JP4909570B2 - 単筒型液圧緩衝器 - Google Patents

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Description

本発明は、単筒型液圧緩衝器の改良に関する。
従来の単筒型液圧緩衝器にあっては、たとえば、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されシリンダ内を液室と気室とに区画するフリーピストンと、シリンダ内に摺動自在に挿入され液室を二つの圧力室に区画するピストンと、ピストンに一端が連結されるロッドとを備えて構成され、車両の車体と車軸との間に介装されて車体の振動を抑制している(たとえば、特許文献1参照)。
また、この単筒型液圧緩衝器にあっては、ピストンがシリンダに対して軸方向に移動する緩衝器の伸縮行程にあっては、ロッドがシリンダ内に侵入あるいはロッドがシリンダ内から退出する体積分の液体を上記した気室が膨縮することによって補償している。
さらに、上記気室は、車体の振動を抑制するには、比較的大きな減衰力を発揮しなければならないので、上記ロッド体積分の液体を補償するだけでなく、シリンダ内の液体を常時加圧状態に維持しており、該気室内には加圧されたガスが封入されている。
特開平08−159199号公報(図1)
しかしながら、上記した従来の単筒型液圧緩衝器にあっては、圧縮行程時におけるピストン速度が速くなると、気室内の圧力上昇がフリーピストンによって隔てられた圧縮側の液室内の圧力上昇についていけずに、該圧縮側液室内圧力が気室内圧力と同圧もしくはそれ以上となると、フリーピストンがピストンと平行移動するようになって、圧縮側液室内の容積が変化せずに伸長側液室の容積のみが膨張してしまう不具合がある。
このような状況となると、図5中実線で示すような減衰特性となって、圧縮側の減衰力が上記したピストン速度を境にそれ以上大きくならず、図5中破線で示すような減衰特性を実現できず、車体の振動を抑制するために求められる減衰力を発生できなくなってしまう。
さらに、伸長側液室内の圧力が外気圧より低くなって、ロッドとシリンダとの間の封止しているシール部材とロッドとの間からシリンダ内に外気が吸引されてしまい、エアレーションや断熱圧縮等の原因になってしまう場合がある。
上述のような不具合を解消するためには、気室内の圧力を予め高く設定しておくこともできるが、このようにすると、シリンダ内の液室内圧力が必要以上に高くなって、液圧緩衝器の減衰係数が大きくなり減衰力過剰となって、車両搭乗者にゴツゴツ感を知覚させ車両における乗り心地を阻害してしまい、さらには、シール部材が必要以上に液室内圧力を受けるので、ロッドの外周への緊迫力も大きくなり、ロッドの円滑な移動を妨げ、シール部材の寿命を短くしてしまうという新たな不具合が招来されることになる。
そこで、本発明は、上記した不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、圧縮行程時にあっても必要十分な減衰力を発揮して車両における乗り心地を向上することができる単筒型液圧緩衝器を提供することである。
本発明の課題解決手段は、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されシリンダ内を液室と気室とに区画するフリーピストンと、シリンダ内に摺動自在に挿入され液室を二つの圧力室に区画するピストンと、ピストンに一端が連結されるロッドとを備えた車両用単筒型液圧緩衝器において、フリーピストンを液室方向に附勢し圧縮が進行するとバネ定数が大きくなる弾性部材を気室内に設けた。
本発明によれば、圧縮行程時におけるピストン速度が速くなっても、気室内の圧力上昇のみならず、弾性部材によってもフリーピストンが附勢されるので、液室内が大きく加圧されフリーピストンがピストンと平行移動するような事態が回避され、圧縮側の減衰力が頭打ちになってしまうことが防止され、車両の車体における振動を充分に抑制して車両における乗り心地を向上することができる。
さらに、ピストン速度が速い場合には、液室内が大きく加圧されフリーピストンがピストンと平行移動するような事態が回避されるので、伸長側の圧力室内の圧力が外気圧より低くなって、ロッドとシリンダとの間封止しているシール部材とロッドとの間からシリンダ内に外気が吸引されることが回避され、エアレーションや断熱圧縮等の心配がない。
