JP5898989B2 - タイヤの装着方法およびタイヤの組合せ - Google Patents
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上記構成によれば、ウェット走行時において、タイヤの排水性を確保するとともに、前輪タイヤおよび後輪タイヤの路面に対する接地圧の高いセンター領域でのタイヤ接地面の陸部の剛性が向上するので、操縦安定性および耐摩耗性が改善する。また、路面に対して接地圧の高いセンター領域の剛性が上がり、ウェット走行時において、操縦安定性および耐摩耗性を効果的に改善させつつ、タイヤの排水性を効果的に確保することができる。
上記構成によれば、ウェット走行時の排水性を確保するとともに、前輪タイヤおよび後輪タイヤの路面に対する接地圧の高いセンター領域でのタイヤ接地面の陸部の剛性が向上するので、操縦安定性および耐摩耗性が改善する。また路面が湿潤状態から乾燥状態に移行しつつある状態においても操縦安定性および耐摩耗性を改善することができる。
具体的には、前輪タイヤ10は、図1中のa−a線に沿う断面図の図3(a)に示すように、前輪中央陸部列1中の前輪中央陸部7を区画する前輪分岐溝41の溝壁5が、溝断面視において他のタイヤ接地面の法線Lに対してθ1の角度で傾斜している。さらに、後輪タイヤ20は、図2中のb−b線に沿う断面図の図3(b)に示すように、後輪中央陸部列11中の後輪中央陸部17を区画する後輪周溝13の溝壁15が、溝断面視においてタイヤ接地面の法線Lに対してθ2の角度で傾斜している。
また、溝壁5および15の傾斜角度は、溝断面視において、傾斜角度を段階的に変化させることもでき、段階的に変化する傾斜角度の一部をタイヤ接地面の法線Lに対して略平行にすることもできる。さらに、溝壁5および15の傾斜角度は、溝断面視において、直線状だけでなく曲線状に傾斜することもできる。なお、溝の溝壁の傾斜角度が変化する場合も、タイヤ接地面の法線Lに対する角度は、タイヤ接地面および溝壁の交点における溝壁に対する法線Lの角度を指す。
さらに、溝の溝壁を、溝断面視においてタイヤ接地面の法線Lに対してθ1、θ2の角度で傾斜させることは、ショルダー領域SRのタイヤ接地面の陸部を区画する溝の溝壁についても適用することができる。また、溝の溝壁を、溝断面視においてタイヤ接地面の法線Lに対してθ1、θ2の角度で傾斜させた場合であっても、他の溝の溝壁を、溝断面視においてタイヤ接地面の法線Lに対して、θ1、θ2の角度以外の角度で傾斜させることもできる。
なお、剛性確保の観点から、連結溝141の溝深さは、後輪横溝14の溝深さの40%〜80%が好ましく、特に、排水性確保の観点から、後輪横溝14の溝深さの50%〜80%がさらに好ましい。
また、連結溝141の断面溝形状は、略正弦波曲線状に限られること無く、特に制限されないが、例えばV字状、U字状等にすることができる。
表1に示す諸元で、図1〜3に示すような構成を有するタイヤを試作し、下記の方法で性能を評価した。結果を表1に示す。
(比較例1〜4)
前輪タイヤおよび後輪タイヤのそれぞれのセンター領域およびショルダー領域のタイヤ接地面のネガティブ率を表1に示すように変化させ、前輪タイヤの前輪中央陸部列および後輪タイヤの後輪中央陸部列の溝の溝壁を、タイヤ接地面の法線に対し20度〜60度の角度で傾斜させていない点以外は、実施例1と同様にしてタイヤを試作し、実施例1と同様の方法で性能を評価した。結果を表1に示す。
実施例1および比較例1〜4のそれぞれのタイヤを、フロントは4.5−5インチのリム、リアは7.0−5インチのリムに組み付け、タイヤ内圧を120kPaにして車両に装着した。車両(シャーシ)はパイプフレーム製であり、エンジンは2ストロークエンジンである。ドライバーが、水深5mmのプールに速度を変えて進入させ、ハイドロプレーニング現象の発生速度を評価した。比較例1のタイヤについての排水性の評価を100として、指数評価した結果を表1に示す。数値が大きいほどそのタイヤの排水性が良いことを示す。
〈実車性能テスト〉
実施例1および比較例1〜4のそれぞれのタイヤを、フロントは4.5−5インチのリム、リアは7.0−5インチのリムに組み付け、タイヤ内圧を120kPaにして車両に装着した。ドライバーが、コース上が散水されウェット条件にされたテストコース(国内カートコース)を、数周走行し、各ラップを測定した。車両(シャーシ)はパイプフレーム製であり、エンジンは2ストロークエンジンである。コース上を走行し、各ラップタイムの平均タイムおよびベストタイムの結果を表1に示す。平均タイムおよびベストタイムが短いほど、操縦安定性が良いことを示す。
〈耐摩耗性〉
