以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1に従う電源装置が搭載された車両の構成を説明するブロック図である。
図1を参照して、本発明によるハイブリッド車両100は、バッテリ10と、ハイブリッドECU(Electronic Control Unit)15と、PCU(Power Control Unit)20と、動力出力装置30と、ディファレンシャルギヤ(Differential Gear)40と、前輪50L,50Rと、後輪60L,60Rと、フロントシート70L,70Rと、リアシート80とを備える。
バッテリ10は、たとえばニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池からなり、直流電圧をPCU20へ供給するとともに、PCU20からの直流電圧によって充電される。バッテリ10は、たとえばリアシート80の後方部に配置されて、PCU20と電気的に接続される。PCU20は、ハイブリッド車両100内で必要となる電力変換器を統括的に示すものである。
ハイブリッドECU15へは、運転状況・車両状況を示す各種センサからの各種センサ出力17が入力される。各種センサ出力17には、アクセルペダル35に配置された位置センサによって検出されるアクセル踏込み量に応じたアクセル開度や車輪速度センサ出力等が含まれる。ハイブリッドECU15は、入力されたこれらのセンサ出力に基づき、ハイブリッド車両100に関する種々の制御を統括的に行なう。
動力出力装置30は、車輪駆動力源として設けられ、エンジンおよび/またはモータジェネレータMG1,MG2を含む。これらは動力分割機構PSD(図2)を介して機械的に連結される。そして、ハイブリッド車両100の走行状況に応じて、動力分割機構PSDを介して上記3者の間で駆動力の配分および結合が行なわれ、その結果として前輪50L,50Rが駆動される。DG40は、動力出力装置30からの動力を前輪50L,50Rに伝達するとともに、前輪50L,50Rの回転力を動力出力装置30に伝達する。
これにより、動力出力装置30は、エンジンおよび/またはモータジェネレータMG1,MG2による動力を、DG40を介して前輪50L,50Rに伝達して前輪50L,50Rを駆動する。また、動力出力装置30は、前輪50L,50RによるモータジェネレータMG1,MG2の回転力によって発電し、その発電した電力をPCU20へ供給する。
なお、モータジェネレータMG1,MG2は、発電機としても電動機としても機能し得るが、モータジェネレータMG1が、主として発電機として動作し、モータジェネレータMG2が、主として電動機として動作する。
詳細には、モータジェネレータMG1は、加速時において、エンジンを始動する始動機として用いられる。このとき、モータジェネレータMG1は、バッテリ10からの電力の供給を受けて電動機として駆動し、エンジンをクランキングして始動する。
さらに、エンジンの始動後において、モータジェネレータMG1は、動力分割機構を介して伝達されたエンジンの駆動力によって回転されて発電する。
モータジェネレータMG2は、バッテリ10に蓄えられた電力およびモータジェネレータMG1の発電した電力の少なくともいずれか一方によって駆動される。モータジェネレータMG2の駆動力は、DG40を介して前輪50L,50Rの駆動軸に伝達される。これにより、モータジェネレータMG2は、エンジンをアシストして車両を走行させたり、自己の駆動力のみによって車両を走行させたりする。
また、車両の回生制動時には、モータジェネレータMG2は、前輪50L,50Rにより駆動されて発電機として動作する。このとき、モータジェネレータMG2により発電された回生電力は、PCU20を介してバッテリ10に充電される。
PCU20は、モータジェネレータMG1,MG2の力行動作時には、ハイブリッドECU15からの制御指示に従って、バッテリ10からの直流電圧を昇圧するとともに、その昇圧した直流電圧を交流電圧に変換して、動力出力装置30に含まれるモータジェネレータMG1,MG2を駆動制御する。
また、PCU20は、モータジェネレータMG1,MG2の回生制動時には、ハイブリッドECU15からの制御指示に従って、モータジェネレータMG1,MG2の発電した交流電圧を直流電圧に変換してバッテリ10を充電する。
このように、ハイブリッド車両100では、バッテリ10と、PCU20と、ハイブリッドECU15のうちのPCU20を制御する部分とによって、モータジェネレータMG1,MG2を駆動制御する「電源装置」が構成される。
しかしながら、この電源装置においては、バッテリ10の故障もしくはバッテリ10の充放電状態を検知するセンサ類の故障等によって、バッテリ10が使用不能となる異常が発生すると、モータジェネレータMG1,MG2の駆動制御が不安定となるため、車両の走行が困難となる場合がある。
そこで、このようにバッテリ10に異常が発生した場合には、ハイブリッドECU15は、バッテリ10と電源ラインとを接続するためのシステムメインリレーを非導通(オフ)することにより、バッテリ10を電源装置から遮断する。そして、エンジンから出力された動力の一部を、モータジェネレータMG1とモータジェネレータMG2とによる動力−電力、電力−動力の変換を伴なって要求トルクを駆動軸に出力することにより、ハイブリッド車両100を走行させる。以下、このようなバッテリ10を用いない走行を、「バッテリレス走行」とも称する。
次に、この発明による電源装置の構成について説明する。
図2は、この発明による電源装置の構成を示すブロック図である。
図2を参照して、この発明による電源装置は、「電源」に相当するバッテリ10と、PCU20のうちのモータジェネレータMG1,MG2の駆動制御に関する部分(以下、当該部分についても単に「PCU20」と称する)と、ハイブリッドECU15のうちのPCU20を制御する部分とを備える。
PCU20は、システムメインリレーSMR1,SMR2と、コンバータ110と、コンデンサC1,C2と、モータジェネレータMG1,MG2にそれぞれ対応するインバータ131,132と、MGECU140とを含む。
システムメインリレーSMR1,SMR2は、バッテリ10からインバータ131,132に対する電力供給経路を導通/遮断する。具体的には、システムメインリレーSMR1は、バッテリ10の正極と電源ライン101との間に接続される。システムメインリレーSMR2は、バッテリ10の負極とアースライン102との間に接続される。なお、図示は省略するが、バッテリ10の負極とアースライン102との間に抵抗を介して、システムメインリレーSMR3をさらに接続する構成としてもよい。システムメインリレーSMR1,SMR2は、それぞれ、MGECU140からの信号SEにより導通/非導通(オン/オフ)される。
コンデンサC1は、電源ライン101とアースライン102との間に接続され、電源ライン101とアースライン102との間の電圧変動を平滑化する。電圧センサ120は、コンデンサC1の両端の電圧VLを検出し、その検出した電圧VLをMGECU140へ出力する。
コンバータ110は、一例として、昇降圧チョッパ回路により構成され、リアクトルL1と、電力用半導体スイッチング素子(以下、単にスイッチング素子とも称する)Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。この実施の形態におけるスイッチング素子としては、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が適用される。コンバータ110は、コンデンサC1から供給された直流電圧を昇圧してコンデンサC2へ供給する。より具体的には、コンバータ110は、MGECU140からスイッチング制御信号PWMCを受けると、スイッチング制御信号PWMCによってスイッチング素子Q2がオンされた期間に応じて直流電圧を昇圧してコンデンサC2に供給する。
また、コンバータ110は、MGECU140からスイッチング制御信号PWMCを受けると、コンデンサC2から供給された直流電圧を降圧してバッテリ10を充電する。
電源ライン103およびアースライン102の間には、コンデンサC2が接続されている。コンデンサC2は、コンバータ110からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ131,132へ供給する。電圧センサ122は、コンデンサC2の両端の電圧VHを検出し、その検出した電圧VHをMGECU140へ出力する。
