JP4918482B2 - 面ファスナーを用いた電子線加熱用包装部材 - Google Patents
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Description
また手ふきであるおしぼりに代表される小型の温湿タオルや、病院、介護施設などで患者に対して用いる温湿清拭タオルが多く使用されている。さらに、病院などでは多種類の器具が加熱滅菌処理されて使用されている。これらの分野では、滅菌器といわれる水沸騰装置やオートクレーブに代表される高温水蒸気発生装置に滅菌器具を入れ、高温水または水蒸気に接触させて器具を滅菌している。
また、加熱したときに上昇する内圧、すなわち水蒸気圧を一定範囲に調節するために折れ曲がり構造の排気路を設け、さらに別途ジッパー形式のファスナーを設けた袋状の包装部材が提案されている。(特許文献2参照)
また、おしぼりや器具の加熱滅菌方法についても、小規模施設や家庭で簡便に行える手段が提供されておらず、該分野で増えつつある要求に応えることが望まれる。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の面ファスナーを係合させて封止部材として用いることにより、良好な性能を有する電子線加熱用包装部材が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、熱可塑性樹脂からなる電子線加熱用包装部材であって、該包装部材の開口部には、フック状係合素子を有する2枚のフック面ファスナーが互いに係合するように設けられており、該2枚のフック面ファスナーによる係合部が100℃の水蒸気に対して0.5〜200cc/m・minの水蒸気透過度を有し、かつ同加熱水蒸気存在下にて0.5〜5.0kg/cmの係合分離耐圧力を有することを特徴とする電子線加熱用包装部材である。
2:上端部
3:下端部
4:フック面ファスナーによる係合部
5、6:フック面ファスナー
7:開封用ノッチ
8:底部
9:高温度開封シール部
10:熱軟化性樹脂
11:熱軟化性樹脂
12:レール状の連続突条
13:熱軟化性樹脂
本発明の包装部材は、該素材を公知の技術により任意の形状の包装部材に加工し、その開口部に、フック状係合素子を有する2枚のフック面ファスナーを互いに係合するように設けた包装部材である。
本発明のフック面ファスナーを構成する樹脂は、基材に対する溶融接着性が優れるだけでなく、微細成形体であるフック面ファスナーを良好に製造するために優れた成形性を有することが望ましい。また、該フック面ファスナーの基板上に立設するフック状係合素子は略キノコ状、矢じり状またはかぎ状の各種形状を採用することができるが、特に略キノコ状係合素子が好ましい。
本発明の電子線加熱用包装部材は、ポリエチレンまたはポリプロピレンから製造されるケースが多く、それに融着する面ファスナーも同素材の樹脂で製造することが好ましい。一方、包装部材の樹脂素材にあわせて面ファスナーの素材をそろえることは、部材の管理が必要となるので、いずれの樹脂に対しても良好に融着する面ファスナーは実用的な利点が大きい。
ポリエチレンとポリプロピレンに対する溶融接着性は、両樹脂を含む組成物が良好な性能を示すことが予想されるが、本発明者らは、組成物の成分量によって成形面ファスナーの熱収縮率が変化し、溶融接着後の成形面ファスナーの形状と性能に大きく影響することを知見した。
上記以外の組成の組成物から得られる成形面ファスナーは、PEまたはPP基材の一方にしか良好に融着しない場合がある。また、PEが70重量%を超える組成物からなる成形面ファスナーは、熱収縮率が10%以上と大きく、基材に融着したときに面ファスナーの収縮が大きいために、基材と面ファスナーの間に「ひきつれ」が生じる上に、面ファスナー自体が変形してしまい目的とする係合力が低下する場合がある。
