ところで、ぜんまいばねの巻き締めによって生ずるこのぜんまいばねの戻しばね力による巻取体の中心軸回りのトルクは、巻き回されているぜんまいばねの有効長さが関係している。このぜんまいばねの有効長さとは、巻き回されているぜんまいばねの全長のうちの互いに内外に接触していない部分、すなわち、ぜんまいばねの板間摩擦が発生していない部分の長さとなる。これは、ぜんまいばねが巻き回されている全長のうちのぜんまいばねの板間摩擦が発生している部分には、本来の戻しばね力が生じないからである。
このため、ぜんまいばねを備えたシャッター装置では、ぜんまいばねの巻き締め、巻き戻し時におけるぜんまいばねの板間摩擦の発生を防止することができ、所定のぜんまいばねの戻しばね力が得られるものであることが要求されている。
本発明の目的は、ぜんまいばねの巻き締め、巻き戻し時におけるぜんまいばねの板間摩擦の発生を防止することができ、所定のぜんまいばねの戻しばね力を確保できるようになる開閉装置を提供することにある。
本発明に係る開閉装置は、開閉体を開閉移動させるためにこの開閉体を巻き取り、繰り出す巻取体であって、少なくとも前記巻き取り、繰り出し時に回転しない中心軸と、この中心軸の外周に配置され、前記開閉体の巻き取り、繰り出しのために前記中心軸を中心に正逆回転自在である回転体と、を有する巻取体と、前記巻き取り、繰り出しのための前記回転体の正逆回転のうちの一方の回転時に戻しばね力が蓄圧され、この蓄圧された戻しばね力が前記回転体の他方の回転のために利用され、内端部が前記中心軸に連結されているとともに、外端部が前記回転体に連結されているぜんまいばねと、を含んで構成される開閉装置において、前記ぜんまいばねの前記内端部と前記外端部のうちの少なくとも一方は、前記回転体の内外径方向へ遊動することを抑制するための遊動抑制手段により連結されていることを特徴とするものである。
本発明では、ぜんまいばねの内端部と外端部のうちの少なくとも一方を、回転体の内外径方向へ遊動することを抑制するための遊動抑制手段により連結することにより、ぜんまいばねの巻き締め、巻き戻し時(正確には、開閉体の全開位置から全閉位置までの開閉移動領域と対応するぜんまいばねの巻き締め中期、巻き戻し中期)におけるぜんまいばねの回転体の内外径方向への遊動が抑制される。
このため、本発明によると、ぜんまいばねの巻き締め、巻き戻し時において、ぜんまいばねが巻き回されている全長のうちの互いに内外に接触している部分の発生、すなわち、ぜんまいばねの板間摩擦の発生が防止され、所定のぜんまいばねの戻しばね力を確保できる。
ここで、遊動抑制手段により連結されるぜんまいばねの「内端部」には、ぜんまいばねのうちの中心軸に連結されている先端部だけでなく、この先端部からぜんまいばねの長さ方向に離間した部分も含まれる。これと同様に、遊動抑制手段により連結されるぜんまいばねの「外端部」も、ぜんまいばねのうちの回転体に連結されている先端部だけでなく、この先端部からぜんまいばねの長さ方向に離間した部分も含まれる。
なお、「連結される」には、ぜんまいばねの内端部と外端部のうちの少なくとも一方が回転体に係止されることや結合されることのほか、さらに、ぜんまいばねの内端部と外端部のうちの少なくとも一方が回転体に当接すること等も含まれる。
また、遊動抑制手段により連結されるぜんまいばねの内端部は、中心軸に対して取り付け、取り外し自在に連結されていてもよく、取り外し不能に連結されていてもよい。これと同様に、遊動抑制手段により連結されるぜんまいばねの外端部も、回転体に対して取り付け、取り外し自在に連結されていてもよく、取り外し不能に連結されていてもよい。
本発明において、遊動抑制手段の構造、形式等は任意であり、ぜんまいばねの内端部と外端部のうちの少なくとも一方が回転体の内外径方向へ遊動するのを抑制できるものであればよい。
この遊動抑制手段の第1の例として、回転体に設けられ、ぜんまいばねの外端部が係止する被係止部と、前記回転体におけるこの被係止部から前記回転体の前記他方の回転方向に離間して設けられ、前記ぜんまいばねにおける前記外端部からこのぜんまいばねの長さ方向に離間した部分の内側が当接する当接部とを含んで構成されているものを挙げることができる。
この第1の例では、ぜんまいばねの外端部が、回転体に設けられた被係止部に係止するとともに、ぜんまいばねにおける外端部からこのぜんまいばねの長さ方向に離間した部分の内側が、回転体におけるこの被係止部から回転体の他方の回転方向(ぜんまいばねに戻しばね力が蓄圧される回転方向とは反対の回転方向)に離間して設けられている当接部に当接することで、ぜんまいばねの外端部が回転体の内外径方向へ遊動することが抑制されることになる。この結果、ぜんまいばねの巻き締め、巻き戻し時(開閉体の全開位置から全閉位置までの開閉移動領域と対応するぜんまいばねの巻き締め中期、巻き戻し中期)において、ぜんまいばねが巻き回されている全長のうちの互いに内外に接触している部分の発生(ぜんまいばねの板間摩擦の発生)が防止され、所定のぜんまいばねの戻しばね力を確保できる。
ここで、ぜんまいばねの外端部の形状、構造等は任意であり、回転体に設けられる被係止部に係止可能なものであればよい。また、回転体に設けられる被係止部の形状、構造等も任意であり、ぜんまいばねの外端部が係止可能なものであればよい。
さらに、回転体に設けられる当接部の形状、構造等も任意であり、ぜんまいばねにおける外端部からこのぜんまいばねの長さ方向に離間した部分の内側が当接可能なものであればよい。なお、当接部とは、ぜんまいばねにおける外端部からこのぜんまいばねの長さ方向に離間した部分の内側が単に当接する部分をいうほか、ぜんまいばねにおける外端部からこのぜんまいばねの長さ方向に離間した部分に係合部が設けられているとともに、回転体における被係止部から回転体の他方の回転方向に離間した部分には前記係合部が係合可能な被係合部が設けられている場合におけるこの被係合部や、これとは逆に、回転体における被係止部から回転体の他方の回転方向に離間した部分に係合部が設けられているとともに、ぜんまいばねにおける外端部からこのぜんまいばねの長さ方向に離間した部分には前記係合部が係合可能な被係合部が設けられている場合における前記係合部を含む。
なお、被係止部と当接部とは同一物体であってもよく、別体であってもよい。すなわち、当接部は、被係止部と同一部材により一体的に形成されていてもよく、あるいは被係止部と別部材で形成されていてもよい。
遊動抑制手段の上記第1の例におけるぜんまいばねの外端部の一例として、折り曲げによるフック部となっているものを挙げることができる。
そして、ぜんまいばねの外端部がフック部となっている場合における被係止部及び当接部の第1の例として、被係止部は、回転体の外径方向への成分を有する方向に突出し、かつ、前記フック部が係止可能な突片部であり、当接部は、前記突片部から前記回転体の前記他方の回転方向に離間して形成され、前記フック部が挿通可能な開口部の周縁部となっているものを挙げることができる。
ここで、前記突片部の形状、構造等は任意であり、例えば、回転体の一部をこの回転体の外径方向への成分を有する方向へ切り起こすことにより形成したものでもよく、棒状部材や板状部材等を、回転体の外径方向への成分を有する方向に突出するように回転体に溶接、接着剤等により取り付けたもの等でもよい。また、前記開口部の形状、構造等も任意であり、その一例として、回転体の一部をこの回転体の外径方向への成分を有する方向へ膨出変形させることにより形成された膨出部における前記回転体の前記一方の回転方向(ぜんまいばねに戻しばね力が蓄圧される回転方向)の側面部に形成されたものを挙げることができる。
