JP4722597B2 - 開閉装置 - Google Patents

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本発明は、開閉体を巻き取り、繰り出すことによって開閉体を上下に開閉移動させる巻取体と、開閉体を下方へ閉じ移動させる巻取体の一方への回転時に蓄圧された戻しばね力が開閉体を上方へ開き移動させる巻取体の他方への回転時に利用される戻しばねとを備えた開閉装置に係り、例えば、開閉体がシャッターカーテンとなっている防災用シャッター装置及び開口部用シャッター装置を含む各種のシャッター装置や、ロールブラインド装置、オーニング装置、防煙垂れ幕装置等の開閉装置に利用できるものである。
下記の特許文献1には、開閉装置であるシャッター装置が示され、このシャッター装置には、開閉体であるシャッターカーテンを上下に開閉移動させるためにこのシャッターカーテンを巻き取り、繰り出す巻取体が設けられているとともに、シャッターカーテンを下方へ閉じ移動させるための巻取体の一方への回転時に戻しばね力が蓄圧され、この蓄圧された戻しばね力がシャッターカーテンを上方へ開き移動させるための巻取体の他方への回転のために利用される戻しばねも設けられている。また、下記の特許文献2では、2個のの戻しばねを組み合わせて用いている。
特許第2697541号公報(段落番号0007,0008、図2) 特開平5−93487号公報(段落番号0012〜0015,0018〜0023、図1)
シャッターカーテンを巻取体の正逆回転で巻き取り、繰り出して上下に開閉移動させるシャッター装置に上記戻しばねを設ける場合には、この戻しばねの蓄圧される戻しばね力は、シャッターカーテンが上方へ開き移動するときに、上述のようにこの開き移動のために用いられるとともに、シャッターカーテンが下方へ閉じ移動するときに、シャッターカーテンが自重で急激に閉じ移動するのを抑えるための抑制力としても利用されるため、戻しばねのばね特性は、巻取体中心軸回りのシャッターカーテンの自重による自重トルクと適合していることが好ましい。
そして、この自重トルクは、巻取体から繰り出されているシャッターカーテンの部分の自重と、巻取体中心軸からのシャッターカーテンの巻径とを積算した値となっており、この自重トルクは、巻取体からのシャッターカーテンの繰り出しの進行に伴って変化するが、シャッターカーテンが全開になっているときの上記巻径は大きいため、全開を始点とするシャッターカーテンの閉じ移動開始初期領域において、上記自重トルクは大きく変化する。このため、上記戻しばねは、このような自重トルクの変化に適合したばね特性を有していることが望ましい。
本発明の目的は、戻しばねのばね特性を、開閉体が全開から下方へ繰り出されるときの開閉体の自重トルクの変化と適合させることができ、これによって開閉体の繰り出しを円滑に行えるようになる開閉装置を提供するところにある。
本発明に係る開閉装置は、開閉体を巻き取り、繰り出してこの開閉体を上下に開閉移動させるための巻取体と、前記開閉体の下方への閉じ移動のための前記巻取体の一方への回転時に戻しばね力が蓄圧され、この蓄圧された戻しばね力が前記開閉体の上方への開き移動のための前記巻取体の他方への回転のために利用される戻しばねと、を含んで構成される開閉装置において、前記戻しばねは、前記蓄圧された戻しばね力によるトルクが次第に小さくなる増加率で増加する領域を有するばねとなっており、この領域内に、前記巻取体の前記一方の回転による前記開閉体の繰り出しが始まる前の開閉体全開時があり、この開閉体全開時からの前記開閉体の繰り出しに伴って前記トルクが増加することを特徴とするものである。
前述したように、開閉体が全開になっているときにおける巻取体中心軸からの開閉体の巻径は大きいため、開閉体を下方へ繰り出すために巻取体が1回転等の所定角度の回転を行うと、この所定角度の回転によって下方へ繰り出される開閉体の長さは、開閉体が全開となっていないときから始まる巻取体の所定角度の回転よりも長いものとなる。そして、開閉体が全開から巻取体の上記所定角度の回転によって繰り出されると、開閉体の上記巻径は減少するが、この巻径の減少よりも、全開からの開閉体の下方への繰り出し長さが開閉体の自重トルクの増大に貢献し、このときの自重トルクの増加率は大きい。このため、上述したように戻しばねが、蓄圧された戻しばね力によるトルクが次第に小さくなる増加率で増加する領域を有するばねとなっており、この領域内に、巻取体の一方の回転による開閉体の繰り出しが始まる前の開閉体全開時があり、この開閉体全開時からの開閉体の繰り出しに伴って前記トルクが増加するようになっていることにより、戻しばねのばね特性は、開閉体が全開から下方へ繰り出されるときの開閉体の自重トルクの変化と適合することになり、これにより、開閉体を戻しばねの戻しばね力との関係によって円滑に上下に開閉移動させることができる。
なお、以上において、開閉体全開時が、戻しばねの上記トルクが次第に小さくなる増加率で増加する前記領域の始点と一致又は略一致してもよい。
また、前述したように、戻しばねの蓄圧された戻しばね力を開閉体の上方への開き移動のための巻取体の前記他方への回転のために利用することは、この戻しばね力だけで巻取体を前記他方へ回転させることでもよく、例えば、手操作力や、開閉機等の駆動装置の駆動力等のような開閉体又は巻取体に作用させる開閉体開き移動力を補助するために、この戻しばね力を利用することでもよい。
本発明において、上述のように蓄圧された戻しばね力によるトルクが次第に小さくなる増加率で増加する領域を有するばねであれば、その後の戻しばねのトルクの変化は任意でよく、例えば、その後のトルクの増加率は一定値又は略一定値となってもよく、あるいは、その後のトルクの増加率は増大してもよく、また、その後のトルクの増加率は次第に低下することを継続してもよい。
開閉体の全開からの繰り出しが進行すると、上記巻径は減少するため、開閉体を下方へ繰り出すために巻取体が1回転等の所定角度の回転を行ったときの開閉体の繰り出し長さは次第に短くなる。このため、開閉体の全開からの繰り出しが進行すると、開閉体の自重トルクの増加率は一定値又は一定値に近似した値になる。
このように開閉体の自重トルクが一定値又は一定値に近似した値となっているときに、開閉体が全閉位置に達するようになっている場合には、戻しばねを、開閉体の繰り出しの進行に伴って戻しばね力による前記トルクの増加率が一定値又は略一定値となる領域を有するばねとし、この領域内に、開閉体が全閉となる開閉体全閉時があるように設定することが好ましい。
これによると、開閉体の全開からの繰り出しが進行し、開閉体が全閉となるまでについても、戻しばねのばね特性を開閉体の自重トルクの変化と適合させることができるようになる。
なお、本発明に係る戻しばねは、開閉体の繰り出しの進行に伴って戻しばね力による前記トルクの増加率が一定値又は略一定値となる領域を有していれば、その後のトルク特性については任意なばねでよく、例えば、この領域で終了するばねでもよく、あるいは、その後に、例えば、トルクの増加率が増加したり減少したりするばねでもよい。後者のように、その後のトルクの増加率が変化するばねについては、開閉体が全閉位置に達するときが、トルクの増加率が一定値又は略一定値となっている領域と、このトルクの増加率が変化している領域との境界であってもよい。
また、本発明において、開閉体の全開、全閉とは、開閉体で開閉される出入口等の開口部が全開、全閉となることでもよく、あるいは、前記巻取体の回転数や開閉体の開閉移動を案内するガイド部材の長さ等によって設定される巻取体による開閉体の巻き取り限界、繰り出し限界等で規定されることでもよい。
また、本発明において、戻しばねは、開閉体を巻き取り、繰り出す巻取体の一方の回転時に戻しばね力が蓄圧され、この蓄圧された戻しばね力を巻取体の他方の回転のために利用することができるものであれば、任意なばねでよく、例えば、ねじりコイルばねでもよく、軸方向に次第に変位しながら巻回しているばね、すなわち、円錐形ばねやたる形ばねでもよく、軸方向の同じ位置又は略同じ位置で一方の端部から他方の端部に向かって渦巻き状に巻回している渦巻きばね等でもよい。
戻しばねを、軸方向の同じ位置又は略同じ位置で一方の端部から他方の端部に向かって渦巻き状に巻回している渦巻きばねとすると、この渦巻きばねの軸方向における幅寸法を小さくできることになり、これにより、戻しばねが配置される巻取体全体の軸長寸法を短くできる。
