JP4919207B2 - カカオ豆加工品からの2,3−ブタンジオン生成抑制方法 - Google Patents
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Description
<ココアパウダーからの2,3−ブタンジオン生成抑制に及ぼす糖質の影響>
カカオ豆加工品のムレ臭の原因物質としては、2,3−ブタンジオンが知られている。一方、低級アルデヒドのイソブタナールのように、チョコレートアロマと呼ばれる特有の甘い芳香の成分の一つとして知られているものもある。そこで、カカオ豆加工品を加熱加工する際の、2,3−ブタンジオン及びイソブタナールの生成に及ぼすマルチトール、α,α−トレハロース、或いは、α,α−トレハロースの糖質誘導体の影響を調べる実験を以下のようにして行った。すなわち、20ml容のバイアル瓶の各々に、無水結晶マルチトール(株式会社林原商事販売、商品名『マビット』)、含水結晶α,α−トレハロース(株式会社林原商事販売、商品名『トレハ』)、砂糖、市販の酵素水飴及び下記製造例で製造したシラップ状のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質の何れか1種を、無水物換算で100mg秤量し、これに適量の蒸留水を加えて、蒸留水に糖質を溶解させて4gの糖質溶液を調製し、さらに、これらのバイアル瓶に、市販のココアパウダー1gを加えて、ラップし、電子レンジ(500W)で18秒間加熱した。対照として、蒸留水4gに市販のココアパウダー1gを加えて、糖質溶液の場合と同様の処理をしたものを調製した。その後、これらのバイアル瓶に、ラップの上からブチルゴム栓で密栓し、100℃のヒートブロックで、5分間再加熱し、そのヘッドスペースガス2ml中の2,3−ブタンジオン量及びイソブタナール量をガスクロマトグラフィーにより定量した。なお、2,3−ブタンジオン量及びイソブタナール量の測定は、以下の方法でおこなった。
<2,3−ブタンジオン量及びイソブタナール量の測定方法>
上記で得たヘッドスペースガス2mlを使用し、TC−FFAPキャピラリーカラム(0.52mmID×30m、df=1μm、スプリット比1/30、GLサイエンス社製)を使用し、島津GC−14Bガスクロマトグラフィー装置(水素炎イオン化検出器、株式会社島津製作所販売)を用い、キャリアーガスとしてヘリウムガス(1ml/分)を使用して、カラム温度40〜250℃(昇温5℃/分)の条件で、2,3−ブタンジオン及びイソブタナールの定量を行った。
<ココアパウダーを使用したカスタードクリームのムレ臭に及ぼす糖質の影響>
ココアパウダーを使用したカスタードクリームのムレ臭に及ぼす糖質の影響を確認する試験を以下のように行った。すなわち、表2に示す配合を使用して、常法により、ブリックス(Brix)45のカスタードクリームを調製した。これらのクリームを使用して12名のパネラーによるパネル試験によりその香りを評価した。なお、この試験に使用した、砂糖、市販の酵素水飴、無水結晶マルチトール、含水結晶α,α−トレハロース、シラップ状のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質は、何れも、実験1で使用したのと同じものを使用し、その配合量は、無水物換算で同質量となるように調製した。また、パネル試験の評価基準は、パネラーが、ムレ臭があり、ココアの香りがほとんどないと評価したものを低減作用なし(−)、ムレ臭がなく、ココアの好ましい香りがある評価したものを低減作用有り(+)、及び、ムレ臭がなく、ココアの好ましい香りが顕著であると評価したものを強い低減作用有り(++)とした。その結果を表2に示す。なお、各配合のカスタードクリームに対するパネラーの評価は、何れも12人中10人以上が同じ評価であった。
濃度20%のとうもろこし澱粉乳に最終濃度0.1%となるように炭酸カルシウムを加えた後、pH6.5に調整し、これにα−アミラーゼ(ノボ社製造、商品名「ターマミール60L」)を澱粉グラム当たり0.2%になるよう加え、95℃で15分間反応させた。その反応液を、120℃で10分間オートクレーブした後、50℃に冷却し、pHを5.8に調整後、澱粉グラム当たり特開昭63−240784号公報に開示されたマルトテトラオース生成アミラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製造)を5単位と、イソアミラーゼ(株式会社林原生物化学研究所製造)を500単位となるように加え、48時間反応させ、これにα−アミラーゼ(上田化学株式会社製造、商品名「α−アミラーゼ2A」)を澱粉グラム当たり30単位加え、さらに、65℃で4時間反応させた。