JPWO2017115396A1 - 変位抑制装置とそれを利用した工作機械 - Google Patents

変位抑制装置とそれを利用した工作機械 Download PDF

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Abstract

工作機械は、レールを備える基準台と、その基準台の上方に位置し前記基準台に対して前記レールの上を相対的に移動する移動台と、を備える工作機械の変位抑制装置であって、その変位抑制装置は、第一斜面を備え、前記レールが延在する方向に沿って延在するように前記移動台に取り付けられるガイドと、前記基準台に固定され、前記第一斜面に対して角度を有する第二斜面を備えるブラケットと、前記第一斜面に当接する第一対向面と、前記第二斜面に当接する第二対向面とを有するスライダに結合されるアクチュエータとを備え、前記アクチュエータは、前記スライダを押圧して、前記第一斜面を前記第一対向面に押し付け、前記第二斜面に当接する第二対向面に押し付ける変位抑制装置を有している。工作機械において、基準台に対して移動する移動台の変位量を低減化することが求められる。

Description

この発明は、工作機械用変位抑制装置とそれを使用した工作機械に関する。
たとえば、工作機械について、その代表マシニングセンタを例として、背景技術を説明する。マシニングセンタは、コラムトラバース方式と、テーブルトラバース方式との二つの方式に分けられるが、いずれも同様である。図6は、テーブルトラバース方式マシニングセンタ51の概略図であり、図7はコラムトラバース方式マシニングセンタ61の概略図である。テーブルトラバース方式マシニングセンタ51は、ワークを保持するテーブル55の側を移動が可能であるとともに、スピンドル52を有するコラム53(移動台)がサドル54(基準台)に対して移動する方式である。一方、コラムトラバース方式マシニングセンタ61では、ベッド65(基準台)の上に配置されたレールに沿って、ベッド65(基準台)に対してサドル64(移動台)が移動する。また、サドル64上のレールに沿って、サドル64(基準台)に対してスピンドル62を有するコラム63(移動台)が移動する。
旋盤(たとえば、図5)においても、ベース(基準台)に対して、刃物台(移動台)が相対的に移動する構造をもっている。このように、マシニングセンタや、旋盤などでは、基準台に対して、相対的に移動台が移動する構造となっている。たとえば、コラムトラバース方式マシニングセンタ61では、サドル64は、ベッド65との関係ではベッド65を基準台としたときに移動台となり、コラム63との関係では、コラム63が移動台となるときに基準台となる。基準台が不可動である必要はない。基準台と移動台は、絶対的なものではなく、一方を基準台としたときに、他方がその基準台に対して相対的に移動する移動台となる関係を有するものと定義される。
上記のように、マシニングセンタなどのように、基準台に対して相対的に移動台が移動する構成では、移動する部分の変位量は、ワークの加工精度に影響を与える。工作機械では、刃物を高速で回転させるため、加工など工具の回転による振動で移動台の変位が生じる問題がある。そのため、振動により生じる移動台の変位量を低減化することが求められる。
レールを備える基準台と、その基準台の上方に位置し前記基準台に対して前記レールの上を相対的に移動する移動台と、を備える工作機械の変位抑制装置であって、その変位抑制装置は、第一斜面を備え、前記レールが延在する方向に沿って延在するように前記移動台に取り付けられるガイドと、前記基準台に固定され、前記第一斜面に対して角度を有する第二斜面を備えるブラケットと、前記第一斜面に当接する第一対向面と、前記第二斜面に当接する第二対向面とを有するスライダに結合されるアクチュエータとを備え、前記アクチュエータは、前記スライダを押圧して、前記第一斜面を前記第一対向面に押し付け、前記第二斜面に当接する第二対向面に押し付ける変位抑制装置により、解決する。
