JP4904610B2 - フィルムロールとその製造方法、および樹脂コア - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂フィルムロールおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より樹脂フィルムは、ビデオテープなどの磁気記録媒体の基材、コンデンサーの誘電体、絶縁用の被覆材などとして様々な分野に広く用いられている。
【0003】
このうちで磁気記録媒体用途については、近年のコンピューター用途やビデオ用途テープなどの記憶容量の飛躍的なアップに伴い、超平滑性、無欠点性、薄膜化、および高弾性化が求められており、例えばポリエステルフィルムを用いる例として特開昭58−155940号公報などに、芳香族ポリアミドフィルムを用いる例としては特開昭62−62424号公報などにその具体例が示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の方法では下記の問題がある。すなわち、磁気テープの出力特性の向上の目的で、剛性の高い芳香族ポリアミドをベースに採用して、さらに超平滑な表面形成を行ってきたが、そのためにフィルムをロール状に巻き取る際に極めて厳しい条件を取らざるを得ない。具体的には高面圧および高張力を加えながら巻き取り超高硬度に巻き取る必要があった。そのためフィルムを使用するために巻き戻していく際に、フィルム間に蓄積されていた静電気の影響で、巻き姿不良の発生、磁性層の塗設不良によるテープ品質の低下、ハンドリングの際の静電気による不快感、および重篤な場合には火花放電の発生の懸念がある。特に磁気記録媒体の製造では有機溶剤を用いる場合が多く火災の発生などの可能性があり、その改善が急務であった。そのため、例えば特開2000−16644号公報で提案されているような、フィルムロールの巻き硬度を規定したり、巻き取り時に幅方向にオシレーションする方法が挙げられるが、例えばポリアミドフィルムのような剛性の高いフィルムの場合には、しわの発生などの巻き姿不良を引き起こす懸念があり採用できなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる問題を解決するために次の構成からなる。すなわち、フィルムが主としてポリアミド樹脂からなり、少なくとも一方の面の表面の濡れ張力が48dyn/cm以上であり少なくとも一方の面の中心線表面粗さが3nm未満であり、ヤング率が10GPa以上であるフィルムの、ロールでの表面電位が±60KVの範囲であることを特徴とするフィルムロールに関することである。さらに本発明は、E値が3〜30W/m2/分の範囲である放電処理を施したフィルムを、少なくとも1箇所以上に導電性である部分と絶縁性である箇所をそれぞれ有する樹脂コアを用い巻き取ることを特徴とするフィルムロールの製造方法に関するものであり、また少なくとも1箇所以上に導電性である部分と絶縁性である箇所をそれぞれ有することを特徴とする樹脂コアに関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0007】
本発明のフィルムには、従来公知の有機高分子体が用いられるが、ヤング率が11GPa以上である高弾性フィルムとする目的からポリアミド、特に芳香族ポリアミドが好適に用いられる。ここで「主として」とは、芳香族ポリアミド樹脂を60モル%以上含むことを指す。なお上記の樹脂はホモポリマーであっても良いし、コポリマーであっても良いし、また他の成分を40モル%未満の割合で単に混合したものでも良い。
【0008】
ここで、芳香族ポリアミドとは、次の一般式(I)および/または一般式(II)で表される繰り返し単位を60モル%以上、好ましくは70モル%以上含むものからなる。一般式(I)
【0009】
【化1】
一般式(II)
【0010】
【化2】
ここでAr1、Ar2、Ar3は、例えば、
【0011】
【化3】
などが挙げられ、X、Yは
−O−、−CH2−、−CO−、−SO2−、−S−、−C(CH3)2−
等から選ばれるが、これに限定されるものではない。更にこれらの芳香環上の水素原子の一部が、塩素、フッ素、臭素などのハロゲン基(特に塩素)、ニトロ基、アルキル基、アルコキシル基などの置換基で置換されているものも含み、また、重合体を構成するアミド結合中の水素が他の置換基によって置換されているものも含む。なお、Ar1、Ar2、Ar3は同じかまたは異なっても良い。またこれらは2種以上の共重合体であっても良いし、混合体であっても良い。さらに上記以外の芳香族または脂肪族の共重合成分を50モル%未満の割合で共重合されていても良い。ここで共重合可能な成分としてはシクロヘキシレンなどの脂環族化合物、ヘキシレンなどの脂肪族化合物を挙げることができる。また上記の芳香環がパラ位で結合されたものが、全芳香環の50モル%以上、好ましくは75モル%以上を占める重合体が、フィルムのヤング率が高く耐熱性も良好となるため好ましい。また芳香環上の水素原子の一部がハロゲン基(特に塩素)で置換された芳香環が全体の30モル%以上であると耐熱性が向上し、吸湿による寸法変化、剛性低下などの特性が改善されるために好ましい。
