JP4901966B2 - 小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤 - Google Patents

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Description

本発明は、経口投与製剤を小型化することにより、服用を容易にした塩酸サルポグレラート経口投与製剤に関するものである。
一般に医薬品の経口投与製剤は、原薬に賦形剤等の添加剤を加えた後、造粒し、さらに滑沢剤等を加えて打錠することによって製造される。しかし、1回の投与量が多い薬物の場合は、製剤に加工するための添加剤の量も薬物量に比例して多くなり、その寸法が増し、その服用を困難にする。
塩酸サルポグレラート経口投与製剤の場合、1回あたりの標準的投与量は100mgである。慣用の製剤技術によって製造された塩酸サルポグレラート製剤100mg錠剤(三菱ウェルファーマ製 アンプラーグ(登録商標)錠100mg)は、1錠中塩酸サルポグレラート100mgを含有し、全重量291mgであり、直径8.8mm、厚み4.8mmの寸法を有する。
従って、原薬の含量及び溶出速度はそのままとし、経口投与製剤を小型化することにより服用を容易にすることが望まれる。
本発明の課題は、小型化により服用を容易にした塩酸サルポグレラート経口投与製剤を提供することにある。
本発明者らが課題を解決するために鋭意検討した結果、塩酸サルポグレラートは、相対的に実質重量が少なく、密度も非常に小さいため、小さい錠剤の中に多量の塩酸サルポグレラートを含有させることが困難であることが判明した。更には、塩酸サルポグレラートは付着性がとても強い薬物であり、一般的に用いられる添加剤を配合しても、打錠時の杵臼への付着といった打錠障害を引き起こすという問題点も明らかとなった。また、錠剤中の薬物含量を増加させると、原薬の溶解度特性が製剤からの溶出挙動に直接的な影響を及ぼし、溶出試験に用いる全ての標準的な液において、速やかな溶出速度を示す経口投与製剤を提供することが困難であることが判明した。
そこで本発明者らは、さらに研究を行った結果、塩酸サルポグレラートにカルボキシメチルセルロースを添加することにより、経口投与製剤を小型化し、従来の経口投与製剤と同様に速やかな溶出速度を示す経口投与製剤を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)塩酸サルポグレラート及び製剤の崩壊を促す特徴を有する1種又は2種以上の添加物を含有する、経口投与製剤。
(2)崩壊を促す特徴を有する添加物が、セルロース誘導体、化学的に修飾されたデンプン及び化学的に修飾されたセルロース誘導体、並びにクロスポビドンから選ばれる1種又は2種以上の添加物である、前記(1)に記載の経口投与製剤。
(3)崩壊を促す特徴を有する添加物が、Wickingタイプの添加物から選ばれる1種又は2種以上の添加物である、前記(1)に記載の経口投与製剤。
(4)Wickingタイプの添加物が、セルロース誘導体である前記(3)に記載の経口投与製剤。
(5)崩壊を促す特徴を有する添加物が、Swellingタイプの添加物から選ばれる1種又は2種以上の添加物である、前記(1)に記載の経口投与製剤。
(6)Swellingタイプの添加物が、セルロース誘導体、化学的に修飾されたデンプン類又は化学的に修飾されたセルロース誘導体である、前記(5)に記載の経口投与製剤。
(7)崩壊を促す特徴を有する添加物が、アルカリ金属を含まない添加物から選ばれる1種又は2種以上の添加物である、前記(1)に記載の経口投与製剤。
(8)崩壊を促す特徴を有する添加物が低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン又はカルボキシメチルセルロースである、前記(1)に記載の経口投与製剤。
(9)塩酸サルポグレラート及びカルボキシメチルセルロースを含有する、前記(1)に記載の経口投与製剤。
(10)塩酸サルポグレラート、カルボキシメチルセルロース、及び結晶セルロースを含有する、前記(1)に記載の経口投与製剤。
(11)塩酸サルポグレラートの含量が製剤あたり40〜95重量%である、前記(1)〜前記(10)のいずれかに記載の経口投与製剤。
(12)水溶性コーティング及び/又は遮光コーティングが施された前記(1)〜前記(11)のいずれかに記載の経口投与製剤。
(13)錠剤である前記(1)〜前記(12)のいずれかに記載の経口投与製剤。
(14)製剤中に含まれる塩酸サルポグレラートの約80重量%以上が15分以内に溶出する溶出挙動を示す、前記(1)〜前記(13)のいずれかに記載の経口投与製剤。
(15)製剤あたりの塩酸サルポグレラートの含量が40〜95重量%であり、製剤中に含まれる塩酸サルポグレラートの約80重量%以上が15分以内に溶出する溶出挙動を示す、経口投与製剤。