レールを備える基準台と、その基準台の上方に位置し前記基準台に対して前記レールの上を相対的に移動する移動台と、を備える工作機械の変位抑制装置であって、その変位抑制装置は、第一斜面を備え、前記レールが延在する方向に沿って延在するように前記移動台に取り付けられるガイドと、前記基準台に固定され、前記第一斜面に対して角度を有する第二斜面を備えるブラケットと、前記ガイドはさらに第三斜面を備え、前記ブラケットは前記第三斜面に対して角度を有する第四斜面を備え、前記第一斜面に当接する第一対向面と、前記第二斜面に当接する第二対向面とを有する第一スライダに結合される第一アクチュエータとを備え、前記第三斜面に当接する第三対向面と、前記第四斜面に当接する第四対向面とを有する第二スライダに結合される第二アクチュエータとを備え、前記第一アクチュエータは、前記第一スライダを押して、前記第一斜面を前記第一対向面に押し付け、前記第二斜面を第二対向面に押し付け、前記第二アクチュエータは、前記第二スライダを押して、前記第三斜面を前記第三対向面に押し付け、前記第四斜面を第四対向面に押し付ける変位抑制装置により、解決する。
レールを備える基準台と、その基準台の上方に位置し前記基準台に対して前記レールの上を相対的に移動する移動台と、を備える工作機械であって、第一斜面を備え、前記レールが延在する方向に沿って延在するように前記移動台に取り付けられるガイドと、前記基準台に固定され、前記第一斜面に対して角度を有する第二斜面を備えるブラケットと、前記第一斜面に当接する第一対向面と、前記第二斜面に当接する第二対向面とを有するスライダに結合されるアクチュエータとを備え、前記アクチュエータは、前記スライダを押圧して、前記第一斜面を前記第一対向面に押し付け、前記第二斜面に当接する第二対向面に押し付ける変位抑制装置を備える工作機械により、解決する。
レールを備える基準台と、その基準台の上方に位置し前記基準台に対して前記レールの上を相対的に移動する移動台と、を備える工作機械であって、その変位抑制装置は、第一斜面を備え、前記レールが延在する方向に沿って延在するように前記移動台に取り付けられるガイドと、前記基準台に固定され、前記第一斜面に対して角度を有する第二斜面を備えるブラケットと、前記ガイドはさらに第三斜面を備え、前記ブラケットは前記第三斜面に対して角度を有する第四斜面を備え、前記第一斜面に当接する第一対向面と、前記第二斜面に当接する第二対向面とを有する第一スライダに結合される第一アクチュエータとを備え、前記第三斜面に当接する第三対向面と、前記第四斜面に当接する第四対向面とを有する第二スライダに結合される第二アクチュエータとを備え、前記第一アクチュエータは、前記第一スライダを押して、前記第一斜面を前記第一対向面に押し付け、前記第二斜面を第二対向面に押し付け、前記第二アクチュエータは、前記第二スライダを押して、前記第三斜面を前記第三対向面に押し付け、前記第四斜面を第四対向面に押し付ける変位抑制装置を備える工作機械により、解決する。
本発明により、工作機械における基準台に対して移動する移動台の変位量を低減化することが可能となる。
本発明の変位抑制装置が適用されるマシニングセンタの全体を示した図である。 本発明の変位抑制装置の部分を示した図である。 本発明の実施の形態1の変位抑制装置の外観図である。 本発明の実施の形態2の変位抑制装置の外観図である。 本発明の実施の形態3の変位抑制装置の外観図である。 本発明の実施の形態4の変位抑制装置の外観図である。 本発明の変位抑制装置を適用した旋盤の外観図である。 テーブルトラバース方式マシニングセンタの概略図である。 コラムトラバース方式マシニングセンタの概略図である。
(実施の形態1)
図1Aおよび図1Bを参照して、本発明の変位抑制装置1を工作機械に適用した例を説明する。工作機械の代表例として、マシニングセンタ30について適用する例を説明する。図1Aは、コラムトラバース方式のマシニングセンタ30を示した図である。しかし、テーブルトラバース方式のマシニングセンタでも同様である。図1Aでは、レール33a上を本来摺動するスピンドルは取り外した状態を示している。マシニングセンタ30は、非可動部である「基準台」としての基部(以下、「ベッド」)31と、ベッド31の上にベッド31に対して相対的に移動可能な「移動台」としてのサドル32とを具備する。また、サドル32の上には、サドル32を「基準台」として、サドル32に対して移動可能な「移動台」であるコラム33とを備える。サドル32にはスピンドルを有するコラム33が配置される。サドル32はベッド31上のレール34に載置され、サドル32はそのレール34に沿って、移動可能である。さらに、サドル32の上には、ベッド31上のレール34の延在方向(第一軸方向)と垂直方向(第二軸方向)に延在する別のレール35が配置されている。コラム33は、サドル32上のレール35に沿って移動可能である。