また、圧縮が進行するとバネ定数が大きくなる弾性部材のバネ反力によって、気室内の気体圧力によるフリーピストンを附勢する附勢力を助勢するようにしているので、気室内圧力を高く設定する場合に露見されるようなシリンダ内液室内圧力が必要以上に高くなる現象を引き起こすことがなく、車両用単筒型液圧緩衝器における減衰係数が大きくなり減衰力過剰となって、車両搭乗者にゴツゴツ感を知覚させ車両における乗り心地を阻害してしまったり、シール部材に必要以上に液室内圧力を作用させたりすることがない。
したがって、シール部材におけるロッドの外周への緊迫力を過大に設定する必要がなくなり、ロッドの円滑な移動を妨げたり、シール部材の寿命を短くしてしまったりといった不具合も招来させることがない。
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。図1は、一実施の形態における車両用単筒型液圧緩衝器の縦断面図である。図2は、車両用端筒型液圧緩衝器における弾性部材のバネ定数の小さい部位が最圧縮状態となった状態を示す図である。図3は、車両用単筒型液圧緩衝器の減衰特性を示す図である。図4は、他の実施の形態における車両用単筒型液圧緩衝器の縦断面図である。
図1に示すように、一実施の形態における車両用単筒型液圧緩衝器D1は、シリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されシリンダ1内を液室Lと気室Gとに区画するフリーピストン2と、シリンダ1内に摺動自在に挿入され液室Lを二つの圧力室R1,R2に区画するピストン3と、ピストン3に一端が連結されるロッド4とを備え、気室G内には、加圧された気体が封入されるとともに、フリーピストン2を液室L方向に附勢する弾性部材たるコイルスプリングSが設けられている。
以下、各部材について詳細に説明すると、ピストン3は、上述のように、シリンダ1内に2つの圧力室R1,R2を画成しており、この圧力室R1,R2内には、作動油等の液体が充填されている。また圧力室R2の図中下方には上記フリーピストン2により気室Gが区画されている。
そして、ピストン3の一端にはロッド4が連結されており、このロッド4は、シリンダ1の上端に設けられてシリンダ1内を封止する環状のヘッド部材5おけるシール部材6が配在される軸心部からシリンダ1外へ突出させてあり、このロッド4の上端とシリンダ1の下端に設けられる図示しない取付ブラケットを介して車両用単筒型液圧緩衝器D1を車両における車体と車軸との間に介装することができるようになっている。
また、ピストン3には、図示はしないが、上記圧力室R1と圧力室R2とを連通する通路が設けられており、また、該通路の途中には、図示しない減衰力発生要素が設けられている。
この減衰力発生要素は、上記通路を液体が通過する際に液体の流れに抵抗を与え、所定の圧力損失を生じさせるものであればよく、具体的にはたとえば、オリフィスやリーフバルブといった減衰バルブを採用することができる。
また、気室Gは、車両用単筒型液圧緩衝器D1が伸縮する際にフリーピストン2がシリンダ1に対し図中上下に移動して、その容積を膨縮することで、シリンダ1内で過不足となるシリンダ1内に侵入もしくはシリンダ1内から退出するロッド4の体積分の液体を補償する。
すなわち、この車両用単筒型液圧緩衝器D1は、伸縮する際、圧力室R1内と圧力室R2内の液体が上記した通路を介して交流し、上記減衰力発生要素によって生じる圧力損失に見合った減衰力を発生するようになっている。
そして、この車両用単筒型液圧緩衝器D1にあっては、気室G内に弾性部材たるコイルスプリングSが収納されており、このコイルスプリングSは、フリーピストン2を図1中上方側、すなわち、液室L側へ向けて附勢している。
また、コイルスプリングSは、バネ定数が小さい部位10と、バネ定数が大きな部位11とを備えており、ピストン3がシリンダ1の上端に位置して、フリーピストン2がシリンダ1に対して最上方に変位するようになる車両用単筒型液圧緩衝器D1の最伸び切り状態においても、フリーピストン2の下端に接するような長さに設定されている。
このようにしておくことで、車両用単筒型液圧緩衝器D1が伸縮してもフリーピストン2は必ずコイルスプリングSに当接しているので、該車両用単筒型液圧緩衝器D1の伸縮時に、フリーピストン2とコイルスプリングSとが勢いよく衝突するような事態が回避され異音の発生が防止され、さらに、コイルスプリングSがシリンダ1の図1中下端となる端部とフリーピストン2で言わば常時挟持されることになりコイルスプリングSがシリンダ1内で暴れてしまう事態をも回避されてこれを原因とする異音の発生も防止されることになる。
