JP4904388B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ラリーやダートトライアル等のオフロード走行において、トラクション性能及び横グリップ性能を高い次元で両立しうる空気入りタイヤに関する。
例えば、オフロード走行に使用される不整地走行用の空気入りタイヤ、とりわけラリー等で使用される競技用の不整地走行用タイヤにあっては、走行タイムを向上させるために、不整地路面をしっかりとグリップして駆動力を路面に伝えるためのトラクション性能と、旋回時においてタイヤの横滑りを抑制するための横グリップ性能とを両立させることが重要である。このため、従来より、トラクション性能及び横グリップ性能を両立させるために、ブロックの形状や配置などのブロックパターンに関して様々な提案がなされている(例えば下記特許文献1参照)。
特開2008−285004号公報
しかしながら、従来のブロックパターンでは、トラクション性能及び横グリップ性能の両立を一部改善し得たものの、更なる改善の余地があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、トレッド部に、内側周方向溝からタイヤ赤道側へのびる幅方向部と、該幅方向部の外端から傾斜溝に沿ってのびる傾斜部とを一体に有する屈曲ブロックを設けるとともに、幅方向部の幅中心線と傾斜部の幅中心線との屈曲点を一定範囲に限定することを基本として、ラリーやダートトライアル等のオフロード走行において、トラクション性能及び横グリップ性能を高い次元で両立しうる空気入りタイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部に複数個のブロックが区分されたブロックパターンを具えるとともに、車両への装着向きが指定された空気入りタイヤであって、前記トレッド部には、車両進行方向を前方とする上方視において、車両内側の最も接地端側でタイヤ周方向にのびる内側周方向溝と、前記内側周方向溝から車両外側へのび、かつ、タイヤ周方向に隔設される第一横溝と、前記各第一横溝に連なり車両外側の接地端へタイヤ回転方向の後着側に傾斜してのびる傾斜溝と、タイヤ周方向で隣り合う前記第一横溝間を、前記内側周方向溝から前記傾斜溝までのびる第二横溝と、前記傾斜溝間を継ぐ複数の継ぎ溝とが設けられ、前記ブロックは、タイヤ周方向に隣り合う前記傾斜溝と、前記内側周方向溝と、前記第一横溝と、前記第二横溝と、前記継ぎ溝とで区分されることにより、前記内側周方向溝からタイヤ赤道側へのびる幅方向部と、前記傾斜溝間をのびる傾斜部とを一体に有する略ヘ字状の屈曲ブロックを含み、前記屈曲ブロックは、第一横溝と第二横溝との間の中心線と、傾斜溝間の中心線との交点がなす屈曲点が、タイヤ赤道よりも車両内側に位置するとともに、前記屈曲点とタイヤ赤道とのタイヤ軸方向の幅は、トレッド接地幅の0.10〜0.25倍であり、前記ブロックは、タイヤ周方向に隣り合う傾斜溝及びタイヤ周方向に隣り合う前記継ぎ溝に区分されることにより、車両内側から車両外側へタイヤ回転方向の後着側に傾斜する傾斜ブロックを含むとともに、タイヤ周方向に隣り合う傾斜溝間で最も車両内側に配される傾斜ブロックは、タイヤ赤道上に配されることを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、前記トレッド部は、前記内側周方向溝から前記車両内側の接地端を越えてのび、かつタイヤ周方向に隔設される内の横溝を具えることにより、
前記ブロックは、前記内側周方向溝、前記車両内側の接地端、及びタイヤ周方向で隣り合う前記内の横溝に区分されることにより、タイヤ周方向の長さが、タイヤ軸方向の幅よりも大きい縦長状ブロックを含む請求項1に記載の空気入りタイヤである。
また、請求項3記載の発明は、前記ブロックは、タイヤ周方向で隣り合う屈曲ブロックの各幅方向部の間に、前記内側周方向溝、前記第一横溝、前記第二横溝、及び前記傾斜溝に区分される略台形状ブロックを含む請求項1又は2に記載の空気入りタイヤである。