ぜんまいばねの外端部がフック部となっている場合における被係止部及び当接部の第2の例として、回転体の一部に、この回転体の内径方向の成分を有する方向へ窪んだ窪み部を形成し、この窪み部における前記回転体の周方向の両側面部には、前記フック部が挿通可能な開口部を形成し、前記被係止部は、前記両側面部のうちの前記回転体の前記一方の回転方向の側面部に形成された前記開口部の周縁部であり、前記当接部は、前記両側面部のうちの前記回転体の前記他方の回転方向の側面部に形成された前記開口部の周縁部であるものを挙げることができる。
これによると、まず、ぜんまいばねのフック部を前記両側面部のうちの前記他方の回転方向(ぜんまいばねに戻しばね力が蓄圧される回転方向とは反対の回転方向)の側面部に形成された開口部に挿通し、前記窪み部の内部に押し込む。そして、ぜんまいばねのフック部を前記一方の回転方向(ぜんまいばねに戻しばね力が蓄圧される回転方向)の側面部に形成された開口部に挿通した後、このフック部をこの開口部に周縁部に係止させる。このとき、ぜんまいばねにおける前記外端部からこのぜんまいばねの長さ方向に離間した部分は、前記他方の回転方向の側面部に形成された開口部の周縁部に当接することになる。
この被係止部及び当接部の第2の例では、被係止部及び当接部が、回転体の内径方向の成分を有する方向へ窪んだ窪み部に形成されているので、回転体の一部が外径方向に突出することはなく、このため、回転体の外径寸法が大きくなることはない。
ぜんまいばねの外端部がフック部となっている場合における被係止部及び当接部の第3の例として、回転体の軸方向両端部のうちの少なくとも一方の端部には、前記回転体の軸方向への成分を有する方向に突出し、かつ、前記フック部が係止可能な突片部を設け、前記被係止部は、この突片部における前記回転体の前記一方の回転方向側の端部であり、前記当接部は、前記突片部における前記回転体の前記他方の回転方向側の端部であるものを挙げることができる。
この被係止部及び当接部の第3の例において、前記突片部の形状、構造等は任意であり、例えば、回転体の軸方向端部の一部をこの回転体の軸方向への成分を有する方向へ切り起こすことにより形成したものでもよく、棒状部材や板状部材等を回転体の軸方向への成分を有する方向に突出するように回転体に溶接、接着剤等により取り付けたもの等でもよい。
この被係止部及び当接部の第3の例では、被係止部及び当接部が回転体の軸方向端部に形成されているので、上記第2の例と同様に回転体の一部が外径方向に突出することはなく、このため、回転体の外径寸法が大きくなることはない。
ぜんまいばねの外端部がフック部となっている場合における被係止部及び当接部の第4の例として、回転体の一部には、前記フック部が係止可能な第1開口部と、この第1開口部から前記回転体の前記他方の回転方向に離間して形成されていて、ぜんまいばねにおける外端部からこのぜんまいばねの長さ方向に離間した部分の外側に設けられた係合部が係合可能な第2開口部とが形成され、被係止部は前記第1開口部の周縁部であり、当接部は前記第2開口部の周縁部となっているものを挙げることができる。
ここで、ぜんまいばねに設けられた前記係合部の例として、ぜんまいばねの外側への切り起こしで形成したフック部や、ぜんまいばねの外側に突出して設けられた突出部(例えば、頭部と胴部とを有し、頭部の直径寸法が胴部の直径寸法よりも大きないわゆるボルト状の円柱部材)等を挙げることができる。なお、ぜんまいばねに設けられた前記係合部が前記円柱部材となっている場合、前記第2開口部は、前記頭部が挿通可能な直径寸法を有する大開口部と、この大開口部に前記頭部が挿通された状態の前記円柱部材が前記回転体の前記他方の回転方向にスライドすることにより前記頭部が係合可能な直径寸法(前記頭部の直径寸法よりも小さい直径寸法)を有する小開口部とを有するいわゆる鍵穴状のものとなる。
この被係止部及び当接部の第4の例において、「前記ぜんまいばねにおける前記外端部からこのぜんまいばねの長さ方向に離間した部分の内側が当接する当接部」における「内側」とは、ぜんまいばねに設けられた前記係合部(前記フック部や、前記突出部となっている前記円柱部材の前記頭部等)におけるぜんまいばねの内側の方向の面となる。
以上説明した遊動抑制手段の第1の例においては、ぜんまいばねのうちの当接部に当接する部分は、回転体の回転方向にスライド自在となっていてもよく、スライド不能となってもよい。
前者の場合には、ぜんまいばねが巻き回されるときに、ぜんまいばねのうちの当接部に当接する部分が回転体の回転方向にスライドすることで、ぜんまいばねの巻き回されている全長のうちの互いに内外に接触する部分の発生(ぜんまいばねの板間摩擦の発生)をより確実に防止することができる。したがって、ぜんまいばねのうちの当接部に当接する部分は、回転体の回転方向にスライド自在となっていることがより好ましい。
本発明における遊動抑制手段の第2の例として、回転体に設けられ、ぜんまいばねの外端部が係止する被係止部と、前記ぜんまいばねにおける前記外端部からこのぜんまいばねの長さ方向に離間した部分を前記回転体に止着するための止着具と、を含んで構成されているものを挙げることができる。
ここで、止着具とは、例えば、ビス、リベット、釘、ボルト・ナット、ピン等の力学的作用により、ぜんまいばねにおける外端部からこのぜんまいばねの長さ方向に離間した部分を回転体に固定できる用具をいうほか、ぜんまいばねにおける外端部からこのぜんまいばねの長さ方向に離間した部分と回転体における被係止部から回転体の他方の回転方向に離間した部分のいずれか一方に設けられた係合部と、他方に設けられていてこの係合部が係合可能な被係合部とで構成されたものを含む。
この場合において、ぜんまいばねを巻き回したとき、止着具の一部、例えば、ボルトの先端部が、ぜんまいばねと接触することがないようすることが好ましい。これは、止着具がぜんまいばねと接触することが、ぜんまいばねの巻き回されている全長のうちの互いに内外に接触している部分が生じることと同じだからである。
止着具の一部が、ぜんまいばねと接触することがないようするには、例えば、回転体のうち、ぜんまいばねにおける外端部からこのぜんまいばねの長さ方向に離間した部分が止着される回転体の箇所に、この回転体の外径方向に膨出し、内部に止着具が収まる膨出部を形成すればよい。
なお、ぜんまいばねにおける外端部からこのぜんまいばねの長さ方向に離間した部分は、溶接や接着剤等により回転体に固定してもよい。
この遊動抑制手段の第2の例においても、前述した遊動抑制手段の第1の例と同様に、ぜんまいばねの外端部の形状、構造等は任意であり、回転体に設けられる被係止部に係止可能なものであればよい。また、回転体に設けられる被係止部の形状、構造等も任意であり、ぜんまいばねの外端部が係止可能なものであればよい。
この第2の例におけるぜんまいばねの外端部の一例として、折り曲げによるフック部となっているものを挙げることができる。そして、この場合において、被係止部の一例として、回転体の内周面に設けられ、回転体の前記一方の回転方向への成分を有する方向に突出し、かつ、前記フック部が係止可能な突片部であるものを挙げることができる。
ここで、前記突片部の形状、構造等は任意であり、例えば、回転体の一部をこの回転体の内径方向へ折り曲げることにより形成したものでもよく、棒状部材や板状部材等を回転体の前記一方の回転方向への成分を有する方向に突出するように、回転体の内周面に溶接、接着剤等により取り付けたもの等でもよい。
この場合において、ぜんまいばねの外端部を回転体に連結するためには、まずフック部を回転体の内周面に設けられた突片部に係止した後、ぜんまいばねにおける外端部からこのぜんまいばねの長さ方向に離間した部分を止着具等により回転体に固定する。
以上の本発明において、ぜんまいばねの外端部を折り曲げによるフック部とする場合には、このフック部は、回転体の外径方向への折り曲げにより形成されるものでもよく、回転体の内径方向への折り曲げにより形成されるものでもよい。これと同様に、ぜんまいばねの内端部を折り曲げによるフック部とする場合には、このフック部は、回転体の外径方向への折り曲げにより形成されるものでもよく、回転体の内径方向への折り曲げにより形成されるものでもよい。