変位抑制装置1は、変位抑制ガイド2(以下、「ガイド」とよぶ)と、ブラケット3と、アクチュエータ4と、スライダ5と、を備える。ガイド2は、移動台が移動するために基準台に取り付けられているレールに沿って配置される。すなわち移動台をサドル32とし、基準台をベッド31とする形態のときには、サドル32が移動するためにベッド31の上に配置されるレール34が延在する方向に移動台であるサドル32に取り付けられる。なお、本実施の形態の場合ではないが、移動台をコラム33とし、基準台をサドル32とする本実施の形態のときには、コラム33が移動するためにサドル32の上に配置されるレール35が延在方向に移動台であるコラム33に取り付けられる。
すなわち、本実施の形態の場合、ガイド2は、サドル32の移動方向に沿って延在するように、移動台であるサドル32に固定されている。ブラケット3は、サドル32の移動方向に沿って延在するように、基準台であるベッド31に固定されている。ガイド2の長手方向の長さは、ブラケット3の長手方向の長さよりも短い。すなわち、ガイド2とブラケット3の長さは、サドル32が移動しても、ガイド2の長手方向の全部および大部分がブラケット3の長手方向内に位置するように設定されている。ガイド2は、サドル32と一体で形成されていることが好ましいが、サドル32とは別の部材として、サドル32に固定される形態でもよい。ガイド2は、サドル32のうち、スピンドル(不図示)に近い箇所に配置することが好ましい。
変位抑制装置1は、少なくとも一つのアクチュエータ4を必要とする。そして、ガイド2の長手方向に沿って、複数個のアクチュエータ4を所定の間隔をもって配置するとさらに好ましい。ガイド2は、コラム33の移動方向(サドル32の移動方向と垂直方向)に突き出た形状をしており、一の斜面(第一斜面)を有している。ブラケット3は、ガイド2の一の斜面と対向する他の斜面(第二斜面)を有している。ガイド2の一の斜面とブラケット3の他の斜面との間には、スライダ5が配置される。アクチュエータ4は、スライダ5をガイド2の一の斜面とブラケット3の他の斜面に押し付けて、ガイド2とブラケット3とを強固に固定する。スライダ5の長さは、一般的には、ブラケット3と同じ長さであることが一般的であるが、ガイド2がブラケット3内を移動できる範囲において、スライダ5がガイド2とブラケット3を押し付けることができれば、長さの制限はない。
変位抑制装置1について、さらに詳しく説明する。図2Aは、マシニングセンタ30に取り付けられている変位抑制装置1の実施の形態1の断面図を示している。図2Aは、図1Aの断面X−Xを示している。ガイド2は、コラム33の移動方向(サドル32の移動方向と垂直方向)に突き出た形状をしており、コラム33の移動方向(サドル32の移動方向と垂直方向)に対して角度をもった第一斜面2aを有している。ブラケット3は、第一斜面2aに対して、角度をもった第二斜面3aを有している。第一斜面2aと第二斜面3aとがなす角は、マシニングセンタ30の下方向(移動台から基準台に向かう方向)に狭まる角度である。第一斜面2aと第二斜面3aとは、コラム33の移動方向、すなわち一般的には水平(図2Aの矢印方向)に並ぶように配置される。アクチュエータ4は、たとえば油圧シリンダである。アクチュエータ4はピストン6を具備している。アクチュエータ4のピストン6には、スライダ5が取り付けられている。スライダ5は、第一斜面2aと対向する第一対向面5aと、第二斜面3aと対向する第二対向面5bと、を有している。アクチュエータ4は加圧ポート(クランプポート)4aと連通する室をピストン6の上部に、減圧ポート(アンクランプポート)4bと連通する室をピストン6の下部に有する。アクチュエータ4の加圧ポート(クランプポート)4aから油圧により、ピストン6の上部の室を加圧するとピストン6がスライダ5に向かって加圧される。加圧されたピストン6はスライダ5を第一斜面2aと第二斜面3aとに向けて付勢する。