さらに、渦巻きばねは軸方向における幅寸法が小さいばねであるため、戻しばねを渦巻きばねとした場合には、開閉体の幅寸法を開閉体の上下開閉移動長さよりも小さくすること、言い換えると、開閉体の上下開閉移動長さを開閉体の幅寸法よりも大きくすることが可能となる。
また、戻しばねを渦巻きばねとする場合には、この渦巻きばねは、板材を渦巻き状に巻回して形成されているばね、すなわち、ぜんまいばねでもよく、断面円形や断面楕円形、断面矩形の線材等を渦巻き状に巻回したものでもよい。また、これらのいずれかで戻しばねを形成した場合には、巻き数や全長等は任意である。
渦巻きばねを、板材を渦巻き状に巻回して形成したぜんまいばねとすると、板材の厚さは小さいため、戻しばね全体の直径を小さくでき、これにより、戻しばねを直径方向の寸法が小さい空間に有効に配置することができる。
また、本発明において、前記巻取体を、少なくとも開閉体の前記巻き取り、繰り出し時に回転しない中心軸と、開閉体を巻き取り、繰り出しのためにそれぞれがこの中心軸を中心に正逆回転自在であって、中心軸の外周に軸方向に離れて配置された複数個の回転体と、を有する構成としてもよい。そして、前記戻しばねをぜんまいばねとする場合には、これらの回転体のうちの少なくとも2個の回転体にぜんまいばねを設け、これらのぜんまいばねの一端を、巻取体の円周方向の一方の側へ折り曲げて中心軸側に係止するとともに、ぜんまいばねの他端を、巻取体の円周方向の他方の側へ折り曲げて回転体側に係止し、ぜんまいばねが設けられている前記少なくとも2個の回転体を、中心軸の直径方向へ立ち上がった立上り部と、中心軸の軸方向への幅を有する筒部と、を有して形成し、この筒部にぜんまいばねの前記他端を係止するとともに、前記少なくとも2個の回転体の前記筒部を、前記立上り部に対して中心軸の軸方向の同じ側に配置することが好ましい。
これによると、ぜんまいばねの戻しばね力の締め付け力を有効に活用してぜんまいばねの一端を中心軸側へ係止できるようにするとともに、他端を回転体の筒部に係止できるようにしても、上記少なくとも2個の回転体について、これらの回転体の形状を共通化することができ、これにより、その分だけこれらの回転体を含んで構成される巻取体全体の製造コストを低減できる。
また、上記少なくとも2個の回転体に設けるそれぞれのぜんまいばねは、巻回方向が同じになっている戻しばねでよくなり、ぜんまいばねの共通化も達成することができる。
なお、前述の「少なくとも開閉体の前記巻き取り、繰り出し時に回転しない中心軸」とは、この中心軸は常時回転しない軸となっていてもよく、あるいは、例えば、ぜんまいばねに所定の戻しばね力を蓄圧するための巻き締め作業等を行うときには、この中心軸を回転させてもよい等との意味である。
また、前記中心軸の外周に軸方向に離れて配置される複数個の回転体の間隔は任意であり、回転体の個数を3個以上とする場合には、それぞれの間隔を同じにしてもよく、異なられてもよく、さらには、回転体の個数が2個以上である場合には、全部の回転体同士又は一部の回転体同士を互いに接触させて配置してもよい。
さらに、前記回転体の個数は2個でもよく、3個以上でもよい。
回転体の個数が3個以上であって、これらの回転体の全部にぜんまいばねが設けられる場合に、これらの回転体の全部について、前記筒部を、前記立上り部に対して中心軸の軸方向の同じ側に配置することにより、これらの回転体の全部の形状を共通化することができ、すなわち、全部の回転体を同じ形状、構造にでき、形状及び構造が異なる回転体を用意する必要がなくなる。
また、本発明において、合計のばね特性が前述した特性となっていれば、前記少なくとも2個の回転体に設けるぜんまいばねは、それぞれのばね特性が同じとなっているばねでもよく、異なっているばねでもよい。言い換えると、これらのぜんまいばねは、材質が同じであって、厚さや直径、幅等の寸法も同じ、全長も同じとなっている材料を同じ回数分だけ巻回することにより生産した1種類のばねでもよく、材質と、厚さや直径、幅等の寸法と、全長と、巻回数とのうち、少なくとも1つ、例えば、幅寸法が異なっているばねでもよい。そして、前記少なくとも2個の回転体に設けるぜんまいばねを、材質が同じであって、厚さや直径、幅等の寸法も同じ、全長も同じとなっている材料を同じ回数分だけ巻回することにより生産した1種類のばねとした場合には、これらのぜんまいばねを設ける前記回転体の寸法等を同じにできるため、これらの回転体の形状の共通化を一層有効に達成できることになる。
なお、このように前記少なくとも2個の回転体に設けるぜんまいばねを、ばね特性が同じになっているばねとする場合には、これらのぜんまいばねを開閉体の幅方向中央に対して対称の位置又は略対称の位置に配置することが好ましい。これによると、それぞれのぜんまいばねによるばね特性が開閉体の幅方向中央に対して同一の特性又は略同一の特性となり、これにより、開閉体全体を前記中心軸の軸方向に渡ってバランスよく巻き取り、繰り出すことができるようになる。
また、前記少なくとも2個の回転体のそれぞれに設けるぜんまいばね個数は、1個でもよく、複数個でもよい。これらの回転体のそれぞれに設けるぜんまいばねの個数を複数個とするためには、回転体の大きさをその最大個数のぜんまいばねを配置できる大きさとするとともに、これらのぜんまいばねの一端と他端を係止することができる部分を中心軸側と回転体の筒部に設け、これにより、最大個数から選択された任意の個数のぜんまいばねの一端と他端をこれらの部分に係止できるようにすればよい。
また、ぜんまいばねの一端を前記中心軸側に係止するためには、巻取体の円周方向の一方の側へ折り曲げたぜんまいばねの一端を、中心軸に直接設けた溝、スリット、突起、孔等による被係止部に係止してもよく、あるいは、中心軸に、ぜんまいばねが設けられる回転体ごとに巻芯部材を固定し、この巻芯部材に設けた溝、スリット、突起、孔等による被係止部にぜんまいばねの一端を係止してもよい。
後者によると、ぜんまいばねの一端は、ぜんまいばねが設けられる回転体ごとに用意された巻芯部材に係止されることになるため、1個のぜんまいばねごとに、回転体とぜんまいばねと巻芯部材とを含んで構成される1個のぜんまいばねユニットを形成できることになり、このため、中心軸へのぜんまいばねの配置作業を容易化できるなどの効果を得られる。
また、ぜんまいばねが設けられる回転体の構造は、前記記立上り部と筒部とを有するものであれば、任意なものでよく、例えば、プレス成形等により立上り部と筒部とが一体となって形成されたものでもよく、あるいは、立上り部を形成する第1部材と、筒部を形成する第2部材とを含んで形成され、これらの第1部材と第2部材との結合によって形成されたもの等でもよい。
回転体を、立上り部を形成する第1部材と筒部を形成する第2部材とを含んで形成されていて、これらの第1部材と第2部材との結合によって形成されたものとすると、この回転体を、第1部材と第2部材とを含む分割構造の製品とすることができるため、立上り部及び筒部の形成が容易となり、また、ぜんまいばねの前記他端を係止する上記被係止部を筒部に形成する作業も容易に行える。
また、ぜんまいばねの個数を巻取体の軸方向に並べられた複数個とする場合には、前記巻取体を、少なくとも開閉体の巻き取り、繰り出し時に回転しない中心軸と、開閉体を巻き取り、繰り出しのためにそれぞれがこの中心軸を中心に正逆回転自在であって、中心軸の外周に軸方向に離れて配置された複数個の回転体と、を有して構成するとともに、これらの回転体を連結部材で互いに連結し、ぜんまいばねの個数と同数としたこれらの回転体ごとに巻芯部材を、上記中心軸に対して選択的に結合、回転自在としてこの中心軸の外周に配置し、これらの巻芯部材を中心軸に対して手操作又は駆動装置で回転させることにより、一端が回転体に結合されて他端が巻芯部材に結合されているぜんまいばねを巻き締めることができるようにしてもよい。
これによると、ぜんまいばねの巻き締めによってぜんまいばねの戻しばね力の大きさを調整することができる。
さらに、本発明に係る開閉装置は、開閉体を巻き取り、繰り出して回転体を開閉移動させるための前記巻取体の正逆回転の回転力が手操作力によって付与されるものでもよく、巻取体に正逆回転の回転力を付与するための電動モータ等による駆動装置を備え、この駆動装置からの駆動力で巻取体が正逆回転するものでもよい。すなわち、本発明は、手動式の開閉装置にも適用でき、自動式開閉装置にも適用でき、また、本発明は、手動と自動の併用式の開閉装置にも適用できる。さらに、本発明は、開閉体が自重によって閉じ移動する自重閉鎖式の開閉装置や、開閉体が自重と手操作力の両方によって閉じ移動する自重手動式の開閉装置にも適用できる。
