JP4903452B2 - ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば自動車部品、建築材料などとして利用され、発泡後に変形を生じることがなく、高発泡倍率の発泡体を得ることができるポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法に関するものである。
従来、ポリエチレン樹脂発泡体などのポリオレフィン系樹脂発泡体の製造に際しては、発泡剤として熱分解型の発泡剤が用いられ、その発泡剤が熱分解する温度に加熱されることによって分解ガスを生じ、その分解ガスによってポリオレフィン系樹脂を発泡させることができる。例えば、ポリエチレン樹脂などのポリオレフィン系樹脂にアゾジカルボンアミド及び重炭酸ナトリウムを主成分とする混合発泡剤並びに金属フタロシアニン化合物を添加して発泡させてポリオレフィン発泡体を製造する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この方法によれば、金属フタロシアニン化合物がアゾジカルボンアミドの分解を促進し、分解残渣の生成を抑えてシアン化物イオンを減少させることができるものと推測される。
特開平10−251430号公報(第2頁及び第3頁)
ところが、従来の特許文献1に記載されたポリオレフィン樹脂発泡体の製造方法においては、シアン化物イオンなどの有害成分を減少させることができるものの、発泡剤としてアゾジカルボンアミドを用いるためその分解生成物として臭気成分であるアンモニアやフォギング(ガラスの曇り)の原因となる尿素の発生を全くなくすことはできない。そこで、発泡剤としてアゾジカルボンアミドを用いることなく、重炭酸ナトリウムのみを用いることが考えられる。しかしながら、その場合には5倍以上の発泡倍率を有する発泡体を製造しようとすると、得られる発泡体は発泡後数時間で収縮によって大きな変形が起こり、製品として使用できないものとなる。そのため、発泡倍率が5倍未満という極めて低い発泡体を得ることしかできず、それ以上の高い発泡倍率を有する発泡体を得るには他の発泡剤を併用しなければならないという問題があった。
そこで、本発明の目的とするところは、発泡後に変形を生じることがなく、5倍以上の発泡倍率を有する発泡体を容易に製造することができるポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法は、ポリオレフィン系樹脂、加熱時に分解して炭酸ガスと水蒸気とを発生する炭酸水素ナトリウム及び吸水性樹脂を含有し、該吸水性樹脂の吸水倍率と含有量との積に基づいて定められる吸水能力がポリオレフィン系樹脂100質量部当たり20〜1300質量部となるように吸水性樹脂の含有量が設定された原料を混合後加熱し、炭酸水素ナトリウムの分解によって発生する炭酸ガスによりポリオレフィン系樹脂を発泡させ、前記加熱後冷却し、次いで50〜120℃で3〜24時間再加熱することを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法は、請求項1に係る発明において、前記原料には架橋剤を含有することを特徴とするものである
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
請求項1に記載の発明のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法は、ポリオレフィン系樹脂、加熱時に分解して炭酸ガスと水蒸気とを発生する炭酸水素ナトリウム及び吸水性樹脂を含有する原料を混合後加熱することによって行われる。その過程で、炭酸水素ナトリウムの分解によって発生した炭酸ガスによりポリオレフィン系樹脂が発泡すると同時に、同じく炭酸水素ナトリウムの分解によって発生した水蒸気が吸水性樹脂に吸収される。
このとき、前記吸水性樹脂の含有量は、その吸水能力がポリオレフィン系樹脂100質量部当たり20〜1300質量部となるように定められることから、原料の発泡に支障を来たすことなく、水蒸気を十分に吸収することができる。このため、水蒸気が冷却されて水になることで体積減少し発泡体の気泡(セル)内の圧力が低下して収縮を起こし発泡体が変形することを回避することができる。従って、発泡後に変形を生じることがなく、5倍以上の発泡倍率を有する発泡体を容易に製造することができる。加えて、前記加熱後冷却し、次いで50〜120℃で3〜24時間再加熱することから、発泡体のセル内における水蒸気を確実に除去することができ、上記の効果を向上させることができる。
請求項2に記載の発明のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法においては、原料には架橋剤を含有することから、請求項1に係る発明の効果に加えて、発泡体の機械的物性を向上させることができる。
