JP2009162793A - シアントナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シアントナーは、樹脂とフタロシアニン化合物よりなる着色剤とを含有するシアントナーであって、シリカゲル薄層クロマトフラフィーにおいて展開溶媒としてトルエンとn−ヘキサンとを4対6の割合で混合したときの着色剤のRf値が0.1未満であり、CuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピークとして、少なくとも13.0〜24.0度の範囲内に着色剤に由来のピークを有さないことを特徴とする。
【選択図】なし
Description
ここに、このカラートナーの着色剤の代表的なものとしては、銅フタロシアニン系顔料が挙げられ、この銅フタロシアニン系顔料は、印刷インクによって形成される画像レベルの画質が得られると共に、優れた耐光性を有するものである。
シリカゲル薄層クロマトフラフィーにおいて展開溶媒としてトルエンとn−ヘキサンとを4対6の割合で混合したときの着色剤のRf値が0.1未満であり、
CuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピークとして、少なくとも13.0〜24.0度の範囲内に着色剤に由来のピークを有さないことを特徴とする。
すなわち、本発明のシアントナーは、同一のラテックスを原料とする、フルカラー画像を形成するためのフルカラー画像形成装置においてカラートナーとして共に用いられるイエロートナーおよびマゼンタトナー(フルカラー画像を形成する際に共に用いられるイエロートナーおよびマゼンタトナー)には存在しないピークを、少なくとも13.0〜24.0の範囲内において有さないものである。
ここに、ブラッグ角回折ピークは、強度が0.5×103 counts以上であり、半値幅が0.1度以上であって好ましくは0.1〜1.0度であるものとされる。
X線回折計としては、例えば株式会社リガク製の「RINT−TTR」シリーズ、「RINT−Uitima」シリーズ、「RINT2000」シリーズ、「MultiFlex」およびPanalyticl社製の「X’Pert PRO MPD」などを好適に用いることができる。
この測定に係る各スリット条件は、発散スリットおよび収束スリットは共に2/3度、受光スリットは0.3mm以下である。
また、走査条件は、走査範囲が5〜45度、走査モードが連続走査、サンプリング幅が0.02度以下であり、また、走査速度が5度/min以下とする。
すなわち、着色剤のRf値が0.1以上である場合には、着色剤自体が溶剤に対して溶解性を有するものとなり、特に高温多湿の環境下において良好な転写性が得られなくなり、転写ムラが生じることに起因して可視画像に高い画質を得ることができなくなる。
ここに、本発明のシアントナーを構成する着色剤は、少なくとも一般式(I)〜一般式(V)で表されるいずれかのフタロシアニン化合物を含有するものであることが好ましく、一種よりなるものであっても、複数種が組み合わされてなるものであってもよい。また、一般式(I)〜一般式(V)で表されるいずれかのフタロシアニン化合物と、それ以外の化合物、すなわち着色剤として用いられている従来公知の化合物とが組み合わされてなるものであってもよい。
その理由は、一般式(I)、一般式(III )および一般式(IV)で表される化合物は、一般式(II)で表される化合物に比して、軸配位子を有していることに起因して構造が複雑となっているため、凝集あるいは結晶化が困難となり、その結果、(1)着色粒子(トナー粒子)中や、形成される定着画像(可視画像)中において着色剤が均一に分散した状態となりやすくなる、(2)着色粒子中において、樹脂に対する相溶性や溶剤あるいは重合性単量体に対する溶解性が向上され、特に多量のトナーを製造する工程においては、着色剤が均一に分散しやすくなる、ことから、色再現性がより向上される、と推測される。
ここに、着色粒子中における着色剤の分散性(均一分散性)が向上することによっては、トナーが定着されて形成される画像における着色剤に係る部分の反射スペクトルのピークがシャープになり、その結果、色再現性が向上されることとなる。
特に、一般式(I)、一般式(III )および一般式(IV)におけるM1 は、各々、ケイ素原子であることが好ましい。このようなフタロシアニン化合物を着色剤として含有する本発明のシアントナーには、優れた色調が得られることとなる。
また、電子吸引基としては、例えばクロロ基(−Cl)、塩ハロゲン化メチル基(−CClX2 、但しXはハロゲン基を示す。)、トリフルオロメチル基(−CF3 )、ニトロ基(−NO2 )などが挙げられる。
