以下、図に基づいて本発明を説明する。本発明の一実施の形態における緩衝装置D1は、図1に示すように、シリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されシリンダ1内を2つの伸側室R1および圧側室R2に区画するピストン2と、リザーバRと、リザーバRから圧側室R2へと向かう液体の流れのみを許容する吸込通路3と、圧側室R2から伸側室R1へ向かう液体の流れのみを許容する整流通路4と、伸側室R1からリザーバRへ向かう液体の流れのみを許容するとともに当該液体の流れに与える抵抗を変更可能な減衰力調整部としての減衰力可変バルブVと、圧力室14を形成するハウジングとしてのボトム部材11と、圧力室14内に摺動自在に挿入されて圧力室14内に伸側室R1へ連通される伸側圧力室としての外周室17と圧側室R2へ連通される圧側圧力室としての大室16を形成するフリーピストン5とを備えており、フリーピストン5を摺動方向の一方である図1中下方に押圧するよう当該フリーピストン5に圧側室由来の圧力を作用させ、フリーピストン5を摺動方向の他方である図1中上方に押圧するよう当該フリーピストン5に伸側室由来の圧力を作用させている。
また、緩衝装置D1は、シリンダ1内に移動自在に挿通されたピストンロッド21を備えており、ピストンロッド21の一端21aはピストン2に連結されるとともに、他端である上端は、シリンダ1の上端を封止する環状のロッドガイド8によって摺動自在に軸支されて外方へ突出されている。さらに、緩衝装置D1は、シリンダ1の外周を覆ってシリンダ1との間に伸側室R1とリザーバRとを連通する排出通路7を形成する中間筒9と、中間筒9の外周を覆って中間筒9との間にリザーバRを形成する有底筒状の外筒10とを備えて構成されており、減衰力可変バルブVは排出通路7とリザーバRとの間に設けられている。シリンダ1および中間筒9の下端は、ハウジングとしてのボトム部材11によって封止されており、このボトム部材11に圧力室14と吸込通路3が設けられている。
そして、伸側室R1、圧側室R2さらには圧力室14内には作動油等の液体が充満され、また、リザーバR内には、当該液体とともに気体が充填されている。なお、上記した液体は、作動油以外にも、たとえば、水、水溶液といった液体を使用することもできる。
以下、緩衝装置D1の各部について詳細に説明する。ピストン2は、シリンダ1内に移動自在に挿通されたピストンロッド21の図1中下端である一端21aに連結されている。また、ピストンロッド21と、これを軸支するロッドガイド8との間は、シール部材12によってシールされており、シリンダ1内は液密状態に保たれている。
ロッドガイド8は、外周が中間筒9および外筒10に嵌合することができるように段階的に外径が大きくなっていて、シリンダ1、中間筒9および外筒10の図1中上端開口を閉塞している。
他方、シリンダ1の図1中下端には、ボトム部材11が嵌合されている。このボトム部材11は、シリンダ1内に嵌合される小径部11aと、小径部11aよりも外径が大きい中間筒9内に嵌合する中径部11bと、中径部11bの図1中下端側に設けられて中径部11bよりも外径が大きな大径部11cと、大径部11cの図1中下端側に設けた筒部11dと、筒部11dに設けた複数の切欠11eとを備えている。
そして、外筒10内に、ボトム部材11、シリンダ1、中間筒9、ロッドガイド8およびシール部材12を収容し、外筒10の図1中上端を加締めると、外筒10の加締部10aと外筒10の底部10bとで、ボトム部材11、シリンダ1、中間筒9、ロッドガイド8およびシール部材12が挟み込まれて、これらが外筒10に固定される。なお、外筒10の開口端を加締めるのではなく、外筒10に螺着されるキャップと底部10bとでボトム部材11、シリンダ1、中間筒9、ロッドガイド8およびシール部材12を挟み込むようにしてもよい。
ボトム部材11に設けられた吸込通路3は、具体的には、ボトム部材11に設けられてリザーバRを圧側室R2へ連通する通路3aと、当該通路3aに設けたチェックバルブ3bとを備えている。通路3aは、ボトム部材11の小径部11aの図1中上端から開口して大径部11cの図1中下端へ通じるようになっており、リザーバRへは切欠11eを介して通じている。チェックバルブ3bは、液体がリザーバRから圧側室R2へ向かって流れる場合にのみ開弁するようになっており、通路3aがリザーバRから圧側室R2へ向かう液体の流れのみを許容し、逆方向への流れを阻止する一方通行に設定され、これら通路3aとチェックバルブ3bによって吸込通路3が構成されている。
ピストン2は、圧側室R2から伸側室R1へ向かう液体の流れのみを許容する整流通路4が設けられている。整流通路4は、具体的には、ピストン2に設けられて圧側室R2を伸側室R1へ連通する通路4aと、当該通路4aに設けたチェックバルブ4bとを備えている。チェックバルブ4bは、液体が圧側室R2から伸側室R1へ向かって流れる場合にのみ開弁するようになっており、通路4aが圧側室R2から伸側室R1へ向かう液体の流れのみを許容し、逆方向への流れを阻止する一方通行に設定され、これら通路4aとチェックバルブ4bによって整流通路4が構成されている。
また、シリンダ1の図中上端近傍には、伸側室R1に臨む透孔1aが設けられており、伸側室R1がシリンダ1と中間筒9との間に形成された環状隙間に連通されている。シリンダ1と中間筒9の間の環状隙間は、伸側室R1とリザーバRとを連通する排出通路7を形成している。減衰力可変バルブVは、外筒10と中間筒9に架け渡されて固定されるバルブブロック13に設けられており、中間筒9内の排出通路7をリザーバRに接続する流路13aと、流路13aの途中に設けた弁体13bと、弁体13bより上流側である伸側室R1の圧力を当該弁体13bに開弁方向へ押圧するように作用させるパイロット通路13cと、弁体13bを閉弁方向に押圧する押圧力を発揮するとともに当該押圧力を可変にする押圧装置13dとを備えて構成されている。押圧装置13dは、図示したところでは、たとえば、ソレノイドで弁体13bを閉弁方向に押圧する圧力を制御するようになっており、外部からソレノイドへ供給する電流供給量に応じて上記圧力を変化させることができるようになっている。押圧装置13dは、上記以外にもソレノイド等のアクチュエータのみで弁体13bを押圧するものであってもよいし、これら以外にも供給される電流量や電圧量に応じて押圧力を変化させることができるものであってよい。また、減衰力調整部としては、液体が磁気粘性流体とされる場合には、減衰力可変バルブVに変えて、排出通路7とリザーバRとを連通する流路に磁界を作用させることができるもの、たとえば、コイル等であってもよく、外部から供給される電流量によって磁界の大きさを調整して流路を通過する磁気粘性流体の流れに与える抵抗を変化させるようにしてもよい。さらに、流体を電気粘性流体とする場合には、減衰力調整部は、排出通路7とリザーバRとを連通する流路に電界を作用させることができるものであってもよく、外部から与えられる電圧によって電界の大きさを調整して、上記流路を流れる電気粘性流体に与える抵抗を変化させるようにしてもよい。
したがって、この緩衝装置D1の場合、収縮作動する際には、ピストン2が図1中下方へ移動して圧側室R2が圧縮され、圧側室R2内の液体が整流通路4を介して伸側室R1へ移動する。この収縮作動時には、ピストンロッド21がシリンダ1内に侵入するためシリンダ1内でロッド侵入体積分の液体が過剰となり、過剰分の液体がシリンダ1から押し出されて排出通路7を介してリザーバRへ排出される。緩衝装置D1は、排出通路7を通過してリザーバRへ移動する液体の流れに減衰力可変バルブVで抵抗を与えることによって、シリンダ1内の圧力を上昇させて圧側減衰力を発揮する。
反対に、緩衝装置D1が伸長作動する際には、ピストン2が図1中上方へ移動して伸側室R1が圧縮され、伸側室R1内の液体が排出通路7を介してリザーバRへ移動する。この伸長作動時には、ピストン2が上方へ移動して圧側室R2の容積が拡大するが、この拡大分に見合った液体が吸込通路3を介してリザーバRから供給される。そして、緩衝装置D1は、排出通路7を通過してリザーバRへ移動する液体の流れに減衰力可変バルブVで抵抗を与えることによって伸側室R1内の圧力を上昇させて伸側減衰力を発揮する。
上述したところから理解できるように、緩衝装置D1は、伸縮作動を呈すると、必ずシリンダ1内から排出通路7を介して液体をリザーバRへ排出し、液体が圧側室R2、伸側室R1、リザーバRを順に一方通行で循環するユニフロー型の緩衝装置に設定され、伸圧両側の減衰力を単一の減衰力可変バルブVによって発生するようになっている。なお、ピストンロッド21の断面積をピストン2の断面積の二分の一に設定しておくことで、同振幅であればシリンダ1内から排出される作動油量を伸圧両側で等しく設定できるため、伸圧両側で減衰力可変バルブVが流れに与える抵抗を同じにしておくと、伸側と圧側の減衰力を等しくすることもできる。
つづいて、圧力室14は、この実施の形態の場合、上述したボトム部材11に設けた中空部によって形成されている。圧力室14は、詳しくは、内壁の図1中上下方向に対して垂直に切った断面で仕切られる面積が途中で異なっており、図1中下方側の内壁断面で仕切った面積が小さい小断面積部14aと図1中上方側の内壁断面で仕切った面積が大きい大断面積部14bと、小断面積部14aと大断面積部14bの途中に設けた段部14cとを備えている。
この圧力室14内には、フリーピストン5が摺動自在に挿入されている。フリーピストン5は、この場合、圧力室14の小断面積部14a内に摺動自在に挿入される小ピストン部5aと、小ピストン部5aの図1中上方に設けられて圧力室14の大断面積部14b内に摺動自在に挿入される大ピストン部5bとを備えて構成されており、外周に段部5cを有する段付き形状とされている。したがって、フリーピストン5は、図1中上下方向に移動することができるようになっている。また、圧力室14における小断面積部14aと大断面積部14bは、フリーピストン5の摺動方向に沿って形成されればよい。