そして、第一斜面2aは第一対向面5aを押圧し、第二斜面3aは第二対向面5bを押圧する。第一斜面2aと第二斜面3aとが、第一対向面5aと第二対向面5bとを押圧すれば、スライダ5によるその押圧力で、ガイド2とブラケット3はコラム33の移動方向(サドル32の移動方向と垂直方向)への移動が制限される。さらに、第一斜面2aと第一対向面5aとの間の摩擦力と、第二斜面3aと第二対向面5bとの間の摩擦力とにより、ガイド2はブラケット3に対して、サドル32の移動方向への移動も制限される。すなわち、サドル32はベッド31に対して移動が抑制される。スピンドルの回転による加工振動によりコラム33およびサドル32の移動が生じても、ガイド2とブラケット3とを押さえつけているアクチュエータ4の固有振動数とは異なるから、ガイド2がブラケット3に対して振動したとしても、その振動は減衰する。アクチュエータ4の加圧ポート(クランプポート)4aから油圧を減圧し、アクチュエータ4の減圧ポート(アンクランプポート)4bからピストン6の下部の室を加圧すると、スライダ5が第一斜面2aと第二斜面3aとから離れる方向にピストン6が移動する。これにより、第一斜面2aと第一対向面5aとの押圧が解除され、第二斜面3aと第二対向面5bとの押圧が解除される。変位抑制装置1により、ベッド31に対してのサドル32の移動が抑制されるので、変位抑制装置1を用いた場合におけるコラム33の移動量は、変位抑制装置1を用いない場合のコラム33の移動量よりも小さくなり、加工精度も向上する。
(実施の形態2)
続いて、実施の形態2の変位抑制装置1について、説明する。図2Bは、マシニングセンタ30に取り付けられている変位抑制装置1の実施の形態2の断面図を示している。図2Bも、図1Aの断面X−Xの箇所に対応する。ガイド2は、コラム33の移動方向(サドル32の移動方向と垂直方向)に突き出た形状をしており、コラム33の移動方向(サドル32の移動方向と垂直方向)に対して角度をもった第一斜面2aを有している。ブラケット3は、第一斜面2aに対して、角度をもった第二斜面3aを有している。第一斜面2aと第二斜面3aとは、コラム33の移動方向、すなわち一般的には水平(図2Bの矢印方向)に並ぶように配置される。実施の形態1では、第一斜面2aと第二斜面3aとがなす角は、マシニングセンタ30の下方向に狭まる角度であったが、実施の形態2では、第一斜面2aと第二斜面3aとがなす角は、マシニングセンタ30の上方向(基準台から移動台に向かう方向)に向かって狭まる角度である。アクチュエータ4は、たとえば油圧シリンダである。アクチュエータ4はピストン6を具備している。アクチュエータ4のピストン6には、スライダ5が取り付けられている。スライダ5は、第一斜面2aと対向する第一対向面5aと、第二斜面3aと対向する第二対向面5bと、を有している。アクチュエータ4の加圧ポート(クランプポート)4aから実施の形態1と同様に油圧によりピストン6を加圧すると、ピストン6はマシニングセンタ30の上側にスライダ5を引っ張り上げてスライダ5を第一斜面2aと第二斜面3aとに向けて付勢する。実施の形態1と異なり、マシニングセンタ30の上側に向かって狭まる角度となっている。そして、第一斜面2aは第一対向面5aを押圧し、第二斜面3aは第二対向面5bを押圧する。第一斜面2aと第二斜面3aとが、第一対向面5aと第二対向面5bとを押圧すれば、スライダ5によるその押圧力で、ガイド2とブラケット3はコラム33の移動方向(サドル32の移動方向と垂直方向)への移動が制限される。さらに、第一斜面2aと第一対向面5aとの間の摩擦力と、第二斜面3aと第二対向面5bとの間の摩擦力とにより、ガイド2はブラケット3に対して、サドル32の移動方向への移動も制限される。すなわち、サドル32はベッド31に対して移動が抑制される。スピンドルの回転による加工振動によりコラム33およびサドル32の移動が生じても、ガイド2とブラケット3とを押さえつけているアクチュエータ4の固有振動数とは異なるから、ガイド2がブラケット3に対して振動したとしても、その振動は減衰する。実施の形態1と同様に、アクチュエータ4の加圧ポート(クランプポート)4aから油圧を減圧し、アクチュエータ4の減圧ポート(アンクランプポート)4bからピストン6の下部の室を加圧すると、スライダ5が第一斜面2aと第二斜面3aとから離れる方向にピストン6が移動する。これにより、第一斜面2aと第一対向面5aとの押圧が解除され、第二斜面3aと第二対向面5bとの押圧が解除される。変位抑制装置1により、ベッド31に対してのサドル32の移動が抑制されるので、変位抑制装置1を用いた場合におけるコラム33の移動量は、変位抑制装置1を用いない場合のコラム33の移動量よりも小さくなり、加工精度も向上する。