また、請求項記載の発明は、前記屈曲ブロックのタイヤ軸方向の長さは、該屈曲ブロックのタイヤ周方向の長さの1.5〜2.8倍である請求項1乃至の何れかに記載の空気入りタイヤである。
また、請求項記載の発明は、前記傾斜溝のタイヤ軸方向に対する角度は、40〜60度である請求項1乃至の何れかに記載の空気入りタイヤである。
また、請求項記載の発明は、前記継ぎ溝のタイヤ軸方向に対する角度は、10〜35度である請求項1乃至の何れかに記載の空気入りタイヤである。
本発明の空気入りタイヤは、トレッド部の車両進行方向を前方とする上方視において、車両内側の最も接地端側でタイヤ周方向にのびる内側周方向溝と、内側周方向溝から車両外側へのび、かつ、タイヤ周方向に隔設される第一横溝と、各第一横溝に連なり車両外側の接地端へタイヤ回転方向の後着側に傾斜してのびる傾斜溝と、タイヤ周方向で隣り合う第一横溝間を内側周方向溝から傾斜溝までのびる第二横溝と、傾斜溝間を継ぐ複数の継ぎ溝とが設けられる。
このような傾斜溝は、車両外側のトレッド部の接地圧が大きくなる旋回外側のタイヤにおいて、車両の横滑り方向と直交する向きに近づけて接地できる。しかも、内側周方向溝は、車両内側のトレッド部の接地圧が大きくなる旋回内側のタイヤにおいて、車両外側へ引きずられる際の抵抗となる向きで接地できる。従って、高い横グリップ性能が得られる。
また、トレッド部には、タイヤ周方向に隣り合う傾斜溝と、内側周方向溝と、第一横溝と、第二横溝と、継ぎ溝とで区分されることにより、内側周方向溝からタイヤ赤道側へのびる幅方向部と、傾斜溝間をのびる傾斜部とを一体に有する屈曲ブロックが設けられる。
この屈曲ブロックは、タイヤ軸方向に剛性の高い幅方向部とタイヤ周方向に剛性の高い傾斜部とにより、両方向に対するブロック剛性を総合的に高めることができる。しかも、屈曲ブロックは、直進時において、第一横溝及び第二横溝のエッジを活用して、トラクション性能を発揮しうるとともに、旋回外側のタイヤにおいて、傾斜溝のエッジを活用して、横グリップ性能を発揮しうる。
さらに、本発明の屈曲ブロックは、第一横溝と第二横溝との間の中心線と、傾斜溝間の中心線との交点がなす屈曲点が、タイヤ赤道よりも車両内側に位置するとともに、屈曲点とタイヤ赤道とのタイヤ軸方向の幅が、トレッド接地幅の0.10〜0.25倍に限定される。
このように、屈曲ブロックを、タイヤ赤道Cから車両内側へ離間させることにより、幅方向部及び傾斜部の役割をそれぞれ効果的に発揮させることができる。具体的には、直進時、とりわけネガティブキャンバーを有するときにおいては、幅方向部の接地圧が大きくなり、第一横溝及び第二横溝のエッジを効果的に活用して、大きなトラクション性能を発揮しうる。また、旋回外側のタイヤにおいては、タイヤ軸方向外側に配される傾斜部の接地圧が大きくなり、傾斜溝のエッジを効果的に活用して、横グリップ性能を発揮しうる。このような本発明の略ヘ字状ブロックは、直進時及び旋回時ともに接地圧が大きいタイヤ赤道近傍に配されるもの比べて、トラクション性能及び横グリップ性能をそれぞれ効果的に発揮しうる。従って、本発明の空気入りタイヤは、ラリーやダートトライアル等のオフロード走行において、トラクション性能及び横グリップ性能を高い次元で両立しうる。
本実施形態の空気入りタイヤが4輪に装着された車両Mの概略の上方視図である。 その左輪に装着された空気入りタイヤのトレッド部の展開図である。 図2の拡大図である。 直進時における空気入りタイヤにおけるトレッド部のフットプリントを部分的に示す。 旋回外側の空気入りタイヤにおけるトレッド部のフットプリントを部分的に示す。 ブロックの表面に浅溝が設けられたトレッド部の展開図である。 屈曲ブロックを有さないトレッド部の展開図である。 屈曲ブロックがタイヤ赤道近傍に配されたトレッド部の展開図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1に示されるように、本実施形態の空気入りタイヤ1は、車両Mへの装着向きが指定された不整地走行用の空気入りタイヤである。ここで、「車両Mへの装着向きが指定される」とは、トレッド部2に形成されたブロックパターンの作用を効果的に発揮させるために、タイヤの回転方向と、車両Mの右輪1R用又は左輪1L用とが指定されることを言う。このような装着の向きは、通常、タイヤのサイドウォール部(図示省略)に文字又は模様等によって表示される。