開閉装置に、巻取体に正逆回転の回転力を付与するための電動モータ等による駆動装置を設ける場合には、この駆動装置は任意な場所に配置することができる。その一例は、前記戻しばねが設けられている前記少なくとも2個の回転体を前記中心軸の軸方向に互いに隣り合わせて配置し、駆動装置をこれらの回転体の間に配置することである。
これによると、駆動装置を2個の回転体の間のスペースを有効に利用して配置できる。また、戻しばねを、前述したように、中心軸の軸方向の同じ位置又は略同じ位置で一方の端部から他方の端部に向かって渦巻き状に巻回している渦巻きばねとしている場合には、この渦巻きばねは、中心軸の軸方向における幅寸法が小さいため、駆動装置を含めた巻取体全体の軸長寸法を小さくすることが可能となり、これにより、開閉装置全体を任意な大きさに設定するができて、この大きさを必要に応じてコンパクト化することも実現できるようになる。
また、上述のように、前記中心軸の軸方向に互いに隣り合って配置された前記少なくとも2個の回転体の間に駆動装置を配置する場合には、これらの回転体の間隔は、駆動装置を配置できる大きさがあれば任意であり、駆動装置の大きさと同じでもよく、この大きさよりも大きくてもよい。
さらに、本発明は任意な開閉装置に適用できる。すなわち、本発明は、開閉体がシャッターカーテンとなっているシャッター装置や、ロールブラインド装置、オーニング装置、防煙垂れ幕装置等の任意な開閉装置に適用でき、シャッター装置は、窓や出入口等の開口部をシャッターカーテンで開閉する開口部用シャッター装置でもよく、全閉となったシャッターカーテンで防災区画を形成するための防災用シャッター装置でもよく、車庫用シャッター装置でもよく、物置用シャッター装置でもよく、トラック等の車両の荷台やコンテナのためのシャッター装置等でもよい。そして、防災用シャッター装置には、火災等の災害発生時にシャッターカーテンがエレベータとエレベータホールとの間で閉じ移動するエレベータ用防災シャッター装置が含まれ、また、防災用シャッター装置には、通常時のシャッターカーテンは閉じていたり、人の出入り等のために開閉したりし、火災等の災害発生時には消火活動等を行えるようにするためにシャッターカーテンが開くようになっているシャッター装置も含まれる。
また、本発明をシャッター装置に適用する場合には、シャッターカーテンは任意な材料で形成されているものでよい。すなわち、シャッターカーテンは、その全部又は主要部が複数のスラットの連設で形成されたものでもよく、複数のパネルの連設で形成されたものでもよく、リンクで連結された複数のパイプで形成されたものでもよく、布やシート等の薄厚部材で形成されたものでもよく、ネットで形成されたものでもよく、これらのうちの少なくとも2つの複合で形成されたもの等でもよい。
本発明によると、戻しばねのばね特性を、開閉体が全開から下方へ繰り出されるときの開閉体の自重トルクの変化と適合させることができ、これによって開閉体の繰り出しを円滑に行えるようになるという効果を得られる。
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、本実施形態に係る戻しばね付き巻取体構造が採用されている開閉装置であるシャッター装置の全体正面図が示され、このシャッター装置は、開閉体であるシャッターカーテン1で建物の出入口10を開閉するための出入口用シャッター装置である。また、このシャッター装置は、シャッターカーテン1の自重及び手動操作によりシャッターカーテン1を下向きに閉じ移動させ、手動操作によりシャッターカーテン1を上向きに開き移動させる手動式のタイプのものとなっている。
出入口10の左右両側を形成している壁や柱等による建物躯体11には、上下に延びるガイドレール2が取り付けられ、これらの左右のガイドレール2の内部に、シャッターカーテン1の幅方向両端部である左右両端部がスライド自在に挿入され、シャッターカーテン1はガイド部材であるガイドレール2に案内されて上下方向に開閉移動可能となっている。出入口10の上部には、シャッターケース3が配設され、このシャッターケース3の内部に、正逆回転自在となった巻取体4が左右のブラケット5で支持されて水平に架設されている。シャッターカーテン1の上端部はこの巻取体4に連結され、シャッターカーテン1の上下方向の開閉移動は、巻取体4が正逆回転のうちの一方へ回転することによる巻取体4からのシャッターカーテン1の繰り出し、巻取体4が他方へ回転することによって行われる巻取体4へのシャッターカーテン1の巻き取りによりなされ、このシャッターカーテン1の開閉移動は、シャッターケース3の下面3Aに設けられているまぐさのスリットをシャッターカーテン1が挿通してなされる。
シャッターカーテン1は、閉じ側の先端部である下端部に設けられた座板1Aと、この座板1Aの上部に多数連設されたスラット1Bとを含んで構成され、座板1Aがシャッターケース3の下面3Aのまぐさの高さ位置に達しているときに、シャッターカーテン1は全開位置となっており、座板1Aが出入口10の床10Aに達したときに、シャッターカーテン1は全閉位置となる。このため、これらの全開位置から全閉位置までの領域が、シャッターカーテン1の上下開閉移動長さH、すなわち開閉移動領域である。
そして、本実施形態に係るシャッター装置においては、シャッターカーテン1の左右の幅寸法Sは、この上下開閉移動長さHよりも短い長さとなっている。
シャッターカーテン1を構成している多数のスラット1Bのうち、シャッターカーテン1が全閉位置となったときに腰と同じ高さ程度にある所定のスラット1Bには、左右2個の手掛け部6が設けられ、シャッターカーテン1が全閉位置となっているときに、これら手掛け部6に手を掛けてシャッターカーテン1を持ち上げたり、座板1Aに操作棒の先端を係合してこの操作棒でシャッターカーテン1を上昇させることにより、シャッターカーテンを、この上昇によって正逆回転のうちの前記他方への回転を行うことになる巻取体4に巻き取らせてシャッターカーテン1を全開位置まで開き移動させることができる。また、全開位置に達しているシャッターカーテン1の座板1Aに操作棒の先端を係止してこの操作棒でシャッターカーテン1を下降させたり、手掛け部6に手を掛けてシャッターカーテン1を押し下げることを行うことにより又は行わないことにより、シャッターカーテン1の自重を利用して、シャッターカーテン1を、この下降や押し下げによって正逆回転のうちの前記一方への回転を行うことになる巻取体4から繰り出させて全閉位置まで閉じ移動させることができる。
図2には巻取体4の構造が示されている。巻取体4は、回転しない非回転軸となっている中心部の中心軸20と、シャッターカーテン1の上端部が連結され、中心軸20を中心に正逆回転自在であって、正逆回転のうちの一方への回転によってシャッターカーテン1を閉じ移動させるためにこのシャッターカーテン1を繰り出し、他方への回転によってシャッターカーテン1を開き移動させるためにこのシャッターカーテン1を巻き取るための回転かご体21とを含んで構成され、中心軸20は、軸方向両端部が図1で説明した左右のブラケット5で回転不能に支持されている。回転かご体21は、中心部に中心軸20が貫通した複数個、図示例では、4個の回転体22と、中心軸20の軸方向に延びる長さを有し、中心軸20の軸方向に互いに離間して配置されたこれらの回転体22同士を連結する連結部材となっているバー状部材23とを含んで構成され、パイプやフラットバー等からなるバー状部材23は巻取体4の円周方向に複数本設けられている。
中心軸20に対してそれぞれが正逆回転自在となっている4個の回転体22の全部は同じ形状及び構造となっており、図3は、これらの回転体22のうちの1個を示す正断面図である。図4は、図3のS4−S4線断面図、図5は、図3のS5−S5線断面図である。図3で示されているとおり、回転体22は、中心軸20の軸方向の一方の端部が略閉鎖された端面部24Aとなっていて、他方の端部24Bが開口しているカップ状部材24と、このカップ状部材24の開口した端部24Bの側に配置されていて、この開口端部24Bを略閉鎖された端部とする端部部材となっているホイール部材25との組み合わせによる組合体となっている。カップ状部材24の内部空間Sに、本実施形態に係る戻しばねであって、一端から他端に向かって渦巻き状に巻回している渦巻きばね26が収納配置されている。この渦巻きばね26は、板材を中心軸20の軸方向の同一位置又は略同一位置で渦巻き状に巻回したぜんまいばねである。
