JP4908248B2 - 車両荷箱内の中仕切り壁 - Google Patents

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Description

本発明は、車両荷箱内を2室以上に仕切る中仕切り壁に関する。
従来、管理温度の異なる複数種類の荷物を一度に運ぶことができるように、車両荷箱内を、前後方向(奥行き方向)の任意の位置で2室以上に仕切る中仕切り壁が知られている。このような中仕切り壁には、一般的に、この中仕切り壁の設置位置(仕切り位置)を固定するためのラッシングベルトが設けられている。
例えば、特許文献1に記載の中仕切り壁においては、庫内を仕切るパネルの表面に、ラッシングベルトが挿通される複数の金具が固定されている。一方、庫内の左右側壁の所定の高さ位置には、前後方向に延びるラッシングレールがそれぞれ設けられている。そして、複数の金具によって中仕切り壁の表面に保持されたラッシングベルトの左右両端部が、庫内側壁のラッシングレールに設けられた連結部にそれぞれ連結されてから、ラッシングベルトが引き締められることによって、中仕切り壁の前後方向位置が固定される。
特許第3517360号公報(図2、図3)
前述した特許文献1の中仕切り壁においては、ラッシングベルトを保持する複数の金具はそれぞれパネルの表面に固定されているため、ラッシングベルトの高さ位置を変更することができない。その一方で、車両の種類によって、ラッシングベルトの両端部が固定される、庫内側壁のラッシングレール(連結部)の高さ位置は異なっていることも多い。そのため、庫内寸法が同一でラッシングレールの高さが異なる複数種類の車両に対して共通の中仕切り壁を使用することができず、それら複数種類の車両に対応する複数の中仕切り壁をそれぞれ準備しておく必要があった。
本発明の目的は、ラッシングベルトの保持位置を上下方向に変更することが可能な中仕切り壁を提供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
第1の発明の車両荷箱内の中仕切り壁は、車両荷箱内を仕切るパネルと、その両端部が庫内側壁に設けられた連結部に連結されるラッシングベルトを、前記パネルの表面に沿って保持するベルト保持手段を備え、前記ベルト保持手段は、前記ラッシングベルトを保持する位置を上下方向に変更することが可能に構成されていることを特徴とするものである。
この構成によれば、ベルト保持手段が、ラッシングベルトを保持する位置を上下方向に変更することが可能に構成されているため、庫内に設けられた連結部の位置に応じて、ラッシングベルトの高さ位置を調整することができる。従って、連結部の高さ位置が異なる車両に対して共通の中仕切り壁を使用することが可能になる。
第2の発明の車両荷箱内の中仕切り壁は、前記第1の発明において、前記ベルト保持手段は、上下方向に延びるとともに前記パネルの表面に固定された取付部と、前記ラッシングベルトを跨ぐように前記取付部に着脱可能に取り付けられる保持部材を有することを特徴とするものである。
この構成によれば、上下方向に延びる取付部に対する保持部材の位置を変更することにより、保持部材によって保持されるラッシングベルトの高さ位置を調整することが可能になる。
第3の発明の車両荷箱内の中仕切り壁は、前記第1の発明において、前記ベルト保持手段は、上下方向に延びるとともに、その上下両端部において前記パネルの表面に固定された固定ベルトと、それぞれが前記固定ベルトの途中部を押さえるように前記パネルに固定され、且つ、上下方向に間隔を空けて配置された複数の押さえ部材を有し、
前記固定ベルトの途中部が前記複数の押さえ部材で押さえられることによって、前記固定ベルトに、前記パネルとの間で前記ラッシングベルトを挟持する複数の保持部が形成されることを特徴とするものである。
この構成によれば、上下両端部においてパネルに固定された固定ベルトの途中部が複数の押さえ部材で押さえられることによって、ラッシングベルトをパネルとの間でそれぞれ挟持して保持することが可能な複数の保持部が上下方向に並んで配置される。従って、複数の保持部から任意の位置にある1つを選択し、この保持部とパネルとの間にラッシングベルトを挿通することで、ラッシングベルトを保持する位置を上下に変更することができる。
次に、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、車両の庫内(荷箱内)を仕切る中仕切り壁に本発明を適用した一例である。図1は、本実施形態に係る中仕切り壁3により仕切られた車両1の庫内2を後方から見た図である。尚、以下の説明では、車両1の先頭側(図1の紙面奥側)を前側、手前側を後側と定義している。
図1に示すように、車両1の庫内2には、この庫内2を前後方向(図1の紙面垂直方向)に2室以上に仕切る1又は複数の中仕切り壁3が設けられている。この中仕切り壁3は庫内2において前後方向に移動可能であり、前後方向に関する任意の位置で庫内2を仕切ることができるようになっている。また、この中仕切り壁3には、中仕切り壁3の前後方向位置(仕切り位置)を固定するためのラッシングベルト7が2本保持されている。