以下、本発明の最良と思われる実施形態について詳細に説明する。
本実施形態におけるポリオレフィン系樹脂発泡体(以下、単に発泡体ともいう)は、次のようにして製造される。すなわち、ポリオレフィン系樹脂、発泡剤として加熱時に分解して炭酸ガス(二酸化炭素)と水蒸気とを発生する炭酸水素ナトリウム及び吸水剤として吸水性樹脂を含有する原料を混合後加熱し、炭酸水素ナトリウムの分解によって発生する炭酸ガスによりポリオレフィン系樹脂を発泡させることによって行われる。
まず、発泡体の原料について順に説明する。
(ポリオレフィン系樹脂)
上記のポリオレフィン系樹脂発泡体は、柔軟性が良く、低硬度なものであることが望ましく、従って発泡倍率が5〜50倍であることが好ましい。ここで、発泡倍率が5〜50倍であるということは、JIS K 6767−1:1995附属書Bに準拠して測定される見掛け密度が20〜200kg/m(発泡倍率の逆数)であることを意味する。この発泡倍率が5倍未満の場合には、発泡体は硬くなって柔軟性に欠けるものとなり、緩衝材などとして使用するときに好ましくない。一方、50倍を越える場合には、発泡体が柔軟化され過ぎて形状が保持ができなくなるため好ましくない。
ポリオレフィン系樹脂発泡体を形成するポリオレフィン系樹脂としては、ポリオレフィン樹脂のほかオレフィン及びそれと共重合可能な単量体との共重合体であるポリオレフィン共重合樹脂が挙げられる。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が挙げられる。ポリオレフィン共重合樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂、エチレン−ブテン共重合樹脂、エチレン−アクリル酸エステル(メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル等、エステルの含有量は45モル%以下)共重合樹脂、又はそれらの塩素化物(塩素含有量45モル%以下)、或いはポリプロピレン(アイソタクチックポリプロピレン又はアタクチックポリプロピレン)との混合物等が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、1種又は2種以上が適宜選択して用いられる。
(発泡剤)
発泡剤としては炭酸水素ナトリウム(重曹、NaHCO)が用いられ、その分解開始温度はポリオレフィン系樹脂発泡体の原料の混合(混練)温度(通常90〜130℃)よりも高く、発泡時における加熱温度(通常130〜160℃)よりも低い。すなわち、炭酸水素ナトリウムは、原料の混合時には分解せず、発泡時の加熱によって分解が始まり、下記に示す反応式に基づいて炭酸ナトリウムに変化すると共に、炭酸ガスと水蒸気とを発生する。
2NaHCO → NaCO+CO+H
発泡剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部当たり5〜50質量部であることが好ましい。発泡剤の含有量が5質量部未満の場合には、十分な炭酸ガス発生量が得られず、発泡体が硬くなって柔軟性に欠けるようになり、好ましくない。一方、50質量部を越える場合には、発泡剤による炭酸ガスの発生量が過剰となって発泡体が低密度となり、発泡体の形状保持性等が低下して好ましくない。
(吸水剤)
次に、吸水剤としての吸水性樹脂は、炭酸水素ナトリウムの分解によって発生し、発泡体のセル内に存在する水蒸気を吸収するためのものである。吸水性樹脂は架橋構造(三次元網目構造)を有する親水性樹脂であり、粒状又は粉状の形態で使用される。吸水性樹脂としては、その吸水倍率が高いものほど前記原料中への吸水性樹脂の含有量が少なくて済むため好ましい。吸水性樹脂の吸水倍率は10〜1000倍(g/g)程度まで存在するが、通常10〜500倍である。吸水性樹脂として具体的には、ノニオン型のポリアルキレンオキサイド系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アニオン型のポリアクリル酸塩系樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸系共重合樹脂、アニオン型のポリアクリル酸塩系樹脂、カチオン型のポリ(メタ)アクリロイルオキシエチル四級アンモニウム塩系樹脂などが挙げられる。これらのうち、ポリアルキレンオキサイド系樹脂はポリオレフィン系樹脂に対する相溶性(親和性)が良好である。吸水性樹脂の選定は、その吸水倍率、ポリオレフィン系樹脂に対する相溶性(分散性)、粒子の形態などを考慮して行われる。