その反応液を、120℃で10分間オートクレーブし、次いで45℃に冷却し、特開平7−143876号公報に開示されたアルスロバクター・スピーシーズQ36(FERM BP−4316)由来の非還元性糖質生成酵素を澱粉グラム当たり2単位の割合になるよう加え、48時間反応させた。その反応液を95℃で10分間保った後、冷却し、濾過して得られる濾液を、常法に従って活性炭で脱色し、H型及びOH型イオン交換樹脂により脱塩して精製した糖化液を、さらに濃縮して濃度72.8%とした、無色透明、わずかな甘味を呈する、pH5.3のシラップ状のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質を、無水物換算で、収率約90%で得た。本品は、DE13.7で、無水物換算で、α,α−トレハロースの糖質誘導体として、α−マルトシルα,α−トレハロース(別名α−マルトトリオシルα−グルコース)52.5%を含有しており、他に、α−グルコシルα,α−トレハロース(別名α−マルトシルα−グルコース)4.1%、α−マルトトリオシルα,α−トレハロース(別名α−テトラオシルα−グルコース)1.1%、それ以外のα−グリコシルα,α−トレハロース0.4%を含有していた。また、本品は、無水物換算で、還元性の糖質として、グルコースなどの単糖類を2.1%、マルトースなどの2糖類を8.9%、α−グルコシルα,α−トレハロース以外の3糖類を6.7%、α−マルトシルα,α−トレハロース以外の4糖類を17.6%、α−グリコシルα,α−トレハロース以外の5糖類以上の糖質を6.6%含有していた。なお、本品は、シラップのままで、或いは、噴霧乾燥などの方法を用いて、その粉末品を調製し、本発明の2,3−ブタンジオン生成抑制剤の製造に有利に利用できる。
カカオマス 40質量部
砂糖 10質量部
無水結晶マルチトール
(株式会社林原商事販売、商品名『マビット』)
40質量部
ココアバター 10質量部
レシチン 0.3質量部
バニリン 0.03質量部
上記配合を使用して、常法によりチョコレートを調製した。本品は、マルチトールを含有しているので、カカオ豆成分の加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のない香りのよいチョコレートであった。また、本品を6ケ月間室温で保存した後、試食したところ、製造時と同様、ムレ臭のない香りのよいチョコレートであった。
カカオマス 12質量部
砂糖 40質量部
含水結晶α,α−トレハロース
(株式会社林原商事販売、商品名『トレハ』) 1質量部
全脂粉乳 22質量部
脱脂粉乳 3質量部
ココアバター 22質量部
レシチン 0.3質量部
バニリン 0.05質量部
上記配合を使用して、常法により、チョコレートを調製した。本品は、α,α−トレハロースを含有しているので、カカオ豆成分の加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のない香りのよいチョコレートである。
カカオマス 12質量部
砂糖 40質量部
含水結晶α,α−トレハロース
(株式会社林原商事販売、商品名『トレハ』)
1質量部
全脂粉乳 22質量部
脱脂粉乳 3質量部
ココアバター 22質量部
レシチン 0.3質量部
バニリン 0.05質量部
上記配合を使用して、常法によりチョコレートを調製した。本品は、α,α−トレハロースを含有しているので、カカオ豆成分の加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のない香りのよいチョコレートである。
カカオマス 19質量部
無水結晶マルチトール
(株式会社林原商事販売、商品名『マビット』) 40質量部
含水結晶α,α−トレハロース
(株式会社林原商事販売、商品名『トレハ』) 4質量部
全脂粉乳 14質量部
脱脂粉乳 2.5質量部
ココアバター 8質量部
硬化油 12.5質量部
レシチン 0.3質量部
バニリン 0.07質量部
上記配合を使用して、常法により、チョコレートを調製した。本品は、マルチトール及びα,α−トレハロースを含有しているので、カカオ豆成分の加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のない香りのよいチョコレートである。
カカオマス 20質量部
砂糖 36質量部
無水結晶マルチトール
(株式会社林原商事販売、商品名『マビット』) 11質量部
全脂粉乳 11質量部
ココアバター 22質量部
レシチン 0.3質量部
乳化剤
(三菱化学フーヅ株式会社販売、商品名「リョートーシュガーエステルER−290」) 0.2質量部
香料 適量
上記配合を使用して、常法によりチョコレートを調製した。本品は、マルチトールを含有しているので、カカオ豆成分の加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のない香りのよいチョコレートであった。また、本品を6ケ月間室温で保存した後、試食したところ、製造時と同様、ムレ臭のない香りのよいチョコレートであった。