以上の本発明において、ぜんまいばねの外端部が連結される回転体の個数は1個でもよく、複数個でもよい。
また、回転体の個数が1個である場合には、ぜんまいばねの個数は1個でもよく、複数個でもよい。ぜんまいばねの個数を複数個とする場合には、それぞれのぜんまいばねの内端部が中心軸に連結されるとともに、それぞれのぜんまいばねの外端部は1個の回転体に連結される。
回転体の個数が複数個である場合にも、ぜんまいばねの個数は1個でもよく、複数個でもよい。ぜんまいばねの個数を複数個とする場合には、例えば、ぜんまいばねを回転体ごとに設け、それぞれのぜんまいばねの内端部を中心軸に連結するとともに、それぞれのぜんまいばねの外端部を対応する回転体に連結すればよい。
本発明に係る開閉装置は、開閉体を巻き取り、繰り出して開閉体を開閉移動させるための回転体の正逆回転の回転力が手操作力によって付与されるものでもよく、回転体に正逆回転の回転力を付与するための電動モータ等による駆動装置を備え、この駆動装置からの駆動力で回転体が正逆回転するものでもよい。すなわち、本発明は、手動式の開閉装置にも適用でき、自動式開閉装置にも適用でき、また、本発明は、手動と自動の併用式の開閉装置にも適用できる。さらに、本発明は、開閉体が自重によって閉じ移動する自重閉鎖式の開閉装置や、開閉体が自重と手操作力の両方によって閉じ移動する自重手動式の開閉装置にも適用できる。
さらに、本発明は任意な開閉装置に適用できる。すなわち、本発明は、開閉体がシャッターカーテンとなっているシャッター装置や、オーバーヘッドドア装置、ロールブラインド装置、オーニング装置、防煙垂れ幕装置等の任意な開閉装置に適用でき、シャッター装置は、窓や出入口等の開口部をシャッターカーテンで開閉する開口部用シャッター装置でもよく、全閉となったシャッターカーテンで防災区画を形成するための防災用シャッター装置でもよく、車庫用シャッター装置でもよく、物置用シャッター装置でもよく、トラック等の車両の荷台やコンテナのためのシャッター装置等でもよい。そして、防災用シャッター装置には、火災等の災害発生時にシャッターカーテンがエレベータとエレベータホールとの間で閉じ移動するエレベータ用防災シャッター装置が含まれ、また、防災用シャッター装置には、通常時のシャッターカーテンは閉じていたり、人の出入り等のために開閉したりし、火災等の災害発生時には消火活動等を行えるようにするためにシャッターカーテンが開くようになっているシャッター装置も含まれる。
また、本発明をシャッター装置に適用する場合には、シャッターカーテンは任意な材料で形成されているものでよい。すなわち、シャッターカーテンは、その全部又は主要部が複数のスラットの連設で形成されたものでもよく、複数のパネルの連設で形成されたものでもよく、リンクで連結された複数のパイプで形成されたものでもよく、布やシート等の薄厚部材で形成されたものでもよく、ネットで形成されたものでもよく、これらのうちの少なくとも2つの複合で形成されたもの等でもよい。
なお、以上の本発明において、開閉体の開閉移動方向は、鉛直の上下方向でもよく、水平方向でもよく、鉛直の上下方向に対して角度をなす斜めの方向でもよく、任意である。
本発明によると、ぜんまいばねの巻き締め、巻き戻し時におけるぜんまいばねの板間摩擦の発生が防止され、所定のぜんまいばねの戻しばね力を確保できるようになるという効果を得られる。
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る開閉装置であるシャッター装置の全体正面図が示され、このシャッター装置は、開閉体であるシャッターカーテン1で建物の出入口10を開閉するための出入口用シャッター装置である。また、このシャッター装置は、シャッターカーテン1の自重及び手動操作によりシャッターカーテン1を下向きに閉じ移動させ、手動操作によりシャッターカーテン1を上向きに開き移動させる手動式のタイプのものとなっている。
出入口10の左右両側を形成している壁や柱等による建物躯体11には、上下に延びるガイドレール2が取り付けられ、これらの左右のガイドレール2の内部に、シャッターカーテン1の幅方向両端部である左右両端部がスライド自在に挿入され、シャッターカーテン1はガイド部材であるガイドレール2に案内されて上下方向に開閉移動可能となっている。出入口10の上部には、シャッターケース3が配設され、このシャッターケース3の内部に、正逆回転自在となった巻取体4が左右のブラケット5で支持されて水平に架設されている。シャッターカーテン1の上端部はこの巻取体4に連結され、シャッターカーテン1の上下方向の開閉移動は、巻取体4が正逆回転のうちの一方へ回転することによる巻取体4からのシャッターカーテン1の繰り出し、巻取体4が他方へ回転することによって行われる巻取体4へのシャッターカーテン1の巻き取りによりなされ、このシャッターカーテン1の開閉移動は、シャッターケース3の下面3Aに設けられているまぐさのスリットをシャッターカーテン1が挿通してなされる。
シャッターカーテン1は、閉じ側の先端部である下端部に設けられた座板1Aと、この座板1Aの上部に多数連設されたスラット1Bとを含んで構成され、座板1Aがシャッターケース3の下面3Aのまぐさの高さ位置に達しているときに、シャッターカーテン1は全開位置となっており、座板1Aが出入口10の床10Aに達したときに、シャッターカーテン1は全閉位置となる。このため、これらの全開位置から全閉位置までの領域が、シャッターカーテン1の開閉移動領域H(図1参照)である。
シャッターカーテン1を構成している多数のスラット1Bのうち、シャッターカーテン1が全閉位置となったときに腰と同じ高さ程度にある所定のスラット1Bには、左右2個の手掛け部6が設けられ、シャッターカーテン1が全閉位置となっているときに、これら手掛け部6に手を掛けてシャッターカーテン1を持ち上げたり、座板1Aに図示しない操作棒の先端を係合してこの操作棒でシャッターカーテン1を上昇させることにより、シャッターカーテン1を、この上昇によって正逆回転のうちの前記他方への回転を行うことになる巻取体4に巻き取らせてシャッターカーテン1を全開位置まで開き移動させることができる。また、全開位置に達しているシャッターカーテン1の座板1Aに操作棒の先端を係止してこの操作棒でシャッターカーテン1を下降させたり、手掛け部6に手を掛けてシャッターカーテン1を押し下げることを行うことにより又は行わないことにより、シャッターカーテン1の自重を利用して、シャッターカーテン1を、この下降や押し下げによって正逆回転のうちの前記一方への回転を行うことになる巻取体4から繰り出させて全閉位置まで閉じ移動させることができる。
図2には巻取体4の構造が示されている。巻取体4は、軸方向両端部が図1で説明した左右のブラケット5で回転不能に支持され、回転しない非回転軸となっている中心軸20と、中心部にこの中心軸20が貫通し、中心軸20の外周に軸方向に互いに離間して配置され、シャッターカーテン1の巻き取り、繰り出しのために中心軸20を中心に正逆回転自在である複数個の回転体22とを有している。なお、中心軸20の外周におけるそれぞれの回転体22の配置位置と対応する位置には、具体的な構造を後述する巻芯部材27が配設されている。
それぞれの回転体22には、シャッターカーテン1の上端部が連結されており、中心軸20を中心に正逆回転自在となっているこれらの回転体22は、正逆回転のうちの一方への回転によってシャッターカーテン1を閉じ移動させるためにこのシャッターカーテン1を繰り出し、他方への回転によってシャッターカーテン1を開き移動させるためにこのシャッターカーテン1を巻き取るようになっている。