(16)更に製剤の崩壊を促す特徴を有する1種又は2種以上の添加物を含有する、前記(15)に記載の経口投与製剤。
(17)崩壊を促す特徴を有する添加物が、セルロース誘導体、化学的に修飾されたデンプン及び化学的に修飾されたセルロース誘導体、並びにクロスポビドンから選ばれる1種又は2種以上の添加物である、前記(16)に記載の経口投与製剤。
(18)崩壊を促す特徴を有する添加物が、Wickingタイプの添加物から選ばれる1種又は2種以上の添加物である、前記(16)に記載の経口投与製剤。
(19)Wickingタイプの添加物が、セルロース誘導体である前記(18)に記載の経口投与製剤。
(20)崩壊を促す特徴を有する添加物が、Swellingタイプの添加物から選ばれる1種又は2種以上の添加物である、前記(16)に記載の経口投与製剤。
(21)Swellingタイプの添加物が、セルロース誘導体、化学的に修飾されたデンプン類又は化学的に修飾されたセルロース誘導体である、前記(20)に記載の経口投与製剤。
(22)崩壊を促す特徴を有する添加物が、アルカリ金属を含まない添加物から選ばれる1種又は2種以上の添加物である、前記(16)に記載の経口投与製剤。
(23)崩壊を促す特徴を有する添加物が低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン及びカルボキシメチルセルロースから選択される1種又は2種以上の添加物である、前記(16)に記載の経口投与製剤。
(24)塩酸サルポグレラート、カルボキシメチルセルロース、及び結晶セルロースを含有する、前記(16)に記載の経口投与製剤。
本発明によれば、製剤あたりの塩酸サルポグレラートの含有率が40重量%以上と高い、小型化された塩酸サルポグレラート経口投与製剤を提供することができる。
本発明によれば、製剤からの塩酸サルポグレラートの溶出速度が速い小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤を提供することができる。
本発明によれば、塩酸サルポグレラートの溶出速度が速く、加水分解を抑制した良好な保存安定性を示す小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤を提供することができる。
本発明によれば、製剤あたりの塩酸サルポグレラートの含有率が40重量%以上と高く、打錠障害等を抑えた良好な製造性を示し、製剤からの塩酸サルポグレラートの溶出速度が速く、加水分解を抑制した良好な保存安定性を示す小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤を提供することができる。
図1は、実施例1の小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤(100mg製剤)の溶出挙動を示す図である。 図2は、従来の製剤(100mg製剤)の溶出挙動を示す図である。 図3は、参考の小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤(100mg製剤)の溶出挙動を示す図である。 図4は、参考の小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤(100mg製剤)の溶出挙動を示す図である。 図5は、参考の小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤(100mg製剤)の溶出挙動を示す図である。 図6は、参考の小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤(100mg製剤)の溶出挙動を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の経口投与製剤を構成する各成分について説明する。
本発明において用いられる塩酸サルポグレラートとは、下記式で表される(±)−2−(ジメチルアミノ)−1−{〔O−(m−メトキシフェネチル)フェノキシ〕メチル} エチル 水素サクシナートと同義であり、本化合物は特開昭58−32847号公報の実施例2記載の製造方法によって容易に入手することができる。本発明の目的を達成するためには、塩酸サルポグレラートの含量は、好ましくは製剤あたり40〜95重量%であり、更に好ましくは50〜90重量%である。
Figure 0004901966
本発明の「崩壊を促す特徴を有する添加物」とは、一般に「崩壊剤」と称されることもあり、水溶液中にて製剤の崩壊を促す性質を有するものをいう。具体的には以下に挙げられるが、本発明の目的を達成するためには、以下の添加物に特に限定されない。
アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルボキシメチルセルロース(以下、単に「カルメロース」と称することもある。)、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、含水二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、コムギデンプン、コメデンプン、酢酸フタル酸セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、乳糖、バレイショデンプン、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、部分アルファー化デンプン、ポビドン、D-マンニトール、メチルセルロース、無水クエン酸。
本発明の崩壊を促す添加物は、非修飾デンプン類(アルファー化デンプン、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン等)、セルロース誘導体(カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、酢酸フタル酸セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、メチルセルロース等)、化学的に修飾されたデンプン類又は化学的に修飾されたセルロース誘導体(カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム等)、その他の崩壊を促す添加物(含水二酸化ケイ素、クロスポビドン、軽質無水ケイ酸、乳糖、ポビドン、D-マンニトール、無水クエン酸等)に大別される。これらのうち、好ましくは、セルロース誘導体、化学的に修飾されたデンプン類(ヒドロキシプロピルスターチ等)又は化学的に修飾されたセルロース誘導体、及びクロスポビドンが挙げられる。
この崩壊剤は、Wickingタイプの崩壊剤とSellingタイプの崩壊剤に大別される。Wickingタイプの崩壊剤は、接触角が小さいため水の浸潤速度が速く、崩壊剤の粉体自身の空隙に近い量の水を取り込むという性質を有する。この水の濡れが良い性質により、錠剤内へ水が一気に浸透し、その力で粒子間の結合力を壊して錠剤中の組成物を水中に分散させるという特徴を有する。一方、Swellingタイプの崩壊剤は、崩壊剤自体は水に不溶であるが粉体自身の空隙より大きな量の水を取り込んで膨潤し、その膨潤力で錠剤を破壊させる機構を有する。本発明の目的を達成するためには、特にどちらかのタイプの崩壊剤に限定されることはない。
Wickingタイプの崩壊剤として、例えば、アルファー化デンプン、カルメロース、カルメロースナトリウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、コムギデンプン、コメデンプン、酢酸フタル酸セルロース、トウモロコシデンプン、乳糖、バレイショデンプン、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、部分アルファー化デンプン、ポビドン、D-マンニトール、メチルセルロース、無水クエン酸等を挙げることができる。本発明中の崩壊を促す添加物で好ましくは、Wickingタイプのセルロース誘導体(カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、メチルセルロース等)が挙げられる。
Swellingタイプの崩壊剤として、例えば、ヒドロキシプロピルスターチ、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン等を挙げることができる。Swellingタイプの崩壊剤は、優れた崩壊特性を有するため、本発明中の崩壊を促す添加物としては、好ましい添加物である。更に好ましくは、Swellingタイプのセルロース誘導体(低置換ヒドロキシプロピルセルロース等)、Swellingタイプの化学的に修飾されたデンプン類または化学的に修飾されたセルロース誘導体(カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム等)、クロスポビドンが挙げられる。
本発明における「製剤の崩壊を促す添加物」の中で、塩酸サルポグレラートの十分な保存安定性を担保するために、好ましくはアルカリ金属(カルシウム、ナトリウム等)を含まない崩壊剤が挙げられる。例えば、アルファー化デンプン、カルメロース、含水二酸化ケイ素、クロスポビドン、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、コムギデンプン、コメデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、乳糖、バレイショデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、部分アルファー化デンプン、ポピドン、D-マンニトール、無水クエン酸が挙げられる。この中で更に好ましくは、カルメロース、含水二酸化ケイ素、クロスポビドン、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、D-マンニトール、無水クエン酸が挙げられる。
