JP4903325B2 - テーパカーブコンベア - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、テーパカーブコンベアに関し、さらに詳しくは、動力伝達機構に磁気車を利用しつつ、大きな動力の伝達を可能に成すテーパカーブコンベアに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のテーパカーブコンベアの中には、図12にて示すコンベア100のように、磁気車を利用して各テーパローラ101の回転駆動を行なうものがある。このコンベア100は、多数のテーパローラ101を略1/4円形に形成した略板状のコンベア本体100'上の中心部位から平面視放射線状に配列することにより、平面視において略円弧形となる搬送路aを構成してある。
【0003】
また、上記したテーパカーブコンベアは、コンベア本体100'上に円弧状に略等間隔をおいて並設した各テーパローラ101の中心側に、駆動モータ102により駆動回転する従動磁気車106を取り付け固定してある。これら従動磁気車106は、コンベア本体100'の中心側において平面視が一直線状となるように並列してある。
一方、コンベア本体100'上における中心側には、1本の駆動磁気車105を水平に軸支し、上記した各従動磁気車106の真下に位置するように構成してある。即ち、上記各従動磁気車106は、駆動磁気車105の真上において一直線状に配置され、その外周面同士を近接することになる。
【0004】
上記駆動磁気車105は、その外周に沿ってS極帯105aとN極帯105bとを所定のピッチを保ちつつ軸芯方向にわたって螺旋状に着磁してある。一方、各テーパローラ101が具備する従動磁気車106には、その外周に沿って S極帯106aとN極帯106bとを所定の螺旋角度を保って軸芯方向にわたって着磁してある。ちなみに、上記したテーパカーブコンベア100の場合、駆動磁気車の螺旋角度は45度、各従動磁気車の螺旋角度は30度に設定してある(図11)。 尚、上記した駆動磁気車と従動磁気車とを用いた動力伝達機構は、特開2000−62925号公報にて開示されている螺旋磁気車同士を用いた動力伝達機構と基本的に同じ理論で機能するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図9及び図10は、上記した駆動磁気車105と各従動磁気車106との交差部位を示す平面図である。これらの図から分かるように、搬送路aを構成する各テーパローラ101はコンベア本体100'の中心側から平面視放射状に配置してある。
よって、コンベア本体100'中心側に設置した駆動磁気車105の軸芯上に沿って配置されるテーパローラ101の各従動磁気車106の交差角度、即ち、駆動磁気車105の軸芯と従動磁気車106の軸芯との平面視における交差角度は、搬送路aの中央部と、同搬送路の一半部,及び他半部とでは交差角度が異なることになる。
【0006】
図10及び図11は、駆動磁気車105の中央部分(図b),同他半部分(図a),同一半部(図c)を示している。また、図10,図11は、駆動磁気車105のS極帯105a,N極帯105bと、各部位で交差する従動磁気車106のS極帯106a,N極帯106bとの交差角度を示した図であり、各位置にてその交差角度が異なっている。
尚、図11は、通常の平面図とは異なる表現方法を取っている。即ち、円筒形の駆動磁気車105と従動磁気車106との近接状態にて向かい合う重合部の重合面積及び重合パターンを分かり易くするために磁気車の外周面を展開した状態で重ね合わせたものとして表現している。尚、この表現方法は、後述する図8においても同様に用いている