インバータ131は、エンジンENGのクランクシャフトから伝達する回転トルクによってモータジェネレータMG1が発電した電力をコンバータ110に戻す。
インバータ131は、U相アームを構成するスイッチング素子Q3,Q4と、V相アームを構成するスイッチング素子Q5,Q6と、W相アームを構成するスイッチング素子Q7,Q8とを含む。また、各スイッチング素子Q3〜Q8のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流す逆並列ダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。スイッチング素子Q3〜Q8は、MGECU140からのスイッチング制御信号PWMI1に基づいてオン・オフ制御、すなわちスイッチング制御される。
モータジェネレータMG1は、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルが中性点に共通接続されて構成された3相永久磁石モータである。スイッチング制御によりU相電圧が発生される、スイッチング素子Q3,Q4の中間点は、U相コイルと電気的に接続される。同様に、V相電圧が発生される、スイッチング素子Q5,Q6の中間点は、V相コイルと電気的に接続される。さらに、W相電圧が発生される、スイッチング素子Q7,Q8の中間点は、W相コイルと電気的に接続される。
インバータ132は、コンバータ110に対してインバータ131と並列に接続される。インバータ132は、前輪50L,50R(図1)を駆動するモータジェネレータMG2に対してコンバータ110の出力する直流電圧を三相交流電圧に変換して出力する。また、インバータ132は、回生制動に伴ない、モータジェネレータMG2において発電された電力をコンバータ110に戻す。
インバータ132の内部構成は、図示しないがインバータ131と同様であり、詳細な説明は繰り返さない。インバータ132の各相アームを構成するスイッチング素子は、MGECU140からのスイッチング制御信号PWMI2に基づいてスイッチング制御される。
モータジェネレータMG2は、モータジェネレータMG1と同様に、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルが中性点に共通接続されて構成された3相永久磁石モータである。インバータ132の各相アームの中間点は、モータジェネレータMG2のU相コイル、V相コイルおよびW相コイルとそれぞれ電気的に接続される。
ハイブリッドECU15は、各種センサ出力17に基づき、所望の駆動力発生や発電が行なわれるように、各モータジェネレータMG1,MG2の運転指令を生成して、MGECU140へ出力する。この運転指令には、各モータジェネレータMG1,MG2の運転許可/禁止指示や、トルク指令値、回転数指令等が含まれる。
MGECU140は、モータジェネレータMG1に配置された電流センサおよび位置センサ(ともに図示せず)からの各相のモータ駆動電流および回転子の回転角の検出値に基づくフィードバック制御により、ハイブリッドECU15からの運転指令に従ってモータジェネレータMG1が動作するように、スイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作を制御するスイッチング制御信号PWMI1を発生する。
また、MGECU140は、モータジェネレータMG2に配置された電流センサおよび位置センサ(ともに図示せず)からの各相のモータ駆動電流および回転子の回転角の検出値に基づくフィードバック制御により、ハイブリッドECU15からの運転指令に従ってモータジェネレータMG2が動作するように、スイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作を制御するスイッチング制御信号PWMI2を発生する。
さらに、MGECU140は、ハイブリッドECU15からの運転指令に基づいて、モータジェネレータMG1,MG2の高効率化のためのモータ動作電圧(コンバータC2の両端の電圧であって、インバータ131,132の入力電圧に相当する。以下同じ。)VHの電圧指令値を算出する。そして、MGECU140は、その算出した電圧指令値に基づいてコンバータ110での昇圧比(VH/VL)を決定し、この昇圧比が実現されるように、スイッチング制御信号PWMCを発生する。
また、MGECU140は、ハイブリッド車両100の回生制動時には、インバータ131,132から供給された直流電圧(モータ動作電圧VH)を降圧するように、スイッチング制御信号PWMCを発生する。すなわち回生制動時には、コンバータ110は、スイッチング素子Q1,Q2がスイッチング制御信号PWMCに応答してオン・オフすることにより、モータ動作電圧VHを降圧して直流電圧VLを電源ライン101およびアースライン102の間に出力する。バッテリ10は、コンバータ110からの直流電圧VLによって充電される。このように、コンバータ110は、モータ動作電圧VHを直流電圧VLへ降圧することもできるので、双方向コンバータの機能を有している。
PCU20は、DC/DCコンバータ130と、補機バッテリSBとをさらに含む。
DC/DCコンバータ130は、電源ライン101とアースライン102との間に接続され、コンバータ110からの直流電力を所定の直流電圧に降圧して、補機バッテリSBおよび図示しない低圧補機類へ供給する。なお、低圧補機類は、バッテリ10の出力電圧に比較して低圧で作動する補機類の総称であり、一例として、ハイブリッドECU15などの車両の走行を制御するECU関係、灯火装置、点火装置、電動ポンプなどを含む。
補機バッテリSBは、一例として鉛蓄電池などからなり、DC/DCコンバータ130の出力側に接続され、DC/DCコンバータ130からの直流電力で充電される一方、低圧補機類へその蓄えた電力を供給する。すなわち、補機バッテリSBは、DC/DCコンバータ130の出力電力と低圧補機類の需要電力とのアンバランスを補うための電力バッファとしても機能する。
ここで、図2の構成からなる電源装置においては、上述したように、バッテリ10に異常が発生すると、ハイブリッドECU15は、バッテリ10の充放電を禁止してハイブリッド車両100をバッテリレス走行させる。
具体的には、ハイブリッドECU15は、バッテリ10の異常に関する情報を受けると、システムメインリレーSMR1,SMR2を非導通(オフ)するための遮断指令(以下、SMR遮断指令と称す)を生成してMGECU140へ送出する。システムメインリレーSMR1,SMR2をオフにするのは、モータジェネレータMG1の逆起電力による発電により、電源ライン101およびアースライン102の間に生じる電圧がバッテリ10の端子間電圧よりも低くなる(または高くなる)場合があるためである。
MGECU140は、ハイブリッドECU15からのSMR遮断指令を受けると、システムメインリレーSMR1,SMR2をオフするように信号SEを生成する。これにより、バッテリ10は電源装置から遮断される。
そして、MGECU140は、エンジンENGの回転に伴なってモータジェネレータMG1が回転することにより生じる逆起電力をモータジェネレータMG2に供給するようにエンジンENGおよびモータジェネレータMG1,MG2を駆動制御し、要求トルクに基づくトルクを駆動軸に出力させる。これにより、ハイブリッド車両100はバッテリレス走行が可能となる。なお、このとき、モータジェネレータMG1に生じた逆起電力からモータジェネレータMG2の消費電力を差し引いた電力がコンデンサC2に蓄えられる。
MGECU140は、さらに、このコンデンサC2に蓄えられた電力を、コンバータ110により降圧してDC/DCコンバータ130へ供給する。補機バッテリSBおよび低圧補機類へ電力を供給することにより、低圧補機類(特にECU関係)が正常動作不能となるのを未然に防止するためである。
すなわち、バッテリレス走行の実行中において、コンバータ110は、モータ動作電圧VHを直流電圧VLへ降圧するように制御される。この降圧制御において、MGECU140は、モータ動作電圧VHを降圧するときの目標電圧である電圧指令値VL*を設定する。そして、MGECU140は、直流電圧VLがその設定した電圧指令値VL*になるようにモータ動作電圧VHを直流電圧VLに降圧するためのスイッチング制御信号PWMCを生成してコンバータ110へ出力する。