クーベルチュール マンジャリ 100質量部
フランボワーズピューレ 50質量部
生クリーム(35%) 20質量部
バター 20質量部
トリモリン 10質量部
砂糖(グラニュー糖) 10質量部
含水結晶α,α−トレハロース
(株式会社林原商事販売、商品名『トレハ』) 10質量部
上記配合を使用して、常法により、生チョコレートを調製した。本品は、α,α−トレハロースを含有しているので、チョコレート(クーベルチュール マンジャリ)の加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、また、チョコレートの香りやピューレの味もよい、ムレ臭のない香りのよい生チョコレートである。
実施例6の配合の含水結晶α,α−トレハロースを、同質量部の無水結晶マルチトール(株式会社林原商事販売、商品名『マビット』)に換えて、常法により、生チョコレートを調製した。本品は、マルチトールを含有しているので、チョコレート(クーベルチュール マンジャリ)の加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のない香りのよい生チョコレートである。
<配合1>
水 2400質量部
含水結晶α,α−トレハロース
(株式会社林原商事販売、商品名『トレハ』) 3040質量部
α、α−トレハロースの糖質誘導体含有シラップ
(株式会社林原商事販売、商品名『ハローデックス』) 1200質量部
<配合2>
ゲル化剤
(アイコ産業株式会社販売、商品名「ペクタゲル843」) 12質量部
砂糖(グラニュー糖) 176質量部
50%クエン酸水溶液 120滴
<配合3>
水 1200質量部
砂糖(グラニュー糖) 1500質量部
生クリーム(38%) 1000質量部
含水結晶α,α−トレハロース
(株式会社林原商事販売、商品名『トレハ』) 25質量部
<配合4>
ココアパウダー 500質量部
板ゼラチン 94質量部
シラップ(水1:砂糖1) 200質量部
上記配合1の糖質溶液を沸騰させ、あらかじめ合わせておいた配合2を加えて、ブリックス(Brix)が72になるまで煮詰め、クエン酸水溶液加えて、クラッサージュ・ヌートルを調製した。これとは別に、配合3の水、砂糖、生クリーム、α,α−トレハロースを加えて、沸騰させたものに、ココアパウダーを加えて、ブリックス(Brix)64まで煮詰めて、火から下ろし、戻しておいた板ゼラチン、シラップ加え、これに、あらかじめ調製しておいたクラッサージュ・ヌートル1000質量部を加えて、クラサージュ・ショコラ・ノワールを調製した。本品は、α,α−トレハロース及びα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、砂糖と酵素水飴を使用したものよりも、ココアパウダーの加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のないので、香りのよいことに加え、適度な甘さで、艶があり、冷凍耐性にも優れていた。また、ケーキなどに使用した場合には、かかり方にムラがなく、角がきれいで、側面も流れ落ちることなく、美しく仕上げることができた。
<配合1>
卵白 120質量部
砂糖(グラニュー糖) 35質量部
含水結晶α,α−トレハロース
(株式会社林原商事販売、商品名『トレハ』) 15質量部
<配合2>
卵黄 100質量部
卵白 33質量部
砂糖(グラニュー糖) 50質量部
カカオマス 33質量部
ココアパウダー 13質量部
上記配合1によりメレンゲを調製した。これと、配合2を使用して、常法によりショコラ・スフレを調製した。本品は、α,α−トレハロースを含有しているので、カカオマス及びココアパウダーの加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のないココアの香りのよいショコラ・スフレである。また、本品は、α,α−トレハロースにより、油脂の酸化・分解や卵成分の加熱時に生成する硫化水素臭などが抑制され、しかも、乾燥も抑制されることから、その焼成直後の好ましい香りが長期間保持された。
<配合1>
卵白 120質量部
砂糖(グラニュー糖) 35質量部
含水結晶α,α−トレハロース
(株式会社林原商事販売、商品名『トレハ』)
15質量部
<配合2>
卵黄 100質量部
卵白 33質量部
砂糖(グラニュー糖) 40質量部
製造例で調製したシラップ状のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質 10質量部
カカオマス 33質量部
ココアパウダー 13質量部
