JP4911352B2 - 電動機制御装置及び制御方法 - Google Patents
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請求項1に記載の発明は、電動機に流れる出力電流をキャリア信号と同期したタイミングでサンプリングして検出する第1のサンプル・ホールド器と、指令電流と前記出力電流が一致するように制御する電流制御器と、前記電流制御器の出力を用いて演算された電圧指令を前記キャリア信号と比較してPWMパルスに変換するPWMパルス発生器と、前記PWMパルスを用いて前記電動機に電力を供給する電力変換器とを備えた電動機制御装置において、前記指令電流を前記キャリア信号と同期したタイミングでサンプリングする第2のサンプル・ホールド器と、前記第2のサンプル・ホールド器は、前記キャリア信号と同期したタイミングから所定時間Δt後にも指令電流をサンプリングするようになっていて、前記第2のサンプル・ホールド器の出力に基づいて電圧補償量を演算する電圧補償器と、前記電圧補償器の出力を前記電圧指令に加算して新たな電圧指令とする加算器とを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記電流制御器の比例ゲインと前記電圧補償器の比例ゲインの比は、前記キャリア信号の周期と前記所定時間Δtの関係から演算で求めることを特徴とするものである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記出力電流をサンプリングするタイミングは、前記キャリア信号のピーク値(山あるいは谷)の両方、あるいはいずれか一方であることを特徴とするものである。
また、請求項6に記載の発明は、前記電圧補償器は、前回のサンプリングで検出した前記指令電流を保持する遅延回路と、所定時間Δt後にサンプリングで検出した前記指令電流と前記遅延回路の出力の差分を演算する減算器と、前記減算器の出力に、比例・積分制御を用いることなく、電動機定数によって決定する所定ゲインを乗算する乗算器と、前記乗算器の出力を前記電流制御器の入力値に加算する加算器とを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項7に記載の発明は、前記電圧補償器は、前回のサンプリングで検出した前記指令電流を保持する遅延回路と、今回のサンプリングで検出した前記指令電流と前記遅延回路の出力の差分を演算する減算器と、前記減算器の出力に所定ゲインを乗算する乗算器と、前記乗算器の出力を比例・積分制御され、前記電流制御器の入力値に加算する加算器とを備えたことを特徴とするものである。
請求項9に記載の発明は、指令電流をキャリア信号と同期したタイミングでサンプリングするサンプル・ホールド器と、前記指令電流と出力電流が一致するように制御する電流制御器と、前記電流制御器の出力を用いて演算された電圧指令を前記キャリア信号と比較してPWMパルスに変換するPWMパルス発生器と、前記PWMパルスを用いて前記電動機に電力を供給する電力変換器とを備えた電動機制御装置の制御方法において、前記指令電流を前記キャリア信号と同期したタイミングでサンプリングし、さらに、所定時間Δt後に前記指令電流をサンプリングし、所定時間Δtの間にサンプリングした2つの前記指令電流に基づいて電圧補償量を演算し、前記電圧補償量を前記電圧指令に加算して新たな電圧指令とするという手順をとったのである。
本発明が従来技術と異なる主たる部分は、q軸指令電流Iq*、d軸指令電流Id*及び相電流(例えば、Iu_fb、Iv_fb)をサンプルするタイミング動作と、q軸指令電流Iq*、d軸指令電流Id*の各差分量を元に演算した電圧補償量をそれぞれの電流制御器の出力に加算する構成を備えた部分であり、このような構成により、読み込んだ指令電流の変化量を用いて指令電流の読み込みに起因する無駄時間(電流指令の読み込みタイミングから電圧指令が電動機へ出力されるタイミングまでの時間)を補償するところである。
電流サンプリングタイミング発生器6は、三角波キャリア発生器4からの同期信号20により、三角波キャリアのピークのタイミングを知り、サンプル信号21Aは、三角波キャリアのピーク(三角波の山、谷の両方)時に、サンプル信号21Bは、サンプル信号21Aのタイミングに加え、サンプル信号21A出力から所定時間Δt後にも出力される。
