JP2011190604A - 網戸取付け用面ファスナー - Google Patents

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計輔 梅川
Takayoshi Kaiko
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Abstract

【課題】防虫剤や芳香剤等を含有するパッケージ等を強固に網面に簡単に取り付けることができる面ファスナーを提供する。
【解決手段】機能性物体の裏面に取り付けられた面ファスナー(a)と、網戸の網面を挟んで存在するもう一方の面ファスナー(b)を係合させることにより該機能性物体を網面に取り付けるのに用いられる面ファスナーであって、該面ファスナー(a)と(b)のいずれか一方が、フック状係合素子の素子密度8〜24個/cmのフック面ファスナーであることを特徴とする網戸取付け用面ファスナー。
【選択図】図1

Description

本発明は、網戸の表面に、例えば殺虫剤を含むケース等を取り付けて、網戸による虫の侵入阻止とともに、網戸に取り付けた防虫剤により虫が網戸に近づくことを防止するために用いられる面ファスナーおよびそれを用いた取付け方法、または網戸の表面に芳香剤を含むケース等を取り付けて、外部から室内に入ってくる風に芳香を与えるために用いられたり、さらには網戸の網面に装飾を施すための装飾品を取り付けて、網戸に模様を付与するために用いられる等の網戸取付け用面ファスナーおよびそれを用いた取付け方法に関する。
従来より、防虫剤シートを網戸の網面に面ファスナーで取り付けることは公知である(特開2005‐180148号)。この方法は、防虫剤シートの裏面に一方の面ファスナー(例えばループ状係合素子を有する面ファスナー)を貼り付け、これを網戸の網面に押し付け、網面の反対側の面からもう一方の面ファスナー(例えばフック状係合素子を有する面ファスナー)を押し付けて両方の面ファスナーを係合させて防虫剤シートを網戸に取り付けるものである。そして、この公知技術を用いた網戸固定用防虫剤が現在販売されている。
しかしながら、この公知技術の場合には、フック面ファスナーとループ面ファスナーの中間に存在する網目に遮られて、両面ファスナーが十分に近づくことができず、期待したほども係止力が得られず、自然に或いは網戸の開け閉めにより係合が外れて防虫剤シートが脱落するという欠点を有している。具体的には、網面の両面に存在する面ファスナーが係合するためには、一方の係合素子が網戸の網面を貫通して他の面ファスナーの係合素子面まで到達することが必要であるが、従来の一般に市販されている面ファスナーでは網面に遮られて、係合力が発現するに充分な数の係合素子が網面を貫通することが難しく、高い係合力が得られないことが判明した。高い係合力が得られない場合には、重量のある物体を網戸の網面に取り付けることができず、あるいは取り付けたとしても、時間の経過や開け閉め時の振動等により係合が外れて、取り付けた物体が脱落するということが生じる。
特開2005‐180148号公報
本発明は、上記した面ファスナーを用いる公知技術の問題点を解消するものであり、具体的には、面ファスナーのフック状係合素子が容易に網面を貫通して、反対側に存在しているループ面ファスナーのループ状係合素子と強固に係合し、高い係合力が得られるフック面ファスナーおよびそれを用いた取付け方法を提供するものである。
すなわち、本発明は、機能性物体の裏面に取り付けられた面ファスナー(a)と、網戸の網面を挟んで存在するもう一方の面ファスナー(b)を係合させることにより該機能性物体を網面に取り付けるのに用いられる面ファスナーであって、該面ファスナー(a)と(b)のいずれか一方が、フック状係合素子の素子密度8〜24個/cmのフック面ファスナーであることを特徴とする網戸取付け用面ファスナーである。