ここに、本発明のシアントナーは、着色剤を構成するフタロシアニン化合物が、特に一般式(I)〜一般式(V)のいずれかで表されるフタロシアニン化合物よりなる場合には、そのフタロシアニン化合物が高い分子吸光係数を有するものであることから、少ない着色剤使用量で良好な色再現性を得ることが可能となる。
この樹脂として用いられる重合体の具体例としては、その代表的なものとして、重合性単量体としてビニル系単量体が用いられてなるビニル系重合体が挙げられる。
イオン性解離基を有する重合性単量体の具体例としては、カルボキシル基を有するものとして、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステルなどが挙げられる。またスルフォン酸基を有するものとして、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸などが挙げられ、リン酸基を有するものとして、アシドホスホオキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
多官能性ビニル類の具体例としては、例えばジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等が挙げられる。
離型剤の具体例としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィン系ワックス;パラフィンワックス、サゾールワックス等の長鎖炭化水素系ワックス;ジステアリルケトン等のジアルキルケトン系ワックス;カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等のエステル系ワックス;エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等のアミド系ワックスなどが挙げられる。
また、本発明のシアントナーにおける離型剤の含有割合は、トナー全体において1〜30質量%であることが好ましく、更に5〜20質量%であることが好ましい。
体積基準メジアン径を上記の範囲とすることにより、例えば1200dpi(1インチ(2.54cm)当たりのドット数)レベルの非常に微小なドット画像を忠実に再現することが可能となる。その結果、写真画像として、印刷インクによって形成された画像と同等あるいはそれ以上の高精細性を有するものを形成することができ、従って可視画像として写真画像を形成した場合にもその画像に高い色再現性を得ることができる。而して、特に軽印刷分野においては、高精細写真画像を含むフルカラー画像を、数百部〜数千部レベルの少量であっても容易に形成することができる。
体積基準の粒度分布における変動係数は、着色粒子(トナー粒子)の粒度分布における分散度を体積基準によって示したものであり、下記式(1)によって算出される。
このCV値は、その値が小さい程、粒度分布がシャープであることを示し、従って着色粒子(トナー粒子)の大きさが揃っていることを意味する。
軟化点温度を上記の範囲とすることにより、定着時に加えられる熱によって生じる弊害を低減させることができ、その結果、着色剤に大きな負担をかけることなく画像を形成することができるため、形成される可視画像に、より広く安定した色再現性を得ることができる。なお、本発明のシアントナーにおいて、着色剤として上記一般式(I)〜一般式(V)で表されるフタロシアニン化合物よりなるものを用いた場合には、トナーの軟化点温度を上記の範囲とすることにより、当該着色剤が熱の影響によってスペクトルが変化することのない安定した性質を有するものであることから、より一層定着時の熱による弊害の発生を低減することができる。
また、定着温度が極めて低温の低温定着を弊害を伴うことなく行なうことができるため、電力消費の低減を実現した環境に優しい画像形成を行なうことが可能となる。
すなわち、混練工程、粉砕工程および分級工程をこの順に経る粉砕法、重合性単量体を重合させ、その重合工程において形状や大きさを制御しながら粒子形成を行う、いわゆる重合法(具体的には、例えば乳化重合法、懸濁重合法、ポリエステル伸長法等)などを用いることができる。
ここに、粉砕法を用いる場合には、混練工程においては、混練物の温度を130℃以下に維持した状態とすることが好ましい。その理由は、混練物の温度が130℃を超えた場合には、当該混練物において熱の作用によって着色剤の凝集状態が変動し、均一な凝集状態を維持することができなくなるおそれがあるためである。なお、着色剤の凝集状態にバラツキが生じた場合には、得られるトナーの色調のバラツキが生じ、色濁りの原因となるおそれがある。
