JP4915406B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真方式の画像形成に使用される静電荷像現像用トナーに関し、特に、フタロシアニン化合物を含有する静電荷像現像用トナーに関する。
静電荷像現像用トナー(以下、簡単にトナーともいう)を用いる電子写真方式によるプリント作成技術は、従来からの文書作成等のモノクロプリントに加え、最近ではフルカラーのプリント物を提供する様になってきた。フルカラー画像形成が可能な装置は、版を起こす手間をかけずに必要枚数分のプリント物を作成するオンデマンド印刷と呼ばれるビジネスを確立し、数百枚単位の小規模プリント発注がメインとなる軽印刷分野で主に利用されている(たとえば、特許文献1参照)。
この様に、印刷工場でトナーによるプリント作成が行われる等、電子写真方式による画像形成を行う場が急速に拡大する状況の中、画像形成環境が多少過酷であっても安定したプリント作成が行える性能がプリンタに求められている。たとえば、印刷工場のプリント作成環境は、オフィスでのプリント作成に比べてはるかに厳しいものといえる。また、急ぎのプリント依頼が飛び込むケースも十分想定され、限られた時間で必要枚数のプリントを作成するにあたり、過酷な環境下でも安定した帯電性能を発現する高性能のトナーが求められている。
この様に、高温高湿環境下や低温低湿環境下といった過酷なプリント作成環境下でも良好な帯電性能、すなわち、電荷発生能と電荷保持能を発現するトナーであれば、過酷なプリント作成環境でも美しい仕上がりのプリント物の作製が安定して行える。また、カラーのカタログや広告等のプリント物を作成するにあたっては、トナーに忠実な色再現性が求められる。フルカラーの画像形成では、イエロー、マゼンタ、シアンの単色のトナー画像を重ね合わせて、あらゆる色調を再現しているが、ベースとなるこれらのトナーの色調を向上させる技術も重要なポイントになる。トナーの色調向上技術としては、たとえば、銅フタロシアニン化合物を用いたトナーの改良技術(たとえば、特許文献2参照)や、カラーグラビア等の写真画像の色再現性向上を目的とするトナー設計の技術(たとえば、特許文献3参照)がある。
特開2005−157314号公報 特開平5−239368号公報 特開2006−63171号公報
上記特許文献に開示されたトナーを用いてプリント作成を行ってみると、オフィスの様に空調設備の整った環境下では、色にごりのない良好な色調のプリント物を作成することができた。しかしながら、高温高湿下や低温低湿下で作成されたプリント物では、良好な色調が得られにくくなる傾向が見られた。これは、環境の影響により安定したトナー帯電が行えなくなり、帯電性の不十分なトナーではスムーズな転写が行えず、所定量のトナーが転写されない結果、トナー画像のカラーバランスがくずれてプリント画質に影響を与えるためと推測される。この様に、高温高湿下や低温低湿下等の過酷な画像形成環境下では、所定量のトナーが転写できなくなって、トナー画像のカラーバランスを良好に維持することが困難になることがあった。この様に、環境の影響を受けて安定した帯電が行えなくなることは、過酷な環境下でカラーのプリント物を作製することの多い印刷工場には不利な条件であった。
本発明は、高温高湿下や低温低湿下の様な環境におかれても、環境の影響を受けずに十分な帯電が行え、かつ、帯電後はスムーズに転写の行えるトナーを提供することを目的とするものである。具体的には、トナーを高温高湿環境下や低温低湿環境下といった環境のもとに長期間おいても、良好な色調を有するカラーのプリント物を作製することが可能なトナーを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題が下記に記載のいずれかの構成により解消されるものであることを見出した。
請求項1に記載の発明は、
『少なくとも樹脂と着色剤とを含有してなるトナーであって、
前記トナーは、
下記一般式(I)で表される化合物と、下記一般式(II)で表される化合物と、を含有してなるものであることを特徴とするトナー。
Figure 0004915406
〔式中、Mは、ケイ素原子(Si)、ゲルマニウム原子(Ge)、スズ原子(Sn)のいずれかの原子を示す。また、Zは、各々独立に、ヒドロキシ基、塩素基、炭素数6乃至18のアリールオキシ基、炭素数1乃至22のアルコキシ基、下記に示す一般式(III)で表される構造の基を示す。さらに、A、A、A及びAは、各々独立に、下記に示す電子吸引性置換基を有してもよい原子団を示す。〕
Figure 0004915406
〔式中、nは0または1以上の整数を示し、Mは、ケイ素原子(Si)、ゲルマニウム原子(Ge)、スズ原子(Sn)のいずれかの原子を示す。また、ZとZは、各々独立に、ヒドロキシ基、塩素基、炭素数6乃至18のアリールオキシ基、炭素数1乃至22のアルコキシ基、下記に示す一般式(III)で表される構造の基を示す。また、Lは酸素原子、または、−O−SiR−O−を示し、Rは、炭素数1乃至4のアルキル基、塩素基、ヒドロキシ基のいずれかを表す。さらに、A、A、A及びAは、各々独立に、下記に示す電子吸引性置換基を有してもよい原子団を示す。〕
Figure 0004915406
〔式中、R、R、Rは炭素数1乃至22のアルキル基、炭素数6乃至18のアリール基、炭素数1乃至22のアルコキシ基、または、炭素数6乃至18のアリールオキシ基を示す。なお、R、R、Rはお互い同じ基であっても、異なる基であってもよい。〕
Figure 0004915406
』というものである。
請求項2に記載の発明は、『前記一般式(I)で表される化合物と前記一般式(II)で表される化合物の質量比が85:15乃至50:50であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。』というものである。
請求項3に記載の発明は、『前記一般式(I)で表される化合物と、前記一般式(II)で表される化合物を構成するMが、ケイ素原子(Si)であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。』というものである。
本発明では、フタロシアニン環を1つ有する構造の化合物とフタロシアニン環を2つ以上有する構造の化合物を含有するトナーを用いることにより、高温高湿下や低温低湿下におかれても所定の色調を有するカラーのプリント物を提供できる様になった。この様に、本発明に係るトナーによれば、高温高湿環境や低温低湿環境の下に長期間おかれることがあっても、良好な色調のプリント物を安定して作製できる。
したがって、画像形成環境がオフィスに比べてはるかに厳しいとされる印刷工場でも良好な色調のプリント物を安定して作製することができる様になった。また、印刷工場におかれては、これまで版を起こして作製していたカラーのグラビア写真等も、版起こしの手間をかけずに作製できる様になり、良好な色調を有するカラー写真の入りプリント物をオンデマンドに提供できる様になった。
本発明に係るトナーは、フタロシアニン環が1つ存在する化合物と2つ以上のフタロシアニン環が存在する化合物とを含有してなるものである。
本発明では、フタロシアニン環が1つ存在する化合物と、複数のフタロシアニン環が存在する化合物とをトナー中に含有させることにより、高温高湿下や低温低湿下でも安定した帯電性能を発現することができる様になった。また、トナーの帯電性と転写性を向上させることができる様になり、画像形成が行える様になった。本発明に係るトナーにより、画像形成環境の影響を受けずに安定した帯電性能を発現できる様になった理由は、おそらく、トナー中で電荷発生能と電荷保持能、及び、電気抵抗の3つの因子がバランスよく発現できる様になったためと推測される。