図11(b)は、駆動磁気車105と、中央部のテーパローラ101が具備する従動磁気車106の軸芯の交差角度を示している。この部位では、駆動磁気車105と従動磁気車106の平面視における交差角度が略直角となる。よって、駆動磁気車105のS極帯105aと、従動磁気車106のN極帯106bとの近接側の重合面積、及び駆動磁気車105のN極帯105bと従動磁気車106のS極帯106aとの重合面積が広く取れるので、上記S極帯とN極帯との間に生じる吸引力により左右される両磁気車105,106間の駆動力の伝達を大きく確保できる。
【0007】
図11(c)は、駆動磁気車105と、一半部のテーパローラ101が具備する従動磁気車106の軸芯の交差角度を示している。この部位では、駆動磁気車105と従動磁気車106の平面視における交差角度が略42度となる。
この場合、駆動磁気車105のN極帯105bと従動磁気車106のS極帯106aとの螺旋ピッチの差が上記した図11(b)の場合と逆となる。
しかし駆動磁気車105のS極帯105aと、従動磁気車106のN極帯106bとの重合面積、及び駆動磁気車105のN極帯105bと従動磁気車106のS極帯106aとの近接側の重合面積は、上記した図11(b)の場合と差ほど変化がなく、駆動力の伝達は中央部の場合と略同じとなる。
【0008】
図11(a)は、駆動磁気車105と、他半部のテーパローラ101が具備する従動磁気車106の軸芯の交差角度を示している。この部位では、駆動磁気車105と従動磁気車106の平面視における交差角度は略42度である。
この場合、駆動磁気車105のN極帯105bと従動磁気車106のS極帯106aとの螺旋ピッチの交差角度の差が大きくなる。よって、駆動磁気車105のS極帯105aと、従動磁気車106のN極帯106bとの重合面積、及び駆動磁気車105のN極帯105bと従動磁気車106のS極帯106aとの近接側の重合面積が小さくなり、両磁気車105,106間の駆動力の伝達は効率が悪くなる。
【0009】
その結果、上記した如き構成のテーパカーブコンベア100は、搬送路の中央部(b)から他半部(a)側へ向けて徐々に駆動力の伝達効率が低下することになる。よって、特に近接側の重合面積の少ない搬送路の他半部側の末端部付近は駆動力の伝達効率が悪くなる。
よって、上記した従来のテーパカーブコンベア100の駆動力は、搬送路aの中央部では良好だが、他半部側では低下し、その結果、搬送物の質量制限が低くなりがちであり、その改良が求められていた。
【0010】
本発明の課題は、上記した如く駆動力の伝達機構として磁気車を用いたテーパカーブコンベアに関し、搬送路の一半部,若しくは他半部にて生じる駆動力の伝達効率の低下を回避し、同コンベアにおける搬送能力を向上することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、本発明のテーパカーブコンベアは、コンベア本体の上に、適宜本数のテーパローラをコンベア本体の中心部位から平面視放射線状に配列し、回転自在に軸支してある。そして、これらのテーパローラにより、平面視略円弧形の搬送路を構成している。
各テーパローラの中心側には各々従動磁気車を設けてある。これらの従動磁気車は、コンベア本体の中心側に配設し、駆動回転可能に支持した軸状の駆動磁気車に沿って配列してある。
また、上記駆動磁気車は搬送路の略中央にて一半部と他半部に分割し、各々の駆動磁気車を回転駆動可能に軸支してある。
【0012】
上記した駆動磁気車の外周にはS極帯とN極帯とを所定のピッチを保ちつつ軸芯方向にわたって螺旋状に着磁した短筒状の駆動磁気車を従動磁気車に対応して配列してある。
一方、各テーパローラの中心側に設けた従動磁気車の外周にも、各々S極帯とN極帯を所定のピッチを保ちつつ軸芯方向にわたって螺旋状に着磁してある。尚、上記した各従動磁気車の螺旋方向と両駆動磁気車との螺旋方向は一致している。