本発明における1種又は2種の製剤の崩壊を促す添加物の配合量(重量%)は、本製剤の小型化の達成、好適な溶出挙動の達成、塩酸サルポグレラートの保存安定性、打錠障害の抑制などの良好な製造性を担保するために、他の賦形剤とのバランスも考慮し、適宜選択しうる。好ましくは、製剤中の配合成分の合計量に対して5〜50重量%であり、好ましくは、5〜30%重量%さらに好ましくは10〜20重量%である。しかし、同処方の同含量の製剤においても、製造方法(製造工程、製造条件)が異なれば、異なった溶出挙動を示す場合があるため、製剤の配合量は厳密に解されるべきではない。特に造粒方法は製剤の溶出挙動に影響を与えうる。
本発明において崩壊を促す添加物を「含有する」とは、本添加物が製剤の崩壊を促す性質を十分に発揮しうる状態で製剤に含まれていれば足り、例えば素錠部に本添加物が存在することが挙げられる。崩壊を促す添加物を含有する製剤の例としては、塩酸サルポグレラートと本添加物を混合し、次いで造粒を行うことで調製される製剤が挙げられる。このようにして調製された塩酸サルポグレラートの製剤(錠剤、散剤又は顆粒剤等)には、服用したときには、原薬の粒子程度まで製剤を崩壊又は分散させ、塩酸サルポグレラートの生体内における吸収を容易にする効果がある。
本発明の経口投与製剤は、塩酸サルポグレラート及びカルボキシメチルセルロースを含有する経口投与製剤であり、好ましくは、塩酸サルポグレラート、カルボキシメチルセルロース及び結晶セルロースを含有する経口投与製剤が挙げられる。
本発明において用いられるカルボキシメチルセルロースは、カルメロース、繊維素グリコール酸、CMCなどとも呼ばれ、結合剤、懸濁(化)剤、粘着剤、賦形剤、崩壊剤、崩壊補助剤などとして用いられる添加剤である。本発明においては、カルボキシメチルセルロースを、配合成分の合計量に対して、5〜30重量%添加することができ、好ましくは10〜20重量%添加することができる。
本発明において用いられる低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、L−HPCなどと呼ばれ、可溶化剤、結合剤、コーティング剤、賦形剤、分散剤、崩壊剤などとして用いられる添加剤である。本発明においては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを配合成分の合計量に対して、0〜30重量%添加することができ、好ましくは10〜20重量%添加することができる。
本発明において用いられる結晶セルロースは、安定化剤、滑沢剤、吸着剤、結合剤、懸濁剤、コーティング剤、糖衣剤、軟化剤、賦形剤、分散剤、崩壊剤、崩壊補助剤、流動化剤などとして用いられる添加剤である。本発明においては、結晶セルロースを配合成分の合計量に対して、0〜40重量%添加することができ、好ましくは15〜25重量%添加することができる。
ここで、カルボキシメチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース及び結晶セルロースの合計量は、配合成分の合計量に対して5〜50重量%の範囲にあることが望ましい。さらに、20〜40重量%であることが好ましい。
本発明の経口投与製剤には、本発明の目的を損なわない範囲内において、経口投与製剤に通常使用される任意の添加剤を含有させることができる。
このような添加剤としては、医学的に許容され、添加剤として使用される各種添加剤であれば特に制限されない。かかる添加剤としては、例えば、乳糖、デンプンやマンニトールなどの賦形剤、ヒドロキシプロピルセルロースやポリビニルアルコールなどの結合剤、軽質無水ケイ酸のような流動化剤、クエン酸のような安定化剤、ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤、甘味剤、保存剤、着色剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
さらに、本発明における経口投与製剤の好ましい組合せとしては、(1)塩酸サルポグレラート、カルボキシメチルセルロース、結晶セルロース、乳糖及びヒドロキシプロピルセルロースである経口投与製剤、(2)塩酸サルポグレラート、カルボキシメチルセルロース、結晶セルロース、乳糖及びポリビニルアルコールである経口投与製剤、(3)塩酸サルポグレラート、カルボキシメチルセルロース、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乳糖及びヒドロキシプロピルセルロースである経口投与製剤、(4)塩酸サルポグレラート、カルボキシメチルセルロース、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乳糖及びポリビニルアルコールである経口投与製剤等が挙げられる。