【0012】
また、本発明のフィルムには、物性を損なわない程度に滑剤、酸化防止剤、帯電防止剤、その他の添加物等が添加されていても良い。
【0013】
本発明のフィルムは、少なくとも一方の面の表面の濡れ張力が48dyn/cm以上である必要がある。すなわち、濡れ張力が48dyn/cm未満であるようなフィルムでは、磁気記録媒体とするために磁性層を施す際の磁性層のはじけや塗布むら、あるいは磁性層の塗設後のはがれなどを引き起こすためである。なお好ましくは表面の濡れ張力は50dyn/cm以上である。該目的を達成するために、具体的には表面への放電処理が好適に用いられる。ここで放電処理とは、コロナ放電処理やプラズマ放電処理など種類を問わず、雰囲気圧も大気中、真空中を問わず、また雰囲気ガスも空気、窒素、アルゴン、ヘリウムあるいはそれらの混合など、その種類を問わないが、一般的には装置構成の容易さと処理費用の面からコロナ放電処理が用いられることが多い。また、放電処理は片面処理、両面処理を問わない。その際にコロナ放電処理の条件はE値で3〜30W/m2/分の範囲である必要がある。すなわち、3W/m2/分未満の場合には、コロナ放電処理が不十分であり磁気記録媒体用途に必要な磁気記録層との接着性が得られない。一方、30W/m2/分より高い場合にはフィルム自体が劣化したり傷ついたりするためである。なおコロナ放電処理の条件は、好ましくはE値で3〜20W/m2/分の範囲である。
【0014】
本発明のフィルムは、高密度磁気記録媒体に好適に用いられるよう、少なくとも一方は中心線表面粗さで3nm未満の超平滑面である必要がある。すなわち、上記の範囲を超えるような粗面では、磁性層を施した場合に高密度磁気記録媒体として必要な出力特性が得られないためである。なお好ましくは、少なくとも一方は中心線表面粗さで2nm以下である。一方、他方の面は、走行性を有する程度の粗面であることが好ましく、具体的には4〜30nmの範囲であることが好ましい。
【0015】
本発明のフィルムは、ヤング率が10GPa以上である必要がある。すなわち、ヤング率が10GPa未満のような「腰」の弱いフィルムでは、磁気テープに用いる際に薄膜化が困難となり、カセット当たりの記録容量のアップが図れない。
ここでフィルムのヤング率は少なくとも一方向で10GPa以上である必要があるが、好ましくはフィルム長手方向のヤング率が10GPa以上であること、さらに好ましくはフィルムの幅方向のヤング率が10GPa以上であることである。なお、長手方向及び幅方向のヤング率の双方が10GPa以上であることがより好ましい。なお本発明のフィルムの厚みは、磁気テープとした際の記録容量を増大させる目的から、薄膜であることが望ましく、好ましくは1〜8μmの範囲、より好ましくは2〜6μmの範囲、さらに好ましくは3〜5μmの範囲である。
【0016】
本発明のフィルムロールは、磁気テープの品質維持、ハンドリング性向上、特にコロナ放電処理はフィルムを強く帯電させるため、静電気対策のために以下の対策を実施する。第一に、フィルムロールの表面電位を±60KVの範囲とする必要がある。すなわち、±60KVを越えるような強い帯電状態にあると、磁性層の塗設不良によるテープ品質の低下、ハンドリングの際の静電気による不快感、および重篤な場合には火花放電を発生させる懸念があるためである。なお好ましくは、表面電位は±50KV、さらに好ましくは±40KVである。なお上記を達成するためには、「巻き取り装置」、すなわち、巻き取り用コア、コア受け軸および巻き取り駆動装置を含めた部分の大地に対する静電容量を下げることが有効であり、具体的には、巻き取り用のコアとして少なくとも1箇所以上に導電性である部分と絶縁性である箇所をそれぞれ有する樹脂コアを用い巻き取ることが特に有効である。すなわち、一般にコアの材料として用いられる樹脂は絶縁性を有するが、導電性の部分を有することによって、大地に対する静電容量が大きくなり、結果としてフィルムロールの表面電位が抑えられるためである。なお導電性を有する部分の体積抵抗値としては109Ωcm未満、さらには107Ωcm未満であることが好ましく、具体的には、金属、カーボンおよび導電性樹脂などが挙げられる。一方、導電性のみである、例えば金属製のコアの場合などは、大地に対する静電容量を上げる目的は達成できるものの、重量が重いことや傷が付きやすいなどの問題があり、やはり樹脂コアであることが好ましい。