上述の電荷発生能と電荷保持能、及び、電気抵抗の3つの因子がバランスよく発現する状態は、おそらく、トナー粒子中に含有されるフタロシアニン化合物の配列がこれを実現しているものと考えられる。すなわち、トナー粒子中でフタロシアニン化合物がコンデンサの様に電荷を蓄積し易い状態に配列しているものと考えられる。つまり、フタロシアニン化合物を構成する原子や置換基等の作用でフタロシアニン環の架橋構造が形成されて、フタロシアニン環が規則的に配列するものと考えられる。ちょうど、ジュークボックスに整然と収納されたレコードの様に、フタロシアニン環がトナー粒子中で平行に配列し、平行に配列したフタロシアニン環の間に電荷が蓄積してコンデンサの様に作用するものと推測される。
また、フタロシアニン環が規則的に配列する構造をとることで、各トナー粒子の抵抗値が揃ってくる傾向が見られ、これは、フタロシアニン環の配列構造の間に蓄積した電荷の移動が各トナー粒子で同じ様な移動の仕方をするためと推測される。この様に、フタロシアニン環が規則的に配列してトナーの静電容量と抵抗値がバランスよく制御されることにより、電荷の蓄積が短時間で行え、蓄積した電荷がトナー外に効率よく移動する様になったので、安定した帯電性能が発現される様になったものと考えられる。さらに、トナー中にフタロシアニン環を2つ以上有する多量体が存在することで、フタロシアニン環が多い分だけ規則的に配列し易くなり、帯電性能の安定化を促進させるものと推測される。
また、本発明は、フタロシアニン化合物がトナー帯電時の摩擦の作用により電荷発生を行えるものであることを初めて見出した発明ともいえる。すなわち、フタロシアニン化合物は、感光体に使用している時に光照射により電荷を発生させることは知られていたが、光照射とは全く異なる方法である摩擦の作用により電荷の発生が行えることを今回初めて見出したのである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係るトナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含有してなり、単量体化合物である下記一般式(I)で表される化合物と、多量体化合物である下記一般式(II)で表される化合物と、を含有するものである。
Figure 0004915406
Figure 0004915406
上記一般式(1)と(2)中のMは、中心原子と呼ばれるフタロシアニン環に配位した原子で、ケイ素原子(Si)、ゲルマニウム原子(Ge)、スズ原子(Sn)のいずれかの原子がフタロシアニン環と配位するものである。また、一般式(II)で表される化合物は少なくとも2つ以上のフタロシアニン環を有するものであり、式中のnが0または1以上の整数を表すものである。
式中のZ、Z及びZは、置換基で、各々独立に、ヒドロキシ基、塩素基、炭素数6乃至18のアリールオキシ基、炭素数1乃至22のアルコキシ基、下記に示す一般式(III)で表される構造の基を示す。一般式(II)中のLも置換基で、酸素原子、または、−O−SiR−O−を示し、Rは、炭素数1乃至4のアルキル基、塩素基、ヒドロキシ基のいずれかを表す。
Figure 0004915406
さらに、A、A、A及びAは、各々独立に、下記に示す電子吸引性置換基を有してもよい原子団を示すものである。
Figure 0004915406
一般式(I)及び(II)で表される化合物は、上記に示す様に、Mで表される中心原子と呼ばれる原子と、Z(Z、Z)やLで表される置換基とが結合してなる構造を有するものである。
一般式(I)及び(II)で表される化合物を構成する中心原子Mは、ケイ素原子(Si)、ゲルマニウム原子(Ge)、スズ原子(Sn)のいずれかであるが、本発明ではケイ素原子(Si)を用いたものが好ましい。
また、一般式(I)及び(II)で表される化合物を構成するZで表される置換基は、前述した基の中でも一般式(III)で表される基が好ましい。そして、一般式(III)で表される基中のR、R及びRは、炭素数1乃至6のアルキル基、アリール基、アルコキシ基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基が特に好ましい。R、R、Rはお互い同じ基であっても、異なる基であってもよい。また、Lで表される置換基は、前述した基の中でも酸素原子が特に好ましい。
さらに、一般式(I)及び(II)で表される化合物を構成するA、A、A及びAは、前述した原子団が挙げられるが、その中でもベンゼン環が好ましい。また、原子団に結合する電子吸引性置換基としては、たとえば、塩素基(−Cl)や塩ハロゲン化メチル基(−CClX)、トリフルオロメチル基(−CF)、ニトロ基(−NO)、スルホン酸基(−SOH)等が挙げられる。
ここで、一般式(I)で表される化合物の具体例を表1、表2、表3に示すが、本発明で使用可能な一般式(I)で表される化合物は表1、表2、表3に示すもののみに限定されるものではない。
Figure 0004915406
Figure 0004915406
Figure 0004915406
次に、一般式(II)で表される化合物の具体例を以下に示すが、本発明で使用可能な一般式(II)で表される化合物はこれらのみに限定されるものではない。先ず、下記式で表されるフタロシアニン環が2つ存在する化合物の具体例を表4、表5、表6に示す。なお、フタロシアニン環が2つ存在する化合物は、前述の一般式(II)でnの値が0となる場合である。
Figure 0004915406
Figure 0004915406
Figure 0004915406
Figure 0004915406
また、フタロシアニン環が3つ存在する化合物の具体例としては以下のものが挙げられる。なお、フタロシアニン環が3つ存在する化合物は、下記化合物のみに限定されるものではない。
Figure 0004915406
Figure 0004915406
Figure 0004915406
Figure 0004915406
また、本発明に係るトナーは、上記一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物の質量比を、一般式(I):一般式(II)=85:15乃至50:50の範囲とすることが好ましく、本発明の効果をより発現される様になる。これは、一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物の質量比が上記範囲の時、トナー製造時にフタロシアニン環の平行配列がむりなく形成され、フタロシアニン環の配向が行い易くなるためと考えられる。
一般式(I)及び一般式(II)で表される化合物の質量比を、一般式(I):一般式(II)=85:15乃至50:50の範囲とすることで本発明の効果が発現されるが、一般式(I):一般式(II)=75:25乃至60:40の時により好ましい。
次に、上記一般式(I)で表される化合物、一般式(II)で表される化合物は、たとえば、以下の文献に開示された公知の方法により作製することが可能である。先ず、一般式(I)で表されるテトラアザポルフィン系化合物(置換基を有するフタロシアニン化合物)の製造方法は、たとえば、以下の特許明細書に記載された内容から参照することができる。米国特許第5428152号、同第4927735号、同第5021563号、同第5219706号、同第5034309号、同5284943号、同5075203号、同5484685号、同5039600号、同5438135号、同5665875号等。