中心軸20の軸方向に互いに離間して配置されているこれら複数個の回転体22同士は、中心軸20の軸方向に延びる長さを有する連結部材であるバー状部材23により連結されている。パイプやフラットバー等からなるバー状部材23は、巻取体4の円周方向に等間隔で複数本、本実施形態に係るシャッター装置では3本(後述の図4参照)設けられている。
中心軸20に対してそれぞれが正逆回転自在となっている複数個の回転体22の全部は同じ形状及び構造となっており、図3は、これらの回転体22のうちの1個を示す正断面図である。図4は、図3のS4−S4線断面図、図5は、図3のS5−S5線断面図である。図3で示されているとおり、回転体22は、中心軸20の軸方向の一方の端部が略閉鎖された端面部24Aとなっていて、他方の端部24Bが開口しているカップ状部材24と、このカップ状部材24の開口した端部24Bの側に配置されていて、この開口端部24Bを略閉鎖された端部とする端部部材となっているホイール部材25との組み合わせによる組合体となっている。カップ状部材24の内部空間Sに、一端から他端に向かって渦巻き状に巻き回しているぜんまいばね26が収納配置されている。このぜんまいばね26は、金属製等の板材を中心軸20の軸方向の同一位置又は略同一位置で渦巻き状に巻き回すことにより形成されたものである。
このぜんまいばね26は、図2で示されているとおり、全部の回転体22に設けられているとともに、これらのぜんまいばね26は、材質が同じであって、厚さや幅等の寸法も同じ、全長も同じとなっている板材を同じ方向へ同じ回数分だけ巻き回すことによって生産したものである。
なお、開閉装置に設けられた複数のぜんまいばねの厚さ、幅、全長、巻数、巻方向の全てが、複数のぜんまいばねそれぞれ互いに全て同じでない場合でも本発明は適用できる。
ホイール部材25は、外周面を形成している環状フランジ部25Aと、この環状フランジ部25Aにおける中心軸20の軸方向の一方の端部に設けられた端面部25Bとを有する浅皿形状であり、この端面部25Bに、それぞれの回転体22同士を連結するための前記バー状部材23が挿通結合されている。また、ホイール部材25は、開口している中心軸20の軸方向の他方の端部25Cをカップ状部材24とは反対側に向け、端面部25Bをカップ状部材24の側に向けてこのカップ状部材24に結合されている。この結合は、板金プレス成形品であるカップ状部材24の胴部24Cの前記開口端部24B側の端部に形成されている突片24Dを、ホイール部材25の端面部25Bに形成された孔25Dに挿入した後、突片24Dを折り曲げることによってなされている。
図3で示されているように、ホイール部材25はカップ状部材24よりも大きい外径を有し、この外径の部分を形成しているホイール部材25の環状フランジ部25Aは、図4で示されているように、中心軸20を中心とする真円状となっておらず、円周方向へ延びるにしたがい中心軸20からの距離が次第に変化する略渦巻き状の異形円となっている。このため、環状フランジ部25Aには、中心軸20の直径方向へ窪んだ段部25Eが形成され、それぞれの回転体22における段部25Eにおいて、シャッターカーテン1の上端部がボルト等による結合具でホイール部材25の環状フランジ部25Aの外面に結合されている。このため、それぞれの回転体22における環状フランジ部25Aは、シャッターカーテン1を巻き取り、繰り出すための巻取体4における部分となっている。
このような環状フランジ部25Aを有しているホイール部材25は、上述のように開口端部25Cをカップ状部材24とは反対側に向けてカップ状部材24に連結されているため、上記のようにシャッターカーテン1の上端部を環状フランジ部25Aの外面に結合するための結合具が、環状フランジ部25Aの内面側へ突出する部分を有するボルト、ナット等であっても、この結合作業を、開口端部25Cから作業者が手や工具等を差し入れることによって容易に行える。
前述したように、前記中心軸20の外周におけるそれぞれの回転体22の配置位置と対応する位置には、巻芯部材27が配置されている(図2参照)。これらの巻芯部材27は、図3で示されているとおり、結合具29によって中心軸20に固定されているため、巻芯部材27は、中心軸20と同じく、回転しない非回転部材となっている。このように、巻芯部材27は中心軸20と一体となって配置されている。図3で示されている結合具29は、巻芯部材27及び中心軸20を貫通するボルトと、巻芯部材27の反対側に突出したこのボルトの先端に螺合されたナットとからなる。なお、結合具28は、内輪部材35Bと巻芯部材27とを締結するためのものである。
また、図4及び図5から分かるように、巻芯部材27は、中心軸20の外周に配設された筒状部材である丸パイプ部材であり、この巻芯部材27には、図3で示されているように、カップ状部材24の配置位置と対応する位置において、軸方向の途中まで延びるスリット27Aが形成され、さらに、巻芯部材27の軸方向両端部には、この巻芯部材27の一部の折り曲げ加工、言い換えると、切り倒し加工による受け片27Bが形成され、巻芯部材27の円周方向に等間隔又は略等間隔で複数個、本実施形態に係るシャッター装置では4個形成されているこれら受け片27Bにより、巻芯部材27は中心軸20と同軸的に配設され、言い換えると、巻芯部材27は、全周に亘って中心軸20から同じ又は略同じ大きさの隙間を開けて中心軸20の外周に配設されている。
図3に示されているように、カップ状部材24の前記端面部24Aと、ホイール部材25の前記端面部25Bには、中心軸20及び巻芯部材27が挿通された孔30,31が形成され、これらの孔30,31は僅かな隙間を開けて巻芯部材27が遊合した孔であるため、カップ状部材24の端面部24Aによる端部と、ホイール部材25の端面部25Bによる端部は、略閉鎖された端部となっている。このため、カップ状部材24の前記内部空間Sは、略密閉空間となっており、このように前記ぜんまいばね26が収納された内部空間Sが略密閉空間となっていることにより、ぜんまいばね26に空気中の水分等に起因する錆が発生しにくく、また、ぜんまいばね26は外部力から略遮断され、ぜんまいばね26を外部環境から保護することができる。
なお、ぜんまいばね26が収納されているこの内部空間Sを密閉性が一層向上した略密閉空間又は密閉空間とするために、カップ状部材24、ホイール部材25に取り付けられて巻芯部材27と回転自在に接触するシール部材により、孔30,31を塞いでもよい。
図3で示すように、ホイール部材25と巻芯部材27との間には軸受け35が配置され、この軸受け35により、ホイール部材25とカップ状部材24は巻芯部材27に対して回転自在となっている。軸受け35は、外輪部材35Aと、内輪部材35Bと、これらの外輪部材35Aと内輪部材35Bとの間において円周方向に複数個配設され、それぞれがリテーナ35Cで回転自在に保持されているボール35Dとを有するボール式軸受けであり、外輪部材35Aはリベット等の止着具36でホイール部材25の端面部25Bに止着されており、内輪部材35Bは、前述した結合具28によって巻芯部材27と共に中心軸20に結合されている。
次に、本実施形態に係る開閉装置であるシャッター装置に備えられている第1の実施形態に係る遊動抑制手段21について詳細に説明する。
図6は、この第1の実施形態に係る遊動抑制手段21が設けられているカップ状部材24を示す図であり、ホイール部材25側の開口端部24Bを切断した状態のカップ状部材24の拡大斜視図である。また、図7及び図8は、図5のカップ状部材24の拡大断面図であって、図7は、ぜんまいばね26の一方の端部である外端部26Bをカップ状部材24に連結するための作業の途中の状態を示す図であり、図8は、この外端部26Bがカップ状部材24に連結された状態を示す図である。