なお、電圧指令値VL*は、バッテリ10の端子間電圧Vbに略等しい所定の電圧に設定される。バッテリ10が遮断された後においても、補機バッテリSBおよび低圧補機類への電力供給を継続させるためである。以下、このように直流電圧VLを一定電圧に保つためのコンバータ110の降圧制御を、「VL一定制御」とも称する。
このような一連の制御を行なうことにより、バッテリレス走行中においては、制御上ではバッテリ10を充放電することなく動力を出力することが可能となる。しかしながら、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着している場合には、システムメインリレーSMR1,SMR2をオフしても通電状態が継続することになるため、車両状態によってはバッテリ10に充放電を発生させてしまうという問題が生じる。
そこで、本実施の形態に従う電源装置は、上述したVL一定制御が行なわれる初期において、システムメインリレーSMR1,SMR2の溶着を判定する構成とする。
具体的には、システムメインリレーSMR1,SMR2の溶着判定は、VL一定制御における電圧指令値VL*を、上述した所定の電圧(略バッテリ10の端子間電圧Vb)から故意に変動させることにより行なわれる。そして、このときの直流電圧VLが電圧指令値VL*の関係に基づいて、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着しておらず、正常であると判定された場合には、ハイブリッドECU15は、ハイブリッド車両100のバッテリレス走行を許可する。
このような構成としたことにより、バッテリ10が確実に電源装置から遮断されたことが保証されている状況の下でハイブリッド車両100のバッテリレス走行を行なうことが可能となる。なお、溶着判定は、以下に述べるように、VL一定制御を利用して行なわれるため、溶着検出回路等の新規部品を追加することなく、既存の装置構成で行なうことができる。
(システムメインリレーの溶着判定)
以下に、図3を参照して、システムメインリレーSMR1,SMR2の溶着を判定するためのハイブリッドECU15の制御構造を説明する。
図3は、この発明の実施の形態に従うハイブリッドECU15における制御構造を示すブロック図である。図3に示す制御ブロックは、代表的にハイブリッドECU15が予め格納されたプログラムを実行することで実現されるが、その構成の一部または全部を専用のハードウェアとして実現してもよい。
図3を参照して、ハイブリッドECU15は、HV制御部160と、SMR溶着判定部162と、タイマ164とを含む。
ハイブリッドECU15は、バッテリ10の充放電を制御するバッテリECU200によって検知された、バッテリ10の異常に関する情報を受ける。
HV制御部160は、バッテリ10の異常情報を受けると、MGECU140に対して、SMR遮断指令を発する。さらに、HV制御部160は、上述したVL一定制御を行なうためのVL一定要求を生成して、MGECU140へ送出する。
タイマ164は、VL一定要求が発せられてからの経過時間(以下、要求後経過時間とも称す)tを計時する。
MGECU140は、インバータ制御部142と、コンバータ制御部144とからなる。コンバータ制御部144は、HV制御部160からのSMR遮断指令に従って、システムメインリレーSMR1,SMR2をオフするための信号SEを生成する。コンバータ制御部144は、さらに、VL一定要求に応じてモータ動作電圧VHを降圧するときの目標電圧(電圧指令値)VL*を設定し、その設定した電圧指令値VL*と、モータ動作電圧VHと、直流電圧VLとに基づいて、直流電圧VLが電圧指令値VL*になるようにモータ動作電圧VHを電圧指令値VL*へ降圧するためのスイッチング制御信号PWMCを生成してコンバータ110へ出力する。
SMR溶着判定部162は、バッテリECU200からバッテリ10の異常情報を受けると、VL一定制御が行なわれる初期において、システムメインリレーSMR1,SMR2の溶着を判定する。
具体的には、SMR溶着判定部162は、VL一定要求が発せられたことに応じて、VL一定制御における電圧指令値VL*を、予め設定されている所定の電圧(略バッテリ10の充放電電圧Vbに相当する。)から故意に変動させる。なお、このときの電圧指令値VL*の変動幅は、後述するように、予めバッテリ10を接続した状態において取得されている直流電圧VLの変動幅以上となるように設定される。
コンバータ制御部144は、SMR溶着判定部162から電圧指令値VL*を受けると、電圧指令値VL*と、モータ動作電圧VHと、直流電圧VLとに基づいて、直流電圧VLが電圧指令値VL*になるようにモータ動作電圧VHを電圧指令値VL*へ降圧するためのスイッチング制御信号PWMCを生成してコンバータ110へ出力する。これにより、コンバータ110は、直流電圧VLが電圧指令値VL*になるようにモータ動作電圧VHを直流電圧VLに降圧する。電圧センサ120は、降圧後の直流電圧VLを検出してSMR溶着判定部162へ出力する。
SMR溶着判定部162は、電圧センサ120から直流電圧VLを受けると、直流電圧VLと電圧指令値VL*との関係に基づいて、システムメインリレーSMR1,SMR2の溶着を判定する。そして、システムメインリレーSMR1が溶着していない(正常である)と判定された場合には、SMR溶着判定部162は、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着しているか否かを示すSMR判定フラグFSMRを、正常であることを示す「1」にセットする。その一方で、SMR溶着判定部162は、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していると判定された場合には、SMR判定フラグFSMRを、システムメインリレーSMR1が溶着していることを示す「0」にリセットする。
最後に、HV制御部160は、SMR判定フラグFSMRが「1」である場合には、ハイブリッド車両100をバッテリレス走行させるためのモータジェネレータMG1,MG2の運転指令を生成して、MGECU140へ送出する。MGECU140が上述したモータジェネレータMG1,MG2の駆動制御を行なうことにより、ハイブリッド車両100はバッテリレス走行が可能となる。
その一方で、SMR判定フラグFSMRが「0」である場合には、HV制御部160は、ハイブリッド車両100を、車両が走行許可状態となるReady状態からオフ状態へ遷移させる。これにより、ハイブリッド車両100は走行を停止する。
図4は、この発明の実施の形態1に従うシステムメインリレーSMR1,SMR2の溶着判定動作を説明するためのタイミングチャートである。
図4を参照して、ハイブリッドECU15のHV制御部160(図3)は、バッテリECU200によって検知された、バッテリ10の異常情報を受けると、時刻t1においてSMR遮断指令を発する。MGECU140のコンバータ制御部144(図3)は、SMR遮断指令に従って、システムメインリレーSMR1,SMR2を遮断するための信号SEを生成してシステムメインリレーSMR1,SMR2へ出力する。
さらに、HV制御部160は、時刻t2においてVL一定要求を生成してコンバータ制御部144へ送出する。コンバータ制御部144は、VL一定要求を受けると、直流電圧VLを電圧指令値VL*に設定するためのVL一定制御を開始する。
このとき、ハイブリッドECU15のSMR溶着判定部162は、VL一定制御における電圧指令値VL*を、予め設定されている所定の電圧(略バッテリ10の充放電電圧Vbに相当する。)から故意に変動させる。
具体的には、SMR溶着判定部162は、バッテリ10を電源装置に接続した状態でVL一定制御を行なった場合の直流電圧VLの変動範囲を予め取得している。図4において、直流電圧VLは、バッテリ10の端子間電圧Vbを中心として±ΔVの変動幅を有している。図中の電圧V1は当該変動範囲の下限値(Vb−ΔV)を示し、電圧V2は当該変動範囲の上限値(Vb+ΔV)を示している。