(実施の形態3)
続いて、実施の形態3の変位抑制装置1について、説明する。図3は、マシニングセンタ30に取り付けられている変位抑制装置1の実施の形態3の断面図を示している。図3も、図1Aの断面X−Xの箇所に対応する。ガイド2は、コラム33の移動方向に突き出た形状をしており、コラム33の移動方向に対して角度をもった第一斜面2aを有している。ブラケット3は、第一斜面2aに対して、角度をもった第二斜面3aを有している。第一斜面2aと第二斜面3aとがなす角は、マシニングセンタ30のコラム33の移動方向に狭まる角度である。第一斜面2aと第二斜面3aとは、コラム33の移動方向と垂直、すなわち一般的には鉛直(図3の矢印方向)に並ぶように配置される。アクチュエータ4はピストン6を具備している。アクチュエータ4のピストン6には、スライダ5が取り付けられている。スライダ5は、第一斜面2aと対向する第一対向面5aと、第二斜面3aと対向する第二対向面5bと、を有している。実施の形態1と同様にアクチュエータ4の加圧ポート(クランプポート)4aから油圧によりピストン6を加圧すると、ピストン6はスライダ5を第一斜面2aと第二斜面3aとに向けて付勢する。そして、第一斜面2aは第一対向面5aを押圧し、第二斜面3aは第二対向面5bを押圧する。第一斜面2aと第二斜面3aとが、第一対向面5aと第二対向面5bとを押圧すれば、スライダ5によるその押圧力で、ガイド2とブラケット3はコラム33の移動方向(サドル32の移動方向と垂直方向)への移動が制限される。さらに、第一斜面2aと第一対向面5aとの間の摩擦力と、第二斜面3aと第二対向面5bとの間の摩擦力とにより、ガイド2はブラケット3に対して、サドル32の移動方向への移動も制限される。すなわち、サドル32はベッド31に対して移動が抑制される。スピンドルの回転による加工振動によりコラム33およびサドル32の移動が生じても、ガイド2とブラケット3とを押さえつけているアクチュエータ4の固有振動数とは異なるから、ガイド2がブラケット3に対して振動したとしても、その振動は減衰する。実施の形態1と同様にアクチュエータ4の油圧を減圧すると、スライダ5が第一斜面2aと第二斜面3aとから離れる方向にピストン6が移動する。これにより、第一斜面2aと第一対向面5aとの押圧が解除され、第二斜面3aと第二対向面5bとの押圧が解除される。変位抑制装置1により、ベッド31に対してのサドル32の移動が抑制されるので、変位抑制装置1を用いた場合におけるコラム33の移動量は、変位抑制装置1を用いない場合のコラム33の移動量よりも小さくなり、加工精度も向上する。
(実施の形態4)
続いて、実施の形態4の変位抑制装置1について、説明する。図4は、マシニングセンタ30に取り付けられている変位抑制装置1の実施の形態4の断面図を示している。図4も、図1Aの断面X−Xの箇所に対応する。実施の形態4は、実施の形態1と実施の形態3とを組み合わせた形態である。すなわち、実施の形態1と同様に、まず、ガイド2は、コラム33の移動方向に突き出た形状をしており、コラム33の移動方向に対して角度をもった第一斜面2aを有している。ブラケット3は、第一斜面2aに対して、角度をもった第二斜面3aを有している。第一斜面2aと第二斜面3aとがなす角は、マシニングセンタ30の下方向に狭まる角度である。第一斜面2aと第二斜面3aとは、コラム33の移動方向、すなわち一般的には水平(図2Aおよび図2Bの矢印方向)に並ぶように配置される。アクチュエータ4は、たとえば油圧シリンダである。アクチュエータ4はピストン6を具備している。アクチュエータ4のピストン6には、スライダ5が取り付けられている。スライダ5は、第一斜面2aと対向する第一対向面5aと、第二斜面3aと対向する第二対向面5bと、を有している。