さらに、このコイルスプリングSにあっては、上下方向から圧縮していくと、図2に示すように、バネ定数が大きな部位11が撓みきって隣接する線条同士が当接する最圧縮状態となる前にバネ定数の小さな部位10が最圧縮状態となるようになっており、これによってバネ定数が可変になるようになっている。
すなわち、車両用単筒型液圧緩衝器が伸縮してピストン3がシリンダ1に対して変位するとフリーピストン2もロッド4の侵入体積あるいは退出体積をピストン3の圧力を受ける受圧面積で除した量だけ変位するが、このフリーピストン2の変位に対し、バネ定数が小さな部位10が最圧縮状態とならない場合には、上記したコイルスプリングSは、小さなバネ定数のバネと大きなバネ定数のバネを直列配置したときと同じ合成バネ定数でフリーピストン2に図1中上方向のバネ反力を作用させ、他方、バネ定数が小さな部位10が最圧縮状態となる場合、コイルスプリングSは、大きなバネ定数でフリーピストン2に図2中上方向のバネ反力を作用させることになり、圧縮が進行するとバネ定数が大きくなるようになっている。
そして、この実施の形態の場合、バネ定数が小さい部位10は、ピストン3が所定のピストン位置にあるとき、ちょうどバネ定数が小さな部位10の隣接する線条同士が当接して最圧縮状態となるように設定され、この所定のピストン位置は、車両用単筒型液圧緩衝器D1と並列に車体と車軸との間に介装される図示しない懸架バネとで車体を支持した状態におけるピストン3のシリンダ1に対する位置(本書にあっては、「中立位置」と言う)とされている。なお、この中立位置は、具体的にたとえば、乗用車の場合には、車体に搭乗者が乗車した状態におけるピストン3のシリンダ1に対する位置とされる。
つづいて、上記のように構成された車両用単筒型液圧緩衝器D1の作用について説明する。
今、車両用単筒型液圧緩衝器D1が図示しない車両の車体と車軸との間に介装されて、ピストン3が上述の中立位置にあり、図2に示すように、コイルスプリングSのバネ定数の小さな部位10が最圧縮状態となっているとすると、液室L内は、気室Gの気体圧力とコイルスプリングSのバネ反力で加圧されている状態となる。
そして、この状態から車両用単筒型液圧緩衝器D1が小振幅で圧縮される場合を考えると、圧縮時には、ロッド4がシリンダ1内に侵入するロッド侵入体積分の液体が過剰となるため、フリーピストン2は、ロッド侵入体積をピストン3の受圧面積で除した量だけコイルスプリングSを下方へ押し下げて図2中下方へ変位することになる。
このとき、コイルスプリングSは、バネ定数が小さな部位10が最圧縮状態となっているので、上記フリーピストン2の変位に対してはバネ定数が大きな部位11の撓み量に比例してバネ反力を強めることになる。
そして、一般的に、車両用単筒型液圧緩衝器D1における圧縮量が小さいピストン速度が低速領域にあっては、ロッド侵入体積が少なく、上記バネ定数が大きな部位11の撓み量も充分小さいので、液室L内はフリーピストン2によって大きく加圧されることがなく、減衰特性は、図3に示したように、減衰力が大きくなりすぎることがなく、車両搭乗者にゴツゴツした感覚を抱かせることなく、このピストン速度領域における乗り心地を維持することが可能である。
さらに、一般的に、車両用単筒型液圧緩衝器D1における圧縮量が多くなるピストン速度が高速領域にあっては、ロッド侵入体積が多くなり、上記バネ定数が大きな部位11の撓み量も大きくなり、フリーピストン2は気体圧力に加えてコイルスプリングSの撓み量に比例して大きくなるバネ反力で附勢されることによって液室L内は従来緩衝器に比較して大きく加圧されることになる。
したがって、圧縮行程時におけるピストン速度が速くなっても、気室内の圧力上昇のみならず、弾性部材たるコイルスプリングSによってもフリーピストン2が附勢されるので、液室L内が大きく加圧されフリーピストン2がピストン3と平行移動するような事態が回避され、減衰特性は、図3に示した如くとなって圧縮側の減衰力が頭打ちになってしまうことが防止され、車両の車体における振動を充分に抑制して車両における乗り心地を向上することができる。
