JP2016016064A - 食品加熱調理用包装体 - Google Patents

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充弘 北村
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秀典 白井
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知佐 池田
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Abstract

【課題】冷蔵・冷凍食品や揚げ物惣菜等の食材を電子レンジでの加熱に伴って食材の内部から出てくる油や水分を吸収して、食材の食感を高めることができ、新鮮な食材を冷凍パックとして食材を保護する包装体をなすとともに、加熱調理中の過加熱などの危険な事故も起こりえない、電子レンジのみで調理する食品加熱用包装体を提供する。
【解決手段】少なくとも、片面が多数の微小な孔を有する熱可塑性樹脂フィルム21、逆側の片面が不織布および/または紙12からなり、かつ総目付が20〜80g/mである食品加熱調理用シート10を袋状に形成してなる、食品加熱調理用包装体40であり、好ましくは、熱可塑性樹脂フィルム21が包装体40の内部側に配置されており、また、食品加熱調理用シートを構成する熱可塑性樹脂フィルムと不織布および/または紙とは離隔していて積層一体化されていなくてもよい。
【選択図】図4

Description

本発明は、電子レンジで調理する際に用いられる食品加熱調理用包装体に関する。さらに詳細には、本発明は、電子レンジで生野菜や生魚をそのまま加熱処理したり、あるいは調理の前処理を行うことに適するとともに、食材の収穫時や加工処理工場で新鮮な状態で冷凍パックして冷凍食品として新鮮なまま消費地に提供する食品加熱調理用包装体に関する。さらに、本発明は、揚げ物惣菜等の食材を電子レンジで再加熱する際に余分な水分や油分を分離し、それらの蒸発分の温度にも耐えうる耐熱性をそなえ、調理に好適な食品加熱調理用包装体に関する。
一般に、揚げ物惣菜等の調理された食材は、一度冷めた場合や冷蔵庫に保存した場合、食材の中の水分や油分が時間経過により食材表面に染み出てくるため、食する時に再加熱しても出来立ての食感を取り戻すことは難しい。例えば、オーブントースターで再加熱すると、衣などの食材表面の水分を飛ばすことができるため、からっとした食感が得られやすいが、非常に時間が掛かって面倒であるという問題がある。
また、塩鮭などを生もしくは冷凍食品から加熱調理するには、別途、ガスオーブンなどに当該食品を収納して加熱調理する必要があり、調理に手間取ることがある。
一方、短時間で再加熱が済む電子レンジでは、マイクロ波による内部加熱のため、必要以上に食材内部の水分が失われてしまい、加熱時間を長くすると食材がパサパサになってしまう。また、再加熱に伴って食材内部からしみだす水分により、表面の衣が湿ってしまうため、からっとした食感が損なわれやすいという問題がある。塩鮭などを生もしくは冷凍食品から加熱調理する際も、同様の問題がある。
また、芋類やニンジン、ブロッコリーなど、薄物ではない生野菜類や肉類のブロック状の食材の場合は、直接食することが可能な状態とするため、オーブンによる加熱や熱湯による湯がきや蒸し器による蒸らしなど、長時間前処理を施すことが必要となっている。そのため、高齢者による調理事故も増加傾向にあり、短時間で調理できるとともに、消し忘れ事故が発生することのない電子レンジ調理は、安心・安全面でも大きなメリットがある。
そのため、短時間で再加熱が済む電子レンジを用いながら、食材の前処理や再加熱後の食材の食感を良くすることができる手軽な方法が求められている。そこで、特許文献1では、疎水性繊維と親水性繊維からなるスパンレース織布に不透水性の薄膜層を積層した食品加熱調理用包装体が提案されている。
しかしながら、この包装体は、この包装体を構成する織布が疎水性繊維とレーヨンなどの親水性繊維からなるため、この織布に加熱により食品から発生する水蒸気やドリップの吸収が充分ではない場合があり、食品からの油分も織布に吸収され難いものである。さらに、包装体を構成する一方の薄膜層は、不透水性であるので、水蒸気の外部への発散が困難である。以上のことから、特許文献1の包装体でも、揚げ物惣菜等の食材を電子レンジで再加熱する際、再加熱に伴って食材の内部から出てくる油や水分を吸収しがたく、再加熱後の食材の食感を高めることがむつかしく、また吸油実感度(使用感)の高い調理用シートを提供することが難しい面がある。また、このような包装体を用いて、例えば生の塩鮭を電子レンジで調理すると、油分が織布や薄膜層に吸収されず、また、水分が吸収・拡散し難いので、調理後の塩鮭は、水分および油分が残ったままの蒸し焼き状態となるか、あるいは加熱過剰により水分の欠如した固い食材となってしまうなど、到底、ガスレンジで調理したようなカラッとした食感を得ることには程遠いものとなる。
特開2000−93297号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、生野菜や肉類及び冷蔵・冷凍食品や揚げ物惣菜等の食品を電子レンジで加熱する際、加熱に伴って食材の内部からしみだす油分などのドリップや水分を吸収して、加熱後の食材の食感を高めることができ、かつ、吸油や吸水実感度(使用感)の高い加熱調理用包装体を提供することを目的とする。
本発明は、少なくとも、片面が多数の微小な孔を有する熱可塑性樹脂フィルム、逆側の片面が不織布および/または紙からなり、かつ総目付が20〜80g/mである食品加熱調理用シートを袋状に形成してなる、食品加熱調理用包装体に関する。
ここで、熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、およびポリアミドフィルムの群から選ばれた少なくとも1種のフィルムが挙げられる。
また、片面が多数の微小な孔を有する熱可塑性樹脂フィルムとしては、熱針やピン形状のエンボス加工などによりフィルムへの孔開けを行い得られたものであるか、あるいは、当該フィルムに凹凸のエンボス加工を施し、このエンボス加工により多数の裂け目が形成されてなるものが挙げられる。