チタニア微粒子の具体例としては、例えば日本アエロジル社製の「T−805」、「T−604」;テイカ社製の「MT−600S」、「MT−100B」、「MT−500BS」、「MT−600」、「MT−600SS」、「JA−1」;富士チタン社製の「TA−300SI」、「TA−500」、「TAF−130」、「TAF−510」、「TAF−510T」;出光興産社製の「IT−S」、「IT−OA」、「IT−OB」、「IT−OC」などが挙げられる。
アルミナ微粒子の具体例としては、例えば日本エアロジル社製の「RFY−C」、「C−604」、石原産業社製の「TTO−55」などが挙げられる。
ここに、本発明のシアントナーがこのような特性を有するものとなる理由は、定かではないが、以下のように推察される。
良好な転写性が得られる理由としては、着色剤として、Rf値の範囲が規定された、溶剤に対して不溶性のフタロシアニン化合物を用いることにより、本発明のシアントナーを構成する着色粒子中において、着色剤であるフタロシアニン化合物が、X線回折によって検知することのできる程度の高い結晶状態で当該着色粒子の表面に存在する割合が低くなり、その結果、帯電性の不均一な粒子の発生確率が低くなっているため、プリントモードによらず常に良好な転写率が得られ、画像ムラが解消されるためではないかと考えられる。また、可視画像の画層に高い透明性が得られる理由としては、着色粒子中における着色剤の結晶化度が小さいことから、トナーを構成する樹脂(結着樹脂)と着色剤であるフタロシアニン化合物とを分子レベルで分散することができるため、この着色粒子よりなるトナー像によって形成される可視画像の画像透明性が高められるからではないかと考えられる。
すなわち、近年において地球環境への配慮等の観点から画像形成装置のエネルギー消費量の低減化の要請があり、現状の定着温度よりも低い温度で定着を行なう、いわゆる低温定着にも好適に用いることができる。
この低温定着においては、定着装置における加熱部材の表面温度を70〜210℃に設定することが好ましい。
なお、定着装置の加熱部材の表面温度を140℃未満とする場合には、加熱部材からの熱を画像支持体に高い効率で供給することが必要とされることから、定着ニップ部を形成する加熱部材あるいは加圧部材のいずれか一方として耐熱性ベルトを用いてなる、ベルト定着と称される定着方法を用いることが好ましい。
また、定着ベルト11の基材として、金属基体の代わりに、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂などの耐熱性を有する樹脂基体を用いてもよい。
この加圧ローラ15は、その硬度がアスカーC硬度で80〜100度とされ、その外径が20〜40mm、弾性層の肉厚が0.5〜2.0mmとされている。
また、本発明の画像形成方法においては、定着ニップ部における画像支持体の移動速度(以下、「プリント速度」ともいう。)が230〜500mm/secの範囲において画像形成を行うことができる。
この定着装置20は、定着ベルト21が巻装された、芯金23aの外周面上に弾性発泡材料よりなる弾性層23bが形成されてなる定着押圧ローラ23と、当該定着ベルト21を介して定着押圧ローラ23に対向して設けられた誘導加熱機構24と、前記定着ベルト21を介して定着押圧ローラ23に押圧される加圧ローラ25を備えるものである。
また、この定着ベルト21は、定着押圧ローラ23の回転時においても略円筒形が維持されるよう、軸方向(図2において紙面と垂直な方向)の両端部に配置された図示しないガイド部材によってガイドされている。
硬質発泡体層25bは、断熱構造を有するものであり、例えばシリコーンゴム発泡体またはシリコーン層内に中空糸や中空粒子などを充填させたものとすることができる。
この定着装置30は、画像支持体Pの未定着トナー像が形成された一面(図3においては、例えば画像支持体Pの上面)に接するよう配置された定着ローラ31と、これに圧接されるよう設けられた加圧ローラ33と、定着ローラ31の表面に接触するよう設けられた外部加熱回転体35と、加圧ローラ33にその先端縁が接触するよう設けられた強制剥離手段37とを備えており、この定着ローラ31と加圧ローラ33との圧接部により定着ニップ部Nが形成されている。図3において、39aおよび39bは非接触型の温度検知手段である。
一方、耐熱弾性層31bの厚さが過大である場合には、芯金31aの内部に配置された加熱源HLaによって定着ローラ31の表面を加熱する際の熱応答性を十分に確保することができないおそれがある。
なお、均一な被覆層31cを形成しやすくするためには、その厚さを20μm以上とすることがより好ましい。
この図の例において、加圧ローラ33は、定着ローラ31と同様に、加熱源HLaを内蔵しているものである。この加熱源HLaは、芯金33aの内部において、加圧ローラ33の長さ方向に伸びるよう配置されており、直接の加熱対象である加圧ローラ33の外周面の温度が設定温度域に維持されるよう、温度検知手段39bによって検知される加圧ローラ33の表面温度に基づき、図示しない制御手段により、例えば点灯状態がオン−オフ制御される。