また本発明は、機能性物体の裏面に面ファスナー(a)を取付け、面ファスナー(a)と、網戸の網面を挟んで存在するもう一方の面ファスナー(b)を係合させることにより機能性物体を網戸の網面に取り付ける方法において、該面ファスナー(a)と(b)のいずれか一方が、フック状係合素子の素子密度8〜24個/cmのフック面ファスナーであることを特徴とする網戸の網面への取付け方法である。
そして、本発明において、好ましくは、フック状係合素子の高さが基布面から0.8〜2.5mmである場合であり、またフック面ファスナーのフック状係合素子が太さ200〜500dtexのモノフィラメントから形成されたものである場合であり、またモノフィラメントがポリエステル系樹脂から構成される場合である。
そして、より好ましくは、フック状係合素子を有する面ファスナーと係合するもう一方の面ファスナーが、マルチフィラメントからなるループ状係合素子を有する面ファスナーであって、ループ状係合素子を構成するマルチフィラメントの一部のフィラメントがループから引き出されたり、切断されたりして、マルチフィラメント束が乱された構造を有している場合である。
さらに、本発明において、好ましくは、網戸に取り付ける機能性物体が防虫剤を含むケースである場合であり、また網戸に取り付ける機能性物体が芳香剤を含むケースである場合であり、また網戸に取り付ける機能性物体が装飾用シートまたは装飾用機器である場合である。
本発明により、取り付ける機能性物体がある程度の重量のあるものであっても簡単かつ強固に網戸の網面に取り付けることができ、さらに取り付ける必要がなくなった場合や取り付けた機能性物体が機能を喪失した場合には速やかに取り外すことができ、しかも取り付けることや取り外すことにより、網戸の網を構成するモノフィラメントを傷つけることがない。
本発明の網戸取付け用面ファスナーを用いて網戸に取り付けた一例の上面図である。 本発明に用いられる好適なループ面ファスナーの一例の模式図である。
次に、図面に基づき本発明を説明する。
図1が、本発明の網戸取付け用面ファスナーを用いて機能性物体を網戸の網面に取り付けた好適な一例の模式図である。図中、1が網戸の網面、2が網戸に取り付けた機能性物体で、例えば防虫剤や芳香剤等を含むケースや装飾用シート等である。そして、3がフック面ファスナーの基布、4がフック状係合素子であり、フック状係合素子は、網戸(1)の網面を貫通して、網面の反対面にフック状係合素子の頭部のフック部が突出している。そして、突出したフック状係合素子と、ループ面ファスナーのループ状係合素子(6)が係合することにより機能性物体(2)が網戸(1)の網面に固定されることとなる。なお、図中、5はループ面ファスナーの基布である。
図1では、機能性物体に取り付ける面ファスナー(a)がフック面ファスナーの場合を記載したが、ループ面ファスナーでも構わない。その場合には、網面の裏面側から取り付ける面ファスナー(b)がフック面ファスナーということになり、このフック面ファスナーのフック状係合素子が網面を貫通し、機能性物体(2)の裏面側に取り付けたループ面ファスナーと係合することにより、機能性物体(2)が網面に取り付けられることとなる。
取付け易さの点からは、機能性物体(2)の裏面に取り付ける面ファスナー(a)がフック面ファスナーの場合である。
図2は、本発明に用いられるループ面ファスナーの好適な例の模式図を示す。通常、ループ面ファスナーは、基布の表面にマルチフィラメントからなるループが形成されており、ループを構成するマルチフィラメントの各フィラメントは、ほぼマルチフィラメントの状態を保った状態で(すなわち束状態を保った状態で)、ほぼ同一のループ高さとループ方向を有している。本発明者等が、本発明に用いるフック面ファスナーを網戸の網面を貫通させた状態で、どのようなループ面ファスナーと係合させた場合に高い係合力が得られるのかについて種々調べたところ、図2に示すように、ループ状係合素子を構成するマルチフィラメントの一部のフィラメントがループから引き出されたり、切断されたりして、マルチフィラメントの束が乱された構造を有しているループ面ファスナーの方が従来の束状態をほぼ保ったままのループ面ファスナーよりも遥かに高い係合力を達成することを見出した。図2は、このような、束状態が乱された、本発明に好適なループ面ファスナーの模式図である。