【0017】
なお導電性の部分は、コアの外側表面に積層、塗布、貼り付け、あるいは蒸着によって、あるいは芯材として使用、あるいは内層表面に積層、塗布、貼り付け、あるいは蒸着によって設けることができる。あるいは絶縁性樹脂に練り込んで成型する方法も挙げられる。特にコア外側表面あるいは内側表面の部分に導電性部分を設けた場合、運搬時やセット時の接触による傷つきなどが発生しても、修正が容易となるので好ましい。なお、その際の表面抵抗は107Ω/□未満であることがより好ましい。その他、静電容量を上げる効果が期待できる方法としては、巻き取りに使用する樹脂コアを接地しておくこと、タッチロールに導電性を有する素材を用いる、などが具体的に挙げられる。なお接地方法は、直接あるいは電気抵抗を介した接地であっても構わない。
【0018】
本発明のフィルムロールは、100m以上/分の速度で巻き出し中および巻き出し後の繰り出し側でのフィルムロールの表面電位が±50KVの範囲となることが好ましい。すなわち、静止状態でのフィルムロールの表面電位が、「見かけ上」低くても、使用の際に巻き返していく際に、表面電位が上記の範囲を超えるように上昇していくようでは、やはりハンドリングでの不快感や火花放電の発生が懸念さるためである。また繰り出したフィルム1枚での表面電位が±10KVの範囲となるように調整されていることが好ましい。すなわち、フィルムロールの表面電位が低くても、フィルム1枚の表面電位が高いと、やはり塗布はがれによる品質問題、ハンドリングでの不快感や火花放電が懸念されるためである。
具体的には、自己放電型の除電器、直流および/または交流の針状電極式除電器あるいはエアブロア式除電器を単独、複数、あるいは組み合わせて使用してフィルム1枚当たりの表面電位を調整することが好ましい。なおその際には、少なくとも1方の面が正または負に帯電するように、除電条件をコントロールすることが好ましい。すなわち、若干の帯電が残っている方が、表裏の帯電極性の違いによって生じるフィルム間のクーロン力により巻姿が向上したり、さらにはユーザーでの使用の際のユーザーでの搬送ロールとの接触帯電などを抑える効果が期待できるためである。特に、ユーザーで発生する帯電極性と逆の帯電極性を持たせるようにコントロールすることが好ましい。また除電器の設置個所は、フィルムの巻き取り側、あるいはフィルム1枚がロールに接触していない空中に浮いている箇所で行うことが好ましい。
【0019】
本発明のフィルムロールは、巻き硬度が95度以上であることが好ましい。すなわち、本発明のような超平滑で高剛性を有するようなフィルムの場合には、巻き硬度が95度未満のように柔らかい場合には、経時変化によって「しわ」が発生したりするため好ましくない。なお、巻き硬度が高すぎる場合には、前述の帯電現象が著しくなるため、上限としては99.9度以下が現実的であり好ましい。
【0020】
上記の本発明のフィルムの製造方法は、特に、フィルムの厚みが2〜6μmの極薄フィルムであり、長さが2000m以上、幅が500mm以上、ロールの直径が300mm以上、およびフィルムのみの積層厚みが20mm以上である、いわゆる「長尺広幅」フィルムロールの、「巻き」に有効に適用できる。すなわち、超平滑で広幅長尺のフィルムでは巻き取りの際にエアの排除効果が弱いため、従来は高張力、高面圧によって「硬巻き」にせねばならなっかったが、結果として静電気の影響を大きく受けるため、その解決方法が渇望されていたためである。特に高密度磁気記録用途のような、中心線表面粗さで1〜2nmの面を持つ「超平滑」で、厚み2〜4μmの「超極薄」フィルムに効果を発揮する。
【0021】
次に、本発明のフィルムロールの製造方法について芳香族ポリアミドフィルムを用いた場合を例に挙げて述べる。
【0022】
公知の方法、例えば酸クロライドとジアミンを用いた重合により、そのポリマー溶液を製膜原液として、乾式、乾湿式法、半乾半湿式法によりフィルムを製膜する。なおポリマー溶液には目的の表面粗さとなるように、無機および/または有機粒子を添加する。また異なる表面粗さのフィルムを公知の方法で積層した積層フィルムであっても良い。なおフィルムの剛性を向上させるため、ロール間ドローを用いて縦方向に、テンターによって幅方向に延伸する。厚み調整によって2〜6μmとなるように調整する。こうして得られたフィルムを一旦ジャンボロールとして巻き取る。