図6に示すように、カップ状部材24の胴部24Cの一部(図6では上部)には、このカップ状部材24の外径方向へ膨出した膨出部24Fがプレス成形等により形成されている。この膨出部24Fにおける回転体22の一方の回転方向(ぜんまいばね26に戻しばね力が蓄圧される回転方向)、言い換えると、回転体22のシャッターカーテン1を繰り出す回転方向の側面部24Gには、回転体22の軸方向に長い長さを有し、ぜんまいばね26の外端部26Bが挿入可能な大きさを有する開口部24Hが形成されている。
また、胴部24Cにおける膨出部24Fから回転体22の前記一方の回転方向に離間した箇所には、カップ状部材24の外径方向への成分を有する方向、すなわち、回転体22の前記一方の回転方向であって斜め外向きに突出した突片部24Eが形成されている。図6に示すように、突片部24Eは、胴部24Cの一部を切り起こすことにより形成されたものであり、この突片部24Eが形成されることにより、胴部24Cと突片部24Eとの間には、カップ状部材24の軸方向に長い開口部24Jが形成されている。
図7に示すように、ぜんまいばね26の内端部26Aは、回転体22の円周方向に折り曲げられることにより形成されたフック部となっており、これと同様に、外端部26Bも、回転体22の円周方向に折り曲げられることにより形成されたフック部となっている。これらの内端部26A及び外端部26Bの折り曲げ方向は同じ側となっている。
ぜんまいばね26の内端部26A及び外端部26Bを巻取体4に連結するためには、図7に示すように、まず、ぜんまいばね26をカップ状部材24の内部空間Sに配置した後、ぜんまいばね26の内端部26Aを被係止部である中心軸20に固定された巻芯部材27のスリット27Aに係止する。次に、ぜんまいばね26の外端部26Bを膨出部24Fの開口部24Hに挿通させる。この外端部26Bが開口部24Hを完全に通過したら、外端部26Bを矢印D方向にさらに引き出す。この後、図8に示すように、外端部26Bの先端を胴部24Cと突片部24Eと間に形成された開口部24Jに挿通することにより、外端部26Bを突片部24Eに係止する。これにより、ぜんまいばね26の外端部26Bはカップ状部材24に連結された状態となる。このとき、ぜんまいばね26における外端部26Bからこのぜんまいばね26の長さ方向に離間した部分26Eの内側は、開口部24Hの周縁部24Iに、回転体22の回転方向(図8の矢印R方向及び矢印F方向)にスライド自在に当接している。
ここで、戻しばね力が利用されるぜんまいばね26は、一端が固定端となっていて他端が自由端となっている片持ち梁と同じであると解釈することができる。このため、この片持ち梁の弾性係数をE、断面係数をI、長さをLとし、片持ち梁に曲げモーメント(トルク)Tを作用させたときにこの片持ち梁の自由端にたわみ角度θ(ラジアン)が生じた場合には、材料力学上、T=EIθ/Lなる式が成立する。
そして、ぜんまいばね26の幅寸法をb、厚さ寸法をhとしたとき、ぜんまいばね26の断面係数Iは、I=bh3/12である。また、たわみ角度θはぜんまいばね26の巻回数Nに対応する値であり、巻回数が1回である場合のたわみ角度θは、θ=2πとなる。
このため、ぜんまいばね26の巻回数がNである場合には、上記T=EIθ/Lを、T=πEbh3N/6Lと書き換えることができる。この場合におけるTは、ぜんまいばね26の巻き締めによって生ずるこのぜんまいばね26の戻しばね力による巻取体4の中心軸20回りのトルクとなり、また、Lは、ぜんまいばね26のうちの巻回数が上記Nとなっている有効長さ、すなわち、ぜんまいばね26の巻き回されている全長のうちの互いに内外に接触していない部分(ぜんまいばね26の板間摩擦が発生していない部分)の長さとなる。
図9は、ぜんまいばね26の戻しばね力による巻取体4の中心軸20回りのトルクを示すグラフであり、横軸が巻取体4の回転体22の回転数、縦軸が巻取体4の中心軸20回りのトルクとなっている。この図9には、巻き締められることによって戻しばね力が増加するぜんまいばね26の上記式(T=πEbh3N/6L)で表される理論上のトルクTの変化を示すラインAが描かれており、また、ぜんまいばね26の巻き締めに関する巻き締め初期範囲αと中間範囲βとの境界位置と一致しているシャッターカーテン1の全開位置と、中間範囲βと巻き締め終期範囲γとの境界位置と一致しているシャッターカーテン1の全閉位置とが示されている。なお、図9のグラフの横軸である回転体22の回転数とぜんまいばね26の巻回数Nとは、回転体22の回転数が1増えると、ぜんまいばね26の巻回数Nが1増える関係となっている。
この図9に示されているように、ぜんまいばね26は、巻き締め初期から巻き締め終期までの全部の範囲が使用されているのではなく、外層部が密巻き部となっていて内層部が粗巻き部となっている巻き締め初期を含む初期範囲αと、外層部が粗巻き部となっていて内層部が密巻き部となっている巻き締め終期を含む終期範囲γとを除いた中間範囲βが、シャッターカーテン1の全閉位置から全開位置までの開閉移動領域H(図1参照)と対応する範囲となっている。
図8に示すように、ぜんまいばね26の全長のうちの大部分が内外に接触している巻き締め初期の状態から、ぜんまいばね26がシャッターカーテン1を繰り出す方向(図8の矢印F方向)と同じ方向へ巻き締め始められると、内外に互いに接触していた図8の密巻き部26Cが減少してぜんまいばね26の有効長さLが増大する。しかし、このときの有効長さLはまだ短く、また、この有効長さLについてのぜんまいばね26の巻回数Nは増加するため、上記式(T=πEbh3N/6L)により、図9のラインAで示されているように、巻き締め初期範囲αの全部と、全開位置を越えた中間範囲βの初期部分とにおいて、トルクTは、巻取体4の回転数が増すと、次第に小さくなる大きな増加率で増大する。その後、ぜんまいばね26の有効長さLがぜんまいばね26の全長と同じ又は略同じである一定値又は略一定値となって、巻回数Nだけが増加するため、トルクTの増加率は次第に低下した後に、このトルクTの増加率は一定値又は略一定値となる。このようにトルクTの増加率が一定値又は略一定値となって推移することは、全閉位置を越えた巻き締め終期範囲γの初期部分まで継続する。さらにぜんまいばね26が巻き締められると、内外に互いに接触する密巻き部が増加してぜんまいばね26の有効長さLが減少し、かつぜんまいばね26の巻回数Nも増加するため、上記式(T=πEbh3N/6L)により、図9のラインAで示されているように、トルクTの増加率は、巻き締め終期範囲γの中間部分と終期部分とにおいて、再び増大する。
以上のことを言い換えると、シャッターカーテン1の全開位置は、ぜんまいばね26のトルクTが、次第に小さくなる増加率で増大している範囲内の位置に設定されており、シャッターカーテン1の全閉位置は、ぜんまいばね26のトルクTの増加率が一定値又は略一定値となっている範囲内の位置に設定されているということである。
図10は、ぜんまいばね26の巻き締め中期の状態、すなわち、図8の状態にある回転体22がシャッターカーテン1を繰り出す方向(図8の矢印F方向)に回転することにより、ぜんまいばね26が巻き締められていく途中の状態を示す図である。
図8に示すように、回転体22がシャッターカーテン1を繰り出す方向に回転する前の状態においては、ぜんまいばね26の内層部は粗巻き部26Dとなっており、一方、ぜんまいばね26の外層部は密巻き部26Cとなっている。この回転体22が、シャッターカーテン1が繰り出される方向(図8の矢印F方向)に回転すると、密巻き状態となっていた外層部が次第に粗巻き部26Dとへと変化し、図10に示すように、ぜんまいばね26の巻き締め中期の状態では、ぜんまいばね26全体が粗巻き部26Dとなっている。すなわち、図10に示されているぜんまいばね26の巻き締め中期の状態は、ぜんまいばね26の巻き回されている全長のうちの互いに内外に接触している部分(ぜんまいばね26の板間摩擦が発生している部分)が存在しない理想の状態、すなわち、ぜんまいばね26の上記式(T=πEbh3N/6L)で表される理論上のトルクTの変化を示す状態となっている。