さらに、多数の微小な孔を有する熱可塑性樹脂フィルムにおいて、好ましくはその円形の場合、孔径は0.001〜3.0mm、フィルム面積に占める孔トータルの開孔率は1〜20%である。なお、孔形状は円形に限られるものではなく、加えて裂け目加工の場合は、目に見える孔は存在しないが、開孔率が同等であればよい。
本発明の食品加熱調理用包装体は、好ましくは、食材に適切な調理時間で電子レンジ調理を施した後、食材の中心温度が一時上昇するとともに、常温までの温度低下が食材のみの調理に比べて、200%以上長時間保持できる。
他方、不織布としては、エアースルー法、エアレイド法、湿式法、スパンボンド法、メルトブロー法、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、ステッチボンド法、あるいはスチームジェット法により得られる不織布が挙げられる。なお、不織布とともに、または不織布の代わりに、水分や油分を保持しうる吸収紙などの紙を用いてもよい。
なお、不織布としては、粉砕法によるパルプを10〜50%混合した不織布であってもよい。
また、本発明の食品加熱調理用包装体は、熱可塑性樹脂フィルムが包装体の内部側に配置されているものが好ましい。
本発明の食品加熱調理用包装体の形態としては、食品加熱調理用シートを構成するあらかじめ穿孔された熱可塑性樹脂フィルムと不織布および/または紙とが離隔しており、積層一体化されていないものであり、製袋加工に伴う溶着接合部分のみで接着した包装体が挙げられる。
また、本発明の食品加熱調理用包装体の他の形態として、食品加熱調理用シートを構成するあらかじめ穿孔された熱可塑性樹脂フィルムと不織布および/または紙とが、ホットメルト法、ヒートシール法、または超音波シール法により、積層一体化されているものを製袋加工した包装体が挙げられる。
さらに、本発明の食品加熱調理用包装体の他の形態としては、熱可塑性樹脂フィルムと不織布および/または紙とともに、熱針やピン形状の加熱エンボスにより、穿孔と同時に複合化されたものや、エンボス加工などにより凹凸の噛み合わせを行うことにより、熱可塑性樹脂フィルムに多数の裂け目を生じさせながら積層一体化されているものを、製袋加工した包装体が挙げられる。
本発明によれば、電子レンジを用いて、生野菜や生魚をそのまま加熱処理したり、あるいは調理の前処理を行うことや、冷凍食品を加熱調理する場合の双方の使用形態において、揚げ物惣菜等の食材を電子レンジで加熱する際、加熱に伴って食材の内部からしみだす油分や水分を吸収して、加熱後の食材の食感を高めることができ、かつ、吸油及び吸水実感度(使用感)の高い加熱調理用包装体を提供することができる。
さらに、本発明の食品加熱調理用包装体は、次のような具体的な効果を奏する。
(1)電子レンジ調理の目的である「簡単・短時間・調理器具要らず」であり、調理後の器具の洗浄作業が不要となり、簡便性に優れる。
(2)穿孔(裂け目を含む)フィルムを用いているので、その結果、食材から発生する水蒸気圧により、本発明の食品加熱調理用包装体が破裂することがない。
(3)電子レンジ調理において、フィルムのみだと、調理後の食材に水分・油分付着が過剰に残り、食感が悪くなるが、不織布や紙を併用しているので、食材から排出された水分・油分を吸収することができるため、食感の良い調理となる。
(4)電子レンジ調理を停止後、この包装体の内部で、水蒸気が残存し、調理時間のかかるブロック状の食材も、この包装体内で、しばらく保持することにより、蒸らし調理が進行するので、省エネ調理ができる。
(5)電子レンジ調理後、この水分を含んだ包装体が保温効果を発揮し、長時間食材が温かく保たれる。
(6)本発明の食品加熱調理用包装体は、産地もしくは食材加工場において、食材を新鮮なまま冷凍パックすることにも使用され、輸送中の食材の保護とともに、他の調理器具を使用することなく、電子レンジのみで、新鮮な冷凍保存食材を調理できるため、産地直送の味覚を提供しうる。
本発明の食品加熱調理用包装体として製袋される前の食品加熱調理用シートの一例で当該シートの斜視図である。 本発明の食品加熱調理用包装体として製袋される前の食品加熱調理用シートの他の一例で、当該シートの斜視図である。 本発明の第一の形態で、ヒートシールにより製袋加工してなる、袋状の食品加熱調理用包装体の斜視図である。 本発明の第二の形態で、ヒートシールにより製袋加工してなる、袋状の食品加熱調理用包装体の斜視図である。 本発明の第三の形態で、ヒートシールにより製袋加工してなる、自立型の食品加熱調理用包装体の立体構成図である。 本発明の第一の形態の袋状の食品加熱調理用包装体を用いて加工食品を冷凍パック化する状態の斜視図である。
本発明の食品加熱調理用包装体は、少なくとも、片面が多数の微小な孔を有する熱可塑性樹脂フィルム、逆側の片面が不織布および/または紙からなる構造の食品加熱調理用シートが包装体として製袋された食品加熱用包装体であって、当該シートの総目付が20〜80g/mである。
そして、本発明の食品加熱調理用包装体は、上記熱可塑性樹脂フィルムと不織布および/または紙とは、製袋加工前にあらかじめ積層一体化されていなくても、製袋加工前にあらかじめ積層一体化されていてもよく、さらには、あらかじめ穿孔のない熱可塑性樹脂フィルムと不織布および/または紙をエンボス加工などにより積層一体化する際に、熱可塑性樹脂フィルムを穿孔するか裂け目を生じさせることにより得られたものでもよい。
かくて、本発明の食品加熱調理用包装体は、この範疇に属する穿孔や裂け目を有する熱可塑性樹脂フィルムと加熱調理時に食材から放出される油分や水分などのドリップ類が吸収できる不織布および/または紙を用いるものであれば、上記の形態に限定されるものではなく、いかなるものでもよい。
なお、本発明の食品加熱調理用包装体は、少なくとも、上記の熱可塑性樹脂フィルムと不織布および/または紙とから構成されていればよく、熱可塑性樹脂フィルム/紙/熱可塑性樹脂フィルム、熱可塑性樹脂フィルム/不織布/紙/熱可塑性樹脂フィルムのような、三層以上の構成であってもよい。