サンプル・ホールド器(1)8は、サンプル信号21Aのタイミングで相電流Iu_fb、Iv_fbをサンプルし、サンプル・ホールド器(2)14A及び(3)14Bは、サンプル信号21Bのタイミングでq軸指令電流Iq*、d軸指令電流Id*をサンプルするようになっている。Iq*,Id*をサンプリング後、q軸及びd軸の電流制御、その後電圧補償の演算は行われ、それらの出力は加算器16A、16Bに入力される。加算器16Aによりq軸電流制御10出力とq軸電圧補償量12、加算器16Bによりd軸電流制御11出力とd軸電圧補償量13は加算され、q軸電圧指令Vq*、d軸電圧指令Vd*は演算される。
以下、q軸電流制御器10とq軸電圧補償器12ついて説明し、扱う制御量が異なるが演算処理が同一であるd軸電流制御器11、d軸電圧補償器13については、その説明を省略する。
電流サンプルタイミング発生器6が作成したサンプル信号21Bによりサンプリングされたq軸指令電流Iq*を示すIq_refと、相電流Iu_fb、Iv_fbを3相2相変換したq軸出力電流Iq_fbを入力とするq軸電流制御器10では、比例・積分制御(以下、PI制御と略す)が行われる。q軸電流制御器10出力をV1とし、その際の比例ゲインをKp1、積分ゲインをKi1とすれば、その演算式は(1)式で示される。
なお、d軸電圧補償器13の演算においては、d軸電流指令値が変化しない領域や条件でd軸電圧補償器13の演算を省略できる。
また、電流制御器と電圧補償器のそれぞれの比例ゲイン、積分ゲインが(3)式の関係になるように決めると、読み込んだ指令電流の変化量を用いて指令電流の読み込みに起因する無駄時間の補償が実現できるが、その理由については後述する。
k=Kp2/Kp1=Ki2/Ki1 ・・・(3)
このように処理するので、指令電流の変化量を用いて電圧補償量を演算でき、電流制御器の出力である電圧指令に補償を加えることで電流制御応答を向上することができる。
q軸電圧補償器12は、q軸指令電流Iq*のサンプリングから指令電圧を電動機1に供給する時点までの無駄時間を電圧補償量で補償しようとするものである。つまり、電流指令のΔt間での変化量で、所定時間Δt後から電動機に実際に電圧が供給されるタイミングまでを補償しようとするものである。したがって、所定時間Δtと所定時間Δt後から電動機1に実際に電圧が供給されるまでの時間の比率で、電流指令における所定時間Δt間での変化量を増幅して補償するようにすればよい。
よって、所定時間Δt後から電動機1に実際に電圧が供給されるまでの時間は、所定時間Δtとキャリア周期Tの関係は後述のように求まるので、ゲイン比kはq軸指令電流Iq*の変化量と、所定時間Δtとキャリア周期Tによって求めることができる。
図3は、キャリア周期T、所定時間Δt、三角波キャリアのピーク(三角波の山、谷の両方)の関係を電動機1に実際に電圧が供給されるタイミングを示したものである。なお、図3には、サンプリング信号21A,21B、電流制御演算、電圧補償演算のタイミングも合わせて図示している。
なお、インバータ2に供給するゲート信号を作るPWMパルス発生器3は、U、V、W指令電圧(Vu*、Vv*、Vw*)を三角波キャリアと比較してゲート信号を作るので、電動機1に実際に電圧が供給されるタイミングは三角波キャリアの山、谷のピークの中間点となっている。
なお、キャリア周期Tを100μs、所定時間Δtを5μsとすると、k=4となる。
このように処理するので、指令電流のサンプリングから指令電圧が電動機に実際に供給されるまでの遅れを補償することができる。
q軸電圧補償器12’、d軸電圧補償器13’は、q軸電圧補償器12、d軸電圧補償器13ではPI制御器で構成していた補償器12C、13Cの部分を、係数器12D、12E、12F、13D、13E、13F、加算器12H、12I、13H、減算器13Iと乗算器12G、13Gから構成し、また、図示していないが電動機1に取り付けられた速度検出器あるいは位置検出器から得られる電動機の電気角速度を基に得られる出力周波数ωを入力するようにしている。
駆動する電動機1が例えば同期電動機(特にSPMモータ)である場合、電動機の電圧方程式は、(5)式で表される。
ここで、pは微分演算子、R、Lはそれぞれ電機子巻線の抵抗、インダクタンス、Keは誘起電圧定数、ωは出力周波数である。
したがって、係数器12D、12E、12Fの設定値を、それぞれL/Δt、k×R、k×LとすることによりΔVdの演算を、係数器13D、13E、13Fについても同様の設定値でΔVqの演算を行うことができるので、指令電流の遅れを補償できる。