このぜんまいばね26の巻き締め中期の状態において、ぜんまいばね26の外端部26Bが回転体22の内外径方向に遊動してしまうと、ぜんまいばね26の板間摩擦が発生するおそれがある。この板間摩擦が発生すると、ぜんまいばね26の戻しばね力による巻取体4の中心軸20回りのトルクの変化は、図9に示すラインAのように、ぜんまいばね26の上記式(T=πEbh3N/6L)で表される理論上のトルクTの変化とはならない。すなわち、ぜんまいばね26のヒステリシスが大きくなり、シャッターカーテン1の開閉移動領域Hにおいて、本来の戻しばね力を発生させることができない。
しかし、前述した第1の実施形態に係る遊動抑制手段21では、カップ状部材24の胴部24Cに形成された突片部24Eが、ぜんまいばね26の外端部26Bが係止する被係止部となっており、胴部24Cの開口部24Hの周縁部24Iが、ぜんまいばね26における外端部26Bからこのぜんまいばね26の長さ方向に離間した部分26Eが当接する当接部となっている。すなわち、この第1の実施形態では、カップ状部材24の胴部24Cに形成された突片部24Eと、胴部24Cの開口部24Hの周縁部24Iとを含んで構成されている遊動抑制手段21により、ぜんまいばね26の外端部26Bが、回転体22の内外径方向へ遊動することが抑制されるようになっている。
このため、この第1の実施形態によると、ぜんまいばね26の板間摩擦の発生が防止され、シャッターカーテン1の開閉移動領域Hにおいて、所定のぜんまいばね26の戻しばね力を確保できる。言い換えると、図9のラインAで示されたトルク特性を実現できるものとなる。
なお、このぜんまいばね26の巻き締め中期の状態からぜんまいばね26がさらに巻き締められると、図示されていないが、ぜんまいばね26の内層部が偏りのない密巻き部となっていくとともに、外端部26Bの外層部が粗巻き部となっていく。そして、ぜんまいばね26の巻き締め終期においては、図8の状態とは正反対の状態、すなわち、ぜんまいばね26の内層部全体が偏りのない密巻き部となり、外端部26Bの外層部が粗巻き部となる。
このため、シャッターカーテン1が巻取体4から繰り出されて閉じ移動すると、ぜんまいばね26には巻き締めによって所定の戻しばね力が蓄圧されることになり、シャッターカーテン1を開き移動させてこのシャッターカーテン1を巻取体4に巻き取らせるときには、この蓄圧された戻しばね力が回転体22の回転を補助するための補助力として利用される。
これにより、前述した手掛け部6や操作棒を用いた手動操作によってシャッターカーテン1を上方へ開き移動させる際、この開き移動を軽く行うことができる。また、これにより、シャッターカーテン1をゆっくり閉じ移動させるときも、このシャッターカーテン1の全重量を操作者が支える必要が無く、また、シャッターカーテン1の重量によって閉じ移動速度(閉鎖速度)が加速することを抑制することができる。なお、ぜんまいばね26の戻しばね力によるトルクとシャッターカーテン1の重量によるトルクが略又は完全に釣り合っている場合には、後述するブレーキ装置やストップ装置が無くても、摩擦により任意の位置でシャッターカーテン1の移動を停止させておくことができる。
なお、シャッターカーテン1が全開位置に達しているときに、シャッターカーテン1に予定外の下向きの外部力が作用してもシャッターカーテンが下向きに閉じ移動しないようにするため、巻取体4に、回転体22の回転を阻止する手動式のブレーキ装置を設けたり、前記まぐさ等の配置箇所に、座板等のシャッターカーテン構成部材に係脱自在に係合する係合部材を備えた手動式のストップ装置を設けたりし、シャッターカーテン1を下向きに閉じ移動させる際には、手動操作によってこれらのブレーキ装置やストップ装置を解除できるようにしてもよい。これらのブレーキ装置やストップ装置は、シャッターカーテン1が全開位置でない位置から全開位置に達したときに、例えばまぐさに当接した反動により跳ね返らないように自動的に作動するものでもよい。
なお、本実施形態に係るシャッター装置において、ぜんまいばね26を巻き締める作業(蓄圧された戻しばね力を減少させる等のためにぜんまいばね26を巻き戻す(言い換えると、巻き緩める)作業を含む)は、以下のように行う。
それぞれの回転体22の巻芯部材27を図3で示した結合具29で中心軸20に結合する前に、複数本のバー状部材23により連結されたこれらの回転体22の回転を図示しない拘束具等で止めながら、図3で示す2個の工具40を使用してそれぞれの巻芯部材27を中心軸20に対して回転させ、これにより、カップ状部材24の内部空間Sに収納されているそれぞれのぜんまいばね26を巻き締める。
それぞれの巻芯部材27の軸方向両端部には、前記受け片27Bを切り倒し加工によって形成した際に生ずる切欠部41が、巻芯部材27の円周方向に等間隔又は略等間隔で複数個設けられている。そして、巻芯部材27の一方の軸方向端部に設けられている複数個の切欠部41は、他方の軸方向端部に設けられている複数個の切欠部41と、巻芯部材27の円周方向にずれている。同じ形状、構造を有している2個の工具40は、これら複数個の切欠部41に係合する突起を備えている。
ぜんまいばね26を巻き締めるためには、まず、2個の工具40のうちの一方の工具40を3本のバー状部材23のうちの任意の2本のバー状部材23の間から挿入し、この一方の工具40の突起を巻芯部材27の軸方向両端部のうちのいずれか一方の軸方向端部(図3では左端部)の切欠部41に係合させる。
この後、前記一方の工具40をぜんまいばね26に戻しばね力が蓄圧される方向に所定角度回動操作する。これにより、前記一方の工具40の突起からの回転力によって巻芯部材27は中心軸20を中心に回転する。前記一方の工具40を所定角度(例えば、工具40の一部が回動操作方向側に存在するバー状部材23に当接するまで、あるいは、当接する手前まで)回動操作したら、巻芯部材27が逆回転しないように前記一方の工具40の回動を阻止した状態にしておく。この状態で、他方の工具40を前記2本のバー状部材23の間から挿入し、この工具40の突起を巻芯部材27の他方の切欠部41(図3では右端部)に係合させる。
この後、前記一方の工具40の突起を巻芯部材27の切欠部41から取り外し、今度は、前記他方の工具40を前記一方の工具40と同様に所定角度回転操作する。前記他方の工具40を所定角度回動操作したら、巻芯部材27が逆回転しないように前記他方の工具40の回動を阻止した状態にしておく。この状態で、前記一方の工具40を前記2本のバー状部材23の間から再び挿入し、この工具40の突起を巻芯部材27の一方の切欠部41(図3では左端部)に再度係合させる。この後、前記他方の工具40の突起を巻芯部材27の切欠部41から取り外す。
これ以降は、以上の操作を繰り返す。すなわち、2個の工具40のうちの一方の工具40の回動操作と、他方の工具40の回動操作とを交互に行うことを繰り返す。これにより巻芯部材27が回転し、ぜんまいばね26が巻き締められ、この結果、ぜんまいばね26には戻しばね力が生じる。
なお、2個の工具40の回動操作は人間の手操作力でなされるものでもよく、電動モータ等による駆動装置からの駆動力でなされるものでもよい。
これらのぜんまいばね26の巻き締め作業、言い換えると、これらのぜんまいばね26に戻しばね力を蓄圧する作業は、シャッターカーテン1の全閉時における全部のぜんまいばね26の戻しばね力による巻取体4の中心軸20回りのトルクと同じ大きさのトルクがこれらのぜんまいばね26によって生ずるまで行う。
全部のぜんまいばね26に戻しばね力を蓄圧する作業が終了したら、それぞれの巻芯部材27を前記結合具29で中心軸20に結合するとともに、前記軸受け35の外輪部材35Aに形成されている孔42、内輪部材35Bに形成されている孔43、巻芯部材27に形成されている孔44、さらに中心軸20に形成されている孔にボルトを挿通し、反対側まで貫通させたこのボルトの端部にナットを螺合する。これにより、これらのボルトとナットによる結合具によってそれぞれの巻芯部材27と回転体22を中心軸20に固定させる。