このように、本発明の食品加熱調理用包装体は、少なくとも、片面が多数の微小な孔を有する熱可塑性樹脂フィルム、逆側の片面が不織布および/または紙からなる構造の食品加熱調理用包装体であり、以下、熱可塑性樹脂フィルム、不織布、紙、食品加熱用包装体について、詳述する。
<熱可塑性樹脂フィルム>
上記のように、本発明の食品加熱調理用包装体において、不織布および/または紙とともに用いられる熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン系などのポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ナイロン6、ナイロン6,6などのポリアミドフィルムなどが挙げられ、好ましくはポリプロピレン系フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムである。ここで、ポリプロピレン系フィルムとしては、ポリプロピレンのホモポリマーのほか、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−プロピレン三元共重合体などのいわゆるポリプロピレン系ポリマーからなるすべてのポリプロピレン系フィルムを包含するものと解釈すべきである。また、熱可塑性樹脂フィルムとしては、短時間加熱で簡便性に優れている電子レンジ調理に必要とされる耐熱性を有することも必要であり、その用件を満たす熱可塑性樹脂フィルムを選定すべきことは、いうまでもない。
また、このような熱可塑性樹脂フィルムとしては透明なものであることに限定されず、不透明なフィルムであってもよい。不透明化の手段としては、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機充填剤を1〜30重量%程度配合する方法や、発泡剤を配合して製膜し、微細発泡セルにより不透明化する方法などを適用することができるが、耐熱性を考慮すると前述の充填剤による方法が望まく、特に第三の形態となるエンボスによる穿孔や裂け目を容易に発生できるためには好ましい。熱可塑性樹脂フィルムを不透明にすることにより、不織布の色相とほぼ一致させることができる。
なお、熱可塑性樹脂フィルムの厚さは、10〜50μmが好ましく、さらに好ましくは15〜40μmである。10μm未満では強度や耐熱性が不十分であり、一方、50μmを超えると食品加熱調理用シートに使用するフィルムの厚さとしては過剰である。
また、熱可塑性樹脂フィルムの目付けとしては、10〜70g/m、好ましくは20〜50g/mである。
また、熱可塑性樹脂フィルムは、多数の微小な孔を有して使用されるが、この孔の形状や裂け目の形状は限定されるものではない。しかしながら、この孔は、孔を通過する水分や油分及びこれらの蒸発分の通過抵抗として円形孔で換算すると、孔径φが0.001〜3.0mm、フィルム面積に占める全溶融孔トータルの開孔率としては1〜20%が好ましい。孔の孔径は、0.001mm未満では食材からしみだした油分や水分及びこれらの蒸発分の通過が悪く食材に残存することとなり、一方、3.0mmを超えると反対にこれらの通過が過剰となり、加熱・調理・食材の前処理など目的に応じて幅広く使用することが困難となる。特に、温度上昇した食材の周辺温度低下を利用する蒸らし調理や、調理後の保温時間を十分に長く保つことが難しくなる。また、開孔率も同様に1%未満では油分や水分の通過が不十分であり、一方、20%を超えると孔の大きさが大きすぎるのと同様の課題が発生する。電子レンジ調理の主たる目的は、加熱・調理・食材の前処理など、幅広く簡単に使用することであり、そのために、水分や油分とその蒸発分を適切に導くために換算値としての孔径及び開口率は非常に重要である。食材に与える影響としても、水蒸気の放散性が大きすぎると、調理した食材が乾燥して固くなり、食感を悪化させたりしてしまう。
なお、ポリプロピレンフィルムなどの熱可塑性樹脂フィルムには、食品加熱処理用包装体として製造される前に、あらかじめエンボス加工や熱針により多数の孔もしくは裂け目を設けておくか、該フィルムと不織布および/または紙を一体化すると同時に孔もしくは裂け目を設けてもよい。その際、菱形、矩形、長円形、楕円形、円形などの凹凸部を形成してもよい。なお、上記記載の孔の形状は円形状に限られるものではない。
<不織布>
本発明の食品加熱調理用包装体に用いられる不織布としては、エアースルー法、エアレイド法、湿式法、スパンボンド法、メルトブロー法、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、ステッチボンド法、あるいはスチームジェット法などの製造方法によって得られる不織布が挙げられるが、これらの製造方法に限られるものではない。
好ましくは、エアレイド法、ケミカルボンド法、スパンレース法、さらに好ましくはエアレイド法で作成される乾式不織布である。
なお、本発明に用いられる不織布は、熱接着性合成繊維およびパルプ繊維を主体とする一層構造(一層構造タイプ)でもよいが、熱接着性合成繊維とパルプ繊維からなる内層と、これを挟む熱接着性合成繊維を含む表層とで、三層構造(以下「三層構造タイプ」ともいう)となって、熱接着により一体化されているものなど、一層タイプに限られるものではない。
この三層構造タイプの不織布の一例を挙げると、熱接着性合成繊維とパルプ繊維とが30/70〜100/0重量%の割合で混合されていて、該熱接着性合成繊維どうしおよび/または熱接着性合成繊維とパルプ繊維とが熱接着されたものからなり、目付が5g/mを超えて12g/m以下である両面の表層部と、熱接着性合成繊維とパルプ繊維とが20/80〜90/10重量%の割合で混合されていて、表層部と同様に熱接着されたものからなり、目付が8〜60g/mである内層部とからなり、全体として、表層部と内層部の間も、該熱接着性合成繊維どうしの熱接着により一体化されており、タテとヨコの引っ張り強力の比率が、乾燥時および湿潤時共に、0.7〜1.1であり、乾燥時と湿潤時における引張り強力の比率が0.6〜1.1であり、水分の吸収性が5〜20g/gであり、かつ総目付が20〜80g/mである、不織布が挙げられる。