上記では電動機1を同期電動機のうちSPMモータとして説明したが、IPMモータ等の同期電動機や、あるいは誘導電動機等の他の電動機であっても、電動機に合った電圧方程式を用いて演算すればよい。
このようにして処理されるので、q軸電圧補償器12’、d軸電圧補償器13’での処理はPI演算でなくても本発明は実施できる。
所定時間での指令電流の変化量は、電流制御を行う周期、あるいは換言するとキャリア周期Tの1/2の周期の期間での変化量として求め、指令電流がサンプリングされてから電動機への電圧指令の出力タイミングの指令電流の差を電圧補償器で補償するように電圧補償器のゲイン比kを決定するようにする。このように考えると、電動機への電圧指令の出力タイミングは電流制御を行う周期の1/2、つまりキャリア周期Tの1/4の周期であるのでゲイン比kは1/2として求まるので、k=1/2として処理するようにする。
このようにして処理されるので、三角波キャリアのピークから所定時間Δt後の指令電流のサンプリングを省略しても本発明は実施できる。
電流サンプリングタイミング発生器6’は、サンプル信号21Aの三角波キャリアのピーク(三角波の山、谷の両方)時に加え、所定時間Δt後にも出力するようにし、サンプル信号21A’として出力している。したがって、サンプル信号21A’と21Bは同じタイミングで出力される。
サンプル・ホールド器(1)8’は、このサンプル信号21A’により3相2相変換器9、第2のq軸電圧補償器18、第2のd軸電圧補償器19に対し、演算タイミングを知らせ、3相2相変換器9の出力であるq軸出力電流Iq_fb、d軸出力電流Id_fbの変化量を用いて、出力電流の読み込みに起因する無駄時間(出力電流の読み込みタイミングから電圧指令が電動機へ出力されるタイミングまでの時間)を補償する演算を行わせる。
なお、必要に応じて第2のq軸電圧補償器18、第2のd軸電圧補償器19の入力あるいは出力にフィルタを付加し、出力電流波形に載るキャリアに依存するリップル等を除去するようにしてもよい。その際には、キャリア周波数成分は減衰させるが、電流応答を劣化させない応答周波数のフィルタを付加することが望ましい。
このようにして処理されるので、出力電流のサンプリングからら指令電圧が電動機に実際に供給されるまでの遅れを補償することができる。
また、上記説明では、キャリア信号を三角波キャリアとしたが、のこぎり波などの周期性のあるキャリア信号であればよい。
また、上記で説明した図1,4,6に示された構成のいくつかを組み合わせて使用してもよい。
2 インバータ
3 PWMパルス発生器
4 三角波キャリア発生器
5 2相3相変換器
6、6’ 電流サンプリングタイミング発生器
7A、7B 電流検出器
8、8’ サンプル・ホールド器(1)
9 3相2相変換器
10 q軸電流制御器
11 d軸電流制御器
12、12’ q軸電圧補償器
12A 遅延回路
12B 減算器
12C 補償器
12D、12E、12F 係数器
12G 乗算器
12H、12I 加算器
13、13’ d軸電圧補償器
13A 遅延回路
13B、13I 減算器
13C 補償器
13D、13E、13F 係数器
13G 乗算器
13H 加算器
14A サンプル・ホールド器(2)
14B サンプル・ホールド器(3)
15A、15B 減算器
16A、16B、17A、17B 加算器
18 第2のq軸電圧補償器
19 第2のd軸電圧補償器
20 同期信号
21A、21A’、21B サンプル信号
101 制御装置
102 電力変換器
103 負荷装置
104 電流検出器
105 指令値発生器
111 電流検出値をサンプルするためのサンプル信号
112 電流検出値をサンプルするサンプル・ホールド器(1)
113 電流指令値をサンプルするためのサンプル信号
114 電流指令値をサンプルするサンプル・ホールド器(2)
115 サンプル信号発生器
116 電圧指令演算器
117 PWM制御器
118 同期信号
271 比較器
272 三角波発生器
Claims (9)
- 電動機に流れる出力電流をキャリア信号と同期したタイミングでサンプリングして検出する第1のサンプル・ホールド器と、指令電流と前記出力電流が一致するように制御する電流制御器と、前記電流制御器の出力を用いて演算された電圧指令を前記キャリア信号と比較してPWMパルスに変換するPWMパルス発生器と、前記PWMパルスを用いて前記電動機に電力を供給する電力変換器とを備えた電動機制御装置において、