本発明における経口投与製剤は、水溶性コーティング及び/又は遮光コーティングを施されていてもよい。
本発明における水溶性コーティング剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポビドンなどが挙げられ、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。
本発明における遮光コーティング剤としては、酸化チタンや黄色三二酸化鉄などの色素類が挙げられ、好ましくは酸化チタンが挙げられる。
本発明の経口投与製剤は、顆粒剤、細粒剤、散剤、錠剤などの剤形にして経口的に投与することができるが、好ましくは錠剤が挙げられる。また、錠剤としては、好ましくはコーティング剤が挙げられる。
次に、本発明にかかる経口投与製剤の製造法を説明する。
すなわち、本発明の製剤の製造法としては、塩酸サルポグレラートに、カルボキシメチルセルロース及び流動化剤などの添加物を添加して混合する。その後、撹拌造粒機を用いて、造粒後、乾燥し、造粒顆粒を得る。この顆粒に滑沢剤を加え、ロータリー打錠機で圧縮成形することにより錠剤を得る。得られた錠剤をコーティングパンに入れ、コーティング液をスプレーすることにより、コーティングした錠剤を得る。なお、錠剤以外の各製剤の調製は、常法に従って行うことができる。
本発明の製造法に従えば、打錠障害が発生することもなく、良好な製造性を示す経口投与製剤を得ることができる。
ここで、打錠障害としては、打錠過程で生じるスティッキングが挙げられる。
本発明における「溶出挙動」とは、以下の条件で日本薬局方溶出試験法第2法(パドル法)に従って得られる、塩酸サルポグレラート経口投与製剤(100mg製剤)からの塩酸サルポグレラートの溶出挙動である。
試験条件
試験液量 :900mL
パドル回転数 :50min‐1
温度 :37.5℃
試験液 :日本薬局方崩壊試験液第一液(pH=1.2)、日本薬局方崩壊試験液第二液(pH=6.8)
本発明である塩酸サルポグレラート経口投与製剤の好ましい溶出挙動は、製剤中に含まれる塩酸サルポグレラートの約80重量%以上が15分以内に溶出することであり、更に好ましくは約85重量%以上が15分以内に溶出することである。
本発明の経口投与製剤は、医薬として有用であり、具体的には、慢性動脈閉塞症の治療剤、慢性動脈閉塞症に伴う潰瘍、疼痛及び冷感の虚血性症状の改善剤、間歇性跛行の改善剤、虚血性脳血管障害における血栓・塞栓形成の抑制剤、帯状疱疹後神経痛に伴う疼痛の軽減剤として使用することができる。
本発明における、塩酸サルポグレラートを医薬の有効成分として用いる際の投与量は、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、投与方法、排泄速度、薬物の組合せ、患者のその時に治療を行っている病状の程度に応じ、それらあるいはその他の要因を考慮して決められるが、例えばその1日投与量は100〜500mg/人/日である。従って、本発明の経口投与製剤には、上記投与量に応じた量の塩酸サルポグレラートを適度含有させたものとすることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、これらの記載に限定されるものではない。なお、以下で用いた塩酸サルポグレラートとしては、特開昭58−32847号公報の実施例2記載の製造方法によって製造されたものを使用した。
実施例1:カルボキシメチルセルロース含有小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤の製造
(1)塩酸サルポグレラート56重量%、結晶セルロース19重量%、カルボキシメチルセルロース(ニチリン化学製、NS-300)14重量%及び軽質無水ケイ酸1重量%を混合した。その後、高速撹拌造粒機(パウレック製、バーチカルグラニュレーター)を用いて、クエン酸1重量%及びヒドロキシプロピルセルロース2重量%を含む水溶液で造粒後、乾燥し、造粒顆粒を得た。この顆粒にステアリン酸マグネシウム2.4重量%を加え、ロータリー打錠機で圧縮成形(直径7.6mm)することにより、素錠を得た。
(2)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、TC-5RG)3重量%、酸化チタン0.6重量%、マクロゴール6000 0.6重量%及びタルク0.4重量%を精製水に溶解又は分散し、コーティング液を得た。
(3)上記(1)で得られた素錠をコーティングパンに入れ、上記(2)で得られたコーティング液をスプレーすることにより、コーティング錠を得た。