上記搬送路の略中央を基準とし、その一半部に並設したテーパローラの従動磁気車列の下側に沿って上記一半部の駆動磁気車を配列すると共に、搬送路の他半部側に並設したテーパローラの従動磁気車列の上側に沿って駆動磁気車の他半部を配列してある。
【0013】
上記した駆動磁気車と各従動磁気車の軸芯とは、平面視において交差せしめてある。また、これら駆動磁気車と従動磁気車との外周同士は近接して互いの極帯が吸引するように構成してある。
上記一半部及び他半部の両駆動磁気車は、駆動伝達手段を介して回転駆動する。また、同駆動伝達手段により、一半部の駆動磁気車の駆動回転に対して、他半部の駆動磁気車の回転方向が逆になる。
【0014】
したがって、上記した一半部の駆動磁気車を駆動回転させると、SN両極帯の螺旋は、各従動磁気車2のNS両極帯の螺旋ピッチに対応させてあるため、両磁気車間のN極帯と、S極帯とは磁界による吸引力により常時最接近した状態を維持しようとする。よって、一半部の駆動磁気車を駆動回転すると、螺旋状に構成されるNS両極帯は回転に伴って駆動磁気車の軸方向へ向けて連続的に移動する。 そして、上記した極帯が軸方向へ移動するように作動することにより、各従動磁気車が追動して連続回転する。
【0015】
また、前記した如く、他半部側の駆動磁気車は、搬送路の略中央から他半部側に並列する各テーパローラの中心側に設けた従動磁気車の配列の上に沿って配置して駆動回転可能に軸支してある。
上記したように一線上に配列した各従動磁気車の上に沿って他半部の駆動磁気車を配列すると、近接する両磁気車の外周面に構成される螺旋同士の交差角度が一半部のそれと同等になり、近接するS極帯とN極帯の重合面積が一半部の重合面積と同等になる。
しかし、他半部側の駆動磁気車を一半部側の駆動磁気車と同じ方向に駆動回転させると、近接面における螺旋の方向が反対になるため、他半部側のテーパローラが逆回転してしまうことになる。よって、上記他半部側の駆動磁気車の回転は、動力伝達手段を介すことにより、一半部側の駆動磁気車の回転方向とは逆に回転するように構成してある。これにより、他半部に配列した各テーパローラも一半部側のテーパローラと同方向に回転するようになる。
【0016】
尚、上記した両駆動磁気車、及び各従動磁気車の螺旋方向は、相互に一致させてあり、これを反対の螺旋にすると、テーパローラの回転方向は上記した場合と逆になる。また、駆動磁気車の回転方向を変えると、各テーパローラの回転方向即ち、搬送物の搬送方向も変わることになる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
図1乃至図3は、本発明を実施したテーパカーブコンベアAを示している。
テーパカーブコンベアAは、平面視略1/4円形のコンベア本体A'を具備している。コンベア本体A'は、板状に構成してある。この、コンベア本体A'の上には、適宜本数、このテーパローラコンベアの場合14本のテーパローラ3を配置してある。尚、テーパローラの本数は適宜に変更してもよい。
各テーパローラ3は、中心O側から外周側へ向けてテーパ状に形成してあり、コンベア本体A'の円弧中心側から外周側へ向けて平面視放射状に配列してある。また、各テーパローラ3は、円周方向に定間隔をおいて配列することにより、平面視略円弧形の搬送路aを構成している。
【0018】
各テーパローラ3は、中心O側、及び外周側端部を軸支することにより、各々水平状態を保ちながら回転するように構成してある。尚、上記した如く各テーパローラ3により構成される搬送路aは、図1において(中心Oを上に視て)中央部よりも右側の部位を一半部、また、左側を他半部として、通常の場合、搬送路aの一半部側から他半部側へ向けて搬送物を搬送するように構成してある。しかし、上記テーパローラ3を逆回転することにより、搬送物を他半部側から一半部側へ向けて搬送することもできる。
【0019】