また、一般式(II)で表されるフタロシアニン環が2つ存在する化合物の製造方法は、たとえば、特開平10−158534号公報で紹介されているジクロロシリコンフタロシアニン化合物を用いた作製方法が挙げられる。たとえば、前記特許文献には次の手順で一般式(II)で表される化合物の1つである2量化ジヒドロキシシリコンフタロシアニン化合物を作製する、1984年にE.Ciliberto等がJ.Am、Chem.Soc.誌に発表した方法が開示されている。先ず、1,3−ジイミノイソインドリンまたはフタロジニトリルと四塩化ケイ素を溶媒中で加熱後、反応生成物をろ過、洗浄、精製してジクロロシリコンフタロシアニンを生成する。これをアルカリ処理してジヒドロキシシリコンフタロシアニン化合物とし、キノリン等の高沸点溶剤中で加熱処理を行った後、さらにアルカリ処理を行うことで2量化ジヒドロキシシリコンフタロシアニン化合物が得られる。また、ジクロロシリコンフタロシアニン化合物をN−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の親水性極性溶媒で加熱し、アルカリ処理する工程を経て作製する方法もある。
次に、本発明に係るトナーの粒径等について説明する。
本発明に係るトナーは、体積基準におけるメディアン径(D50v)を3μm以上8μm以下とすることが好ましい。体積基準メディアン径を上記範囲とすることにより、たとえば、1200dpi(dpi;1インチ(2.54cm)あたりのドット数)レベルの非常に微小なドット画像を忠実に再現することも可能である。
本発明に係るトナーでは、体積基準メディアン径を上記範囲にすることにより、微小なドット画像をより忠実に形成することができる様になる。その結果、従来技術では版を起こして画像形成を行う印刷技術でしか得られなかった写真画像の様な高精細画像も作成できる様になった。特に、オンデマンド印刷と呼ばれる数百部から数千部レベルのプリント注文を受けるビジネスでは、高精細な写真画像の入った高画質画像を版を起こさずに作成することができるので、ユーザからのプリント注文に迅速に対応することができる。
なお、トナーの体積基準メディアン径(D50v径)は、マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピュータシステムを接続した装置を用いて測定、算出することができる。
測定手順としては、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20ml(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作製する。このトナー分散液を、サンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度5〜10%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを2500個に設定して測定する。なお、マルチサイザー3のアパチャー径は50μmのものを使用する。
本発明に係るトナーは、その体積基準の粒度分布における変動係数(CV値)が2%以上21%以下のものが好ましく、5%以上15%以下のものがより好ましい。
体積基準の粒度分布における変動係数(CV値)は、トナー粒子の粒度分布における分散度を体積基準で表したもので、以下の式によって定義される。
CV値(%)=〔(体積粒度分布における標準偏差)/(体積粒度分布におけるメディアン径(D50v))〕×100
このCV値の値が小さい程、粒度分布がシャープであることを示し、それだけトナー粒子の大きさがそろっていることを意味する。すなわち、大きさの揃ったトナーが得られることになるので、デジタル画像形成で求められる微細なドット画像や細線をより高精度に再現することが可能である。また、写真画像をプリントするにあたり、大きさの揃った小径トナーを用いることにより、印刷インクで作製された画像レベルあるいはそれ以上の高画質の写真画像を作成することができる。
本発明に係るトナーは、その軟化点温度(Tsp)が70℃以上110℃以下となるものが好ましく、70℃以上100℃以下となるものがより好ましい。本発明に係るトナーに使用される着色剤は、熱の影響を受けてもスペクトルが変化することのない安定した性質を有するものであるが、軟化点を前記範囲とすることで定着時にトナーに加わる熱の影響をより低減させることができる。したがって、着色剤に負担をかけずに画像形成が行えるので、より広く安定した色再現性を発現させることが期待される。
また、トナーの軟化点を前記範囲とすることにより、従来技術よりも低い温度でトナー画像定着が行える様になり、電力消費の低減を実現した環境に優しい画像形成を可能にする。
なお、トナーの軟化点は、たとえば、以下の方法を単独で、あるいは、組み合わせることにより制御が可能である。すなわち、
(1)樹脂形成に用いる単量体の種類や組成比を調節する。
(2)連鎖移動剤の種類や添加量により樹脂の分子量を調節する。
(3)ワックス等の種類や添加量を調節する。
また、トナーの軟化点温度の測定方法は、具体的には「フローテスターCFT−500(島津製作所社製)」を用い、高さ10mmの円柱形状に成形し、昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーより1.96×10Paの圧力を加え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出すようにし、これにより当該フローテスターのプランジャー降下量−温度間の曲線(軟化流動曲線)を描き、最初に流出する温度を溶融開始温度、降下量5mmに対する温度を軟化点温度とするものが挙げられる。
次に、本発明に係るトナーの製造方法について説明する。
本発明に係るトナーは、少なくとも樹脂と着色剤を含有してなる粒子(以下、着色粒子ともいう)より構成されるものである。本発明に係るトナーを構成する着色粒子は、特に限定されるものではなく、従来のトナー製造方法により作製することが可能である。すなわち、混練、粉砕、分級工程を経てトナーを作製するいわゆる粉砕法によるトナー製造方法や、重合性単量体を重合させ、同時に、形状や大きさを制御しながら粒子形成を行ういわゆる重合トナーの製造方法(たとえば、乳化重合法、懸濁重合法、ポリエステル伸長法等)を適用することにより作製可能である。
なお、粉砕法により本発明に係るトナーを製造する場合、混練物の温度を130℃以下に維持した状態で作製を行うことが好ましい。これは、混練物に加える温度が130℃を超えると、混練物に加えられた熱の作用で混練物中における着色剤の凝集状態に変動を来し均一な凝集状態を維持できなくなるおそれがあるためである。仮に、凝集状態にバラツキが発生すると、作製されたトナーの色調にバラツキが生じることになり、色濁りの原因となることが懸念される。
次に、本発明に係るトナーを構成する樹脂やワックス等について、具体例を挙げて説明する。
先ず、本発明に係るトナーに使用可能な樹脂は、特に限定されるものではないが、下記に記載されるビニル系単量体と呼ばれる重合性単量体を重合して形成される重合体がその代表的なものである。また、本発明で使用可能な樹脂を構成する重合体は、少なくとも1種の重合性単量体を重合して得られる重合体を構成成分とするものであり、これらビニル系単量体を単独あるいは複数種類組み合わせて作製した重合体である。
以下に、ビニル系の重合性単量体の具体例を示す。
(1)スチレンあるいはスチレン誘導体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等
(2)メタクリル酸エステル誘導体
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等
(3)アクリル酸エステル誘導体
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等
(4)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレン等