【0023】
なおフィルム表面への接着性向上のためコロナ放電処理を行うが、該ジャンボロールに巻き取る際、所定の幅にスリットする際、あるいは所定の幅にスリットした後に巻き変えして実施しても良いが、所定の幅にスリットする際、あるいは所定の幅に一旦スリットしてその後に巻き返しながら実施することが実際的であり好ましい。なおコロナ放電処理は、片面処理あるいは両面処理のいずれでも良い。
【0024】
なお製膜中、搬送中および巻き取り中に、フィルムと延伸および搬送ロールとの接触によって発生する帯電を除電装置によって除去する。
【0025】
コロナ放電処理を終えて製品とする際に、少なくとも1箇所以上に導電性である部分と絶縁性である箇所をそれぞれ有する樹脂コアに巻き取る。スリットでは接圧ロールの圧力やフィルム張力をコントロールして巻き硬度が95度以上で99.9度未満となるように巻き取る。なおその際にも帯電をさらにコントロールするために、自己放電型の除電器、直流および/または交流の針状電極式除電器あるいはエアブロア式除電器を単独、複数、あるいは組み合わせて使用してフィルム1枚当たりの表面電位を調整する。
【0026】
このようにして得られたフィルムロールは、巻き出し時に表面電位が低く抑えられるため、ハンドリング性も良好で、かつ磁気記録媒体用基材として用いた際には磁性層との密着性が強く、また超平滑であるため出力特性も良好となるので高密度磁気記録媒体用途に良好に使用できる。
【0027】
各物性値のの評価は次の方法で行った。
【0028】
(1)フィルム表面の濡れ性の測定
ナカライテスク社製の濡れ指数標準試薬(No.45〜No.60)をフィルム表面に綿棒などを用いて塗り、フィルム上で試薬がはじけるときの試薬の表面張力の値とした。
【0029】
(2)フィルムの中心線表面粗さの測定
デジタルインスツルメント社製SPM観測システム(TappingModeAFM、NanoScopeIII Ver.3.25。商品名)を用いて測定した。
【0030】
・測定面積 :5×5μm
・サンプル数:246本
・カットオフ:20μm
(3)フィルムのヤング率の測定
フィルムを試料幅10mm、長さ150mmに切断し、チャック間100mmにして引張速度300mm/分、チャート速度500mm/分にて、インストロンタイプの万能引張試験装置で引張り、その際の伸度と応力の関係をプロットして、立ち上がり部分での荷重−伸び曲線の接線として求めた。
【0031】
(4)フィルムロールの巻き硬度
高分子計器(株)製ASKERゴム硬度計を用いて、幅方向に10点測定し、その平均値として求めた。
【0032】
(5)フィルムおよびフィルムロールの表面電位の測定
フィルムロールおよびフィルム1枚での表面電位、および該フィルムロールを200m/分の速度で巻き返す際の「繰り出し側」(すなわち、フィルムの進行方向の反対にある側のロール)での表面電位は、以下の方法で測定した。
【0033】
20kVまでの表面電位は、TRek社製電位計MODEL523を用いてサンプルから30mm離した位置で、20kVを越える場合にはシシド静電気製スタチロンM2を用いてサンプルから50mm離した位置でそれぞれ測定した。
【0034】
なお繰り出し側の表面電位は、7000mまで巻き返した時点での最高値として求めた。
【0035】
(6)磁気テープ特性
得られたフィルムの磁性面側に、以下の組成からなる磁性塗膜を乾燥後の膜厚で2μmとなるように塗設した。
・γ−Fe2O3微粉末:200重量部
・ポリウレタン樹脂 : 30重量部
・ニトロセルロース : 10重量部
・塩化ビニル : 10重量部
・ポリイソシアネート: 5重量部
(溶媒:メチルエチルケトン)
このようにして得られた磁性層塗設後のフィルムを、1/2インチにスリットし、松下電器(株)製NV−3700型ビデオデッキにより、常速にて下記の磁気テープ特性を評価した。
イ.VTRヘッド出力:
シンクロスコープにより測定周波数4メガヘルツに於けるVTRヘッド出力を測定し、基準サンプルに対する相対値をデジベル(dB)で表示した。
ロ.ドロップアウト:
1.4メガヘルツの信号を記録し、該テープを再生し、大倉インダストリー(株)製ドロップアウトカウンターにて15μsec−20dBにおけるドロップアウト数を20分間測定し、1分間当たりのドロップアウト数(個/分)に換算した。
ハ.磁性層の接着性:
ニチバン製セロハンテープを貼り付け、手で強く圧着した後、180度方向に急速に剥離し、以下の判定を実施した。
【0036】
・全く剥離しないもの :○
・剥離はないが、磁性層が変形したもの:△
・一部剥離の有るもの :×