本発明において、面ファスナーの基布(3)の裏面には、防虫剤や芳香剤またはこれらを含有させたシートや繊維塊、あるいはこれらを内有するボトルや箱体等の機能性物体等(2)が一体化されている。
基布(3)の裏面に上記したような物体(2)を取り付ける方法としては、接着剤、粘着剤、熱融着、縫製等のいずれであってもよい。
取り付ける機能性物体(2)としては、上記した防虫剤や虫忌避剤、芳香剤、消臭剤等を含有させて徐放性を持たせたシートや繊維製品や樹脂製品、またはこれらを内有するボトル、箱体等の他に、室内外を装飾するために用いられる飾り(例えばクリスマスツリーに取り付けるLED電飾のようなもの)等あるいはこれらを模様状に取り付けることができるように面状としたもの、さらに網戸に模様を付与するための模様付きシート(例えばキャラクターグッズの絵や写真)等が挙げられる。
本発明において、最も特徴とするところは、従来一般に用いられているフック面ファスナーと比べて、フック状係合素子の素子密度が著しく低いことである。従来一般に係合力を高めるための一般的な手法として、係合素子密度を高める方法が用いられているが、網戸に取り付ける場合には、係合素子密度を高めても係合力は高まらず、逆に、係合素子密度を従来よりも極端に少なくすることにより係合力が高まるという事実を見出した。
すなわち、本発明において用いるフック面ファスナーのフック状係合素子の係合素子密度は8〜24個/cmである。好ましくは10〜22個/cm、より好ましくは12〜20個/cmの範囲である。係合素子密度が8個/cmより少ない場合には、必要とする係合力が得られず、逆に25個/cmより多い場合にも必要とする係合力が得られない。
また、フック状係合素子の高さとしては、基布面から0.8〜2.5mm、特に1.0〜2.2mmが好ましく、最も好ましくは1.5〜2.0mmである。本発明においてフック状係合素子は基布上に満遍なく均一に存在しているのが好ましい。フック状係合素子の高さが0.8mmより低い場合には、フック状係合素子が網面を貫通し難く、係合力が低くなる。また2.5mmより高い場合には、フック状係合素子が倒れ易くなり好ましくない。
フック状係合素子は、基布上にモノフィラメントのループを形成し、熱処理してループ形状を固定した後、ループを構成する2本の脚部のうちの1本をループの頂部から若干離れた位置で切断することにより形成される。フック状係合素子を構成するモノフィラメントの太さとしては200〜500dtex、特に250〜450dtexが好ましく、500dtexより太い場合にはフック形状の半径が大き過ぎ、好ましくなく、200dtexより細い場合には、フックが倒れ網面を貫通し難く、結果として係合力が低下する。
フック状係合素子を構成するモノフィラメントを形成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ナイロン−6、ナイロン66等の脂肪族ポリアミド類、1,9−ノナンジアミンとテレフタル酸からなる半芳香族ポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類等が挙げられ、なかでもポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等で代表されるポリエステル類が高い係合力が得られることから好ましい。
本発明を構成するフック面ファスナーは、地経糸、フック用モノフィラメント、地緯糸から織物を織ることにより形成される。地経糸および地緯糸を構成する繊維としては、上記フック用モノフィラメントとして記載した樹脂から選ばれる樹脂から製造された太さ100〜400dtex/10〜96フィラメントのマルチフィラメント糸が用いられる。織密度としては地経糸が50〜60本/cm、地緯糸が10〜25本/cmである。