(5)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(6)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(7)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(8)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(9)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体等
また、本発明に係るトナーに使用可能な樹脂を構成するビニル系の重合性単量体には、以下に示すイオン性解離基を有するものも使用可能である。たとえば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の官能基を単量体の側鎖に有するものが挙げられ、具体的には、以下のものが挙げられる。
先ず、カルボキシル基を有するものとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等が挙げられる。また、スルフォン酸基を有するものとしては、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸等が挙げられ、リン酸基を有するものとしてはアシドホスホオキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
また、以下に示す多官能性ビニル類を使用することにより、架橋構造の樹脂を作製することも可能である。以下に、多官能性ビニル類の具体例を示す。すなわち、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等がある。
次に、本発明に係るトナーに使用可能なワックスとしては、以下に示す様な公知のものが挙げられる。
(1)ポリオレフィン系ワックス
ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等
(2)長鎖炭化水素系ワックス
パラフィンワックス、サゾールワックス等
(3)ジアルキルケトン系ワックス
ジステアリルケトン等
(4)エステル系ワックス
カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等
(5)アミド系ワックス
エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等
ワックスの融点は、通常40〜125℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点を上記範囲内にすることにより、トナーの耐熱保存性が確保されるとともに、低温で定着を行う場合でもコールドオフセットなどを起こさずに安定したトナー画像形成が行える。また、トナー中のワックス含有量は、1質量%〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは5質量%〜20質量%である。
次に、本発明に係るトナーは、その製造工程で外部添加剤(=外添剤)として数平均一次粒径が4〜800nmの無機微粒子や有機微粒子等の粒子を添加して、トナー作製されることが可能である。
外添剤の添加により、トナーの流動性や帯電性が改良され、また、クリーニング性の向上等が実現される。外添剤の種類は特に限定されるものではなく、たとえば、以下に挙げる無機微粒子や有機微粒子、及び、滑剤が挙げられる。
無機微粒子としては、従来公知のものを使用することが可能で、たとえば、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸ストロンチウム微粒子等が好ましいものとして挙げられる。また、必要に応じてこれらの無機微粒子を疎水化処理したものも使用可能である。
シリカ微粒子の具体例としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
チタニア微粒子としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
アルミナ微粒子としては、たとえば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
また、有機微粒子としては数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することができる。具体的には、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体を使用することができる。
また、クリーニング性や転写性をさらに向上させるために滑剤を使用することも可能であり、たとえば、以下の様な高級脂肪酸の金属塩が挙げられる。すなわち、ステアリン酸の亜鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウム等の塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウム等の塩、リノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウム等の塩が挙げられる。
これら外添剤や滑剤の添加量は、トナー全体に対して0.1〜10.0質量%が好ましい。また、外添剤や滑剤の添加方法としては、タービュラーミキサ、ヘンシェルミキサ、ナウターミキサ、V型混合機などの種々の公知の混合装置を使用して添加する方法が挙げられる。
本発明に係るトナーは、キャリアとトナーより構成される二成分現像剤として、また、トナーのみから構成される非磁性一成分現像剤として使用することが可能である。
本発明に係るトナーを二成分現像剤として使用する場合、たとえば、後述するタンデム方式の画像形成装置を用いて、高速でのフルカラープリント作成が可能である。また、トナーを構成する樹脂やワックスを選択することにより、定着時の紙温度が100℃程度のいわゆる低温定着対応のフルカラープリントの作製も可能である。
また、二成分現像剤として使用する際に用いられる磁性粒子であるキャリアは、たとえば、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を使用することが可能である。これらの中ではフェライト粒子が好ましい。キャリアの体積平均粒径は15〜100μmのものが好ましく、25〜80μmのものがより好ましい。
また、キャリアを使用せずに画像形成を行う非磁性一成分現像剤として使用する場合、画像形成時にトナーは帯電部材や現像ローラ面に摺擦、押圧して帯電が行われる。非磁性一成分現像方式による画像形成は、現像装置の構造を簡略化できるので、画像形成装置全体をコンパクト化できるメリットがある。したがって、本発明に係るトナーを非磁性一成分現像剤として使用することにより、コンパクトなカラープリンタを過酷な高温高湿環境下や低温低湿環境下に設けてもプリント作製を安定して行うことができる。たとえば、温湿度の面で画像形成環境が厳しいとされる印刷工場の限られたスペースの中で良好なプリント作製が行える。
次に、本発明に係るトナーを用いた画像形成方法について説明する。最初に、本発明に係るトナーを二成分系現像剤として用いる場合の画像形成方法について説明する。
図1は、本発明に係るトナーを二成分系現像剤とした時に使用可能な画像形成装置の一例を示す概略図である。
図1において、1Y、1M、1C、1Kは感光体、4Y、4M、4C、4Kは現像装置、5Y、5M、5C、5Kは1次転写手段としての1次転写ロール、5Aは2次転写手段としての2次転写ロール、6Y、6M、6C、6Kはクリーニング装置、7は中間転写体ユニット、24は熱ロール式定着装置、70は中間転写体を示す。
この画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、転写部としての無端ベルト状中間転写体ユニット7と、記録部材Pを搬送する無端ベルト状の給紙搬送手段21及び定着手段としての熱ロール式定着装置24とを有する。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