さらに、圧縮行程時におけるピストン速度が速い場合に、液室L内が大きく加圧されフリーピストン2がピストン3と平行移動するような事態が回避されので、伸長側の圧力室R1内の圧力が外気圧より低くなって、ロッド4とヘッド部材5との間の封止しているシール部材6とロッド4との間からシリンダ1内に外気が吸引されることが回避され、エアレーションや断熱圧縮等の心配がない。
また、圧縮が進行するとバネ定数が大きくなる弾性部材たるコイルスプリングSのバネ反力によって、気室G内の気体圧力によるフリーピストン2を附勢する附勢力を助勢するようにしているので、気室内圧力を高く設定する場合に露見されるようなシリンダ1内の液室L内圧力が必要以上に高くなる現象を引き起こすことがなく、車両用単筒型液圧緩衝器D1における減衰係数が大きくなり減衰力過剰となって、車両搭乗者にゴツゴツ感を知覚させ車両における乗り心地を阻害してしまったり、シール部材6に必要以上に液室L内圧力を作用させたりすることがない。
したがって、シール部材6におけるロッド4の外周への緊迫力を過大に設定する必要がなくなり、ロッド4の円滑な移動を妨げたり、シール部材6の寿命を短くしてしまったりといった不具合も招来させることがない。
なお、この車両用端筒型液圧緩衝器D1が伸長する場合には、フリーピストン2がシリンダ1に対して図1中上方側に移動して弾性部材のバネ反力は小さいバネ定数と大きいバネ定数の合成バネ定数によるものとなって充分に弱まり、伸長時に圧縮される圧力室R1内の圧力は、従来の緩衝器と同等とすることができ、その減衰係数は図3に示すが如くとなって、車体の振動の抑制および乗り心地に最適となる。
また、上記のようにバネ定数が大きくなる所定のピストン位置がピストン3の中立位置に設定される場合には、中立位置近傍におけるピストン速度が低速となる小振動に対して、液室L内圧力が高くなってしてしまうことが効果的に防止され、車両用単筒型液圧緩衝器D1における減衰係数が大きくなり減衰力過剰とならず、車両搭乗者にゴツゴツ感を知覚させて車両における乗り心地を阻害してしまったり、シール部材6に必要以上に液室L内圧力を作用させたりすることをより一層効果的に抑制することができる。
なお、弾性部材のバネ定数が大きくなるピストン3の所定位置については、車両の使用用途に合わせて中立位置以外に設定されてもよく、たとえば、重量物を積載する可能性がある車両にあっては、その重量分を見込んで上記バネ定数が変化するピストン3の所定位置を設定するようにしてもよい。
また、この実施の形態の弾性部材の場合、一のバネ定数が小さい部位10と一のバネ定数が大きい部位11とを直列配置している構成を採用しているが、たとえば、これを複数のバネ定数が小さい部位と複数のバネ定数が大きい部位とを直列配置するような構成としてもよいし、また、たとえば、バネ定数の小さい部位とその外周または内周にバネ定数の大きい部位を並列に配置するとして、最初にフリーピストン2にバネ定数の小さな部位を当接させておいて、スリーピストン2が図1中下方へ変位するとバネ定数が大きい部位に当接するような構成を採用してもよい。
つづいて、他の実施の形態における車両用単筒型液圧緩衝器D2について説明する。この車両用単筒型液圧緩衝器D2は、図4に示すように、車両用単筒型液圧緩衝器D1の弾性部材のみを別の構成の弾性部材に変更したものである。
したがって、この異なる構成である弾性部材について詳細に説明することとして、一実施の形態における車両用単筒型液圧緩衝器D1と同様の部材については、同様の符号を付するのみとして、その詳しい説明を省略することとする。
この他の実施の形態における弾性部材Bは、図4に示すように、合成樹脂製であって、シリンダ1内周に嵌合する基部15と、基部15から起立してフリーピストン2の端部に当接する凸部16とを備えて構成されている。
そして、上記した凸部16は、先端側のバネ定数が小さな部位16aと、基端側のバネ定数が大きな部位16bとを備えており、この実施の形態にあっても、ピストン3が所定位置となる中立位置にある状態で、バネ定数が小さな部位16aが最圧縮状態となるように設定され、また、弾性部材Bの全長は、ピストン3がシリンダ1の上端に位置して、フリーピストン2がシリンダ1に対して最上方に変位するようになる車両用単筒型液圧緩衝器D2の最伸び切り状態においても、フリーピストン2の下端に接するような長さに設定されている。