なお、本発明において、メルトインデックスはJIS K6921に準拠した方法により測定される。
一方、本発明の包装部材のように樹脂フィルム製の袋の開口部に付設する場合は、係合素子の高さは0.5〜6.0mm、フック状係合素子密度は15〜250本/cm2が好ましい。また、該成形フック面ファスナーの幅は2〜15mmが好ましい。袋の開口部に、本発明の成形フック面ファスナー同士を係合する構造を設けると、従来のレール状ジッパーの開封部では得られない、開封性と蒸気透過性を与えることができる。
水蒸気透過度(以下、VP;Vapor Permeabilityと称する場合がある)が0.5cc/m・min未満であると、水蒸気の放出が足らず、包装部材が変形または破裂する可能性が高まる。一方、VPが200cc/m・minを超えるものは、水蒸気の放出が多く、必要な水蒸気の保持ができない。
本発明に用いるフック面ファスナーによる係合部の水蒸気透過度のより好ましい範囲は、1.0〜100cc/m・minである。VPは包装部材に水蒸気導入口を設け、100℃の水蒸気を供給して、包装部材の開口部に設けられた面ファスナー係合部より流出される水蒸気をシリカゲル等の吸湿剤に吸着させ、その重量増加量を求めることにより測定される。
すなわち、100℃の水蒸気で加熱されたフック面ファスナー同士を係合させた係合部のPERが0.5kg/cm未満であると、加熱中に面ファスナーの係合が外れ、包装部材が開口するおそれがある。一方、PERが5.0kg/cmを超えるものは、フック面ファスナーの係合力が高く、フック面ファスナー同士の係合を剥離することが困難となる。該フック面ファスナーのPERのより好ましい範囲は1.0〜4.0kg/cmである。
本発明において、PERは試料を100℃の水蒸気雰囲気下において、フック面ファスナーの引張強力(ラッチ強力)の測定方法に準じて測定される。具体的には、両面粘着テープを裏面に貼り付けた2枚の面ファスナー(試料サイズ:25mm×25mm)を係合面で重ね合わせ、その上に2kgの鉄ローラーを1往復させて圧着し、次に、両面粘着テープの離型紙を剥がして引張試験測定冶具にとりつけ、300mm/分の速度でこれら面ファスナー係合を引き剥がし、最大剥離力を読み取る。本発明においては、厳密に100℃の水蒸気を使用する必要はなく、常圧、すなわちほぼ1気圧の条件での沸騰水蒸気を100℃の水蒸気とする。
またVPは、フック状係合素子の高さが同一または異なる2枚のフック面ファスナー(第1のフック面ファスナーおよび第2のフック面ファスナー)を係合し、面ファスナー間に隙間を設けて、該隙間から水蒸気を放出することにより調整できる。第1のフック面ファスナーの係合素子と第2のフック面ファスナーの係合素子との高さの差は、0〜5.0mmとなるよう調整するのが好ましい。差が0mmのものでも、微視的には小さな間隙があり、実際にはかなりの水蒸気の放出がある。より好ましい高さの差は、0〜3.0mmである。差の大きい構造は、水蒸気放出の後、包装部材内の液体を放出する用途にも適する。
図1は、本発明の電子線加熱用包装部材の一例を示す平面模式図であり、図2は、図1の包装部材のX−X線における断面模式図である。図1の包装部材は、基材となる樹脂フィルムからなる連続チューブ状成形体1の上下端部2,3を密封部とし、上端部2の内側に2枚のフック面ファスナーの係合による係合部4を設ける。該係合部4は、図2に示すように袋の内面にフック面ファスナー5および6が係合するように配置することで設けられる。