このぜんまいばね26は、図2で示されているとおり、全部の回転体22に設けられているとともに、これらのぜんまいばね26は、材質が同じであって、厚さや幅等の寸法も同じ、全長も同じとなっている板材を同じ方向へ同じ回数分だけ巻回することによって生産したものであるため、この実施形態で用いられている戻しばねは、1種類のばねとなっている。
ホイール部材25は、外周面を形成している環状フランジ部25Aと、この環状フランジ部25Aにおける中心軸20の軸方向の一方の端部に設けられた端面部25Bとを有する浅皿形状であり、この端面部25Bに、それぞれの回転体22同士を連結するための前記バー状部材23が挿通結合されている。また、ホイール部材25は、開口している中心軸20の軸方向の他方の端部25Cをカップ状部材24とは反対側に向け、端面部25Bをカップ状部材24の側に向けてこのカップ状部材24に結合されている。この結合は、板金プレス成形品であるカップ状部材24の胴部24Cの前記開口端部24B側の端部に形成されている突片24Dを、ホイール部材25の端面部25Bに形成された孔25Dに挿入した後、突片24Dを折り曲げることによってなされている(図4も参照)。
以上のことから、本実施形態では、ホイール部材の端面部25Bは、中心軸20の直径方向へ立ち上がった回転体22の立上り部となっており、カップ状部材の胴部24Cは、中心軸20の軸方向の幅を有する回転体22の筒部となっている。そして、ホイール部材25は、回転体22を形成する第1部材となっており、カップ状部材24は、回転体22を形成する第2部材となっている。
図3で示されているように、ホイール部材25はカップ状部材24よりも大きい外径を有し、この外径の部分を形成しているホイール部材25の環状フランジ部25Aは、図4で示されているように、中心軸20を中心とする真円状となっておらず、円周方向へ延びるにしたがい中心軸20からの距離が次第に変化する略渦巻き状の異形円となっている。このため、環状フランジ部25Aには、中心軸20の直径方向へ窪んだ段部25Eが形成され、それぞれの回転体22における段部25Eにおいて、シャッターカーテン1の上端部がボルト等による結合具でホイール部材25の環状フランジ部25Aの外面に結合されている。このため、それぞれの回転体22における環状フランジ部25Aは、シャッターカーテン1を巻き取り、繰り出すための巻取体4における部分となっている。
このような環状フランジ部25Aを有しているホイール部材25は、上述のように開口端部25Cをカップ状部材24とは反対側に向けてカップ状部材24に連結されているため、上記のようにシャッターカーテン1の上端部を環状フランジ部25Aの外面に結合するための結合具が、環状フランジ部25Aの内面側へ突出する部分を有するボルト、ナット等であっても、この結合作業を、開口端部25Cから作業者が手や工具等を差し入れることによって容易に行える。
また、図2で示されているように、前記中心軸20の外周面におけるそれぞれの回転体22の配置位置と対応する位置には、巻芯部材27が配置されている。これらの巻芯部材27は、図3で示されているとおり、結合具28,29によって中心軸20に固定されているため、巻芯部材27は、中心軸20と同じく、回転しない非回転部材となっている。図4から分かるように、結合具28は、巻芯部材27に螺入されて先端が中心軸20に押圧固定されたボルトであり、また、図3で示されている結合具29は、巻芯部材27及び中心軸20を貫通するボルトと、巻芯部材27の反対側に突出したこのボルトの先端に螺合されたナットとからなる。
また、図4及び図5から分かるように、巻芯部材27は丸パイプ部材であり、この巻芯部材27には、図3で示されているように、カップ状部材24の配置位置と対応する位置において、軸方向の途中まで延びるスリット27Aが形成され、さらに、巻芯部材27の軸方向両端部には、切り倒し加工による受け片27Bが形成され、巻芯部材27の円周方向に等間隔で複数形成されているこれら受け片27Bにより、巻芯部材27は中心軸20と同軸的に配置され、言い換えると、巻芯部材27は、全周に亘って中心軸20から同じ又は略同じ大きさの隙間を開けて中心軸20上に配置されている。
図3に示されているように、カップ状部材24の前記端面部24Aと、ホイール部材25の前記端面部25Bには、中心軸20及び巻芯部材27が挿通された孔30,31が形成され、これらの孔30,31は僅かな隙間を開けて巻芯部材27が遊合した孔であるため、カップ状部材24の端面部24Aによる端部と、ホイール部材25の端面部25Bによる端部は、略閉鎖された端部となっている。このため、カップ状部材24の前記内部空間Sは、略密閉空間となっており、このように前記ぜんまいばね26が収納された内部空間Sが略密閉空間となっていることにより、ぜんまいばね26に空気中の水分等に起因する錆が発生しにくく、また、ぜんまいばね26は外部力から略遮断され、ぜんまいばね26を外部環境から保護することができる。
なお、ぜんまいばね26が収納されているこの内部空間Sを密閉性が一層向上した略密閉空間又は密閉空間とするために、カップ状部材24、ホイール部材25に取り付けられて巻芯部材27と回転自在に接触するシール部材により、孔30,31を塞いでもよい。
図3で示すように、ホイール部材25と巻芯部材27との間には軸受け35が配置され、この軸受け35により、ホイール部材25とカップ状部材24は巻芯部材27に対して回転自在となっている。軸受け35は、外輪部材35Aと、内輪部材35Bと、これらの外輪部材35Aと内輪部材35Bとの間において円周方向に複数個配設され、それぞれがリテーナ35Cで回転自在に保持されているボール35Dとを有するボール式軸受けであり、外輪部材35Aはリベット等の止着具36(図4参照)でホイール部材25の端面部25Bに止着されており、内輪部材35Bは、前述した結合具28によって巻芯部材27と共に中心軸20に結合されている。
図5で示すように、前記内部空間Sに配置されているぜんまいばね26の一方の端部である内端部26Aは折り曲げられることにより、巻芯部材27の被係止部であるスリット27Aに係止されている。また、ぜんまいばね26の他方の端部である外端部26Bは折り曲げられることにより、カップ状部材24の胴部24Cの被係止片24Eに係止されている。巻取体4の円周方向へ延びる長さを有しているこの被係止片24Eは、胴部24Cに外径方向への膨出部24Fをプレス成形等で形成する際に、一部を膨出させずに切り残すことによって形成されたものである。
このようにぜんまいばね26の内端部26Aは、前記巻取体4の中心に配置された中心軸20と結合されて非回転部材となっている巻芯部材27に連結され、外端部26Bは、中心軸20を中心に回転自在となっている前記回転体22の構成部材であるカップ状部材24に結合されている。また、ぜんまいばね26の巻回方向は、ホイール部材25の環状フランジ部25Aに巻き取られているシャッターカーテン1を繰り出す方向に巻取体4が中心軸20を中心に回転(図5中、右回転)したときに、ぜんまいばね26が巻き締められる方向になっている。そして、ぜんまいばね26の内端部26A及び外端部26Bは、巻取体4の円周方向に折り曲げられて巻芯部材27のスリット27A、カップ状部材24の胴部24Cの被係止片24Eに係止されているが、これらの内端部26A及び外端部26Bの折り曲げ方向は互いに反対側になっているとともに、これらの折り曲げ方向は、上述のようにホイール部材25の環状フランジ部25Aに巻き取られているシャッターカーテン1を繰り出す方向に巻取体4が中心軸20を中心に回転したときに、内端部26A、外端部26Bがスリット27A、被係止部24Eから離脱せず、ぜんまいばね26を巻き締めることができる方向になっている。
このため、シャッターカーテン1が巻取体4から繰り出されて閉じ移動すると、ぜんまいばね26には巻き締めによって戻しばね力が蓄圧されることになり、シャッターカーテン1を開き移動させてこのシャッターカーテン1を巻取体4に巻き取らせるときには、この蓄圧された戻しばね力が巻取体4の回転を補助するための補助力として利用される。これにより、前述した手掛け部6や操作棒を用いた手動操作によってシャッターカーテン1を上方へ開き移動させる際、この開き移動を軽く行うことができる。