この結果、1錠中塩酸サルポグレラート100mgを含有し、全重量178mg、直径7.7mm、厚み4.1mmの寸法の経口投与製剤や、1錠中塩酸サルポグレラート50mgを含有し、全重量90mg、直径6.6mm、厚み3.0mmの寸法の経口投与製剤を得ることができた。すなわち、本発明によれば、塩酸サルポグレラートの含有量が50重量%以上である経口投与製剤を得ることが可能である。
一方、従来の100mg製剤(三菱ウェルファーマ製 アンプラーグ(登録商標)錠100mg)は、1錠中の塩酸サルポグレラートの含有量が100mgであり、全重量291mg、直径8.8mm、厚み4.8mmの寸法であった。また、従来の50mg製剤(三菱ウェルファーマ製 アンプラーグ(登録商標)錠50mg)は、1錠中の塩酸サルポグレラートの含有量が50mgであり、全重量188mg、直径7.7mm、厚み4.1mmの寸法であった。
従って、従来の経口投与製剤の塩酸サルポグレラートの含有率は、35重量%未満であった。
本発明の経口投与製剤として、表1に示す組成を有するコーティング錠を調整した。
Figure 0004901966
参考:カルメロースカルシウム含有小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤の製造
(1)塩酸サルポグレラート56重量%、結晶セルロース19重量%、カルメロースカルシウム(ニチリン化学製、ECG505)14重量%及び軽質無水ケイ酸1重量%を混合した。その後、高速撹拌造粒機(パウレック製、バーチカルグラニュレーター)を用いて、クエン酸1重量%及びヒドロキシプロピルセルロース2重量%を含む水溶液で造粒後、乾燥し、造粒顆粒を得た。この顆粒にステアリン酸マグネシウム2.4重量%を加え、ロータリー打錠機で圧縮成形(直径7.5mm)することにより、素錠を得た。
(2)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、TC-5RG)3重量%、酸化チタン0.6重量%、マクロゴール6000 0.6重量%及びタルク0.4重量%を精製水に溶解又は分散し、コーティング液を得た。
(3)上記(1)で得られた素錠をコーティングパンに入れ、上記(2)で得られたコーティング液をスプレーすることにより、コーティング錠を得た。
参考:カルボキシメチルスターチナトリウム含有小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤の製造(攪拌造粒)
(1)塩酸サルポグレラート56重量%、結晶セルロース23重量%、カルボキシメチルスターチナトリウム(DMV製、プリモジェル)10重量%及び軽質無水ケイ酸1重量%を混合した。その後、高速撹拌造粒機(パウレック製、バーチカルグラニュレーター)を用いて、クエン酸1重量%及びヒドロキシプロピルセルロース2重量%を含む水溶液で造粒後、乾燥し、造粒顆粒を得た。この顆粒にステアリン酸マグネシウム2.4重量%を加え、ロータリー打錠機で圧縮成形(直径7.5mm)することにより、素錠を得た。
(2)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、TC-5RG)3重量%、酸化チタン0.6重量%、マクロゴール6000 0.6重量%及びタルク0.4重量%を精製水に溶解又は分散し、コーティング液を得た。
(3)上記(1)で得られた素錠をコーティングパンに入れ、上記(2)で得られたコーティング液をスプレーすることにより、コーティング錠を得た。
参考:カルボキシメチルスターチナトリウム含有小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤の製造(流動層造粒)
(1)塩酸サルポグレラート56重量%、乳糖17重量%、コーンスターチ7重量%を、流動層造粒機(パウレック製、マルチプレックス)を用いて、クエン酸1重量%及びヒドロキシプロピルセルロース2重量%を含む水溶液で造粒後、乾燥し、造粒顆粒を得た。この顆粒に、クロスカルメロースナトリウム10重量%(DMV製、アクチゾル)及びステアリン酸マグネシウム2.4重量%を加え、ロータリー打錠機で圧縮成形(直径7.5mm)することにより、素錠を得た。
(2)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、TC-5RG)3重量%、酸化チタン0.6重量%、マクロゴール6000 0.6重量%及びタルク0.4重量%を精製水に溶解又は分散し、コーティング液を得た。
(3)上記(1)で得られた素錠をコーティングパンに入れ、上記(2)で得られたコーティング液をスプレーすることにより、コーティング錠を得た。
参考:ポビドン含有小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤の製造