そして、フリーピストン5は、その小ピストン部5aを小断面積部14a内に摺動自在に挿入することで、小断面積部14a内であって小ピストン部5aの図1中下方に小室15を区画し、大ピストン部5bを大断面積部14b内に摺動自在に挿入することで大断面積部14b内であって大ピストン部5bの図1中上方に大室16を区画し、大断面積部14b内の段部5cと段部14cとの間であって小ピストン部5aの外周に外周室17を区画している。フリーピストン5の大ピストン部5bの外周には大断面積部14bの内周に摺接するシールリング5dが装着されており、大室16と外周室17とがフリーピストン5の外周を通じて連通することが無いようになっている。なお、小ピストン部5の外周にも外周室17と小室15との連通を防止するべく、シールリングを設けるようにしてもよい。
上記のように形成された小室15は、ボトム部材11に設けた通路18および切欠11eを介してリザーバRに連通され、小室15にはリザーバRに由来する圧力が作用している。大室16は、同じくボトム部材11の小径部11aの図1中上端から開口して大断面積部14bの上端に通じる圧側通路19を介して圧側室R2に連通されており、圧側室R2に由来する圧力が作用していて、圧側室R2に連通される圧側圧力室として機能している。
また、外周室17は、ボトム部材11に設けた途中にオリフィスを備えた伸側通路20と、伸側通路20に対向するシリンダ1の下端近傍に設けた透孔1bとを介して、排出通路7に接続されている。排出通路7は、上述したように、伸側室R1に通じているので、外周室17は、伸側室R1に連通されていて、伸側室R1に由来する圧力が作用し、伸側圧力室として機能している。外周室17は、この実施の形態では、緩衝装置D1をユニフロー構造にするために設けた減衰力可変バルブVへ液体を導く排出通路7を利用して伸側室R1に連通するようにしているので、排出通路7を共用することができ、ボトム部材11に圧力室14を設けても別個に伸側室R1に外周室17を連通する通路を設ける必要がなくなる点で緩衝装置D1のコスト軽減および軽量化の点で有利である。
上記したところから、大室16内の圧力、すなわち、圧側室R2から導入される圧力(圧側室由来の圧力)がフリーピストン5の大ピストン部5bを図1中上下方向に垂直な面で切った断面の外縁で仕切られる面積を受圧面積(圧側受圧面積A1)として作用しており、小室15および外周室17を圧縮する方向である図1中下方へフリーピストン5を押圧している。
他方、外周室17内の圧力、すなわち、伸側室R1から導入される圧力(伸側室由来の圧力)がフリーピストン5の大ピストン部5bを図1中上下方向に垂直な面で切った断面の外縁と小ピストン部5aを図1中上下方向に垂直な面で切った断面の外縁で仕切られる面積を受圧面積(伸側受圧面積B1)として作用しており、さらに、小室15内の圧力、すなわち、リザーバRの圧力がフリーピストン5の小ピストン部5aを図1中上下方向に垂直な面で切った断面の外縁で仕切られる面積を受圧面積として作用しており、大室16を圧縮する方向である図1中上方へフリーピストン5を押圧している。
このように、フリーピストン5を摺動方向の一方(図1中下方)に押圧するよう当該フリーピストン5に圧側室由来の圧力を作用させるとともに、フリーピストン5を摺動方向の他方(図1中上方)に押圧するようフリーピストン5に伸側室由来の圧力を作用させており、フリーピストン5の圧側室由来圧力が作用する圧側受圧面積A1をフリーピストン5の伸側室由来圧力が作用する伸側受圧面積B1よりも大きくしてある。また、フリーピストン5を摺動方向の他方に押圧するように伸側室由来圧力が作用する伸側受圧面積B1以外の部位C1、つまり、小室15に臨む面にリザーバRに由来の圧力を作用させている。
なお、フリーピストン5を形成する材料の比重が液体の比重より重い場合には、フリーピストン5の小ピストン部5aと大ピストン部5bを中空とすることで緩衝装置D1の軽量化を図ってもよい。
緩衝装置D1は、以上のように構成され、この緩衝装置D1は、圧力室14がフリーピストン5によって伸側圧力室としての外周室17と圧側圧力室としての大室16とに区画されており、フリーピストン5が移動すると大室16と外周室17の容積が変化する。
緩衝装置D1が伸長作動する場面では、ピストン2が図1中上方へ移動するので、圧縮される伸側室R1からは液体が減衰力可変バルブVを介してリザーバRへ排出され、拡大される圧側室R2へは吸込通路3を介してリザーバRから液体が供給される。よって、伸側室R1内の圧力は上昇し、圧側室R2内の圧力はリザーバR内とほぼ等しくなる。
大室16は、圧側通路19を介して圧側室R2に連通されているので、圧側室R2内の圧力が伝搬し、大室16内の圧力は圧側室R2に由来した圧力となるため、リザーバR内とほぼ等しい圧力となる。また、小室15もリザーバRに連通されているので小室15内もリザーバR内とほぼ等しい圧力となる。他方、外周室17は、伸側室R1に連通されており、外周室17内には、伸側室R1に由来した圧力が作用する。
したがって、緩衝装置D1が伸長作動する場合、フリーピストン5の圧側受圧面積A1と部位C1にはリザーバRの圧力にほぼ等しい圧力が作用し、伸側受圧面積B1にはリザーバRの圧力よりも高い伸側室R1に由来する圧力が作用するので、フリーピストン5は、図1中上方側へ押されて移動することになる。このようにフリーピストン5が移動すると、このフリーピストン5の移動量に応じて外周室17へ液体が流れ込み、大室16から圧側室R2へ液体が排出されるので、圧力室14が見掛け上の流路として機能して、液体が伸側室R1から圧側室R2へ減衰力可変バルブVを迂回して移動するようになる。なお、外周室17と伸側室R1とはオリフィスを備えた伸側通路20を介して連通されているため、フリーピストン5の急峻な変位が抑制される。
逆に、緩衝装置D1が収縮作動する場面では、ピストン2が図1中下方へ移動するので、整流通路4によって、圧縮される圧側室R2と拡大される伸側室R1が連通状態におかれシリンダ1内から液体が減衰力可変バルブVを介してリザーバRへ排出される。よって、伸側室R1内および圧側室R2内の圧力は、ほぼ等しくともに上昇することになる。
大室16は、圧側通路19を介して圧側室R2に連通されているので、圧側室R2内の圧力が伝搬し、大室16内の圧力は圧側室R2に由来した圧力となるが、圧側室R2が伸側室R1に連通状態におかれるため、大室16内の圧力は伸側室R1内とほぼ等しい圧力となる。他方、外周室17も伸側通路20を介して伸側室R1に連通されており、外周室17内には、伸側室R1に由来した圧力が作用する。
したがって、緩衝装置D1が収縮作動する場合、フリーピストン5の圧側受圧面積A1と伸側受圧面積B1には伸側室R1の圧力にほぼ等しい圧力が作用し、部位C1にはリザーバRの圧力が作用するので、フリーピストン5は、図1中下方側へ押されて移動する。このようにフリーピストン5が移動すると、外周室17から排出通路7へ液体が排出されるものの大室16へ圧側室R2から液体が流入し、小室15から液体がリザーバRへ排出されるので、大室16の容積拡大量から外周室17の容積減少量を差し引きした量の液体がシリンダ1内からリザーバRへ移動することになり、圧力室14が見掛け上の流路として機能して、上記量の液体がシリンダ1内からリザーバRへ減衰力可変バルブVを迂回して移動するようになる。
このように、フリーピストン5を摺動方向の一方(図1中下方)に押圧するよう当該フリーピストン5に圧側室由来の圧力を作用させるとともに、フリーピストン5を摺動方向の他方(図1中上方)に押圧するようフリーピストン5に伸側室由来の圧力を作用させており、フリーピストン5の圧側室由来圧力が作用する圧側受圧面積A1をフリーピストン5の伸側室由来圧力が作用する伸側受圧面積B1よりも大きくしてあるので、ユニフロー型に設定されて収縮作動時には伸側室R1と圧側室R2とが構造上等圧となる緩衝装置にあってもフリーピストン5を作動させて圧力室14を見掛け上の流路として機能させることができる。
ここで、緩衝装置D1へ入力される振動の振幅が大きい場合と小さい場合を考えると、まず、振幅が大きい場合、ピストン2の振幅が大きく、圧力室14内に出入りする液体流量が多いため、フリーピストン5の振幅も大きくなって、フリーピストン5がボトム部材11の中空部の頂部或いは底部に当接するストロークエンドに達すると、それ以上のフリーピストン5の同方向への移動ができなくなる。すると、見掛け上の通路として機能する圧力室14を介しての伸側室R1と圧側室R2の液体のやり取りが無くなり、その分、減衰力可変バルブVを通過する流量が多くなるため、緩衝装置D1が発生する減衰力は高いまま維持される。
他方、振幅が小さい場合、ピストン2の振幅が小さく、圧力室14内に出入りする液体流量も小さいためフリーピストン5の振幅も小さくなるので、フリーピストン5は、圧力室14内で自由に移動することができる。よって、緩衝装置D1が小さい振幅で伸縮する場合、緩衝装置D1が伸長行程にあっても収縮行程にあっても、フリーピストン5の圧力室14内での移動が妨げられることが無く、減衰力可変バルブVを通過する流量に対して見掛け上の流路を通過する流量の割合が多くなるので、緩衝装置D1が発生する減衰力が低減されて低くなる。緩衝装置D1の振幅が小さくなる状況の多くは、高周波振動入力時であるため、緩衝装置D1の減衰特性は、図2に示すように、推移することになる。図2中の各実線は、減衰力調整部としての減衰力可変バルブVで緩衝装置D1の伸側および圧側の減衰力をソフト、ミディアム、ハードとした場合について減衰特性を示しており、破線は、ソフト、ミディアム、ハードの減衰特性に設定される状況において、緩衝装置D1に高周波振動が入力されて、減衰力が低減された場合の減衰力の特性を示している。