図6には、ぜんまいばね26の巻き締め初期の状態が示され、図7には、巻き締め終期の状態が示されている。図6の巻き締め初期では、ぜんまいばね26の外層部は、内外径方向に隣接している2つの巻き部が互いに接触している密巻き部26Cとなっていて、内層部は、内外径方向に隣接している2つの巻き部が互いに接触していない粗巻き部26Dとなっており、図7の巻き締め終期では、ぜんまいばね26の外層部は、内外径方向に隣接している2つの巻き部が互いに接触していない粗巻き部26Eとなっていて、内層部は、内外径方向に隣接している2つの巻き部が互いに接触している密巻き部26Fとなっている。図6及び図7の密巻き部26C、26Fは、理解の便宜のため、内外径方向に隣接している2つの巻き部が互いに接触していない状態で示されている。
ところで、前述のように、中心軸20に結合された巻芯部材27に内端部26Aが係止されてシャッターカーテン1の繰り出しによって巻き締めされるぜんまいばね26は、材料力学上、中心軸20側の一端が固定端となっていて他端が自由端となっている片持ち梁と同じであるとみなすことができる。この片持ち梁の弾性係数をE、断面係数をI、長さをLとし、片持ち梁に曲げモーメント(トルク)Tを作用させたときにこの片持ち梁の自由端にたわみ角度θ(ラジアン)が生じた場合には、材料力学上、T=EIθ/Lなる式が成立する。
そして、ぜんまいばね26の幅寸法をb、厚さ寸法をhとしたとき、ぜんまいばね26の断面係数Iは、I=bh/12である。また、たわみ角度θはぜんまいばね26の巻回数Nに対応する値であり、巻回数が1回である場合のたわみ角度θは、θ=2πとなる。
このため、ぜんまいばね26の巻回数がNである場合には、上記T=EIθ/Lを、T=πEbhN/6Lと書き換えることができる。この場合におけるTは、ぜんまいばね26の巻き締めによって生ずるこのぜんまいばね26の戻しばね力による巻回中心回り、すなわち、巻取体4の中心軸20回りのトルクとなる。また、Lは、ぜんまいばね26のうちの巻回数が上記Nとなっている有効長さ、すなわち、巻回されている全長のうちの互いに内外に接触していない部分の長さとなる。ぜんまいばね26の巻回されている全長のうちの互いに内外に接触している部分には、その接触によって本来のばね力が生じないからである。
ぜんまいばね26の巻き締め初期の状態を示している図6のときには、ぜんまいばね26の巻回されている大部分を占めている外層部は、内外径方向に隣接している2つの巻き部が互いに接触している密巻き部26Cとなっているため、このときの上記有効長さLは短い。図6の状態からぜんまいばね26の巻き締めが始まると、上記巻回数Nが増加するとともに、密巻き部26から有効長さLとなる分が生じ、この有効長さLが次第に長くなるが、このときには、この有効長さはまだ短いため、上記の式T=πEbhN/6Lから分かるように、ぜんまいばね26の戻しばね力によるトルクTは、次第に小さくなる増加率で増加する。
この後、ぜんまいばね26がさらに巻き締められると、内外径方向に隣接している2つの巻き部が互いに接触していた上記密巻き部26Cが次第に消滅するとともに、有効長さLはぜんまいばね26の全長と同じ又は略同じになって、上記巻回数Nだけが増加するため、ぜんまいばね26の戻しばね力によるトルクTの次第に小さくなる増加率は、ぜんまいばね26の巻き締めの進行に伴って一定値又は略一定値まで低下する。すなわち、トルクTは、ぜんまいばね26の巻き締めの進行に伴って直線的又は略直線的に増加するようになる。
この後、さらにぜんまいばね26が巻き締められると、図7の状態に近づくため、ぜんまいばね26の内層部には、内外径方向に隣接している2つの巻き部が互いに接触した密巻き部26Fが生じ始め、この密巻き部26Fは、ぜんまいばね26の巻き締めが進行するに伴って増大するため、前記有効長さLは次第に短くなり、そして、前記巻回数Nは増加するため、ぜんまいばね26の戻しばね力によるトルクTは、上記の式T=πEbhN/6Lから分かるように、次第に大きくなる増加率で増加し、ぜんまいばね26の巻き締め終期では、図7で示されているように、ぜんまいばね26の巻回されている大部分は、内外径方向に隣接している2つの巻き部が互いに接触した密巻き部26Fとなっている。
図8は、横軸を、ぜんまいばね26を巻き締める巻取体4の回転数とし、縦軸を巻取体4の中心軸20回りのトルクとしたグラフである。この図8には、巻取体4の回転数に対する全部のぜんまいばね26の合計トルクとして表された上記トルクTの変化を示すラインAが示されている。このラインAは、上述の説明から分かるように、図6で示された巻き締め初期を始点として、トルクTが、巻取体4の回転数が増すと、次第に小さくなる増加率で増加する第1領域aと、この領域aに続いてトルクTの増加率が一定値又は略一定値となる第2領域bと、この領域bに続いてトルクTが次第に大きくなる増加率で増加する第3領域cとからなり、この領域cの終点が、図7で示されたぜんまいばね29の巻き締め終期となっている。
また、図8には、ぜんまいばね26の巻き締めに関する巻き締め初期範囲αと中間範囲βとの境界位置と一致しているシャッターカーテン1の全開位置と、中間範囲βと巻き締め終期範囲γとの境界位置と一致しているシャッターカーテン1の全閉位置とが示されている。これらの範囲α、β、γで分かるように、シャッターカーテン1の全開位置は、トルクTが次第に小さくなる増加率で増加する上記第1領域a内にあり、また、シャッターカーテン1の全閉位置は、トルクTの増加率が一定値又は略一定値となっている上記第2領域b内にある。
さらに、図8には、シャッターカーテン1を上向きに開き移動させようとしたときに必要となる巻取体4の中心軸20回りのトルクBも示されている。このトルクBは、巻取体4から繰り出されている図5で示すシャッターカーテン1の部分の自重(座板1Aの重量を含む)Wによる中心軸20回りの自重トルクと、シャッターカーテン1を上方へ開き移動させようとした際に、図1で示したガイドレール2とシャッターカーテン1との摩擦等に基づき生ずる下向きの抵抗力による中心軸20回りの抵抗トルクとの合計値である。シャッターカーテン1の自重Wによる自重トルクは、自重Wと、図5で示す中心軸20の中心部からこの自重Wが作用している位置までの水平距離、言い換えると、中心軸20の中心からのシャッターカーテン1の巻径Rとを積算した値となる。
また、図8には、シャッターカーテン1を下向きに閉じ移動させようとする巻取体4の中心軸20回りのトルクCも示されている。このトルクCは、巻取体4から繰り出されているシャッターカーテン1の部分の自重Wによる中心軸20回りの自重トルクから、シャッターカーテン1が下向きに閉じ移動しようとしたときにガイドレール2とシャッターカーテン1との摩擦等に基づき生ずる上向きの抵抗力による中心軸20回りの抵抗トルクを差し引いた値となる。
トルクBとトルクCの両方における自重トルクは、上述のように、巻取体4から繰り出されているシャッターカーテン1の部分の自重Wと、中心軸20の中心部からのシャッターカーテン1の巻径Rとの関数となっており、これらの自重Wと巻径Rのいずれも、巻取体4からのシャッターカーテン1の繰り出し量(巻取体4の回転数)と関係している。また、シャッターカーテン1を上向きに開き移動させようとしたときに生ずる上記抵抗トルクと、シャッターカーテン1を下向きに開き移動させようとしたときに生ずる上記抵抗トルクは、図1で示したシャッターカーテン1の上下開閉移動長さHの全体に亘って一定値又は略一定値となっている。
そして、全開となっていたシャッターカーテン1が、巻取体4が1回転等の所定角度の回転を行って繰り出されたときには、シャッターカーテン1が全開になっているときにおける巻径Rは大きいため、巻取体4のこの所定角度の回転によって下方へ繰り出されるシャッターカーテン1の長さは、シャッターカーテン1が全開となっていないときから始まる巻取体4の所定角度の回転の場合よりも長くなる。このため、シャッターカーテン1を全開から繰り出す巻取体4の所定角度の回転によって上記巻径Rは減少するが、この巻径Rの減少よりも、シャッターカーテン1の下方への繰り出し長さはシャッターカーテン1の自重トルクの増大に貢献することになる。このため、シャッターカーテン1が全開から繰り出されたときには、シャッターカーテン1の自重トルクの増加率は大きい。