この吸水性樹脂を前記原料中に配合する場合には、吸水性樹脂の吸水能力すなわち吸水倍率と含有量との積に基づいて吸水性樹脂の含有量が決定される。すなわち、吸水性樹脂の吸水能力が小さい場合にはその含有量を増加させる必要があり、吸水能力が大きい場合にはその含有量を減少させることができる。その吸水能力は、20〜1300質量部であることが必要であり、100〜1300質量部であることが好ましい。吸水能力が20質量部未満の場合には、発泡体中の水蒸気の吸収が不足し、残存した水蒸気が冷却して水になるため体積減少を招き、発泡体が変形する。その一方、吸水能力が1300質量部を越える場合には、吸水性樹脂の含有量が過剰で、水蒸気を吸収しない吸水性樹脂が原料の発泡を阻害する原因となり、発泡が困難になる。吸水性樹脂の含有量は、例えばその吸水倍率が25倍である場合には、ポリオレフィン系樹脂100質量部当たり0.8〜52質量部となる。
(架橋剤)
続いて、ポリオレフィン系樹脂発泡体に架橋構造を形成して所定の硬さや強度を保持するため、ポリオレフィン系樹脂発泡体の原料には架橋剤を配合することが好ましい。係る架橋剤としては、ポリオレフィン系樹脂の流動開始温度以上の分解温度を有するもので、加熱により分解され、遊離ラジカルを発生してポリオレフィン系樹脂に架橋結合を生ぜしめる有機過酸化物が用いられる。有機過酸化物として具体的には、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)−n−ブチルバレエート、α,α´−ジ(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス−t−ブチルパーオキシイソプロピルベンゼン等が挙げられる。架橋剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部当たり通常0.1〜10質量部、好ましくは1〜3質量部である。架橋剤の含有量が0.1質量部未満の場合には発泡体に十分な架橋構造を形成することができず、10質量部を越える場合には架橋剤が過剰になって発泡体の架橋構造が密になり過ぎ、発泡体が柔軟性に欠けるものとなる。
ポリオレフィン系樹脂発泡体の原料には、上記の各成分に加えて、無機充填剤、整泡剤、難燃剤、安定剤、着色剤、可塑剤等を常法に従って配合することができる。それらのうち、特に無機充填剤について説明する。
(無機充填剤)
無機充填剤は、発泡体を所望の硬さにするとともに、発泡体中のセルの大きさ(セル径)を無機充填剤の粒子径に基づいて微細なものにするために配合される。この無機充填剤を配合することにより、ポリオレフィン系樹脂と無機充填剤との間に界面が形成され、そこに界面張力が生じ、その部分がセル核となる。従って、無機充填剤の平均粒子径は100〜200μmであることが好ましい。無機充填剤の平均粒子径が100μm未満では、発泡体中のセルが細かくなり過ぎ、発泡体が硬くなる傾向を示す一方、200μmを越えると発泡体中のセルが粗くなって、発泡体表面の凹凸が大きくなる傾向を示す。無機充填剤としては特に限定されないが、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が用いられる。無機充填剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部当たり5〜100質量部であることが好ましい。無機充填剤の含有量が5質量部未満のときには、発泡体の硬さを十分に硬くすることができず、また発泡体中のセルを十分に微細なものにすることができなくなる一方、100質量部を越えると発泡体が硬くなり過ぎるとともに、セル径も大きくなり過ぎる傾向を示して好ましくない。
次に、ポリオレフィン系樹脂発泡体は、上述したポリオレフィン系樹脂発泡体の原料を混合した後、例えば発泡型内に注入し、加熱して発泡させることによって製造される。その際、加熱後速やかに炭酸水素ナトリウムが分解して炭酸ガスを発生することで発泡が開始され、その粘性が次第に高くなると共に発泡が継続され、独立気泡構造を有する発泡体が形成される。
ポリオレフィン系樹脂発泡体の原料を発泡させるに際し、1段発泡法及び2段発泡法のいずれも採用される。1段発泡法は、ポリオレフィン系樹脂発泡体の原料を発泡型に充填し、加熱及び加圧して発泡剤及び必要により架橋剤を分解し、その後除圧することにより、一度に所望の見掛け密度に膨張させる方法である。2段発泡法は、1段発泡法で得られる中間発泡体を常圧で加熱し、2段発泡させて、所望の見掛け密度を有する最終発泡体を得る方法である。1段発泡法では、装置が簡易で操作手順も容易であるが、得られる発泡体の硬さが比較的高いため、物理的変形によって破断しやすく、発泡時に割れやすい傾向を示す。一方、2段発泡法では、装置が複雑で操作手順も難しくなりやすいが、2段階に分けて順次発泡させるため、発泡時に割れ、空洞の形成等が生じにくい傾向を示す。どちらの発泡法を採用するかは、発泡倍率、発泡体の品質、用途等によって適宜決定される。