実施の形態1と同様にアクチュエータ4の加圧ポート(クランプポート)4aから油圧によりピストン6を加圧すると、ピストン6はスライダ5を第一斜面2aと第二斜面3aとに向けて付勢する。そして、第一斜面2aは第一対向面5aを押圧し、第二斜面3aは第二対向面5bを押圧する。第一斜面2aと第二斜面3aとが、第一対向面5aと第二対向面5bとを押圧すれば、スライダ5によって、ガイド2とブラケット3はコラム33の移動方向への移動が制限される。ガイド2がブラケット3に対してコラム33の移動方向へ振動を起こしても、アクチュエータ4の固有振動数と異なるように設定すれば、ガイド2がブラケット3に対して振動したとしても、その振動は減衰する。
また、実施の形態3と同様に、ガイド2は、コラム33の移動方向に対して角度をもった第三斜面2bを、第一斜面2aと別に、有している。ブラケット3は、第三斜面2bに対して角度を有する第四斜面3bを、第二斜面3aとは別に、有している。第三斜面2bと第四斜面3bとは、鉛直(図3の矢印方向)方向に並んでいる。実施の形態3では、アクチュエータ10はピストン9を具備している。アクチュエータ10のピストン9には、スライダ8が取り付けられている。スライダ8は、第三斜面2bと対向する第一対向面8aと、第四斜面3bと対向する第二対向面8bと、を有している。アクチュエータ10の加圧ポート(クランプポート)10aから油圧によりピストン9を加圧すると、ピストン9はスライダ8を第三斜面2bと第四斜面3bとに向けて付勢する。そして、第三斜面2bは第一対向面8aを押圧し、第四斜面3bは第二対向面8bを押圧する。第三斜面2bと第四斜面3bとが、第一対向面8aと第二対向面8bとを押圧すれば、スライダ8によって、ガイド2とブラケット3はコラム33の移動方向への移動が制限される。ガイド2とブラケット3とがコラム33の移動方向へ振動を起こしても、アクチュエータ10の固有振動数と異なるように設定し、ガイド2がブラケット3に対して振動したとしても、その振動は減衰する。
アクチュエータ4の減圧ポート(アンクランプポート)4bからアクチュエータ4の油圧を減圧すると、スライダ5が第一斜面2aと第二斜面3aとから離れる方向にピストン6が移動する。これにより、第一斜面2aと第一対向面5aとの押圧が解除され、第二斜面3aと第二対向面5bとの押圧が解除される。また、同様に、アクチュエータ10の減圧ポート(アンクランプポート)10bからアクチュエータ10の油圧を減圧すると、スライダ8が第三斜面2bと第四斜面3bとから離れる方向にピストン9が移動する。これにより、第三斜面2bと第一対向面8aとの押圧が解除され、第四斜面3bと第二対向面8bとの押圧が解除される。
実施の形態4において、アクチュエータ4のスライダ5の第一対向面5aと第二対向面5bは、実施の形態1と同様に、マシニングセンタ30の下側に向かって狭まる形態である。しかし、実施の形態2と同様に、マシニングセンタ30の上側に向かって狭まる形態としてもよい。
前記のとおり、図1Aのように、コラムトラバース方式マシニングセンタで、ベッド31を基準台とし、その上に配置されたレールに沿って、基準台としてのベッド31に対して、移動台としてのサドル32が移動する例に変位抑制装置1を適用することができる旨を説明した。しかし、コラムトラバース方式マシニングセンタにおいて、サドル32を基準台とし、コラム33を移動台として、変位抑制装置1を適用することができる。すなわち、サドル32上のレールに沿って、基準台としてのサドル32に対して、スピンドルを有する移動台としてのコラム33が移動する場合に適用できる。この場合には、ガイド2をコラム33に、ブラケット3をサドル32に取り付ける。ガイド2およびブラケット3と、アクチュエータ4との関係は、実施の形態1から4と全く同じ関係で適用することができる。ガイド2およびブラケット3は、基準台に対して相対的に移動台が移動する方向に沿って延在するように、ガイド2を移動台に、ブラケット3を基準台に、それぞれ取り付ける限り、どの位置に取り付けても良い。特に、回転するスピンドルが配置されている側のコラム33にガイド2を配置するように、変位抑制装置1を適用すると効果的である。