図2に示すように、この緩衝装置D1にあっては、減衰力の変化を伸縮時の振幅に依存させることができ、小振幅の振動に対しては減衰力低減効果を発揮し、大振幅の振動に対しては高い減衰力を発揮することができる。そして、車両のばね上部材とばね下部材との間に介装される緩衝装置D1の場合、高周波振動が入力される場合に振幅が小さくなり、低周波振動が入力される場合には振幅が大きくなる傾向にあるから、ばね上部材の共振周波数帯の低周波振動の入力に対しては高い減衰力を発生することで車体(ばね上部材)の姿勢を安定させて、車両旋回時に搭乗者に不安を感じさせることを防止できるとともに、車両のばね下部材の共振周波数帯の高周波振動が入力されると低い減衰力を発生させることができ、車輪側(ばね下部材側)の振動の車体側(ばね上部材側)への伝達を絶縁して、車両における乗り心地を良好なものとすることができる。
また、上述したように緩衝装置D1は、減衰力可変バルブVが液体の流れに与える抵抗を調整することによって、減衰力を調節することができる。つまり、この緩衝装置D1にあっては、減衰力可変バルブVによる減衰力調整を行いつつも、高周波数の振動に対しては、減衰力を低減することができるのである。
したがって、本発明の緩衝装置D1によれば、比較的低い周波数帯の振動に対しては、減衰力調整部としての減衰力可変バルブVのコントロールによって減衰力調整することで車体振動を制振することができるだけでなく、減衰力調整部としての減衰力可変バルブVのコントロールによっては抑制できない高周波振動に対してはメカニカルに低減衰力を発揮することができ、車輪側からの振動を絶縁して車体振動を効果的に抑制することができ、車両における乗り心地を飛躍的に向上することができるのである。
この場合、外周室17を伸側室R1へ連通する伸側通路20にオリフィスを設けているが、その代わりに、或いは、これに加えて、通路18および圧側通路19の一方または両方にオリフィスを設けてもよいし、その必要がなければ、全ての通路18,19,20にオリフィスを設けないようにしてもよい。また、通路18,19,20に設けるのは、オリフィスではなくチョーク絞りであってもよい。
なお、上記したところでは、小室15をリザーバRへ連通しているが、小室15を緩衝装置D1の外部へ連通して大気開放するようにしてもよい。そのようにしても、緩衝装置D1が伸長作動する場合には、フリーピストン5が図1中上方側へ押されて移動し、フリーピストン5の移動量に応じて外周室17へ液体が流れ込み、大室16から圧側室R2へ液体が排出され、圧力室14が見掛け上の流路として機能して、液体が減衰力可変バルブVを迂回して伸側室R1から圧側室R2へ移動することになり、また、緩衝装置D1が収縮作動する場合には、フリーピストン5が図1中下方側へ押されて移動し、外周室17と大室16の合計容積が拡大する分、液体が減衰力可変バルブVを迂回してシリンダ1内からリザーバRへ移動するため、減衰力可変バルブVを通過する液体量が減少することになり、緩衝装置D1は、小室15をリザーバRへ連通した場合と同様に高周波振動に対して減衰力を低減する効果を発揮することができる。さらに、小室15を大気開放することで、小室15をリザーバRへ連通させなくともよいので、圧力室14を形成するハウジングをピストンロッド21に固定するか、ピストンロッド21内に設けるようにすることも可能である。ただし、小室15をリザーバRへ連通することで、圧力室14を完全に緩衝装置D1内に収容するとともに、小室15から外周室17或いは大室16への気体の混入を防止することができるメリットがある。
さらに、フリーピストン5の外周の断面形状と圧力室14の内壁の断面形状は、円形以外の形状を採用することも可能である。
上記したところでは、ボトム部材11については概略的に説明したが、当該ボトム部材11を具体的に緩衝装置D1に適用するに当たっては、たとえば、図3に示すように、フリーピストン5が挿入される中空部22aを備えたケース部材22と、ケース部材22の中空部22aを閉塞する蓋部材23とで構成することができる。
詳細には、ケース部材22は、円柱状であって外周に三つの段部を備えて図3中上方へ向かうほど段階的に縮径されており、先端側の二段は中間筒9との間に隙間空けて中間筒9内に挿入されており、下端から二段目は中間筒9に嵌合され、最下段は外径が中間筒9の内径よりも大径となっている。また、中間筒9に嵌合する下端から二段目の外周にはシールリング24が装着されており、ケース部材22の外周を通じて排出通路7とリザーバRとが連通されてしまうことを防止している。さらに、ケース部材22の最下段は、筒状とされており、内外を連通する複数の切欠22bを備えている。
また、ケース部材22は、図3中上端から開口する中空部22aを備えており、この中空部22aは、蓋部材23によって閉塞されて、圧力室25を形成している。また、中空部22aは、途中から先端側が縮径されていて、圧力室25における小断面積部25aを形成し、途中から基端側が小断面積部25aよりも大径の大断面積部25bを形成し、小断面積部25aと大断面積部25bとの間に段部25cが形成されている。
さらに、ケース部材22は、ケース部材22の外周であって先端側から二段目の側方から開口して段部25cに通じる透孔22cと、ケース部材22の下端から開口して中空部22aの先端へ通じる通路22dと、ケース部材22を図3中上下方向に貫通する通路22eとを備えている。
蓋部材23は、円板状であって中央に図3中上下方向に沿って設けたボルト挿通孔23aと、図3中下端外周に設けた筒状のソケット23bと、図3中上下方向に沿って設けたポート23cとを備えて構成されている。この蓋部材23のソケット23b内にケース部材22の先端を挿入して嵌合すると、中空部22aが閉塞されて圧力室25が形成される。
ボルト挿通孔23aには、先端に螺子部26aを備えたボルト26が挿通されており、このボルト26の軸部26bの外周にディスク状のチェックバルブ27が装着されている。チェックバルブ27は、ボルト26と螺子部26aに螺着されるナット28によって、蓋部材23に固定され、ポート23cを開閉するようになっている。また、ボルト26には、軸方向に貫く通路26cが設けられて圧力室25が圧側室R2に連通されるようになっている。
そして、ケース部材22の中空部22a内には、フリーピストン5が収容されており、圧力室25内は、フリーピストン5が挿入されることで、圧力室25内が小室15、大室16および外周室17に区画される。小室15内は、ケース部材22に設けた通路22dを介してリザーバRに連通され、大室16は、ボルト26に設けた通路26cを介して圧側室R2に連通され、外周室17は、透孔22cを介して排出通路7に連通される。なお、透孔22cは段部25cに開口するので、フリーピストン5が段部25cに完全に密着するまでは外周室17と排出通路7との連通が断たれないように配慮されている。
蓋部材23にケース部材22を嵌合して一体化すると、ポート23cは、通路22eを介してリザーバRに連通するようになっている。チェックバルブ27は、緩衝装置D1の伸長作動時に圧側室R2内の圧力が減圧されると外周側が撓んで開弁し、ポート23cおよび通路22eを介してリザーバRを圧側室R2へ連通するようになっており、このチェックバルブ27は、ポート23cおよび通路22eと協働して吸込通路3を構成する。
このように構成されたボトム部材11をシリンダ1の下端に嵌合すると、蓋部材23のソケット23bの図3中上端がシリンダ1の下端に当接するようになっているので、外筒10の加締部10aと外筒10の底部10bとで、ボトム部材11、シリンダ1を挟み込むと、ボトム部材11に軸力を作用させてケース部材22と蓋部材23を押しつけることができ、両者が分離することなく一体化される。なお、中間筒9については、外筒10と中間筒9の両者に減衰力可変バルブVが設けられたバルブブロック13が架け渡されて固定されるので、中間筒9をロッドガイド8とボトム部材11とで上下から挟みこまずに、中間筒9のこれらロッドガイド8およびボトム部材11に対する上下方向への移動を許容するようにしている。中間筒9の上下方向の移動を許容することで、中間筒9に対する減衰力可変バルブVの取付位置にある程度の誤差が生じても緩衝装置D1を組み付けることができるようになっている。また、この具体的な緩衝装置D1にあっては、伸側室R1と排出通路7との連通に際して、ロッドガイド8に切欠8aを設けて両者を連通するようにしているが、シリンダ1に孔を設けるようにしてもよい。
なお、ケース部材22における外周径が最小の最先端の外周にシールリング29を装着しておくと、蓋部材23とケース部材22との間がシールされ、排出通路7と大室16とが直接連通してしまうことを防止できる。
上記のようにボトム部材11を構成することで、緩衝装置D1に無理なく組み込むことができ、緩衝装置D1を実現することができる。
また、図4に示すように、蓋部材23にケース部材22の筒状の先端の内周が圧入されるとともにポート23cに通じる環状溝23dを設けておくと、環状溝23dの内周側の壁にケース部材22の先端の内周が隙間を生じることなく圧入されて、大室16と吸込通路3との連通も阻止されて、安定した減衰力低減効果を得ることができる。シールリング29は、ソケット23b側に装着して、ケース部材22の先端外周に密着するようにしてもよい。
さらに、図5に示した他の実施の形態における緩衝装置D2のように、外周室17をリザーバRへ、伸側通路30を介して小室15を伸側室R1へ連通するようにしてもよい。なお、緩衝装置D2は、緩衝装置D1に対し、小室15を伸側圧力室として機能させるため途中にオリフィスを備えた伸側通路30を介して伸側室R1へ連通し、代わりに外周室17をリザーバRへ連通する点のみが異なっており、他は全て緩衝装置D1と同様の構成となっているので、異なる部分以外の説明については説明が重複するので同じ符号を付すだけとして詳しい説明は省略する。