フック用モノフィラメントは、地経糸と平行に地経糸8〜24本に1本の割合で織物に織り込まれる。織組織としては平織が好ましい。例えば、地経糸と平行に打ち込まれたフック用モノフィラメントは地緯糸5本の下と上を交互に沈み浮きしたのち基布の表面にループとして突出し、地経糸2本および地緯糸2本を飛ばして該ループのもう一方の脚部が基布内に沈み、その状態で地経糸と平行に地緯糸5本の下と上を交互に浮き沈みしたのち、基布の表面にループとして突出し、地経糸2本および地緯糸2本を飛ばして元の地経糸間に戻ることを繰り返すような織組織が好ましい。
本発明において、フック面ファスナーの基布の裏面には、フック用係合素子が引き抜かれないようにバックコート樹脂が塗布されていてもよいが、好ましくは地緯糸の一部あるいは全部が熱融着性繊維、好ましくは鞘成分が熱融着性樹脂で芯成分が鞘成分樹脂が熱融着する温度では溶融することなく繊維形態を保っているような芯鞘型複合繊維からなるマルチフィラメント糸を用い、織物形成後に鞘成分樹脂を溶融させて交差する地経糸およびフック用モノフィラメントを融着固定したような織物の場合であり、このような熱融着性繊維を用いた場合には面ファスナーが柔軟となり、網戸に取り付けられた面ファスナーに接触しても柔らかい手触り感が得られる。具体的には、鞘成分が共重合ポリエチレンテレフタレート(例えばイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート)やポリブチレンテレフタレートで、芯成分がポリエチレンテレフタレートホモポリマーからなる場合が挙げられる。基布の目付けとしては200〜300g/cmが好ましい。バックコート剤を用いることなく、熱融着性繊維により面ファスナーを固定する場合には、地経糸、地緯糸、フック用モノフィラメントおよび熱融着性繊維のいずれもが、同一種のポリマーから構成されているのがフック用モノフィラメントの引き抜かれを防ぐ上で好ましく、具体的には、ポリエステル系のポリマーから構成されているのが好ましい。
次に、本発明に用いられるループ面ファスナーとしては、ループ状係合素子密度が30〜120個/cmであるのが好ましい。なお、ここで言うループ状係合素子密度とは、ループ根元が同一の位置から立ち上がっているマルチフィラメントループを1個として数えた数を意味する。係合素子密度が30個/cmより少ない場合には、フックとの係合確率が少なくなり、逆に120個/cmより多い場合にはフックが入り込むループの隙間が小さくなり必要とする係合力が得られない。
また、ループ状係合素子の高さとしては基布面から1.0〜3.5mm、特に1.5〜2.5mmであるのが好ましい。本発明においてループ状係合素子は基布上に満遍なく均一に存在しているのが好ましい。
ループ状係合素子は、マルチフィラメント糸が基布上にループを形成するように基布に織り込むことにより形成される。ループ状係合素子を構成するマルチフィラメントの太さとしては150〜400dtex/5〜20フィラメントのマルチフィラメントが好ましい。前記したように、ループ状係合素子は、ループ状係合素子を構成するマルチフィラメントの一部のフィラメントがループから引き出されたり、切断されたりして、マルチフィラメント束が乱された構造を有しているのが好ましく、このような構造とするためには、従来の、マルチフィラメントからなるループ状係合素子が束状態を保った状態で規則的に並んでいるループ面ファスナーのループ面を針布等で起毛することにより得られる。
ループ状係合素子を構成するマルチフィラメントを形成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ナイロン−6、ナイロン66等の脂肪族ポリアミド類、1,9−ノナンジアミンとテレフタル酸からなる半芳香族ポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類等が挙げられ、なかでもポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類が高い反発を有していることから高い係合力が得られ、好ましい。