なお、表層部と裏層部が同質の繊維によることに限られることではない。一例をあげると、包装体として熱可塑性樹脂フィルム側を表層として、当該フィルムとの接着性の良い組成を選定し、包装体を調理に使用後に廃棄する際に包装体の表となる裏層には、食材の排出物で汚れにくい撥水・撥油繊維を混合した組成も採用できる。
本発明に用いられる不織布は、適度な水分吸収性が必要であり、水分の吸収性は、好ましくは5〜20g/g、さらに好ましくは6〜18g/g、特に好ましくは7〜15g/gである。5g/g未満では、吸収性が不充分であり、一方、20g/gを超えることは実用上過剰性能と言える。
不織布の目付としては、10〜70g/m2である。好ましくは20〜60g/m2、さらに好ましくは20〜40g/m2である。10g/m2未満では、保持する水分量、油分量が不十分となり、一方、70g/m2を超えると電子レンジで使いきりにする包装体として好ましいコストで提供することが困難となる。
本発明において、不織布の両面の表層部に熱接着性合成繊維を含むとしたのは、熱可塑性樹脂フィルム貼り付け面においてはフィルムと熱接着する際の接着性を向上させ、逆側の面においては、使用時における脱落繊維の発生を防止するためであり、一層タイプでも多層タイプでも同様な意図を有している。
なお、不織布としては、粉砕法によるパルプを10〜50重量%混合した不織布であってもよい。
<紙>
紙は、木材パルプなどの植物繊維などを絡ませながら薄く平(たいら)に成形したもので、日本工業規格(JIS) では、「植物繊維その他の繊維を膠着させて製造したもの」と定義されている。広義の紙は、直径100μm以下の細長い繊維状であれば植物由来の原料のほか、合成樹脂など、ほぼあらゆる種類の原料を用いて作ることができる。したがって、紙は、不織布の一種として分類されることもある。しかし一般には、紙は植物繊維を原料にしているものを指す。製法からも、一般的な水に分散させてから網の上に広げて脱水・乾燥工程を経て作られるもの以外に、水を使用しない乾式で製造したものも含まれる。
紙の種類としては、主として木材を主原料に機械生産により製造する洋紙のほか、ガンピ、コウゾ、カジノキなどを原料として手漉きでつくられる和紙も含まれる。
本発明に使用する紙の目付も、10〜70g/m2である。好ましくは20〜60g/m2、さらに好ましくは20〜40g/m2である。10g/m2未満では、保持する水分量、油分量が不十分となり、一方、70g/m2を超えると電子レンジで使いきりにする包装体として好ましいコストで提供することが困難となる。
なお、不織布とともに複合化する際の紙は、市販のティッシュ性能レベルのもので十分であり、その目付は、10〜25g/m、好ましくは、12〜20g/mである。
<食品加熱調理用包装体>
ここで、図面を用いて、改めて本発明の食品加熱調理用包装体を説明する。
まず、図1に、本発明の食品加熱調理用包装体に用いられる食品加熱調理用シートの一例を示す。この食品加熱調理用シート10は、熱可塑性樹脂フィルム11と不織布および/または紙12が、当該フィルムが穿孔されるとともに熱接着により複合化されたシートを示す。
また、図2は、本発明の食品加熱調理用包装体に用いられる食品加熱調理用シートの他の一例を示す。この食品加熱調理用シート20は、あらかじめ穿孔された熱可塑性樹脂フィルム21と不織布および/または紙12からなる食品加熱調理用シートであり、ホットメルト接着剤23などにより、積層一体化されていている。
なお、ホットメルト接着剤としては、オレフィン系接着剤のほか、EVA系樹脂、ゴム系樹脂などが用いられる。また、ホットメルト接着剤の使用は、通常、1.0〜10.0g/m、好ましくは1.5〜3.0g/m程度である。
次に、図3に、本発明の食品加熱調理用包装体の一例を示す。この食品加熱調理用包装体30は、熱可塑性樹脂フィルム11側を内側になるように、2枚を重ね合わせて、その周縁部31,32,33の3方をヒートシール接着、あるいは超音波融着して袋状に形成したものである。
また、図4に、本発明の食品加熱調理用包装体の他の一例を示す。この食品加熱調理用包装体40は、不織布および/または紙12/熱可塑性樹脂フィルム21/熱可塑性樹脂フィルム21/不織布および/または紙12を、4枚を重ね合わせて、その周縁部41,42,43の3方をヒートシール接着、あるいは超音波融着して袋状に形成したものである。
次に、図5に、本発明の食品加熱調理用包装体の他の例として、自立可能な形状の一例を示す。この食品加熱調理用包装体50は、図2の食品加熱調理用シート20を、51,52の部分にヒートシール接着、あるいは超音波融着を施すことにより得られる。大量の食材の調理には、このような形態が望ましい。
次に、図6には、図3の食品加熱調理用包装体30の内側に、産地の食材や加工食材61を封入し、その開口部62をヒートシール溶着などした使用例(事例60)を示す。この封入した食材に急速冷凍を施すことにより、産地の新鮮な食材を消費者に提供することができる。この事例60では、消費者は、冷凍された食品加熱用包装体30のまま、電子レンジ調理を行うことができるため、新鮮な食材に直接触れることなく簡単に食卓に届けることができる食品加熱調理用包装体30であり、調理において電子レンジ以外の調理用具を必要としない簡便性が達成される。
このように、本発明の食品加熱調理用包装体は、加熱調理時に食材を詰めて食品加熱調理用包装体として使用することも、食材を産地の新鮮な状態で輸送する包装体として、双方に共通して活用ができるため産業上の利用範囲が広い。
なお、食品加熱調理用包装体は、熱可塑性樹脂フィルムを外側にし、不織布および/または紙を内側にして使用することもできる。
ところで、不織布および/または紙のみの包装体では、食材から発生する水蒸気は不織布および/または紙を通して外部に拡散してしまい、包装体内で対流することもなく、調理時間を短縮する効果が得られないため、包装体を用いない食材そのものの調理との大差が得られにくい。一方、穿孔した熱可塑性樹脂フィルムのみの包装体では、食材の輸送時の保護が十分でなく、調理により食材より放出する油分や水分は包装体より流出するか、再び食材に吸収されて油分が低減されたとの使用実感がないとともに、食材の表面に油分や水分の付着量が増加し食感が悪くなる。さらに、穿孔がない熱可塑性樹脂フィルムのみの袋では、加熱後の水蒸気が再び食材に付着、吸収されるため、からっとした食感が得られないとの欠点があり、加えて食材を内封した包装体として使用する際、電子レンジで調理すると、食材より放出される水蒸気により、包装体が破裂することもある。