各感光体に形成される異なる色のトナー像の1つとして、イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1Y、該感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、1次転写手段としての1次転写ロール5Y、クリーニング手段6Yを有する。また、別の異なる色のトナー像の1つとして、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1M、該感光体1Mの周囲に配置された帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、1次転写手段としての1次転写ロール5M、クリーニング手段6Mを有する。また、更に別の異なる色のトナー像の1つとして、シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1C、該感光体1Cの周囲に配置された帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、1次転写手段としての1次転写ロール5C、クリーニング手段6Cを有する。また、更に他の異なる色のトナー像の1つとして、黒色画像を形成する画像形成部10Kは、第1の感光体としてのドラム状の感光体1K、該感光体1Kの周囲に配置された帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、1次転写手段としての1次転写ロール5K、クリーニング手段6Kを有する。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のロールにより巻回され、回動可能に支持された中間転写エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Kより形成された各色の画像は、1次転写ロール5Y、5M、5C、5Kにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材として用紙等の記録部材Pは、給紙搬送手段21により給紙され、複数の中間ロール22A、22B、22C、22D、レジストロール23を経て、2次転写手段としての2次転写ロール5Aに搬送され、記録部材P上にカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された記録部材Pは、熱ロール式定着装置24により定着処理され、排紙ロール25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
一方、2次転写ロール5Aにより記録部材Pにカラー画像を転写した後、記録部材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、1次転写ロール5Kは常時、感光体1Kに圧接している。他の1次転写ロール5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに圧接する。
2次転写ロール5Aは、ここを記録部材Pが通過して2次転写が行われるときにのみ、無端ベルト状中間転写体70に圧接する。
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とを有する。
画像形成部10Y、10M、10C、10Kは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Kの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ロール71、72、73、74、76を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、1次転写ロール5Y、5M、5C、5K及びクリーニング手段6Aとからなる。
筐体8の引き出し操作により、画像形成部10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とは、一体となって、本体Aから引き出される。
このように感光体1Y、1M、1C、1K上に帯電、露光、現像によりトナー像を形成し、無端ベルト状中間転写体70上で各色のトナー像を重ね合わせ、一括して記録部材Pに転写し、定着装置24で加圧及び加熱により固定して定着する。トナー像を記録部材Pに転移させた後の感光体1Y、1M、1C、1Kは、クリーニング装置6Aで転写時に感光体に残されたトナーを清掃した後、上記の帯電、露光、現像のサイクルに入り、次の像形成が行われる。
次に、本発明に係るトナーを非磁性一成分系現像剤として用いた場合の画像形成方法について説明する。図2は、非磁性一成分系現像剤を使用するフルカラー画像形成装置の一例である。なお、図2に示す画像形成装置100は、前述の現像装置20が搭載可能な画像形成装置の代表的なものである。図2の画像形成装置は、回転駆動される静電潜像担持体(以下、感光体ドラムともいう)1の周囲に、感光体ドラム1表面を所定電位に均一帯電させる帯電ブラシ2、感光体ドラム1上の残留トナーを除去するクリーナ6が設けられている。
レーザ走査光学系3は、帯電ブラシ2により均一帯電された感光体ドラム1上を走査露光し、感光体ドラム1上に静電潜像を形成する。レーザ走査光学系3は、レーザダイオード、ポリゴンミラー、fθ光学素子を内蔵し、その制御部にはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック毎の印字データがホストコンピュータから転送される。そして、上記各色毎の印字データに基づいて、レーザビームが順次出力され、感光体ドラム1上を走査露光して、各色毎の静電潜像を形成する。
現像装置4を収納する現像装置ユニット40は、静電潜像が形成された感光体ドラム1に各色トナーを供給して現像を行う。現像装置ユニット40には、支軸33の周囲にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各非磁性1成分トナーをそれぞれ収納した4つの現像装置4Y、4M、4C、4Bkが装着され、支軸33を中心に回転して、各現像装置4が感光体ドラム1と対向する位置に導かれる。
現像装置ユニット40は、レーザ走査光学系3により感光体ドラム1上に各色の静電潜像が形成される毎に、支軸33を中心に回転し、対応する色のトナーを収容した現像装置4を感光体ドラム1に対向する位置に導く。そして、各現像装置4Y、4M、4C、4Bkより感光体ドラム1上に、帯電された各色トナーを順次供給して現像を行う。
図2の画像形成装置は、現像装置ユニット40より感光体ドラム1の回転方向下流側に無端状の中間転写ベルト7が設けられ、感光体ドラム1と同期して回転駆動する。中間転写ベルト7は、1次転写ローラ5により押圧された部位で感光体ドラム1と接触し、感光体ドラム1上に形成されたトナー画像を転写する。また、中間転写ベルト7を支持する支持ローラ72と対向して、2次転写ローラ73が回転可能に設けられ、支持ローラ72と2次転写ローラ73との対向する部位で、中間転写ベルト7上のトナー画像が記録紙等の記録材P上に押圧転写される。
なお、フルカラー現像装置ユニット40と中間転写ベルト7との間には、中間転写ベルト7上の残留トナーを除去するクリーナ8が中間転写ベルト7に対して接離可能に設けられている。
記録部材Pを中間転写ベルト7に導く給紙手段60は、記録材Pを収容する給紙トレイ61と、給紙トレイ61に収容した記録材Pを1枚ずつ給紙する給紙ローラ62、給紙した記録材Pを2次転写部位に送るタイミングローラ63より構成される。