上記した包装部材に、例えば餡まん(a bun with a bean-jam filling)のような含水食品を収容し、密封する。該包装部材を使用するには、上端部2の封止を例えばその下に設けた開封用ノッチ7により切断し、フック面ファスナーによる係合部と外気とが接するようにする。この状態で包装部材を電子レンジ(以下、レンジと略称することがある)にかけて加熱する。食品の加熱につれて水蒸気が発生し、高い水蒸気圧となると、水蒸気はフック面ファスナーによる係合部(封止部)から放出する。水蒸気が適度に放出することにより、包装部材の破裂を防いで希望の高温加熱を安全に行うことができる。フック面ファスナーによる係合部の水蒸気放出が過小であると、包装部材の内圧上昇により破裂したり、食品の過剰加熱で風味を損なう。また、水蒸気放出が過多であると、希望の温度での加熱ができず、食品から水分が過剰に蒸発して風味を損なうことになる。
また病院、介護施設、家庭介護などで、滅菌して使用される器具類(ガラス製、セラミックス製やプラスチック製の医療用器具等の加熱滅菌用物品、例えば医療用プラスチック手袋)があるが、該器具の滅菌にも本発明の包装部材が使用できる。滅菌器具と含水体(例えば含水不織布等の含水繊維製品など)を本発明の包装部材に収容し、レンジ加熱をして、器具を100℃の水蒸気に充分接触させれば、器具の滅菌を行うことができる。滅菌後、包装部材内で冷却して使用すれば、使用までの器具の汚染が防げて衛生環境が改善される。なお、厳密な滅菌は日本薬局方(Japanese Pharmacopoeia)など、各国の法規などにより規定されているので、該規定に適合するようにフック面ファスナーの係合を調整することが望ましい。本発明の包装部材は、上記した用途に限定されず、高温水蒸気の発生および高温水蒸気雰囲気を利用する物品に広く適用できる。
図4は、本発明の電子線加熱用包装部材の他の一例を示す平面模式図であり、図5は、図4の包装部材のX−X線における断面模式図である。
図4において、樹脂フィルムからなる連続チューブ状成形体1の上下端部2、3に密封部を設け、上端部2の密封部の内側(内縁側)に2枚のフック面ファスナーの係合による係合部4を設ける。さらに、該係合部4の内側に高温度開封シール部9を設ける。フック面ファスナー係合による係合部4は、図5に示すように、向かい合うフック面ファスナーのフック状係合素子5、6が係合し、その間に微細な間隙を有している。
図6の(A)においては、連続チューブ状成形体1の内面に2条の熱軟化性樹脂10、11を設けている。該樹脂は軟化温度以上に加熱され圧着封止されている。該樹脂が、再加熱されて軟化すると、圧着封止部が離れてシールが開封される。
図6の(B)は、高温度開封シール部の他の一例であり、レール状の連続突条12が熱軟化性樹脂13に嵌入した構造である。該レール状突条12は、常温では樹脂13に強固に嵌入しており、樹脂13が加熱され軟化すると容易に樹脂から抜け、シールが開放される。突条と熱軟化性樹脂の形伏は目的により任意に変更することができる。
本発明で使用される熱軟化性樹脂は、乾熱または水蒸気存在下、90℃で約1分間加熱されたときに、相接する熱軟化性樹脂が分離する程度に軟化するか、または該樹脂に嵌入された樹脂片が容易に取り出せる程度に軟化する樹脂である。なお、90℃は厳密でなくてもよく、80〜95℃程度の温度で軟化するものであればよい。
メルトインデックスが5であるポリエチレン50重量%と、メルトインデックスが1であるポリプロピレン50重量%からなる組成物を溶融押出成形して、成形フック面ファスナーを得た。得られた成形フック面ファスナーは、係合素子が略キノコ状形状を有しており、係合素子の高さ1.5mm、素子密度30本/cm2、幅25mm、長さ10cmであり、剛軟度は75gであった。この成形フック面ファスナーをポリエチレン製プレートに140℃、1秒間の条件で融着させた。次いで、裏面にナップ不織布を貼着した幅7cm、長さ10cmの表示板用ポリエチレンシートを用意し、該表示板の裏面とポリエチレンプレートに融着されたフック面ファスナーとを係合させた。フック面ファスナーは、熱収縮が少なくポリエチレンプレートと強固に融着しており、また表示板のナップ不織布と良好に係合した。この表示板について係合剥離試験を100回繰り返したが、フック面ファスナーとポリエチレンプレートの融着状態に影響はなかった。