加圧ローラ33の耐熱弾性層33bの厚みが、定着ローラ31の耐熱弾性層31bより薄いものであることにより、定着ニップ部Nにおいて、一方の定着用回転体である定着ローラ31に対して他方の定着用回転体である加圧ローラ33が凸となる形状を得ることができる。
具体的には、被覆層33cは、例えば(1)ディスパージョン状態のフッ素樹脂を塗布焼成することにより、厚さ20〜50μmに形成すること、(2)厚さ20〜50μmに成形されたフッ素樹脂チューブを芯金33aに被覆させることによって形成すること、などができる。
この画像形成装置40は、タンデム型カラー画像形成装置であって、ベルト状の中間転写体46に沿って設けられた複数の画像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kと、給紙カセット42と、定着装置49とを備えているものである。図4において、41は操作部であり、47Y,47M,47C,47Kは、各色のトナーカートリッジである。
ここで、画像形成ユニット50Yによれば黄色のトナー像が形成され、画像形成ユニット50Mによればマゼンタ色のトナー像が形成され、画像形成ユニット50Cによればシアン色のトナー像が形成され、画像形成ユニット50Kによれば黒色のトナー像が形成される。
一方、給紙カセット42内に収容された画像支持体Pが、給紙ローラ43により一枚ずつ給紙され、レジストローラ44によって2次転写手段57Aに搬送され、当該画像支持体P上にカラートナー像が2次転写される。
次いで、画像支持体Pが定着装置49に搬送されて定着処理が行われ、その後、排紙ローラ45に挟持されて機外の排紙トレイ48上に排出される。
ポリエステル樹脂(ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物、テレフタル酸およびトリメリット酸の縮合物、重量平均分子量20000)100質量部と、一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物であって、前記式(I−1)で表される化合物(以下、「フタロシアニン化合物(I−1)」とする。)よりなる着色剤2質量部と、ペンタエリスリトールテトラステアレートよりなる離型剤6質量部と、ジベンジル酸ホウ素よりなる荷電制御剤1質量部とを、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)に投入し、撹拌羽の周速を25m/秒に設定して5分間かけて混合処理した。
得られた混合物を二軸押出混練機によって混練し、その後、ハンマーミルによって粗粉砕した後、ターボミル粉砕機(ターボ工業社製)によって粉砕処理し、更に、コアンダ効果を利用した気流分級機で微粉分級処理を行なうことにより、体積基準メディアン径が5.5μmの着色粒子を得た。
得られた着色粒子に、ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm)0.6質量部およびn−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径24nm)0.8質量部よりなる外添剤を添加し、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)を用い、撹拌羽の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分間の条件で混合する外添処理を行なうことにより、シアントナー(以下、「シアントナー(1)」とする。)を得た。 なお、着色粒子は、外添剤の添加によっては、その形状および粒径は変化しなかった。
(1)着色剤微粒子分散液の調製例1
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部をイオン交換水160質量部に撹拌溶解することによって界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液に、フタロシアニン化合物(I−1)よりなる着色剤2質量部を徐々に添加し、次いで、「クレアミックスWモーションCLM−0.8」(エムテクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子が分散された着色剤微粒子分散液(以下、「着色剤微粒子分散液(1)」とする。)を調製した。
この着色剤微粒子分散液(1)における着色剤微粒子の粒子径について、体積基準のメジアン径を測定したところ、230nmであった。