この車両Mは前輪操舵方式の四輪自動車であり、符号Fはその車両進行方向(前方)を示している。また、車両Mは、ネガティブキャンバーを持っており、本実施形態の空気入りタイヤ1は、このようなネガティブキャンバーを有する車両用として好適に利用される。ここで、ネガティブキャンバーとは、車両Mの正面視において、タイヤ(特に前輪タイヤ)の下方がボディの外側に傾斜するよう略ハ字状に取り付けられる車輪セッティングを言う。
図2に示されるように、前記トレッド部2は、車両Mに装着されたときに、タイヤ赤道Cから車両内側の接地端Tiまでの領域をなす内側トレッド部2iと、タイヤ赤道Cから車両外側の接地端Toまでの領域をなす外側トレッド部2oとに区分される。本実施形態のネガディブキャンバーを有する車両Mでは、直進走行時、外側トレッド部2oに比べて、内側トレッド部2iと路面との接地圧が大きくなる。
ここで、各接地端Ti及びToは、タイヤを正規リムにリム組みしかつ正規内圧を充填するとともに正規荷重を付加してキャンバー角0度で平面に接地させたときに、最もタイヤ軸方向外側の接地端とする。
前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" とする。また「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とする。
さらに「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES"に記載の最大値、ETRTOであれば"LOAD CAPACITY"とする。なお、いずれの規格も存在しない場合、タイヤメーカの推奨値が適用される。
本実施形態のトレッド部2には、車両内側の最も接地端Ti側でタイヤ周方向にのびる内側周方向溝3と、内側周方向溝3から車両外側にのび、かつタイヤ周方向に隔設される第一横溝4と、各第一横溝4に連なり車両外側の接地端Toまでタイヤ回転方向Rの後着側に傾斜してのびる傾斜溝5と、タイヤ周方向で隣り合う第一横溝4、4間を内側周方向溝3から傾斜溝5までのびる第二横溝6と、傾斜溝5、5間を継ぐ複数の継ぎ溝7とが設けられる。
上記各溝3、4、5、6及び7により、トレッド部2には、複数個のブロックBが区分され、本実施形態では、内側トレッド部2iと外側トレッド部2oとで互いに異なる非対称のブロックパターンが形成される。
また、各溝3、4、5、6及び7の溝幅W1、W2、W3、W4及びW5については適宜設定できるが、小さすぎると、泥濘地など砂地路等において、トラクション性能を十分に発揮できないおそれがある。逆に、大きすぎても、トレッド部2の全面に占めるブロックBの接地面積の割合であるランド比が低下し、瓦礫路や硬く締まった硬土路などにおいて、トラクション性能を十分に発揮できないおそれがある。このような観点より、各溝3、4、5、6及び7の溝幅W1、W2、W3、W4及びW5は、好ましくは5mm以上、さらに好ましくは8mm以上が望ましく、また、好ましくは15mm以下、さらに好ましくは13mm以下が望ましい。
また、各溝3、4、5、6及び7の溝深さ(図示省略)についても同様に、好ましくは8mm以上が望ましく、また、好ましくは15mm以下が望ましい。
