JP4906901B2 - 位置決め装置 - Google Patents
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しかし、生産ラインの各作業領域に、ワークの形状毎に専用の位置決め装置を設置した場合、広い設置スペースが必要になるという問題があった。
ここで、図5を参照しながら、特許文献1に記載された従来技術の位置決め装置(位置決め機構)の構成を説明する。
また、ロケータ107は、ワークW2を把持するクランプ、ワークW2に形成される孔部に挿入されるロケートピン等を備えており、NC制御により任意の位置に、クランプやロケートピンを制御できるようになっている。
そして、従来技術の位置決め装置100は、上記の構成により、複数の種類の形状の異なるワークW2に汎用的に対応して位置決めすることができ、その結果、生産ラインの作業領域の省スペース化を実現している。
なお、上記の位置決め装置は、ワークに形成される孔部にロケートピンを挿入してワークの位置決めを行っているため、孔部が形成されていないワークには対応できないという技術的課題も有している。
そのため、本発明の位置決め装置は、位置決めする対象のワークに形状が異なるものが混在していても、ワークの一端部側の輪郭が重なるような類似する形状を有し且つ弾性変形するもの(例えば、自動車用のバンパー等)であれば、ワークの一端側を第1支持部及び第2支持部に当接させて2軸方向(前後方向、高さ方向)の位置を規定し、その後、ワークを押し広げて横幅方向の位置を規定することにより、3軸方向(前後方向、高さ方向、横幅方向)の位置決めを行うことができる。
すなわち、本発明の位置決め装置は、弾性変形する類似形状のワークに対して、共用で使用することができるため(汎用性が高いため)、専用治具等の投資コストを軽減できると共に、生産ラインの省スペース化を図ることができる。
また、本発明によれば、押し広げ手段によりワークを横幅方向に押し広げることにより、位置決めを行っているため、孔部が形成されていないワークの位置決めにも対応することができる。
このように保持手段を設けることにより、押し広げ手段により横幅方向に押し広げて変形させたワークをその状態で維持することができるため、位置決めされたワークの加工を正確に行うことができる。
すなわち、本発明は、1軸駆動する駆動機構(例えば、1軸駆動のサーボ機構等)により押し広げ手段を動作させることができるため、上述した従来技術の位置決め装置に比べて、コストを抑えた位置決め装置を提供することができる。
このようにワークとの当接部を半円形状に形成したのは、押し広げ手段によりワークを押し広げる際に、ワークがキズ付くのを防止するためである。また、ワークとの当接部を半円形状に形成することにより、ワークの形状が違っても、確実に、第1支持部の上にワークを着座させることができるためである。
先ず、本発明の実施形態の位置決め装置の概略構成について図1を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態の位置決め装置の模式図であり、図1(a)は、本実施形態の位置決め装置にワークをセットした状態を示した模式図であり、図1(b)は、図1(a)に示すA部を拡大して示した模式図であり、図1(c)は、図1(a)の位置決め装置及びワークを側面から見た模式図である。
また、本実施形態では、ワークW1の位置を規定する直交する3軸方向を、ワークW1が取り付けられる車両を基準にした車両の高さ方向(H方向)、車両の横幅方向(W方向)、車両前後の長さ方向(前後方向(L方向))で示す。
なお、前記制御部は、例えば、CPU、メモリ等を備えたコンピュータにより構成することができる。この場合、前記CPUが前記メモリに格納された制御プログラムを実行することにより、スライド機構20の駆動が制御される。
そして、押し広げロッド40は、スライド機構20の駆動により動作するスライダ22とともに移動してワークW1の側面部W1bの内側面に当接し、その当接した側面部W1bを押圧し(側面部W1bにW方向の荷重を加えて)、ワークW1を変形させて押し広げる。また、スライド機構20は、予め設定されている位置にスライダ22(及び押し広げロッド40)を停止させるようになされており、これにより、ワークW1のW方向の位置が規定される。