SMR溶着判定部162は、この直流電圧VLの変動範囲に基づいて、2つの電圧指令値VL*を設定する。一方の電圧指令値VL*は、下限値である電圧V1よりも低い電圧に設定され、他方の電圧指令値VL*は、上限値である電圧V2よりも高い電圧に設定される。SMR溶着判定部162は、これら2つの電圧指令値VL*を少なくとも1回切り換える。そして、SMR溶着判定部162は、2つの電圧指令値VL*の各々に従ってコンバータ110が降圧動作を行なったときに電圧センサ120にて検出される直流電圧VLに基づいて、システムメインリレーSMR1,SMR2の溶着を判定する。すなわち、本実施の形態に従う電源装置によれば、システムメインリレーSMR1,SMR2の溶着判定は、少なくとも2回行なわれることとなる。
たとえば図4の場合では、電圧指令値VL*が1回切り換えられているため、システムメインリレーSMR1,SMR2の溶着判定は2回行なわれる。
具体的には、時刻t2にてVL一定要求が発せられると、SMR溶着判定部162は、最初に、電圧指令値VL*を電圧V1よりも低い電圧に設定する。これにより、コンバータ110は、直流電圧VLが電圧指令値VL*(<V1)になるようにモータ動作電圧VHの降圧動作を行なう。そして、時刻t2から時刻t4までの期間T1において、SMR溶着判定部162は、1回目の溶着判定を行なう。
このとき、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していない場合には、直流電圧VLは、ラインLN1で示すように、電圧指令値VL*に追従して電圧V1よりも低い電圧に変化する。一方、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着している場合には、直流電圧VLは、ラインLN2で示すように、電圧指令値VL*に追従することなく、バッテリ10の端子間電圧Vbに略等しい電圧レベルを維持する。
そこで、SMR溶着判定部162は、電圧センサ120からの直流電圧VLが電圧V1を下回る期間が所定の基準時間Ta以上継続している場合には、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していないと判定する。このとき、SMR溶着判定部162は、ラインLN3で示すように、1回目の溶着判定結果を示す判定フラグF1を「1」にセットする。
一方、直流電圧VLが電圧V1を下回る期間が所定の基準時間Taよりも短い場合には、SMR溶着判定部162は、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していると判定する。この場合、SMR溶着判定部162は、ラインLN4で示すように、判定フラグF1を「0」にリセットする。
なお、所定の基準時間Taは、コンバータ110の降圧動作時に直流電圧VLに重畳するノイズや直流電圧VLのアンダーシュートに起因した誤判定を回避するのに十分な時間に予め設定されている。
次に、SMR溶着判定部162は、電圧指令値VL*を、電圧V2よりも高い電圧に設定する。これにより、コンバータ110は、直流電圧VLが電圧指令値VL*(>V2)になるようにモータ動作電圧VHの降圧動作を行なう。そして、時刻t4から時刻t6までの期間において、SMR溶着判定部162は、2回目の溶着判定を行なう。
このとき、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していない場合には、直流電圧VLは、ラインLN1で示すように、電圧指令値VL*に追従して電圧V2よりも高い電圧に変化する。一方、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着している場合には、直流電圧VLは、ラインLN2で示すように、電圧指令値VL*に追従することなく、バッテリ10の端子間電圧Vbに略等しい電圧レベルを維持する。
そこで、SMR溶着判定部162は、電圧センサ120からの直流電圧VLが電圧V2を上回る期間が所定の基準時間Tb以上継続しているときには、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していないと判定する。この場合、SMR溶着判定部162は、ラインLN5で示すように、2回目の溶着判定結果を示す判定フラグF2を「1」にセットする。
一方、直流電圧VLが電圧V2を上回る期間が所定の基準時間Tbよりも短いときには、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していると判定する。この場合、SMR溶着判定部162は、ラインLN6で示すように、判定フラグF2を「0」にリセットする。
なお、所定の基準時間Tbは、上述した基準時間Taと同様に、コンバータ110の降圧動作時に直流電圧VLに重畳するノイズや直流電圧VLのオーバーシュートに起因した誤判定を回避するのに十分な時間に予め設定されている。
最後に、SMR溶着判定部162は、判定フラグF1,F2を参照し、判定フラグF1が「1」であり、かつ、判定フラグF2が「1」であるときには、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していない(正常である)と判断する。そして、SMR判定フラグFSMRを「1」にセットする。
一方、判定フラグF1およびF2の少なくとも一方が「0」であるときには、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していると判断する。SMR判定フラグFSMRを「0」にリセットする。
このように、本実施の形態によれば、バッテリ10が接続された状態での直流電圧VLの変動範囲よりも低圧側および高圧側に電圧指令値VL*を設定し、各電圧指令値VL*に対する直流電圧VLの追従性に基づいてシステムメインリレーSMR1,SMR2の溶着判定が行なわれる。したがって、システムメインリレーSMR1,SMR2の溶着を確実に検出することができる。その結果、確実にバッテリ10が遮断されたことが保証されている状態でハイブリッド車両100のバッテリレス走行が行なうことができる。
さらに、VL一定制御を利用しているため、溶着検出回路等の新規部品を追加することなく、既存の装置構成で溶着判定を行なうことが可能となる。
以上の処理は、図5および図6に示すような処理フローにまとめることができる。
(フローチャート)
図5および図6は、この発明の実施の形態1に従うハイブリッドECU15によるシステムメインリレーSMR1,SMR2の溶着判定動作の処理手順を説明するフローチャートである。なお、図5および図6に示す各ステップの処理は、ハイブリッドECU15(図2)が図3に示す各制御ブロックとして機能することで実現される。
図5を参照して、HV制御部160として機能するハイブリッドECU15は、バッテリECUからの異常情報に基づいてバッテリ10の異常を検出すると(ステップS01)、SMR遮断指令を発する(ステップS02)。HV制御部160はさらに、VL一定要求を発する(ステップS03)。これにより、コンバータ110ではVL一定制御が開始される。
次に、SMR溶着判定部162として機能するハイブリッドECU15は、VL一定制御における電圧指令値VL*を、電圧V1よりも低い電圧に設定する(ステップS04)。タイマ164は、VL一定要求が発せられてからの経過時間(要求後経過時間)tを計時する(ステップS05)。SMR溶着判定部162は、タイマ164により計時された要求後経過時間tを取得する。
SMR溶着判定部162は、さらに電圧センサ120から直流電圧VLを取得する(ステップS06)。そして、SMR溶着判定部162は、要求後経過時間tが所定の判定期間T1を超えたか否かを判定する(ステップS07)。なお、所定の判定期間T1は、図4に示したように、1回目の溶着判定を行なうための期間として予め設定されたものである。
要求後経過時間tが所定の判定期間T1以下となる場合(ステップS07においてNOの場合)には、処理はステップS06に戻される。
これに対して、要求後経過期間tが所定の判定期間T1を超えている場合(ステップS07においてYESの場合)には、SMR溶着判定部162は、取得された直流電圧VLと電圧V1とを比較することにより、直流電圧V1が電圧V1を下回る期間が所定の基準期間Ta以上継続したか否かを判定する(ステップS08)。