すなわち、この弾性部材Bにあっては、図4中上下方向から圧縮していくと、バネ定数が大きな部位16bが撓みきって最圧縮状態となる前にバネ定数の小さな部位16aが最圧縮状態となるようになっており、これによってバネ定数が可変になるようになっている。
すなわち、この実施の形態にあっても、車両用単筒型液圧緩衝器D2が伸縮してピストン3がシリンダ1に対して変位するとフリーピストン2もロッド4の侵入体積あるいは退出体積をピストン3の圧力を受ける受圧面積で除した量だけ変位するが、このフリーピストン2の変位に対し、バネ定数が小さな部位16aが最圧縮状態とならない場合には、上記した弾性部材Bは、小さなバネ定数のバネと大きなバネ定数のバネを直列配置したときと同じ合成バネ定数でフリーピストン2に図4中上方向のバネ反力を作用させ、他方、バネ定数が小さな部位16aが最圧縮状態となる場合、弾性部材Bは、大きなバネ定数でフリーピストン2に図4中上方向のバネ反力を作用させることになり、圧縮が進行するとバネ定数が大きくなるようになっている。
さらに、基部15の外径は、シリンダ1の内径と同径か若干大きくなるように設定されており、このように設定されることで、弾性部材Bは、シリンダ1に位置決めて、シリンダ1内で暴れることが内容になっている。
すなわち、この実施の形態における弾性部材Bにあっても、車両用単筒型液圧緩衝器D2が伸縮してもフリーピストン2は必ずコイルスプリングSに当接しているので、該車両用単筒型液圧緩衝器D2の伸縮時に、フリーピストン2と勢いよく衝突するような事態が回避され異音の発生が防止され、さらに、シリンダ1内で暴れてしまう事態をも回避されてこれを原因とする異音の発生も防止されることになる。
なお、基部15には、その上下を貫く貫通孔15aが設けられており、シリンダ1の下端に該基部15を嵌合して弾性部材Bを気室G内に収容した状態で、気室G内に気体の封入作業が行えるようになっている。
さて、この他の実施の形態における車両用単筒型液圧緩衝器D2は、弾性部材Bが上記した構成となっているのみであって、その機能は一実施の形態における弾性部材であるコイルスプリングSと同様である。
したがって、この他の実施の形態における車両用単筒型液圧緩衝器D2にあっても、一実施の形態における車両用単筒型液圧緩衝器D1と同様の作用効果を奏することができ、圧縮行程時におけるピストン速度が速くなっても、気室内の圧力上昇のみならず、弾性部材Bによってもフリーピストン2が附勢されるので、液室L内が大きく加圧されフリーピストン2がピストン3と平行移動するような事態が回避され、減衰特性は、図2に示した如くとなって圧縮側の減衰力が頭打ちになってしまうことが防止される。
さらに、圧縮行程時におけるピストン速度が速い場合に、液室L内が大きく加圧されフリーピストン2がピストン3と平行移動するような事態が回避されるので、伸長側の圧力室R1内の圧力が外気圧より低くなって、ロッド4とヘッド部材5との間封止しているシール部材6とロッド4との間からシリンダ1内に外気が吸引されることが回避され、エアレーションや断熱圧縮等の心配がない。
また、圧縮が進行するとバネ定数が大きくなる弾性部材Bのバネ反力によって、気室G内の気体圧力によるフリーピストン2を附勢する附勢力を助勢するようにしているので、気室内圧力を高く設定する場合に露見されるようなシリンダ1内の液室L内圧力が必要以上に高くなる現象を引き起こすことがなく、車両用単筒型液圧緩衝器D2における減衰係数が大きくなり減衰力過剰となって、車両搭乗者にゴツゴツ感を知覚させ車両における乗り心地を阻害してしまったり、シール部材6に必要以上に液室L内圧力を作用させたりすることがない。
したがって、シール部材6におけるロッド4の外周への緊迫力を過大に設定する必要がなくなり、ロッド4の円滑な移動を妨げたり、シール部材6の寿命を短くしてしまったりといった不具合も招来させることがない。
なお、この車両用端筒型液圧緩衝器D2が伸長する場合には、フリーピストン2がシリンダ1に対して図3中上方側に移動して弾性部材Bのバネ反力は小さいバネ定数と大きいバネ定数の合成バネ定数によるものとなって充分に弱まり、伸長時に圧縮される圧力室R1内の圧力は、従来の緩衝器と同等とすることができ、その減衰係数は図2に示すが如くとなって、車体の振動の抑制および乗り心地に最適となる。