メルトインデックスが5であるポリエチレン30重量%とメルトインデックスが1であるポリプロピレン70重量%からなる組成物を溶融押出成形して、成形フック面ファスナーを得た。得られた成形フック面ファスナーは、略キノコ状である係合素子の高さ2mm、素子密度75本/cm2、幅6mm、長さ12cmのフック面ファスナーであり、剛軟度は110gであった。次に、ポリプロピレンフィルムから作製したヨコ12cm、タテ20cmの袋状包装部材のヨコ開口部内側に、上記フック面ファスナー2枚が互いに係合するように180℃、1秒間の条件で融着させた。ポリプロピレンフィルムと成形フック面ファスナーは、熱収縮がなく強固に融着した。得られた面ファスナー付き包装部材の開口部における開封は、レール状ジッパーに比して簡単でかつ確実であった。開口部の開封試験を100回繰り返したが、フック面ファスナーの融着状態と係合力に変化はなかった。また、その袋を80℃で加熱したが、フック面ファスナー同士の係合にも影響はなかった。
組成物の組成をポリエチレン5重量%、ポリプロピレン95重量%に変更したこと以外は参考例1と同様にしてフック面ファスナーを成形し、得られたフック面ファスナーを参考例1で使用したのと同一のポリエチレンプレートに、140℃、1秒間の条件で融着しようとしたが、融着しなかった。時間を2秒間に延長したところ、プレートに変形が発生したため、145℃、1秒間に条件変更したが、これもプレートに変形が発生し、良好な融着ができなかった。
組成物の組成をポリエチレン75重量%、ポリプロピレン25重量%に変更したこと以外は参考例1と同様にしてフック面ファスナーを成形したところ、剛軟度は40gであった。このフック面ファスナーを参考例2と同様にポリプロピレンフィルム製包装部材の開口部に融着させた。得られた袋を80℃で加熱したところ、開口部に設けたフック面ファスナーが柔軟になりすぎ、フック面ファスナーの係合が容易に解離して、袋が開口してしまった。
ポリプロピレンフィルムを用いて図1に示すような袋状の包装部材(12cm×20cm)を作製した。その開口部内側に参考例2で得られた成形フック面ファスナー2枚を、それぞれ係合するように熱融着し固定した。該フック面ファスナーは、係合素子の高さ2mm、素子密度75本/cm2、素子列4本、幅6mmであった。該フック面ファスナーの係合部における水蒸気透過度(VP)は50cc/m・min、係合分離耐圧力(PER)は2.0kg/cmであった。
包装部材内に市販の冷凍シュウマイ(Shaomai)2個を収容し、開口部端縁を溶融シールして開口部密封部を形成し、1日冷凍庫にて保存した。包装部材を冷凍庫より取り出し、開口部密封部を切り取った後、家庭用電子レンジ(周波数2450MHz)で加熱した。1分後に、フック面ファスナー係合部から水蒸気が漏出しはじめ、1分30秒後には袋が膨満した状態となり水蒸気の漏出量も増えたが、フック面ファスナーの係合は維持されていた。2分後に加熱を止め、包装部材を皿上で開封し、シュウマイを取り出したところ、シュウマイはべたつかず、良好に加熱されていた。
略キノコ状の係合素子を有する第1の成形フック面ファスナー(クラレファスニング社製)として、係合素子の高さ5mm、素子密度20本/cm2、素子列4本、幅6mmのものを用い、略キノコ状の係合素子を有する第2の成形フック面ファスナー(クラレファスニング社製)として、係合素子の高さ2mm(第1のフック面ファスナーにおける係合素子の高さとの差3mm)、素子密度20本/cm2、素子列4本、幅6mmのものを用いてフック面ファスナー係合部を構成したこと以外は、実施例1と同様にして包装部材を作製した。該フック面ファスナーにおける係合部の水蒸気透過度は180cc/m・min、係合分離耐圧力は3.5kg/cmであった。