この緩衝装置D2の場合、ボトム部材11内の設けられた小室15が伸側通路30およびシリンダ1に設けた透孔1bおよび排出通路7を介して伸側室R1に連通され、外周室17が通路31を介してリザーバRに連通されている。なお、大室16は、緩衝装置D1と同様に、圧側通路19を介して圧側室R2に連通されている。
このようにしても、フリーピストン5を摺動方向の一方(図5中下方)に押圧するよう当該フリーピストン5に圧側室由来の圧力を作用させるとともに、フリーピストン5を摺動方向の他方(図5中上方)に押圧するようフリーピストン5に伸側室由来の圧力を作用させており、フリーピストン5の圧側室由来圧力が作用する圧側受圧面積A2をフリーピストン5の伸側室由来圧力が作用する伸側受圧面積B2よりも大きくすることができる。また、フリーピストン5を摺動方向の他方に押圧するように伸側室由来圧力が作用する伸側受圧面積B2以外の部位C2、つまり、フリーピストン5の外周室17に臨む面にリザーバRに由来の圧力を作用させている。よって、この実施の形態の緩衝装置D2にあっては、小室15が伸側圧力室として機能し、大室16が圧側圧力室として機能している。
緩衝装置D2は、以上のように構成され、圧力室14がフリーピストン5によって伸側圧力室としての小室15と圧側圧力室としての大室16とに区画されており、フリーピストン5が移動すると小室15と大室16との容積が変化する。
緩衝装置D2が伸長作動する場面では、ピストン2が図5中上方へ移動するので、圧縮される伸側室R1からは液体が減衰力可変バルブVを介してリザーバRへ排出され、拡大される圧側室R2へは吸込通路3を介してリザーバRから液体が供給される。よって、伸側室R1内の圧力は上昇し、圧側室R2内の圧力はリザーバR内とほぼ等しくなる。
大室16は、圧側通路19を介して圧側室R2に連通されているので、圧側室R2内の圧力が伝搬し、大室16内の圧力は圧側室R2に由来した圧力となるため、リザーバR内とほぼ等しい圧力となる。また、外周室17もリザーバRに連通されているので外周室17内もリザーバR内とほぼ等しい圧力となる。他方、小室15は、伸側室R1に連通されており、小室15内には、伸側室R1に由来した圧力が作用する。
したがって、緩衝装置D2が伸長作動する場合、フリーピストン5の圧側受圧面積A2と部位C2にはリザーバRの圧力にほぼ等しい圧力が作用し、伸側受圧面積B2にはリザーバRの圧力よりも高い伸側室R1に由来する圧力が作用するので、フリーピストン5は、図5中上方側へ押されて移動することになる。このようにフリーピストン5が移動すると、このフリーピストン5の移動量に応じて小室15へ液体が流れ込み、大室16から圧側室R2へ液体が排出されるので、圧力室14が見掛け上の流路として機能して、液体が伸側室R1から圧側室R2へ減衰力可変バルブVを迂回して移動するようになる。なお、小室15と伸側室R1とはオリフィスを備えた伸側通路30を介して連通されているため、フリーピストン5の急峻な変位が抑制される。
逆に、緩衝装置D2が収縮作動する場面では、ピストン2が図5中下方へ移動するので、整流通路4によって、圧縮される圧側室R2と拡大される伸側室R1が連通状態におかれシリンダ1内から液体が減衰力可変バルブVを介してリザーバRへ排出される。よって、伸側室R1内および圧側室R2内の圧力は、ほぼ等しくともに上昇することになる。
大室16は、圧側通路19を介して圧側室R2に連通されているので、圧側室R2内の圧力が伝搬し、大室16内の圧力は圧側室R2に由来した圧力となるが、圧側室R2が伸側室R1に連通状態におかれるため、伸側室R1内とほぼ等しい圧力となる。他方、小室15も伸側通路30を介して伸側室R1に連通されており、小室15内には、伸側室R1に由来した圧力が作用する。
したがって、緩衝装置D2が収縮作動する場合、フリーピストン5の圧側受圧面積A2と伸側受圧面積B2には伸側室R1の圧力にほぼ等しい圧力が作用し、部位C2にはリザーバRの圧力が作用するので、フリーピストン5は、図5中下方側へ押されて移動する。このようにフリーピストン5が移動すると、小室15から排出通路7へ液体が排出されるものの大室16へ圧側室R2から液体が流入し、外周室17から液体がリザーバRへ排出されるので、大室16の容積拡大量から小室15の容積減少量を差し引きした量の液体がリザーバRへ移動することになり、圧力室14が見掛け上の流路として機能して、液体がシリンダ1内からリザーバRへ減衰力可変バルブVを迂回して移動するようになる。
このように、緩衝装置D2にあっても、フリーピストン5を摺動方向の一方(図5中下方)に押圧するよう当該フリーピストン5に圧側室由来の圧力を作用させるとともに、フリーピストン5を摺動方向の他方(図5中上方)に押圧するようフリーピストン5に伸側室由来の圧力を作用させており、フリーピストン5の圧側室由来圧力が作用する圧側受圧面積A2をフリーピストン5の伸側室由来圧力が作用する伸側受圧面積B2よりも大きくしてあるので、ユニフロー型に設定されて収縮作動時には伸側室R1と圧側室R2とが構造上等圧となる緩衝装置にあってもフリーピストン5を作動させて圧力室14を見掛け上の流路として機能させることができる。
よって、この他の実施の形態の緩衝装置D2にあっても、減衰力の変化を緩衝装置D2の伸縮時における振幅に依存させることができる。したがって、この緩衝装置D2にあっても、上記した緩衝装置D1と同様に、車両のばね上部材の共振周波数帯の低周波振動の入力に対しては高い減衰力を発生することで車体(ばね上部材)の姿勢を安定させて、車両旋回時に搭乗者に不安を感じさせることを防止できるとともに、車両のばね下部材の共振周波数帯の高周波振動が入力されると低い減衰力を発生させて車輪側(ばね下部材側)の振動の車体側(ばね上部材側)への伝達を絶縁して、車両における乗り心地を良好なものとすることができる。
また、上述したように緩衝装置D2は、減衰力可変バルブVが液体の流れに与える抵抗を調整することによって、減衰力を調節することができる。つまり、この緩衝装置D2にあっては、減衰力可変バルブVによる減衰力調整を行いつつも、高周波数の振動に対しては、減衰力を低減することができるのである。
したがって、本発明の緩衝装置D2によれば、比較的低い周波数帯の振動に対しては、減衰力調整部としての減衰力可変バルブVのコントロールによって減衰力調整することで車体振動を制振することができるだけでなく、減衰力調整部としての減衰力可変バルブVのコントロールによっては抑制できない高周波振動に対してはメカニカルに低減衰力を発揮することができ、車輪側からの振動を絶縁して車体振動を効果的に抑制することができ、車両における乗り心地を飛躍的に向上することができるのである。
この場合、小室15を伸側室R1へ連通する伸側通路30にオリフィスを設けているが、その代わりに、或いは、これに加えて、圧側通路19および通路31の一方または両方にオリフィスを設けてもよいし、全ての通路19,30,31にオリフィスを設けないようにしてもよい。また、通路19,30,31に設けるのは、オリフィスではなくチョーク絞りであってもよい。
なお、上記したところでは、外周室17をリザーバRへ連通しているが、外周室17を緩衝装置D2の外部へ連通して大気開放するようにしてもよい。そのようにしても、緩衝装置D2が伸長作動する場合には、フリーピストン5が図5中上方側へ押されて移動し、フリーピストン5の移動量に応じて小室15へ液体が流れ込み、大室16から圧側室R2へ液体が排出し、圧力室14が見掛け上の流路として機能して、液体が減衰力可変バルブVを迂回して伸側室R1から圧側室R2へ移動することになり、また、緩衝装置D2が収縮作動する場合には、フリーピストン5が図5中下方側へ押されて移動し、外周室17と大室16の合計容積が拡大する分、液体が減衰力可変バルブVを迂回してシリンダ1内からリザーバRへ移動して減衰力可変バルブVを通過する液体量が減少することになり、緩衝装置D2は、外周室17をリザーバRへ連通した場合と同様に高周波振動に対して減衰力を低減する効果を発揮することができる。さらに、外周室17を大気開放するか気室とすることで、外周室17をリザーバRへ連通させなくともよいので、圧力室14を形成するハウジングをピストンロッド21に固定するか、ピストンロッド21内に設けるようにすることも可能である。ただし、外周室17をリザーバRへ連通することで、圧力室14を完全に緩衝装置D2内に収容するとともに、外周室17から小室15或いは大室16への気体の混入を防止することができるメリットがある。
上記したところでは、ボトム部材11については概略的に説明したが、当該ボトム部材11を具体的に緩衝装置D2に適用するに当たっては、たとえば、図6に示すように、フリーピストン5が挿入される中空部32aを備えたケース部材32と、ケース部材32の中空部32aを閉塞する蓋部材33とで構成することができる。
詳細には、ケース部材32は、有底筒状であって、内周に段部32bを備えた中空部32aと、外周に設けた環状溝32cと、環状溝32cから中空部32aに通じる伸側通路34と、底部から段部32bへ抜けて中空部32aに通じる通孔35と、図6中下端外周に設けた螺子部32dとを備えて構成されている。中空部32aは、蓋部材33によって閉塞されて圧力室36を形成しており、段部32bより先端側が小径となっていて圧力室36における小断面積部36aを形成し、段部32bより基端側が小断面積部36aよりも大径の大断面積部36bを形成している。また、伸側通路34は、小断面積部36aに連通しており、通孔35は、大断面積部36bに連通している。なお、伸側通路34は、フリーピストン5が小室15を最圧縮しても閉塞されないように、中空部32aの先端から開口して図6中下方へ伸びる縦孔34aと、縦孔34aと環状溝32cとを連通してオリフィスとして機能する横孔34bとを備えている。
