JP4919308B1 - 減震装置及びその設置方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】建物の基礎構造部51に設置されるものであって、細長矩形板状に形成され、長さ方向の両端部に取付部を有して基礎53と土台54とに揺動自在に架設され、撓み変形により両取付部の間隔が可変する板ばね材11と、基礎53と土台54との間に取付けられ、基礎53と土台54との間の摺動抵抗を小さくする鋼板21とを備えた。板ばね材11は、中間部分が湾曲形成されている。
【選択図】図1
Description
また、このような工法は、一般に、新築時点において採用されるものであり、既存の家屋に後付け施工により減震装置を設置しようとすれば、建物本体を一斉に相当高さまで持ち上げつつ減震装置等を設置しなければならないから、一般に、施工が大がかりであるとともに面倒で困難な作業となっていた。そして、減震装置も同様に複雑な構成のものとなっていた。
ここで、揺動自在に架設とは、板ばね材の両取付部が基礎及び土台の各側面に軸支され、その軸支部を中心に基礎及び土台の各側面に平行して左右に回動自在な状態で取付けられることを意味する。
なお、建物の基礎構造部は地面に設置される部分であり、木造家屋においては、一般に、このうちのベース及び基礎はコンクリート製、土台は木製である。
請求項2の減震装置は、請求項1の板ばね材が、建物の基礎構造部のベースと基礎とに揺動自在に架設され、請求項1の鋼板が、ベースと基礎との間に取付けられたものである。
請求項4の減震装置は、特に、板ばね材の取付部に、板ばね材の平面と直交する方向に伸縮するコイルスプリングを備えたものである。
更に、基礎と土台との間に、両者間の摺動抵抗を小さくする鋼板が取付けられているので、基礎と土台とは互いに水平方向に移動し易くなっている。
これらの結果、地震発生時に地盤の震動エネルギーが建物本体に伝搬するのを軽減することができる。
そして、基礎と土台との間に板ばね材が揺動自在に架設されていることにより、土台の移動は一定範囲内に規制されるので、地震発生時に土台が基礎から離脱してしまうのを防止できる。
加えて、請求項1の減震装置は、基礎と土台との間に板ばね材を架設するとともに、基礎と土台との間に相互間の摺動抵抗を小さくする鋼板を取付けただけの構成であるから、簡易な構成であり、簡単かつ安価に建物の基礎構造部に設置することができる。
請求項2の発明は、請求項1の板ばね材が建物の基礎構造部のベースと基礎とに揺動自在に架設され、請求項1の鋼板がベースと基礎との間に取付けられたものであるから、請求項1と同様の効果を奏する。
請求項4の発明は、板ばね材の取付部に、板ばね材の平面と直交する方向に伸縮するコイルスプリングを備えているから、地震が発生した後震動が収まったときに、基礎に対して相対移動した土台、或いはベースに対して相対移動した基礎は、コイルスプリングの弾性により元位置に復帰し易い。また、コイルスプリングが震動エネルギーの一部を吸収する。更に、地震発生時に生ずる音を抑えることができる。
まず、本発明の第一実施形態の減震装置を図に基づいて説明する。なお、本発明の実施形態においては、建物が木造家屋である場合について説明する。
図1及び図2において、建物の基礎構造部51は、地盤55に設置されるベース52と、ベース52上に立設される基礎53と、基礎53上に載置され、柱56の脚部を固定する水平材である土台54とからなっている。ここで、ベース52及び基礎53はコンクリート製であり、土台54は木製である。第一実施形態の減震装置1Aは、このうち、基礎53と土台54との間に設置される。
この減震装置1Aは、基礎53と土台54とに揺動自在に架設される板ばね材11と、基礎53と土台54との間に取付けられ、基礎53と土台54との間の摺動抵抗を小さくする鋼板21とを備えている。減震装置1Aは、建物の複数箇所の基礎構造部51に設置される。
以下、減震装置1Aの各構成部材について詳細に説明する。
まず、図4(a)に示すように、アンカーボルト57のナットを緩め、次いで、図4(b)に示すように、図示しないジャッキを使用して土台54及びその上部の建物本体を基礎53から僅かに持ち上げて隙間を形成する。持ち上げる量は鋼板21を側方から隙間に挿入可能な大きさで足りるから、約5mm程度でよい。次に、図4(c)に示すように、隙間内に切断工具を挿入してアンカーボルト57を切断する。
続いて、板ばね材11の下側の取付部17を基礎53の側面に取付ける。それには、まず、基礎53の側面の取着孔53aにホールインアンカー41を挿入し、その心棒43の頭部をハンマー等の工具を使用して叩き込んでスリーブ42内に押し込む。すると、心棒43は先端側の外周面が先端に向かうに従って拡径するテーパ面に形成されているので、スリーブ42のスリット形成部分の周壁が外方に拡径して基礎53の取着孔53aの周壁に圧接されて抜け止めされる。これによりホールインアンカー41を基礎53の側面に取付けたら、ホールインアンカー41のスリーブ42に順に板ばね材11の下側の取付孔18、コイルスプリング31、座金32を外嵌した後、スリーブ42の雄ねじにナット33を締付ける。