上記テーパローラコンベアAは、コンベア本体A'の中心O側の下面側に駆動モータ10及びギヤボックス10aを設置し、このギヤボックス10aの出力軸10bに装着した歯付プーリ10b’に後述する動力伝達機構11のタイミングベルト11aを掛け回すことにより、動力の伝達を行なっている。
テーパロ ーラコンベアAは、コンベア本体A'の中央に設けた動力伝達機構11により回転駆動する駆動磁気車1,1'と、各テーパローラ3の中心側に設けた各従動磁気車2及び2'とが磁力を利用して動力伝達を行なうことにより、各テーパローラ3が駆動回転するように構成してある(図3)。
【0020】
各テーパローラ3は、軸受4a,4bにより回転自在に軸支される支軸3aと、該支軸3aの外周に嵌着したテーパローラ体3bとを具備し、上記支軸3aの中心側の端部には、従動磁気車2を上記支軸3aと同芯する状態で取り付け固定してある。
上記した従動磁気車2は、コンベア本体A'上の中心側において一線状に並列し、平面視において駆動磁気車1,1'の軸芯に沿って並列するように構成してある(図1,図2)。
【0021】
駆動磁気車は、コンベア本体A'の略中心を基準として一半部の駆動磁気車1と、他半部の駆動磁気車1'とに分割して構成してある。尚、上記駆動磁気車は、動力伝達機構11を配置する関係で、中央部において2本のテーパローラ3に設けた従動磁気車2''に対応するもの、即ち駆動磁気車1''だけは、両駆動磁気車1,1'よりもコンベア本体A'の外周側にずらした形で配置してある(図2)。
ところで、上記した駆動磁気車1,1'は、平面視において一線状となるように配置してあるが、コンベア本体A'の一半部側の駆動磁気車1は、搬送路aの一半部に配列したテーパローラ3の下側に沿った状態で軸支してある。
【0022】
また、上記した如く軸支した駆動磁気車1は、上記各テーパローラ3の従動磁気車2と同じ数に分割し、これらの分割駆動磁気車1aを支軸1bの所定位置、すなわち、各テーパローラ3が具備する従動磁気車2の中央部と交差するように配置してある(図2,図6)。
一方、コンベア本体A'の他半部側の駆動磁気車1'は、搬送路aの他半部側に配列した各テーパローラ3の従動磁気車2'の上側に沿った状態で軸支してある。
また、駆動磁気車1'は、前記した一半部側の場合と同じように分割し、これらの分割駆動磁気車1a'を支軸1b'の所定位置、すなわち、他半部側の各テーパローラ3が具備する従動磁気車2の中央部と交差するように構成してある(図1,図6)。
【0023】
図3にて示すように、コンベア本体A'の中央部に配設した動力伝達機構11は、コンベア本体A'の中央部側に取り付け固定した支持板12,13を具備する。動力伝達機構11は、上記駆動磁気車1'の支軸1b'における中央側端部に取り付け固定した歯付プーリ11dと、上記支持板12により軸支される歯付プーリ11cと、一半部側の駆動磁気車1の中央側端部に取り付け固定した歯付プーリ11bを具備する。そして、上記歯付プーリ11b,11c,11d,及びギヤボックス10aの出力軸10bに装着した歯付プーリ10b’との間に無端状で且つ表裏両面に歯を形成したタイミングベルト11aを掛け回してある。
【0024】
よって、上記ギヤボックス10aの出力軸10bを駆動回転することにより、各歯付プーリ11b〜11dが同期して回転する。本実施例の場合、上記タイミングベルト11aの外周側を歯付プーリ11bの外周に沿って歯合させることにより、上記歯付プーリ11d、即ち他半部側の駆動磁気車1’が(図3において)右回転し、また、歯付プーリ11b、即ち一半部側の駆動磁気車1が左回転するように構成してある。その理由は後述する。
【0025】
また、中央部に位置する2本のテーパローラ3の従動磁気車2''は、支持板12により歯付プーリ11cと共に駆動回転可能に軸支した2個の駆動磁気車1''と交差させることで、他のものと同様に駆動回転するように構成してある。