さらには、コラムトラバース方式マシニングセンタに限らず、図6に示すようなテーブルトラバース方式でも同様に適用できる。すなわち、基準台としてのサドル54に対し、移動台としてのコラム53に、変位抑制装置を適用する。この場合、ガイド2をコラム53に取り付けて、ブラケット3をサドルに取り付ける。ガイド2およびブラケット3と、アクチュエータ4との関係は、前記の実施の形態1から4と全く同じ関係で適用することができる。また、コラムトラバース方式の場合と同様に、ガイド2およびブラケット3は、基準台に対して相対的に移動台が移動する方向に沿って延在するように、ガイド2を移動台に、ブラケット3を基準台に、それぞれ取り付ける限り、どの位置に取り付けても良い。特に、回転するスピンドル52が配置されている側のコラム33にガイド2を配置するように、変位抑制装置1を適用すると効果的である。
また、さらに、マシニングセンタのみならず、旋盤などの工作機械全般においても、適用することができる。すなわち、一方が基準台となり、他方がその基準台に対して相対的に移動する移動台となる関係を有する工作機械である限り、本発明の変位抑制装置を適用することができる。たとえば、図5に示す旋盤の場合、基準台としてのベース21と、それに対して相対的に移動する移動台としての刃物台22とを有している。したがって、本発明の変位抑制装置を適用することができる。ガイド2を移動台である刃物台22に、ブラケットを基準台であるベース21に、取り付ける。ガイド2およびブラケット3と、アクチュエータ4との関係は、前記の実施の形態1から4と全く同じ関係で適用することができる。すなわち、図5に示す変位抑制装置1の断面Y−Yは、図2Aから図4に対応する形態で、適用することができる。ガイド2およびブラケット3は、基準台に対して相対的に移動台が移動する方向に沿って延在するように、ガイド2を移動台に、ブラケット3を基準台に、それぞれ取り付ける限り、どの位置に取り付けても良い点もマシニングセンタと同様である。特に、回転する刃物が配置されている付近の刃物台22にガイド2を配置するように、変位抑制装置1を適用すると効果的である。
1 変位抑制装置
2 ガイド
3 ブラケット
4,10 アクチュエータ
5,8 スライダ
6,9 ピストン

Claims (14)

  1. レールを備える基準台と、その基準台の上方に位置し前記基準台に対して前記レールの上を相対的に移動する移動台と、を備える工作機械の変位抑制装置であって、
    その変位抑制装置は、
    第一斜面を備え、前記レールが延在する方向に沿って延在するように前記移動台に取り付けられるガイドと、
    前記基準台に固定され、前記第一斜面に対して角度を有する第二斜面を備えるブラケットと、
    前記第一斜面に当接する第一対向面と、前記第二斜面に当接する第二対向面とを有するスライダに結合されるアクチュエータとを備え、
    前記アクチュエータは、前記スライダを押圧して、前記第一斜面を前記第一対向面に押し付け、前記第二斜面に当接する第二対向面に押し付ける変位抑制装置。
  2. 請求項1に記載の変位抑制装置であって、
    前記第一斜面と前記第二斜面は、水平方向に、対向する位置関係にある変位抑制装置。
  3. 請求項1に記載の変位抑制装置であって、
    前記第一斜面と前記第二斜面は、鉛直方向に、対向する位置関係にある変位抑制装置。
  4. 請求項1または2に記載の変位抑制装置であって、
    前記第一斜面と前記第二斜面とのなす角度は、前記移動台から前記基準台に向かう方向に狭まっている変位抑制装置。
  5. 請求項3に記載の変位抑制装置であって、
    前記第一斜面と前記第二斜面とのなす角度は、前記基準台から前記移動台に向かう方向に狭まっている変位抑制装置。
  6. 請求項1から5のいずれか一項に記載の変位抑制装置であって、前記工作機械はマシニングセンタであって、
    前記基準台は前記マシニングセンタのベッドであって、前記移動台は前記マシニングセンタのサドルである変位抑制装置。
  7. 請求項1から5のいずれか一項に記載の変位抑制装置であって、前記工作機械はマシニングセンタであって、
    前記基準台は前記マシニングセンタのサドルであって、前記移動台は前記マシニングセンタのコラムである変位抑制装置。