(1)塩酸サルポグレラート56重量%、結晶セルロース19重量%、ポビドン(ISP製、プラスドンXL10)14重量%及び軽質無水ケイ酸1重量%を混合した。その後、高速撹拌造粒機(パウレック製、バーチカルグラニュレーター)を用いて、クエン酸1重量%及びヒドロキシプロピルセルロース2重量%を含む水溶液で造粒後、乾燥し、造粒顆粒を得た。この顆粒にステアリン酸マグネシウム2.4重量%を加え、ロータリー打錠機で圧縮成形(直径7.5mm)することにより、素錠を得た。
(2)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、TC-5RG)3重量%、酸化チタン0.6重量%、マクロゴール6000 0.6重量%及びタルク0.4重量%を精製水に溶解又は分散し、コーティング液を得た。
(3)上記(1)で得られた素錠をコーティングパンに入れ、上記(2)で得られたコーティング液をスプレーすることにより、コーティング錠を得た。
参考:クロスカルメロースナトリウム含有小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤の製造(攪拌造粒)
(1)塩酸サルポグレラート56重量%、結晶セルロース23重量%、クロスカルメロースナトリウム(FMC製、アクチゾル)10重量%及び軽質無水ケイ酸1重量%を混合した。その後、高速撹拌造粒機(パウレック製、バーチカルグラニュレーター)を用いて、クエン酸1重量%及びヒドロキシプロピルセルロース2重量%を含む水溶液で造粒後、乾燥し、造粒顆粒を得た。この顆粒にステアリン酸マグネシウム2.4重量%を加え、ロータリー打錠機で圧縮成形(直径7.5mm)することにより、素錠を得た。
(2)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、TC-5RG)3重量%、酸化チタン0.6重量%、マクロゴール6000 0.6重量%及びタルク0.4重量%を精製水に溶解又は分散し、コーティング液を得た。
(3)上記(1)で得られた素錠をコーティングパンに入れ、上記(2)で得られたコーティング液をスプレーすることにより、コーティング錠を得た。
参考:クロスカルメロースナトリウム含有小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤の製造(流動層造粒)
(1)塩酸サルポグレラート59重量%、乳糖18重量%、コーンスターチ8重量%を、流動層造粒機(パウレック製、マルチプレックス)を用いて、クエン酸1重量%及びヒドロキシプロピルセルロース2重量%を含む水溶液で造粒後、乾燥し、造粒顆粒を得た。この顆粒に、クロスカルメロースナトリウム5重量%(DMV製、アクチゾル)及びステアリン酸マグネシウム2.4重量%を加え、ロータリー打錠機で圧縮成形(直径7.5mm)することにより、素錠を得た。
(2)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学製、TC-5RG)3重量%、酸化チタン0.6重量%、マクロゴール6000 0.6重量%及びタルク0.4重量%を精製水に溶解又は分散し、コーティング液を得た。
(3)上記(1)で得られた素錠をコーティングパンに入れ、上記(2)で得られたコーティング液をスプレーすることにより、コーティング錠を得た。
試験例1:小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤の溶出試験
実施例1で製造した小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤(100mg製剤)と従来の製剤(100mg製剤)の溶出試験を日本薬局方溶出試験法第2法(パドル法)に従って行った。具体的には、測定条件を、試験液量900mL、パドル回転数50min-1、温度37.5℃とした。
ここで、小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤(100mg製剤)の試験液としては、pH1.2緩衝液(日本薬局方崩壊試験液第一液)、pH5.0(McIlvaine緩衝液:図1)、pH6.8(日本薬局方崩壊試験液第二液:図1)を使用した。
一方、従来の製剤(100mg製剤)の試験液としては、pH1.2緩衝液(日本薬局方崩壊試験液第一液)、pH4.0(酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液:図2)、pH6.8(日本薬局方試薬・試液のリン酸塩緩衝液(1→2):図2)、水(日本薬局方精製水)を使用した。
図1及び図2に、本発明の小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤(100mg製剤)及び従来の製剤(100mg製剤)の溶出速度を示す。