なお、体積基準のメジアン径は、「MICROTRAC UPA−150」(MICROTRAC社製)を用い、サンプル屈折率1.59、サンプル比重1.05(球状粒子換算)、溶媒屈折率1.33、溶媒粘度0.797(30℃)および1.002(20℃)の測定条件により、測定セルにイオン交換水を投入することによって0点調整を行なうことによって測定した。
(A)コア部用樹脂粒子の調製
(a)第1段重合
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム(C10H21(OCH2 CH2 )2 SO3 Na)よりなるアニオン系界面活性剤4質量部をイオン交換水3040質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を仕込み、過硫酸カリウム(KPS)10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、液温を75℃に昇温させた後、スチレン532質量部、n−ブチルアクリレート200質量部、メタクリル酸68質量部およびn−オクチルメルカプタン16.4質量部よりなる重合性単量体溶液を1時間かけて滴下後、75℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合(第1段重合)を行い、樹脂粒子(1h)を含有する樹脂粒子分散液(1H)を調製した。
なお、得られた樹脂粒子(1h)の重量平均分子量は16500であった。
撹拌装置を取り付けたフラスコ内に、スチレン101.1質量部、n−ブチルアクリレート62.2質量部、メタクリル酸12.3質量部およびn−オクチルメルカプタン1.75質量部からなる重合性単量体溶液を仕込み、その後パラフィンワックス「HNP−57」(日本製蝋社製)93.8質量部を添加し、内温を90℃に加温して溶解させることによって単量体溶液を調製した。
一方、第1段重合において用いたアニオン系界面活性剤3質量部をイオン交換水1560質量部に溶解させた界面活性剤水溶液を仕込み、内温が98℃となるよう加熱した。この界面活性剤水溶液に、第1段重合において得られた樹脂粒子(1h)32.8質量部(固形分換算)を添加し、更に、パラフィンワックスを含有する単量体溶液を添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エムテクニック社製)を用い、8時間かけて混合分散することにより、分散粒子径340nmの乳化粒子(油滴)を含有する乳化粒子分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、この系を98℃にて12時間にわたって加熱撹拌することにより重合(第2段重合)を行い、樹脂粒子(1hm)を含有する樹脂粒子分散液(1HM)を調製した。
なお、得られた樹脂粒子(1hm)の重量平均分子量は23000であった。
第2段重合において得られた樹脂粒子分散液(1HM)に、過硫酸カリウム5.45質量部をイオン交換水220質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン293.8質量部、n−ブチルアクリレート154.1質量部およびn−オクチルメルカプタン7.08質量部からなる重合性単量体溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱撹拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却しコア部用樹脂粒子(1)を含有する樹脂粒子分散液を得た。
得られたコア部用樹脂粒子(1)の重量平均分子量は26800であった。
前記の第1段重合において、重合性単量体として、スチレン624質量部、2−エチルヘキシルアクリレート120質量部、メアクリル酸56質量部およびn−オクチルメルカプタン16.4質量部を用いたこと以外は第1段重合と同様の手法により、重合を行い、これにより、シェル用樹脂粒子(1)を得た。
(a)コア部の形成
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、コア部用樹脂粒子(1)420.7質量部、イオン交換水900質量部および着色剤粒子分散液(1)200質量部を仕込んで撹拌し、内温が30℃となるよう調整した後、濃度5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加することによってpHを8〜11に調整した。