ここで、土台54を基礎53に緊結しているアンカーボルト57は中間部分で切断されるが、減震装置1Aが設置されたことにより、建築基準法施行令第42条にいう、土台を基礎へ緊結した状態は維持される。
まず、地震発生により地盤55が水平方向に揺れて、図5に示すように、基礎53と土台54とが相対的に前後方向即ち基礎53及び土台54の長さ方向と直交する方向に移動するときには、基礎53と土台54との間に摺動抵抗を小さくする鋼板21が介在しているから、土台54は例えば図5において極く短時間の間相対的に右方向に容易にずれる。これに伴い、板ばね材11は、上部側が図5の右方向に移動する。このとき、板ばね材11は、湾曲部12が弾性的に少し伸びて、その弾性変形により震動エネルギーの一部を吸収する。ここで、板ばね材11は、基礎53と土台54とに跨って架設されているので、土台54が限界を超えて基礎53から右方向に離脱してしまうのが防止される。
減震装置1Aは、基礎53と土台54との間に、撓み変形により両取付部の間隔が可変する板ばね材11が揺動自在に架設されているので、土台54は一定範囲において基礎53に対して前後、左右、上下の三次元方向に移動可能となっている。また、地盤55の震動エネルギーの一部は板ばね材11の撓み変形、弾性変形によって吸収される。
更に、基礎53と土台54との間には、両者間の摺動抵抗を小さくする鋼板21が介在するので、基礎53と土台54とは互いに水平方向に移動し易くなっている。
これらの結果、地震発生時に地盤55の震動が建物本体に伝搬するのが軽減され、震動エネルギーの一部は減震装置1Aによって吸収される。
また、コイルスプリング31によって震動エネルギーの一部が吸収される。
更に、地震発生時に生ずる音を抑えることができる。
次に、本発明の第二実施形態の減震装置1Bを図8に基づいて説明する。
第一実施形態の減震装置1Aは、基礎53と土台54との間に架設されるが、第二実施形態の減震装置1Bは、基礎構造部51のうちのコンクリート製のベース52とコンクリート製の基礎53とが分離していて、このベース52と基礎53との間に架設されている。なお、基礎53と土台54とはアンカーボルト57で緊結されている。
ところで、上記第一実施形態の減震装置1Aの鋼板21は、上端部にフランジ部24が設けられているが、必ずしも要するものではない。但し、フランジ部24が設けられていると、鋼板21を安定した状態で確実に土台54に固定することができる。
11 板ばね材
15、17 取付部
16、18 取付孔(取付部)
21 鋼板
31 コイルスプリング
51 基礎構造部
52 ベース
53 基礎
54 土台
55 地盤
57 アンカーボルト
Claims (5)
- 地盤に設置されるベースと、該ベース上に立設される基礎と、該基礎上に載置される土台とからなる建物の基礎構造部に設置される減震装置であって、
細長矩形板状に形成され、長さ方向の両端部に取付部を有して前記基礎と前記土台とに揺動自在に架設され、撓み変形により前記両取付部の間隔が可変する板ばね材と、
前記基礎と前記土台との間に取付けられ、該基礎と該土台との間の摺動抵抗を小さくする鋼板と
を備えたことを特徴とする減震装置。 - 地盤に設置されるベースと、該ベース上に立設される基礎と、該基礎上に載置される土台とからなる建物の基礎構造部に設置される減震装置であって、
細長矩形板状に形成され、長さ方向の両端部に取付部を有して前記ベースと前記基礎とに揺動自在に架設され、撓み変形により両取付部の間隔が可変する板ばね材と、
前記ベースと前記基礎との間に取付けられ、該ベースと該基礎との間の摺動抵抗を小さくする鋼板と
を備えたことを特徴とする減震装置。 - 前記板ばね材は、中間部分が湾曲形成されて成ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の減震装置。
- 前記板ばね材の取付部に、該板ばね材の平面と直交する方向に伸縮するコイルスプリングを備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の減震装置。
- 既存の建物の請求項1に記載のベースと基礎と土台とからなる基礎構造部に請求項1に記載の減震装置を設置する減震装置の設置方法であって、
前記土台を持ち上げて前記基礎との間に隙間を形成した後、前記隙間から前記土台と前記基礎とを連結固定しているアンカーボルトを切断し、次に、前記隙間に請求項1に記載の鋼板を挿入して該基礎と該土台との間に取付けた後、前記鋼板を介して前記土台を再度前記基礎上に載置し、次いで、請求項1に記載の板ばね材を前記基礎と前記土台とに揺動自在に架設することを特徴とする減震装置の設置方法。
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