すなわち、本発明の包装体は、さまざまな電子レンジ調理に共通して産業上の広い範囲で活用ができるというメリットがある。なお、放出された水分は不織布および/または紙に吸収されるため、その水分により食材の調理後の温度低下が緩やかとなり、包装袋内の食材は、長時間温かさを保つことができる。多くの食材を準備する場合など、最初に温めた食材が冷たくなる前に、多様な食事の準備ができるというメリットもある。
具体的には、ブロック状の食材を調理する際には、食材の中心部まで均一に温度上昇し、その後緩やかに温度が低下することが望ましい調理である。本発明の包装体は、電子レンジ調理直後の温度を基点として、当該包装体を用いない場合を比較として、調理後の時間経過と温度変化を測定したところ、食材の中心部の温度上昇のピークは、調理直後の温度と比較して1〜10℃高くなるとともに、調理直後の基点温度まで食材の温度が低下してくる時間が、2〜8倍ほど長くすることができる。したがって、食材の温度が室温付近まで低下するまでの時間は著しく延長できるというメリットもある。
一方、本発明の食品加熱用包装体は、多数の微小な孔を有する熱可塑性樹脂フィルムと乾式不織布および/または紙に加えて、他の熱可塑性樹脂フィルムをさらに外側に配置してもよい。このようにすると、食材からしみだした油分と放出された水分は不織布でトリップされるため、このような構成にしても、前述した多くのメリットを損なうことはない。ただし、当該他のフィルムは、食材より放出された水蒸気の圧力により破裂しないよう、微細な孔を空けておくことが望ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、まず、以下に本実施例に用いられる各種の素材について説明する。
<実施例に用いた熱可塑性樹脂フィルム>
本発明の食品加熱加工実施例に用いた熱可塑性樹脂フィルムは、下記の3種である。
フィルム(1)は、ポリプロピレンフィルムに無機充填剤として炭酸カルシウムを15%と二酸化チタンを12%を含有したフィルムで厚さ22μmであるフィルムを用いた。
フィルム(2)は、上記フィルム(1)に、あらかじめ孔径0.4mmφ、ピッチは2.8mmで、開孔率は約2%に穿孔したフィルムを用いた。
フィルム(3)は、ポリエチレンテレフタレートフィルムで、厚さ28μmであるフィルムを、あらかじめ孔径0.6mmφ、ピッチは1.8mmで、開孔率は約9%に穿孔したフィルムを用いた。
<実施例に用いた不織布>
本発明の食品加熱加工実施例に用いた不織布は、下記の3種である。
不織布(1)は、エアレイド法で製造した不織布であり、芯がポリプロピレンで鞘が共重合ポリエチレンの複合繊維(単糸繊度1.7dt、繊維長5mm)と、粉砕により解繊したパルプ繊維をそれぞれ80重量%、20重量%の割合で混合したものを用い、加熱温度を150℃でバインダー繊維(複合繊維)を溶着することにより繊維間結合をなした不織布であり、目付を25g/mとした乾式不織布を用いた。
不織布(2)は、エアレイド法で製造した不織布であり、表裏層部の熱接着性繊維として、芯がポリエチレンテレフタレートで、鞘がポリエチレンの芯鞘型複合繊維(単糸繊度2.2dt、繊維長5mm)と粉砕により解繊したパルプ繊維をそれぞれ90重量%、10重量%の割合で混合したものを用い、内層部としては、芯がポリプロピレンで鞘が共重合ポリエチレンの複合繊維(単糸繊度1.7dt、繊維長5mm)と、粉砕により解繊したパルプ繊維をそれぞれ80重量%、20重量%の割合で混合したものを用い、エアレイド法により加熱温度を150℃でバインダー繊維を溶着することにより繊維間結合をなした不織布であり、表裏層の目付は11g/m、内層の目付は28g/mとした乾式不織布を用いた。
不織布(3)は、ケミカルボンド法により製造した不織布であり、単糸繊度2.2dtのレーヨン繊維50重量部と、単糸繊度3.3dtのポリエチレンテレフタレート繊維50重量部とを混合してなる、アクリル系バインダーにより繊維間結合をなした不織布で、目付を30g/mとした乾式不織布を用いた。
<実施例に用いた吸収紙>
本発明の食品加熱加工実施例に用いた吸水紙は、下記の1種である。
すなわち、実施例での紙の使用は、上記不織布(3)とともに用いた。吸収紙は、食品用途とするためバージンパルプ100%よりなり、目付が12g/mの吸水紙を用いた。
<あらかじめ熱可塑性樹脂フィルムと不織布および/または紙を複合化して実施例に用いた複合シートの加工方法>
本発明の食品加熱加工実施例に用いた不織布は、下記の3種である。
複合一体化加工方法(1)は、図1に示すように、上記のフィルム(1)と不織布(1)の2層を重ね合わせた後、突起を有する熱針により熱加工することによって、2層をなす構成素材を孔径0.6mmφ、ピッチは1.8mmで、開孔率は約9%に穿孔するとともに、複合一体化加工した複合シートを用いた。
複合一体化加工方法(2)は、図2に示すように、上記のフィルム(2)と不織布(1)の2層の間に、ホットメルトを用いて接着して一体化加工した複合シートを用いた。なお、ホットメルト接着剤としては、オレフィン系接着剤で食品衛生法での使用が承認されたものを用い、使用量は、2.0g/mとした。
複合一体化加工方法(3)は、上記のフィルム(1)と不織布(2)の2層を重ね合わせた後、ピン状突起を有する凸ロールと弾性を有する表面がフラットのロールを加熱エンボス加工を行うことにより、2層をなす構成素材を孔径0.4mmφ、ピッチは2.8mmで、開孔率は約2%に穿孔するとともに、複合一体化加工した複合シートを用いた。
複合一体化加工方法(4)は、上記のフィルム(3)と紙および不織布(3)の3層を重ね合わせた後、凹凸を有する一対のエンボス加工によって、3層をなす構成素材を一体化するとともに、フィルムに裂け目を開孔率は約17%生じさせた一体化加工した複合シートを用いた。