実施例1と同様に冷凍シュウマイ2個を収容し、2分間レンジ加熱したところ、フック面ファスナー係合部から水蒸気が漏出し、シュウマイは良好に加熱された。
底面15cm×15cm、高さ約12cmである図3に示したポリプロピレンフィルム製の包装部材を作製し、その開口部内側に2枚の略キノコ状の係合素子を有する成形フック面ファスナー(クラレファスニング社製)を係合するように融着した。該フック面ファスナーは、係合素子の高さ2.5mmおよび2mm(高さの差0.5mm)、素子密度250本/cm2、素子列4本、幅6mmであった。該フック面ファスナーの係合部における水蒸気透過度は10cc/m・min、係合分離耐圧力は2.0kg/cmであった。
冷水で軽く絞った手拭きタオル2本を得られた包装部材に収容し、フック面ファスナーを係合した状態で、家庭用電子レンジで3分間加熱した。約2分後から水蒸気が漏出しはじめ、約1分間活発に水蒸気が漏出した。加熱後、おしぼりを取り出すと、80℃以上に加熱されたおしぼりが得られた。
また、該包装部材に、水洗いして手袋内部に水滴の残った医療用プラスチック手袋と少量の水を収容し、フック面ファスナーを係合した状態で、家庭用電子レンジで5分間加熱したところ、良好に滅菌処理をすることができた。
実施例3において、成形フック面ファスナーの係合素子の頭部を直径約1.5mmとし、また両係合素子の高さを5mmとしたこと以外は、実施例3と同様にして包装部材を作製した。得られた包装部材のフック面ファスナー係合部における水蒸気透過度は120cc/m・min、係合分離耐圧力は6.0kg/cmであった。得られた包装部材は、フック面ファスナーの係合力が強すぎて係合剥離が困難であり、包装部材として不適当であった。
両成形フック面ファスナーの係合素子の高さを同一(2.5mm)としたこと以外は、実施例3と同様の包装部材を作製した。このフック面ファスナー係合部における水蒸気透過度は0.3cc/m・min、係合分離耐圧力は2.0kg/cmであった。実施例1と同様におしぼり用タオルを収容し、レンジ加熱したところ、フック面ファスナー係合部の水蒸気漏出が少なく、内圧が高くなりすぎ、係合部が破裂した。
ポリプロピレンフィルムを用いて袋状の包装部材(15cm×20cm)を作製した。包装部材の開口部内側に、略キノコ状の係合素子を有する成形フック面ファスナー(クラレファスニング社製)2枚を互いに係合するように融着した。該フック面ファスナーは、係合素子の高さが2mm、素子密度75本/cm2、素子列4本、幅6mmであり、該フック面ファスナーの係合部における水蒸気透過度は50cc/m・min、係合分離耐圧力は2.0kg/cmであった。
フック面ファスナー係合部の下側(内側)に、ポリエチレン製の熱軟化性樹脂とポリプロピレン製のレール条突条をそれぞれポリプロピレンフィルムに融着した。得られた包装部材を90℃に加熱し、軟化した樹脂にレール状突条を嵌入し、室温に冷却して高温度開封シール部を形成させ、その外側(開口部端縁)を融着シールして上端部を開口部密封部とし、図4に示すような包装部材を得た。
上記包装部材のシールした開口部密封部とは反対側に食品投入口を設け、ソース付きのハンバーグを収容し、脱気した後、該投入口を融着して下端密封部とした。室温で該包装部材を揺動したり手で押圧したが、包装部材内で高温度開封シール部が破れることはなく、またソースが該シール部を通過することもなかった。
包装部材の上端密封部を開封してとり除き、フック面ファスナー係合部が外気と接する状態にした。この包装部材を皿に斜めに立てかけた状態で家庭用電子レンジにて加熱した。約1分後に高温度開封シール部が開いて、フック面ファスナー係合部から水蒸気が漏出しつつ加熱が続いた。約2分間加熱後、良好に加熱されたハンバーグが得られた。