また、蓋部材33は、有頂筒状とされており、筒部33aの図6中下端から頂部33bの図6中上端へ抜けるポート33cと、頂部33bの中央に図6中上下方向に沿って設けたボルト挿通孔33dと、筒部33aの内周に設けた螺子部33eと、筒部33aの外周に設けた三つの段部33f,33g,33hと、筒部33aの段部33fから段部33gの間から開口して内部へ通じる貫通孔33iとを備えている。さらに、筒部33aの下端には切欠33jが設けられていて、筒部33aの内外が連通されている。
蓋部材33の筒部33aにおける段部33fは、シリンダ1の図6中下端に当接するようになっていて、蓋部材33の段部33fより先端側の図6中上方側がシリンダ1内に嵌合するようになっており、また、筒部33aの外周であって段部33gから段部33hは中間筒9に嵌合するようになっている。したがって、筒部33aの外周であって段部33fから段部33gまでの部位と中間筒9との間には排出通路7を形成する環状隙間が設けられており、中間筒9に嵌合する筒部33aの外周にはシールリング37が装着されていて、排出通路7とリザーバRとが蓋部材33と中間筒9との間の隙間を介して連通することを防止している。そして、この蓋部材33の筒部33a内にケース部材32を挿入して螺子部32dを螺子部33eに螺着すると蓋部材33にケース部材32が固定されるとともに中空部32aが閉塞されて圧力室36が形成される。
ボルト挿通孔33dには、先端に螺子部38aを備えたボルト38が挿通されており、このボルト38の軸部38bの外周にディスク状のチェックバルブ39が装着されている。チェックバルブ39は、ボルト38と螺子部38aに螺着されるナット40によって、蓋部材33に固定され、ポート33cを開閉するようになっている。また、ボルト38には、軸方向に貫く通路38cが設けられて圧力室36が圧側室R2に連通されるようになっている。
そして、ケース部材32の中空部32a内には、フリーピストン5が摺動自在に挿入されており、圧力室36内がこのフリーピストン5によって、小室15、大室16および外周室17に区画される。小室15内は、ケース部材32に設けた伸側通路34、貫通孔33iおよび排出通路7を通じて伸側室R1に連通され、大室16は、ボルト38に設けた通路38cを介して圧側室R2に連通され、外周室17は、通孔35および切欠33jを介してリザーバRへ連通される。なお、通孔35は段部32bに開口するので、フリーピストン5が段部32bに完全に密着するまでは外周室17とリザーバRとの連通が断たれないように配慮されている。
蓋部材33に設けたポート33cは、切欠33jを介してリザーバRに連通するようになっている。チェックバルブ39は、緩衝装置D2の伸長作動時に圧側室R2内の圧力が減圧されると外周側が撓んで開弁し、ポート33cを介してリザーバRを圧側室R2へ連通するようになっており、このチェックバルブ39は、ポート33cと協働して吸込通路3を構成する。
このように構成されたボトム部材11をシリンダ1の下端に嵌合すると、蓋部材33の段部33fの図6中上端がシリンダ1の下端に当接するようになっているので、外筒10の加締部10aと外筒10の底部10bとで、ボトム部材11、シリンダ1を挟み込むと、これらを外筒10に対して不動に固定することができるようになっている。なお、中間筒9については、この緩衝装置D2にあっても上述した緩衝装置D1と同様に、外筒10と中間筒9の両者に減衰力可変バルブVが架け渡されて固定されるので、中間筒9をロッドガイド8とボトム部材11とで上下から挟みこまずに、中間筒9のこれらロッドガイド8およびボトム部材11に対する上下方向への移動を許容するようにしている。
上記のようにボトム部材11を構成することで、緩衝装置D2に無理なく組み込むことができ、緩衝装置D2を実現することができる。なお、緩衝装置D2にあっては、図6中で圧力室36の下方に配置される小室15を下端が当該小室15の下端よりも上方側に配置される排出通路7に連通する必要があり、また、伸側通路34がフリーピストン5によって閉塞されないよう配慮しているため、伸側通路34、環状溝32cと貫通孔33iとでなる複雑な通路を設ける必要があるが、緩衝装置D1のように小室15よりも上方側に配置される外周室17を排出通路7に連通するようにすることで、緩衝装置D2より緩衝装置D1の方が、通路形状が簡単で加工が容易となる利点がある。
また、上記したところでは、圧力室14,25,36は、フリーピストン5が図中上下方向に移動可能なように形成されているが、フリーピストン5が図中上下方向ではなく、横方向や斜め方向に移動可能なように形成することも可能であり、フリーピストン5が緩衝装置D1,D2に入力される上下方向の振動の影響を受けにくくすることもできるが、圧力室14,25,36をフリーピストン5が図中上下方向に移動可能なように形成することで、フリーピストン5のストローク量を確保しやすく、大型なフリーピストン5を採用することもできる利点がある。
緩衝装置D1,D2は、上記のように構成されるが、フリーピストン5が圧力室14,25,36内で移動可能とされており、フリーピストン5がストロークエンドまで変位するとハウジングとしてのボトム部材11とフリーピストン5とが衝突して打音が発生する場合がある。そこで、液圧クッション機構Lを設けて、フリーピストン5とハウジングとしてのボトム部材11とが勢いよく衝突しないようにすることができる。
液圧クッション機構Lは、例えば、緩衝装置D1に設けるのであれば、図7に示すように、フリーピストン5が圧力室に対して中立位置から所定量変位すると流路面積を減少させる可変絞り弁で構成して伸側通路20の途中に設けるようにすればよい。液圧クッション機構Lとしての可変絞り弁は、フリーピストン5の中立位置からの変位量が多くなればなるほど流路面積を減少させるものであってもよいし、流路面積に下限を設定して流路面積が下限以下に減少しないものであってもよいし、また、可変絞り弁が流路面積を減少し始めるフリーピストン5の変位量である所定量はフリーピストン5がストロークエンドに到達しない範囲で任意に設定することができ、0に設定してフリーピストン5が中立位置から変位する直ちに流路面積を減少するようにしてもよく、また、可変絞り弁が流路面積を減少し始めるフリーピストン5の中立位置からの変位量をフリーピストン5の移動方向の両側で異なるように設定してもよい。
このように液圧クッション機構Lを設けることで、緩衝装置D1が伸縮作動して、フリーピストン5が中立位置から図7中上下方向へ移動して所定量以上変位すると、液圧クッション機構Lとしての可変絞り弁が流路面積を減少させるため、外周室17内から液体が排出されにくくなり、フリーピストン5の移動速度が減速され、フリーピストン5とボトム部材11とが勢いよく衝突することが阻止され、両者が接触する際の打音を低減することができる。なお、可変絞り弁でなる液圧クッション機構Lは、緩衝装置D1に設ける場合、通路18や圧側通路19の途中に設けるようにしてもよい。また、緩衝装置D2に設ける場合にも、伸側通路30、圧側通路19および通路31のうち任意の通路に可変絞り弁でなる液圧クッション機構Lを設けるようにすればよい。
液圧クッション機構Lを具体的な緩衝装置D1に設けるには、図8に示すように、フリーピストン5の大ピストン部5bの外周に設けた環状溝5eと、段部5cから開口して環状溝5eに通じる孔5fとを設け、さらに、ケース部材22に外周であって排出通路7と大断面積部25bとを連通するオリフィス通路22fとを設け、フリーピストン5が圧力室25内で中立位置にある際に環状溝5eとオリフィス通路22fの開口とが対向するようにすればよい。フリーピストン5が中立位置から図8中上下方向へ変位して中立位置から所定量以上変位すると環状溝5eとオリフィス通路22fのラップ面積が減少し、環状溝5eがオリフィス通路22fに対向しなくなると大ピストン部5bでオリフィス通路22fが閉塞されるようになっている。このように、液圧クッション機構Lは、フリーピストン5の変位によってオリフィス通路22fの流路面積を変化するようになっており、フリーピストン5とケース部材22とで液圧クッション機構Lとしての可変絞り弁を構成している。このように液圧クッション機構Lを構成することで、フリーピストン5が中立位置から所定量以上変位するとオリフィス通路22fが閉塞されて透孔22cのみが有効となり外周室17と排出通路7との連通する通路における流路面積が減少してフリーピストン5のストロークエンド側への移動速度が減速され、フリーピストン5とボトム部材11とが勢いよく衝突することが阻止され、両者が接触する際の打音を低減することができる。
また、液圧クッション機構Lをフリーピストン5とハウジングを構成するケース部材22とで構成することで、簡単な構造で可変絞り弁を伸側通路に設けることができ、部品点数も増加することが無い。
さらに、液圧クッション機構L1を緩衝装置D2に設けるには、図9に示すように、ケース部材32に伸側通路34の他に外周から開口して排出通路7を小断面積部36aへ連通するオリフィス通路50を設け、フリーピストン5の小ピストン部5bの外周に環状溝5gと、小室15を環状溝5gへ連通させる孔5hとを設けるようにすればよい。フリーピストン5が中立位置から図9中上下方向へ変位して中立位置から所定量以上変位すると環状溝5gとオリフィス通路50のラップ面積が減少し、環状溝5gがオリフィス通路50に対向しなくなると小ピストン部5aでオリフィス通路50が閉塞されるようになっている。このように、液圧クッション機構L1は、フリーピストン5の変位によってオリフィス通路50の流路面積を変化するようになっており、フリーピストン5とケース部材32とで液圧クッション機構L1としての可変絞り弁を構成している。このように液圧クッション機構L1を構成することで、フリーピストン5が中立位置から所定量以上変位するとオリフィス通路50が閉塞されて伸側通路34のみが有効となり小室15と排出通路7との連通する通路における流路面積が減少してフリーピストン5のストロークエンド側への移動速度が減速され、フリーピストン5とボトム部材11とが勢いよく衝突することが阻止され、両者が接触する際の打音を低減することができる。なお、液圧クッション機構L,L1を設けるに当たり、フリーピストン5の中立位置は任意の位置に設定することができ、オリフィス通路22f,50を閉塞し始めるフリーピストン5の中立位置からの変位量についても同様に任意に設定可能である。