<実施例に用いた食品加熱調理用包装体>
本発明の食品加熱加工実施例に用いた食品加熱調理用包装体は、下記の3種である。
すなわち、食品加熱調理用包装体(1)は、上記複合一体化加工方法(1)による複合シート10を用い、図3に示すように、フィルム11が内側になるように、二枚を重ね合わせ、周縁部31,32,33を150℃で3方を加熱溶着して袋状に加工した。包装体の寸法は、タテ×ヨコ=250mm×150mmである。
食品加熱調理用包装体(2)は、上記複合一体化加工方法(3)による複合シートを用い、フィルム21が内側になるように、食品加熱調理用包装体(1)と同様の方法により袋状に加工した。包装体の寸法は、タテ×ヨコ=250mm×150mmである。
食品加熱調理用包装体(3)は、上記複合一体化加工方法(4)による複合シートを用い、フィルムが内側になるように、二枚を重ね合わせ、周縁部を160℃で3方を加熱溶着して袋状に加工した。包装体の寸法は、タテ×ヨコ=250mm×150mmである。
食品加熱調理用包装体(4)は、上記のフィルム(3)と不織布(2)を、図4に示すように、フィルムが内側になるように、不織布/フィルム/フィルム/不織布と四枚を重ね合わせ、周縁部42,43,44を160℃で3方を加熱溶着して袋状に加工した。包装体の寸法は、タテ×ヨコ=250mm×150mmである。
食品加熱調理用包装体(5)は、上記複合一体化加工方法(2)による複合シートを用い、図5に示すように、フィルム21が内側になるようヒートシールにより加熱溶着部位を設けて自立可能な包装体50として製袋し折込み加工した。包装体の寸法は、底辺がタテ×ヨコ=250mm×150mmであり、高さ250mmである。
<調理実施例の選定>
本発明の食品加熱調理用包装体の産業上の用途の広さを示すため、以下に示すさまざまな食材のさまざまな調理実施例として選定した。選定理由を簡単に説明しておく。
(1)油を使用するてんぷらや揚げ物の再加熱調理の一例として、コロッケの再加熱を実施例として選択した。
(2)食材を調理加工して即時に急速冷凍し、その食材を冷凍状態のまま調理する一例として、冷凍コロッケの冷凍包装パックのままの調理例を選択した。
(3)食材を産地で新鮮に加工して即時に急速冷凍し、その食材を冷凍状態のまま調理する一例として、甘塩鮭の切り身の冷凍包装パックのままの調理例を選択した。
(4)餃子・シュウマイ・ハンバーグなど手作りの生の状態からの仕上調理の一例として、手作りシュウマイを実施例として選択した。
(5) 調味料を付着して調理の一例として、鳥のから揚げを実施例として選択した。
(6)味噌汁やスープ調理の一例として、アサリの酒蒸しを実施例として選択した。
(7)じゃがいも・さつまいも・ブロッコリー・大根・かぼちゃなどをブロック状の塊の調理の一例として、じゃがいものポテトサラダの下ごしらえを実施例として選択した。
なお、この実施例には比較例として、本発明の包装体を用いない調理例を加えておく。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に必ずしも限定されることはなく、要旨を逸脱しない範囲での設計変更があっても本発明に含まれる。
実施例1(コロッケの再加熱)
上記の食品加熱調理用包装体(1)を用いて、冷えたコロッケの再加熱を電子レンジにより行った。
スーパーで調理済コロッケ1個50gを購入し、自宅に持ち帰って、上記の包装体に収納し、開口部を折り返えした後、電子レンジで出力700W、加熱時間1分で、加熱調理した。調理後包装袋を約1分そのまま保持した後に、包装体のシール部より開封しても、水蒸気が均一に立ち上る状態が見受けられ、十分な保温効果を維持していることがわかった。また、コロッケから放出された油分は、フィルムの孔を通過し、水分とともに、不織布に吸収されていた。コロッケの余分な油分が吸収されることが確認できてカロリー減少が実感できる一方、衣部分のカラリとした食感も申し分なく、食感はコロッケの揚げたての状態に遜色がなかった。
実施例2(冷凍コロッケ)
食品加熱調理用包装体(1)を用いて、調理済コロッケを冷凍保存パックし、その包装体のまま電子レンジによる加熱調理を行った。
手作りコロッケ1個50gを、油で揚げその後常温まで冷ました後、図6に示すように、食品加熱調理用包装体(1)に収納し、開口部62をヒートシールして食材を封入した後、マイナス20℃の冷凍庫で急速冷凍保存を行った。1時間後に取り出しマイナス5℃の冷凍庫に保存した。その際、マイナス20℃にも関わらず、包装体の表面の不織布に皮膚が吸着したり、あるいは著しい冷たさを感じることはなかった。加えて、食材からの油分や水分が流出して不織布に吸収された様子も見受けられなかった。その状態で24時間保存した後、包装体のまま冷凍庫から取り出し、コロッケが凍った状態のまま陶器皿に載せ、電子レンジで出力700W、加熱時間1分30秒で、加熱調理した。加熱中に、食材から放出される蒸発分の圧力により、包装体が破裂することはなかった。調理後、包装袋を約1分そのまま保持した後に、包装体のシール部より開封しても、水蒸気が均一に立ち上る状態が見受けられ、十分な保温効果を維持していることがわかった。また、コロッケから放出された油分は、ポリプロピレンフィルムの孔を通過し、水分とともに、不織布に吸収されていた。コロッケの余分な油分が吸収されることが確認できてカロリー減少が実感できるとともに、過剰な水分も蒸発して、衣部分のカラリとした食感も申し分なく、食感は手作りコロッケの揚げたての状態に遜色がなかった。
実施例3(冷凍した甘塩鮭)
食品加熱調理用包装体(2)を用いて、採れたての鮭の切り身を甘塩処理してすぐに、この包装体に冷凍保存パックし、その包装体のまま電子レンジによる加熱調理を行った。