このような構造は、コンベア本体A'の中央部に動力伝達機構11を配置したため、中央部の2本のテーパローラ3を駆動回転させる2個の従動磁気車2''が駆動磁気車1,1'の中央側端部の支持板13や軸受部 13aと干渉することになる。よって、本実施例のテーパローラコンベアAは、上記した干渉を回避できれば駆動磁気車列の分割は中央から2分割しても、もしくは、本実施例のように中央部を含めて3分割としてもよい。
【0026】
上記した一半部,他半部の個々の駆動磁気車1a,1a'は、たとえばMn−Al磁石等の永久磁石を用いて略筒状に形成し、その外周面に、各々所定のピッチにてS極帯1s,1s'と、N帯1n,1n'とを螺旋状に着磁してある(図4,図8)。上記した如く構成した各駆動磁気車1,1'は、支軸1b,1b'の所定箇所に嵌装して固定することにより、支軸1b,1b'と一体化してある。
尚、図8は、前述した図11と同様に、円筒状の磁気車の外周面を平面的に展開して重ね合わせたものとして表現している。
また、一半部,他半部の各テーパローラ3に設けた従動磁気車2,2'は、上記した場合と同様に、例えばMn−Al磁石等の永久磁石を用いて略筒状に形成し、その外周面に、各々所定のピッチにてS極帯2s,2s'と、N極帯2n,2n'とを交互に配置し、これらを螺旋状に着磁してある(図4,図8)。尚、本実施例のテーパローラコンベアAに使用した駆動磁気車1,1'の螺旋角度は、軸芯に対して略45度の螺旋角度(スキュ−)となるように設定し、且つ、各従動磁気車2,2'の螺旋角度は軸芯に対して30度となるように設定してある。また、この螺旋角度は任意に変更してもよい。
尚、本明細書に添付した図4,図7,図8,図10,図11における駆動磁気車と従動磁気車とのN極帯,S極帯の螺旋方向と重合関係は、本明細書の図面の簡単な説明の欄にて説明しているように、通常の平面視ではなく、近接し合う両磁気車の交差部位におけるN極帯,S極帯の近接して重なり合う重合部位を透視する如く表現している。
【0027】
既述したように、搬送路a一半部,他半部の両駆動磁気車1,1'と、各テーパローラ3に設けた従動磁気車2,2'とは各々の外周面同士が近接した状態にて交差している(図2,図3)。
したがって、駆動モータ10の駆動により、一半部側の駆動磁気車1を駆動回転させると(図3において左回転)、SN両極帯1s,1nの螺旋ピッチは、各従動磁気車2のSN両極帯2s,2nの螺旋ピッチに対して適宜に対応させてあるため、両磁気車1,2間の近接部における極帯1n,2sと、1s,2nとは磁界による吸引力により常時最接近した状態を維持しようとする。その結果、駆動磁気車1を駆動回転させると、各従動磁気車がこれに追動し、一半部側の各テーパローラ3が駆動回転することになる。
【0028】
これと同時に、駆動モータ10の駆動により、他半部側の駆動磁気車1'が駆動回転する(図3において右回転)。他半部側のSN両極帯1s',1n'の螺旋ピッチは、上記した一半部の場合と同様に、各従動磁気車2'のSN両極帯2s',2n' の螺旋ピッチに対して適宜に対応させてあるため、両磁気車1',2'間の近接部における極帯1n',2s'と、1s',2n'とは磁界による吸引力により常時最接近した状態を維持しようとする。その結果、駆動磁気車1'を駆動回転させると、各従動磁気車2'がこれに追動し、他半部側の各テーパローラ3が駆動回転する。
上述したように、搬送路aの他半部側に設置した各従動磁気車2'は、一半部側の各従動磁気車2と同様に30度の螺旋角度をつけてS極帯2s'と、N極帯2n'とを交互に配置し、螺旋状に着磁してある(図7,図8)。