また、図10に示すように、緩衝装置D2に伸側通路制限手段と圧側通路制限手段とで構成する液圧クッション機構L2を設けることも可能である。この場合、大室16は、チェックバルブ39を外周に装着したボルト53に設けた通路53aにて圧側室R2に連通されており、この通路53aが圧側通路として機能している。また、小室15は、圧力室36の下端から開口する縦孔54、この縦孔54に連通される横孔55、ケース部材32の外周に設けた環状溝32cを通じて伸側室R1に連通されるが、横孔55にはオリフィスが設けられない。そして、フリーピストン5の図10中上端には棒状の圧側プランジャ51が設けられ、図10中下端には棒状の伸側プランジャ52が設けられる。
そして、フリーピストン5が中立位置から大室16を圧縮する方向である図10中上方向へ変位すると、圧側プランジャ51が通路53a内に侵入して、圧側通路である通路53aにおける流路面積を減少させる。他方、フリーピストン5が中立位置から小室15を圧縮する方向である図10中下方向へ変位すると、伸側プランジャ52が縦孔54内に侵入して、伸側通路における流路面積を減少させる。つまり、この実施の形態では、圧側通路制限手段51は、圧側プランジャ51によって構成され、伸側通路制限手段は、伸側プランジャ52によって構成されている。
このように、液圧クッション機構L2は、フリーピストン5が中立位置から圧側所定量以上変位すると、圧側通路の流路面積を減少させて液体の通過に対する抵抗を大きくするので、フリーピストン5の図10中上方向である圧方向への変位を抑制してフリーピストン5の移動速度を低下させ、フリーピストン5が中立位置から伸側所定量以上変位すると、伸側通路の流路面積を減少させて液体の通過に対する抵抗を大きくするので、フリーピストン5の図10中下方向である伸方向への変位を抑制してフリーピストン5の移動速度を低下させることができる。なお、圧側所定量は、圧側プランジャ51が通路53a内に侵入し始める位置で設定することができるので、ボルト53或いは圧側プランジャ51の長さを調節することで任意に設定することができ、伸側所定量は、伸側プランジャ52が縦孔54内に侵入し始める位置で設定することができるので、伸側プランジャ52の長さを調節することで任意に設定することができる。圧側所定量と伸側所定量は異なっていてもよい。したがって、この液圧クッション機構L3を備えた緩衝装置D2にあっても、フリーピストン5が中立位置から圧側所定量以上変位するか伸側所定量以上変位すると、フリーピストン5の移動速度を低下せしめることができ、フリーピストン5とハウジングであるボトム部材11とが勢いよく衝突することを防止できるので、フリーピストン5とボトム部材11の衝突による打音が低減されて車両搭乗者に違和感や不安感を与えずに済み、また、フリーピストン5が急激に停止させられることがなくなるので、急激に減衰力低減効果が消失して緩衝装置D2が発生する減衰力が急変することもなくなる。なお、圧側通路制限手段と伸側通路制限手段は、いずれか一方で液圧クッション機構L2を構成することもでき、また、上記した液圧クッション機構L1と併用することもできる。
さらに、図11に示すように、圧側プランジャ51が通路53aの開口端を完全に閉塞するように設定される場合には、ボルト53の側方から通路53a内に連通するオリフィス孔53bを設けておくことも可能である。
また、図12に示した緩衝装置D2のように、圧側通路制限手段が圧側プランジャ51の代わりに、ハウジングの一部を構成する蓋部材33に設けた大室16へ臨む環状壁56と、フリーピストン5の図12中上端に設けられて内方への環状壁56の侵入を許容する環状突起57とで構成されてもよい。環状壁56は、内周に螺子部を備えていて中空ボルト58が螺着されており、この中空ボルト58内の通路58aを通じて大室16が圧側室R2に連通されている。よって、中空ボルト58に設けた通路58aにて圧側通路が形成されている。また、環状壁56は、環状壁56の外周から内周へ通じるオリフィス孔56aを備えている。対して、環状突起57の内径は、環状壁56の内周への侵入が可能な径とされており、環状突起57内に環状壁56が侵入して当該環状壁56の先端がフリーピストン5に当接してもオリフィス孔56aが環状突起57に閉塞されないようになっている。そして、フリーピストン5が中立位置から大室16を圧縮する方向である図12中上方向へ変位すると、環状壁56が環状突起57内に侵入して、圧側通路における流路面積を減少させる。よって、この場合も、フリーピストン5が中立位置から圧側所定量以上変位すると、圧側通路の流路面積を減少させて液体の通過に対する抵抗を大きくするので、フリーピストン5の図12中上方向である圧方向への変位を抑制してフリーピストン5の移動速度を低下させることで、フリーピストン5とハウジングであるボトム部材11とが勢いよく衝突することを防止できるので、フリーピストン5とボトム部材11の衝突による打音が低減される。なお、圧側所定量は、環状壁56が環状突起57内に侵入し始める位置で設定することができるので、環状壁56或いは環状突起57の長さを調節することで任意に設定することができる。圧側所定量と伸側所定量は異なっていてもよい。
また、図13に示した緩衝装置D2は、液圧クッション機構L3として、フリーピストン5が圧力室36に対して中立位置から大室16を圧縮する圧方向へ圧側所定量以上変位するとフリーピストン5によって閉鎖されてフリーピストン5のそれ以上の圧方向への変位を抑制する圧側クッション室59と、フリーピストン5が圧力室36に対して中立位置から小室15を圧縮する伸方向へ伸側所定量以上変位するとフリーピストン5によって閉鎖されてフリーピストン5のそれ以上の伸び方向への変位を抑制する伸側クッション室60とを備えている。
具体的には、フリーピストン5の大ピストン部5cの図13中上端外周に設けた環状凹部で圧側クッション室59が形成され、フリーピストン5の小ピストン部5aの図13中下端外周に設けた環状凹部で伸側クッション室60が形成されている。
また、蓋部材33の大室16に臨む端部に大室16側へ突出する環状凸部61が設けられており、ケース部材32の中空部32aの図13中下端外周、つまり、小断面積部36aの下端内周に環状凸部62が設けられている。
環状凸部61の内径は、圧側クッション室59を形成する環状凹部内に侵入可能な径とされ、環状凸部62の内径についても伸側クッション室60を形成する環状凹部内に侵入可能な径とされている。
したがって、フリーピストン5が中立位置から図13中上方向へ変位して圧側所定量以上変位すると、圧側クッション室59を形成する環状凹部内に環状凸部61が侵入するようになって、圧側クッション室59が閉鎖される。そうなると、フリーピストン5のそれ以上図13中上方側へ移動しようとしても圧側クッション室59内の圧力が上昇してフリーピストン5のそれ以上の上方側への移動を制限する。反対に、フリーピストン5が中立位置から図13中下方向へ変位して伸側所定量以上変位すると、伸側クッション室60を形成する環状凹部内に環状凸部62が侵入するようになって、伸側クッション室60が閉鎖される。そうなると、フリーピストン5のそれ以上図13中下方側へ移動しようとしても伸側クッション室60内の圧力が上昇してフリーピストン5のそれ以上の下方側への移動を制限する。なお、圧側所定量は、圧側クッション室59を形成する環状凹部内に環状凸部61が侵入し始める位置で設定することができるので、圧側クッション室59を形成する環状凹部の長さ或いは環状凸部61の位置及び長さを調節することで任意に設定することができ、伸側所定量は、伸側クッション室60を形成する環状凹部内に環状凸部62が侵入し始める位置で設定することができるので、伸側クッション室60を形成する環状凹部の長さ或いは環状凸部62の位置及び長さを調節することで任意に設定することができる。圧側所定量と伸側所定量は異なっていてもよい。したがって、この図13に示した緩衝装置D2にあっても、フリーピストン5が中立位置から圧側所定量以上変位するか伸側所定量以上変位すると、フリーピストン5の移動速度を低下せしめることができ、フリーピストン5とハウジングであるボトム部材11とが勢いよく衝突することを防止できるので、フリーピストン5とボトム部材11の衝突による打音が低減されて車両搭乗者に違和感や不安感を与えずに済み、また、フリーピストン5が急激に停止させられることがなくなるので、急激に減衰力低減効果が消失して緩衝装置D2が発生する減衰力が急変することもなくなる。なお、圧側クッション室59と圧側クッション室60のいずれか一方で液圧クッション機構を構成することもでき、また、上記した液圧クッション機構L,L1,L2と併用することもできる。
また、液圧クッション機構は、緩衝装置D1の構造に適用することも可能であり、さらに、伸側クッション室60は、フリーピストン5の大ピストン部5bの外周に環状凹部を設けることで形成して、圧力室25,36の大断面積部25b,36bの下端内周に環状凸部を設けるようにすれば、外周室17内で伸側クッション室60を設けることが可能である。さらに、伸側クッション室59および圧側クッション室60は、上記した構造以外によって形成されてもよく、圧側クッション59はフリーピストン5が圧方向へ圧側所定量以上変位するとフリーピストン5によって閉鎖されるようになっていればよく、伸側クッション室60についてもフリーピストン5が伸方向へ伸側所定量以上変位するとフリーピストン5によって閉鎖されるようになっていればよい。