産地で採れたての生鮭を甘塩処理した切れ身1切れ(約50g)を、上記の包装体に収納し、開口部をヒートシールして食材を封入した後、マイナス20℃の冷凍庫で急速冷凍保存を行った。1時間後に取り出しマイナス5℃の冷凍庫に保存した。その際、マイナス20℃にも関わらず、包装体の表面となる不織布に皮膚が吸着したり、あるいは著しい冷たさを感じることがなかった。加えて、食材からのドリップや水分が流出して不織布に吸収された様子も見受けられなかった。24時間保存した後、包装体のまま冷凍庫から取り出し、甘塩鮭が凍った状態のまま陶器の皿に載せ、電子レンジで出力700W、加熱時間1分30秒で、加熱調理した。加熱中に、食材から放出される蒸発分の圧力により、包装体が破裂することはなかった。調理後30秒保持したのち、包装袋のシール部より開封すると、水蒸気が均一に立ち上る状態が見受けられ、鮭が均一に加熱されていることが確認できた。加えて、鮭から排出されたドリップ分や過剰な水分は、フィルム11の孔を通過し、不織布に大量に吸収されていた。調理された甘塩鮭は、食べごろに仕上がり、味覚も申し分なかった。
実施例4(手作りシュウマイ)
食品加熱調理用包装体(3)を用いて、生の手作りシュウマイを電子レンジにより加熱調理を行った。
手作りシュウマイ1個12gを生のまま6個を、上記の包装体に収納し、開口部を折り曲げた後、陶器の皿に載せ、電子レンジで出力700W、加熱時間2分で、加熱調理した。調理後包装袋を約1分そのまま保持した後に、包装体のシール部より開封しても、水蒸気が均一に立ち上る状態が見受けられ、十分な保温効果を維持していることがわかった。シュウマイは、全体が適度な水分量を保有した状態まで、蒸しあがり、食べごろに仕上がり、味覚も申し分なかった。
実施例5(鳥のから揚げ)
食品加熱調理用包装体(4)を用いて、鳥のから揚げの電子レンジによる加熱調理を行った。
スーパーで売られている鳥のもも肉を8切れ(合計約200g)と、市販のから揚げ粉20gを、上記の包装体に収納し、開口部を折り曲げた後、もも肉にから揚げ粉が付着するように、袋を反転したり揉みこんだりしてからあげ粉を均一にまぶした。その後、開口部の折り曲げ部を下にして瀬戸物皿に載せ、電子レンジで出力700W、加熱時間3分で、加熱調理した。調理後包装袋のシール部より開封すると、水蒸気が均一に立ち上る状態が見受けられ、鳥のから揚げが出来上がっていた。加えて、鶏肉の表面は、水分が低下してカラっと仕上がっているとともに、鶏肉から排出されたドリップ分や過剰な水分は、ポリプロピレンの多数の孔を通過し、不織布に大量に吸収されていた。調理されたもも肉は、余剰な水分やドリップが放出されているので、食材がカラッとした状態で仕上がり、味覚も申し分なかった。
実施例6(アサリの酒蒸し)
食品加熱調理用包装体(5)を用いて、アサリの酒蒸しの電子レンジによる加熱調理を行った。
スーパーで購入したアサリ200gの砂抜きをし、上記の包装体より一回り小さい陶器の深さ2cmほどの皿に、アサリと市販のアサリ酒蒸し用調理液100gを投入し、包装体の中に当該皿のまま容器を入れ、開口部を皿下に折り返してから、電子レンジで出力700W、加熱時間3分で、加熱調理した。調理後包装袋を約2分そのまま保持した。その後、包装体のシール部に沿って、包装体を取り除くと、アサリはすべてカラが開いており、丁度良い具合に均一に熱が通っており、食すると美味であった。なお、鍋で作った場合と異なり、アサリがお互いにぶつかることもないので、貝殻から分離したものが、全く見当たらなかった。さらに付け加えるならば、鍋の後始末など不要な手間のかからない簡便な調理方法を提供できる。
実施例7(じゃがいもの下ごしらえ)
食品加熱調理用包装体(5)を用いて、ポテトサラダにするために、じゃがいもの下ごしらえを電子レンジにより加熱調理で行った。
スーパーで購入したじゃがいも8個(合計750g)を洗い、乾かした後、個々のじゃがいもの皮を一周するように切れ目を入れてから上記の包装体に収納し、開口部を下にして瀬戸物皿に載せ、電子レンジで出力700W、加熱時間7分で、加熱調理した。調理後、包装袋を約5分そのまま保持した。なお、電子レンジの加熱直後から、保持した5分間のじゃがいもの温度変化を、当該じゃがいもの1個に先端が尖った温度計を包装体を貫きじゃがいもの中心部まで挿入して測定した。5分経過後においても包装体からは水蒸気が緩やかに立上る様子が見受けられ、じゃがいもが十分に保温されていることがわかった。測定したじゃがいもの温度推移であるが、電子レンジ調理直後の温度は92℃であったが、測定開始45秒後には99℃に達した。その後、緩やかに温度が低下したが、92℃に戻るまでに4分が経過していた。本発明の包装体が、食材から蒸発した水蒸気により食材そのものを長時間蒸らすとともに、長時間保温状態を保つことがわかった。5分経過後、包装体から取り出す直前温度も91℃であった。その後、包装袋を反転し、じゃがいもを包装体から取り出し、皮に施した切れ目を利用して皮むきをすると一瞬にして皮を除去できた。全てのじゃがいもの皮をむき終えた後、ボウルの中でじゃがいもをすり潰すと、じゃがいもは中心まで均一に調理されていて、ポテトサラダの下準備が簡単にできた。
従来の鍋を用いて下準備をする手間と比べると著しく簡素な作業となるとともに、熱湯で調理した後のじゃがいも皮剥き作業における手指の熱さを感じることもなくなり、快適であった。さらに、再度同様の条件で、調理後じゃがいもを包装体の中に保存したまま、保温効果を確認したところ、調理後3時間を経過しても、じゃがいもは周辺温度の25℃より15℃も高い40℃以上を維持していた。他の食材の調理後じゃがいもを盛り合わせても、保温効果により他の食材との温度差が生じにくいという利点も見出せた。
比較例1(じゃがいもの下ごしらえ)
本発明の包装体を使用しない場合を評価した。すなわち、スーパーで購入したじゃがいも8個(合計750g)を洗い、乾かした後、半数の4個のじゃがいもには皮を一周するように切れ目を入れてから瀬戸物皿に載せ、電子レンジで出力700W、加熱時間7分で、加熱調理した。調理後、食材を約5分そのまま保持した。なお、電子レンジの加熱直後から、保持した5分間の切れ目をいれていないじゃがいもの温度変化を、当該じゃがいもの1個に先端が尖った温度計をじゃがいもの中心部まで挿入して測定した。5分経過後は、じゃがいもから水蒸気が立上る様子も見受けられず、じゃがいもの水分が欠如していることが見受けられた。測定したじゃがいもの温度推移は、電子レンジ調理直後の温度は90℃であったが、測定開始15秒後は92℃に達した。その後、急激に温度が低下し、90℃に戻るまでに僅か45秒であった。その後も温度低下は急激であり、5分後には80℃まで低下していた。その後、皮に施した切れ目のあるじゃがいもの皮むきをしようとしても皮が乾燥して脆くて、皮むきに時間がかかった。一方、切れ目を入れなかったじゃがいもの皮向きは、さらに時間がかかった。調理後1時間を経過したら、じゃがいもは周辺温度の25℃よりわずか5℃高い30℃まで温度低下していた。