トナー画像が押圧転写された記録部材Pは、エアーサクションベルト等で構成された搬送手段66により定着装置24に搬送され、定着装置24で転写されたトナー画像が記録材P上に定着される。定着後、記録材Pは垂直搬送路80を搬送され、装置本体100の上面に排出される。
本発明に係るトナーは、従来技術における定着時の加熱温度でトナー中の着色剤の結晶構造に変動を来すものではなく、公知の定着装置であれば安定した色再現性を有するトナー画像が得られる。ところで、近年では地球環境への配慮等の視点から画像形成装置のエネルギー消費量を低減化させる動きがある。その中でも定着工程におけるエネルギー消費量の低減化が注目され、現状の定着温度よりも低い温度でトナー画像を定着するいわゆる低温定着対応の技術が採り入れられる様になっている。
すなわち、本発明に係るトナーを低温定着対応のトナーとした時には、定着装置における加熱部材の表面温度を140℃未満に設定することが好ましく、さらに、加熱部材の表面温度を130℃未満に設定することがより好ましくなる。
上記設定温度下では、加熱部材から供給される熱を転写シートに効率よく供給することが求められ、加熱部材あるいは加圧部材のいずれか一方に耐熱性のベルトを用いたいわゆるベルト定着と呼ばれる定着方法が好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
1.トナー1〜28の作製
1−1.トナー1(混練・粉砕法によるトナー)の作製
下記化合物をヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)に投入し、撹拌羽の周速を25m/秒に設定して5分間混合処理して混合物とした。
ポリエステル樹脂 100質量部
(ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物、テレフタル酸、トリメリット酸の縮合物 重量平均分子量20,000)
化合物I−3 1.4質量部
化合物II−2 0.3質量部
化合物II−56 0.3質量部
ペンタエリスリトールテトラステアレート(ワックス) 6質量部
ジベンジル酸ホウ素(荷電制御剤) 1質量部
混合物を二軸押出混練機で混練し、次いで、ハンマーミルで粗粉砕した後、ターボミル粉砕機(ターボ工業社製)で粉砕処理し、さらに、コアンダ効果を利用した気流分級機で微粉分級処理を行って、体積基準メディアン径が5.5μmの着色粒子を得た。
次に、上記着色粒子に下記外添剤を添加して、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)にて外添処理を行い、「トナー1」を作製した。
ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm)0.6質量部
n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径24nm)
0.8質量部
なお、ヘンシェルミキサによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。
1−2.トナー2〜28(現像剤2〜28)(乳化会合法によるトナー)の作製
(1)化合物微粒子分散液の調製
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部をイオン交換水160質量部に投入し、溶解、撹拌して界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液中に、
化合物I−3 1.7質量部
化合物II−2 0.2質量部
化合物II−56 0.1質量部
を徐々に添加し、「クリアミックスWモーションCLM−0.8(エムテクニック社製)」を用いて分散処理を行い、「化合物微粒子分散液1」(一般式(I):一般式(II)=85:15)を調製した。「化合物微粒子分散液1」を構成する「化合物微粒子1」の体積基準メディアン径は98nmであった。なお、体積基準メディアン径は、「MICROTRAC UPA−150(HONEYWELL社製)」を用い、下記測定条件下で測定したものである。
サンプル屈折率 1.59
サンプル比重 1.05 (球状粒子換算)
溶媒屈折率 1.33
溶媒粘度 0.797(30℃)、1.002(20℃)
0点調整 測定セルにイオン交換水を投入し調製した。
次に、上記化合物I−3、II−2、II−56の添加量を下記の様に変更し、あるいはI−3に代えてI−4を用いる等の対応をした他は上記「化合物微粒子分散液1」を調製した時と同様の手順で「化合物微粒子分散液2〜7」を調製した。すなわち、
「化合物微粒子分散液2」
化合物I−3 1.4質量部
化合物II−2 0.3質量部
化合物II−56 0.3質量部
「化合物微粒子分散液3」
化合物I−3 1.2質量部
化合物II−2 0.6質量部
化合物II−56 0.2質量部
「化合物微粒子分散液4」
化合物I−4 1.5質量部
化合物II−2 0.5質量部
「化合物微粒子分散液5」
化合物I−3 1.0質量部
化合物II−2 0.7質量部
化合物II−56 0.3質量部
「化合物微粒子分散液6」
化合物I−3 1.8質量部
化合物II−2 0.1質量部
化合物II−56 0.1質量部
「化合物微粒子分散液7」
化合物I−3 0.8質量部
化合物II−2 0.6質量部
化合物II−56 0.6質量部
「化合物微粒子分散液2〜7」を構成する各化合物微粒子の体積基準メディアン径は、「化合物微粒子1」と同様に98nmであった。
次に、一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物を以下の様に変更した他は、上記「化合物微粒子分散液1」と同様の手順で「化合物微粒子分散液8〜24」を調整した。
「化合物微粒子分散液8」
化合物I−2 1.4質量部
化合物II−25 0.3質量部
化合物II−55 0.3質量部
「化合物微粒子分散液9」
化合物I−6 1.7質量部
化合物II−26 0.3質量部
「化合物微粒子分散液10」
化合物I−23 1.4質量部
化合物II−16 0.6質量部
「化合物微粒子分散液11」
化合物I−27 1.7質量部
化合物II−18 0.3質量部
「化合物微粒子分散液12」
化合物I−18 1.7質量部
化合物II−19 0.2質量部
化合物II−51 0.1質量部
「化合物微粒子分散液13」
化合物I−22 1.7質量部
化合物II−21 0.3質量部
「化合物微粒子分散液14」
化合物I−1 1.7質量部
化合物II−3 0.2質量部
化合物II−54 0.1質量部
「化合物微粒子分散液15」
化合物I−14 1.2質量部
化合物II−11 0.8質量部
「化合物微粒子分散液16」
化合物I−13 1.7質量部
化合物II−9 0.3質量部
「化合物微粒子分散液17」
化合物I−16 1.7質量部
化合物II−14 0.3質量部
「化合物微粒子分散液18」
化合物I−28 1.7質量部
化合物II−13 0.3質量部
「化合物微粒子分散液19」
化合物I−29 1.7質量部
化合物II−15 0.3質量部
「化合物微粒子分散液20」
化合物I−30 1.2質量部
化合物II−30 0.5質量部
化合物II−53 0.3質量部
「化合物微粒子分散液21」
化合物I−8 1.2質量部
化合物II−4 0.8質量部
「化合物微粒子分散液22」
化合物I−38 1.7質量部
化合物II−37 0.3質量部
「化合物微粒子分散液23」
化合物I−43 1.7質量部
化合物II−40 0.3質量部
「化合物微粒子分散液24」
化合物I−34 1.7質量部
化合物II−33 0.3質量部