  8. 請求項1から5のいずれか一項に記載の変位抑制装置であって、前記工作機械は旋盤であって、
    前記基準台は前記旋盤のベース部であって、前記移動台は前記旋盤の刃物台である変位抑制装置。
  9. レールを備える基準台と、その基準台の上方に位置し前記基準台に対して前記レールの上を相対的に移動する移動台と、を備える工作機械の変位抑制装置であって、
    その変位抑制装置は、
    第一斜面を備え、前記レールが延在する方向に沿って延在するように前記移動台に取り付けられるガイドと、
    前記基準台に固定され、前記第一斜面に対して角度を有する第二斜面を備えるブラケットと、
    前記ガイドはさらに第三斜面を備え、
    前記ブラケットは前記第三斜面に対して角度を有する第四斜面を備え、
    前記第一斜面に当接する第一対向面と、前記第二斜面に当接する第二対向面とを有する第一スライダに結合される第一アクチュエータとを備え、
    前記第三斜面に当接する第三対向面と、前記第四斜面に当接する第四対向面とを有する第二スライダに結合される第二アクチュエータとを備え、
    前記第一アクチュエータは、前記第一スライダを押して、前記第一斜面を前記第一対向面に押し付け、前記第二斜面を第二対向面に押し付け、
    前記第二アクチュエータは、前記第二スライダを押して、前記第三斜面を前記第三対向面に押し付け、前記第四斜面を第四対向面に押し付ける変位抑制装置。
  10. レールを備える基準台と、その基準台の上方に位置し前記基準台に対して前記レールの上を相対的に移動する移動台と、を備える工作機械であって、
    第一斜面を備え、前記レールが延在する方向に沿って延在するように前記移動台に取り付けられるガイドと、
    前記基準台に固定され、前記第一斜面に対して角度を有する第二斜面を備えるブラケットと、
    前記第一斜面に当接する第一対向面と、前記第二斜面に当接する第二対向面とを有するスライダに結合されるアクチュエータとを備え、
    前記アクチュエータは、前記スライダを押圧して、前記第一斜面を前記第一対向面に押し付け、前記第二斜面に当接する第二対向面に押し付ける変位抑制装置を備える工作機械。
  11. レールを備える基準台と、その基準台の上方に位置し前記基準台に対して前記レールの上を相対的に移動する移動台と、を備える工作機械であって、
    その変位抑制装置は、
    第一斜面を備え、前記レールが延在する方向に沿って延在するように前記移動台に取り付けられるガイドと、
    前記基準台に固定され、前記第一斜面に対して角度を有する第二斜面を備えるブラケットと、
    前記ガイドはさらに第三斜面を備え、
    前記ブラケットは前記第三斜面に対して角度を有する第四斜面を備え、
    前記第一斜面に当接する第一対向面と、前記第二斜面に当接する第二対向面とを有する第一スライダに結合される第一アクチュエータとを備え、
    前記第三斜面に当接する第三対向面と、前記第四斜面に当接する第四対向面とを有する第二スライダに結合される第二アクチュエータとを備え、
    前記第一アクチュエータは、前記第一スライダを押して、前記第一斜面を前記第一対向面に押し付け、前記第二斜面を第二対向面に押し付け、
    前記第二アクチュエータは、前記第二スライダを押して、前記第三斜面を前記第三対向面に押し付け、前記第四斜面を第四対向面に押し付ける変位抑制装置を備える工作機械。
  12. 請求項10または11に記載の工作機械であって、前記工作機械はマシニングセンタであって、
    前記基準台は前記マシニングセンタのベッドであって、前記移動台は前記マシニングセンタのサドルである工作機械。
  13. 請求項10または11に記載の工作機械であって、前記工作機械はマシニングセンタであって、
    前記基準台は前記マシニングセンタのサドルであって、前記移動台は前記マシニングセンタのコラムである工作機械。
  14. 請求項10または11に記載の工作機械であって、前記工作機械は旋盤であって、
    前記基準台は前記旋盤のベース部であって、前記移動台は前記旋盤の刃物台である工作機械。



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