なお、シャッターカーテン1の巻径Rは、このシャッターカーテン1を構成している前記スラット1Bの厚さ等の関係により、実際には巻取体4の回転数に対して滑らかに変化しないため、実際のトルクB,Cは図8で示されているようには滑らかなに変化せず、凹凸を生じながら全体として図8のトルクB,Cのように変化する。
本実施形態によると、ぜんまいばね26は、前述したように、蓄圧された戻しばね力によるトルクTが次第に小さくなる増加率で増加する領域aを有するばねとなっており、この領域a内に、巻取体4の一方の回転によるシャッターカーテン1の繰り出しが始まる前の開閉体全開時があり、この開閉体全開時からのシャッターカーテン1の繰り出しに伴ってトルクTが増加するようになっているため、ぜんまいばね26のばね特性は、シャッターカーテン1が全開から下方へ繰り出されるときのシャッターカーテン1の自重トルクの変化、言い換えると、前記抵抗トルクを含むラインB,Cで表された前記トルクの特性と適合しており、このため、シャッターカーテン1をぜんまいばね26の戻しばね力との関係によって円滑に上下に開閉移動させることができる。
また、このようにばね特性がシャッターカーテン1が全開から下方へ繰り出されるときのシャッターカーテン1の自重トルクの変化と適合することは、戻しばねであるぜんまいばね26だけによって行われ、前述した特開平5−93487号公報と異なり、複数個の戻しばねを組み合わせて用いる必要がないため、戻しばねに関する部材点数や構成の点で有効となる。
シャッターカーテン1の全開からの繰り出しが進行すると、上記巻径Rは減少するため、シャッターカーテン1を下方へ繰り出すために巻取体4が1回転等の前述した所定角度の回転を行ったときのシャッターカーテン1の繰り出し長さは次第に短くなる。このため、シャッターカーテン1の全開からの繰り出しが進行すると、シャッターカーテン1の自重トルクの増加率は一定値又は一定値に近似した値になり、自重トルクの増加率がこのような値になっているときに、本実施形態では、シャッターカーテン1が全閉位置に達するようになっている。
本実施形態のぜんまいばね26は、前記領域aに続いて、トルクTの増加率が一定値又は略一定値となっている前記領域bを有しており、この領域bにおいて、シャッターカーテン1は全閉となるため、シャッターカーテン1の全開からの繰り出しが進行し、シャッターカーテン1が全閉となるまでについても、ぜんまいばね26のばね特性は、シャッターカーテン1の自重トルクの変化、言い換えると、前記抵抗トルクを含むラインB,Cで表された前記トルクの特性と適合している。
図8には、ラインA、Aが示され、これらのラインA、Aは、ラインAで示されたぜんまいばね26の理論上の前記トルクTに対して、ぜんまいばね26の現実の材料や巻き込み状態等に基づいて発生するヒステリシスが考慮されたぜんまいばね26のトルクを示しており、ラインAは、ぜんまいばね26が巻き締められながらシャッターカーテン1が全開位置から全閉位置に達する場合であり、ラインAは、その反対の場合である。
そして、図8で示されているように、シャッターカーテン1の上下開閉移動長さHの全体について、ラインA、Aで示されているトルクよりもラインBで示されたトルクが大きくなっていて、ラインA、Aで示されているトルクよりもラインCで示されたトルクが小さくなっていることにより、シャッターカーテン1に開き移動操作力や閉じ移動操作力を作用させない状態でシャッターカーテン1を上下開閉移動長さHの任意な位置に停止させることができ、また、シャッターカーテン1を開き移動させるためには、ラインA、Aで示されているトルクとラインBで示されたトルクとの差に相当する操作力をシャッターカーテン1に作用させればよくなり、シャッターカーテン1を閉じ移動させるためには、ラインA、Aで示されているトルクとラインCで示されたトルクとの差に相当する操作力をシャッターカーテン1に作用させればよくなる。
なお、上記操作力は手操作によるものであるが、本実施形態は、この操作力を電動モータ等の駆動装置によるものとした場合にも適用でき、このように上記操作力を電動モータ等の駆動装置によるものとした場合には、この駆動装置の小さな駆動力によってシャッターカーテンを開閉移動させることができる。
図9は、これまでとは異なるばね特性を有するぜんまいばね26を用いた場合の実施形態を示す。この図9において、図8のA,A,A,a,b,c,α、β、γと対応するものは、A’,A’,A’,a’,b’,c’,α’、β’、γ’として示した。
この実施形態において、ラインA’で表されているぜんまいばね26の戻しばね力によるトルクT(ラインA’,A’で表されている前記ヒステリヒスが考慮されたトルクを含む)のシャッターカーテン1の全開時における値は、ラインB,Cで表された前述のトルクのシャッターカーテン1の全開時における値よりも大きくなっている。このため、シャッターカーテン1が全開位置に達すると、シャッターカーテン1の下端部の座板1Aが、図1で説明したシャッターケース3の下面3AのまぐさにトルクTで当接してこの当接状態を維持することになるとともに、シャッターカーテン1を手操作で全開位置の近くまで開き移動させることにより、座板1Aがまぐさに当接する全開位置までシャッターカーテン1はトルクTで自動的に開き移動することになる。
また、この実施形態でも、図8で説明した前記実施形態と同様に、シャッターカーテン1の全開位置は、ぜんまいばね26のトルクTが次第に小さくなる増加率で増加する領域a’内にあり、また、シャッターカーテン1の全閉位置は、ぜんまいばね26のトルクTの増加率が一定値又は略一定値となっている領域b’内にある。
なお、図8及び図9の実施形態において、シャッターカーテン1が全開位置に達しているときに、シャッターカーテン1に予定外の下向きの外部力が作用してもシャッターカーテンが下向きに閉じ移動しないようにするため、巻取体4に、この巻取体4の回転を阻止する手動式のブレーキ装置を設けたり、前記まぐさ等の配置箇所に、座板等のシャッターカーテン構成部材に係脱自在に係合する係合部材を備えた手動式のストップ装置を設けたりし、シャッターカーテン1を下向きに閉じ移動させる際には、手動操作によってこれらのブレーキ装置やストップ装置を解除できるようにしてもよい。
図3の巻取体4を構成するそれぞれのカップ状部材24の内部空間Sに収納配置されていて、戻しばねとなっているぜんまいばね26は、図8で示されたばね特性を有するものでもよく、図9で示されたばね特性を有するものでもよい。
そして、これらのばね特性を有するぜんまいばね26を図1の上下開閉移動長さHで使用できるようにするためには、シャッターカーテン1の全開時、全閉時等におけるぜんまいばね26の巻き締め状態が図8、図9のトルク特性を実現できるものとなっていなければならず、これを実現できる作業を、ぜんまいばね26について実施しなければならない。この作業は、以下のように行う。
それぞれの回転体22の巻芯部材27を図3で示した前記結合具28,29で中心軸20に結合する前に、これらの回転体22と前記バー状部材23とで形成された回転かご体21の回転を図示しない拘束具等で止めながら、図3で示す工具40によってそれぞれの巻芯部材27を中心軸20に対して回転させ、これにより、カップ状部材24の内部空間Sに収納されているそれぞれのぜんまいばね26を巻き締める。工具40は、巻芯部材27の軸方向端部に前記受け片27Bを切り倒し加工によって形成した際に生ずる切り欠き部41に係合する突起を備えているものであり、工具40を回転操作すると、突起からの回転力によって巻芯部材27は中心軸20を中心に回転する。このような回転操作によってそれぞれのぜんまいばね26は巻き締められ、これらのぜんまいばね26の巻き締めは、言い換えると、これらのぜんまいばね26に戻しばね力を蓄圧する作業は、図8、図9で示されているシャッターカーテン1の全閉時における全部のぜんまいばね26の戻しばね力による巻取体4の中心軸20回りのトルクと同じ大きさのトルクがこれらのぜんまいばね26によって生ずるまで行う。
この後、それぞれの回転体22における巻芯部材27を前記結合具28,29で中心軸20に結合するとともに、前記軸受け35の外輪部材35Aに形成されている孔42、内輪部材35Bに形成されている孔43、巻芯部材27に形成されている孔44、さらに中心軸20に形成されている孔にボルトを挿通し、反対側まで貫通させたこのボルトの端部にナットを螺合する。これにより、これらのボルトとナットによる結合具によって巻芯部材27と回転体22を中心軸20に固定される。