上記配合1によりメレンゲを調製した。これと、配合2を使用して、常法によりショコラ・スフレを調製した。本品は、α,α−トレハロース及びα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、カカオマス及びココアパウダーの加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のないココアの香りのよいショコラ・スフレである。また、本品は、α,α−トレハロース及びα,α−トレハロースの糖質誘導体により、油脂の酸化・分解や卵成分の加熱時に生成する硫化水素臭などが抑制され、しかも、乾燥も抑制されることから、その焼成直後の好ましい香りが長期間保持された。
全卵 41質量部
砂糖(グラニュー糖) 99質量部
小麦粉(中力粉) 91質量部
生クリーム 83質量部
ココアパウダー 25質量部
発酵バター 58質量部
生クリーム 83質量部
含水結晶α,α−トレハロース
(株式会社林原商事販売、商品名『トレハ』) 25質量部
塩 1.3質量部
バニラ・リキッド 1.7質量部
ベーキングパウダー 1.7質量部
上記配合を使用して、常法によりバターケーキを調製した。なお、ココアパウダーは、できあがった生地に練り込んで使用した。本品は、α,α−トレハロースを含有しているので、ココアパウダーの加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のない香りのよいバターケーキである。また、本品は、α,α−トレハロースにより、油脂の酸化・分解やデンプンの老化が抑制され、しかも、乾燥も抑制されることから、その焼成直後の好ましい香りが長期間保持された。
実施例11の配合の含水結晶α,α−トレハロースを、同質量部の粉末マルチトール(株式会社林原商事販売、商品名『マビット』)に換えて、常法により、バターケーキを調製した。本品は、マルチトールを含有しているので、ココアパウダーの加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のない香りのよいバターケーキである。また、本品は、マルチトールにより、油脂の酸化・分解やデンプンの老化が抑制され、しかも、乾燥も抑制されることから、その焼成直後の好ましい香りが長期間保持された。
実施例11の配合の含水結晶α,α−トレハロースを、同質量部のシラップ状のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質(株式会社林原商事販売、商品名『ハローデックス』)に換えて、常法により、バターケーキを調製した。本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、ココアパウダーの加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のない香りのよいバターケーキである。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体により、油脂の酸化・分解やデンプンの老化が抑制され、しかも、乾燥も抑制されることから、その焼成直後の好ましい香りが長期間保持された。
全卵 500質量部
砂糖(グラニュー糖) 210質量部
含水結晶α,α−トレハロース
(株式会社林原商事販売、商品名『トレハ』) 90質量部
小麦粉(薄力粉) 200質量部
コーンスターチ 50質量部
無塩バター 100質量部
ココアパウダー 33質量部
上記配合を使用して、常法によりスポンジケーキを調製した。なお、ココアパウダーは、あらかじめ小麦粉と混合して篩を通して使用した。本品は、α,α−トレハロースを含有しているので、ココアパウダーの加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のない香りのよいスポンジケーキである。また、本品は、α,α−トレハロースにより、油脂の酸化・分解やデンプンの老化が抑制され、しかも、乾燥も抑制されることから、その焼成直後の好ましい香りが長期間保持された。
全卵 350質量部
砂糖 120質量部
小麦粉 185質量部
牛乳 80質量部
スイートチョコレート 30質量部
無水結晶マルチトール
(株式会社林原商事販売、商品名『マビット』) 40質量部
製造例で調製したシラップ状のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質 30質量部
上記配合を使用して、常法によりスポンジケーキを調製した。なお、スイートチョコレートは、あらかじめ沸かした牛乳で溶かして使用した。本品は、マルチトール及びα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、スイートチョコレートの加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のない香りのよいスポンジケーキである。また、本品は、マルチトール及びα,α−トレハロースの糖質誘導体により、油脂の酸化・分解、デンプンの老化、卵成分の加熱時に生成する硫化水素臭、乾燥などが抑制されることから、その焼成直後の好ましい香りが長期間保持された。