また、吸着パッド45は、押し広げロッド40が押し広げたワークW1の側面部W1bに吸着し、ワークW1を押し広げた状態を維持できるようになっている。
すなわち、本実施形態の位置決め装置1は、位置決めする対象のワークW1のなかに形状が異なるものが混在していても、ワークW1の一端側の輪郭がある程度似ている形状であれば、3軸方向(L方向、H方向、W方向)の位置決めに共用で使用できる。
また、本実施形態の位置決め装置1は、上述した従来技術の位置決め装置(図5参照)のように、直交3軸の制御軸を有する高額なロケータを多数配置する構成ではなく、W方向(1軸方向)に移動するスライド機構20により、押し広げロッド40を移動させてワークW1の位置決めを行うため、従来技術の位置決め装置(図5参照)に比べて、装置コストを抑制することができる。
図1(a)に示すように、スライド機構20は、矩形枠状の基台10の4角部の近傍において、それぞれ、基台10から立設している一対の柱状支持部12a、12bに支持されている。なお、スライド機構20は、基台10の長辺方向(図示するW方向)と平行に配置されている。
また、図1(b)に示すように、各スライド機構20は、上面部にW方向と平行に延設されたガイド部(図示せず(ガイド溝や、ガイドレール等))が形成された本体部21と、前記ガイド部に摺動自在に支持されている板状のスライダ22とを備えている。
また、本体部21は、前記ガイド部に沿って、スライダ22を往復自在に移動させる1軸方向の駆動機構を備えている。
なお、前記駆動機構の構成は、具体的に限定されるものではないが、例えば、前記駆動機構に、サーボモータを備えるサーボ機構を用いることができる。
このようにサーボ機構を用いることにより、スライダ22を最適位置に移動させる高精度な制御ができるため、正確な位置決めを実現することができる。
そして、押し広げロッド40は、一端部が支持部材47に支持され、他端部(先端部)が、第1支持部30に支持されたワークW1の側面部W1bの内側面と相対向するように配置されている。
また、吸着パッド45は、一端部が支持部材47に支持され、他端部(先端部)の吸着面が、第1支持部30に支持されたワークW1の側面部W1bの内側面と相対向するように配置されている。
なお、吸着パッド45は、ワークW1の側面部W1bに吸着できるようになされていればよく、その具体的な構成について特に限定されるものではない。
なお、第2支持部50が、H方向の任意の位置に移動できるようになされていてもよい。例えば、基台10に、柱状支持部14a、14bを、H方向に沿って移動自在に支持するスライド機構を設け、柱状支持部14a、14bを移動させることにより、第2支持部50のH方向の位置を調節できるようにする。この構成により、H方向の形状が大きく異なるワークW1や、H方向における位置決めの位置が異なるワークW1に対しても対応することができる。
図2は、本発明の実施形態の位置決め装置によるワークの位置決め作業の手順を示した模式図である。なお、図2(a)は、位置決め装置にワークをセットする前の状態を示した模式図であり、図2(b)は、位置決め装置にワークがセットされた状態を示した模式図であり、図2(c)は、ワークがセットされた位置決め装置が、ワークを横方向に押し広げている状態を示した模式図である。
また、図3は、本実施形態の位置決め装置によるワークの位置決め動作を示した模式図である。なお、図3(a)は、本実施形態の位置決め装置にワークをセットした際の、ワークと、位置決め装置との関係を示した模式図であり、図3(b)は、本実施形態の位置決め装置の押し広げロッドがワークの側面部を押圧している状態を示した模式図であり、図3(c)は、本実施形態の位置決め装置の吸着パッドが押し広げられたワークを保持している状態を示した模式図であり、図3(d)は、位置決め装置により、位置決めされたワークを示した模式図である。
なお、上記の場合、位置決め装置1の第1支持部30に、ワークW1の両側面部W1bの自由端を当接させて載置すると共に、第2支持部50に、ワークW1の上下両端部を当接させる。
これにより、図3(a)に示すように、ワークW1が第1支持部30に当接して、ワークW1のL方向の位置が規定され、ワークW1のH方向の両端部が第2支持部50に当接して、ワークW1のH方向の位置が規定される。