なお、内輪部材35Bと巻芯部材27の孔43,44は円周方向に複数形成されており、このため、ぜんまいばね26の戻しばね力が所定値となったときにぜんまいばね26の巻き締め作業を終了させても、その戻しばね力又はその戻しばね力に近い戻しばね力を維持した状態で、上記ボルトとナットによる結合具により、巻芯部材27と回転体22を中心軸20に固定することができる。また、上記結合具29のボルトを挿通するための巻芯部材27の孔も円周方向に複数形成されている。
次いで、予め座板1Aを取り外したシャッターカーテン1を、図1で示されているシャッターケース3の下面3Aに形成されているまぐさに上方から吊り落としながら挿入する作業を行い、まぐさの下方に突出したシャッターカーテン1の幅方向両端部を左右のガイドレール2の内部に挿入した後、座板1Aの取り付けを行い、さらにシャッターカーテン1を全閉位置まで降ろす。この後、シャッターカーテン1の上端部を、前述したように、それぞれの回転体22のホイール部材25の環状フランジ部25Aに結合する作業を行う。そして、軸受け35の外輪部材35Aの孔42、内輪部材35Bの孔43、巻芯部材27の孔44、さらに中心軸20の孔に挿通されていた前記ボルトから前記ナットを取り外してこのボルトを引き抜く作業を行い、結合具28,29はそのまま残す。
これにより、ぜんまいばね26に蓄圧されていた戻しばね力は解放可能状態となり、それぞれの回転体22とバー状部材23からなる巻取体4は中心軸20を中心に回転自在となるため、シャッターカーテン1に小さな押し上げ力を与えることにより、巻取体4は、ぜんまいばね26の既に蓄圧されていた戻しばね力を回転付勢力として利用しながらシャッターカーテン1を開き移動させる回転を行い、シャッターカーテン1は全開位置に達する。
これにより、シャッターカーテン1の全開時、全閉時等における全部のぜんまいばね26の巻き締め状態は、図8、図9のトルク特性を実現できるものとなる。
以上説明した実施形態によると、ぜんまいばね26は、シャッターカーテン1の巻取体4からの繰り出しによって蓄圧される戻しばね力によるトルクTが次第に小さくなる増加率で増加する領域a,a’を有するばねとなっており、この領域内a,a’に、巻取体4の一方の回転によるシャッターカーテン1の繰り出しが始まる前の全開時があり、この全開時からのシャッターカーテン1の繰り出しに伴ってトルクTが増加するようになっているため、シャッターカーテン1が全開から下方へ繰り出されるときのシャッターカーテン1の自重トルクの変化と適合したばね特性を有するぜんまいばね26を用いて、シャッター装置を構成することができる。
ぜんまいばね26は、シャッターカーテンの繰り出しの進行に伴って前記トルクTの増加率が一定値又は略一定値となる領域b,b’を有するばねとなっており、この領域b,b’内にシャッターカーテン1の全閉時があるため、シャッターカーテン1の全開から全閉までの全範囲に亘るシャッターカーテン1の自重トルクの変化と適合したばね特性を有するぜんまいばね26を用いて、シャッター装置を構成することができる。
また、以上説明した実施形態において、図3で説明したように、巻取体4を形成する部材となっているそれぞれの回転体22において、ホイール部材25の端面部25Bは、中心軸20の直径方向へ立ち上がった立上り部となっており、また、カップ状部材24の胴部24Cは、中心軸20の軸方向への幅を有する筒部となっており、それぞれの回転体22は、このような立上り部25Bと筒部24Cとを有する形状、構造となっている。そして、ぜんまいばね26の折り曲げられた外端部26Bは、図5で説明したように、筒部24Cに形成されている被係止部24Eに係止されており、前述したように、この外端部26Bの折り曲げ方向と、巻芯部材27にスリット27Aに係止されているぜんまいばね26の内端部26Aの折り曲げ方向は、互いに巻取体4の円周方向の反対側となっている。これにより、ホイール部材25の環状フランジ部25Aに巻き取られているシャッターカーテン1を繰り出す方向に巻取体4が中心軸20を中心に回転したときに、ぜんまいばね26を、内端部26Aと外端部26Bがスリット27A、被係止部24Eから外れることなく、巻き締めることができる。
ところで、それぞれの回転体22のなかに、立上り部25Bに対する筒部24Cの位置が互いに中心軸20の軸方向の反対側となっている2種類の回転体を設けた場合には、これらの回転体のうちの一つとして、図3で示された回転体22をそのまま用いることができても、他の回転体として、図3で示された回転体22を、中心軸20の軸方向の向きを反転させてそのまま用いることはできない。なぜなら、中心軸20の軸方向の向きを反転させた回転体22については、ぜんまいばね26の外端部26Bを係止するための被係止部24Eの向きが図5の向きとは反対側となってしまい、外端部26Bを被係止部24Eに係止することはできず、ぜんまいばね26を巻き締めることができないからである。
このため、これまで説明した実施形態では、図2で示されているように、それぞれの回転体22を、筒部24Cが立上り部25Bに対して中心軸20の軸方向の同じ側となるように配置している。これにより、全部の回転体22の形状、構造を同じにでき、これらの回転体22を共通化できることにより、巻取体4全体の製造コストの低減や、これらの回転体22を中心軸20に配置する際の作業の容易化を達成することができる。
また、本実施形態によると、それぞれの回転体22に設けるぜんまいばね26は、巻回方向が同じになっているぜんまいばねでよく、したがって、全部のぜんまいばね26を共通化することもできる。
また、これまで説明した実施形態では、ぜんまいばね26の内端部26Aは中心軸20に係止されておらず、この内端部26Aは、それぞれの回転体22ごとに用意された巻芯部材27に係止されているため、1個のぜんまいばね26について、回転体22とぜんまいばね26と巻芯部材27とからなるぜんまいばねユニットを形成することができ、複数個のぜんまいばねユニットを中心軸20に配置するだけでそれぞれのぜんまいばね26が中心軸20に配置されたことになり、また、それぞれのぜんまいばねユニットを前述したバー状部材23で連結することにより、前述した回転かご体21を形成することができ、これらの作業を容易に行える。
さらに、これまで説明した実施形態では、それぞれの回転体22は一つの部材によって形成されておらず、立上り部25Bを備える第1部材となっているホイール部材25と、筒部24Cを備える第2部材となっているカップ状部材24とを結合することによって形成されているため、被係止部24Eを有する回転体22をプレス加工等によって容易に製造することができる。
また、これまで説明した実施形態における戻しばねはぜんまいばね26であり、ぜんまいばね26は、中心軸20の軸方向の同じ位置又は略同じ位置で一方の端部から他方の端部へ渦巻き状に巻回している渦巻きばねであるため、中心軸20の軸方向の幅寸法は小さく、このため、巻取体4の全体の軸長を短くすることができる。また、ぜんまいばね26は、厚さが小さい板材を渦巻き状に巻回したものであるため、ぜんまいばね26を直径方向の寸法が小さい前記空間Sに収納配置することができ、これにより、巻取体4の全体の直径寸法も小さくできる。
そして、ぜんまいばね26は、ねじりコイルばね等と比較すると、軸方向の寸法が小さくなっているばねであるため、図2で示されているように、複数のぜんまいばね26を中心軸20の軸方向に配置しても、この中心軸20の軸長、すなわちシャッターカーテン1を巻き取り、繰り出す巻取体4の軸方向寸法を短くすることができる。このため、図1で説明したように、シャッターカーテン1の左右の幅寸法Sがシャッターカーテン1の上下開閉移動長さHよりも小さくなったシャッター装置、言い換えると、シャッターカーテン1の上下開閉移動長さHがシャッターカーテン1の左右の幅寸法Sよりも大きくなったシャッター装置に、これまで説明した実施形態を適用することができる。
以上説明したシャッター装置は、シャッターカーテン1の開閉移動を手動操作で行う手動式のものであったが、次に、シャッターカーテン1の開閉移動を自動で行う自動式のシャッター装置についての実施形態を説明する。