一方、庫内2の左右両側の側壁4には、前後方向へ延びる上下2本のラッシングレール5がそれぞれ設けられており、さらに、各ラッシングレール5には多数の連結部6が設けられている。そして、左右両側のラッシングレール5の連結部6にラッシングベルト7の両端部がそれぞれ連結された後に、ラッシングベルト7が引き締められることによって、中仕切り壁3が鉛直姿勢で庫内2に固定される。
次に、中仕切り壁3について説明する。図2は、中仕切り壁3を後方から見た図である。図2に示すように、中仕切り壁3は左右2つの分割壁10A,10Bに分割されており、それぞれの分割壁10A,10Bの後面には、これら分割壁10A,10Bを前後に移動させるための取っ手15が取り付けられている。このように、中仕切り壁3が左右に分割されていると、仕切り位置を変更するために中仕切り壁3を前後方向に移動させるのが容易になる。尚、2つの分割壁10A,10Bの突き合わせ部は合成樹脂製のシート11で覆われており、2つの分割壁10A,10Bの間がシールされている。
図2に示すように、各分割壁10A,10Bは、庫内2を仕切るパネル12を有する。図3は、パネル12の角部の切欠拡大図である。図3に示すように、パネル12は、発泡倍率30倍のポリエチレンの独立発泡体20と、この独立発泡体20の両面にそれぞれ貼着され、互いに平行なリブを有するポリエチレン製の中空樹脂体21a,21bと、ポリエチレン中空樹脂体21a,21bの表面に貼着された、ポリエチレン等の合成樹脂の発泡シート22、及び、さらにその上に貼着されたPVCターポリン等の合成樹脂シート23とからなる積層構造を有する。このように、中空樹脂体21a,21bの表面が、発泡シート22及び合成樹脂シート23によって覆われていると、パネル表面が柔軟になってその内部が保護されるとともに、パネル表面に傷がつきにくくなる。
また、ポリエチレン製の中空樹脂体21a,21bは、平行な2枚の板部材の間にリブ28a,28bが一体的に設けられた構造を有する。一方のポリエチレン中空樹脂体21aのリブ28aはパネル12の横方向(庫内2の幅方向)に延在する一方で、他方のポリエチレン中空樹脂体21bのリブ28bはパネル12の縦方向(庫内2の高さ方向)に延在しており、リブ28aとリブ28bは直交している。そのため、パネル12は縦方向及び横方向に剛性を有する。
図2、図3に示すように、パネル12の庫内2の壁面と接する部分(図2のハッチング部分)には、発泡倍率50倍の弾力性を有するウレタンスポンジ24と、このウレタンスポンジ24の表面を覆う伸縮性を有する基布25が設けられている。基布25は、伸縮性を有するニット布26の内側(ウレタンスポンジ24側)にポリウレタンフィルム27がラミネートされたものである。このように、パネル12の、庫内2の壁面と接する部分に弾力性を有するウレタンスポンジ24が取り付けられていることによって、パネル12と庫内2の壁面との間が確実にシールされる。
さらに、パネル12の後面には、2本のラッシングベルト7をパネル表面に沿って水平に保持するベルト保持部16(ベルト保持手段)が設けられている。そして、このベルト保持部16による保持位置によってラッシングベルト7の上下方向に関する位置(高さ位置)が決まる。
ところで、車両1の種類によって、庫内側壁4に設けられたラッシングレール5(連結部6)の高さ位置が異なる場合も多い。そのため、このような、連結部6の高さが異なる複数種類の車両1に対して1つの中仕切り壁3を共通に使用するためには、ラッシングベルト7の高さ位置を変更することが可能である必要がある。
そこで、本実施形態のベルト保持部16は、ラッシングベルト7を保持する位置を上下方向に変更可能に構成されている。図4は、図2に示す中仕切り壁3の一部拡大図、図5は図6のA−A線断面図である。図4、図5に示すように、ベルト保持部16は、上下方向に延びるとともに、パネル12の左右両端側部分においてパネル表面に固定された2本の取付部30と、取付部30に着脱可能に取り付けられる保持部材31とを有する。
各取付部30は、例えば、面ファスナーからなり、パネル12の上端部近傍から下端部近傍まで上下に延びている。また、保持部材31の裏面にも面ファスナーが設けられ、この保持部材31は、ラッシングベルト7を上下に跨ぐように取付部30に着脱可能に取り付けられる。これにより、ラッシングベルト7は、保持部材31と取付部30との間で挟持され、2つの分割壁10A,10Bにそれぞれ設けられた4つの保持部材31によって水平に保持される。また、1本の取付部30に対して上下2つの保持部材31がそれぞれ着脱自在に取り付けられており、上下2本のラッシングベルト7がそれぞれパネル12の表面に沿って保持される。
このように、ラッシングベルト7を保持する保持部材31が、上下に延びる取付部30に対して着脱自在であることから、図4に実線及び二点鎖線で示すように、保持部材31の上下方向位置を変更できる。つまり、庫内側壁4に設けられたラッシングレール5(連結部6)の位置に応じて、ラッシングベルト7の高さ位置を調整することができる。従って、連結部6の高さ位置が異なる車両に対して共通の中仕切り壁3を使用することが可能になる。
次に、本実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