本実施形態の内側周方向溝3は、タイヤ周方向に直線状でのびる。このような内側周方向溝3は、内側トレッド部2iの接地圧が大きくなる旋回内側のタイヤ(例えばハンドルを右に切った右旋回状態における右側のタイヤ)において、車両外側へ引きずられる際の抵抗となる向きで接地できる。これにより、内側周方向溝3は、大きな摩擦力を発揮できる状態でそのエッジを活用でき、横グリップ性能を発揮しうる。
また、上記横グリップ性能を発揮させるために、内側周方向溝3の車両内側の溝縁3eは、例えば、接地端Ti、Toのタイヤ軸方向の距離であるトレッド接地幅TWの0.05〜0.10倍の距離TRを、車両内側の接地端Tiから隔てて設けられるのが好ましい。また、本実施形態では、内側周方向溝3が唯一の周方向溝である。これは、例えば、複数の周方向溝が、傾斜溝や横溝等を横切ることによって生じるブロックBの細分化や、ランド比の低下を抑制するのに役立つ。
また、本実施形態では、内側周方向溝3から車両内側の接地端Tiを越えてのび、かつ、タイヤ周方向に隔設される内の横溝8が設けられる。この内の横溝8の溝幅W6や溝深さ(図示省略)については、他の溝と同一の範囲に設定される。
この内の横溝8は、図4に示されるように、内側トレッド部2iの接地圧が大きい直進時において、車両進行方向Fと略直交する向きで接地できる。つまり、内の横溝8のエッジは、車両進行方向Fに対して大きな摩擦力を発揮できる状態で路面に接地でき、トラクション性能を発揮しうる。
図2に示されるように、内の横溝8のタイヤ軸方向に対する角度については、適宜設定できるが、大きすぎると、内の横溝8のエッジを十分に活用できないおそれがある。このような観点より、内の横溝8のタイヤ軸方向に対する角度は、好ましくは20度以下、より好ましくは10度以下、さらに好ましくは5度以下が望ましい。
本実施形態の第一横溝4は、その車両内側の一端がタイヤ周方向に隣り合う内の横溝8、8間で、内側周方向溝3に連通するとともに、他端がタイヤ赤道Cに至ることなく終端する。図4に示されるように、この第一横溝4は、直進時において、車両進行方向Fに対して略直交して路面と接地できるため、内の横溝8と同様に、トラクション性能を発揮しうる。また、第一横溝4のタイヤ軸方向に対する角度についても、内の横溝8と同一の範囲内、より好ましくはタイヤ軸方向と平行に設定されるのが望ましい。
前記傾斜溝5は、図2に示されるように、その車両内側の一端が前記第一横溝4の他端(車両外側の端)に連なり、かつ他端が車両外側の接地端Toまでタイヤ回転方向Rとは逆向きに傾斜して直線状にのびる。図5に示されるように、外側トレッド部2oの接地圧が大きくなる旋回外側のタイヤ(例えばハンドルを右に切った右旋回状態における左側のタイヤ)において、車両進行方向Fとタイヤ赤道Cとがなすスリップ角θ1が与えられると、傾斜溝5は、車両の横滑り方向Jに対して略直交して路面と接地できる。これにより、車両の横滑り方向Jに対して、大きな摩擦力を発揮できる状態で傾斜溝5のエッジを活用でき、横グリップ性能を発揮するのに役立つ。
図3に示されるように、傾斜溝5のタイヤ軸方向に対する角度α1については、適宜設定できるが、上述のように、旋回時に、傾斜溝5のエッジを効果的に活用するために、好ましくは45度以上、さらに好ましくは50度以上が望ましく、また、好ましくは60度以下、さらに好ましくは55度以下が望ましい。
前記第二横溝6は、図2に示されるように、その車両内側の一端が内側周方向溝3に、かつ他端がタイヤ赤道Cに至ることなく終端する。第二横溝6は、第一横溝4に対してタイヤ回転方向Rの後着側で傾斜溝5に第一横溝4よりもタイヤ赤道C側で交わる。これにより、第二横溝6は、第一横溝4に比べてタイヤ軸方向に大きな長さを有する。また、第二横溝6は、内側周方向溝3を介して、内の横溝8と連通する位置に配されている。また、第二横溝6のタイヤ軸方向に対する角度については、適宜設定できるが、内の横溝8及び第一横溝4と同一範囲、好ましくはタイヤ軸方向と平行に設定されるのが好ましい。これは、直進時において、トラクション性能を発揮するのに役立つ。