前記加熱過程で発生する水蒸気は吸水性樹脂に吸収されるが、その吸収が十分に行われないと冷却後に水蒸気が凝縮し水になって体積減少した分だけ発泡体が収縮する。そのため、発泡体の冷却後に再加熱し、水分を確実に除去することが望ましい。再加熱の条件は、50〜120℃、3〜24時間であることが好ましく、70〜120℃、5〜24時間であることがより好ましい。再加熱温度が50℃未満又は再加熱時間が3時間未満の場合には、再加熱による水蒸気の除去が十分に行われず、再加熱の効果を得ることができなくなる。一方、再加熱温度が120℃を越える場合又は再加熱時間が24時間を越える場合には、過度の加熱により発泡体が軟化して形状に変化が生じ、寸法が変わってしまうため好ましくない。
さて、本実施形態の作用について説明すると、ポリオレフィン系樹脂発泡体は、ポリオレフィン系樹脂、発泡剤としての炭酸水素ナトリウム及び吸水剤として吸水性樹脂を含有する原料を混合後加熱し、ポリオレフィン系樹脂を発泡させることによって行われる。そのとき、炭酸水素ナトリウムが熱分解して炭酸ガスを発生し、発生した炭酸ガスによってポリオレフィン系樹脂が発泡し、発泡体内に多数の微細なセルが形成される。それと同時に、炭酸水素ナトリウムの熱分解によって水蒸気が発生し、その水蒸気がセル内に存在する。発生した水蒸気は、発泡体中に分散されている吸水性樹脂に吸収される。
このとき、吸水性樹脂の含有量が少ないと水蒸気が十分に吸収されず、多いと水蒸気の吸収に関与しない吸水性樹脂が発泡に支障を与える。しかし、吸水性樹脂の含有量は、その吸水能力がポリオレフィン系樹脂100質量部当たり20〜1300質量部となるように設定されることから、発泡が円滑に進行すると共に、発泡の進行に伴って発生する水蒸気を十分に吸収することができる。このため、発泡体のセル内の圧力を維持することができ、発泡体の変形が回避される。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下にまとめて記載する。
・ 本実施形態におけるポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法では、炭酸水素ナトリウムの分解によって発生した炭酸ガスによりポリオレフィン系樹脂が発泡すると同時に、炭酸水素ナトリウムの分解によって発生した水蒸気が吸水性樹脂に吸収される。さらに、吸水性樹脂の含有量は、吸水能力がポリオレフィン系樹脂100質量部当たり20〜1300質量部となるように定められることから、原料の発泡に支障を来たすことなく、水蒸気を吸収することができる。従って、水蒸気が冷却されて水になることで体積減少し、セル内における圧力の低下で発泡体が収縮して変形することを防止することができる。よって、発泡後に発泡体の変形を生じることがなく、5倍以上の発泡倍率を有する発泡体を容易に製造することができる。
・ 発泡体の原料に架橋剤を含有することにより、発泡体の硬さ、強度などの機械的物性を向上させることができる。
・ 前記発泡体の原料を加熱後冷却し、次いで50〜120℃で3〜24時間再加熱することにより、発泡体のセル内に残存する水蒸気を一層確実に除去することができる。
・ 発泡剤として無機の発泡剤である炭酸水素ナトリウムのみを用いることにより、従来用いられていたアゾジカルボンアミドなどの有機の発泡剤に比べて発泡体中における揮発成分の含有量が少なくなり、発泡体の臭気を抑制することができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜4及び比較例1〜3)
まず、各実施例及び比較例で用いた低密度ポリエチレン樹脂発泡体の原料を以下に示す。
低密度ポリエチレン樹脂(LDPE):MFR(メルトフローレート)3g/10min、密度0.923g/cm、旭化成(株)製、サンテックF2225.4。
炭酸水素ナトリウム:重曹〔NaHCO〕、永和化成工業(株)製、セルボンFE−507。
架橋剤1:ジクミルパーオキサイド、化薬アクゾ(株)製、カヤクミルD−40C。
吸水性樹脂1:ノニオン型のポリアルキレンオキサイド系樹脂、吸水倍率25倍、住友精化(株)製、アクアコークTWB。
そして、表1に示す含有量で各実施例及び各比較例に用いる低密度ポリエチレン樹脂発泡体の原料を調製した。表1における各成分の含有量(配合量)は、質量部を表す。また、吸水性樹脂の( )内は吸水能力(質量部)を表す。ここで、比較例1では吸水剤としての吸水性樹脂を含有しない例を示し、比較例2では吸水性樹脂の含有量が過少である例及び比較例3では吸水性樹脂の含有量が過多である例を示す。