上記「化合物微粒子分散液1」で使用した「化合物I−3、II−2、及びIIー56」の構造中のケイ素原子(Si)を銅原子(Cu)に置き換えた構造の化合物を用いて「化合物微粒子分散液25」を作製した。同様に、「化合物I−3、II−2、及びIIー56」の構造中のケイ素原子(Si)をチタン原子(Ti)及び亜鉛原子(Zn)に置き換えた構造の化合物を用いて「化合物微粒子分散液26と27」を用意した。
(2)「コア部用樹脂粒子1」の作製
下記に示す第1段重合、第2段重合及び第3段重合を経て多層構造を有する「コア部用樹脂粒子1」を作製した。
(a)第1段重合
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に下記(構造式1)に示すアニオン系界面活性剤4質量部をイオン交換水3040質量部とともに投入し、界面活性剤水溶液を調製した。
(構造式1) C1021(OCHCHSONa
上記界面活性剤水溶液中に、過硫酸カリウム(KPS)10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、温度を75℃に昇温させた後、下記化合物よりなる単量体混合液を1時間かけて反応容器中に滴下した。
スチレン 532質量部
n−ブチルアクリレート 200質量部
メタクリル酸 68質量部
n−オクチルメルカプタン 16.4質量部
上記単量体混合液を滴下後、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することにより重合(第1段重合)を行い、樹脂粒子を作製した。この樹脂粒子を「樹脂粒子A1」とする。なお、第1段重合で作製した「樹脂粒子A1」の重量平均分子量は16,500だった。
(b)第2段重合
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に下記化合物からなる単量体混合液を投入し、続いて、離型剤としてパラフィンワックス「HNP−57(日本製蝋社製)」93.8質量部を添加し、90℃に加温して溶解させた。この様にして単量体溶液を調製した。
スチレン 101.1質量部
n−ブチルアクリレート 62.2質量部
メタクリル酸 12.3質量部
n−オクチルメルカプタン 1.75質量部
一方、前記アニオン界面活性剤3質量部をイオン交換水1560質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を調製し、98℃に加熱した。この界面活性剤水溶液中に前記「樹脂粒子A1」を32.8質量部(固形分換算)添加し、さらに、上記パラフィンワックスを含有する単量体溶液を添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(エムテクニック社製)」で8時間混合分散した。前記混合分散により分散粒子径が340nmの乳化粒子を含有する乳化粒子分散液を調製した。
次いで、前記乳化粒子分散液に過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、この系を98℃にて12時間にわたり加熱撹拌を行うことで重合(第2段重合)を行って樹脂粒子を作製した。この樹脂粒子を「樹脂粒子A2」とする。なお、第2段重合で作製した「樹脂粒子A2」の重量平均分子量は23,000だった。
(c)第3段重合
上記第2段重合で得られた「樹脂粒子A2」に、過硫酸カリウム5.45質量部をイオン交換水220質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下で、下記化合物からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン 293.8質量部
n−ブチルアクリレート 154.1質量部
n−オクチルメルカプタン 7.08質量部
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌を行って重合(第3段重合)を行い、重合終了後、28℃に冷却して「コア部用樹脂粒子1」を作製した。第3段重合で作製した。「コア部用樹脂粒子1」の重量平均分子量は26,800であった。
(3)「シェル用樹脂粒子」の作製
前記「コア部用樹脂粒子1」の作製における第1段重合で使用された単量体混合液を以下のものに変更した以外は同様にして、重合反応及び反応後の処理を行って「シェル用樹脂粒子1」を作製した。
スチレン 624質量部
2−エチルヘキシルアクリレート 120質量部
メタクリル酸 56質量部
n−オクチルメルカプタン 16.4質量部
(4)「トナー2」の作製
下記の手順により「トナー2」を作製した。すなわち、
(a)コア部の形成
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、
コア部用樹脂粒子 420.7質量部(固形分換算)
イオン交換水 900質量部
化合物微粒子分散液1 200質量部
を投入、撹拌した。反応容器内の温度を30℃に調整後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを8乃至11に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を撹拌の下で30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置後に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温させ、上記粒子の会合を行った。この状態で「マルチサイザー3(コールター社製)」を用いて会合粒子の粒径測定を行い、会合粒子の体積基準メディアン径が5.5μmになった時に、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解させた水溶液を添加して会合を停止させた。
会合停止後、さらに、熟成処理として液温を70℃にして1時間にわたり加熱撹拌を行うことにより融着を継続させて「コア部1」を作製した。
「コア部1」の平均円形度を「FPIA2000(シスメックス社製)」で測定したところ、0.912だった。
(b)シェルの形成
次に、上記液を65℃にして「シェル用樹脂粒子1」を96質量部添加し、さらに、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を10分間かけて添加した後、70℃まで昇温させて1時間にわたり撹拌を行った。この様にして、「コア部1」の表面に「シェル用樹脂粒子1」を融着させた後、75℃で20分間熟成処理を行ってシェルを形成させた。
この後、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加してシェル形成を停止した。さらに、8℃/分の速度で30℃に冷却して生成した着色粒子をろ過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄した後、40℃の温風で乾燥することにより、コア部表面にシェルを有する「着色粒子2」を作製した。
(c)外添処理
作製した「着色粒子2」に下記外添剤を添加して、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)にて外添処理を行い、「トナー2」を作製した。
ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm)0.6質量部
n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径24nm)
0.8質量部
なお、ヘンシェルミキサによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分の条件の下で行った。
(5)「トナー3〜28」の作製
「トナー2」の作製において、「化合物微粒子分散液1」を前述の「化合物微粒子分散液2〜27」のいずれかに変更し、それ以外は同様の手順とすることにより「トナー3〜28」を作製した。