本発明を構成するループ面ファスナーは、地経糸、ループ用マルチフィラメント、地緯糸から織物を織ることにより形成される。織組織としては平織が好ましい。地経糸および地緯糸を構成する繊維としては、上記フック用モノフィラメントとして記載した樹脂と同様の樹脂から選ばれる。そして、その太さとして、100〜400dtex/10〜96フィラメントのマルチフィラメント糸が用いられる。織密度としては地経糸が50〜60本/cm、地緯糸が10〜25本/cmが好ましい。ループ用マルチフィラメントは地経糸と平行に、通常、地経糸4本に1本の割合で織物に織り込まれる。
本発明において、ループ面ファスナーの基布の裏面には、ループ用係合素子が引き抜かれないようにバックコート樹脂が塗布されていてもよいが、好ましくは、手触り感の点で、地緯糸の一部あるいは全部が上記したような熱融着性繊維である場合である。具体的には、鞘成分が共重合ポリエチレンテレフタレート(例えばイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート)やポリブチレンテレフタレートで、芯成分がポリエチレンテレフタレートホモポリマーからなる場合が挙げられる。バックコート剤を用いることなく、熱融着性繊維により面ファスナーを固定する場合には、地経糸、地緯糸、ループ用マルチフィラメントおよび熱融着性繊維のいずれもが、同一種のポリマーから構成されているのが好ましく、具体的には、ポリエステル系のポリマーから構成されているのが好ましい。ループ面ファスナーの基布の目付けとしては250〜600g/cmが好ましい。
また、本発明に用いられる面ファスナーは、着色されていてもよく、機能性物体を取り付けた裏面側から見た場合に網戸と面ファスナーの色が大きく相違しないような色、例えば黒色や青色、緑色等に着色されているのが好ましく、好ましくは面ファスナーを構成する繊維にこれらの色を発現する着色剤が添加されているのが好ましい。また、必要により、面ファスナーあるいはそれを形成している繊維に紫外線吸収剤、撥水剤、各種安定剤等が添加されていても良い。
本発明で取り付ける対象の網戸に関しては特に限定されないが、現在一般に18〜24メッシュのものが用いられており、本発明は、この範囲の網戸であるならば、いずれに対しても優れた効果(係合力)を発現する。そして、網戸の網目を構成しているモノフィラメントが直径0.25〜0.35mmのものが好適である。モノフィラメントは合成繊維であっても、あるいは金属繊維やガラス繊維の表面を樹脂コートしたものでもよい。一般に経糸織密度と緯糸織密度を同一とした平織構造体が用いられる。
また、網戸に取り付ける際には、雨により濡れることを少しでも軽減するために、室内側に機能性物質を取り付けるのが好ましい。また、外部からの視覚を重視する場合には、室外側に取り付けても構わない。その際には、取り付けたことにより、ガラス戸の開閉が妨げられないように、取付け物の厚さは20mm以内とするのが好ましい。
面ファスナーの面積が大きい場合や機能性物体が小さく軽量である場合には、機能性物体の裏面に1枚の面ファスナーを取り付けることにより機能性物体を網戸に固定することができるが、好ましくは、ひとつの機能性物体に対して2枚以上の面ファスナーを用いてこれらを物体の裏面に距離をおいて2点以上で取り付けるのが好ましい。
そして、本発明において、用いる面ファスナー1枚の大きさとしては2〜100cmが好ましい。
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例
<フック用面ファスナー(1)[比較例品]の製造>
次の地経糸、地緯糸、フック用モノフィラメントを用い、以下の製造方法によりフック用面ファスナー(1)を製造した。
[地経糸]167dtex/48フィラメントからなるポリエチレンテレフタレート製マルチフィラメント糸
[地緯糸]鞘成分がイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートで芯成分がポリエチレンテレフタレートホモポリマーである芯鞘型複合の334dtex/96フィラメントのマルチフィラメント糸