前記指令電流を前記キャリア信号と同期したタイミングでサンプリングする第2のサンプル・ホールド器と、
前記第2のサンプル・ホールド器は、前記キャリア信号と同期したタイミングから所定時間Δt後にも指令電流をサンプリングするようになっていて、
前記第2のサンプル・ホールド器の出力に基づいて電圧補償量を演算する電圧補償器と、
前記電圧補償器の出力を前記電圧指令に加算して新たな電圧指令とする加算器とを備えたことを特徴とする電動機制御装置。 - 前記電流制御器及び前記電圧補償器は比例・積分制御で構成され、2つの比例ゲインと積分ゲインの比は等しいことを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。
- 前記電流制御器の比例ゲインと前記電圧補償器の比例ゲインの比は、前記キャリア信号の周期と前記所定時間Δtの関係から演算で求めることを特徴とする請求項2記載の電動機制御装置。
- 前記出力電流をサンプリングするタイミングは、前記キャリア信号のピーク値(山あるいは谷)の両方、あるいはいずれか一方であることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。
- 前記新たな電圧指令が反映されたPWMパルスが前記電動機に供給されるタイミングは、前記新たな電圧指令の演算終了直後であることを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。
- 前記電圧補償器は、前回のサンプリングで検出した前記指令電流を保持する遅延回路と、所定時間Δt後にサンプリングで検出した前記指令電流と前記遅延回路の出力の差分を演算する減算器と、前記減算器の出力に、比例・積分制御を用いることなく、電動機定数によって決定する所定ゲインを乗算する乗算器と、
前記乗算器の出力を前記電流制御器の入力値に加算する加算器とを備えたことを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。 - 前記電圧補償器は、前回のサンプリングで検出した前記指令電流を保持する遅延回路と、
今回のサンプリングで検出した前記指令電流と前記遅延回路の出力の差分を演算する減算器と、
前記減算器の出力に所定ゲインを乗算する乗算器と、
前記乗算器の出力を比例・積分制御され、前記電流制御器の入力値に加算する加算器とを備えたことを特徴とする請求項1記載の電動機制御装置。 - 電動機に流れる出力電流をキャリア信号と同期したタイミングでサンプリングして出力電流を検出する第1のサンプル・ホールド器と、指令電流と前記出力電流が一致するように制御する電流制御器と、前記電流制御器の出力を用いて演算された電圧指令を前記キャリア信号と比較してPWMパルスに変換するPWMパルス発生器と、前記PWMパルスを用いて前記電動機に電力を供給する電力変換器とを備えた電動機制御装置において、
前記指令電流を前記キャリア信号と同期したタイミングでサンプリングする第2のサンプル・ホールド器と、
前記第1及び第2のサンプル・ホールド器は、前記キャリア信号と同期したタイミングから所定時間Δt後にも指令電流及び出力電流をサンプリングするようになっていて、
前記所定時間Δtでの前記第1のサンプル・ホールド器の出力に基づいて補償量を演算する第1の電圧補償器と、
前記所定時間Δtでの前記第2のサンプル・ホールド器の出力に基づいて補償量を演算する第2の電圧補償器と、
前記第1及び第2の電圧補償器の出力を前記電圧指令に加算して新たな電圧指令とする加算器とを備えたことを特徴とする電動機制御装置。 - 指令電流をキャリア信号と同期したタイミングでサンプリングするサンプル・ホールド器と、前記指令電流と出力電流が一致するように制御する電流制御器と、前記電流制御器の出力を用いて演算された電圧指令を前記キャリア信号と比較してPWMパルスに変換するPWMパルス発生器と、前記PWMパルスを用いて前記電動機に電力を供給する電力変換器とを備えた電動機制御装置の制御方法において、
前記指令電流を前記キャリア信号と同期したタイミングでサンプリングし、
さらに、所定時間Δt後に前記指令電流をサンプリングし、
所定時間Δtの間にサンプリングした2つの前記指令電流に基づいて電圧補償量を演算し、
前記電圧補償量を前記電圧指令に加算して新たな電圧指令とするという手順で処理することを特徴とする電動機制御装置の制御方法。
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