実施例1および比較例1〜4のそれぞれのタイヤを、フロントは4.5−5インチのリム、リアは7.0−5インチのリムに組み付け、タイヤ内圧を120kPaにして車両に装着した。車両(シャーシ)はパイプフレーム製であり、エンジンは2ストロークエンジンである。ドライバーが、コース上が散水されウェット条件にされたテストコース(国内カートコース)を、数周走行させ、偏摩耗が発生するまでの走行距離を評価した。比較例1のタイヤについての評価を100として、指数評価した結果を表1に示す。数値が大きいほどそのタイヤの偏摩耗が抑えられ、耐摩耗性が良いことを示す。
〈ドライバーによるフィーリング評価〉
実車性能テストを行ったドライバーが、実施例1および比較例1のそれぞれのタイヤを装着した車両を走行した結果をフィーリングにより評価した。結果を以下に記載する。
実施例1の前輪タイヤについては、グリップ感が高く、ステアリングをきった時の応答性が良いため、ブレーキングポイントを比較例1よりも奥に設定することができた。実施例1の後輪タイヤについては、グリップ感が比較例1と比較して高くなったことで、コーナー出口でのスライドは比較例1と比較し小さくなった。
2 前輪側方陸部列
3 前輪周溝
4 前輪横溝
5 溝壁
6 前輪副横溝
7 前輪中央陸部
8 前輪側方陸部
10 前輪タイヤ
11 後輪中央陸部列
12 後輪側方陸部列
13 後輪周溝
14 後輪横溝
15 溝壁
16 後輪副横溝
17 後輪中央陸部
18 後輪側方陸部
20 後輪タイヤ
31 前輪周溝の頂点部
41 分岐溝
141 連結溝
CL タイヤ赤道線
CR センター領域
L タイヤ接地面に対する法線
SR ショルダー領域
T タイヤ接地幅
Claims (6)
- 前輪タイヤおよび後輪タイヤを車両のそれぞれ前輪および後輪に装着するタイヤの装着方法であって、
前記前輪タイヤおよび前記後輪タイヤのそれぞれのタイヤ接地面において、タイヤ赤道線を中心に挟んでタイヤ接地幅の25%の幅のタイヤ幅方向領域をセンター領域とし、該センター領域の両側のタイヤ幅方向領域をショルダー領域とし、前記センター領域のネガティブ率をセンターネガティブ率と称し、前記ショルダー領域のネガティブ率をショルダーネガティブ率と称するとき、
前記前輪タイヤおよび前記後輪タイヤのそれぞれの前記センターネガティブ率が35%以上50%未満であり、
前記前輪タイヤおよび前記後輪タイヤのそれぞれの前記センターネガティブ率の差が0%超15%未満であり、
前記前輪タイヤおよび前記後輪タイヤはそれぞれ、前記センターネガティブ率が、前記ショルダーネガティブ率より小さいことを特徴とする、タイヤの装着方法。 - 前記前輪タイヤの前記センターネガティブ率が、前記後輪タイヤの前記センターネガティブ率より小さい、請求項1に記載のタイヤの装着方法。
- 前記前輪タイヤの前記ショルダーネガティブ率が、前記後輪タイヤの前記ショルダーネガティブ率より3%以上15%未満大きい、請求項1または2に記載のタイヤの装着方法。
- 前記前輪タイヤおよび前記後輪タイヤ全体のタイヤ接地面のネガティブ率が35%以上50%未満である、請求項1ないし3のいずれかに記載のタイヤの装着方法。
- 前記前輪タイヤおよび前記後輪タイヤの前記センターネガティブ率を規定し、前記タイヤ接地面における前記センター領域内の陸部を区画する溝の溝壁の少なくとも一部が、溝断面視において前記タイヤ接地面の法線に対して20度〜60度の角度で傾斜している、請求項1ないし4のいずれかに記載のタイヤの装着方法。
- 車両のそれぞれ前輪および後輪に装着する前輪タイヤおよび後輪タイヤからなるタイヤの組合せであって、
前記前輪タイヤおよび前記後輪タイヤのそれぞれのタイヤ接地面において、タイヤ赤道線を中心に挟んでタイヤ接地幅の25%の幅のタイヤ幅方向領域をセンター領域とし、該センター領域の両側のタイヤ幅方向領域をショルダー領域とし、前記センター領域のネガティブ率をセンターネガティブ率と称し、前記ショルダー領域のネガティブ率をショルダーネガティブ率と称するとき、
前記前輪タイヤおよび前記後輪タイヤのそれぞれの前記センターネガティブ率が35%以上50%未満であり、
前記前輪タイヤおよび前記後輪タイヤのそれぞれの前記センターネガティブ率の差が0%超15%未満であり、
前記前輪タイヤおよび前記後輪タイヤはそれぞれ、前記センターネガティブ率が、前記ショルダーネガティブ率より小さく、
前記前輪タイヤおよび前記後輪タイヤの前記センターネガティブ率を規定し、前記タイヤ接地面における前記センター領域内の陸部を区画する溝の溝壁の少なくとも一部が、溝断面視において前記タイヤ接地面の法線に対して20度〜60度の角度で傾斜していることを特徴とするタイヤの組合せ。
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