前記継ぎ溝7は、タイヤ周方向に隣り合う傾斜溝5、5間を、該傾斜溝5と逆向きに傾斜して継いでいる。継ぎ溝7は、一組の傾斜溝5、5間に間隔を隔てて複数本、好ましくは、3本以上、より好ましくは4本以上形成されるのが好ましい。また、本実施形態の継ぎ溝7は、傾斜溝5を介して、他の継ぎ溝7と連続することがないように、位置ズレして配されている。
継ぎ溝7の角度α2(図3に示す)を規制することにより、例えば、図4の直進時において、継ぎ溝7のエッジを車両進行方向Fに対して交わる向きに接地させてトラクション性能を高めることができる。また、継ぎ溝7の角度α2を規制することにより、傾斜溝5と継ぎ溝7とで区分される傾斜ブロックB4のねじれ剛性を効果的に高め、直進時からスリップ角θ1(図5に示す)が与えられる旋回初期において、高い抵抗を示し、大きな横力を発生させてクイックな応答性を発揮するのに役立つ。このような観点より、図3に示されるように、各継ぎ溝7のタイヤ軸方向に対する角度α2については、好ましくは10度以上、さらに好ましくは15度以上が望ましく、また、好ましくは35度以下、さらに好ましくは30度以下が望ましい。
本実施形態において、ブロックBは、図3に示されるように、傾斜溝5、5間に、略へ字状をなす屈曲ブロックB1を含んでいる。該屈曲ブロックB1は、傾斜溝5と、内側周方向溝3と、第一横溝4と、第二横溝6と、継ぎ溝7とで区分されることにより、内側周方向溝3からタイヤ赤道C側へのびる幅方向部11と、傾斜溝間5、5間をのびる傾斜部12とを一体に有する。
また、屈曲ブロックB1は、その屈曲点E1が、タイヤ赤道Cよりも車両内側に位置するとともに、この屈曲点E1とタイヤ赤道Cとのタイヤ軸方向の幅L1がトレッド接地幅TWの0.10〜0.25倍に設定される。ここで、前記屈曲点E1は、屈曲ブロックB1にそれぞれ投影される第一横溝4及び第二横溝6間の中心線K1と、傾斜溝5、5間の中心線K2との交点とする。
このような屈曲ブロックB1は、タイヤ軸方向に剛性の高い幅方向部11とタイヤ周方向に剛性の高い傾斜部12との合体により、両方向に対するブロック剛性を総合的に高めることができる。しかも、屈曲ブロックB1は、屈曲点E1を、直進時及び旋回時ともに接地圧の大きいタイヤ赤道Cから車両内側に位置させ、幅方向部11及び傾斜部12の役割を、効果的に発揮することができる。
具体的には、相対的に幅方向部11側の接地圧が大きくなる直進時において、図4に示されるように、タイヤ周方向にも剛性を発揮しうる幅方向部11の第一横溝4及び第二横溝6のエッジを効果的に活用して、トラクション性能を発揮しうる。また、相対的に傾斜部12側の接地圧が大きくなる旋回外側のタイヤにおいて、図5に示されるように、タイヤ軸方向にも剛性を発揮しうる傾斜部12の傾斜溝5のエッジを効果的に活用して、横グリップ性能を発揮しうる。
なお、非対称の形状の屈曲ブロックB1は、その屈曲点E1が、直進時及び旋回時ともに接地圧の大きいタイヤ赤道Cに位置すると、直進安定性が悪化し、高速直進時にふらつきが生じやすくなるため好ましくない。
上記作用を効果的に発揮させるために、図3に示されるように、屈曲点E1とタイヤ赤道Cとのタイヤ軸方向の幅L1は、トレッド接地幅TWの、好ましくは0.10倍以上、さらに好ましくは0.15倍以上が望ましく、また、好ましくは0.25倍以下、さらに好ましくは0.20倍以下が望ましい。
前記屈曲ブロックB1のタイヤ軸方向の最大の長さL2については、適宜設定できるが、小さすぎると、タイヤ軸方向の剛性が低下して、トラクション性能が発揮できないおそれがある。逆に、大きすぎると、屈曲ブロックB1がタイヤ赤道C近傍まで延在し、トラクション性能及び横グリップ性能の両立が難しくなる。このような観点より、屈曲ブロックB1の前記長さL2は、トレッド接地幅TWの、好ましくは0.25倍以上、さらに好ましくは0.30倍以上が望ましく、また、好ましくは0.45倍以下、さらに好ましくは0.40倍以下が望ましい。