この結果、実施例1で製造した小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤において、有効成分である塩酸サルポグレラートの80重量%以上が、試験開始から15分以内に溶出することが明らかとなった。従って、本発明にかかる小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤は、従来の製剤に比べて、有効成分である塩酸サルポグレラートの含有率が高く、小型化されているにもかかわらず、従来の製剤と同様に速やかな溶出速度を示す薬剤であることが明らかとなった。
試験例2:小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤の溶出試験
参考で製造した小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤(100mg製剤)の溶出試験を日本薬局方溶出試験法第2法(パドル法)に従って行った。具体的には、測定条件を、試験液量900mL、パドル回転数50min-1、温度37.5℃とした。
ここで、小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤(100mg製剤)の試験液としては、pH6.8(日本薬局方崩壊試験液第二液)を使用した。
この結果、参考で製造した小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤において、有効成分である塩酸サルポグレラートの80重量%以上が、試験開始から15分以内に溶出することが明らかとなった。従って、本発明にかかる小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤は、従来の製剤に比べて、有効成分である塩酸サルポグレラートの含有率が高く、小型化されているにもかかわらず、従来の製剤と同様に速やかな溶出速度を示す薬剤であることが明らかとなった。
試験例3:保存安定性試験
実施例1で製造した小型化塩酸サルポグレラート経口投与製剤(100mg製剤)の保存安定性試験を行った。
実施例1で製造した製剤を乾燥剤入りのポリ容器に入れ、温度40±1℃、湿度 75±5%RHの条件で保存した。保存から、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月のそれぞれの時点で製剤を取り出し純度試験を行った。
試験条件
検出器 :紫外吸光光度計(測定波長272nm)
カラム :内径4.6mm、長さ約15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフ用オクタデシルシリル化シリカゲルを充てんする(Inertsil ODS‐3V 4.6mmφ×15cm)。
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相 :水/アセトニトリル/トリフルオロ酢酸混液(65:35:0.05)
流 量 :塩酸サルポグレラートの保持時間が約8分になるように調整する(約1mL/min)。
面積測定範囲:溶媒ピークの後ろから塩酸サルポグレラートの保持時間の約2.5倍の範囲(約20分)。
保存条件 :温度40±1℃、湿度 75±5%RH(加速試験)
類縁物質1:上記条件で測定した場合に約6分に検出される類縁物質
得られた液体クロマトグラフィーのピーク面積値をもとに、塩酸サルポグレラートに対する類縁物質1の量を算出した。その結果を表2に示す。
Figure 0004901966
この結果により、本発明の製剤は、塩酸サルポグレラートの加水分解が抑制された良好な保存安定性を示すことが明らかとなった。
本発明によれば、塩酸サルポグレラートの含有量が40重量%以上の塩酸サルポグレラート経口投与製剤を提供することができる。さらに、本発明によれば、小型化により服用を容易にした塩酸サルポグレラート経口投与製剤を提供することができる。

Claims (6)

  1. 塩酸サルポグレラート、及び製剤の崩壊を促す特徴を有する添加物としてカルボキシメチルセルロースを含有する錠剤。
  2. 錠剤あたりのカルボキシメチルセルロースの含量が5〜30重量%である請求項1に記載の錠剤。
  3. 錠剤あたりのカルボキシメチルセルロースの含量が10〜20重量%である請求項1に記載の錠剤。
  4. 錠剤あたりの塩酸サルポグレラートの含量が56重量%以下である、請求項2または3に記載の錠剤。
  5. さらに、結晶セルロースを含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の錠剤。
  6. 水溶性コーティング及び/又は遮光コーティングが施された、請求項1〜のいずれか1項に記載の錠剤。
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