[フック用モノフィラメント]390dtexのポリエチレンテレフタレートからなるモノフィラメント
[製造方法]
地経糸密度:140本/インチ、
地緯糸密度:48本/インチ、
フック用モノフィラメントは地経糸4本に1本の割合となるように地経糸と平行に打込んだ。
織組織:平織
フック用モノフィラメントの織込方法:フック用モノフィラメントは、地緯糸5本の下と上を交互に沈み浮きしたのち基布の表面にループとして突出し、地経糸2本および地緯糸2本を飛ばしてループのもう一方の脚部が基布内に沈み、その状態で地経糸と平行に地緯糸5本の下と上を交互に沈み浮きしたのち、基布の表面にループとして突出し、地経糸2本および地緯糸2本を飛ばして元の地経糸間に戻ることを繰り返す。
上記の方法で得られたフック面ファスナー用織物を温度210℃で1分間熱処理して、ついてフック用フィラメントが形成しているループの頂部から僅かに外れた個所をカットして面ファスナーを作製した。フック用モノフィラメントは地緯糸の融着により基布に充分に固定されている。
面ファスナーの目付:310g/m
フック素子密度:40個/cm
フック素子の高さ:1.8mm
<フック面ファスナー(2)[比較例品]の製造>
上記フック面ファスナー(1)において、フック用モノフィラメントを地経糸32本に1本の割合となるように地経糸と平行に打ち込む以外はフック用面ファスナー(1)の場合と同様にしてフック面ファスナー(2)を製造した。
面ファスナーの目付:250g/m
フック素子密度:6個/cm
フック素子の高さ:1.8mm
<フック面ファスナー(3)[実施例品]の製造>
上記フック面ファスナー(1)において、フック用モノフィラメントを地経糸12本に1本の割合となるように地経糸と平行に打ち込む以外はフック用面ファスナー(1)の場合と同様にしてフック面ファスナー(3)を製造した。
面ファスナーの目付:280g/m
フック素子密度:16個/cm
フック素子の高さ:1.8mm
<フック面ファスナー(4)[実施例品]の製造>
上記フック面ファスナー(1)において、フック用モノフィラメントを地経糸24本に1本の割合となるように地経糸と平行に打ち込む以外はフック用面ファスナー(1)の場合と同様にしてフック面ファスナー(4)を製造した。
面ファスナーの目付:260g/m
フック素子密度:8個/cm
フック素子の高さ:1.8mm
<ループ面ファスナー(1)の製造>
上記フック面ファスナー(1)の製造方法において、フック用モノフィラメントに代えて264dtex/7フィラメントのポリエチレンテレフタレート製マルチフィラメントを用いた以外は同様の方法によりループ面ファスナーを製造した。なお、フック面ファスナーのように、ループ側面をカットせず。
面ファスナーの目付:300g/m
ループ素子密度:40個/cm
ループ素子の平均高さ:2.4mm
<ループ面ファスナー(2)の製造>
上記ループ面ファスナー(1)の製造方法において、ループ用マルチフィラメントを地緯糸2本に1本の割合となるように地経糸と平行に打ち込む以外はループ用面ファスナー(1)の場合と同様にしてループ面ファスナー(2)を製造した。なお、フック面ファスナーのように、ループ側面をカットせず。さらにループ面を針布で擦って起毛した。ループ状係合素子を構成するマルチフィラメントの一部のフィラメントがループから引き出されたり、切断されたりして、マルチフィラメント束が乱された構造を有していた。
面ファスナーの目付:450g/m
ループ素子密度:120個/cm
ループ素子の平均高さ:3.0mm
<網戸を介しての係合力のテスト>
厚み3mm、100mm角の防虫剤入り紙ケースの裏面に両面粘着テープを用いて大きさ10cmの上記フック面ファスナー(1)〜(4)の裏面をそれぞれ取り付けた(総重量約20g)。
この取付具付き防虫剤の裏面のフック面ファスナーのフック状係合素子を3種類の網戸(18メッシュ、20メッシュ、24メッシュ)の網面に貫通させ、貫通させたフック状係合素子に大きさ10cmのループ面ファスナー(1)または(2)を係合させ、防虫剤入り紙ケースを網戸の網面に固定した。