なお、内輪部材35Bと巻芯部材27の孔43,44は円周方向に複数形成されており、このため、ぜんまいばね26の戻しばね力が所定値となったときにぜんまいばね26の巻き締め作業を終了させても、その戻しばね力又はその戻しばね力に近い戻しばね力を維持した状態で、上記ボルトとナットによる結合具により、巻芯部材27と回転体22を中心軸20に固定することができる。また、上記結合具29のボルトを挿通するための巻芯部材27の孔も円周方向に複数形成されている。
次に、予め座板1Aを取り付けておいたシャッターカーテン1の上端部を、図1で示されているシャッターケース3の下面3Aに形成されているまぐさに下方から吊り上げながら挿入し、シャッターカーテン1の上端部を、前述したように、それぞれの回転体22のホイール部材25の環状フランジ部25Aに結合する作業を行う。このとき、シャッターカーテン1は略全閉位置まで降ろした状態となる。そして、軸受け35の外輪部材35Aの孔42、内輪部材35Bの孔43、巻芯部材27の孔44、さらに中心軸20の孔に挿通されていた前記ボルトから前記ナットを取り外してこのボルトを引き抜く作業を行い、結合具28,29はそのまま残す。そして、シャッターカーテン1を全開位置まで巻き取る。この後、左右のガイドレール2を設置する作業を行い、このとき、シャッターカーテン1の下端部の幅方向両端部が左右のガイドレール2の上端部の内部に挿入されるようにしながらガイドレール2を設置位置まで移動させる。
前述した、シャッターカーテン1を略全閉位置まで降ろした状態で、軸受け35の外輪部材35Aの孔42、内輪部材35Bの孔43、巻芯部材27の孔44、さらに中心軸20の孔に挿通されていた前記ボルトから前記ナットを取り外してこのボルトを引き抜く作業により、ぜんまいばね26に蓄圧されていた戻しばね力は解放可能状態となり、それぞれの回転体22(回転体22同士を連結するバー状部材23を含む)は中心軸20を中心に回転自在となるため、シャッターカーテン1に小さな押し上げ力を与えることにより、回転体22は、ぜんまいばね26の既に蓄圧されていた戻しばね力を回転付勢力として利用しながらシャッターカーテン1を開き移動させる回転を行い、シャッターカーテン1は全開位置に達する。
図11及び図12は、第2の実施形態に係る遊動抑制手段121が設けられているカップ状部材124を示す図であり、図11は、前述の図6と同様にカップ状部材124の拡大斜視図であり、図12は、前述の図8と同様にカップ状部材124の拡大断面図であって、ぜんまいばね26の外端部26Bがカップ状部材124に連結された状態を示す図である。なお、図12において、ぜんまいばね26の大部分は省略してある。また、以下に説明する実施形態の図面において、前述の第1実施形態と同じ部材等には同一符号を付し、それらの説明は省略する。
図11に示すように、カップ状部材124の胴部124Cの一部(図11では上部)には、カップ状部材124の内径方向へ窪んだ窪み部124Eがプレス成形等により形成されている。この窪み部124Eは、カップ状部材124の軸方向に長い長方形の形状を有する窪み部となっている。
この窪み部124Eにおけるカップ状部材124の周方向の両側面部124F,124Gのうち、回転体22の他方の回転方向(ぜんまいばねに戻しばね力が蓄圧される回転方向とは反対の回転方向)の側面部、すなわち、回転体22のシャッターカーテン1を巻き取る回転方向(図12では矢印R方向)の側面部である側面部124Fには、カップ状部材124の軸方向に長く、ぜんまいばね26の外端部26Bが挿通可能な開口部124Hが形成されている。一方、回転体22の一方の回転方向(ぜんまいばねに戻しばね力が蓄圧される回転方向)の側面部、すなわち、回転体22のシャッターカーテン1を繰り出す回転方向(図12では矢印F方向)の側面部である側面部124Gにも、カップ状部材124の軸方向に長く、ぜんまいばね26の外端部26Bが挿通可能な開口部124Iが形成されている。この開口部124Iは、前記開口部124Hと同じ又は略同じ形状を有している。
図12に示すように、フック部となっているぜんまいばね26の外端部26Bをカップ状部材124に連結するためには、まず、ぜんまいばね26の外端部26Bを前記開口部124Hに挿通させた後、さらに、前記開口部124Iに挿通させる。次に、この開口部124Iに挿通させたぜんまいばね26の外端部26Bを、開口部124Iの周縁部124K(言い換えると、窪み部124Eの底部124Lにおける回転体22のシャッターカーテン1を繰り出す回転方向側の端部)に係止させることで、ぜんまいばね26の外端部26Bはカップ状部材124に連結される。このとき、ぜんまいばね26における外端部26Bからこのぜんまいばね26の長さ方向に離間した部分26Eの内側は、開口部124Hの周縁部124J(言い換えると、窪み部124Eの底部124Lにおける回転体22のシャッターカーテン1を巻き取る回転方向側の端部の上面)に当接する。
このため、この第2の実施形態では、窪み部124Eの前記一方の側面部124Gに形成された開口部124Iの周縁部124Kが、ぜんまいばね26の外端部26Bが係止する被係止部となっており、窪み部124Eの前記他方の側面部124Fに形成された開口部124Hの周縁部124Jが、ぜんまいばね26における前記外端部26Bからこのぜんまいばね26の長さ方向に離間した部分26Eの内側が当接する当接部となっている。
以上説明した第2の実施形態では、回転体22を構成するカップ状部材124の一部に形成され、このカップ状部材124の内径方向へ窪んだ窪み部124Eの一部が、遊動抑制手段121を構成する被係止部及び当接部となっている。このため、この第2の実施形態によると、カップ状部材124の外径寸法が大きくなることはない。
なお、この第2の実施形態では、カップ状部材124の開口部124Hと開口部124Iが同じ又は略同じ形状を有しているので、回転体22の一方の回転方向と他方の回転方向とが互いに逆となるなどしてぜんまいばね26の巻き方向を逆向きとする場合でも、開口部124Hを被係止部とし、開口部124Iを当接部とすることによって、同一のカップ状部材124を使用することができる。
図13は、第3の実施形態に係る遊動抑制手段121´を示す図であり、前述の図8と同様の図である。この第3の実施形態に係る遊動抑制手段121´が前述の第2の実施形態に係る遊動抑制手段121と異なるのは、図13に示されているように、窪み部124Eの底部124Lにおける回転体22の他方の回転方向側、言い換えると、回転体22のシャッターカーテン1を巻き取る回転方向側(図13では矢印R方向側)の端部及びその近傍が、カップ状部材124の内径方向に湾曲した湾曲部124Mとなっている点のみである。
この第3の実施形態では、前記湾曲部124Mが、ぜんまいばね26における前記外端部26Bからこのぜんまいばね26の長さ方向に離間した部分26Eの内側が当接する当接部となっている。
このため、この第3の実施形態によると、ぜんまいばね26の前記部分26Eの内側が湾曲部124Mに当接しても、前記部分26Eがカップ状部材124の内径方向へ折れ曲がることがより確実に防止される。
図14及び図15は、第4の実施形態に係る遊動抑制手段221が設けられているカップ状部材224を示す図であり、前述の図6及び図8と同様の図である。
図14に示すように、カップ状部材224の軸方向両端部のうちの一方の軸方向端部224A、言い換えると、ホイール部材25と結合している軸方向端部とは反対側の軸方向端部224Aには、カップ状部材224の軸方向(言い換えると、水平方向又は略水平方向)に突出した突片部224Eが形成されている。この突片部224Eは、カップ状部材224の軸方向端部224Aの一部をカップ状部材224の内部空間へ切り起こすことにより形成したものであり、カップ状部材224の軸方向に長い長方形の形状を有している。