そのため、他半部側の駆動磁気車1'を他半部側の各従動磁気車2'の下側に仮に配置した場合、既述した従来のテーパカーブコンベアの場合と同様に、駆動磁気車1'の軸芯に対する、他半部の各従動磁気車2'の軸芯の傾斜角度が徐々に浅くなっていく。
このようになると、搬送路の他半部側の従動磁気車と他半部側の駆動磁気車の近接面においてs極とn極とが重合する面積が減少し、特に他半部終端側の駆動力の伝達効率が低下してまうことになる。
【0029】
本発明のテーパローラコンベアAは、他半部側の駆動磁気車1'を各テーパローラ3に設けて一列状に配列した他半部側の従動磁気車2'の上に沿って配置し、駆動回転可能に軸支してある(図2,図6)。これにより、他半部側における駆動磁気車1'と各従動磁気車2'との近接側の重合面積は、前記した一半部側のそれと同等となり、動力の伝達力も一半部と同じ大きさにできる(図8)。
ちなみに、一半部側の各従動磁気車2は、他半部側の従動磁気車2'とは平面視における傾斜方向が逆となるので、上記した重合面積の減少は少なく、問題にはならない。
【0030】
しかしながら、上記したように、他半部側の駆動磁気車1'を他半部側の各駆動磁気車2'の配列の上に沿って配置し、一半部側の駆動磁気車1と同じ方向に駆動回転させると、駆動磁気車1'における近接側の螺旋傾斜が逆になるため、他半部側の各従動磁気車2'とテーパローラ3とが逆回転してしまう。
よって、本実施例のテーパローラコンベアAでは、前記した動力伝達機構11のタイミングベルト11aの内周側を歯付プーリ11dに歯合させることにより、他半部側の駆動磁気車1'の回転方向を一半部の駆動磁気車1とは逆の方向に駆動回転させる。これにより、他半部側の各従動磁気車2'とテーパローラ3とが一半部側の各テーパローラ3と同じ方向に駆動回転することになる。
尚、コンベア本体A'上部外周部と中心側部位は、円弧形のカバー16と扇形のカバー17により着脱可能にカバーし、両カバー16,17の間に円弧状の搬送路aが露呈するように構成してある。
【0031】
上記した如く構成したテーパローラコンベアAを作動させる場合は、駆動モータ10の駆動により出力軸10bに設けた駆動歯付きプーリ10b'が駆動回転し、無端状のタイミングベルト11aを介して歯付プーリ11b,11c,11dを回転させる。歯付プーリ11bは一半部側の駆動磁気車1を(図3において)左回りに回転させる。
また、歯付プーリ11cは、コンベア本体A'の中央部に配置した2個の駆動磁気車1''を右回りに回転させる。さらに、歯付プーリ11dは、他半部側の駆動磁気車1'を右回りに回転させる。
【0032】
上記した如く歯付プーリ11bの駆動回転により、各従動磁気車2の配列の上に沿わせて軸支した駆動磁気車1が(図3において)左回転すると、螺旋状に形成されるs極帯1s及びn極帯1nの移動に伴って一半部の各従動磁気車2が追動し、一半部の各テーパローラ3が正転する(図6,図7)。
一方、歯付プーリ11dは各従動磁気車2'の配列の上に沿わせて軸支せしめた他半部側の駆動磁気車1'を(図3において)右回りに回転させる。このように、駆動磁気車1'が回転すると、螺旋状に形成されるs極帯2s'及びn極帯2n'の移動に伴って他半部の各従動磁気車2' が追動し、他半部のテーパローラ3が正転する。
また、コンベア本体A'の中央に設置した2本のテーパローラ3は、その中心側端部に設けた両従動磁気車2''の上に配置した一対の駆動磁気車1''が右回りに駆動回転することにより正転する(図3)。尚、上記したテーパローラコンベアAは、出力軸の駆動歯付プーリ10b'を逆転することにより、各テーパローラ3を逆転させ、搬送路aの他半部側から搬入した搬送物を同搬送路の一半部側へ向けて搬送できる。
【0033】
上記したように、一半部の各従動磁気車2,他半部の各従動磁気車2',中央部の両従動磁気車2''が各々に回転し、搬送路aの一半部側から搬入された搬送物bを他半部側へ向けてカーブさせながら搬送する(図3)。