これらの防虫剤入り紙ケースのフック面ファスナーと網面を挟んで係合させたループ面ファスナーとのシアー強度とピール強度を測定した結果、次の表1のとおりであった。
なお、シアー強度およびピール強度は、JIS−L3416に準じて行なった。そして、測定環境条件として20℃×65%RHを採用し、オートグラフ引張速度300mm/分で行なった。
Figure 2011190604
以上の測定結果から、フック面ファスナーのフック状係合素子の数を従来一般的な物より大きく減らした、8〜24個/cmのものが極めて高い係合力を発揮することが分った。さらに、ループ面ファスナーに関しても、表面を起毛したものが、従来のループが束状で整然と存在しているものと比べて高い係合力を発揮していることが確認できた。
一方、網戸を挟んでいない場合には、フック状係合素子密度が従来の40〜60個/cmのものの方が、フック状係合素子密度8〜24個/cmのものと比べて係合力が1.5〜2倍ほど高かった。
そして、これら面ファスナーの係合剥離により防虫剤入り紙ケースを網戸面に取付け・取り外すことを200回繰り返したが、係合力において、大きな低下は見られず、またそれにより網戸構成モノフィラメント糸が傷つけられることもなかった。なお、防虫剤入り紙ケースを取り付けることにより、網戸の目ズレが生じた個所もあったが、取り外すことにより速やかに目ズレは解消した。
特にフック面ファスナーとして、係合素子密度8〜24個/cmのものを用いた場合には、4ヶ月間放置しても、雨、風による脱落或いは開け閉めによる振動による脱落等は全く生じなかった。また、網戸の室内側に存在するガラス戸の開閉にも全く支障がなかった。
1:網戸の網面
2:機能性物体
3:フック面ファスナー基布
4:フック状係合素子
5:ループ面ファスナー基布
6:ループ面ファスナーのループ状係合素子
7:ステム部分

Claims (9)

  1. 機能性物体の裏面に取り付けられた面ファスナー(a)と、網戸の網面を挟んで存在するもう一方の面ファスナー(b)を係合させることにより該機能性物体を網面に取り付けるのに用いられる面ファスナーであって、該面ファスナー(a)と(b)のいずれか一方が、フック状係合素子の素子密度8〜24個/cmのフック面ファスナーであることを特徴とする網戸取付け用面ファスナー。
  2. フック状係合素子の高さが基布面から0.8〜2.5mmである請求項1に記載の網戸取付け用面ファスナー。
  3. フック状係合素子が太さ200〜500dtexのモノフィラメントから形成されたものである請求項1に記載の網戸取付け用面ファスナー。
  4. モノフィラメントがポリエステル系樹脂から構成されている請求項3に記載の網戸取付け用面ファスナー。
  5. フック状係合素子を有する面ファスナーと係合するもう一方の面ファスナーが、マルチフィラメントからなるループ状係合素子を有する面ファスナーであって、ループ状係合素子を構成するマルチフィラメントの一部のフィラメントがループから引き出されたり、切断されたりして、マルチフィラメント束が乱された構造を有している請求項1に記載の網戸取付け用面ファスナー。
  6. 機能性物体の裏面に面ファスナー(a)を取付け、面ファスナー(a)と、網戸の網面を挟んで存在するもう一方の面ファスナー(b)を係合させることにより機能性物体を網戸の網面に取り付ける方法において、該面ファスナー(a)と(b)のいずれか一方が、フック状係合素子の素子密度8〜24個/cmのフック面ファスナーであることを特徴とする機能性物体の網面への取付け方法。
  7. 機能性物体が防虫剤を含むケースである請求項1に記載の網戸取付け用面ファスナー。
  8. 機能性物体が芳香剤を含むケースである請求項1に記載の網戸取付け用面ファスナー。
  9. 機能性物体が装飾用シートまたは装飾用機器である請求項1に記載の網戸取付け用面ファスナー。
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