次いで、塩化マグネシウム6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温した。その状態で、「コールターマルチサイザーIII 」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の平均粒径を測定し、体積基準のメジアン径が5.5μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、更に、液温度70℃にて1時間にわたって加熱、撹拌することにより融着を継続させることにより、コア部(1)を含有するコア部含有液を得た。
得られたコア部(1)について、「FPIA2100」(シスメックス社製)を用い、平均円形度を測定したところ、0.942であった。
コア部含有液(1)を65℃に調整した後、シェル用樹脂粒子(1)96質量部を添加し、更に、塩化マグネシウム6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を10分間かけて添加し、70℃にまで昇温して1時間にわたって撹拌することにより、コア部(1)の表面にシェル用樹脂粒子(1)を融着させた後、液温度75℃にて20時間にわたって熟成処理を行なうことにより、シェルを形成した。
その後、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を添加することによって熟成処理(シェル形成)を停止させた後、8℃/分の条件で30℃にまで冷却し、生成した粒子を濾過し、更に45℃のイオン交換水による洗浄を繰り返し、40℃の温風で乾燥することにより、コア部表面にシェルが形成されてなる構成の着色粒子を得た。
得られた着色粒子に、ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm)0.6質量部およびn−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径24nm)0.8質量部よりなる外添剤を添加し、ヘンシェルミキサ(三井三池鉱業社製)を用い、撹拌羽の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分間の条件で混合する外添処理を行なうことにより、シアントナー(以下、「シアントナー(2)」とする。)を得た。 なお、着色粒子(1)は、外添剤の添加によっては、その形状および粒径は変化しなかった。
シアントナーの製造例2において、用いる着色剤を変更したこと以外は着色剤微粒子分散液の調製例1と同様にして着色剤微粒子分散液を得、この得られた着色剤微粒子分散液を用いたこと以外は着色粒子の調製例1と同様にして着色粒子を得、更にこの得られた着色粒子に対して外添処理を施すことにより、シアントナー(以下、各々、「シアントナー(3)〜(10)」とする。)を得た。
ここに、シアントナー(3)は、着色剤として、前記式(I−2)で表されるフタロシアニン化合物が含有されてなるものであり、シアントナー(4)は、着色剤として、前記式(I−3)で表されるフタロシアニン化合物が含有されてなるものであり、シアントナー(5)は、着色剤として、前記式(I−4)で表されるフタロシアニン化合物が含有されてなるものであり、シアントナー(6)は、着色剤として、前記式(I−6)で表されるフタロシアニン化合物が含有されてなるものである。
また、シアントナー(7)は、着色剤として、前記式(II−1)で表されるフタロシアニン化合物が含有されてなるものであり、シアントナー(8)は、着色剤として、前記式(III −1)で表されるフタロシアニン化合物が含有されてなるものであり、シアントナー(9)は、着色剤として、前記式(IV−1)で表されるフタロシアニン化合物が含有されてなるものであり、シアントナー(10)は、着色剤として、前記式(III −2)で表されるフタロシアニン化合物が含有されてなるものである。
シアントナーの製造例2において、用いる着色剤を変更したこと以外は着色剤微粒子分散液の調製例1と同様にして比較用の着色剤微粒子分散液を得、この得られた比較用の着色剤微粒子分散液を用いたこと以外は着色粒子の調製例1と同様にして比較用の着色粒子を得、更にこの得られた着色粒子に対して外添処理を施すことにより、比較用のシアントナー(以下、「比較用シアントナー(1)」とする。)を得た。
ここに、比較用シアントナー(1)は、着色剤として、一般式(I)において、M1 がケイ素原子、A1 〜A4 が式(A−1)で表される原子団、Zが−OC12H25基であるフタロシアニン化合物(以下、「比較用フタロシアニン化合物(1)」ともいう。)が含有されてなるものである。
シアントナーの製造例2において、用いる着色剤を変更したこと以外は着色剤微粒子分散液の調製例1と同様にして参考用の着色剤微粒子分散液を得、この得られた参考用の着色剤微粒子分散液を用いたこと以外は着色粒子の調製例1と同様にして参考用の着色粒子を得、更にこの得られた着色粒子に対して外添処理を施すことにより、参考用のシアントナー(以下、各々、「参考用シアントナー(1)および(2)」とする。)を得た。