<配合1>
卵白 180質量部
砂糖(グラニュー糖) 63質量部
含水結晶α,α−トレハロース
(株式会社林原商事販売、商品名『トレハ』) 27質量部
コーンスターチ 10質量部
<配合2>
卵黄 70質量部
サラダオイル 60質量部
砂糖(グラニュー糖) 10質量部
シラップ状のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質
(株式会社林原商事販売、商品名『ハローデックス』) 14質量部
小麦粉(薄力粉) 60質量部
湯(50℃) 80質量部
ココアパウダー 30質量部
上記配合1によりメレンゲを調製した。これと、配合2を使用して、常法によりシフォンケーキを調製した。本品は、トレハロース及びα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、ココアパウダーの加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のない香りのよいシフォンケーキである。また、本品は、α,α−トレハロース及びα,α−トレハロースの糖質誘導体により、油脂の酸化・分解、デンプンの老化、卵成分の加熱時に生成する硫化水素臭、乾燥などが抑制されることから、その焼成直後の好ましい香りが長期間保持された。
<配合1>
卵白 180質量部
砂糖(グラニュー糖) 45質量部
含水結晶α,α−トレハロース
(株式会社林原商事販売、商品名『トレハ』) 20質量部
<配合2>
卵黄 40質量部
サラダオイル 80質量部
砂糖(グラニュー糖) 20.5質量部
含密結晶マルチトール粉末
(株式会社林原商事販売、商品名『マビット』) 2質量部
食塩 0.5質量部
牛乳 55質量部
小麦粉(強力粉) 26.5質量部
小麦粉(薄力粉) 26.5質量部
湯(50℃) 80質量部
ココアパウダー 30質量部
B.P. 2質量部
ブランディー 4質量部
クーベルチュール 55質量部
上記配合1を使用してメレンゲを調製した。これと、配合2を使用して、常法によりシフォンケーキを調製した。本品は、α,α−トレハロース及びα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、ココアパウダー及びチョコレートの加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭がなく、香りのよいシフォンケーキである。また、本品は、α,α−トレハロース及びマルチトールにより、油脂の酸化・分解、デンプンの老化卵成分の加熱時に生成する硫化水素臭、乾燥などが抑制されることから、その焼成直後の好ましい香りが長期間保持された。なお、本品は、チョコレートを使用しているにもかかわらず、砂糖のみを使用して調製したシフォンケーキに比して、生地が柔らかく、メレンゲがしぼむこともなく、しっかりとした仕上がりで、且つ、ふわふわとした軽いシフォンケーキである。
ホットケーキミックス 200質量部
全卵 50質量部
牛乳 150質量部
ココアパウダー 15質量部
無水結晶マルチトール
(株式会社林原商事販売、商品名『マビット』) 8.3質量部
上記配合を使用して、生地を調製し、レンジで加熱して蒸しケーキを調製した。本品は、マルチトールを含有しているので、ココアの加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制された、ムレ臭のない香りのよい蒸しケーキである。
実施例18の配合の無水結晶マルチトールを、同質量部のシラップ状のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質(株式会社林原商事販売、商品名『ハローデックス』)に換えて、生地を調製し、レンジで加熱して蒸しケーキを調製した。本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、ココアの加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のない香りのよい蒸しケーキである。
小麦粉(薄力粉) 140質量部
バター 90質量部
チョコレート 115質量部
グラニュー糖 360質量部
全卵 200質量部
アーモンド 200質量部
無水結晶マルチトール
(株式会社林原商事販売、商品名『マビット』) 30質量部
シラップ状のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質