上記したところでは、液圧を利用したクッション機構にてフリーピストン5とハウジングとしてのボトム部材11との衝突時の打音を低減するようにしているが、これに代えて或いはこれに加えてゴム等の弾性体で形成したクッション部材を設けるようにしてもよい。
具体的には、図14に示すように、フリーピストン5の大室側面である上端に圧側クッション65を設け、フリーピストン5の段部5cに外周室17に臨む伸側クッション66を設けて、これら圧側クッション65および伸側クッション66とでクッション部材を構成している。このようにすることで、フリーピストン5とハウジングであるボトム部材11とが直接に衝突しなくなるので打音を軽減できる。なお、伸側クッション66は、フリーピストン5の小ピストン部5aの図14中下端に設けることもできるし、圧側クッション65および伸側クッション66は共にハウジングであるボトム部材11側に設けることも可能である。なお、圧側クッション65および伸側クッション66は、フリーピストン5或いはボトム部材11に溶着、融着、接着等によって固定するようにしておけばよい。
クッション部材は、図15に示すように、フリーピストン5を貫通するゴム部材であるクッションゴム67とされてもよい。詳しくは、フリーピストン5を上下に貫通する保持孔68を設けておき、この保持孔68にクッションゴム67を挿通して固定するようにすればよい。なお、クッションゴム67の保持孔68への固定の方法は、接着、融着や圧入等のいった種々の固定方法を採用することができる。クッションゴム67の大室側端である上端67aは、半球状とされていて大室16側へ突出して圧側クッションを構成し、クッションゴム67の小室側端である下端67bは、半球状とされていて小室15側へ突出して伸側クッションを構成している。このようなクッションゴム67によってクッション部材を構成しても、フリーピストン5がストロークエンド近傍まで変位すると、クッションゴム67の上端67a或いは下端67bがボトム部材11に衝合してそれ以上のフリーピストン5の変位を抑制する。したがって、このクッションゴム67を備えた緩衝装置にあっても、フリーピストン5とハウジングとしてのボトム部材11の打音の発生を抑制できる。なお、クッションゴム67は、保持孔68をシールするので、保持孔68がフリーピストン5を貫通していても小室15と大室16とを連通してしまうことが無いので、シールを別途設ける必要もなく、クッション部材の設置に関し、部品点数が少なく組立工数がかからず、クッション部材の設置コストも低コストである。
また、図16に示すように、ボトム部材11に伸側クッション69と圧側クッション70とでなるクッション部材を設けるようにしてもよい。具体的には、クッション部材を緩衝装置D1に設けられており、伸側クッション69は、ケース部材22に形成した圧力室25を形成する中空部22aの底部の図16中上面に積層されて小断面積部25aに嵌合されるとともにフリーピストン5の小ピストン部5aに対向する環状の弾性体とされており、圧側クッション70は、ケース部材22の圧力室25を形成する中空部22aの開口端に設けた環状凹部25d内に嵌合するとともにフリーピストン5の大室側面である大ピストン部5bの図16中上端面に対向する環状の弾性体とされている。
この伸側クッション69と圧側クッション70は、たとえば、環状のゴム等の樹脂や合成樹脂を環状にして形成される弾性体であってもよいし、ウェーブワッシャとされてもよい。また、伸側クッション69と圧側クッション70のいずれか一方をウェーブワッシャとし、伸側クッション69と圧側クッション70の他方をゴム等の樹脂や合成樹脂を環状にしたものとしてもよい。また、伸側クッション69と圧側クッション70の断面形状は任意であり、角リングやOリングの他にも種々の形状を採用することができる。これら伸側クッション69および圧側クッション70は、フリーピストン5に衝合するとフリーピストン5のそれ以上のストロークエンド側への移動を抑制するとともに、フリーピストン5のストロークエンド側への移動によって圧縮が進むと圧縮量に応じた反発力を発揮してフリーピストン5の速度を徐々に減じて、フリーピストン5とハウジングとしてのケース部材22或いは蓋部材23との衝突を防止する。したがって、この伸側クッション69および圧側クッション70を備えた緩衝装置D1にあっても、フリーピストン5とハウジングとしてのボトム部材11との激しい衝突を抑制することで両者の打音の発生を抑制できるとともに、減衰力の急変を防止することができ、車両における乗り心地を向上することが可能である。上記に説明した各クッション部材は、緩衝装置D2にも適用可能なことは当然である。
また、上記した緩衝装置D1,D2にあっては、単一の圧側通路19にて大室16と圧側室R2とを連通するようにしていたが、図17に示すように、圧側第一通路71および圧側第二通路72を設け、圧側第一通路71に設けられて大室16から圧側室R2へ向かう液体の流れのみを許容しつつ当該流れに抵抗を与える第一バルブVaと、圧側第二通路72に設けられて圧側室R2から大室16へ向かう液体の流れのみを許容しつつ当該流れに抵抗を与える第二バルブVbとを設けることもできる。
第一バルブVaは、圧側室R2から大室16へ向かう液体の流れに対しては閉弁状態を維持するようになっている。なお、この第一バルブVaに並列してオリフィスO1が設けられている。また、第二バルブVbは、大室16から圧側室R2へ向かう液体の流れに対しては閉弁状態を維持するようになっている。なお、この第二バルブVbに並列してオリフィスO2が設けられている。よって、大室16には、緩衝装置D1,D2と同様に、圧側室R2に由来する圧力が作用していて、圧側室R2に連通される圧側圧力室として機能している。
緩衝装置D1が伸長作動する場面では、外周室17内の圧力上昇によってフリーピストン5が図1中上方へ押圧されると、第一バルブVaが開弁して大室16を圧側室R2へ連通するようになり、大室16内の圧力は圧側室R2の圧力を基準として第一バルブVaにおける圧力損失分だけ圧側室R2内の圧力よりも高くなる。したがって、緩衝装置D1が伸長作動する場合、フリーピストン5の圧側受圧面積A1には第一バルブVaの圧力損失分だけリザーバRの圧力よりも高い圧力が作用し、部位C1にはリザーバRの圧力にほぼ等しい圧力が作用し、伸側受圧面積B1に圧縮される伸側室R1に由来する高い圧力が作用するので、フリーピストン5は、図1中上方側へ押されて移動することになる。このようにフリーピストン5が移動すると、このフリーピストン5の移動量に応じて外周室17へ液体が流れ込み、大室16から圧側室R2へ液体が排出されるので、圧力室14が見掛け上の流路として機能して、液体が伸側室R1から圧側室R2へ減衰力可変バルブVを迂回して移動するようになる。また、フリーピストン5の移動速度が高くなると、それに応じて第一バルブVaが圧側第一通路71を大きく開放するので、大室16と圧側室R2とをオリフィスO1,O2のみで連通した場合に比較して、フリーピストン5の移動速度に対する大室16内の圧力上昇度合いは低くなる。
逆に、緩衝装置D1が収縮作動する場面では、外周室17は、伸側通路201を介して伸側室R1に連通されており、外周室17内には、伸側室R1に由来した圧力が作用する。小室15は、リザーバRに連通されているので小室15内もリザーバR内とほぼ等しい圧力となる。他方、大室16は、圧側第二通路72を介して圧側室R2に連通されており、圧側室R2内の圧力上昇によって、第二バルブVbが開弁して大室16を圧側室R2へ連通するようになるので、大室16内の圧力は、圧側室R2の圧力を基準として第二バルブVbにおける圧力損失分だけ圧側室R2内の圧力よりも低くなる。したがって、この緩衝装置D1が収縮作動する場合、フリーピストン5の圧側受圧面積A1には第二バルブVbの圧力損失分だけ圧側室R2の圧力よりも低い圧力が作用し、伸側受圧面積B1には伸側室R1の圧力にほぼ等しい圧力が作用し、部位C1にはリザーバRの圧力が作用する。圧側受圧面積A1が伸側受圧面積B1よりも大きく、緩衝装置D1の収縮作動時における大室16内の圧力と圧側受圧面積A1の積の値が外周室17の圧力と伸側受圧面積B1の積の値よりも大きくなるよう、第二バルブVbの圧力損失が設定されており、このため、フリーピストン5は、図1中下方側へ押されて移動する。このようにフリーピストン5が移動すると、外周室17から排出通路7へ液体が排出されるものの大室16へ圧側室R2から液体が流入し、小室15から液体がリザーバRへ排出されるので、大室16の容積拡大量から外周室17の容積減少量を差し引きした量の液体がシリンダ1内からリザーバRへ移動することになり、圧力室14が見掛け上の流路として機能して、上記量の液体がシリンダ1内からリザーバRへ減衰力可変バルブVを迂回して移動するようになる。また、フリーピストン5の移動速度が高くなると、それに応じて第二バルブVbが圧側第二通路72を大きく開放するので、大室16と圧側室R2とをオリフィスO2,O2のみで連通した場合に比較して、フリーピストン5の移動速度に対する大室16内の圧力下降度合いは低くなる。
なお、緩衝装置D1の伸縮速度が高くなって大室16と圧側室R2とで行き交う液体の流量が増えても、第一バルブVaおよび第二バルブVbがそれに応じて圧側第一通路71および圧側第二通路72を大きく開放するため、大室16と圧側室R2とをオリフィスのみで連通した構成を採用した場合に比較して、フリーピストン5が動きづらくなることがない。そのため、緩衝装置D1の伸縮速度が高速域に達しても減衰力低減効果が発揮される。具体的には、緩衝装置D1の減衰特性は、図18に示すように、推移することになる。図18中の各実線は、減衰力調整部としての減衰力可変バルブVで緩衝装置D1の伸側および圧側の減衰力をソフト、ミディアム、ハードとした場合について減衰特性を示しており、破線は、ソフト、ミディアム、ハードの減衰特性に設定される状況において、緩衝装置D1に高周波振動が入力されて、減衰力が低減された場合の減衰力の特性を示している。