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。なお巻き取りに使用したフィルムは以下の方法で製造した。
【0038】
N−メチルピロリドン(NMP)3200部に2−クロルパラフェニレンジアミン114部、4、4−ジアミノフェニルエーテル40部を溶解させ、これに2−クロルテレフタル酸クロリド237.5部を添加し、2時間攪拌し重合した。これを水酸化リチウムで中和して、ポリマー濃度10wt%、粘度3000ポイズの芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液に、平均粒径0.08μmで球状のシリカをNMPスラリーとして、上記ポリアミド溶液に添加してポリマー当たり0.40wt%の添加量となるようにした。
【0039】
このポリマー溶液を濾過精度1μmのフィルターで濾過した後、180℃の熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己支持性を得たフィルムを金属ベルトから連続的に剥離した。次にNMPの濃度勾配を付けた水槽内へフィルムを導入して残留溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行った。この際にフィルムの長手方向に1.1倍に延伸を実施した。続いて、240℃のステンターにて水分を乾燥、幅方向に1.4倍に延伸および熱処理を行った後に徐冷して、最終的に3.6μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。該フィルムを一旦ジャンボロールとした後、直径152.4mmのポリエステル樹脂コアに、幅1010mm、長さ7400m、巻き硬度98.5度で、フィルムロールの外面が平滑面側となるようにスリットした。該フィルムロールをさらに以下の方法にて巻き返した。なお条件の詳細は表1に示す。なお樹脂コアに対するフィルムの積層厚みは37mmであった。
【0040】
実施例1
樹脂コアとして、外径152.4mmで長さ1200mmの円筒状であり、ガラス繊維を補強材としたポリエステル樹脂であって、外側表面にエポキシ導電樹脂コートを施したものを用いた。該コアを、接地してある巻き取り駆動装置に取り付け、フィルムを接圧ロールで押しつけながら巻き取り、ゴム硬度で98.5度のフィルムロールを得た。なお巻き取りの途中でE値=3.8W/m2/分となるようコロナ放電処理を実施し、その後に適宜除電を施し、平均硬度98.5度のフィルムロールを得た。
【0041】
実施例2
実施例1において、エポキシ導電性樹脂コートを施さず、ガラス繊維とカーボン繊維を組み合わせた補強材を用いたポリエステル樹脂コアを用いた以外は、実施例1と同じ方法でフィルムロールを得た。
【0042】
実施例3
実施例1において、エポキシ導電性樹脂コートを施さず、内層に厚み2mmのアルミ層を設けた以外は、実施例1と同じ方法でフィルムロールを得た。
【0043】
実施例4
実施例1において、該コアを、接地していない巻き取り駆動装置に取り付けて巻き取った以外は、実施例1と同じ方法でフィルムロールを得た。
【0044】
実施例5
実施例1において、除電方法を変更して正電荷にて除電する以外は、実施例1と同じ方法でフィルムロールを得た。
【0045】
実施例6
実施例1において、コロナ放電処理をE値=3.0W/m2/分で実施する以外は実施例1と同じ方法でフィルムロールを得た。
【0046】
実施例7
実施例1において、フィルム1枚の表面電位が0kVとなるように除電を実施した以外は実施例1と同じ方法でフィルムロールを得た。
【0047】
比較例1
実施例1において、コロナ放電処理を実施せず、また巻き硬度を92度とした以外は実施例1と同じ方法でフィルムを得た。
【0048】
比較例2
実施例1において、導電性の部分を持たないガラス繊維で補強したポリエステル樹脂コアを用いて、かつ接地していない巻き取り駆動装置に取り付けて巻き取った以外は実施例1と同じ方法でフィルムを得た。
【0049】
比較例3
N−メチルピロリドン(NMP)3200部に2−クロルパラフェニレンジアミン114部、4、4−ジアミノフェニルエーテル40部を溶解させ、これに2−クロルテレフタル酸クロリド237.5部を添加し、2時間攪拌し重合した。これを水酸化リチウムで中和して、ポリマー濃度10wt%、粘度3000ポイズの芳香族ポリアミド溶液を得た。この溶液に、平均粒径6μmで凝集状シリカをNMPスラリーとして、上記ポリアミド溶液に添加してポリマー当たり6wt%の添加量となるようにした。
【0050】