(株式会社林原商事販売、商品名『ハローデックス』) 20質量部
上記配合を使用して、常法によりクッキーを製造した。本品は、マルチトール及びα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、チョコレートの加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のないチョコレートの香りのよいクッキーである。また、本品を、室温で3ヶ月間保存後、試食したところ、2,3−ブタンジオン生成によるムレ臭の発生がないの加えて、吸湿や乾燥もなく、又、油脂の酸化・分解もなく、製造直後の香りがよく保持されていた。
小麦粉(薄力粉) 70質量部
無塩バター 120質量部
ココアパウダー 60質量部
砂糖(粉糖) 56質量部
卵黄 10質量部
含水結晶α,α−トレハロース
(株式会社林原商事販売、商品名『トレハ』) 24質量部
上記配合を使用して、常法によりクッキーを製造した。本品は、α,α−トレハロースを含有しているので、ココアの加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のない香りのよいクッキーである。また、本品を、室温で3ヶ月間保存後、試食したところ、2,3−ブタンジオン生成によるムレ臭の発生がないの加えて、吸湿や乾燥もなく、又、油脂の酸化・分解もなく、製造直後のココアの香りがよく保持されていた。
実施例21の配合の含水結晶トレハロースに換えて、同質量部の無水結晶マルチトール(株式会社林原商事販売、商品名『マビット』)を使用して、常法により、クッキーを調製した。本品は、マルチトールを含有しているので、ココアパウダーの加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のない香りのよいクッキーである。また、本品は、マルチトールにより、油脂の酸化・分解やデンプンの老化が抑制され、その焼成直後の好ましい香りが長期間保持された。
実施例21の配合の含水結晶α,α−トレハロースを、同質量部のシラップ状のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質(株式会社林原商事販売、商品名『ハローデックス』)に換えて、常法により、クッキーを調製した。本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、ココアパウダーの加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のない香りのよいクッキーである。また、本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体により、油脂の酸化・分解やデンプンの老化が抑制され、その焼成直後の好ましい香りが長期間保持された。
小麦粉(薄力粉) 7.5質量部
コーンスターチ 22.5質量部
グラニュー糖 76質量部
ココアパウダー 15質量部
全卵 12.5質量部
卵黄 45質量部
牛乳 220質量部
マーガリン 12.5質量部
含水結晶α,α−トレハロース
(株式会社林原商事販売、商品名『トレハ』) 64質量部
α,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質
(林原商事販売、商品名『ハローデックス』) 20質量部
上記配合を使用して、常法によりカスタードクリームを製造した。本品は、α,α−トレハロース及びα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、ココアパウダーを加熱による2,3−ブタンジオン生成や卵由来の硫化水素の生成が抑制され、ムレ臭のない香りのよいカスタードクリームである。また、本品を、冷蔵或いは冷凍で2ヶ月間保存後、試食したところ、何れも、離水や油脂の酸化・分解もなく、ムレ臭の発生もなく、製造直後の香りがよく保持されていた。
実施例24の配合の含水結晶α,α−トレハロースを、同質量部の粉末マルチトール(株式会社林原商事販売、商品名『マビット』)に換えて、常法により、カスタードクリームを調製した。本品は、マルチトール及びα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、ココアパウダーの加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のない香りのよいカスタードクリームである。また、本品は、マルチトール及びα,α−トレハロースの糖質誘導体により、油脂の酸化・分解やデンプンの老化が抑制され、その好ましい香りが長期間保持された。また、本品を、冷蔵或いは冷凍で2ヶ月間保存後、試食したところ、何れも、離水や、油脂の酸化・分解もなく、又、2,3−ブタンジオン生成によるムレ臭の発生もなく、製造直後の香りがよく保持されていた。