直流電圧VLが電圧V1を下回る期間が所定の基準時間Ta以上継続した場合(ステップS08においてYESの場合)には、SMR溶着判定部162は、システムメインリレーSMR1,SMR2が正常であると判定し、判定フラグF1を「1」にセットする(ステップS09)。
これに対して、直流電圧VLが電圧V1を下回る期間が所定の期間Taよりも短い場合(ステップS08においてNOの場合)には、SMR溶着判定部162は、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していると判定し、判定フラグF1を「0」にリセットする(ステップS10)。
次に、SMR溶着判定部162は、判定フラグF1が「1」であるか否かを判定する(ステップS11)。判定フラグF1が「1」でない場合(ステップS11においてNOの場合)には、SMR溶着判定部162は、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していると判定し、SMR判定フラグFSMRを「0」にリセットする(ステップS22)。
HV制御部160は、SMR判定フラグFSMRを受けると、ハイブリッド車両100を、車両が走行許可状態となるReady状態からオフ状態へ遷移させる。これにより、ハイブリッド車両100は、走行を停止する(ステップS23)。
これに対して、判定フラグF1が「1」である場合(ステップS11においてYESの場合)には、SMR溶着判定部162は、電圧指令値VL*を電圧V2よりも高い電圧に設定する(ステップS12)。タイマ164は、要求後経過時間tを計時する(ステップS13)。SMR溶着判定部162は、タイマ164により計時された要求後経過時間tを取得する。
SMR溶着判定部162は、さらに電圧センサ120から直流電圧VLを取得する(ステップS14)。そして、SMR溶着判定部162は、要求後経過時間tが所定の期間T2を超えたか否かを判定する(ステップS15)。所定の期間T2は、所定の判定期間T1に対して、2回目の溶着判定を行なうための期間として予め設定された所定の判定期間を加算したものである。
要求後経過時間tが所定の期間T2以下となる場合(ステップS15においてNOの場合)には、処理はステップS14に戻される。
これに対して、要求後経過期間tが所定の期間T2を超えている場合(ステップS15においてYESの場合)には、SMR溶着判定部162は、取得された直流電圧VLと電圧V2とを比較することにより、直流電圧V1が電圧V2を上回る期間が所定の基準期間Tb以上継続したか否かを判定する(ステップS16)。
直流電圧VLが電圧V2を上回る期間が所定の基準時間Tb以上継続した場合(ステップS16においてYESの場合)には、SMR溶着判定部162は、システムメインリレーSMR1,SMR2が正常であると判定し、判定フラグF2を「1」にセットする(ステップS17)。
これに対して、直流電圧VLが電圧V2を上回る期間が所定の期間Tbよりも短い場合(ステップS16においてNOの場合)には、SMR溶着判定部162は、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していると判定し、判定フラグF2を「0」にリセットする(ステップS18)。
最後に、SMR溶着判定部162は、判定フラグF2が「1」であるか否かを判定する(ステップS19)。判定フラグF2が「1」である場合(ステップS19においてYESの場合)には、SMR溶着判定部162は、システムメインリレーSMR1,SMR2が正常であると判定し、SMR判定フラグFSMRを「1」にセットする(ステップS20)。HV制御部160は、SMR判定フラグFSMRを受けると、ハイブリッド車両100をバッテリレス走行させるためのモータジェネレータMG1,MG2の運転指令を生成して、MGECU140へ送出する。これにより、ハイブリッド車両100は、バッテリレス走行を実行する(ステップS21)。
これに対して、判定フラグF2が「1」でない(すなわち、「0」である)ある場合(ステップS19においてNOの場合)には、SMR溶着判定部162は、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していると判定し、SMR判定フラグFSMRを「0」にリセットする(ステップS22)。
HV制御部160は、SMR判定フラグFSMRを受けると、ハイブリッド車両100を、車両が走行許可状態となるReady状態からオフ状態へ遷移させる。これにより、ハイブリッド車両100は、走行を停止する(ステップS23)。
なお、図4から図6の説明においては、電圧指令値VL*の切り換えを1回行なった場合のシステムメインリレーSMR1,SMR2の溶着判定動作について例示したが、電圧指令値VL*の切り換えを2回以上行なうことによって、より正確な判定が可能となる。この場合、SMR溶着判定部162は、切り換え後の電圧指令値VL*の各々についてシステムメインリレーSMR1,SMR2の溶着を判定して判定フラグをセット/リセットする。そして、全ての判定フラグが「1」にセットされていることに応じて、システムメインリレーSMR1,SMR2が正常であると判定する。
[実施の形態2]
先の実施の形態1では、VL一定制御における電圧指令値VL*を変動させたときの直流電圧VLの追従性に基づいて、システムメインリレーSMR1,SMR2の溶着を判定する構成について説明した。以下に示す実施の形態2および3では、システムメインリレーSMR1,SMR2の溶着判定についての一形態を、さらに例示して説明する。なお、実施の形態2および3に係る電源装置は、図1〜図3に示す電源装置と基本的な構成を同じとするため、装置構成についての詳細な説明は省略する。
図7は、この発明の実施の形態2に従うシステムメインリレーSMR1,SMR2の溶着判定動作を説明するためのタイミングチャートである。
図7を参照して、ハイブリッドECU15のHV制御部160(図3)は、バッテリECU200によって検知された、バッテリ10の異常情報を受けると、時刻t1においてSMR遮断指令を発する。MGECU140のコンバータ制御部144(図3)は、SMR遮断指令に従って、システムメインリレーSMR1,SMR2をオフするための信号SEを生成してシステムメインリレーSMR1,SMR2へ出力する。
さらに、HV制御部160は、時刻t2においてVL一定要求を生成してコンバータ制御部144へ送出する。コンバータ制御部144は、VL一定要求を受けると、直流電圧VLを電圧指令値VL*に設定するためのVL一定制御を開始する。
このとき、ハイブリッドECU15のSMR溶着判定部162は、VL一定制御における電圧指令値VL*を、予め設定されている所定の電圧(略バッテリ10の充放電電圧Vbに相当する。)から故意に変動させる。
具体的には、SMR溶着判定部162は、バッテリ10を電源装置に接続した状態でVL一定制御を行なった場合の直流電圧VLの変動範囲を予め取得している。図7において、直流電圧VLは、バッテリ10の端子間電圧Vbを中心として±ΔVの変動幅を有している。図中の電圧V1は当該変動範囲の下限値(Vb−ΔV)を示し、電圧V2は当該変動範囲の上限値(Vb+ΔV)を示している。
SMR溶着判定部162は、この直流電圧VLの変動範囲に基づいて、2つの電圧指令値VL*を設定する。一方の電圧指令値VL*は、下限値である電圧V1に設定され、他方の電圧指令値VL*は、上限値である電圧V2に設定される。SMR溶着判定部162は、これら2つの電圧指令値VL*を少なくとも1回切り換える。
そして、SMR溶着判定部162は、2つの電圧指令値VL*の各々に従ってコンバータ110が降圧動作を行なったときに電圧センサ120にて検出される直流電圧VLに基づいて、システムメインリレーSMR1,SMR2の溶着を判定する。すなわち、本実施の形態に従う電源装置によれば、システムメインリレーSMR1,SMR2の溶着判定は、少なくとも2回行なわれることとなる。
たとえば図7の場合では、電圧指令値VL*は1回切り換えられており、システムメインリレーSMR1,SMR2の溶着判定は2回行なわれる。
具体的には、時刻t2にてVL一定要求が発せられると、SMR溶着判定部162は、最初に、電圧指令値VL*を電圧V1に設定する。これにより、コンバータ110は、直流電圧VLが電圧指令値VL*(=V1)になるようにモータ動作電圧VHの降圧動作を行なう。そして、時刻t2から時刻t12までの期間T1において、SMR溶着判定部162は、1回目の溶着判定を行なう。