同様の観点より、前記屈曲ブロックB1の前記長さL2は、屈曲ブロックB1のタイヤ周方向の最大の長さL3の、好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは1.8倍以上が望ましく、また、好ましくは2.8倍以下、さらに好ましくは2.6倍以下が望ましい。
また、前記幅方向部11のタイヤ軸方向の最大の長さL4についても、同様の観点より、前記屈曲ブロックB1の前記長さL2の、好ましくは0.65倍以上、さらに好ましくは0.68倍以上が望ましく、また、好ましくは0.75倍以下、さらに好ましくは0.72倍以下が望ましい。
また、幅方向部11のタイヤ周方向の最大の長さL5についても、適宜設定できるが、小さすぎると、幅方向部11のタイヤ周方向の剛性を十分に高めることができないおそれがあり、逆に大きすぎると、幅方向部11のタイヤ周方向の両側に配される第一横溝4及び第二横溝6の溝幅W2、W4(図2に示す)が小さくなるおそれがある。このような観点より、幅方向部11のタイヤ周方向の最大の長さL5は、屈曲ブロックB1の前記長さL3の、好ましくは0.45倍以上、さらに好ましくは0.50倍以上が望ましく、また、好ましくは0.60倍以下、さらに好ましくは0.55倍以下が望ましい。
また、本実施形態のブロックBには、タイヤ周方向で隣り合う屈曲ブロックB1の幅方向部11、11間に、内側周方向溝3、第一横溝4、傾斜溝5、及び第二横溝6に区分される略台形状ブロックB2が含まれる。この略台形状ブロックB2は、タイヤ回転方向Rの後着側に向かって、タイヤ軸方向の長さが漸増するため、直進時の駆動時などにおいて、変形を抑え、高いトラクション性能を発揮させる。また、略台形状ブロックB2は、図4に示されるように、直進時において、該略台形状ブロックB2の第一横溝4及び第二横溝6のエッジを活用できる。
図2に示されるように、前記略台形状ブロックB2のタイヤ軸方向の最大の長さL6は、上記作用を効果的に発揮させるために、トレッド接地幅TWの、好ましくは0.10倍以上、さらに好ましくは0.15倍以上が望ましく、また、好ましくは0.30倍以下、さらに好ましくは0.25倍以下が望ましい。なお、略台形状ブロックB2の前記長さL6は、略台形状ブロックB2のタイヤ周方向の最大の長さL7の、好ましくは1.5倍以上、さらに好ましくは2.0倍以上が望ましく、また、好ましくは3.5倍以下、さらに好ましくは3.0倍以下が望ましい。
また、本実施形態のブロックBには、図3に示されるように、内側周方向溝3、車両内側の接地端Ti、及びタイヤ周方向で隣り合う内の横溝8に区分されることにより、タイヤ周方向の長さL9が、タイヤ軸方向の長さL8よりも大きい縦長状ブロックB3が含まれる。
この縦長状ブロックB3は、図4に示される直進時において、内の横溝8のエッジを活用でき、トラクション性能を発揮しうる。また、縦長状ブロックB3は、旋回内側のタイヤにおいて、内側周方向溝3及び車両内側の接地端Tiのエッジにより、車両外側に引きずられる際の抵抗を示し、横グリップ性能を向上させる。
図3に示されるように、縦長状ブロックB3のタイヤ軸方向の長さL8については、上記作用を効果的に発揮させるために、トレッド接地幅TWの、好ましくは0.03倍以上、さらに好ましくは0.05倍以上が望ましく、また、好ましくは0.15倍以下、さらに好ましくは0.10倍以下が望ましい。また、縦長状ブロックB3の前記長さL8は、そのタイヤ周方向の長さL9の、好ましくは0.30倍以上、さらに好ましくは0.35倍以上が望ましく、また、好ましくは0.45倍以下、さらに好ましくは0.40倍以下が望ましい。
さらに、本実施形態のブロックBには、タイヤ周方向に隣り合う傾斜溝5、5及びタイヤ周方向に隣り合う継ぎ溝7、7に区分されることにより、車両内側から車両外側へタイヤ回転方向Rの後着側に傾斜する傾斜ブロックB4が含まれる。傾斜溝5、5を介して隣り合う傾斜ブロックB4、B4は、傾斜溝5の長手方向に沿って位置ズレして略千鳥状に配される。この傾斜ブロックB4は、図4に示される直進時において、継ぎ溝7のエッジを活用しうる
