得し該SLAM走行情報を前記駆動制御部に出力するSLAM走行制御部と、を備えており、
    前記マーカーは、横長帯状に形成されて前記走行路の横断方向に配置され該帯状のマーカーに横一列で複数個のマークが設けられ、各マークには前記移動車両が走行すべき走行情報と前記移動車両の進行方向横方向のずれを検知するためにそれぞれ異なる記号が付された配置位置情報とが設定され、
    前記マーカー制御部が、前記マーカーの前記走行情報及び前記配置位置情報に基づいて前記移動車両の横方向のずれ及び角度のずれを補正するための修正走行情報を生成して前記駆動制御部に出力し、前記駆動制御部により前記マーカー制御部からの前記修正走行情報に基づいて前記走行部を駆動制御して、前記移動車両が前記マーカーにより指定された走行路に沿って自律走行し、
    さらに、前記マーカーの走行情報にはSLAM走行モード又はライントレース走行モードに関する情報が含まれており、
    前記マーカー制御部が、前記マーカーの前記走行情報から前記SLAM走行情報又はライントレース走行情報への制御切り替え情報を検出した場合には、該制御切り替え情報を生成して前記駆動制御部に出力し、
    前記制御切り替え情報が前記SLAM走行情報である場合には、前記駆動制御部により前記SLAM走行制御部からの走行情報に基づいて前記走行部を駆動制御して、前記移動車両が前記マップデータにより指定された走行路に沿って自律走行し、
    前記制御切り替え情報が前記ライントレース走行情報である場合には、前記マーカー検出部が、前記走行路に沿って配置されたライントレースのためのマーカーを読み出し、前記マーカー制御部が、前記マーカー検出部で検出された前記ライントレース走行情報に基づいて前記移動車両の横方向のずれ及び角度のずれを補正するための修正走行情報を生成して前記駆動制御部に出力し、前記駆動制御部により前記マーカー制御部からの前記修正走行情報に基づいて前記走行部を駆動制御して、前記移動車両が前記マーカーにより指定された走行路に沿って自律走行する、移動車両の走行システム。
  2. 前記移動車両に接続されるネットワークと、
    前記ネットワークに接続される前記移動車両の外部運転制御部と、を備え、
    前記外部運転制御部が、前記ネットワークを介して必要に応じて前記マーカーにおける前記走行情報及び/又は前記SLAM走行行情報を変更することにより、前記移動車両の走行路を任意に変更できる、請求項1に記載の移動車両の走行システム。
  3. 前記移動車両が障害物記憶部を備え、該障害物記憶部は、前記走行路のマップデータをマップ情報として記憶する、請求項1又は2に記載の移動車両の走行システム。
  4. 前記SLAM走行制御部は、前記障害物処理部からの前記マップ情報に基づいてSLAM走行情報を生成して駆動制御部に出力し、
    前記駆動制御部は該SLAM走行情報に基づいて前記走行部を駆動制御する、請求項3に記載の移動車両の走行システム。
  5. 前記SLAM走行制御部は、前記障害物処理部から障害信号が入力された場合には前記移動車両の走行方向に障害物が検出されたと判断して非常停止信号を生成して前記駆動制御部に出力し、
    前記駆動制御部は、前記非常停止信号に基づいて前記走行部を駆動制御してモータの駆動を停止するか又は回避動作をする、請求項1~4の何れかに記載の移動車両の走行システム。
  6. 前記SLAM走行制御部には、前記移動車両の各車輪に設けられた車輪回転センサからの車輪回転数情報と慣性計測ユニットからの検出信号が入力されており、前記車輪回転数情報に基づいて前記移動車両の移動距離を算出すると共に、該SLAM走行制御部は前記慣性計測ユニットの検出信号に基づいて前記車輪のすべり等を検出して移動距離を補正し、前記補正した移動距離に基づいて前記SLAM走行情報を修正し、修正したSLAM走行情報を前記駆動制御部に出力する、請求項1~5の何れかに記載の移動車両の走行システム。
  7. ステレオカメラと該ステレオカメラに接続されるVSLAM制御部とをさらに備え、
    前記VSLAM制御部は、
    移動車両にて前記走行路を所定の回数マーカーモードで走行してマーカー制御部でマーカーの位置座標を取得すると共に、前記ステレオカメラで前記マーカーの位置座標を取得し、前記マーカー制御部で取得したマーカーの位置座標と前記ステレオカメラで取得したマーカーの位置座標とを紐付けて前記走行路の仮想マーカー情報を作成し、
    前記仮想マーカー情報を仮想マーカーのマップとして前記VSLAM制御部の仮想マーカー記憶部に格納すると共に、該仮想マーカー情報を前記CPU部に送出し、
    前記CPU部は、前記仮想マーカー情報を前記走行情報及び/又は修正走行情報として前記駆動制御部に送出して、前記移動車両を仮想マーカー走行モードで自律走行させる、請求項1~6の何れかに記載の移動車両の走行システム。
  8. 前記仮想マーカー走行モードで自律走行中に、前記マーカー制御部がマーカー情報を検出した場合には、前記駆動制御部が、前記仮想マーカー情報よりも該マーカー情報を優先して前記走行部を駆動制御する、請求項7に記載の移動車両の走行システム。
  9. 前記走行路に可変マーカーが配設されており、
    前記可変マーカーが前記マーカー制御部で検出された場合には、検出された可変マーカー情報がマーカー制御部から前記VSLAM制御部に送出され、該マーカー情報により新たな走行路で自律走行する、請求項8に記載の移動車両の走行システム。
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