1]ラッシングベルト7を保持するベルト保持部は、前記実施形態の構成に限られず、ベルトの保持位置を高さ方向に変更できるものであれば、その他の構成を採用することもできる。その一例を以下に示す。
例えば、ベルト保持部は上述の面ファスナーが用いられたものに限られず、他の形態として、図4における取付部30が、パネル12の表面に固定された上下方向に延びるレールであり、保持部材31が、取付部30であるレールに沿って上下方向に移動可能なベルト保持金具であってもよい。
また、図6は、別の変更形態の中仕切り壁3Aの一部拡大図である。図6に示すように、中仕切り壁3Aのベルト保持部16Aは、上下方向に延びる固定ベルト60と、固定ベルト60の途中部を押さえる複数(例えば、6つ)の押さえ部材61を有する。
固定ベルト60は、パネル12の左右両端側部分にそれぞれ設けられており、各固定ベルト60は、その上下両端部においてパネル12の表面に固定具62で固定されている。また、固定ベルト60には、長さ調節金具63が設けられており、この長さ調節金具63で固定ベルト60の長さを調節して、固定ベルト60がパネル12の表面に沿うように適度なテンションをかけることができるようになっている。
各押さえ部材61は、上下に延びる固定ベルト60の途中部を幅方向に跨ぎ、ベルト60を押さえた状態でパネル12に固定されている。さらに、複数の押さえ部材61は上下方向に所定間隔を空けて配置されている。
このように、上下両端部においてパネル12に固定された固定ベルト60の途中部が複数の押さえ部材61でパネル12に押さえられることで、固定ベルト60に、ラッシングベルト7をパネル12との間でそれぞれ挟持して保持することが可能な複数の保持部60aが形成される。さらに、これら複数の保持部60aは上下方向に並んで配置される。従って、図6に実線及び二点鎖線で示すように、複数の保持部60aから、所望の高さ位置にある1つを選択し、この保持部60aとパネル12との間にラッシングベルト7を挿通することで、ラッシングベルト7を保持する位置を上下方向に変更することができるようになる。
さらに、ラッシングベルト7を固定ベルト60の保持部60aとパネル12との間に挿通してから、長さ調節金具63により固定ベルト60の長さを調節して、固定ベルト60に適度なテンションを付加することで、保持部60aとパネル12との間にラッシングベルト7が確実に挟持される。
2]前記実施形態では、中仕切り壁3の左右2つの分割壁10A,10Bのパネル同士が、合成樹脂製のシート11で連結されているが(図2参照)、2つの分割壁10A,10Bの突き合わされる側端面にそれぞれ面ファスナーが設けられ、これら面ファスナーを介して2つの分割壁10A,10Bが連結されていてもよい。
3]前述した実施形態及びその変更形態は、左右方向中央部で折り畳み可能な構造の中仕切り壁に本発明を適用した例であるが、図7に示すように、中央部で左右2つの分割壁10A,10Bに分割された形式の中仕切り壁にも適用できる。尚、分割壁10A,10Bの突き合わせ部には、これら分割壁10A,10Bの間を塞ぐためのシート70が取り付けられる。また、ラッシングベルト77は、中央部で連結金具78,79を介して分離可能に連結されるものが採用される。
また、左右に分割されていない形式の中仕切り壁に対しても本発明を適用することももちろん可能である。
本発明の実施形態に係る車両荷箱内を後方から見た図である。 中仕切り壁を後方から見た図である。 パネルの一部切欠拡大図である。 図2に示す中仕切り壁の一部拡大図である。 図4のA−A線断面図である。 変更形態の中仕切り壁の一部拡大図である。 別の変更形態の中仕切り壁を後方から見た図である。
符号の説明
1 車両
2 庫内
3,3A 中仕切り壁
6 連結部
7,77 ラッシングベルト
12 パネル
16,16A ベルト保持部
30 取付部
31 保持部材
60 固定ベルト
61 押さえ部材
60a 保持部

Claims (3)

  1. 車両荷箱内を仕切るパネルと、
    その両端部が庫内側壁に設けられた連結部に連結されるラッシングベルトを、前記パネルの表面に沿って保持するベルト保持手段を備え、
    前記ベルト保持手段は、前記ラッシングベルトを保持する位置を上下方向に変更することが可能に構成されていることを特徴とする車両荷箱内の中仕切り壁。
  2. 前記ベルト保持手段は、上下方向に延びるとともに前記パネルの表面に固定された取付部と、前記ラッシングベルトを跨ぐように前記取付部に着脱可能に取り付けられる保持部材を有することを特徴とする請求項1に記載の車両荷箱内の中仕切り壁。
  3. 前記ベルト保持手段は、
    上下方向に延びるとともに、その上下両端部において前記パネルの表面に固定された固定ベルトと、
    それぞれが前記固定ベルトの途中部を押さえるように前記パネルに固定され、且つ、上下方向に間隔を空けて配置された複数の押さえ部材を有し、
    前記固定ベルトの途中部が前記複数の押さえ部材で押さえられることによって、前記固定ベルトに、前記パネルとの間で前記ラッシングベルトを挟持する複数の保持部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の車両荷箱内の中仕切り壁。
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