このとき、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していない場合には、直流電圧VLは、ラインLN11で示すように、電圧指令値VL*に追従して電圧V1に変化する。一方、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着している場合には、直流電圧VLは、ラインLN12で示すように、電圧指令値VL*に追従することなく、バッテリ10の端子間電圧Vbに略等しい電圧レベルを維持する。もしくは、ラインLN13で示すように、直流電圧VLの変動範囲内で略一定の電圧レベルを維持する。
そこで、SMR溶着判定部162は、電圧センサ120からの直流電圧VLと電圧指令値VL*との偏差ΔVL(=|VL*−VL|)を演算する。そして、演算した偏差ΔVLが所定の閾値Vaよりも大きくなる期間が所定の基準期間Ta以上継続している場合には、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していると判定する。このとき、SMR溶着判定部162は、ラインLN15で示すように、1回目の溶着判定結果を示す判定フラグF1を「0」にリセットする。
一方、演算した偏差ΔVLが所定の閾値Vaよりも大きくなる期間が所定の基準期間Taよりも短い場合には、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していないと判定する。この場合、SMR溶着判定部162は、ラインLN4で示すように、判定フラグF1を「1」にセットする。
なお、所定の閾値Vaは、コンバータ110の降圧動作時に直流電圧VLに重畳するノイズに起因した誤判定を回避するのに十分な値に予め設定されている。また、所定の基準時間Taについても、コンバータ110の降圧動作時に直流電圧VLに重畳するノイズに起因した誤判定を回避するのに十分な時間に予め設定されている。
次に、SMR溶着判定部162は、電圧指令値VL*を、電圧V2に設定する。このとき、SMR溶着判定部162は、図7に示すように、電圧指令値VL*を、電圧V2を最終値として所定の変化率で変化するように設定する。なお、所定の変化率は、電圧指令値VL*に対する直流電圧VLの制御応答性が確保される値に予め設定されている。
これにより、コンバータ110は、直流電圧VLが電圧指令値VL*になるようにモータ動作電圧VHの降圧動作を行なう。SMR溶着判定部162は、時刻t12以降において、2回目の溶着判定を行なう。
このとき、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していない場合には、直流電圧VLは、ラインLN11で示すように、電圧指令値VL*に追従して変化する。一方、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着している場合には、直流電圧VLは、ラインLN12またはLN13で示すように、電圧指令値VL*に追従することなく、直流電圧VLの変動範囲内の略一定電圧レベルを維持する。
そこで、SMR溶着判定部162は、電圧センサ120からの直流電圧VLと電圧指令値VL*との偏差ΔVLが所定の閾値Vaよりも大きくなる期間が所定の基準期間Tb以上継続している場合には、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していると判定する。このとき、SMR溶着判定部162は、ラインLN17で示すように、2回目の溶着判定結果を示す判定フラグF2を「0」にリセットする。
一方、演算した偏差ΔVLが所定の閾値Vaよりも大きくなる期間が所定の基準期間Tbよりも短い場合には、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していないと判定する。この場合、SMR溶着判定部162は、ラインLN16で示すように、判定フラグF1を「1」にセットする。
なお、所定の基準時間Tbは、コンバータ110の制御応答性を考慮して、誤判定を回避するのに十分な時間に予め設定されている。
最後に、SMR溶着判定部162は、判定フラグF1が「1」であり、かつ、判定フラグF2が「1」であるときには、システムメインリレーSMR1,SMR2が正常であると判断する。そして、SMR判定フラグFSMRを「1」にセットする。
一方、判定フラグF1およびF2の少なくとも一方が「0」であるときには、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していると判断する。SMR判定フラグFSMRを「0」にリセットする。
以上の処理は、図8および図9に示すような処理フローにまとめることができる。
(フローチャート)
図8および図9は、この発明の実施の形態2に従うハイブリッドECU15によるシステムメインリレーSMR1,SMR2の溶着判定動作の処理手順を説明するフローチャートである。なお、図8および図9に示す各ステップの処理は、ハイブリッドECU15(図2)が図3に示す各制御ブロックとして機能することで実現される。
図8を参照して、HV制御部160として機能するハイブリッドECU15は、バッテリECU200からの異常情報に基づいてバッテリ10の異常を検出すると(ステップS01)、SMR遮断指令を発する(ステップS02)。HV制御部160はさらに、VL一定要求を発する(ステップS03)。これにより、コンバータ110ではVL一定制御が開始される。
次に、SMR溶着判定部162として機能するハイブリッドECU15は、VL一定制御における電圧指令値VL*を、電圧V1に設定する(ステップS041)。タイマ164は、VL一定要求が発せられてからの経過時間である要求後経過時間tを計時する(ステップS05)。SMR溶着判定部162は、タイマ164により計時された要求後経過時間tを取得する。
SMR溶着判定部162は、さらに電圧センサ120から直流電圧VLを取得する(ステップS06)。そして、SMR溶着判定部162は、取得された直流電圧VLと電圧指令値VL*との偏差ΔVLを演算する(ステップS061)。
そして、SMR溶着判定部162は、要求後経過時間tが所定の判定期間T1を超えたか否かを判定する(ステップS07)。なお、所定の判定期間T1は、図4に示したように、1回目の溶着判定を行なうための期間として予め設定されたものである。
要求後経過時間tが所定の判定期間T1以下となる場合(ステップS07においてNOの場合)には、処理はステップS06に戻される。
これに対して、要求後経過期間tが所定の判定期間T1を超えている場合(ステップS07においてYESの場合)には、SMR溶着判定部162は、演算された偏差ΔVLが所定の閾値Vaを上回る期間が所定の基準期間Ta以上継続したか否かを判定する(ステップS081)。
偏差ΔVLが所定の閾値Vaを上回る期間が所定の基準時間Taよりも短い場合(ステップS081においてNOの場合)には、SMR溶着判定部162は、システムメインリレーSMR1,SMR2が正常であると判定し、判定フラグF1を「1」にセットする(ステップS09)。
これに対して、偏差ΔVLが所定の閾値Vaを上回る期間が所定の基準期間Ta以上継続した場合(ステップS081においてYESの場合)には、SMR溶着判定部162は、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していると判定し、判定フラグF1を「0」にリセットする(ステップS10)。
次に、SMR溶着判定部162は、判定フラグF1が「1」であるか否かを判定する(ステップS11)。判定フラグF1が「1」でない場合(ステップS11においてNOの場合)には、SMR溶着判定部162は、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していると判定し、SMR判定フラグFSMRを「0」にリセットする(ステップS22)。
HV制御部160は、SMR判定フラグFSMRを受けると、ハイブリッド車両100を、車両が走行許可状態となるReady状態からオフ状態へ遷移させる。これにより、ハイブリッド車両100は、走行を停止する(ステップS23)。