また、最も車両内側に配される傾斜ブロックB4は、傾斜溝5と継ぎ溝7との交差部で形成されるブロック中心側の2つのコーナーエッジが、直進時及び旋回時において接地圧の大きいタイヤ赤道C近傍(タイヤ赤道Cとの差が±10mm以内)に配されるのが好ましい。これは、路面上の砂利と前記コーナーエッジで左右で切り開き、直進時のトラクション性能等をさらに効果的に高めるのに役立つ。
また、図3に示されるように、傾斜ブロックB4のタイヤ軸方向の最大の長さL10については、上記作用を効果的に発揮させるために、トレッド接地幅TWの、好ましくは0.15倍以上、さらに好ましくは0.20倍以上が望ましく、また、好ましくは0.30倍以下、さらに好ましくは0.25倍以下が望ましい。また、傾斜ブロックB4の前記長さL10は、そのタイヤ周方向の最大の長さL11の、好ましくは1.0倍以上、さらに好ましくは1.3以上が望ましく、また、好ましくは2.0倍以下、さらに好ましくは1.5倍以下の縦横比を有するのが望ましい。
また、各ブロックBには、図6に示されるように、両端がブロックB内で終端する浅溝13が設けられてもよい。本実施形態の浅溝13は、屈曲ブロックB1の幅方向部11に設けられる第1の浅溝13Aと、略台形状ブロックB2に設けられる第2の浅溝13Bと、傾斜ブロックB4に設けられる第3の浅溝13Cとを含んでいる。
第1、第2の浅溝13A、13Bは、第一横溝4及び第二横溝6と平行にのびる。この第1、第2の浅溝13A、13Bは、屈曲ブロックB1の幅方向部11及び略台形状ブロックB2のタイヤ周方向の剛性低下を抑制し、トラクション性能を発揮しうる。
また、第3の浅溝13Cは、傾斜溝5と平行にのびる。この第3の浅溝13Cは、傾斜ブロックB4のタイヤ軸方向の剛性低下を抑制し、横グリップ性能を発揮しうる。各浅溝13A、13B、及び13Cは、それらの溝幅W8が、例えば、1.0〜5.0mm、深さ(図示省略)が1.0〜3.0mmに設定されるのが好ましい。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
トレッド部を表1の仕様とした空気入りタイヤを試作するとともに、それらの性能を比較した。また、比較のために、図7に示される屈曲ブロックを有さないトレッド部、及び図8に示される略ヘ字状ブロックがタイヤ赤道近傍に配されるトレッド部を有する空気入りタイヤについても、同様の試験を行なった。
タイヤサイズ:205/60R15
リムサイズ :7J×15
トレッド接地幅TW:190mm
内側周方向溝(溝幅W1、溝深さ)=(9.0mm、11.5mm)
第一横溝(溝幅W2、溝深さ) =(8.0mm、11.5mm)
傾斜溝(溝幅W3、溝深さ) =(10.0mm、11.5mm)
第二横溝(溝幅W4、溝深さ) =(10.0mm、11.5mm)
継ぎ溝(溝幅W5、溝深さ) =(7.3mm、11.5mm)
内の横溝(溝幅W6、溝深さ) =(10.0mm、11.5mm)
浅溝(溝幅W8、溝深さ) =(3.0mm、2.0mm)
テストの方法は次の通りである。
<実車走行テスト>
各供試タイヤを、上記リムにリム組みし、内圧210kPaを充填して、排気量2000cc、角度1.5度のネガティブキャンバーを有する四輪駆動車の全輪に装着し、一周2.5kmのオフロード(未舗装路)テストコースで、タイムトライアルを2回行った。また、そのときの下記の評価項目について、プロドライバーの官能評価により5点法で評価した。数値が大きいほど良好である。
・トラクション性能(軟質路、硬質路)
・直進安定性
・制動性(軟質路、硬質路)
・制動安定性
・初期応答性(旋回初期)
・挙動安定性(旋回初期)
・前輪の横グリップ性能(旋回中期)
・後輪の横グリップ性能(旋回中期)