ここに、参考用シアントナー(1)は、着色剤として、一般式(I)において、M1 がケイ素原子、A1 〜A4 が式(A−1)で表される原子団、Zがヒドロキシ基であるフタロシアニン化合物(以下、「参考用フタロシアニン化合物(1)」ともいう。)が含有されてなるものであり、参考用シアントナー(2)は、着色剤として、下記式(a)で表される銅フタロシアニン化合物(以下、「参考用フタロシアニン化合物(2)」ともいう。)が含有されてなるものである。
シアントナー(1)〜(10)および比較用シアントナー(1)、ならびに参考用シアントナー(1)および(2)の各々に、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを、前記シアントナーの濃度が6質量%となるよう混合することにより、現像剤(1)〜(10)および比較用現像剤(1)、並びに参考用シアントナー(1)および(2)を得た。
ここに、現像剤(1)はシアントナー(1)よりなるものであり、現像剤(2)はシアントナー(2)よりなるものであり、現像剤(3)はシアントナー(3)よりなるものであり、現像剤(4)はシアントナー(4)よりなるものであり、現像剤(5)はシアントナー(5)よりなるものであり、現像剤(6)はシアントナー(6)よりなるものであり、また、現像剤(7)はシアントナー(7)よりなるものであり、現像剤(8)はシアントナー(8)よりなるものであり、現像剤(9)はシアントナー(9)よりなるものであり、現像剤(10)はシアントナー(10)よりなるものである。更に、比較用現像剤(1)は比較用シアントナー(1)よりなるものであり、参考用現像剤(1)は参考用シアントナー(1)よりなるものであり、参考用現像剤(2)は参考用シアントナー(2)よりなるものである。
現像剤について、画像形成装置「bizhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)を用い、高温高湿(30℃、85%RH)の条件下において、シアン単色モードにより、以下の実機評価を行なった。結果を表1および表2に示す。
ハーフトーン画像を形成し、この画像の画像濃度を、マクベス画像濃度計「RD91I」(サカタインクエンジニアリング社製)を用い、特定の方向(具体的には、感光体の軸方向)における任意の5点について測定し、この測定値に基づき、濃度のバラツキが10%未満であって非常に良好である場合を「◎」、濃度のバラツキが10%以上で15%未満であって良好である場合を「○」、濃度のバラツキが15%以上で20%未満である場合を「△」、濃度のバラツキが20%以上である場合を「×」と評価した。
OHPシート上に可視画像(定着画像)を形成し、この画像の単位面積当たりのトナー量に対する透過率を、島津製作所社製の「島津磁気分光光度計UV2200」を用い、OHPシート自体の透過率を10%として、最大吸収波長(具体的な波長は500nm)の光の透過率を測定し、透過率が55%以上である場合を「◎」、透過率が48%以上で55%未満である場合を「○」、透過率が40%以上で48%未満である場合を「△」、透過率が40%未満である場合を「×」と評価した。
ここに、着色剤に由来のブラッグ角回折ピークの確認は、以下の手法により行い、表1および表2には、その着色剤に由来のブラッグ角回折ピーク2θ(度)を、半値幅(deg)および強度(counts)と共に示す。なお、半値幅は0.1deg、強度は0.5×103 counts以上であることが必要とされ、また表1および表2において、半値幅および強度を括弧内に、この順に示す。
ここに、X線回折パターンは、X線回折計として、株式会社リガク製の「RINT−TTR2」(回転対陰極型CuKα(15kW))を用い、試料として、厚み0.3mmのガラス試料板を用いることにより、X線回折計を、定格出力の80%程度の出力にて作動させ、ブラッグ−ブレンターノ集中光学系によってθ−2θ走査を行なうことによって測定した。カウンターモノクロメータ(グラファイト)を使用した。
この測定に係る各スリット条件は、発散スリットおよび収束スリットを共に2/3度、高さ制限スリットを10mm、受光スリットを0.3mmとした。また、走査条件は、走査範囲を5〜35度、走査モードを連続走査、サンプリング幅を0.02度、走査速度を1度/minとした。
図5には、シアントナー(2)のX線回折パターン(曲線A)と、着色剤として用いられているフタロシアニン化合物(I−1)のX線回折パターン(曲線B)とを共に示す。この図5において、曲線Aにおける2θが21〜24度の範囲に存在する2つのピークはトナーの離型剤に由来するものであり、着色剤に由来のものではない。