これらの低密度ポリエチレン樹脂発泡体の原料を容積1Lのニーダー中で混練した後、100℃に加熱したミキシングロールにて5分間混練した。次いで、混練した練り生地約1kgを縦160mm、横160mm及び深さが33mmの金型内に投入し、155℃で50分間加熱、加圧して発泡させることにより低密度ポリエチレン樹脂発泡体の原反を得た(1段発泡法)。金型内の圧力は、発泡時における発泡圧に抗し、発泡倍率が10倍の発泡体を成形できるように設定した。そして、得られた低密度ポリエチレン樹脂発泡体の原反及びその原反を厚さ10mmにスライスしたものを24時間放置した後、その変形状態を目視にて観察した。それらの結果を表1に示した。
Figure 0004903452
表1に示したように、実施例1〜4においては、原反の変形は見られなかった。また、実施例2〜4においては、スライスしたものについて変形は小さい結果であったが、実施例1では吸水性樹脂の含有量が実施例2〜4に比べて少量であったため、水分の吸収が若干少なく、変形が見られた。
一方、吸水性樹脂を含まない比較例1及び吸水性樹脂1の含有量が過少(吸水能力が過小)である比較例2においては、原反に陥没が発生した。また、吸水性樹脂1の含有量が過多(吸水能力が過大)である比較例3では、過剰の吸水性樹脂1が発泡を阻害し、発泡ができなかった。
次に、実施例1で得られた低密度ポリエチレン樹脂発泡体の原反について、表2に示すような加熱温度と加熱時間で再加熱を行った後、室温で24時間冷却した。そして、再加熱された原反を厚さ10mmにスライスし、その変形及び寸法収縮率(%)を測定し、それらの結果を表2に示した。寸法収縮率(%)は、元の寸法に対する収縮量の百分率を表す。
Figure 0004903452
表2に示したように、実施例1−2〜1−7及び実施例1−10では、再加熱後にスライスしたものについて変形がないか又は変形が少ない結果が得られ、さらに実施例1−5〜1−7では寸法収縮率も15%以下に抑えることができた。一方、再加熱温度が40℃の実施例1−1では反りに基づく変形が見られ、再加熱温度が130℃の実施例1−8では反りによる変形は見られなかったものの、寸法収縮率が30%に達した。また、再加熱時間が2時間の実施例1−9では、再加熱時間が短いため、反りによる変形が認められた。従って、再加熱温度は50〜120℃及び再加熱時間は3〜24時間が好ましいことが明らかになった。
(実施例5〜13)
実施例5では、実施例2において、低密度ポリエチレン樹脂に代えて下記に示すエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂を用い、その他は実施例2と同様に実施した。実施例6では、実施例2において、架橋剤1のジクミルパーオキサイドを下記に示す架橋剤2に代えると共に、その含有量を表3に示すように変更した他は実施例2と同様に実施した。実施例7では、実施例2において、架橋剤1のジクミルパーオキサイドを下記に示す架橋剤3に代え、その他は実施例2と同様に実施した。実施例8では、実施例2において、架橋剤1のジクミルパーオキサイドを下記に示す架橋剤4に代え、その他は実施例2と同様に実施した。
実施例9では、実施例2において、炭酸水素ナトリウム及び吸水性樹脂1の含有量を約半分(7質量部)に変更した(発泡倍率7倍)以外は実施例2と同様に実施した。実施例10では、実施例2において、架橋剤1に代えて架橋剤2を用い、その含有量を1.2質量部に変更するとともに、吸水性樹脂1を下記に示す吸水性樹脂2に代え、その含有量を0.5質量部に変更した他は実施例2と同様に実施した。実施例11では、実施例2において、吸水性樹脂1に代えて下記に示す吸水性樹脂3を用い、その含有量を1質量部に変更した他は実施例2と同様に実施した。
実施例12及び13においては、2段発泡法でポリオレフィン系発泡体を製造した。発泡体の原料については、実施例12では、実施例2において炭酸水素ナトリウムの含有量を45質量部に増量し、吸水性樹脂1の含有量を45質量部に増量し(発泡倍率40倍)、実施例13では、実施例2において炭酸水素ナトリウムの含有量を50質量部に増量し、吸水性樹脂1の含有量を50質量部に増量した(発泡倍率45倍)。
1段目の発泡では、発泡体の原料をニーダー及びロールで混練した後、155℃で40分間加熱して発泡を行ない1次発泡体を得た。前記実施例2の1段発泡法の60分より短い加熱時間であるため、炭酸水素ナトリウムの分解は途中である。2段目の発泡では、1次発泡体を160℃で40分間加熱してさらに発泡させ、2次発泡体を得た。
そして、各実施例に関し、発泡体の原反及びその原反をスライスしたものについて変形状態を目視にて観察し、それらの結果を表3に示した。
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA):酢酸ビニル含有量10質量%、MFR(メルトフローレート)3g/10min、密度0.929g/cm、東ソー(株)製、ウルトラセン540。
架橋剤2:4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)−n−ブチルバレエート、化薬アクゾ(株)製、トリゴノクッス17−40。