ミルクチョコレート 50質量部
セミスイートチョコレート 65質量部
生クリーム 55質量部
牛乳 120質量部
含水結晶α,α−トレハロース
(株式会社林原商事販売、商品名『トレハ』) 5質量部
洋酒 適量
上記配合を使用して、常法によりホットチョコレートドリンクを調製した。本品は、α,α−トレハロースを含有しているので、チョコレートを加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のない香りのよいチョコレートドリンクである。また、本品は、冷やして飲んでも香りがよく、美味しいチョコレートドリンクである。
実施例26の配合の含水結晶α,α−トレハロースを、同質量部の粉末マルチトール(株式会社林原商事販売、商品名『マビット』)に換えて、常法により、チョコレートドリンクを調製した。本品は、マルチトールを含有しているので、チョコレートの加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のない香りのよいチョコレートドリンクである。
実施例26の配合の含水結晶α,α−トレハロースを、同質量部の製造例で調製したシラップ状のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質に換えて、常法により、チョコレートドリンクを調製した。本品は、α,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、チョコレートの加熱による2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のない香りのよいチョコレートドリンクである。
ココアパウダー 18質量部
沸騰した湯 6質量部
オレンジジュース 120質量部
無水結晶マルチトール
(株式会社林原商事販売、商品名『マビット』) 1質量部
シラップ状のα,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質
(株式会社林原商事販売、商品名『ハローデックス』) 1質量部
上記配合を使用して、水を加温・攪拌しながらマルチトール及びα,α−トレハロースの糖質誘導体含有糖質を加えて溶解して沸騰させ、これをココアパウダーに加えて十分錬り、これにオレンジジュースを加えて攪拌し、氷片を2〜3個入れて、オレンジココアドリンクを調製した。本品は、マルチトール及びα,α−トレハロースの糖質誘導体を含有しているので、沸騰した糖質溶液を加えた際のココアパウダーからの2,3−ブタンジオン生成が抑制され、ムレ臭のない香りのよいオレンジココアドリンクである。
産業上の利用可能性
Claims (8)
- カカオ豆及び/又はカカオ豆の成分を含有する加工品が完成するまでの工程及び/又はその完成品に対して、マルチトール及び/又は、α−マルトシルα,α−トレハロースを無水物換算で50質量%以上含有しグルコース重合度が3乃至6からなるα−グリコシルα,α−トレハロースを有効成分として含有せしめることを特徴とする2,3−ブタンジオン生成抑制方法。
- 加工品中のカカオ豆及び/又はカカオ豆の成分の合計の質量に対して、無水物換算で、マルチトール及び/又は前記α−グリコシルα,α−トレハロースを、合計で0.1質量%以上含有せしめることを特徴とする請求項1記載の2,3−ブタンジオン生成抑制方法。
- 加工品が、飲食品、医薬品、医薬部外品、化粧品、嗜好品、日用品、雑貨の何れかであることを特徴とする請求項1又は2記載の2,3−ブタンジオン生成抑制方法。
- 飲食品が、チョコレート、ココア、カカオミルク含有食品、カカオバター含有食品、チョコレート含有飲食品及びココア含有飲食品から選ばれる何れかであることを特徴とする請求項3記載の2,3−ブタンジオン生成抑制方法。
- マルチトール及び/又は、α−マルトシルα,α−トレハロースを無水物換算で50質量%以上含有しグルコース重合度が3乃至6からなるα−グリコシルα,α−トレハロースを有効成分として含有する2,3−ブタンジオン生成抑制剤。
- 2,3−ブタンジオンがカカオ豆及び/又はカカオ豆由来の成分を含有する加工品に由来することを特徴とする請求項5記載の2,3−ブタンジオン生成抑制剤。
- 加工品が、飲食品、医薬品、医薬部外品、化粧品、嗜好品、日用品、雑貨の何れかであることを特徴とする請求項6記載の2,3−ブタンジオン生成抑制剤。
- 飲食品が、チョコレート、ココア、カカオミルク含有食品、カカオバター含有食品、チョコレート含有飲食品及びココア含有飲食品から選ばれる何れかであることを特徴とする請求項7記載の2,3−ブタンジオン生成抑制剤。
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