図10で示した実施形態の巻取体4における中心軸20の両端部を支持する左右のブラケット5のうち、回転体22の筒部24Cが形成されているカップ状部材24が向いている側のブラケット5には、電動モータとブレーキの組み合わせからなる開閉機50が取り付けられ、駆動装置であるこの開閉機50の駆動軸50Aにはピニオンギヤ51が取り付けられている。また、複数個の回転体22のうち、開閉機50に最も近い回転体22のカップ状部材24の外周面には、すなわち、筒部24Cの外周面にはリングギヤ52が取り付けられ、このリングギヤ52の外周部に形成されている歯にピニオンギヤ51が噛合している。このため、開閉機50から巻取体4へ、ピニオンギヤ51とリングギヤ52を介して正逆回転の回転力が付与される。
この実施形態によると、中心軸20の軸方向に配置された複数個の回転体22同士を連結するバー状部材23の長さが、中心軸20の軸方向の両端に配置された回転体22までの長さとなっており、このため、バー状部材23が開閉機50に最も近い回転体22を越えて開閉機50側へ延長されない長さとなっていて、このバー状部材23にリングギヤ52を取り付けることができなくても、開閉機50に最も近い回転体22のカップ状部材24を利用することにより、巻取体4へのリングギヤ52の取り付けを行えることになる。
図11は、別実施形態に係る自動式のシャッター装置を示し、図12は、図11のS12−S12線断面図である。
中心軸20の軸方向に互いに隣り合って配置された2個の回転体22の間において、図12で示されているように、上ブラケット部材60と下ブラケット部材61が中心軸20を挟着しながらビス等の結合具62で互いに結合され、長軸のビス等による回り止め部材63で中心軸20に対して回り止めされた上ブラケット部材60には、図11で示されているように、電動モータとブレーキの組み合わせからなる開閉機70が取り付けられ、駆動装置であるこの開閉機70の駆動軸70Aにはピニオンギヤ71が取り付けられている。それぞれの回転体22を連結するバー状部材23にはリングギヤ72が取り付けられ、この取り付けは、図12で示されているように、リングギヤ72に形成した凹部72Aにバー状部材23を嵌合することにより行われ、このリングギヤ72の内周部に形成されている歯にピニオンギヤ71が噛合している。このため、この実施形態でも開閉機70から巻取体4へ、ピニオンギヤ71とリングギヤ72を介して正逆回転の回転力が付与される。
この実施形態によると、それぞれの回転体22に設けられている戻しばねは、ねじりコイルばね等よりも中心軸20の軸方向の幅寸法が小さいぜんまいばね26であるため、中心軸20の軸方向に互いに隣り合って配置されている2個の回転体22の間に開閉機70を配置しても、巻取体4の全体の軸長を小さくすることが可能となる。これにより、巻取体4を任意な大きさに設定することができ、巻取体4の大きさを必要に応じてコンパクト化することも実現できるようになる。
本発明は、開閉体を開閉移動させるためにこの開閉体を巻き取り、繰り出す巻取体と、この巻取体の一方への回転時に蓄圧された戻しばね力が巻取体の他方への回転のために利用される戻しばねとを備えた開閉装置に利用することができる。
本発明の一実施形態に係る開閉装置であるシャッター装置の全体を示す正面図である。 シャッターカーテンが巻き取られ、繰り出される巻取体を示す正面図である。 巻取体の構成部材である回転体を示す正断面図である。 図3のS4−S4線断面図である。 図3のS5−S5線断面図である。 戻しばねであるぜんまいばねの巻き締め初期状態を図5と同じ方向から見た図である。 ぜんまいばねの巻き締め終期状態を図5と同じ方向から見た図である。 ぜんまいばねの戻しばね力による中心軸回りのトルクと、シャッターカーテンの開閉移動に関する中心軸回りのトルクとを示すグラフである。 ばね特性が異なるぜんまいばねを用いた場合の実施形態を示す図8と同様の図である。 シャッターカーテンの開閉移動を自動で行う自動式のシャッター装置の巻取体構造を示す平断面図である。 別実施形態に係る自動式のシャッター装置の巻取体構造を示す平断面図である。 図11のS12−S12線断面図である。
符号の説明
1 開閉体であるシャッターカーテン
2 ガイド部材であるガイドレール
4 巻取体
20 中心軸
22 回転体
24 第2部材であるカップ状部材
25 第1部材であるホイール部材
24C 回転体の筒部であって、カップ状部材の胴部
25B 回転体の立上り部であって、ホイール部材の端面部
26 戻しばねであって渦巻きばねであるぜんまいばね
26A ぜんまいばねの内端部
26B ぜんまいばねの外端部
26C,26F ぜんまいばねの密巻き部
26D,26E ぜんまいばねの粗巻き部
27 巻芯部材
a,a’ ぜんまいばねの戻しばね力によるトルクが次第に小さくなる増加率で増加する領域
b,b’ ぜんまいばねの戻しばね力によるトルクの増加率が一定値又は略一定値となる領域

Claims (9)

  1. 開閉体を巻き取り、繰り出してこの開閉体を上下に開閉移動させるための巻取体と、前記開閉体の下方への閉じ移動のための前記巻取体の一方への回転時に戻しばね力が蓄圧され、この蓄圧された戻しばね力が前記開閉体の上方への開き移動のための前記巻取体の他方への回転のために利用される戻しばねと、を含んで構成される開閉装置において、
    前記戻しばねは、前記蓄圧された戻しばね力によるトルクが、前記開閉体の繰り出し方向への前記巻取体の回転角度に対して次第に小さくなる増加率で増加する領域を有するばねとなっており、この領域内に、前記巻取体の前記一方の回転による前記開閉体の繰り出しが始まる前の開閉体全開時があり、この開閉体全開時からの前記開閉体の繰り出しに伴って前記トルクが増加し、
    前記戻しばねは、軸方向の同じ位置又は略同じ位置で一方の端部から他方の端部に向かって渦巻き状に巻回している渦巻きばねであり、
    前記巻取体は、回転しない中心軸と、この中心軸を中心に正逆回転自在となっていて、中心部に前記中心軸が貫通した回転体とを含んで構成され、
    前記中心軸の外周面における前記回転体の配置位置と対応する位置には、巻芯部材が配置され、
    前記渦巻きばねの内端部は前記巻芯部材に係止されているとともに、前記渦巻きばねの外端部は前記回転体に係止され、
    前記巻芯部材は、前記中心軸に対して結合具により固定、非固定に切り換え可能になっていることを特徴とする開閉装置。
  2. 請求項1に記載の開閉装置において、前記渦巻きばねは、前記開閉体の繰り出しの進行に伴って前記トルクの増加率が一定値又は略一定値となる領域を有するばねであり、この領域内に前記開閉体が全閉となる開閉体全閉時があることを特徴とする開閉装置。
  3. 請求項1又は2に記載の開閉装置において、前記渦巻きばねは、板材を渦巻き状に巻回して形成されたぜんまいばねであることを特徴とする開閉装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の開閉装置において、前記開閉体の上下開閉移動長さはこの開閉体の幅寸法よりも大きくなっていることを特徴とする開閉装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の開閉装置において、前記回転体は複数個あり、これらの回転体のうちの少なくとも2個の回転体に前記渦巻きばねが設けられていることを特徴とする開閉装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の開閉装置において、前記巻芯部材が前記中心軸に対して非固定となっているときに、前記巻芯部材は、この巻芯部材に係合させた工具により、前記渦巻きばねを巻き締めるために回転されることを特徴とする開閉装置。
  7. 請求項6に記載の開閉装置において、前記工具を係合させるために前記巻芯部材には、切り欠き部が形成されていることを特徴とする開閉装置。
  8. 請求項7に記載の開閉装置において、前記巻芯部材は、この巻芯部材に切り倒し加工で円周方向に複数形成されている受け片により前記中心軸に同軸的に配置され、前記切り欠き部は、前記受け片を前記で切り倒し加工で形成した際に前記巻芯部材に生じているものとなっていることを特徴とする開閉装置。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の開閉装置はシャッター装置であり、前記開閉体はシャッターカーテンであること。
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