既述したように、従来のテーパカーブコンベアでは、他半部、特に搬送路の終端側に位置するテーパローラの駆動力が低減するが、本実施例のテーパカーブコンベアAにあっては、他半部側の駆動磁気車1'を他半部側にて一線状に配列した各従動磁気車2'の上にて軸支し、一半部側の各従動磁気車2とは反対に駆動回転している。これにより、搬送路aの全長にわたって大きな駆動力を維持することが可能となり、駆動力に劣っていたテーパカーブコンベアの用途が増えることになる。
【0034】
また、搬送路aの中央部に配置される2本のテーパローラ3は、動力伝達機構11の歯付プーリ11cにより回転する2個の駆動磁気車1''により、他のテーパローラ3と同方向に駆動回転する(図2,図5)。
尚、上記実施例のテーパローラコンベアAにおいては、動力伝達機構として歯付プーリとタイミングベルトとの組み合わせにより構成したが、本発明の主旨によれば、動力伝達機構は、駆動磁気車を任意の方向に駆動回転できるものであれば、既存のどのような機構を用いても良い。例えば、チェーンとスプロケット、無端ベルトとプーリ,ギヤ等を用いることも任意である。
【0035】
上記した実施例においては、一半部,他半部の両駆動磁気車は、相対する従動磁気車2,2'の位置に合せて分割して構成した。しかし、本発明のテーパローラコンベアに用いる駆動磁気車は、1本の軸状の磁気車を用いても良いことは言うまでもない。また、上記実施例は、90度のテーパカーブコンベアAを構成したが、本発明は、平面視における旋回角度が90度以下、若しくは90度以上のものであってもよい。
【0036】
【発明の効果】
本発明のテーパカーブコンベアは、以上説明したように構成したものであるから、一半部の駆動磁気車と他半部の駆動磁気車とを駆動伝達手段を介して駆動回転すると、これに伴って両駆動磁気車と近接状態にて交差する各従動磁気車が追動して回転し、各テーパローラが所定の方向へ回転する。
また、搬送路の他半部側に配置した駆動磁気車は、同搬送路の略中央から他半部側の各テーパローラに設けた従動磁気車の配列の上に沿って配置して駆動手段を介して駆動回転可能に軸支してある。
即ち、一列に配列した他半部側の各従動磁気車の上に沿って他半部の駆動磁気車を配設すると、駆動磁気車外周の螺旋と、各従動磁気車との外周面に構成される螺旋との交差角度が一半部のそれと同等になり、近接する駆動磁気車と各従動両磁気車とのS極帯,N極帯の重合面積が一半部の重合面積と同等となる。
よって、従来のテーパカーブコンベアのように、S極帯とN極帯の重合面積の減少により生じていた駆動力の伝達効率の低下を回避し、搬送路の略全長にわたり大きな駆動力を維持することが可能となった。
さらには、テーパローラの幅も広げることができ、機種のバリエーションを広げることもできるメリットもある。
【0037】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のテーパカーブコンベアにあって、一半部及び他半部の駆動磁気車は、各テーパローラが具備する従動磁気車の設置間隔と磁場範囲に合せて分割し、且つ一半部及び他半部の各分割磁気車同士を各々同芯させて1軸状に構成したものであるから、従来のもののように、駆動磁気車を1本の軸として構成した場合と比較して、製造コストを大幅に低減し得る。
また、駆動磁気車を従動磁気車の数と間隔、設置位置、幅に対応して変更することができるので、製造コストの低減と共に、駆動力の伝達効率をさらに向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施したテーパカーブコンベアを示す平面図。
【図2】 同テーパローラコンベアの磁気車部分を一部切欠して示す部分拡大図。
【図3】 図1におけるIII-III 線断面図。