さらに、バネ定数が大きくなるピストン3の所定位置が中立位置に設定されることで、中立位置近傍におけるピストン速度が低速となる小振動に対して、液室L内圧力が高くなってしてしまうことが効果的に防止され、車両用単筒型液圧緩衝器D2における減衰係数が大きくなり減衰力過剰とならず、車両搭乗者にゴツゴツ感を知覚させて車両における乗り心地を阻害してしまったり、シール部材6に必要以上に液室L内圧力を作用させたりすることをより一層効果的に抑制することができるという点も一実施の形態と同様である。
加えて、この他の実施の形態にあっては、弾性部材Bが合成樹脂製であるので、コイルスプリング等の弾性部材に比較して、軽量であるので、車両用単筒型液圧緩衝器D2を軽量なものとすることが可能であり、基部15をシリンダ1の下端に嵌合することが可能であるので、車両用単筒型液圧緩衝器D2の組付加工時に弾性部材Bをシリンダ1に対して位置合わせするような手間も省けるといった利点がある。
なお、この実施の形態の弾性部材Bにあっても、一のバネ定数が小さい部位16aと一のバネ定数が大きい部位16bとを直列配置している構成を採用しているが、たとえば、これを複数のバネ定数が小さい部位と複数のバネ定数が大きい部位とを直列配置するような構成としてもよいし、また、たとえば、バネ定数の小さい部位とその外周または内周にバネ定数の大きい部位を並列に配置するとして、最初にフリーピストン2にバネ定数の小さな部位を当接させておいて、スリーピストン2が図4中下方へ変位するとバネ定数が大きい部位に当接するような構成を採用してもよい。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
一実施の形態における車両用単筒型液圧緩衝器の縦断面図である。 車両用端筒型液圧緩衝器における弾性部材のバネ定数の小さい部位が最圧縮状態となった状態を示す図である。 車両用単筒型液圧緩衝器の減衰特性を示す図である。 他の実施の形態における車両用単筒型液圧緩衝器の縦断面図である。 従来の車両用単筒型液圧緩衝器の減衰特性を示す図である。
符号の説明
1 シリンダ
2 フリーピストン
3 ピストン
4 ロッド
5 ヘッド部材
6 シール部材
10,16a バネ定数が小さい部位
11,16b バネ定数が大きな部位
15 基部
16 凸部
B 弾性部材
D1,D2 車両用単筒型液圧緩衝器
G 気室
L 液室
R1,R2 圧力室
S 弾性部材たるコイルスプリング

Claims (7)

  1. シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されシリンダ内を液室と気室とに区画するフリーピストンと、シリンダ内に摺動自在に挿入され液室を二つの圧力室に区画するピストンと、ピストンに一端が連結されるロッドとを備えた車両用単筒型液圧緩衝器において、フリーピストンを液室方向に附勢し圧縮が進行するとバネ定数が大きくなる弾性部材を気室内に設けたことを特徴とする車両用単筒型液圧緩衝器。
  2. 弾性部材は、ピストンがフリーピストン方向に所定位置を越えるとバネ定数が大きくなるように設定されてなる請求項1に記載の車両用単筒型液圧緩衝器。
  3. 弾性部材は、バネ定数が小さな部位とバネ定数が大きな部位を備えており、所定のピストン位置でバネ定数が小さな部位は最圧縮状態となることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用単筒型液圧緩衝器。
  4. 弾性部材は、バネ定数が小さな部位とバネ定数が大きな部位を備えており、バネ定数が小さな部位はピストンが中立位置にあると最圧縮状態となることを特徴とする請求項1または3のいずれかに記載の車両用単筒型液圧緩衝器。
  5. 弾性部材は、コイルスプリングであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車両用単筒型液圧緩衝器。
  6. 弾性部材は、合成樹脂製であって、シリンダ内周に嵌合する基部と、基部から起立してフリーピストンの端部に当接する凸部とを備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車両用単筒型液圧緩衝器。
  7. 弾性部材は、常時フリーピストンとシリンダ端部とで挟持されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の車両用単筒型液圧緩衝器。
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