第1のフック面ファスナーとして、略キノコ状の係合素子を有し、係合素子の高さ5mm、係合素子における頭部の長径が1mm、素子密度20本/cm2、素子列4本、幅6mmの成形フック面ファスナー(クラレファスニング社製)を準備した。また、第2のフック面ファスナーとして、略キノコ状の係合素子を有し、係合素子の高さ2mm(第1のフック面ファスナーとの高さの差3mm)、素子密度20本/cm2、素子列4本、幅6mmの成形フック面ファスナー(クラレファスニング社製)を準備した。これらを用いてフック面ファスナー係合部を構成したこと以外は、実施例4と同様にして包装部材を作製した。該フック面ファスナーの係合部における水蒸気透過度は180cc/m・min、係合分離耐圧力は3.5kg/cmであった。
実施例4と同様の方法にて野菜の煮物を収容し、約3分間レンジで加熱したところ、水蒸気発生まで煮汁は高温度開封シール部で阻止されており、その後高温度開封シール部が開いてフック面ファスナー係合部から水蒸気が漏出した。得られた野菜の煮物は良好に加熱されていた。
Claims (9)
- 熱可塑性樹脂からなる電子線加熱用包装部材であって、該包装部材の開口部には、フック状係合素子を有する2枚のフック面ファスナーが互いに係合するように設けられた係合部を備え、
前記熱可塑性樹脂が、
ポリエチレン及びポリプロピレンから選ばれたポリオレフィン樹脂であり、
該係合部が、
100℃の水蒸気に対して0.5〜200cc/m・minの水蒸気透過度を有し、かつ同加熱水蒸気存在下にて0.5〜5.0kg/cmの係合分離耐圧力を有し、
前記係合部を構成する該フック面ファスナーがメルトインデックス3〜20であるポリエチレン樹脂10〜70重量%とメルトインデックス0.7〜3であるポリプロピレン樹脂90〜30重量%とからなる組成物を溶融成形してなる
ことを特徴とする電子線加熱用包装部材。 - 該フック面ファスナーが、基板上に略キノコ状係合素子を密度10〜300本/cm2で立設した成形フック面ファスナーである請求項1記載の電子線加熱用包装部材。
- 2枚のフック面ファスナーが、それぞれ基板上に略キノコ状係合素子を立設してなる成形面ファスナーであって、第1のフック面ファスナーの係合素子と第2のフック面ファスナーの係合素子の高さの差が0〜5.0mmである請求項1記載の電子線加熱用包装部材。
- 該電子線加熱用包装部材に食品を収容してなる請求項1記載の電子線加熱用包装部材。
- 該電子線加熱用包装部材に含水繊維部品を収容してなる請求項1記載の電子線加熱包装部材。
- 該電子線加熱用包装部材に加熱滅菌用物品を収容してなる請求項1記載の電子線加熱包装部材。
- 熱可塑性樹脂からなる電子線加熱用包装部材であって、
前記熱可塑性樹脂が、
ポリエチレン及びポリプロピレンから選ばれたポリオレフィン樹脂であり、
該包装部材の開口部には、フック状係合素子を有する2枚のフック面ファスナーを互いに係合させた面ファスナー係合部が設けられており、該2枚のフック面ファスナーによる係合部が100℃の水蒸気に対して0.5〜200cc/m・minの水蒸気透過度を有し、かつ同加熱水蒸気存在下にて0.5〜5.0kg/cmの係合分離耐圧力を有し、
前記フック面ファスナーがメルトインデックス3〜20であるポリエチレン樹脂10〜70重量%とメルトインデックス0.7〜3であるポリプロピレン樹脂90〜30重量%とからなる組成物を溶融成形されたものであり、
前記開口部の外縁方向に向かって、
高温度開封シール部と、
前記面ファスナー係合部と、
開口部端縁をシールした開口部密封部と
が、この順に形成されている電子線加熱用包装部材。 - 前記高温度開封シール部が90℃以上の温度で軟化し、前記高温度開封シール部が開放されるように形成されてなる請求項7に記載の電子線加熱用包装部材。
- 前記面ファスナー係合部と前記開口部密封部との間に開封用ノッチを設けてなる請求項7又は8に記載の電子線加熱用包装部材。
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