・舵の追従性(旋回中期)
・トラクション性能(旋回後期)
・前後バランス(旋回後期)
・剛性感
・接地感
・コントロール性
・路面の影響
テストの結果を表1に示す。
Figure 0004904388
テストの結果、実施例の空気入りタイヤは、ラリーやダートトライアル等のオフロード走行において、トラクション性能及び横グリップ性能を高い次元で両立しうることが確認できた。
1 空気入りタイヤ
2 トレッド部
3 内側周方向溝
4 第一横溝
5 傾斜溝
6 第二横溝
7 継ぎ溝
11 幅方向部
12 傾斜部
B ブロック
B1 略字状ブロック

Claims (6)

  1. トレッド部に複数個のブロックが区分されたブロックパターンを具えるとともに、車両への装着向きが指定された空気入りタイヤであって、
    前記トレッド部には、車両進行方向を前方とする上方視において、車両内側の最も接地端側でタイヤ周方向にのびる内側周方向溝と、
    前記内側周方向溝から車両外側へのび、かつ、タイヤ周方向に隔設される第一横溝と、
    前記各第一横溝に連なり車両外側の接地端へタイヤ回転方向の後着側に傾斜してのびる傾斜溝と、
    タイヤ周方向で隣り合う前記第一横溝間を、前記内側周方向溝から前記傾斜溝までのびる第二横溝と、
    前記傾斜溝間を継ぐ複数の継ぎ溝とが設けられ、
    前記ブロックは、タイヤ周方向に隣り合う前記傾斜溝と、前記内側周方向溝と、前記第一横溝と、前記第二横溝と、前記継ぎ溝とで区分されることにより、前記内側周方向溝からタイヤ赤道側へのびる幅方向部と、前記傾斜溝間をのびる傾斜部とを一体に有する略ヘ字状の屈曲ブロックを含み、
    前記屈曲ブロックは、第一横溝と第二横溝との間の中心線と、傾斜溝間の中心線との交点がなす屈曲点が、タイヤ赤道よりも車両内側に位置するとともに、
    前記屈曲点とタイヤ赤道とのタイヤ軸方向の幅は、トレッド接地幅の0.10〜0.25倍であり、
    前記ブロックは、タイヤ周方向に隣り合う傾斜溝及びタイヤ周方向に隣り合う前記継ぎ溝に区分されることにより、車両内側から車両外側へタイヤ回転方向の後着側に傾斜する傾斜ブロックを含むとともに、
    タイヤ周方向に隣り合う傾斜溝間で最も車両内側に配される傾斜ブロックは、タイヤ赤道上に配されることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記トレッド部は、前記内側周方向溝から前記車両内側の接地端を越えてのび、かつタイヤ周方向に隔設される内の横溝を具えることにより、
    前記ブロックは、前記内側周方向溝、前記車両内側の接地端、及びタイヤ周方向で隣り合う前記内の横溝に区分されることにより、タイヤ周方向の長さが、タイヤ軸方向の幅よりも大きい縦長状ブロックを含む請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記ブロックは、タイヤ周方向で隣り合う屈曲ブロックの各幅方向部の間に、前記内側周方向溝、前記第一横溝、前記第二横溝、及び前記傾斜溝に区分される略台形状ブロックを含む請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記屈曲ブロックのタイヤ軸方向の長さは、該屈曲ブロックのタイヤ周方向の長さの1.5〜2.8倍である請求項1乃至3の何れかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記傾斜溝のタイヤ軸方向に対する角度は、40〜60度である請求項1乃至4の何れかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記継ぎ溝のタイヤ軸方向に対する角度は、10〜35度である請求項1乃至5の何れかに記載の空気入りタイヤ。
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