これに対して、判定フラグF1が「1」である場合(ステップS11においてYESの場合)には、SMR溶着判定部162は、電圧V2に向かって所定の変化率で変化するように、電圧指令値VL*を設定する(ステップS120)。
SMR溶着判定部162は、電圧センサ120から直流電圧VLを取得すると(ステップS14)、取得された直流電圧VLと電圧指令値VL*との偏差ΔVLを演算する(ステップS141)。
そして、SMR溶着判定部162は、演算された偏差ΔVLが所定の閾値Vaを上回る期間が所定の基準期間Tb以上継続したか否かを判定する(ステップS142)。
偏差ΔVLが所定の閾値Vaを上回る期間が所定の基準時間Tb以上継続した場合(ステップS142においてYESの場合)には、SMR溶着判定部162は、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していると判定し、判定フラグF2を「0」にリセットする(ステップS18)。
これに対して、偏差ΔVLが所定の閾値Vaを上回る期間が所定の基準時間Tbよりも短い場合(ステップS142においてNOの場合)には、SMR溶着判定部162は、さらに、電圧指令値VL*が電圧V2に達したか否かを判定する(ステップS143)。電圧指令値VL*が電圧V2に達していない場合(ステップS143においてNOの場合)には、処理はステップS120に戻される。
一方、電圧指令値VL*が電圧V2に達している場合(ステップS143においてYESの場合)には、SMR溶着判定部162は、システムメインリレーSMR1,SMR2が正常であると判定し、判定フラグF2を「1」にセットする(ステップS17)。
最後に、SMR溶着判定部162は、判定フラグF2が「1」であるか否かを判定する(ステップS19)。判定フラグF2が「1」である場合(ステップS19においてYESの場合)には、SMR溶着判定部162は、システムメインリレーSMR1,SMR2が正常であると判定し、SMR判定フラグFSMRを「1」にセットする(ステップS20)。
HV制御部160は、SMR判定フラグFSMRを受けると、ハイブリッド車両100をバッテリレス走行させるためのモータジェネレータMG1,MG2の運転指令を生成して、MGECU140へ送出する。これにより、ハイブリッド車両100は、バッテリレス走行を実行する(ステップS21)。
これに対して、判定フラグF2が「1」でない(すなわち、「0」である)ある場合(ステップS19においてNOの場合)には、SMR溶着判定部162は、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していると判定し、SMR判定フラグFSMRを「0」にリセットする(ステップS22)。
HV制御部160は、SMR判定フラグFSMRを受けると、ハイブリッド車両100を、車両が走行許可状態となるReady状態からオフ状態へ遷移させる。これにより、ハイブリッド車両100は、走行を停止する(ステップS23)。
[実施の形態3]
図10は、この発明の実施の形態3に従うシステムメインリレーSMR1,SMR2の溶着判定動作を説明するためのタイミングチャートである。
図10を参照して、ハイブリッドECU15のHV制御部160(図3)は、バッテリECU200によって検知された、バッテリ10の異常情報を受けると、時刻t1においてSMR遮断指令を発する。MGECU140のコンバータ制御部144(図3)は、SMR遮断指令に従って、システムメインリレーSMR1,SMR2をオフするための信号SEを生成してシステムメインリレーSMR1,SMR2へ出力する。
さらに、HV制御部160は、時刻t2においてVL一定要求を生成してコンバータ制御部144へ送出する。コンバータ制御部144は、VL一定要求を受けると、直流電圧VLを電圧指令値VL*に設定するためのVL一定制御を開始する。
このとき、ハイブリッドECU15のSMR溶着判定部162は、VL一定制御における電圧指令値VL*を、予め設定されている所定の電圧(略バッテリ10の充放電電圧Vbに相当する。)から故意に変動させる。
具体的には、SMR溶着判定部162は、バッテリ10を電源装置に接続した状態でVL一定制御を行なった場合の直流電圧VLの変動範囲を予め取得している。図4において、直流電圧VLは、バッテリ10の充放電電圧Vbを中心として±ΔVの変動幅を有している。図中の電圧V1は当該変動範囲の下限値(Vb−ΔV)を示し、電圧V2は当該変動範囲の上限値(Vb+ΔV)を示している。
SMR溶着判定部162は、この直流電圧VLの変動範囲に基づいて、2つの電圧指令値VL*を設定する。一方の電圧指令値VL*は、下限値である電圧V1よりも低い電圧に設定され、他方の電圧指令値VL*は、上限値である電圧V2よりも高い電圧に設定される。SMR溶着判定部162は、これら2つの電圧指令値VL*を少なくとも1回切り換える。たとえば図10の場合では、電圧指令値VL*は1回切り換えられる。
そして、SMR溶着判定部162は、2つの電圧指令値VL*の各々に従ってコンバータ110が降圧動作を行なったときに電圧センサ120にて検出される直流電圧VLに基づいて、システムメインリレーSMR1,SMR2の溶着を判定する。
具体的には、時刻t2にてVL一定要求が発せられると、SMR溶着判定部162は、最初に、時刻t2から時刻t4までの期間T1において、電圧指令値VL*を電圧V1よりも低い電圧に設定する。これにより、コンバータ110は、直流電圧VLが電圧指令値VL*(<V1)になるようにモータ動作電圧VHの降圧動作を行なう。
このとき、SMR溶着判定部162は、時刻t2から所定の期間T01だけ経過した時刻t20から時刻t4までの期間において、電圧センサ120の検出値を所定のサンプリング周期でサンプリングする。そして、SMR溶着判定部162は、複数のサンプリング値(図中の丸印に相当)の平均値VL1を演算し、その演算した平均値VL1を所定の記憶領域に格納する。なお、所定の期間T01は、コンバータ110の制御応答性を考慮して、直流電圧VLが電圧指令値VL*に一致するのに要する時間以上となるように設定される。
次に、SMR溶着判定部162は、時刻t4から時刻t6までの期間において、電圧指令値VL*を、電圧V2よりも高い電圧に設定する。これにより、コンバータ110は、直流電圧VLが電圧指令値VL*(>V2)になるようにモータ動作電圧VHの降圧動作を行なう。
このとき、SMR溶着判定部162は、時刻t6から所定の期間(=T02−T1)だけ経過した時刻t21から時刻t6までの期間(=T2−T1)において、電圧センサ120の検出値を所定のサンプリング周期でサンプリングする。そして、SMR溶着判定部162は、複数のサンプリング値(図中の丸印に相当)の平均値VL2を演算し、その演算した平均値VL2を所定の記憶領域に格納する。なお、所定の期間(=T02−T1)は、コンバータ110の制御応答性を考慮して、直流電圧VLが電圧指令値VL*に一致するのに要する時間以上となるように設定される。
最後に、SMR溶着判定部162は、時刻t6以降において、所定の記憶領域に格納された平均値VL1,VL2を読出し、これら2つの平均値の偏差ΔVL1(=|VL1−VL2|)を演算する。そして、この演算した偏差ΔVL1に基づいて、システムメインリレーSMR1,SMR2の溶着を判定する。
このとき、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していない場合には、直流電圧VLは、ラインLN1で示すように、電圧指令値VL*に追従して電圧V1よりも低い電圧に変化した後、電圧V2よりも高い電圧に変化する。したがって、直流電圧VLの2つの平均値VL1,VL2から演算された偏差ΔVL1は、バッテリ10が接続された状態での直流電圧VLの変動幅(=|V2−V1|)よりも大きい値となる。
これに対して、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着している場合には、直流電圧VLは、ラインLN2で示すように、電圧指令値VL*に追従することなく、バッテリ10が接続された状態での直流電圧VLの変動範囲内を変動する。したがって、直流電圧VLの2つの平均値VL1,VL2から演算された偏差ΔVL1は、バッテリ10が接続された状態での直流電圧VLの変動幅(=|V2−V1|)以下となる。