比較例2(じゃがいもの下ごしらえ)
本発明の包装体の代わりに、HDポリエチレンの袋を使用して比較した。すなわち、スーパーで購入したじゃがいも8個(合計750g)を洗い、乾かした後、じゃがいもに個々のじゃがいもの皮を一周するように切れ目を入れてからHDポリエチレン袋に収納し、開口部を下にして瀬戸物皿に載せ、電子レンジで出力700W、加熱時間7分で、加熱調理した。調理後包装袋を約5分そのまま保持した。なお、電子レンジの加熱直後から、保持した5分間のじゃがいもの温度変化を、当該じゃがいもの1個に先端が尖った温度計をHDポリエチレン袋を貫きじゃがいもの中心部まで挿入して測定した。測定したじゃがいもの温度推移であるが、電子レンジ調理直後の温度は92℃であったが、測定開始30秒後には93℃に達した。その後、温度が低下し、92℃に戻るまで僅か1分であった。5分経過後包装体から取り出す直前温度は85℃であった。その後、包装袋を反転し、じゃがいもを包装体から取り出し、皮に施した切れ目を利用して皮むきをしようとしたが、じゃがいもが水分に覆われていて、皮剥きは困難であった。全てのじゃがいもの皮をむき終えた後、ボウルの中でじゃがいもをすり潰すと、じゃがいもの中心部には調理されていない部分が残り、ポテトサラダに使用するに適する状態まで均一に調理できていないことがわかった。
本発明の食品加熱調理用包装体は、電子レンジによる食品の調理、解凍、冷蔵庫にて保存する際の野菜などの食品の包装、冷凍庫にて肉、魚などを保存する際の包装、蒸籠などによる食品の蒸し料理などの電子レンジ調理に用いられるほか、新鮮な食材を封入することにより、冷凍食材、再加熱用の惣菜などの食材を収納、食品輸送用にも可能な包装体として用いることができる。
10:食品加熱調理用シート(シートとしての形態例1)
11:熱可塑性樹脂フィルム
12:不織布および/または紙
13:孔(形態例1)
20:食品加熱調理用シート(シートとしての形態例2)
21:あらかじめ穿孔された熱可塑性樹脂フィルム
22:孔(形態例2)
23:ホットメルト
30:食品加熱調理用包装体(包装体としての形態例1)
31,32,33,41,42,43:周縁部(シール部)
40:食品加熱調理用包装体(包装体としての形態例2)
50:食品加熱調理用包装体(包装体としての形態例3)
51:自立形態保持するための包装体の底部(シール部)
52:自立形態保持するための包装体の側面部(シール部)
60:食材の冷凍パック化する事例
61:調理された食材
62:食材封入後の開口部封鎖シール部

Claims (11)

  1. 少なくとも、片面が多数の微小な孔を有する熱可塑性樹脂フィルム、逆側の片面が不織布および/または紙からなり、かつ総目付が20〜80g/mである食品加熱調理用シートを袋状に形成してなる、食品加熱調理用包装体。
  2. 熱可塑性樹脂フィルムが、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、およびポリアミドフィルムの群から選ばれた少なくとも1種のフィルムである、請求項1記載の食品加熱調理用包装体。
  3. 片面が多数の微小な孔を有する熱可塑性樹脂フィルムは、熱針やピン形状のエンボス加工によりフィルムへの孔開けを行い得られたものであるか、あるいは、当該フィルムに凹凸のエンボス加工を施し、このエンボス加工により多数の裂け目からなる微小な孔が形成されてなる、請求項1または2記載の食品加熱調理用包装体。
  4. 多数の微小な孔を有する熱可塑性樹脂フィルムにおいて、その孔径が0.001〜2.0mm、フィルム面積に占める孔トータルの開孔率が1〜20%である、請求項1〜3いずれかに記載の食品加熱調理用包装体。
  5. 食材に適切な調理時間で電子レンジ調理を施いた後、食材の中心温度が一時上昇するとともに、常温までの温度低下が食材のみの調理に比べて、200%以上長時間保持できる請求項1〜4いずれかに記載の食品加熱調理用包装体。
  6. 不織布が、エアースルー法、エアレイド法、湿式法、スパンボンド法、メルトブロー法、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、スパンレース法、ステッチボンド法、あるいはスチームジェット法により得られる不織布である、請求項1〜4いずれかに記載の食品加熱調理用包装体。
  7. 粉砕法によるパルプを10〜50%混合した不織布である、請求項1〜5いずれか記載の食品加熱調理用包装体。
  8. 熱可塑性樹脂フィルムが包装体の内部側に配置されている、請求項1〜6いずれかに記載の食品加熱調理用包装体。
  9. 食品加熱調理用シートを構成するあらかじめ穿孔された熱可塑性樹脂フィルムと不織布および/または紙とが離隔しており、積層一体化されていないものであり、製袋加工に伴う溶着接合部分のみで接着した、請求項1〜8いずれかに記載の食品加熱調理用包装体。
  10. 食品加熱調理用シートを構成するあらかじめ穿孔された熱可塑性樹脂フィルムと不織布および/または紙とが、ホットメルト法、ヒートシール法、または超音波シール法により、積層一体化されている、請求項1〜8いずれかに記載の食品加熱調理用包装体。
  11. 熱可塑性樹脂フィルムと不織布および/または紙とともに、熱針やピン形状の加熱エンボスにより、穿孔と同時に複合化されたもの、あるいは、エンボス加工により凹凸の噛み合わせを行うことにより、熱可塑性樹脂フィルムに多数の裂け目を生じさせながら積層一体化されているものを、製袋加工してなる、請求項1〜8いずれかに記載の食品加熱調理用包装体。
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