カップ状部材224の一方の軸方向端部224Aに突片部224Eが形成されることにより、この軸方向端部224Aには、カップ状部材224の直径方向に長い長方形の形状を有する開口部224Hが形成され、図15に示すように、この開口部224Hの幅寸法は、巻芯部材27が貫通可能な大きさを有している。
フック部となっているぜんまいばね26の外端部26Bをカップ状部材224に連結するためには、まず、ぜんまいばね26の外端部26Bを、カップ状部材224の突片部224Eにおける回転体22の他方の回転方向側、言い換えると、回転体22のシャッターカーテン1を巻き取る回転方向側(図15では矢印R方向側)の端部224Fの上面と、カップ状部材224の内周面224Iとの間に形成された隙間G1に挿通させた後、さらに、突片部224Eにおける回転体22の一方の回転方向側、言い換えると、回転体22のシャッターカーテン1を繰り出す回転方向側(図15では矢印F方向側)の端部224Gと、カップ状部材224の内周面224Iとの間に形成された隙間G2に挿通させる。この後、フック部となっているぜんまいばね26の外端部26Bを突片部224Eの前記端部224Gに係止させることで、ぜんまいばね26の外端部26Bはカップ状部材224に連結される。このとき、ぜんまいばね26における前記外端部26Bからこのぜんまいばね26の長さ方向に離間した部分26Eの内側は、突片部224Eの端部224Fに当接する。
このため、この第4の実施形態では、突片部224Eにおける回転体22の前記一方の回転方向側の端部224Gが、ぜんまいばね26の外端部26Bが係止する被係止部となっており、突片部224Eにおける回転体22の前記他方の回転方向側の端部224Fが、ぜんまいばね26における前記外端部26Bからこのぜんまいばね26の長さ方向に離間した部分26Eの内側が当接する当接部となっている。
以上説明した第4の実施形態では、回転体22を構成するカップ状部材224の軸方向端部の一部を切り起こすだけで、遊動抑制手段221を構成する被係止部及び当接部となる突片部224Eが形成される。このため、この第4の実施形態によると、前述した第1〜第3の実施形態と比較して、より簡単な加工方法でカップ状部材224に遊動抑制手段を設けることができる。
なお、この第4の実施形態において、ぜんまいばね26の外端部26Bが係止する被係止部である突片部は、カップ状部材224の軸方向両端部のうちの一方の軸方向端部の一部をカップ状部材224の内部空間へ切り起こすことにより形成したものあったが、カップ状部材224の軸方向両端部のそれぞれの一部をカップ状部材224の内部空間へ切り起こすことにより形成したものを突片部としてもよい。この場合には、それぞれの軸方向端部に形成される突片部の切り起こし高さ、言い換えると、突片部の軸芯からの距離が同じ又は略同じとなっている必要がある。
また、この第4の実施形態において、ぜんまいばね26の外端部26Bが係止する被係止部である突片部は、カップ状部材224の軸方向端部224Aの一部をカップ状部材224の内部空間へ切り起こすことにより形成したものあったが、前記突片部224Eと同様又は略同様の形状を有する板状部材等を、カップ状部材224の軸方向端部224Aに溶接、接着剤等で結合したものを突片部としてもよい。
なお、以上の第1〜第4の実施形態では、ぜんまいばね26のうちの遊動抑制手段の当接部に当接する部分は、回転体22の回転方向(前述の図中に示した矢印R方向及び矢印F方向)にスライド自在になっている。このため、以上の第1〜第4の実施形態によると、ぜんまいばね26の板間摩擦の発生をより確実に防止できるものとなっている。
図16及び図17は、第5の実施形態に係る遊動抑制手段321が設けられているカップ状部材324を示す図であり、前述の図6及び図8と同様の図である。
図16に示すように、カップ状部材324の胴部324Cの一部(図16では上部)には、このカップ状部材324の外径方向へ膨出した膨出部324Eがプレス成形等により形成されている。この膨出部324Eのうちのカップ状部材324の軸方向両端部及びその近傍を除いた部分は、回転体22の一方の回転方向側、言い換えると、回転体22のシャッターカーテン1を繰り出す回転方向側(図17に示す矢印F方向側)の傾斜部からカップ状部材324の内径方向へ切り倒すことにより形成された突片部324Gとなっている。この突片部324Gは、図17に示すように、回転体22の一方の回転方向への成分を有する方向へ突出している。
さらに、胴部324Cにおける膨出部324Eから回転体22の他方の回転方向、言い換えると、回転体22のシャッターカーテン1を巻き取る回転方向(図17の矢印R方向)へ離間した箇所にも、カップ状部材324の外径方向へ膨出した膨出部324Fがプレス成形等により形成されている。この膨出部324Fの頂部には、3個の貫通孔324Hがカップ状部材324の軸方向に等間隔で形成されている。
図17に示すように、この第5の実施形態におけるぜんまいばね26の外端部26Bも、回転体22の円周方向に折り曲げられることにより形成されたフック部となっているが、ぜんまいばね26の外端部26Bの折り曲げ方向は、前述の第1〜第4の実施形態における外端部26Bとは異なり、内端部26Aの折り曲げ方向と反対の方向となっている。なお、ぜんまいばね26の前記外端部26Bからこのぜんまいばね26の長さ方向に離間した部分26Eには、一部しか図示されていないが、3個の貫通孔26Fがカップ状部材324の軸方向に等間隔で形成されている。
フック部となっているぜんまいばね26の外端部26Bをカップ状部材324に連結するためには、まず、ぜんまいばね26の外端部26Bを前記突片部324Gに係止させる。次に、ぜんまいばね26に形成された前記3個の貫通孔26Fの位置が、膨出部24Fに形成された前記3個の貫通孔324Hの位置と一致するように、ぜんまいばね26における前記外端部26Bからこのぜんまいばね26の長さ方向に離間した部分26Eを、カップ状部材324の膨出部324Fの内周面324Iに密着させる。この後、3個のリベット325を、膨出部324Fに形成された前記3個の貫通孔324H、及びぜんまいばね26に形成された前記3個の貫通孔26Fに挿通し、それぞれのリベット325の先端を加締める。これにより、ぜんまいばね26の外端部26Bはカップ状部材224に連結される。
以上説明したこの第5の実施形態では、ぜんまいばね26の外端部26Bが係止する被係止部が、カップ状部材324の膨出部324Fに形成された突片部324Gとなっており、ぜんまいばね26における外端部26Bからこのぜんまいばね26の長さ方向に離間した部分26Eを、回転体22を構成するカップ状部材324に止着するための止着具が、3個のリベット325となっている。
この第5の実施形態では、ぜんまいばね26における外端部26Bからこのぜんまいばね26の長さ方向に離間した部分26Eは、カップ状部材324の膨出部324Fの内周面324Iで止着され、このとき、止着具である3個のリベット325の先端は、図17に示されているように、前記膨出部324Fの内部に納まるようになっている。このため、3個のリベット325の先端が、ぜんまいばね26のうちのカップ状部材324に止着されている部分以外の部分と接触することを防ぐことができる。
なお、この第5の実施形態において、ぜんまいばね26の外端部26Bが係止する被係止部である突片部は、カップ状部材324の一部である膨出部324Fを切り倒すことにより形成したものであったが、前記突片部324Gと同様又は略同様の形状を有する板状部材等を、カップ状部材324の膨出部324Fの内周面に溶接、接着剤等で結合したものを突片部としてもよい。