そこで、SMR溶着判定部162は、演算された偏差ΔVL1が変動幅(=|V2−V1|)よりも大きい場合には、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していないと判定する。このとき、SMR溶着判定部162は、ラインLN23で示すように、SMR判定フラグFSMRを「1」にセットする。
一方、演算された偏差ΔVL1が変動幅(=|V2−V1|)以下となる場合には、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していると判定する。この場合、SMR溶着判定部162は、ラインLN24で示すように、SMR判定フラグFSMRを「0」にリセットする。
以上の処理は、図11および図12に示すような処理フローにまとめることができる。
(フローチャート)
図11および図12は、この発明の実施の形態3に従うハイブリッドECU15によるシステムメインリレーSMR1,SMR2の溶着判定動作の処理手順を説明するフローチャートである。なお、図11および図12に示す各ステップの処理は、ハイブリッドECU15(図2)が図3に示す各制御ブロックとして機能することで実現される。
図11を参照して、HV制御部160として機能するハイブリッドECU15は、バッテリECUからの異常情報に基づいてバッテリ10の異常を検出すると(ステップS01)、SMR遮断指令を発する(ステップS02)。HV制御部160はさらに、VL一定要求を発する(ステップS03)。これにより、コンバータ110ではVL一定制御が開始される。
次に、SMR溶着判定部162として機能するハイブリッドECU15は、VL一定制御における電圧指令値VL*を、電圧V1よりも低い電圧に設定する(ステップS04)。タイマ164は、VL一定要求が発せられてからの経過時間(要求後経過時間)tを計時する(ステップS05)。SMR溶着判定部162は、タイマ164により計時された要求後経過時間tを取得する。
そして、SMR溶着判定部162は、要求後経過時間tが所定の期間T01を超えたか否かを判定する(ステップS051)。なお、所定の期間T01は、図9に示したように、コンバータ110の制御応答性を考慮して予め設定されたものである。要求後経過時間tが所定の期間T01以下となる場合(ステップS051においてNOの場合)には、処理はステップS051に戻される。
これに対して、要求後経過時間tが所定の期間T01を超える場合(ステップS051においてYESの場合)には、SMR溶着判定部162は、電圧センサ120から直流電圧VLを取得する(ステップS06)。そして、SMR溶着判定部162は、電圧センサ120の検出値を所定のサンプリング周期でサンプリングし、複数のサンプリング値の平均値VL1を演算する(ステップS062)。
このとき、SMR溶着判定部162は、要求後経過時間tが所定の判定期間T1を超えたか否かを判定する(ステップS07)。要求後経過時間tが所定の判定期間T1以下となる場合(ステップS07においてNOの場合)には、処理はステップS062に戻される。
これに対して、要求後経過期間tが所定の判定期間T1を超えている場合(ステップS07においてYESの場合)には、SMR溶着判定部162は、このときの平均値VL1を最終的な平均値VL1に確定し、所定の記憶領域に格納する(ステップS082)。
次に、SMR溶着判定部162は、電圧指令値VL*を、電圧V2よりも高い電圧に設定する(ステップS12)。タイマ164は、要求後経過時間tを計時する(ステップS13)。SMR溶着判定部162は、タイマ164により計時された要求後経過時間tを取得する。
そして、SMR溶着判定部162は、要求後経過時間tが所定の期間T02を超えたか否かを判定する(ステップS130)。なお、所定の期間T02は、図9に示したように、コンバータ110の制御応答性を考慮して予め設定されたものである。要求後経過時間tが所定の期間T02以下となる場合(ステップS130においてNOの場合)には、処理はステップS130に戻される。
これに対して、要求後経過時間tが所定の期間T02を超える場合(ステップS130においてYESの場合)には、SMR溶着判定部162は、電圧センサ120から直流電圧VLを取得する(ステップS14)。そして、SMR溶着判定部162は、電圧センサ120の検出値を所定のサンプリング周期でサンプリングし、複数のサンプリング値の平均値VL2を演算する(ステップS144)。
このとき、SMR溶着判定部162は、要求後経過時間tが所定の判定期間T2を超えたか否かを判定する(ステップS15)。要求後経過時間tが所定の判定期間T2以下となる場合(ステップS15においてNOの場合)には、処理はステップS144に戻される。
これに対して、要求後経過期間tが所定の判定期間T2を超えている場合(ステップS15においてYESの場合)には、SMR溶着判定部162は、このときの平均値VL2を最終的な平均値VL2に確定し、所定の記憶領域に格納する(ステップS151)。
最後に、SMR溶着判定部162は、所定の記憶領域に格納された平均値VL1,VL2を読出し、これら2つの平均値の偏差ΔVL1(=|VL1−VL2|)を演算する(ステップS152)。そして、この演算した偏差ΔVL1がバッテリ10が接続された状態での直流電圧VLの変動幅(=|V2−V1|)よりも大きいか否かを判定する(ステップS153)。
演算された偏差ΔVL1が変動幅(=|V2−V1|)よりも大きい場合には、SMR溶着判定部162は、システムメインリレーSMR1,SMR2が正常であると判定し、SMR判定フラグFSMRを「1」にセットする(ステップS20)。
HV制御部160は、SMR判定フラグFSMRを受けると、ハイブリッド車両100をバッテリレス走行させるためのモータジェネレータMG1,MG2の運転指令を生成して、MGECU140へ送出する。これにより、ハイブリッド車両100は、バッテリレス走行を実行する(ステップS21)。
一方、演算された偏差ΔVL1が変動幅(=|V2−V1|)以下となる場合には、システムメインリレーSMR1,SMR2が溶着していると判定し、SMR判定フラグFSMRを「0」にリセットする(ステップS22)。
HV制御部160は、SMR判定フラグFSMRを受けると、ハイブリッド車両100を、車両が走行許可状態−となるReady状態からオフ状態へ遷移させる。これにより、ハイブリッド車両100は、走行を停止する(ステップS23)。
なお、この発明の実施の形態1〜3と本願発明との対応関係については、HV制御部160およびMGECU140が「制御装置」に相当し、SMR溶着判定部162が「溶着判定装置」に相当する。また、図3に示すハイブリッドECU15の制御構造において、SMR溶着判定部162は、「第1の設定手段」、「第2の設定手段」、「取得手段」および「溶着判定手段」を実現する。これらの手段を構成する各機能ブロックは、いずれもハイブリッドECU15であるCPU(Central Processing Unit)が記憶領域に記憶されたプログラムを実行することにより実現される、ソフトウェアとして機能するものとして説明したが、ハードウェアにより実現されるようにしてもよい。なお、このようなプログラムは記録媒体に記録されて車両に搭載される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 バッテリ、15 ハイブリッドECU、17 各種センサ出力、30 動力出力装置、35 アクセルペダル、50L,50R 前輪、60L,60R 後輪、70L,70R フロントシート、80 リアシート、100 ハイブリッド車両、101,103 電源ライン、102 アースライン、110 コンバータ、120,122 電圧センサ、130 DC/DCコンバータ、131,132 インバータ、140 MGECU、142 インバータ制御部、144 コンバータ制御部、160 HV制御部、162 SMR溶着判定部、164 タイマ、200 バッテリECU、C1,C2 コンデンサ、D1〜D8 ダイオード、ENG エンジン、MG1,MG2 モータジェネレータ、PSD 動力分割機構、Q1〜Q8 スイッチング素子、SB 補機バッテリ、SMR1,SMR2 システムメインリレー。