【図4】 駆動磁気車と従動磁気車との交差状態を示す斜視図。
【図5】 図3におけるV-V 線断面図。
【図6】 図3におけるVI-VI 線断面図。
【図7】 同コンベアにおける一半部,中央部,他半部の駆動磁気車と従動磁気車の交差状態を示す平面図。
【図8】 本願のテーパカーブコンベアの駆動磁気車と従動磁気車の交差部位を展開して示し、(a)は他半部の端に配置される駆動磁気車と従動磁気車の交差状態を示す平面図,(b)は中央部に配置される駆動磁気車と従動磁気車の交差状態を示す平面図,(c)は一半部の端に配置される駆動磁気車と従動磁気車の交差状態を示す平面図。
【図9】 従来のテーパカーブコンベアの磁気車部分を示す平面図。
【図10】 従来のテーパカーブコンベアを示し、(c)は一半部の端に配置される駆動磁気車と従動磁気車の交差状態を示す平面図,(b)は中央部に配置される駆動磁気車と従動磁気車の交差状態を示す平面図,(a)は他半部の端に配置される駆動磁気車と従動磁気車の交差状態を示す平面図である。
【図11】 従来のテーパカーブコンベアの駆動磁気車と従動磁気車の交差部位を展開して示し、(a)は他半部の端に配置される駆動磁気車と従動磁気車の交差状態を示す平面図,(b)は中央部に配置される駆動磁気車と従動磁気車の交差状態を示す平面図,(c)は一半部の端に配置される駆動磁気車と従動磁気車の交差状態を示す平面図である。
【図12】 従来のテーパカーブコンベアを示す平面図。
【符号の説明】
A・・・テーパカーブコンベア
A'・・・コンベア本体
a・・・搬送路
b・・・搬送物
1,1',1''・・・駆動磁気車
2,2',2''・・・従動磁気車
1n,2n・・・N極帯(一半部側従動磁気車)
1n',2n'・・・N極帯(他半部側従動磁気車)
1s,2s・・・S極帯(一半部側従動磁気車)
1s',2s'・・・S極帯(他半部側従動磁気車)
3・・・テーパローラ
11・・・動力伝達機構
11b〜11d・・・歯付プーリ
11a・・・タイミングベルト

Claims (2)

  1. 適宜本数のテーパローラをコンベア本体の中心部位から平面視放射状に配列して平面視略円弧形の搬送路を構成し、上記各テーパローラの中心側に各々従動磁気車を設けると共に、これらの従動磁気車と各々近接した状態にて交差する駆動磁気車をコンベア本体の中心側において軸支して成るテーパカーブコンベアであって、
    上記駆動磁気車を搬送路の略中央部にて分割して各々を軸支し、これら駆動磁気車の外周にS極帯とN極帯とを所定のピッチを保ちつつ軸芯方向にわたって螺旋状に着磁すると共に、各テーパローラの中心側に設けた従動磁気車の外周にS極帯とN極帯とを所定のピッチを保ちつつ軸芯方向にわたって螺旋状に着磁し、上記搬送路の略中央を基準として一半部に並設したテーパローラの従動磁気車列の下側に沿って駆動磁気車の一半部を配置すると共に、同搬送路の他半部に並設したテーパローラの従動磁気車列の上側に沿って駆動磁気車の他半部を配置し、これら駆動磁気車と従動磁気車の軸芯を平面視において交差せしめると共に、駆動,従動両磁気車の外周同士を近接させ、
    更に、前記一半部と他半部に配置する駆動磁気車の螺旋状に着磁した磁気の前記一半部と他半部の螺旋方向は互いに逆方向とし、
    上記一半部及び他半部の両駆動磁気車を各々駆動伝達手段を介して回転駆動し、且つ、一半部の駆動磁気車の回転に対して、他半部の駆動磁気車の回転方向を逆にして成るテーパカーブコンベア。
  2. 上記一半部及び他半部の駆動磁気車は、各テーパローラが具備する従動磁気車の設置間隔と磁場範囲に合せて分割し、且つ一半部の各分割磁気車同士、及び他半部の各分割磁気車同士を各々同芯させて軸状に構成してなる請求項1記載のテーパカーブコンベア。
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