図6は、シアントナー(2)を構成している離型剤のX線回折パターンである。
図7は、シアントナー(2)と共に、実機評価において用いた画像形成装置にカラートナーとして使用されるイエロートナーのX線回折パターンである。
図8は、シアントナー(2)と共に、実機評価において用いた画像形成装置にカラートナーとして使用されるマゼンタトナーのX線回折パターンである。
また、シアントナー(2)と共に、実際上、画像形成装置において用いられるブラックトナーのX線回折パターンを、図9に示す。
これらの比較用シアントナーおよび参考用シアントナーの各々の着色剤に由来のブラッグ角回折ピークを確認するためには、着色剤以外の構成材料が同一のものであり、また実機評価において用いた画像形成装置にカラートナーとして用いられるイエロートナーおよびマゼンタトナーが共通のものであることから、図6に示した離型剤のX線回折パターン、図7に示したイエロートナーのX線回折パターンおよび図8に示したゼンタトナーのX線回折パターンを共に用いた。
なお、このシアントナー(1)〜シアントナー(10)、並びに参考用シアントナー(1)および参考用シアントナー(2)は、13.0〜24.0度の範囲内に離型剤に由来のブラッグ角回折ピークを有することが確認された。
そして、この現像剤(1)〜現像剤(10)によれば、高温高湿の画像形成環境下においても、画像ムラが生じることがなく、また、得られる可視画像を構成する画層は高い透明性を有するものであることが確認された。
また、参考用現像剤(1)および参考用現像剤(2)は、着色剤として一般式(I)〜一般式(V)で表されるフタロシアニン化合物が用いられていないため、現像剤(1)〜現像剤(10)に比して、透明性が劣り、かつ画像ムラが生じやすいものであることが確認された。
11 定着ベルト
12 加熱ローラ
13 定着ローラ
13a 芯金
13b 弾性部材
14 誘導加熱機構
15 加圧ローラ
15a 芯金
15b 弾性層
16 励磁コイル
17 コイルガイド板
18 励磁コイルコア
18A コア支持部材
19 温度検出手段
20 定着装置
21 定着ベルト
23 定着押圧ローラ
23a 芯金
23b 弾性層
24 誘導加熱機構
25 加圧ローラ
25a 芯金
25b 硬質発泡体層
29 温度検知センサ
30 定着装置
31 定着ローラ
31a 芯金
31b 耐熱弾性層
31c 被覆層
33 加圧ローラ
33a 芯金
33b 耐熱弾性層
33c 被覆層
35 外部加熱回転体
37 強制剥離手段
39a、39b 温度検知手段
HLa 加熱源
40 画像形成装置
41 操作部
42 給紙カセット
43 給紙ローラ
44 レジストローラ
45 排紙ローラ
46 中間転写体
46A、46B、46C 支持ローラ
47Y,47M,47C,47K トナーカートリッジ
48 排紙トレイ
49 定着装置
50Y,50M,50C,50K 画像形成ユニット
51Y 感光体
52Y 帯電手段52Y
53Y 露光手段53Y
54Y 現像装置54Y
57Y 1次転写手段
58Y クリーニング手段
57A 2次転写手段
T トナー像
N 定着ニップ部
P 画像支持体
Claims (4)
- 樹脂とフタロシアニン化合物よりなる着色剤とを含有するシアントナーであって、
シリカゲル薄層クロマトフラフィーにおいて展開溶媒としてトルエンとn−ヘキサンとを4対6の割合で混合したときの着色剤のRf値が0.1未満であり、
CuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピークとして、少なくとも13.0〜24.0度の範囲内に着色剤に由来のピークを有さないことを特徴とするシアントナー。 - 着色剤が下記一般式(I)〜下記一般式(V)で表されるいずれかのフタロシアニン化合物を含有してなるものであることを特徴とする請求項1に記載のシアントナー。
- 着色剤が、少なくとも一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物、一般式(III )で表されるフタロシアニン化合物および一般式(IV)で表されるフタロシアニン化合物のいずれか1種を含有してなり、当該着色剤を構成するフタロシアニン化合物を示す一般式(I)、一般式(III )および一般式(IV)において、M1 がケイ素原子であることを特徴とする請求項2に記載のシアントナー。
- 着色剤が一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物よりなることを特徴とする請求項3に記載のシアントナー。
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