架橋剤3:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、化薬アクゾ(株)製、カヤヘキサAD−40C。
架橋剤4:α,α´−ジ(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、化薬アクゾ(株)製、パーカドクッス14−40C。
吸水性樹脂2:アクリル酸重合体部分ナトリウム塩架橋物、吸水倍率400倍、住友精化(株)製、アクアキープ。
吸水性樹脂3:イソブチレン−無水マレイン酸共重合樹脂架橋物、吸水倍率170倍、クラレトレーディング(株)製、KΙゲル 201K-F2。
Figure 0004903452
表3に示したように、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂を用いた実施例5においては、原反の変形はなく、スライスしたものについも変形は小さい結果が得られた。また、架橋剤の種類を変えた実施例6〜8においても、原反の変形はなく、スライスしたものについも変形が小さい結果が得られた。吸水性樹脂1の含有量を約半分に減少させた実施例9においても、原反の変形はなく、スライスしたものについも変形が小さい結果が得られた。吸水性樹脂1に代えて吸水性樹脂2又は吸水性樹脂3を使用した実施例10又は11においても、原反の変形はなく、スライスしたものについも変形が小さい結果であった。
さらに、2段発泡法で製造された発泡体で、炭酸水素ナトリウムの含有量を増加させて発泡倍率を高めると共に、吸水性樹脂1の含有量を増加させた実施例12及び13でも、原反の変形はなく、スライスしたものについても変形が小さい良好な結果が得られた。
なお、前記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 吸水剤として、吸水性樹脂を複数種類用い、発泡体中の水蒸気の吸収量を調整することもできる。
・ ポリオレフィン系樹脂を複数種類用い、発泡体の物性を調整することもできる。
・ 吸水剤として、吸水性樹脂に加え、水と反応する酸化カルシウム、酸化カリウムなどを配合することもできる。
・ 吸水剤として、吸水性樹脂に加え、シリカゲル、無水塩化カルシウムなどの無機化合物を配合することも可能である。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記ポリオレフィン系樹脂発泡体の原料の発泡倍率は、5〜50倍であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。この製造方法によれば、請求項1又は請求項2に係る発明の効果に加えて、発泡倍率の高い柔軟なポリオレフィン系樹脂発泡体を得ることができる。
・ 前記再加熱は、70〜120℃で5〜24時間行われることを特徴とする請求項に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。この製造方法によれば、請求項に係る発明の効果を向上させることができる。
・ ポリオレフィン系樹脂、加熱時に分解して炭酸ガスと水蒸気とを発生する炭酸水素ナトリウム及び吸水性樹脂を含有し、該吸水性樹脂の吸水倍率と含有量との積に基づいて定められる吸水能力がポリオレフィン系樹脂100質量部当たり20〜1300質量部となるように吸水性樹脂の含有量が設定された原料を混合後加熱し、炭酸水素ナトリウムの分解によって発生する炭酸ガスによりポリオレフィン系樹脂を発泡させて得られることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体。この場合、ポリオレフィン系樹脂発泡体は変形を生じることがなく、5倍以上の発泡倍率を有するものとなる。

Claims (2)

  1. ポリオレフィン系樹脂、加熱時に分解して炭酸ガスと水蒸気とを発生する炭酸水素ナトリウム及び吸水性樹脂を含有し、該吸水性樹脂の吸水倍率と含有量との積に基づいて定められる吸水能力がポリオレフィン系樹脂100質量部当たり20〜1300質量部となるように吸水性樹脂の含有量が設定された原料を混合後加熱し、炭酸水素ナトリウムの分解によって発生する炭酸ガスによりポリオレフィン系樹脂を発泡させ、前記加熱後冷却し、次いで50〜120℃で3〜24時間再加熱することを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法。
  2. 前記原料には架橋剤を含有することを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法
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