このポリマー溶液を濾過精度3μmのフィルターで濾過した後、180℃の熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己支持性を得たフィルムを金属ベルトから連続的に剥離した。次にNMPの濃度勾配を付けた水槽内へフィルムを導入して残留溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行った。この際にフィルムの長手方向に1.1倍に延伸を実施した。続いて、280℃のステンターにて水分を乾燥、幅方向に1.4倍に延伸および熱処理を行った後に徐冷して、最終的に3.6μmの芳香族ポリアミドフィルムを得た。
【0051】
該フィルムを実施例1と同じ方法にて巻き取り、コロナ放電処理を実施した。
【0052】
比較例4
平均粒径0.1μmで球状のシリカ粒子をエチレングリコールスラリー状態として分散させて、ポリエチレンテレフタレートの重合中に添加して最終的に0.1wt%の添加量としたポリエチレンテレフタレートチップを、280℃で溶融押出ししてTダイより吐出させ、冷却ドラムにてシートを得た。
【0053】
得られたポリエステルシートを、長手方向に120℃で4.8倍、幅方向に110℃で4.9倍に延伸し、厚さ4μmのフィルムを得た。
【0054】
該フィルムを実施例1と同じ方法にて巻き取り、コロナ放電処理を実施した。
【0055】
【表1】
【0056】
【発明の効果】
本発明は、磁性層とベースとの接着性に優れ、かつ磁気テープとして優れた電磁変換特性を有する高密度磁気記録媒体、およびこれに適し、ハンドリング性に優れた芳香族ポリアミドフィルムおよびフィルムロールを提供するものである。
Claims (12)
- フィルムが主として芳香族ポリアミド樹脂からなり、少なくとも一方の面の表面の濡れ張力が48dyn/cm以上であり少なくとも一方の面の中心線表面粗さが3nm未満であり、ヤング率が10GPa以上であるフィルムの、ロールでの表面電位が±60KVの範囲であることを特徴とするフィルムロール。
- フィルム1枚が正または負に、表面電位で±10KVの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のフィルムロール。
- フィルムの厚みが2〜6μmの範囲、長さが2000m以上、幅が500mm以上、フィルムロールの直径が300mm以上、フィルムのみの積層厚みが20mm以上、巻き硬度が95度以上の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルムロール。
- 100m以上/分の速度で巻き出し中に、繰り出し側フィルムロールでの表面電位が±50KVの範囲となることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルムロール。
- 高密度磁気記録媒体に用いられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルムロール。
- フィルムの少なくとも一方の面に対してE値が3〜30W/m2/分の範囲である放電処理を施したフィルムを、少なくとも1箇所以上に導電性である部分と絶縁性である箇所をそれぞれ有する樹脂コアを用いて巻き取ることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のフィルムロールの製造方法。
- フィルムを巻き取る際に、該フィルムをあらかじめ正あるいは負に帯電させて巻き取ることを特徴とする請求項6に記載のフィルムロールの製造方法。
- 巻き取りあるいは巻き出しに使用する樹脂コアの導電性の部分を直接あるいは電気抵抗を介して接地しておくことを特徴とする請求項6あるいは7に記載のフィルムロールの製造方法。
- 巻き取りに使用するタッチロールの材質を、導電性を有する素材とすることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載のフィルムロールの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のフィルムロールに用いられる、少なくとも1箇所以上に導電性である部分と絶縁性である箇所をそれぞれ有することを特徴とする樹脂コア。
- 導電性である部分の体積抵抗値が109Ωcm未満であることを特徴とする請求項10に記載の樹脂コア。
- 導電性の層が外側表面あるいは内側表面に存在し、表面抵抗が107Ω/□未満であることを特徴とする請求項10あるいは11に記載の樹脂コア。
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