したがって、図17に示した緩衝装置D1では、伸縮速度が高くなって大室16と圧側室R2とで行き交う液体の流量が増えても、第一バルブVaおよび第二バルブVbがそれに応じて圧側第一通路71および圧側第二通路72を大きく開放するため、緩衝装置D1の伸縮速度が高速域に達しても減衰力低減効果が発揮され同効果が失われることがない。
上記したところでは、圧側第一通路および圧側第二通路を備えたボトム部材11については概略的に説明したが、これら圧側第一通路および圧側第二通を具体的にボトム部材11に適用するに当たっては、たとえば、図19に示すように、ボトム部材11に連結ロッド73を介して連結されるとともに圧側室内R2に配置されるバルブディスク74と、連結ロッド73の外周に装着されるとともにバルブディスク74が嵌合されて圧側室R2内に部屋S1を区画するキャップ75とを設け、このバルブディスク74にリーフバルブでなる第一バルブ76とリーフバルブでなる第二バルブ77を設けるようにすればよい。
以下、詳細に説明すると、ボルト挿通孔23aには、先端に螺子部73aを有する軸部73bと当該軸部73bの基端に頭部73cとを備えた連結ロッド73が挿通されており、この連結ロッド73の軸部73bの外周にディスク状のチェックバルブ27が装着されている。チェックバルブ27は、連結ロッド73と螺子部73aに螺着されるナット78によって、蓋部材23に固定され、ポート23cを開閉するようになっている。また、連結ロッド73には、頭部73cの図3中下端から開口して軸部73bの側部へ通じるロッド内通路73dが設けられている。
この連結ロッド73の軸部73bの外周には、チェックバルブ27よりも図中上方に、有底筒状のキャップ75と、筒状のスペーサ79と、第二バルブ77と、バルブディスク74と、第一バルブ76とが順に組み付けられ、上記ナット78と連結ロッド73における頭部73cとで挟持されて、これらがハウジングを構成する蓋部材23に固定される。
キャップ75は、有底筒状であって、底部に連結ロッド73の軸部73bが挿通される孔75aを備えている。スペーサ79は、有頂筒状であって、頂部に設けた連結ロッド73の軸部73bが挿通される孔79aと、筒部に設けた筒部内外を連通する通孔79bとを備えている。さらに、バルブディスク74は、中央に設けた連結ロッド73の軸部73bが挿通される孔74aと、図19中上端から下端へ開口する第一ポート74bおよび第二ポート74cとを備えている。
そして、バルブディスク74は、スペーサ79を挟んで軸部73bに組み付けると、外周がキャップ75の筒部の内周に嵌合して、キャップ75内に圧側室R2から区画される部屋S1を形成する。この部屋S1は、第一ポート74bおよび第二ポート74cによって圧側室R2に連通される。また、連結ロッド73に設けたロッド内通路73dは、軸部73bの側部へ開口してスペーサ79の筒部内に連通されるようになっており、頭部73cの下端から開口して圧力室25における大室16へ連通している。スペーサ79内は、通孔79bを介して部屋S1に通じているために、ロッド内通路73dは、大室16と部屋S1を連通している。よって、大室16は、ロッド内通路73d、スペーサ79内、通孔79b、部屋S1、第一ポート74bおよび第二ポート74cを通じて圧側室R2に連通されている。
バルブディスク74の圧側室側面に積層された第一バルブ76は、この場合、環状板を積層した積層リーフバルブであって第一ポート74bの図19中上端開口端を開閉するようになっており、第一ポート74bを大室16から圧側室R2へ向かう液体の流れのみを許容する一方通行の通路に設定するとともに通過液体の流れに抵抗を与えるようになっている。
他方のバルブディスク74の部屋側面に積層された第二バルブ77は、この場合、環状板を積層した積層リーフバルブであって第二ポート74cの図19中下端開口端を開閉するようになっており、第二ポート74cを圧側室R2から大室16へ向かう液体の流れのみを許容する一方通行の通路に設定するとともに通過液体の流れに抵抗を与えるようになっている。よって、この具体的な緩衝装置D1にあっては、圧側第一通路は、第一ポート74bとロッド内通路73dとで形成されており、圧側第二通路は、第二ポート74cとロッド内通路73dとで形成されている。圧側第一通路、圧側第二通路、第一バルブ76および第二バルブ77の各部材を上記のように構成することで、ハウジングとしてのボトム部材11に上記各部材を緩衝装置D1に無理なく組み込むことができ、緩衝装置D1を実現することができる。
この図19の緩衝装置D1に対して、図20に示した緩衝装置D1のようにバルブディスク80をケース部材22内に収容することもできる。バルブディスク80は、蓋部材23に連結ロッド81によって連結され、ケース部材22の中空部22a内に収容される。
連結ロッド81は、先端に螺子部81aを有する軸部81bと、当該軸部81bの基端に頭部81cと、軸部81bの図20中上端から開口して軸部81bの側部へ通じるロッド内通路81dとを備えている。この連結ロッド81の軸81bの外周には、蓋部材23の圧側室側面に積層されるチェックバルブ27が装着される。チェックバルブ27は、連結ロッド81と螺子部81aに螺着されるナット82によって、蓋部材23に固定され、ポート23cを開閉するようになっている。
この連結ロッド81の軸部81bの外周には、蓋部材23よりも図20中下方に、筒状のスペーサ83と、第一バルブ85と、バルブディスク80と、第二バルブ84とが組み付けられ、上記ナット82と連結ロッド81における頭部81cとで挟持されて、これらがハウジングを構成する蓋部材23に固定される。
スペーサ83は、有頂筒状であって、頂部に設けた連結ロッド81の軸部81bが挿通される孔83aと、筒部に設けた筒部内外を連通する通孔83bとを備えている。さらに、バルブディスク80は、中央に設けた連結ロッド81の軸部81bが挿通される孔80aと、図20中上端から下端へ開口する第一ポート80bおよび第二ポート80bとを備えている。
そして、バルブディスク80は、蓋部材23にスペーサ83を挟んで積層されており、軸部81bに組み付けると、外周がケース部材22の中空部22aの内周に嵌合して、中空部22a内を圧力室25と部屋S2とに区画する。
そして、上記のようにして構成された圧力室25内には、フリーピストン5が挿入されることで、圧力室25内が小室15、大室16および外周室17に区画される。小室15内は、ケース部材22に設けた通路22dを介してリザーバRに連通される。外周室17は、透孔22cを介して排出通路7に連通される。なお、透孔22cは段部25cに開口するので、フリーピストン5が段部25cに完全に密着するまでは外周室17と排出通路7との連通が断たれないように配慮されている。
この部屋S2は、第一ポート80cおよび第二ポート80bによって大室16に連通される。また、連結ロッド81に設けたロッド内通路81dは、軸部81bの側部へ開口してスペーサ83の筒部内に連通されるようになっており、軸部81bの先端の開口が圧側室R2に臨んでいる。スペーサ83内は、通孔83bを介して部屋S2に通じているために、ロッド内通路81dは、圧側室R2と部屋S2を連通している。よって、大室16は、ロッド内通路81d、スペーサ83内、通孔83b、部屋S2、第一ポート80cおよび第二ポート80bを通じて圧側室R2に連通されている。
バルブディスク80の大室側面に積層された第二バルブ84は、この場合、環状板を積層した積層リーフバルブであって第二ポート80bの図20中下端開口端を開閉するようになっており、第二ポート80bを圧側室R2から大室16へ向かう液体の流れのみを許容する一方通行の通路に設定するとともに通過液体の流れに抵抗を与えるようになっている。
他方のバルブディスク80の圧側室側面に積層された第一バルブ85は、この場合、環状板を積層した積層リーフバルブであって第一ポート80cの図20中上端開口端を開閉するようになっており、第一ポート80cを大室16から圧側室R2へ向かう液体の流れのみを許容する一方通行の通路に設定するとともに通過液体の流れに抵抗を与えるようになっている。
よって、この具体的な緩衝装置D1にあっては、圧側第一通路は、第一ポート80cとロッド内通路81dとで形成されており、圧側第二通路は、第二ポート80bとロッド内通路81dとで形成されている。上述のようにハウジング、圧側第一通路、圧側第二通路、第一バルブ85、第二バルブ84の各部材を構成することで、上記各部材を緩衝装置D1に無理なく組み込むことができ、緩衝装置D1を実現することができる。
なお、図19における緩衝装置D1では、圧側室R2内にバルブディスク74、第一バルブ76および第二バルブ77を収容するようにし、図20における緩衝装置D1では、シリンダ1に嵌合されるハウジングとしてのボトム部材11にバルブディスク80、第一バルブ85および第二バルブ84を収容するようにしている。したがって、圧側室R2内にバルブディスク74を収容する図19における緩衝装置D1の方が、ボトム部材11にバルブディスク80を収容する図20における緩衝装置D1よりも、バルブディスク74の外径を大きくすることができ、第一バルブ76および第二バルブ77の外径についても同様に第一バルブ85および第二バルブ84の外径よりも大径にすることができる。すると、第一バルブ76および第二バルブ77における撓み剛性は、第一バルブ85および第二バルブ84の撓み剛性よりも低くすることができ、第一バルブ76および第二バルブ77が開弁した際の圧力損失を第一バルブ85および第二バルブ84のそれよりも小さくすることができるため、圧側室R2内にバルブディスク74を収容する図19における緩衝装置D1は、ボトム部材11にバルブディスク80を収容する図20における緩衝装置D1よりも、高周波振動入力時における減衰力低減効果の低減幅を大きくすることができる利点がある。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。