なお、第1支持部30は、ワークW1と当接する上面が半円形状になされているためワークW1がキズ付くことを防止できる。また、ワークW1との当接部が半円形状に形成されているため、ワークW1の形状が違っても、確実に、第1支持部30の上にワークW1を着座させることができる。
すなわち、本実施形態の位置決め装置1は、図3(a)の実線で示すワークW1に対しても、破線で示すワークW1に対しても共用で使用することができる。
なお、本願の発明者は、ワークW1の位置決めについて研究を重ねた結果、図4に示すように、合成樹脂等により形成された弾性変形可能なワークW1は、W方向の押し広げ量が所定量(最適量)を超えると、L方向及びH方向の歪みが発生し、位置決めの精度が低下していく傾向があることを見出した。また、W方向の押し広げ量が所定量(最適量)を超えなければ、ワークW1を押し広げても、L方向及びH方向の歪みが小さく、位置決めの精度に影響を与えないことを見出した。
これにより、位置決め装置1は、弾性変形する類似形状のワークW1に対して、精度の高い位置決めを実現することができる。
上述した図3(b)に示すように、押し広げロッド40によるワークW1のW方向への押し広げが完了すると、吸着パッド45によるワークW1の保持作業が行われる。
なお、位置決め装置1により、ワークW1が、3軸方向(L方向、H方向、W方向)に位置決めされた後は、ワークW1に対して各種の加工が施される。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
例えば、吸着パッド45は、第1支持部30に支持されたワークW1の側面部W1bの外側面と相対向するように配置され、ワークW1の側面部W1bの外側面に吸着するように構成されていてもよい。
W1a 正面部(ワーク)
W1b 側面部(ワーク)
1 位置決め装置
10 基台
12a、12b 柱状支持部
14a、14b 柱状支持部
20 スライド機構
21 本体部(スライド機構)
22 スライダ(スライド機構)
30 第1支持部(L基準部)
40 押し広げロッド(押し広げ手段)
45 吸着パッド(保持手段)
47 支持部材
50 第2支持部(H基準部)
Claims (6)
- 高さ方向と横幅方向とが水平方向に向けられ、前後方向が垂直方向に向けられたワークの位置決めを行う位置決め装置であって、
前記ワークの横幅方向に沿って往復自在に移動可能に設けられたスライド部と、
前記スライド部に搭載され、前記ワークの前後方向の一端部が上面に載置されることにより、該ワークを支持すると共に、該ワークの前後方向の位置を規定する第1支持部と、
前記第1支持部に載置された前記ワークを、その高さ方向の両端部に当接して支持し、該ワークの高さ方向の位置を規定する第2支持部と、
前記スライド部に搭載され、前記スライド部が移動することにより、前記第1支持部及び前記第2支持部に支持されている前記ワークの側面部に当接して押圧し、該ワークを横幅方向に変形させて押し広げ、該ワークの横幅方向の位置を規定する押し広げ手段とを備えることを特徴とする位置決め装置。 - 前記押し広げ手段により押し広げられた前記ワークの側面部に吸着し、該押し広げられた状態にワークを保持する保持手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置。
- 前記保持手段は、前記スライド部に搭載され、
前記保持手段は、前記押し広げ手段が該ワークを横幅方向に変形させて押し広げると、該ワークの側面部に吸着するようになされていることを特徴とする請求項2に記載の位置決め装置。 - 前記第1支持部は、前記ワークとの当接部が半円形状になされていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の位置決め装置。
- 前記第2支持部は、前記ワークの横幅方向に沿って延設された円柱形状になされていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された位置決め装置。
- 前記第2支持部を前記ワークの高さ方向に沿って移動自在に支持するスライド機構を更に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載された位置決め装置。
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