(6)「現像剤1〜28」の調製
上記「トナー1〜28」の各々に、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6%の「現像剤1〜28」を調製した。なお、「現像剤1〜25」を構成するトナーは本発明の構成を有するものであり、「現像剤26〜28」を構成するトナーは本発明の構成から外れるものである。
以上の手順で作製した「トナー1〜28(現像剤1〜28)」を表7に示す。
Figure 0004915406
2.評価実験
上記現像剤を、高温高湿環境(30℃、80%RH)、及び、低温低湿環境(10℃、20%RH)に所定時間放置し、放置後のトナーの帯電量と当該トナーを用いて作製したプリント画像の色調より、環境に対する影響を評価した。
(1)帯電性評価
前記「現像剤1〜28」を市販の複合プリンタ「bizhub C352(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)」用の現像装置にそれぞれ投入してシアン色トナーを含有する現像装置を用意した。現像装置は、1つの現像剤につき2つ用意し、これらを前記プリンタのシアン色現像装置を駆動する単体駆動機に装填後、前記プリンタに装填した状態で温度20℃、湿度50%RHの環境下で48時間放置した。48時間放置後、2つの現像装置のうちの1つを温度30℃、湿度80%RHの環境下で72時間放置し、もう1つの現像装置を温度10℃、湿度20%RHの環境下で72時間放置した。
上記72時間放置の後、前記プリンタの現像装置を30秒、及び、1200秒駆動させ、各駆動時間経過直後に収納されている現像剤をそれぞれ5gずつサンプリングした。サンプリングした現像剤の帯電量を、前述の条件の下、ブローオフ式帯電量測定装置「TB−200(東芝ケミカル社製)」により測定した。30秒駆動後の帯電量Qaと1200秒駆動後の帯電量Qbの差ΔQを算出することにより評価を行った。
そして、温度33℃、湿度80%RHの環境下に放置したもの、及び、温度10℃、湿度12%RHの環境下に放置したもののいずれも、30秒駆動後の帯電量と1200秒駆動後の帯電量の差ΔQが5μC/g未満となるものを合格とした。特に、両方のケースで帯電量の差ΔSが3μC/g以下となるものは優れていると判断した。
(2)色調評価
前記1200秒駆動の後、以下の手順でライトブルー及びダークブルーの色調評価を行った。
水色及び青色系ロゴマークをそれぞれ採用している企業50社のロゴマークを、各社ホームページより下記に詳細を記すコンピュータディスプレイ上に表示し、それを転写紙として坪量128g/mの電子写真用光沢紙「PODグロスコート紙(王子製紙(株)製)」にプリントした。作製したプリント物を無作為に抽出した10代〜70代のパネラ100名に提示し、「転写紙上に出力されたロゴマーク色がディスプレイ上に表示されたロゴマーク色と比較して違和感なく再現されている」と評価した人の数で評価を行った。下記評価基準のうち、A、B、Cを合格とした。
(評価基準)
A;「再現されている」と評価した人が90人以上(優良)
B;「再現されている」と評価した人が80人以上90人未満(良好)
C;「再現されている」と評価した人が60人以上80人未満(実用可能)
D;「再現されている」と評価した人が60人未満(不良)
(コンピュータディスプレイ条件)
・コンピュータ:iMAC(アップルコンピュータ(株)製)
・24インチワイドスクリーン液晶表示画面
・画面解像度:1920×1200ピクセル
・2.16GHz Intel Core 2 Duo プロセッサ1
・4MB共有2次キャッシュ
・メモリ(2×512MB SO−DIMM)
・250GBシリアルATAハードドライブ2
・8X二層式SuperDrive(DVD+R DL、DVD±RW、CD−RW)
・NVIDIA GeForce 7300 GT 128MB GDDR3メモリ
・AirMac Extreme及びBluetooth2.0内蔵
・Apple Remote
結果を表8に示す。
Figure 0004915406
表8に示す様に、本発明に係るトナーに該当する現像剤を用いた実施例1〜25は、いずれも上記評価項目について良好な結果が得られ、本発明の効果を発現するものであることが確認された。すなわち、本発明に係るトナーを含有する現像剤を高温高湿環境や低温低湿環境の下に放置しておいても、これらの環境による影響を受けずに十分な帯電が行え、かつ、良好な色調のカラー画像が得られることが確認された。一方、本発明外のトナーに該当する現像剤を用いた比較例1〜3は、いずれも実施例1〜25で得られた様な効果が得られないことが確認された。
この様に、上記実施例の結果より、本発明に係るトナーが高温高湿環境や低温低湿環境におかれても、安定した帯電性能が発現され、帯電後にスムーズな転写が行えて、良好なカラー画像が得られることが確認された。
二成分系現像方式の画像形成が可能なタンデム型フルカラー画像形成装置の一例を示す概略図である。 非磁性一成分系現像方式の画像形成が可能な4サイクル型フルカラー画像形成装置の概略図である。
符号の説明
1 感光体(感光体ドラム)
4 現像装置(トナーカートリッジ)
6 クリーニング装置
7 中間転写ベルト
10 画像形成部
24 定着装置
240 加熱ローラ
241 加圧ベルト(シームレスベルト)
P 転写材(記録材)

Claims (3)

  1. 少なくとも樹脂と着色剤とを含有してなるトナーであって、
    前記トナーは、
    下記一般式(I)で表される化合物と、下記一般式(II)で表される化合物と、を含有してなるものであることを特徴とするトナー。
    Figure 0004915406
    〔式中、Mは、ケイ素原子(Si)、ゲルマニウム原子(Ge)、スズ原子(Sn)のいずれかの原子を示す。また、Zは、各々独立に、ヒドロキシ基、塩素基、炭素数6乃至18のアリールオキシ基、炭素数1乃至22のアルコキシ基、下記に示す一般式(III)で表される構造の基を示す。さらに、A、A、A及びAは、各々独立に、下記に示す電子吸引性置換基を有してもよい原子団を示す。〕
    Figure 0004915406
    〔式中、nは0または1以上の整数を示し、Mは、ケイ素原子(Si)、ゲルマニウム原子(Ge)、スズ原子(Sn)のいずれかの原子を示す。また、ZとZは、各々独立に、ヒドロキシ基、塩素基、炭素数6乃至18のアリールオキシ基、炭素数1乃至22のアルコキシ基、下記に示す一般式(III)で表される構造の基を示す。また、Lは酸素原子、または、−O−SiR−O−を示し、Rは、炭素数1乃至4のアルキル基、塩素基、ヒドロキシ基のいずれかを表す。さらに、A、A、A及びAは、各々独立に、下記に示す電子吸引性置換基を有してもよい原子団を示す。〕
    Figure 0004915406
    〔式中、R、R、Rは炭素数1乃至22のアルキル基、炭素数6乃至18のアリール基、炭素数1乃至22のアルコキシ基、または、炭素数6乃至18のアリールオキシ基を示す。なお、R、R、Rはお互い同じ基であっても、異なる基であってもよい。〕
    Figure 0004915406
  2. 前記一般式(I)で表される化合物と前記一般式(II)で表される化合物の質量比が85:15乃至50:50であることを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記一般式(I)で表される化合物と、前記一般式(II)で表される化合物を構成するMが、ケイ素原子(Si)であることを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
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